JPH0590044U - オイルシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 摩擦トルクを低減すると共に高密封性能を持
ち且つ高偏心が生じても追随することのできるオイルシ
ールを提供すること。 【構成】 円周方向保持部１ａと径方向保持部１ｂとを
形成した芯金１と、材質がゴムであって内周面を軸表面
に接触させフッ素樹脂製シールを軸摺動面に貼付したリ
ップ部２ｂと、リップ部２ｂの背面より内径内方へ押圧
摺るスプリング３よりなり、リップ部２ｂを軸に嵌合さ
せた時、リップ部２ｂのフッ素樹脂部とゴム部を同時に
軸表面に接触させるためにフッ素樹脂製多孔質薄膜シー
ルを貼付したことを特徴とするオイルシール。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、相対回転する軸と該軸の支持部において軸受と共に用いられるオ イルシールに関し、より詳しくはリップ部の軸表面との摺動面の摩擦抵抗を小さ く且つ密封性能も向上させたオイルシールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

オイルシールは軸支持部において軸受と共に用いられ、潤滑油を保持するよう 構成されるが、通常は芯金にゴムなどの弾性材を固着し、摩擦抵抗が小さくなる よう該弾性材に可撓部とリップ部とを形成し、該リップ部を軸表面に接触摺動さ せる。従来からオイルシールと軸表面との接触部の摺動により生じる摩擦トルク を小さくすると共に潤滑油が漏洩しないよう種々の工夫がなされているが、中で も図４に示す実開昭６０−１０７４５８号で提案されているものは、摩擦トルク を小さくするため軸表面と接触するリップ部２ｂ表面にフッ素樹脂製シール６を 貼り付け摩擦抵抗を小さく且つ密封性能も良くしたものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記するようにオイルシールは、リップ部２ｂの内周先端部を回転軸表面に接 触、摺動させ密封媒体（潤滑油）を保持しているため接触部での摩擦トルク発生 による機械的摩擦損失、伝達効率の低下は避けられない。最近はあらゆる分野に おいて省エネルギーに関する工夫が要請されているが、特に自動車に関する技術 分野では省エネルギー規制も厳しくなっている。特に、自動車部品の軽量化、駆 動部の低摩擦トルク化等、より一層の工夫が要求されるようになっている。

【０００４】 オイルシールでも低トルク化が重要視されているが、通常のゴム製リップのシ ールでは密封性能も維持しなければならない関係上、回転時の摩擦トルクを低減 することは比較的困難である。そして上記する従来例のフッ素樹脂製シールを貼 付するタイプのものは、図５に示すように、固いフッ素樹脂製シール６だけが軸 ５と摺動するため軸偏心時の追随性も悪く密封性能も必ずしも良いとはいえない 。この考案はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とする所は摩擦 トルクを低減すると共に高密封性能を持ち且つ高偏心が生じても追随することの できるオイルシールを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

即ちこの考案は上記する課題を解決するために、材質がゴムにより形成され軸 摺動面にフッ素樹脂製シールを貼付したリップ部と、該リップ部の背面に設けら れ該リップ部を内径内方へ押圧するスプリングとより構成されるオイルシールに おいて、前記フッ素樹脂部材を多孔質薄膜で形成し、前記リップ部を軸に嵌合さ せた時リップ部のフッ素樹脂部とゴム部を同時に軸表面に接触させてなる。

【０００６】

【作用】

オイルシールを上記手段とした時の作用について貼付した図面の符号を用いて 説明する。図２に示すように、この考案にかかるオイルシールは軸５に嵌合した 状態ではフッソ樹脂製のシール４とリップ部２ｂのゴム部の両方が軸表面に接触 することになり、回転により生じる摩擦トルクが小さくなると同時に密封性も維 持される。

