JPH0590155U - 燃焼装置の寿命予測装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃焼装置に組み込まれている器具・装置の余
寿命を表示する燃焼装置の寿命予測装置を提供する。 【構成】 本考案の装置を格納手段18と演算部20とクロ
ック19とタイマ21と表示部22と表示選択指令部23を有し
て構成する。格納手段18には寿命情報と稼働情報を格納
する。演算部20の余寿命演算部14は寿命情報と稼働情報
とから所定の演算式を用いて余寿命を算出する。表示選
択指令部23から余寿命表示の指令が加えられたときに、
表示部22は前記余寿命を表示画面に表示する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、給湯器等の燃焼装置に装備される燃焼装置の寿命予測装置に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４には燃焼装置として一般的に知られている給湯器のシステムが示されてい る。同図において、器具25の燃焼室１の下部側にはバーナ２が設置され、その下 方側には給排気用のファン３が配設されている。このファン３にはファン回転セ ンサ９が設けられている。前記バーナ２にはガス供給通路４が接続されており、 このガス供給通路４には電磁弁５と、比例弁６と、副電磁弁７とが設けられ、比 例弁６の開弁量の制御によってバーナ２に供給されるガス供給量が制御されてい る。

【０００３】 燃焼室１の上方部には熱交換器10が配設されている。この熱交換器10には多数 のフィン８が設けられており、熱交換器10の入側には給水管11が接続されており 、この給水管11には給水温度を検出する給水温度センサ12と、給水量（給湯量） を検出するフローセンサ（流量センサ）13が設けられている。また、熱交換器10 の出側には給湯管14が接続されており、この給湯管14の基端側（熱交換器10の出 側近傍）には給湯温度を検出する給湯温度センサ15が設けられている。

【０００４】 前記ファン回転センサ９の検出信号と温度センサ12，15の検出信号とフローセ ンサ13の検出信号は制御装置16に加えられており、制御装置16はこれらの各セン サの検出信号を受けて比例弁６の開弁量の制御とファン３の回転制御を行い、設 定温度の湯を出湯するようにバーナ２の燃焼運転を行っている。通常、この制御 装置16にはリモコン17が接続される。

【０００５】 この種の給湯器を燃焼運転することにより、給水管11を通して供給されて来る 水はバーナ２の燃焼火力でもって熱交換器10を通るときに加熱されて湯になり、 この湯は給湯管14を介して台所等の所望の場所に導かれる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

この種の給湯器は一般家庭に広く普及されており、一旦家庭に設置すると、長 期に亙り使用されるが、耐用年数に近くなると、給湯器に組み込まれている各種 の器具・装置に不具合が生じ易くなる。給湯器のある器具・装置が不具合になっ たときには、使用者の通報により、メーカあるいはサービスステーションの作業 員がその給湯器が設置されている家庭に出向き、修理を行うが、このとき、修理 の作業員は給湯器の内部を見ただけでは給湯器に組み込まれている各部の器具・ 装置が耐用年数に近くなっているか否かが分からず、不具合になった器具・装置 を修理して、耐用年数に近い他の器具・装置の点検を行わずに、帰ってしまうと いう事態となり、この修理後の短期間のうちに他の器具・装置が寿命により故障 を起こすという問題があり、このように、給湯器が耐用年数近くなると、組み込 まれている各種の器具・装置が短期間のうちに次々に故障を起こし、その度に、 使用者の通報を受けて修理の作業員が出向くこととなり、メンテナンスの効率が 悪い上に、そのメーカの製品が悪いかのような印象を使用者に与え、信頼性を損 なうという問題が生じる。

【０００７】 本考案は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、 作業員が燃焼装置の点検に出向いたときに、その燃焼装置に組み込まれている器 具・装置の寿命を知ることができ、この寿命情報により、的確な効率の良いメン テナンスを行うことができる燃焼装置の寿命予測装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するために、次のように構成されている。すなわち、 本考案の寿命予測装置は、燃焼装置に組み込まれている１個以上の器具・装置の 寿命情報とこの器具・装置の稼働情報が格納される格納手段と、この格納手段に 格納されている寿命情報と稼働情報とから余寿命を算出する余寿命演算部と、与 えられた表示指令に応じて格納手段に格納されている稼働情報と余寿命演算部に よって算出された余寿命との少なくとも一方を表示する表示部と、を有すること を特徴として構成されている。

【０００９】

【作用】

上記構成の本考案において、格納手段は器具・装置の寿命情報と、この器具・ 装置の稼働情報を格納する。余寿命演算部は所定の演算式を用いて前記寿命情報 と稼働情報とから前記器具・装置の余寿命を算出する。そして、メンテナンスの 作業員によって表示指令が与えられたとき、算出された余寿命が表示部に表示さ れる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１には本考案の一実施例 のブロック構成が示されている。この実施例では燃焼装置として、給湯器を対象 にしており、この給湯器のシステムは前記図４に示すものと同様である。

