JPH058751A - 動力舵取装置 - Google Patents

動力舵取装置

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JPH058751A
JPH058751A JP3188157A JP18815791A JPH058751A JP H058751 A JPH058751 A JP H058751A JP 3188157 A JP3188157 A JP 3188157A JP 18815791 A JP18815791 A JP 18815791A JP H058751 A JPH058751 A JP H058751A
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hydraulic pressure
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修 佐野
Yoshitomo Tokumoto
欣智 徳本
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    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D43/00Automatic clutches
    • F16D43/02Automatic clutches actuated entirely mechanically
    • F16D43/04Automatic clutches actuated entirely mechanically controlled by angular speed
    • F16D43/06Automatic clutches actuated entirely mechanically controlled by angular speed with centrifugal masses actuating axially a movable pressure ring or the like
    • F16D43/08Automatic clutches actuated entirely mechanically controlled by angular speed with centrifugal masses actuating axially a movable pressure ring or the like the pressure ring actuating friction plates, cones or similar axially-movable friction surfaces
    • F16D43/10Automatic clutches actuated entirely mechanically controlled by angular speed with centrifugal masses actuating axially a movable pressure ring or the like the pressure ring actuating friction plates, cones or similar axially-movable friction surfaces the centrifugal masses acting directly on the pressure ring, no other actuating mechanism for the pressure ring being provided

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 動力舵取装置の動作油圧を発生する油圧ポン
プの駆動に要するエンジンの無為な動力負担を軽減して
燃費低下を防ぐと共に、必要時には、十分な油圧及び油
量を確保できるようにする。 【構成】 ポンプ本体1とエンジン3の出力端との間に
介装した遠心クラッチ2に、これの係合動作を油圧力に
より補助する補助シリンダ4を付設する。ポンプ本体1
から油圧アクチュエータ6に送給する油圧を、導油路7
を介して補助シリンダ4に導入する。遠心クラッチ2
は、エンジン3の回転速度が小なるとき、即ち、大きい
操舵補助力を必要とする低速走行時にポンプ本体1とエ
ンジン3とを係合する。補助シリンダ4は、遠心クラッ
チ2が係合状態にあり、これにより駆動されるポンプ本
体1から油圧アクチュエータ6に送給される油圧が増し
たとき、この油圧により遠心クラッチ2の係合状態を強
化し、エンジン3の出力がポンプ本体1に十分に伝達さ
れるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両に搭載されてエン
ジンにて駆動される油圧ポンプから送給される油圧によ
り操舵補助力を発生する油圧式の動力舵取装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年の自動車においては、舵取りのため
の舵輪(ステアリングホィール)操作に要する労力負担
を軽減して快適な操舵感覚を得るべく、動力舵取装置
(パワーステアリング装置)が広く普及している。
【0003】この動力舵取装置は、操舵補助力の発生源
として油圧アクチュエータを用いる油圧式と、同じく電
動モータを用いる電動式とに大別される。前者、即ち油
圧式の動力舵取装置は、車両に搭載された油圧ポンプが
発生する油圧を舵取機構中に配した油圧アクチュエータ
に、舵輪操作に応じて送給し、この油圧アクチュエータ
が発生する油圧力により舵取りを補助する構成となって
いる。なお前記油圧ポンプの駆動には、車両に搭載され
たエンジンを利用するのが合理的であり、油圧ポンプの
駆動軸とエンジンの出力軸とをVベルト等の伝動手段を
介して直結し、エンジンの駆動力の一部を油圧ポンプの
駆動に用いる構成が一般的に採用されている。
【0004】さて、自動車の舵取りは操向車輪に作用す
る路面反力に抗して行われるものであり、路面反力の大
小は車速の遅速及び操向角度の大小に対応する。従っ
て、動力舵取装置においては、低速走行時又は停止時に
大きく舵取りがなされた状態、所謂据え切り状態におい
て最大の操舵補助力を発生する必要があり、動作油圧の
発生源となる前記油圧ポンプの仕様は、据え切り状態で
の必要油圧及び必要油量を確保し得ることを基準として
決定されている。
【0005】ところが、前記油圧ポンプの駆動源となる
エンジンは、車速の高低に略対応する回転速度にて回転
しているため、前述の如く仕様決定された油圧ポンプ
は、大きい操舵補助力の発生を必要としない高速走行時
に多量の吐出油を発生することになる。この吐出油の大
部分は、油圧アクチュエータに送給されることなく油タ
ンクに還流せしめられる余剰油であり、この余剰油の昇
圧のための無為な動力負担により、前記エンジンの負荷
増大及びこれに伴う燃費低下を招来する難点があった。
【0006】特に近年においては、米国内での実施が検
討されているCAFE(Corporate Average Fuel Economy:
企業平均燃費)値による燃費規制等、自動車の燃費規制
は一層強化される傾向にあり、このような燃費規制に対
処するためにも、前述した無為な動力消費による燃費低
下の抑制が重要な課題となっている。
【0007】このような課題に対処すべく、実開昭63-1
39335 号公報、実開平2-132580号公報等においては、エ
ンジンと油圧ポンプとの間に、エンジン側の回転に伴う
遠心力の作用により係断動作をなす遠心クラッチを介装
した動力舵取装置が提案されている。この構成において
は、エンジンの回転速度が大なる場合、即ち高速走行中
においては、遠心クラッチが遮断状態となり、油圧ポン
プへの駆動力の伝達が行われず、エンジンの無為な動力
負担が軽減されて燃費低下が抑制される上、エンジンの
回転速度が小なる場合、即ち停止時及び低速走行時に
は、エンジンの駆動力は、係合状態にある前記遠心クラ
ッチを介して油圧ポンプに伝達され、該油圧ポンプから
の送給油圧により十分な操舵補助力が得られることとな
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、動力舵取装
置の油圧源となる前記油圧ポンプは、据え切り時に最大
の駆動力を必要とし、この最大駆動力を伝達可能な遠心
クラッチは、油圧ポンプの本体に比してかなり大型のも
のとなる難点があり、油圧ポンプ周辺の限定された空間
への配設が難しい場合が多く、前述した構成の動力舵取
装置は、その実現性に問題があった。
【0009】なお、前記実開昭63-139335 号公報におい
ては、大型の遠心クラッチの配設を可能とするため、油
圧ポンプの駆動軸をエンジンに連結するVプーリに遠心
クラッチを組み込むようにしてあり、また前記実開平2-
132580号公報においては、重錘に作用する遠心力をてこ
機構により増幅して利用し、遠心クラッチの小型化を図
っているが、これらの構成による小型化の効果はいずれ
も不十分である。
【0010】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、油圧源たる油圧ポンプとエンジンとを係断する
遠心クラッチの係断動作を油圧力により補助し、遠心ク
ラッチの大幅な小型化を図り、据え切り時における必要
