JP2562881B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達装置

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JP2562881B2 JP61210005A JP21000586A JP2562881B2 JP 2562881 B2 JP2562881 B2 JP 2562881B2 JP 61210005 A JP61210005 A JP 61210005A JP 21000586 A JP21000586 A JP 21000586A JP 2562881 B2 JP2562881 B2 JP 2562881B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は入力軸から出力軸へ任意のトルク配分を行う
ことができる動力伝達装置、特に4輪駆動車のトランス
ファ装置や差動制限装置として好適な動力伝達装置に関
するものである。
従来技術とその問題点 従来、4輪駆動車において、入力軸と出力軸との相対
回転速度に応じて自動的にトルク伝達を行うトランスフ
ァ装置が特開昭60−252026号公報にて公知である。この
トランスファ装置は、前輪を駆動する第1回転軸と後輪
を駆動する第2回転軸との相対回転速度によって駆動さ
れるオイルポンプと、第1回転軸と第2回転軸との間に
介装されたクラッチと、上記オイルポンプの吐出圧をク
ラッチの係合方向側油室に導く油路とを有しており、オ
イルポンプの吐出圧の一部はオリフィスを介してドレン
されている。したがって、オイルポンプの吐出圧はオリ
フィスのために相対回転速度の2乗に比例した特性とな
る。
しかしながら、上記の場合には伝達トルク−相対回転
速度特性がオリフィスによって一様に決定されているた
め、自由なトルク配分を行うことができず、次のような
不具合が発生する。例えば、高速走行時には完全な2輪
駆動状態に固定することが効率向上のために好ましい
が、上記の場合には前後輪の分担荷重のアンバランスな
どによって僅かでも相対回転速度差があると、オイルポ
ンプが駆動され、効率が低下することになる。また、全
領域を4輪駆動状態で走行したい時でも、上記の場合に
はスリップなどにより相対回転速度差が生じないと4輪
駆動状態とならず、運転者の意思に対応できない。
発明の目的 本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、
その目的は、入力軸と出力軸間のトルク配分を任意に制
御できる動力伝達装置を提供することにある。
発明の構成 上記目的を達成するために、本発明は、入力軸と出力
軸との間に設けられた動力断続用クラッチと、入力軸と
固定部材との間に設けられたオイルポンプと、入力軸と
オイルポンプとの間、またはオイルポンプと固定部材と
の間に設けられ、オイルポンプの作動を制御するオイル
ポンプ作動用クラッチと、オイルポンプ作動用クラッチ
の係合方向側油室の油圧を制御するアクチュエータと、
オイルポンプを作動させるための初期伝達トルクをオイ
ルポンプ作動用クラッチに付与する手段と、を具備し、
上記オイルポンプの吐出油圧は動力断続用クラッチの係
合方向側油室とオイルポンプ作動用クラッチの係合方向
側油室とに供給され、上記アクチュエータによってオイ
ルポンプ作動用クラッチの係合方向側油室の油圧を制御
することにより、オイルポンプの作動が制御され、オイ
ルポンプの吐出油圧により動力断続用クラッチの係合方
向側油室の油圧が制御されることを特徴とするものであ
る。
実施例の説明 第1図,第2図は本発明をFFベースの4輪駆動車のト
ランスファ装置に適用した一例を示す。第2図におい
て、横置きエンジン1の側部には変速機2が連結され、
この変速機2の出力ギヤ3は前輪4を駆動するための差
動装置5のリングギヤ6に噛み合っている。また、上記
リングギヤ6は中間ギヤ7を介して中間軸8の一端に設
けたギヤ9に噛み合い、さらに中間軸8の他端に設けた
ベベルギヤ10は本発明にかかる動力伝達装置Aの入力軸
11の先端に設けたベベルギヤ12と噛み合っている。動力
伝達装置Aの出力軸13の後端に設けたベベルギヤ14は、
後輪15を駆動する差動装置16のリングギヤ17に噛み合っ
ている。
動力伝達装置Aは第1図に示す構造を有し、入力軸11
