JPH059022A - 超電導体の製造方法 - Google Patents

超電導体の製造方法

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JPH059022A
JPH059022A JP3185213A JP18521391A JPH059022A JP H059022 A JPH059022 A JP H059022A JP 3185213 A JP3185213 A JP 3185213A JP 18521391 A JP18521391 A JP 18521391A JP H059022 A JPH059022 A JP H059022A
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metal oxide
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Toshiya Kumagai
俊弥 熊谷
Takaaki Manabe
高明 真部
Wakichi Kondo
和吉 近藤
Susumu Mizuta
進 水田
Akira Hamaoka
明 浜岡
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Nihon Kagaku Sangyo Co Ltd
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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 超導電性複合金属酸化物を製造する際に、そ
の酸化物と基体との反応を防止して、安定性の良い超導
電体を製造する。 【構成】 基材上に形成された(1)炭酸バリウム、
(2)希土類金属酸化物、(3)銅酸化物及び(4)貴
金属及び/又はその酸化物からなる無機質膜を、酸素濃
度が1vol%以下の不活性ガス雰囲気下又は酸素分圧
が0.01atm(絶対圧)以下の減圧下において該膜
と基材との間の反応を実質的に生じさせない温度で焼成
して該膜中に含まれる炭酸バリウムから炭酸ガスを除去
しつつ炭酸バリウムと希土類酸化物と銅酸化物を反応さ
せた後、次いで得られた金属酸化物膜と基材との間の反
応を実質的に生じさせない温度で分子状酸素により酸化
してバリウム、希土類金属及び銅からなる超電導性複合
金属酸化物と貴金属から構成される超電導体膜を形成さ
せることを特徴とする超電導体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バリウム、希土類金属
及び銅からなる超電導性複合金属酸化物と貴金属とから
構成される超電導体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術及びその問題点】超電導性複合金属酸化物膜
(以下、超電導体膜とも言う)を得るために、バリウ
ム、希土類元素及び銅の各有機酸塩、アルコキシド又は
キレート化合物を含む溶液を作り、この溶液を支持体表
面に塗布し、空気中において約500℃で仮焼して、基材
表面に炭酸バリウムと希土類元素酸化物と銅酸化物から
なる無機質膜をあらかじめ形成し、次いで空気又は酸素
中で900℃より高い温度で本焼成する方法は知られてい
る。また、基材表面に、複合金属酸化物の超電導性の安
定化及び/又は超電導性複合金属酸化物と基材との反応
の抑制のためにあらかじめ貴金属膜を形成した後前記の
方法で超電導性複合金属酸化物膜を製造する方法も知ら
れている。このようにして基材表面に形成された複合金
属酸化物膜は比較的高い臨界温度で超電導を示すが、本
焼成に900℃より高い温度を用いるため、複合金属酸化
物膜と基材及び/又は貴金属膜との反応によりその超電
導体膜の劣化が起り、超電導を与える複合金属酸化物膜
の正味量が減少し、超電導状態における電流密度(J
c)が低下するという問題があった。一方、本焼成温度
を下げて超電導体膜と基材及び/又は貴金属との反応を
防止しようとすると、この場合には炭酸バリウムの熱分
解が進行しにくく、基材上に形成される複合金属酸化物