油圧及び必要油量が確保できると共に、高速走行中にお
けるエンジンの無為な動力負担が軽減される動力舵取装
置を実現可能に提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る動力舵取装
置は、車両に搭載した油圧ポンプとエンジンとの間に、
該エンジンの回転速度が大なるときに遮断動作をなし、
小なるときに係合動作をなす遠心クラッチを備え、前記
油圧ポンプからの送給油圧により操舵補助力を発生する
ようになした動力舵取装置において、前記遠心クラッチ
に付設され、前記係合動作を補助する油圧力を発する補
助シリンダと、該補助シリンダの動作油圧として前記送
給油圧を導く導油路とを具備することを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明においては、エンジンの回転速度が大き
い高速走行時には、エンジンの高速回転に伴う遠心力の
作用により遠心クラッチが遮断されて、エンジンから油
圧ポンプへの駆動力伝達がなされず、エンジンの無為な
動力負担が軽減される。エンジンの回転速度が小さい停
止時又は低速走行時には、遠心クラッチが係合状態とな
り、更にこの状態で舵輪操作がなされた場合、油圧の送
給先である油圧アクチュエータへの送給油圧が高くな
り、遠心クラッチに並設した補助シリンダにこの送給油
圧が導入されて、該補助シリンダが発生する油圧力によ
り遠心クラッチの係合状態が強化される。
【0013】前記遠心クラッチは、舵輪操作が行われて
いない場合に必要とされる駆動力の伝達能力を有すれば
よく、小型のもので十分であり、据え切り時には、遠心
クラッチ単独での伝達能力の不足が、前記補助シリンダ
の発生力により強化され、エンジンから油圧ポンプへの
十分な駆動力の伝達が可能となる。
【0014】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図1は、本発明に係る動力舵取装置(以下
本発明装置という)のシステム構成を示すブロック図で
ある。動作油圧を発生するポンプ本体1は、遠心クラッ
チ2を介してエンジン3の出力端に連結してあり、遠心
クラッチ2の係合時にエンジン3から伝達される駆動力
により駆動される構成となっている。遠心クラッチ2に
は、これの係合動作を後述の如く発生する油圧力にて補
助する補助シリンダ4が付設してある。
【0015】遠心クラッチ2は、後述の如く、エンジン
3の回転速度が大きいとき、遠心力の作用により遮断動
作をなし、逆にエンジン3の回転速度が小さいとき係合
動作をなす構成となっており、ポンプ本体1は、エンジ
ン3の回転速度が所定速度を下回り、遠心クラッチ2が
係合状態にある場合にのみ、該遠心クラッチ2を介して
伝達されるエンジン3の駆動力により回転駆動される。
【0016】このように駆動されるポンプ本体1の吐出
油は、舵輪50と舵取機構60とを連結する舵輪軸51の中途
に構成された油圧制御弁5を経て、舵取機構60に操舵補
助力を加えるべく配された油圧アクチュエータ6に送給
されており、この送給油圧はまた、油圧制御弁5への送
給油路の中途を分岐してなる導油路7を介して前記補助
シリンダ4に導入されている。
【0017】油圧制御弁5は、舵輪50に加えられた操舵
トルクにより舵輪軸51に生じる捩れに応じて、ポンプ本
体1からの送給油圧を給排する動作をなし、この給排動
作に応じて油圧アクチュエータ6は、前記操舵トルクの
方向及び大きさに対応する油圧力(操舵補助力)を発し
て舵取機構60に加える。これにより、舵輪50の操作に応
じた力が舵取機構60に加えられ、該舵取機構60の動作、
即ち、車両の舵取り動作が補助される。
【0018】このとき補助シリンダ4は、ポンプ本体1
から導油路7を介して導入される油圧に応じた油圧力
(係合補助力)を発生し、この力を遠心クラッチ2に加
え、該遠心クラッチ2の係合状態を強化する動作をな
す。補助シリンダ4への導入油圧は、油圧制御弁5を経
て油圧アクチュエータ6に送給される油圧であり、これ
の高低は、油圧アクチュエータ6が発生する操舵補助力
の大小に対応する。一方、油圧アクチュエータ6が発生
する操舵補助力の大きさは、舵取機構60の末端にて路面
に接地する操向車輪61,61に作用する路面反力の大きさ
に対応し、路面反力の大小は、車速の遅速及び操向角度
の大小に夫々対応する。
【0019】即ち、遠心クラッチ2に並設した補助シリ
ンダ4は、ポンプ本体1からの送給油圧により、操向車
輪61,61に作用する路面反力に抗して油圧アクチュエー
タ6が発生する操舵補助力の増大に伴って、換言すれ
ば、ポンプ本体1に必要となる駆動力の増大に伴って増