及び出力軸13は固定ケース20,21により軸受22,23,24を
介して回転支持されている。上記ケース20の右側面には
ボルト25によって固定側オイルポンプボデー26が固定さ
れ、この固定側オイルポンプボデー26の左側面にはプレ
ート27を挟んでポンプハウジング28がボルト29によって
固定されている。
上記固定側オイルポンプボデー26の内側には、第3図
に示すように入力軸11と同心状の円形凹部26aが形成さ
れており、この凹部26aに可動側オイルポンプボデー30
の外周面が回転自在に嵌合している。可動側オイルポン
プボデー30の内周には入力軸11に対して偏心した凹部30
aが形成されており、この偏心凹部30aに内歯ギヤ33の外
周面が回転自在に嵌合している。内歯ギヤ33とこのギヤ
33とかみ合う外歯ギヤ32とでオイルポンプ31を構成して
いる。上記オイルポンプ31はトロコイド型オイルポンプ
であり、外歯ギヤ32は入力軸11と一体回転するスリーブ
34にスプライン嵌合している。可動側オイルポンプボデ
ー30にはオイルポンプ31の吸込口35と吐出口36とが形成
されており、ケース20,21の底部に溜ったオイルは固定
側オイルポンプボデー26の下部に固定されたストレーナ
37から固定側オイルポンプボデー26の内部を通って上記
吸込口35へと送られ、吐出口36から吐出されたオイルは
可動側オイルポンプボデー30とスリーブ34の隙間へと送
られる。
上記吐出口36から吐出されたオイルは、オリフィス38
を介して固定側オイルポンプボデー26の内部に形成され
たオイルポンプ作動用クラッチ40の係合方向側油室41
と、入力軸11と出力軸13との間に設けられた動力断続用
クラッチ50の係合方向側油室51と、オリフィス39を介し
て入力軸11の軸心部に形成した潤滑油路60とに供給され
ている。
上記オイルポンプ作動用クラッチ40の係合方向側油室
41には、固定側オイルポンプボデー26に対して軸方向に
のみ移動自在なピストン42と、ピストン42を可動側オイ
ルポンプボデー30側へ付勢するスプリング43とが収容さ
れており、このスプリング43により最低クラッチ伝達ト
ルクが付与されている。スプリング43のばね荷重と係合
方向側油室41の油圧によりピストン42が可動側オイルポ
ンプボデー30の側面に圧着し、可動側オイルポンプボデ
ー30の固定側オイルポンプボデー26に対する相対回転速
度を制御できるようになっている。また、上記係合方向
側油室41の下部にはドレン用の開口44が形成され、この
開口44から漏れ出るオイルをアクチュエータの一例であ
る電磁弁45で制御し、上記係合方向側油室41の油圧を制
御している。電磁弁45は入力ポートとドレンポートとを
有する2ポート式電磁弁であり、この電磁弁45には図示
しない制御装置から制御信号が入力される。この制御信
号は単なるON/OFF信号の他、デューテイ制御信号を入力
してもよく、特にデューテイ制御信号を入力した場合に
はデューテイ比にほぼ比例して係合方向側油室41の油圧
を制御することができるので、オイルポンプ作動用クラ
ッチ40の係合力を微細制御することが可能である。な
お、電磁弁45から排出されたオイルはケース20,21の底
部に溜められる。
動力断続用クラッチ50は、入力軸11の後端部にスプラ
イン嵌合したクラッチドラム52と、クラッチドラム52の
内部に配置されたピストン53と、出力軸13の先端部に一
体形成されたクラッチハブ54と、クラッチドラム52とク
ラッチハブ54との間に配置されたクラッチ板55,56とで
構成されており、上記係合方向側油室51に油圧を導くこ
とによりピストン53を作動させ、クラッチ板55,56を圧
着させて入力軸11と出力軸13とを連結することができ
る。なお、上記クラッチドラム52はナット57によって入
力軸11に締付固定されており、この締付力によって上記
スリーブ34も同時に入力軸11に固定されている。
入力軸11の軸心部に形成した潤滑油路60に導かれたオ
イルは、ニードルベアリング61を介して上記クラッチ板
55,56の内側へ供給され、遠心力によりクラッチ板55,56
を潤滑している。クラッチ板55,56を潤滑した後のオイ
ルは、遠心力により飛散した後ケース21の底部に溜り、
再びストレーナ37を介してオイルポンプ31の吸込口35へ
吸い込まれる。
上記構造の動力伝達装置Aにおいて、いま電磁弁45を