【００１１】 この実施例の寿命予測装置は、格納手段18と、演算部20と、クロック19と、タ イマ21と、表示部22と、表示選択指令部23とを有して構成されている。このうち 、格納手段18と演算部20とクロック19とタイマ21は制御装置16に組み込まれてお り、表示部22と表示選択指令部23はリモコン17に設けられている。

【００１２】 前記格納手段18には給湯器に組み込まれている熱交換器10とファン３とフロー センサ13の寿命情報と稼働情報とが格納されている。熱交換器10の寿命情報は熱 効率の情報として与えられており、例えば、給湯器を工場から出荷するときの初 期の熱効率として80％の値が与えられ、寿命時の熱効率として、例えば70％の値 が与えられている。また、給湯器が燃焼運転される毎に、熱効率が演算部20によ って演算され、その熱効率が稼働情報として格納される。この熱効率は給湯器の 入力熱量に対する有効熱量の割合によって与えられるもので、入力熱量は比例弁 ６の開弁量によって定まる所定の供給ガス量を燃焼させたときの熱量で、公知の 演算式を用いて容易に演算される。有効熱量も、給水温度センサ12から加えられ る給水検出温度と、給湯温度センサ15から加えられる給湯検出温度と、フローセ ンサ13から加えられる検出流量とを用い、公知の演算式を用いて容易に求められ 、この有効熱量と入力熱量の比の演算によって求められる熱交換器10の稼働情報 は格納手段18に記憶される。

【００１３】 ファン３の寿命情報は寿命として考えられる使用の時間によって与えられ、稼 働情報は、給湯器を燃焼運転してファン３を回転駆動した時間をタイマ21を用い て検出し、各運転時のファン３の回転時間を演算部20により累積演算することに よって求められ、その累積演算値が稼働情報として格納手段18に格納される。

【００１４】 フローセンサ13の寿命情報は寿命として考えられるトータル流量によって与え られ、また、稼働情報は、現時点までの給湯器の燃焼運転時の検出流量を演算部 20により累積演算することによって求められ、その累積演算値が稼働情報として 格納手段18に記憶される。

【００１５】 前記演算部20は前記熱交換器10とファン３とフローセンサ13の稼働情報を演算 するとともに、この演算部20に組み込まれている余寿命演算部24によって余寿命 が演算される。

【００１６】 熱交換器10の余寿命は、前記格納手段18から熱交換器10の寿命情報と稼働情報 とを読み出し、給湯器を設置してからの経年数の情報をクロック19から得て熱効 率の減少の傾きを求め、現時点（点検時点）での稼働熱効率と寿命熱効率との差 をその傾きで割ることにより余寿命が求められる。例えば、図２に示すように、 初期設定の熱効率が80％で、寿命熱効率が70％として与えられていたとき、給湯 器の点検時点の経年数が５年で、そのときの稼働熱効率が76％のときには、熱効 率の減少の傾きは（80−76）／５の演算により、0.8 ％／年として求められる。 このとき、余寿命は、（76−70）／0.8 の演算により、7.5 年として求められる 。そして、この余寿命の演算値は前記格納手段18に記憶される。

【００１７】 ファン３の余寿命演算も同様に、格納手段18から給湯器の点検時点での稼働使 用時間（稼働情報）を読み出し、給湯器設置時からの経年数でその稼働時間を割 ることにより一年当たりのファン使用時間の傾きが求められ、現時点から寿命時 間までの残りの時間をその傾きで割ることにより余寿命が求められ、この余寿命 の演算値は格納手段18に格納される。

【００１８】 同様に、フローセンサ13の余寿命も、格納手段18から点検時点の積算流量を稼 働情報として読み出し、この積算流量を給湯器を設置してからの経年数で割るこ とにより、１年当たりの積算流量の傾きが求められ、現時点の積算流量から寿命 流量に至るまでの残りの流量を前記傾きで割ることにより余寿命が求められる。 そして、この余寿命の演算値は格納手段18に記憶される。

【００１９】 表示部22はリモコン17に設けられ、このリモコン17の液晶画面に、表示選択指 令部23によって指定された各器具・装置の余寿命と稼働情報の一方（又は両方） を格納手段18から読み出して表示する。表示選択指令部23は器具・装置を指定す るボタンと、余寿命と稼働情報を選択指令するボタン等からなり、このボタンを 操作入力することにより、この指令信号は格納手段18に加えられ、格納手段18に 格納されている指定された器具・装置の余寿命あるいは稼働情報がリモコンの液 晶画面に表示される。