大する係合補助力を発し、この係合補助力により遠心ク
ラッチ2の係合状態が強化されるから、遠心クラッチ2
自体が高い係合能力を有する必要がなく、該遠心クラッ
チ2の大幅な小型化が可能となる。
【0020】以上の如き構成の本発明装置においては、
エンジン3の回転速度が前記所定速度以上であり、遠心
クラッチ2が遮断状態にある高速走行時においては、ポ
ンプ本体1が回転駆動されず、ポンプ作用を行わないこ
とから、油圧アクチュエータ6は操舵補助力を発生しな
い。従って、舵輪50の操作に応じた舵取機構60の動作
は、油圧アクチュエータ6による補助なしに行われる
が、高速走行時には操向車輪61,61に作用する路面反力
が小さく、前述した舵取機構60の動作は問題なく行われ
る。そしてこの間、エンジン3の動力負担は零である。
【0021】一方、エンジン3の回転速度が前記所定速
度を下回った状態にある低速走行時又は停止時において
は、ポンプ本体1は、係合状態にある遠心クラッチ2を
介して伝達されるエンジン3の出力により駆動され、ポ
ンプ本体1の吐出油圧は、油圧制御弁5を介して油圧ア
クチュエータ6に送給されると共に、導油路7を介して
補助シリンダ4に送給される。この場合においても、舵
輪50の操作が行われず油圧アクチュエータ6による操舵
補助力の発生が不要であるときには、前記送給油圧は低
く、この送給油圧により補助シリンダ4が発生する係合
補助力が小さいため、遠心クラッチ2の係合状態は弱
く、エンジン3の動力負担は低レベルに保たれる。
【0022】一方、舵輪50の操作が行われたときには、
この操作に応じた油圧制御弁5の動作により、該油圧制
御弁5の上流側の油圧、即ち、補助シリンダ4への導入
油圧が高くなり、この導入油圧により補助シリンダ4が
発生する係合補助力により遠心クラッチ2の係合状態が
強化される。このときポンプ本体1は、強固な係合状態
にある遠心クラッチ2を介して伝達されるエンジン3の
出力により駆動されることとなり、該ポンプ本体1から
油圧制御弁5を介して送給される油圧により動作する油
圧アクチュエータ6は、大きい操舵補助力を余裕をもっ
て発生することができる。
【0023】以上の如き本発明装置は、ポンプ本体1、
遠心クラッチ2及び補助シリンダ4を一体的に備えた図
2に示すポンプ組立体により実現される。ポンプ本体1
は、公知のベーンポンプであり、複数枚のベーンを半径
方向への進退自在に備える円筒状のロータ10を偏肉環状
をなすカムリング11の内側に同軸的に遊嵌し、これらを
カムリング11の一側に同軸的に位置決めしたプレッシャ
プレート12と共にポンプハウジング14内に一体的に収納
した後、カムリング11の他側をエンドプレート13にて閉
塞して、カムリング11の内周とロータ10の外周との間に
複数のポンプ室を形成した構成となっている。
【0024】ロータ10の回転軸であるロータ軸15は、図
示の如く、エンドプレート13の中心位置に内嵌固定され
た軸受ブッシュとポンプハウジング14に内嵌固定された
玉軸受とにより軸長方向の2か所を夫々支承され、これ
らの支承位置間にてロータ10にスプライン結合してあ
る。而してポンプ本体1は、ロータ軸15の回転に伴って
カムリング11内にて同軸的に生じるロータ10の回転によ
り、ポンプハウジング14の外側に固設された吸込管16か
らエンドプレート13側の吸込油路17を経て前記ポンプ室
内に導入される油を昇圧して、プレッシャプレート12背
面側の圧力室18、及びこれに連通された弁室19を経て外
部に吐出する動作をなす。
【0025】ロータ軸15は、プレッシャプレート12側に
てポンプハウジング14を貫通し、外部に所定長突出させ
てあり、前記遠心クラッチ2及び補助シリンダ4は共
に、ロータ軸15が突出する側のポンプハウジング14の外
側面に同軸的に固設されたクラッチハウジング20の内部
に構成してある。図3は、遠心クラッチ2及び補助シリ
ンダ4の拡大断面図である。
【0026】図2に示す如く遠心クラッチ2の入力軸21
は、玉軸受22によりその中途部を支承されて、ロータ軸
15と同軸上にてクラッチハウジング20の内外に延設させ
てあり、クラッチハウジング20外側への延設端は、これ
に嵌着されたVプーリ23、及び該Vプーリ23に巻装され
た図示しないVベルトを介して前記エンジン3の出力軸
に連結されている。
【0027】一方、クラッチハウジング20内側への入力
軸21の延設端は、ポンプハウジング14からのロータ軸15
の突出端に突き合わせてあり、両軸15,21の突き合わせ
端部には、摩擦板24,25が夫々同軸的に外嵌されてい
る。厚肉円板状をなすロータ軸15側の摩擦板24は、ロー