【０００７】

【実施例】

以下、この考案の具体的実施例について図面を参照して説明する。図１はこの 考案にかかるオイルシールの軸方向一部断面図であり、図２はこの考案にかかる オイルシールを軸に嵌合した状態の一部断面図である。このオイルシールは、円 周方向保持部１ａと径方向保持部１ｂとよりなる芯金１と、可撓部２ａとリップ 部２ｂを形成し該芯金に固着させたゴム等の弾性体２と、該リップ部２ｂを背後 より内径内方へ押圧するスプリング３とより構成される。

【０００８】 そして前記リップ部２ｂはその内周面を軸表面に接触させるが、軸５との摺動 面にはフッ素樹脂、例えばＰＴＦＥ（ボリテトラフルオロエチレン）の多孔質薄 膜で製作したシール４が貼付してある。この場合、シール４はプレス成形時にプ レス圧により薄く延ばされるとともに孔部にゴム部が侵入し、孔部よりゴム部が 露出すると同時にシール４とリップ部２ｂとを一体化している。勿論リップ部２ ｂに貼付するこのシール４は、接着処理をしてから貼付しても良い。

【０００９】 次に、リップ部２ｂに貼付されるフッ素樹脂製シール４は薄膜をさらに延ばし ているため非常に柔軟で複雑な形状にも馴染みやすく、図３に示したようなヘリ ックスリブ付きシールにもヘリックスリブのポンプ特性を損なうことなく貼付可 能である。

【００１０】 この考案にかかるオイルシールの実施例は以上のようであるが、次にその作用 について説明する。図２に示すように、この考案にかかるオイルシールは軸５に 嵌合した状態ではフッ素樹脂の多孔質薄膜のシール４とシール４の孔部から露出 しているリップ部２ｂのゴム部の両方が軸表面に接触することになり、回転によ り生じる摩擦トルクが小さくなると同時に密封性も維持される。そしてフッ素樹 脂の多孔質薄膜の厚さは加工上可能な範囲内で変えることができるので密封性能 を重視するか、低トルクを重視するか、により用途に応じてフレキシブルに対応 できる。

【００１１】 また、図３に示すようにフッ素樹脂の多孔質薄膜の厚さを薄くした場合、ヘリ ックスリブ４ａのポンプ特性を損なうことなくヘリックスリブ付きシールに貼付 することができ，さらに密封性能を向上できる。この考案にかかるオイルシール の実施例は以上のようであるが、シール材質は勿論フッ素樹脂でなくても良く、 摩擦係数が低く、耐摩耗性が低く、耐摩耗性を有する性質を持つ他の樹脂材でも 良い。

【００１２】

【効果】

この考案にかかるオイルシールは、以上詳述したような構成としたので、回転 時に生じる摩擦トルクをフッソ素脂製シールで受け低トルクとすることができる 。そして従来のフッ素樹脂製シールより薄く、柔らかい多孔質薄膜を用いること により密封性能も向上させることができる。

【００１３】

【図面の簡単な説明】

【図１】 この考案にかかるオイルシールの軸方向一部
断面図である。

【図２】 この考案にかかるオイルシールを軸に嵌めた
状態の軸方向一部断面図である。

【図３】 この考案にかかるオイルシールの軸方向一部
断面図である。

【図４】 従来のオイルシールの軸方向断面図である。

【図５】 従来のオイルシールを軸に嵌めた状態の軸方
向一部断面図である。

【符号の説明】

１ 芯金 １ａ 円周方向保持部 １ｂ 径方向保持部 ２ 弾性体 ２ａ 可撓部 ２ｂ リップ部 ３ スプリング ４ シール ４ａ ヘリックスリブ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 材質がゴムにより形成され軸摺動面にフッ素樹脂製シー
   ルを貼付したリップ部と、該リップ部の背面に設けられ
   該リップ部を内径内方へ押圧するスプリングとより構成
   されるオイルシールにおいて、前記フッ素樹脂シールを
   多孔質薄膜で形成し、前記リップ部を軸に嵌合させた時
   リップ部のフッ素樹脂部とゴム部を同時に軸表面に接触
   させてなることを特徴とするオイルシール。