の超電導特性が著しく損われるという問題を生じる。
【0003】さらに、超電導体の高Jc化や機械的性質
(引張り応力、曲げ応力)の改善及び耐環境性(H2
やCO2に対する耐久性)の改善のために、超電導体に
対して貴金属を複合化させることも行われている。この
貴金属の複合化は、超電導体粉末に貴金属粉末を混合
し、この混合物を基材に塗布し、900℃以上に加熱し
て焼結することによって行うことができるが、この場
合、その粉体混合と均一に行うことが困難である上、加
熱温度が900℃以上であるため、超電導体を基材との
反応による超電導体の劣化が起り、超電導特性が低下す
るという問題を生じる。
【0004】
【発明の課題】本発明は、従来技術に見られる前記問題
点を解決し、超電導を示す臨界温度が高く、かつ超電導
状態における電流密度の高い貴金属複合化超電導体の製
造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。
【0006】即ち、本発明によれば、基材に形成された
(1)炭酸バリウム、(2)希土類金属酸化物、(3)銅酸化
物及び(4)貴金属及び/又はその酸化物からなる無機
質膜を、酸素濃度が1vol%以下の不活性ガス雰囲気下又
は酸素分圧が0.01atm(絶対圧)以下の減圧下において該
膜と基材との間の反応を実質的に生じさせない温度で焼
成して該膜中に含まれる炭酸バリウムから炭酸ガスを除
去しつつ炭酸バリウムと希土類金属酸化物と銅酸化物を
反応させた後、さらに、該膜と基材との間の反応を実質
的に生じさせない温度で分子状酸素により酸化してバリ
ウム、希土類金属及び銅からなる超電導性複合金属酸化
物と貴金属とから構成される超電導体膜を形成させるこ
とを特徴とする超電導体の製造方法が提供される。
【0007】本発明の方法を実施するにあたっては、先
ず、バリウム、希土類金属及び銅からなる超電導性複合
金属酸化物形成用金属(以下、単にSEC金属とも言
う)と、貴金属を含む塗布液を調製する。貴金属として
は、銀、金、白金、パラジウム又はそれらの合金が挙げ
られる。SEC金属は、塗布液中に溶解した状態で存在
するのが好ましいので、通常、SEC金属を含む可溶性
有機化合物として用いられる。一方、貴金属は、塗布液
中に溶解するように貴金属を含む可溶性有機化合物であ
ることが好ましいが、塗布液中には必ずしも溶解状態で
存在する必要はなく、不溶性化合物や金属微粒子として
存在することもできる。貴金属の不溶性化合物として
は、酸化物を、金属微粒子として、金、銀、白金、パラ
ジウムのコロイド粒子を挙げることができる。
【0008】SEC金属の可溶性有機化合物としては、
有機酸塩、アルコキシド、有機キレート化合物等が挙げ
られる。貴金属の可溶性有機化合物としては、有機酸
塩、有機キレート化合物等が挙げられる。前記有機酸塩
としては、例えば、ナフテン酸、2−エチルヘキサン
酸、カプリル酸、ステアリン酸、ラウリン酸、酪酸、プ
ロピオン酸、ネオデカン酸、シクロヘキシル酪酸、酢
酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、ク
エン酸、酒石酸、乳酸、フェノール、カテコール、安息
香酸、サリチル酸等の塩が挙げられる。アルコキシドと
しては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、エチレングリコール、グリセリン等のアルコールの
アルコキシドが挙げられる。有機キレート化合物として
は、アセチルアセトナート、EDTA等が挙げられる。
塗布液に貴金属を不溶性化合物又は金属微粒子として分
散させる場合、その粒径は5μm以下、好ましくは1μ
m以下にするのがよい。
【0009】塗布液は、有機溶媒中にSEC金属を溶解
させるとともに、貴金属化合物又は貴金属を溶解又は分
散させることによって製造される。塗布液中のSEC金
属濃度は特に制約されず、その上限はSEC金属含有化
合物の溶解度等によって決められるが、一般には、SE
C金属含有化合物換算で3〜40重量%である。さらに、こ
の溶液には、補助成分として、高分子物質等を適量添加
することもできる。
【0010】溶媒としては、前記したSEC金属含有化