タ軸15に対する軸長方向への移動及び回転を拘束してあ
るのに対し、小径円板状の基板に大径の薄肉円板を固定
した形状をなす入力軸21側の摩擦板25は、入力軸21に対
する回転のみを拘束され、軸長方向への移動が可能とな
っている。入力軸21の軸端には、ロータ軸15側への摩擦
板25の移動を制限する止め輪26が係着してあり、この止
め輪26に当接した位置にある摩擦板25は、その外周側に
て他方の摩擦板24に摺接するようになしてある。
【0028】摩擦板25の背面側(摩擦板24との対向面の
逆側)には、厚肉円板状をなす押圧板27が、クラッチハ
ウジング20の内周と入力軸21の外周との間に軸長方向へ
の摺動自在に嵌挿してあり、この押圧板27と前記摩擦板
25とは、両者間に介装された押圧ばね28のばね力によ
り、互いに離間する向きに押圧されている。
【0029】更に入力軸21には、押圧板27の背面側に所
定長離隔して駆動板29が嵌着してあり、この駆動板29
は、入力軸21に対する軸長方向への移動及び回転を共に
拘束されている。押圧板27及び駆動板29は、相対向する
側面の内周寄りの部分に、夫々に向けて縮径する態様を
なすテーパ面を備えており、これらのテーパ面間には錘
体30が配してある。
【0030】図4は錘体30の外観斜視図である。この錘
体30は、押圧板27及び駆動板29の前記テーパ面に整合す
る楔面31をその内周側に備えた円環を図示の如く周方向
に4分割し、これらを外周に巻装したガータスプリング
32により緊縛して相互に一体化せしめた構成となってお
り、図3に示す如く、駆動板29のテーパ面に打設した係
合ピン33を介して駆動板29に係合され、入力軸21と連動
回転するようになしてある。
【0031】このように構成された遠心クラッチ2にお
いては、入力軸21の回転速度、即ち該入力軸21にVプー
リ23を介して接続されたエンジン3の回転速度が小さ
く、錘体30に作用する遠心力が小さい場合、図3に示す
如く、ガータスプリング32のばね力Sにより半径方向内
向きに付勢された錘体30の楔面31が駆動板29及び押圧板
27のテーパ面に押し付けられ、これに伴う楔作用により
押圧板27は、軸長方向の移動を入力軸21に拘束された駆
動板29から離反する向きに押圧されて摩擦板25に押し付
けられ、この摩擦板25を対向する摩擦板24に押し付ける
作用をなし、このとき両摩擦板24,25間に生じる摩擦力
により、前者が嵌着されたロータ軸15と後者が嵌着され
た入力軸21とが係合し、ポンプ本体1のロータ10にエン
ジン3の駆動力が伝達される。
【0032】一方、エンジン3の回転速度が大きい場
合、入力軸21と連動回転する錘体30に大なる遠心力Fが
作用するようになり、該錘体30は図5に示す如く、ガー
タスプリング32の伸長を伴って半径方向外向きに拡張
し、内側の楔面31が駆動板29及び押圧板27のテーパ面か
ら離隔する。これにより押圧板27及びこれに接触する摩
擦板25の軸長方向の拘束がなくなり、押圧ばね28のばね
力により押圧板27と摩擦板25とが離反し、該摩擦板25と
摩擦板24との接触状態が解除されて入力軸21とロータ軸
15との係合が遮断される。
【0033】而して、遠心クラッチ2の以上の動作によ
り、ロータ軸15と入力軸21とは、入力軸21の回転速度、
即ちエンジン3の回転速度が小なる場合に係合され、大
なる場合には遮断されることとなり、ロータ軸15に連動
するロータ10の回転、及びこれに伴うポンプ本体1のポ
ンプ作用は、エンジン3の回転速度が所定速度を下回っ
た場合にのみ行われる。なお、以上の如き遠心クラッチ
2の係断動作は、前記錘体30に作用する遠心力Fと、該
錘体30を緊縛するガータスプリング32のばね力Sとのバ
ランスにより生じるものであり、ロータ軸15への十分な
駆動力伝達を保証するだけの大きい係合力は得られな
い。
【0034】前記補助シリンダ4は、以上の如き遠心ク
ラッチ2の係合力の不足を必要時にのみ補助する動作を
なすものであり、図3に示す如く、押圧板27とクラッチ
ハウジング20の内周との間に押圧板27の外周に巻着され
たシールリング41を、また押圧板27と入力軸21の外周と
の間を入力軸21の外周に巻着されたOリング42を、更に
クラッチハウジング20と入力軸21との間にオイルシール
43を夫々介装して、これらのシール作用により液密に封
止された導圧室40を押圧板27の背面側に形成してなる。
【0035】この導圧室40は、図2に示す如く、クラッ
チハウジング20の周壁を貫通する導油孔70と、該導油孔
70に連通する態様にてポンプハウジング14に穿設された
導油孔71とにより、ポンプ本体1吐出側の前記弁室19に
連通させてある。即ち導圧室40には、ポンプ本体1から