OFF(全開)とし、オイルポンプ作動用クラッチ40の係
合方向側油室41の油圧を全てドレンさせた場合には、ピ
ストン42は可動側オイルポンプボデー30の側面にスプリ
ング43のばね力のみで緩く圧接しているに過ぎないの
で、オイルポンプ31が入力軸11により駆動されると、可
動側オイルポンプボデー30もオイルポンプ31の駆動抵抗
により入力軸11と追随回転する。そのため、オイルポン
プ31の吐出圧はほぼ零であり、動力断続用クラッチ50の
係合方向側油室51の油圧もほぼ零となり、入力軸11から
出力軸13へは殆どトルクが伝達されない。したがって、
高速走行時のような場合には電磁弁45を全開とするのみ
で完全な2輪駆動状態を得ることができ、しかも2輪駆
動状態においてオイルポンプ31の吐出圧がほぼ零である
ため、吐出損失を低減して効率向上を実現できる。
一方、電磁弁45をON(全閉)とすると、オイルポンプ
31の吐出圧がそのままオイルポンプ作動用クラッチ40の
係合方向側油室41に導かれるので、係合方向側油室41の
油圧は徐々に上昇し、ピストン42は可動側オイルポンプ
ボデー30に強く圧着し、可動側オイルポンプボデー30を
固定する。そのため、オイルポンプ31の吐出圧は入力軸
11の回転速度に応じて上昇し、この吐出圧は動力断続用
クラッチ50の係合方向側油室51に導かれ、クラッチ50を
強く係合させる。その結果、入力軸11と出力軸13とが直
結され、全領域において4輪駆動が可能となる。
電磁弁45は上記のような全開又は全閉の他、ON/OFF制
御又はデューテイ制御により任意の開度に調整できるの
で、オイルポンプ31の作動状態を自由に制御できる。し
たがって、入力軸11から出力軸13へのトルク配分を任意
に制御でき、かつその特性も任意である。なお、電磁弁
45の制御因子としては、操舵角、油温、前後輪の分担荷
重、ブレーキ信号、運転者の指令信号などが考えられ
る。
他の実施例 第4図は本発明の第2実施例を示し、上記第1実施例
と同一部品には同一符号を付してある。この実施例は、
オイルポンプ31の駆動部材である外歯ギヤ32がオイルポ
ンプ作動用クラッチ40を介して入力軸11と接続されてお
り、オイルポンプボデー70は固定側オイルポンプボデー
のみである点で第1実施例と異なる。オイルポンプ31の
吐出圧は第1実施例と同様に、1つはオリフィス38を介
してオイルポンプ作動用クラッチ40の係合方向側油室41
と電磁弁45とに導かれ、他の1つはオリフィスを介さず
に動力断続用クラッチ50の係合方向側油室51に導かれ、
さらに他の1つはオリフィス39を介して潤滑用に使用さ
れている。
この場合も、電磁弁45が全開状態ではオイルポンプ作
動用クラッチ40はスプリング43の力で緩く係合してお
り、入力軸11の回転につれて僅かにオイルポンプ31が駆
動され、低い吐出圧を発生するが、その吐出圧は電磁弁
45が全開のためオイルポンプ作動用クラッチ40の係合方
向側油室41へは導かれない。したがって、オイルポンプ
31の吐出圧は入力軸11の回転数が上昇しても低いままと
なり、動力断続用クラッチ50は殆ど係合せず、ほぼ完全
な2輪駆動状態となる。
また、電磁弁45が全閉となると、最初はオイルポンプ
31は入力軸11の回転につれて僅かに駆動されるが、その
吐出圧は電磁弁45が全閉のためオイルポンプ作動用クラ
ッチ40の係合方向側油室41に導かれる。係合方向側油室
41の油圧が徐々に高くなると、それに伴ってオイルポン
プ31の回転数も上昇し、その結果、オイルポンプ作動用
クラッチ40の係合力はさらに増大し、オイルポンプ31の
回転数も上昇して吐出圧はさらに上昇する。やがて、オ
イルポンプ作動用クラッチ40が完全係合状態となると、
オイルポンプ31は入力軸11と一体的に駆動され、吐出圧
は動力断続用クラッチ50の係合方向側油室51にそのまま
導かれるため、動力断続用クラッチ50は完全係合状態と
なり、全領域4輪駆動状態となる。
なお、電磁弁45の開度を調節することにより、入力軸
11から出力軸13へのトルク配分を自在に制御できること
は勿論である。
本発明において、アクチュエータとしては電磁弁に限
らず、例えば手動操作にて開度調整可能な手動弁や、ス
テッパモータにより開度調整可能な電動弁でもよい。ま
た、オイルポンプも実施例のようなトロコイド型オイル
ポンプに限らず、内接ギヤ式オイルポンプ、ベーンポン
プなど他のオイルポンプも使用できる。