合物を溶解し得るものであればよく、各種のものが単独
又は混合物の形で使用される。このような溶媒として
は、例えば、ヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエ
ン、テトラリン等の炭化水素類、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エ
チレングリコール、グリセリン等のアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケト
ン類、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトアルデ
ヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、ラウリン酸、ス
テアリン酸、ナフテン酸、リノール酸、オレイン酸、シ
ュウ酸、クエン酸、乳酸、フェノール、p-トルイル酸等
の有機酸類、ブチルブチレート等のエステル類、ジメチ
ルアミン、アニリン等のアミン類、N-メチルアセトアミ
ド、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等のホルムア
ミド誘導体等のアミド類、ジメチルスルホキシド等の硫
黄含有化合物、クロロホルム、四塩化炭素等の塩素含有
化合物、ピリジン、メチルピリジン、ビニルピリジン等
のピリジン誘導体、フルフラール等の複素環物質類等を
挙げることができる。これらの溶媒は、具体的に用いる
SEC金属含有化合物の種類に応じて1種又は2種以上の
組合せで適当に選定される。これらの溶媒は必要に応じ
て、高温下でまたは溶媒置換して用いることもできる。
【0011】本発明による好ましい塗布液をSEC金属
含有化合物との関連で例示すると次の通りである。 (1) SEC金属アルコキシド含有溶液 この溶液の場合、SEC金属アルコキシドが安定的に溶
解するように、有機酸又はピリジンもしくはその誘導
体、あるいはそれらの混合物を含む溶媒を用いるのが好
ましい。溶媒は、それらの化合物のみから形成し得る
他、それらの化合物と他の溶媒、例えば、エタノール、
ブタノール、アセトン等のアルコールやケトンとの混合
物から形成することができる。この場合、有機酸として
は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘ
キサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸等が挙げられ、ピリ
ジン誘導体としては、メチルピリジン、ビニルピリジン
等が挙げられる。
【0012】(2) SEC金属アセチルアセトナート又は
その誘導体含有溶液 この溶液の場合、SEC金属アセチルアセトナート又は
アセチルアセトン誘導体〔CH3COCH2COR(R:有機基)〕の
SEC金属塩が安定的に溶解するように、前記SEC金
属アルコキシド含有溶液の場合と同様に、有機酸又はピ
リジンもしくはその誘導体あるいはそれらの混合物を含
む溶媒を用いるのが好ましい。これらの溶媒は、必要に
応じ、他の溶媒、例えば、メタノール、エタノール、ブ
タノール、アセトン等のアルコールやケトンとの混合溶
媒であることができるし、これら溶媒を用いた溶媒置換
により形成した溶媒であることができる。この場合、有
機酸及びピリジン誘導体としては、SEC金属アルコキ
シド溶液に関して示したものが挙げられる。 (3) SEC金属有機酸塩 この溶液の場合、溶媒としては、各種のもの、例えば、
有機酸、アルコール、ケトン類、炭化水素類等が用いら
れる。
【0013】本発明で用いる塗布液中のSEC金属種の
組成は、前記したように、超電導性を示すSEC金属複
合酸化物に対応するように選べばよい。例えば、次の組
成式(I)で表わされる超電導複合金属酸化物に対応する
ように選ぶことができる。 ABa2Cu3Oy (I) (式中、Aは希土類金属であり、例えば、Y,La,Nd,Sm,E
u,Gd,Dy,Ho,Er,Yb,Lu又はこれらの2種以上の混合物が用
いられる。yは7-xであり、xは-1<x<1の範囲の数であ
る)