油圧制御弁5及び油圧アクチュエータ6に送給される油
圧が、導油孔70,71からなる導油路7を介して導入され
ることになり、図6に示す如くこの油圧Pは、押圧板27
及びこれと一体化された摩擦板25を、摩擦板24に向け
て、即ち遠心クラッチ2の係合時における前記錘体30に
よる押圧方向と同方向に押圧する。
【0036】このように導圧室40と押圧板27とからなる
補助シリンダ4は、ポンプ本体1からの送給油圧Pによ
り押圧板27と共に摩擦板25を押圧し、対向する摩擦板24
に押し付ける作用をなし、両板24,25間の摩擦により生
じる遠心クラッチ2の係合が強化される。なお、前述し
た如くポンプ本体1からの送給油圧Pは、送給先である
油圧アクチュエータ6が発生する操舵補助力の増大に伴
って増大し、これに伴って遠心クラッチ2の係合状態が
強化されるから、ポンプ本体1は、エンジン3から伝達
される十分な駆動力により駆動され、大きい操舵補助力
を発生するために必要な高い送給油圧Pを安定して発生
し得る。
【0037】一方、遠心クラッチ2が係合状態にある場
合であっても、舵輪50の操作が行われていないときに
は、ポンプ本体1からの送給油圧P自体が低く、補助シ
リンダ4の発生力が小さいから、遠心クラッチ2の係合
状態は弱く、エンジン3の動力負担は小さい。また遠心
クラッチ2が遮断状態にある場合には、補助シリンダ4
の発生力も零であり、入力軸21とロータ軸15とが完全に
遮断される結果、エンジン3の動力負担もまた零とな
る。
【0038】なお押圧板27のテーパ面には、これを厚さ
方向に貫通する油抜き孔 27aが形成してあり、この油抜
き孔 27aは、エンジン3の回転速度が大きくなり、遠心
力Fの作用により錘体30が浮動したとき導圧室40内に開
口し、該導圧室40内の残圧を開放する作用をなす。即
ち、エンジン3の回転速度の増大に伴って遠心クラッチ
2が図3に示す遮断状態に移行した場合、導圧室40の内
圧も速やかに零となり、補助シリンダ4の発生力のみに
よる係合状態が継続する虞はない。
【0039】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明装置において
は、操舵補助用の油圧アクチュエータへの送給油圧を発
生する油圧ポンプの駆動軸と、車両に搭載したエンジン
の出力端との間に介装され、エンジンの回転速度に応じ
て係断動作をなす遠心クラッチの係合動作が、これに並
設された補助シリンダの発生力により補助されるから、
遠心クラッチ自体の係合能力は低くくてよく、遠心クラ
ッチ及びこれに付設された補助シリンダを、実施例中に
示す如く、ポンプ本体の一側にコンパクトに構成でき、
従来に比して大幅な小型化が達成されてポンプ本体周辺
の限定された空間に容易に配設できると共に、補助シリ
ンダによる係合状態の強化は、前記油圧アクチュエータ
での必要に応じて行われるから、エンジンに無為な動力
負担を強いる虞がなく、燃費の向上に寄与し得る等、本
発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置のシステム構成を示すブロック図で
ある。
【図2】本発明装置の実現に用いるポンプ組立体の側断
面図である。
【図3】本発明装置の特徴部分である遠心クラッチ及び
補助シリンダの拡大断面図である。
【図4】本発明装置における遠心クラッチに用いる錘体
の外観斜視図である。
【図5】遠心クラッチ及び補助シリンダの動作説明図で
ある。
【図6】遠心クラッチ及び補助シリンダの動作説明図で
ある。
【符号の説明】
1 ポンプ本体 2 遠心クラッチ 3 エンジン 4 補助シリンダ 5 油圧制御弁 6 油圧アクチュエータ 7 導油路 10 ロータ 15 ロータ軸 21 入力軸 24 摩擦板 25 摩擦板 27 押圧板 30 錘体 32 ガータスプリング 40 導圧室

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 車両に搭載した油圧ポンプとエンジンと
    の間に、該エンジンの回転速度が大なるときに遮断動作
    をなし、小なるときに係合動作をなす遠心クラッチを備
    え、前記油圧ポンプからの送給油圧により操舵補助力を
    発生するようになした動力舵取装置において、前記遠心
    クラッチに付設され、前記係合動作を補助する油圧力を
    発する補助シリンダと、該補助シリンダの動作油圧とし
    て前記送給油圧を導く導油路とを具備することを特徴と
    する動力舵取装置。
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