発明の効果 以上の説明で明らかなように、本発明によれば入力軸
と出力軸との間に設けられた動力断続用クラッチと、入
力軸によって駆動されるオイルポンプと、オイルポンプ
の作動,非作動を制御するオイルポンプ作動用クラッチ
とを具備し、上記オイルポンプの吐出油圧は動力断続用
クラッチとオイルポンプ作動用クラッチとの係合方向側
油室に導かれ、かつオイルポンプ作動用クラッチの係合
方向側油室の油圧はアクチュエータによって制御される
ようにしたので、オイルポンプ作動用クラッチによりオ
イルポンプの吐出油圧を自在に制御でき、入力軸から出
力軸へのトルク配分を自在に制御できる。
したがって、本発明の動力伝達装置を4輪駆動車のト
ランファ装置に適用した場合、高速走行時のように2輪
駆動状態にしたい時には、アクチュエータによってオイ
ルポンプ作動用クラッチを遮断状態とし、オイルポンプ
を非作動状態とすることにより、オイルポンプはほとん
ど吐出油圧を発生せず、2輪駆動状態として効率向上を
実現できる。また、4輪駆動状態としたい時には、アク
チュエータによってオイルポンプ作動用クラッチを完全
係合状態とし、オイルポンプを作動状態とすれば、入力
軸と出力軸との相対回転速度の如何を問わず、全領域4
輪駆動状態とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる動力伝達装置の第1実施例の断
面図、第2図はこの動力伝達装置を4輪駆動車に適用し
た一例の概略図、第3図は第1図のIII−III線断面図、
第4図は動力伝達装置の第2実施例の概略図である。 A……動力伝達装置、11……入力軸、13……出力軸、26
……固定側オイルポンプボデー、30……可動側オイルポ
ンプボデー、31……オイルポンプ、40……オイルポンプ
作動用クラッチ、41……係合方向側油室、43……スプリ
ング、45……電磁弁、50……動力断続用クラッチ、51…
…係合方向側油室。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力軸と出力軸との間に設けられた動力断
    続用クラッチと、入力軸と固定部材との間に設けられた
    オイルポンプと、入力軸とオイルポンプとの間、または
    オイルポンプと固定部材との間に設けられ、オイルポン
    プの作動を制御するオイルポンプ作動用クラッチと、オ
    イルポンプ作動用クラッチの係合方向側油室の油圧を制
    御するアクチュエータと、オイルポンプを作動させるた
    めの初期伝達トルクをオイルポンプ作動用クラッチに付
    与する手段と、を具備し、 上記オイルポンプの吐出油圧は動力断続用クラッチの係
    合方向側油室とオイルポンプ作動用クラッチの係合方向
    側油室とに供給され、 上記アクチュエータによってオイルポンプ作動用クラッ
    チの係合方向側油室の油圧を制御することにより、オイ
    ルポンプの作動が制御され、オイルポンプの吐出油圧に
    より動力断続用クラッチの係合方向側油室の油圧が制御
    されることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 【請求項2】上記オイルポンプはトロコイド型オイルポ
    ンプであり、固定部材に固定され、入力軸と同心状の円
    形凹部を有する固定側オイルポンプボデーと、外周面が
    固定側オイルポンプボデーの円形凹部に回転自在に嵌合
    し、内周に入力軸に対して偏心した凹部を有する可動側
    オイルポンプボデーと、外周面が可動側オイルポンプボ
    デーの偏心凹部に回転自在に嵌合する内歯ギヤと、内歯
    ギヤとかみ合い、入力軸と一体回転する外歯ギヤとを有
    し、上記オイルポンプ作動用クラッチは可動側オイルポ
    ンプボデーと固定側オイルポンプボデーとの間を断続す
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の動力伝
    達装置。
  3. 【請求項3】上記アクチュエータは電磁弁であることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項または第2項に記載の
    動力伝達装置。
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