【0014】さらに、SEC原料金属含有化合物が昇華
又は蒸発等により組成変化を起こす場合には、超電導性
複合金属酸化物が形成されるように補正したSEC金属
種の組成を選ぶことができる。塗布液中の貴金属量は、
塗布液中に含まれる希土類金属に対する原子比M/A
(M:貴金属の原子数、A:希土類金属の原子数)で、
0.05〜1、好ましくは0.1〜0.5である。
【0015】本発明により超電導体膜を得るには、塗布
液を基材上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥し、仮焼
成し、本焼した後、酸化処理する。次に、これらの各工
程について詳述する。
【0016】〔塗布液の塗布工程〕この工程は、塗布液
を、基材上に塗布して、SEC金属と貴金属を含む塗膜
を形成する工程である。この場合、その塗布法として
は、従来公知の方法、例えば、浸漬法、スピンコート
法、スプレー法、ハケ塗り法等の各種の方法を用いるこ
とができる。基材としては、各種の材料及び形状のもの
を用いることができる。この場合、材料としては、例え
ば、銅、チタン、ニッケル、金、銀等の金属や、シリ
カ、アルミナ、イットリア安定化ジルコニア(YS
Z)、チタニア、LaAlO3、SrTiO3、サファイ
ア等の金属酸化物/複合金属酸化物、炭化ケイ素、黒鉛
等のセラミックスが用いられ、またその形状としては、
曲面及び平面を問わず採用され、例えば、板状、線状、
コイル状、繊維状、編織布状、管状等任意の形状が採用
される。支持体は、多孔質のものであってもよい。基材
がセラミックスの場合、その表面には金属膜、特に貴金
属膜をあらかじめ形成することができる。
【0017】〔乾燥工程〕前記のようにして基材上に形
成された塗膜を室温又は加温下で常圧又は減圧下で乾燥
させる。この乾燥工程後に続く仮焼工程の初期において
乾燥を完結することができるため、この乾燥工程におい
ては塗膜を完全に乾燥させなくとも良い。また、後続の
仮焼成工程を乾燥工程として兼用させ得ることから、こ
の乾燥工程は省略することもできる。
【0018】〔仮焼工程〕この工程は、前記のようにし
て基材上に形成された塗膜を加熱焼成し、その塗膜を、
(1)炭酸バリウム、(2)希土類金属酸化物、(3)
銅酸化物及び(4)貴金属及び/又はその酸化物からな
る膜に変換させる工程である。焼成温度としては、400
〜700℃、好ましくは500〜600℃の温度が採用される。
焼成雰囲気としては、空気、酸素、窒素、アルゴン等の
雰囲気が採用される。また、この焼成工程は、真空中や
減圧中で実施することもできる。さらに、この焼成工程
は、あらかじめ加熱した基材に塗布液を吹き付けること
によっても行うことができる。この場合には、前記した
塗布液の塗布工程は省略される。
【0019】〔本焼工程〕この工程は、前記仮焼工程で
形成された無機質膜を焼成して炭酸バリウムから炭酸ガ
スを除去しつつ、炭酸バリウムと希土類金属酸化物と銅
酸化物を反応させる工程である。本発明においては、こ
の焼成工程は、雰囲気中の酸素濃度が1%(Vol%)以下、好
ましくは0.005-1%の条件下で行う。酸素濃度1%以下の条
件は、不活性ガスを用いることによって形成することが
できる。また、この焼成工程は、酸素分圧0.01atm(絶
対圧)以下、好ましくは0.00005-0.01atmの減圧下(真空
下)において実施することもできる。このような焼成条
件の採用により、前記仮焼工程で形成された膜中の炭酸
バリウムの分解が促進されるとともに、複合金属酸化物
が形成される。また、この焼成工程では、前記のように
低酸素濃度又は低酸素分圧の条件を採用することから、
炭酸バリウムの分解は低められた温度で円滑に実施する
ことができるため、基材と複合金属酸化物との間の反応
を実質的に回避させることができる。この工程における
一般的な焼成温度は700〜900℃である。本発明における
前記のような焼成条件により、従来見られたような基材
と複合金属酸化物との間の反応を実質的に防止すること
ができる。
【0020】〔酸化工程〕この工程は、前記本焼工程で
形成された複合金属酸化物を分子状酸素を用いて酸化処
理し、超電導性を有する複合金属酸化物とする工程であ