【００２０】 この実施例によれば、メーカやサービスステーションの作業員が給湯器の点検 に出向いたときに、表示選択指令部23の操作入力を行うことにより、給湯器内で 最も不具合が生じ易い熱交換器10とファン３とフローセンサ13の寿命や稼働情報 を即座に知ることができ、点検時には寿命が近い器具・装置を一緒に点検するこ とができるので点検効率を高めることができる。余寿命が経過する時期には使用 者からの不具合の通報がなくとも、その家庭に出向いて給湯器の点検を行い、必 要に応じ、寿命になった器具・装置を新しいものに交換する等、メンテナンスの 完璧化を達成することができることとなり、これにより、使用者からの不具合の 通報に振り回されるということがなくなり、使用者に対する信頼性を高めること が可能となる。

【００２１】 なお、本考案は上記実施例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り 得る。例えば上記実施例では、熱交換器10の寿命情報として、初期熱効率と寿命 熱効率とを与えているが、給湯器の加速寿命試験等の実験データの蓄積により、 例えば、図３に示すような経年数に対する熱効率のグラフデータを寿命情報とし て与えておき、点検時の稼働情報がこの寿命グラフデータのどの経年位置に当た るかを検出し、寿命に至る残りの余寿命を算出するようにしてもよい。また、所 定のサンプリング期間毎に前記演算部20によって求められる稼働情報を格納手段 18に蓄積しておき、この稼働情報のデータを多数の給湯器をもとに統計処理して より精度の高いグラフデータを得、これを次の新製品時に寿命情報として与える ことができる。

【００２２】 また、上記実施例では各器具・装置の余寿命を比例演算により求めているが、 例えば、稼働情報を経年数で割って傾きを算出したときに、その傾きに補正係数 を掛け、補正された傾きを用いて余寿命を算出するようにしてもよい。実際の熱 効率は、図２に示すように経年数に対して直線的に変化する場合は少なく、図３ に示すように、より複雑な曲線となる場合が多い。このようなとき、比例計算で 求めた傾きをそのまま使用して余寿命を求めると、余寿命の精度が悪くなるとい う虞があるが、補正係数を掛けて傾きを補正することにより、より精度の高い余 寿命を算出することができる。なお、この補正係数は経年数等、各種の要因を考 慮したり、加速寿命試験等の実績データを考慮して作られることになる。

【００２３】 さらに、上記実施例では寿命情報として熱効率を採用しているが、これを入力 熱量によって与えてもよい。また、フローセンサ13の寿命情報をトータル流量に よって与えているが、これを使用時間によって与えてもよく、各器具・装置の寿 命情報は本実施例以外の様々な要素を用い、あるいはこれらの要素を任意に組み 合わせて与えることができる。

【００２４】 さらに、上記実施例ではボタン操作によって指定した器具・装置毎に余寿命（ 又は稼働情報）を表示したが、１個のボタン操作により、全ての器具・装置の情 報を一度に表示するようにしてもよく、表示の態様は仕様に応じ任意に設定でき るものである。

【００２５】 さらに、上記実施例では熱交換器10とファン３とフローセンサ13を寿命予測の 対象としたが、この寿命予測の対象はこれらのうちのいずれか１つあるいは２つ でもよく、あるいは給湯器に組み込まれているさらに他の器具・装置を加えても よい。

【００２６】 さらに、上記実施例では燃焼装置として給湯器を例に説明したが、本考案はガ スや石油を燃料とする給湯器以外の、風呂釜、暖房機等の他の様々な燃焼装置に 適用されるものである。

【００２７】

【考案の効果】

本考案は、寿命情報と稼働情報とから余寿命を算出し、その余寿命を表示部に 表示するように構成したものであるから、燃焼装置を点検する際に、この余寿命 を表示部に表示させることにより、燃焼装置に組み込まれている器具・装置の余 寿命が直ちに分かり、この余寿命情報を考慮して燃焼装置のメンテナンスを的確 に効率良く行うことができるので、そのメンテナンスの完璧化を図ることができ 、燃焼装置の使用者にきめ細かなサービスを行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の要部構成を示すブロック図
である。

【図２】同実施例における熱交換器の余寿命演算例を示
す説明図である。

【図３】同実施例において格納手段に与える寿命情報の
他の例を示す説明図である。

【図４】燃焼装置として一般的な給湯器のシステム図で
ある。

【符号の説明】

３ ファン 10 熱交換器 13 フローセンサ（流量センサ） 16 制御装置 17 リモコン 18 格納手段 20 演算部 22 表示部 23 表示選択指令部 24 余寿命演算部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃焼装置に組み込まれている１個以上の
   器具・装置の寿命情報とこの器具・装置の稼働情報が格
   納される格納手段と、この格納手段に格納されている寿
   命情報と稼働情報とから余寿命を算出する余寿命演算部
   と、与えられた表示指令に応じて格納手段に格納されて
   いる稼働情報と余寿命演算部によって算出された余寿命
   との少なくとも一方を表示する表示部と、を有する燃焼
   装置の寿命予測装置。