る。前記本焼工程では、雰囲気中の酸素濃度を1%以下又
は酸素分圧を0.01atm以下に保持したため、得られる複
合金属酸化物の超電導特性は不満足のものであるが、こ
の酸化工程により超電導特性にすぐれた複合金属酸化物
に変換することができる。分子状酸素としては、純酸素
又は空気が用いられる。酸化剤として空気を用いる場
合、その中に含まれる炭酸ガスによって膜の超電導特性
が悪影響を受けることから、空気中の炭酸ガス濃度は、
脱炭酸により、10ppm以下、好ましくは5ppm以下に調整
するのがよい。この酸化工程は、中高温で行われ、基材
と複合金属酸化物との間の反応を実質的に回避させるこ
とができる。この酸化工程の温度は、一般には、400
〜900℃である。本発明の方法を実施する場合、前記
仮焼工程、本焼工程及び酸化工程は、同一装置内で連続
的に実施することができる。本発明の方法により、基材
表面上に、膜厚が約100Å〜20μm、特に1000Å〜10μ
mの超電導性複合金属酸化物と貴金属からなる超電導体
膜を形成させることができる。この場合、膜厚は、塗布
液中の金属濃度を調節することにより制御し得る他、前
記した塗布・仮焼工程を繰返すことによって制御するこ
とができる。本発明で用いた貴金属は、金属及び/又は
その酸化物として超電導体膜を形成する複合金属酸化物
微粒子間に分散状態で存在する。
【0021】
【発明の効果】本発明においては、その仮焼工程、本焼
工程及び酸化工程はいずれも基材と複合金属酸化物との
間の反応を実質的に回避させながら実施されるため、基
材上に形成される複合金属酸化物は、超電導特性にすぐ
れたものであり、超電導を示す臨界温度(Tc)が高い上
に、その超電導状態における電流密度(Jc)も大きいとい
う特性を有する。
【0022】また、本発明においては、超電導膜は均一
に分散した貴金属を含むことから、超電導体が磁束逃躍
によって常電導化した時にその貴金属を介して電流のバ
イパスが起るという利点がある。しかも、この貴金属の
使用により、炭酸バリウムの熱分解によって無機質膜の
体積収縮が起るときに発生する応力や、超電導性複合金
属酸化物と基材との間の熱膨張係数の差により生じる応
力が緩衝され、品質の良い超電導体を得ることができ
る。
【0023】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 実施例1 ナフテン酸バリウム、ナフテン酸イットリウム、ナフテ
ン酸銅及びナフテン酸銀を、その金属原子比Ba:Y:Cu:Ag
が2.0:1.0:3.0:X(X=0.05〜1.0)になるように、トルエン
に溶解して塗布液を得た(SEC金属含有化合物の濃
度:8重量%)。次に、この塗布液を、基材としてのイ
ットリア安定化ジルコニアからなる板状体にスピンコー
ト法で塗布した後、空気中において、昇温速度20℃/
分で室温から500℃に加熱昇温させ、この温度で30分間
保持した後冷却した。この塗布液の塗布と加熱昇温を1
5回繰返して、基材上に炭酸バリウム、酸化イットリウ
ム、酸化銅及び銀からなる無機質膜(膜厚:2μm)を形
成した。次に、このようにして基材上に形成した無機質
膜(仮焼膜)を、酸素濃度が0.01%に調節されたア
ルゴンガス雰囲気下において、750℃の焼成温度(本
焼温度)に加熱昇温し、この温度で2時間保持した後、
雰囲気ガスを酸素濃度が1%に調節されたアルゴンガス
に変え、同一温度において0.5時間保持し、次いでこの
雰囲気下で450℃まで徐冷し、再度雰囲気ガスを酸素
ガスに変え、この温度で2時間保持したのち、酸素ガス
雰囲気下のまま室温まで徐冷して製品を得た。このよう
にして基材上に形成された膜は、X線回折の結果、YBa2C
u3Oyが主成分であり、Agの添加量Xが0.5以上では
Agが混在していることが確認された。次に、その膜上
に、約2mmの間隔で4ケ所に銀を蒸着して電極を形成し、
四端子法で室温から77Kまでの温度における電気抵抗を
測定した。膜の電気抵抗は室温から徐々に減少し、表1
に示した臨界温度(Tc)で電気抵抗がゼロになり、完全超
電導の状態が観測された。また、その膜の77Kにおける
臨界電流密度(Jc)を求め、その結果を表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】実施例2 実施例1においてXを0.2とし、基材をSrTiO3
からなる板状体とした以外は同様にして得られた膜は、
Tc:89K、Jc:800A/cm2を示した。 実施例3 実施例1において、バリウム、イットリウム、銅の各ア
セチルアセトナート及び酢酸銀を、その金属原子比B
a:Y:Cu:Agが2.0:1.0:3.0:0.2
となるようにピリジンとプロピオン酸の混合物(容量比
5:3)に溶解して塗布液を得(SEC金属含有化合物
の濃度:10重量%)、基材への塗布を滴下法により行
い、塗布液の塗布と加熱工程を8回繰り返した以外は同
様にして得られた膜は、Tc:89K、Jc:520A
/cm2を示した。 実施例4 実施例3において、バリウム、イットリウム、銅の各ア
セチルアセトナート及びシクロヘキシル酪酸銀を用いた
以外は同様にして得られた膜は、Tc:88K、Jc:
420A/cm2を示した。
【0026】実施例5 実施例1において、不溶性貴金属として金微粒子(粒
径:約0.1μm)をSEC金属のナフテン酸塩のトル
エン溶液に分散させ、その金属原子比Ba:Y:Cu:
Auが2.0:1.0:3.0:0.5となるようにし
た以外は同様にして得られたYBa2Cu3OvとAuか
らなる膜は、Tc:88K、Jc:460A/cm2
示した。 実施例6 実施例1において、ナフテン酸バリウム、ナフテン酸ホ
ルミウム、ナフテン酸銅及びナフテン酸銀を、その金属
原子比Ba:Ho:Cu:Agが2.0:1.0:3.
0:0.2となるようにトルエンに溶解して塗布液(S
EC金属含有化合物の濃度:8重量%)を得た以外は同
様にして得られたHoBa2Cu3OvとAgからなる膜
は、Tc:89K、Jc:530A/cm2を示した。 実施例7 実施例1において、ナフテン酸バリウム、ナフテン酸エ
ルビウム、ナフテン酸銅及びナフテン酸銀を、その金属
原子比Ba:Er:Cu:Agが2.0:1.0:3.
0:0.2となるようにトルエンに溶解して塗布液(S
EC金属含有化合物の濃度:8重量%)を得た以外は同
様にして得られたErBa2Cu3OvとAgからなる膜
は、Tc:88K、Jc:460A/cm2を示した。
フロントページの続き (72)発明者 真部 高明 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技術 院化学技術研究所内 (72)発明者 近藤 和吉 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技術 院化学技術研究所内 (72)発明者 水田 進 茨城県つくば市東1丁目1番地 工業技術 院化学技術研究所内 (72)発明者 浜岡 明 東京都台東区下谷2丁目20番5号 日本化 学産業株式会社内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 基材上に形成された(1)炭酸バリウ
    ム、(2)希土類金属酸化物、(3)銅酸化物及び
    (4)貴金属及び/又はその酸化物からなる無機質膜
    を、酸素濃度が1vol%以下の不活性ガス雰囲気下又
    は酸素分圧が0.01atm(絶対圧)以下の減圧下に
    おいて該膜と基材との間の反応を実質的に生じさせない
    温度で焼成して該膜中に含まれる炭酸バリウムから炭酸
    ガスを除去しつつ炭酸バリウムと希土類酸化物と銅酸化
    物を反応させた後、次いで得られた金属酸化物膜と基材
    との間の反応を実質的に生じさせない温度で分子状酸素
    により酸化してバリウム、希土類金属及び銅からなる超
    電導性複合金属酸化物と貴金属から構成される超電導体
    膜を形成させることを特徴とする超電導体の製造方法。
JP3185213A 1991-06-28 1991-06-28 超電導体の製造方法 Expired - Lifetime JPH0710732B2 (ja)

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