JPH0585727A - セラミツク原料微粉の製造方法 - Google Patents
セラミツク原料微粉の製造方法Info
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- JPH0585727A JPH0585727A JP3276589A JP27658991A JPH0585727A JP H0585727 A JPH0585727 A JP H0585727A JP 3276589 A JP3276589 A JP 3276589A JP 27658991 A JP27658991 A JP 27658991A JP H0585727 A JPH0585727 A JP H0585727A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 反応工程で、生成物(沈殿)の再溶解、析出
による粒成長を防止し、粒度分布のばらつきや構成比の
ずれをなくして、目標とする構成比を有するセラミック
原料微粉を得る。 【構成】 所定の金属元素の水酸化物と、前記水酸化物
1モルに対して、NaOH,KOH,LiOH,NH4
OH及びアミンからなる群から選ばれる1種または2種
以上の混合物1〜4モルを含有する60〜95℃の第1
溶液1aと、所定の金属元素の複合アルコキシドを含有
する第2溶液2aとを、それぞれ別経路から静止型ライ
ンミキサ3に送り込み、静止型ラインミキサ3において
第1溶液1aと第2溶液2aとを均一に混合して反応さ
せる。
による粒成長を防止し、粒度分布のばらつきや構成比の
ずれをなくして、目標とする構成比を有するセラミック
原料微粉を得る。 【構成】 所定の金属元素の水酸化物と、前記水酸化物
1モルに対して、NaOH,KOH,LiOH,NH4
OH及びアミンからなる群から選ばれる1種または2種
以上の混合物1〜4モルを含有する60〜95℃の第1
溶液1aと、所定の金属元素の複合アルコキシドを含有
する第2溶液2aとを、それぞれ別経路から静止型ライ
ンミキサ3に送り込み、静止型ラインミキサ3において
第1溶液1aと第2溶液2aとを均一に混合して反応さ
せる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、セラミック原料の製
造方法に関し、詳しくは、微細で比表面積が大きく、か
つ、粒度分布の狭い電子セラミック原料用の微粉(セラ
ミック原料微粉)を製造する方法に関する。
造方法に関し、詳しくは、微細で比表面積が大きく、か
つ、粒度分布の狭い電子セラミック原料用の微粉(セラ
ミック原料微粉)を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子セラミック用の原料微粉の製
造方法としては、例えば、本願発明の発明者らが提案し
た湿式合成法がある(特開昭59−128263号公
報)。このセラミック原料の製造方法は、第1の槽に
おいて、構成元素として少なくともBa,Sr,Ca,
Mgの1種類を含む硝酸塩あるいは塩化物の水溶液に炭
酸ガスまたは、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなど
の可溶性炭酸塩水溶液を加えて、pHを7〜10に調整
し、構成元素を炭酸塩として沈殿させ、第2の槽におい
て、構成元素として少なくとも、Ti,Zr,Sn,P
bの1種を含む硝酸塩または塩化物の水溶液に、NaO
H,NH4OHなどの苛性アルカリを加えてpHを7〜
10に調整し、構成元素を水酸化物として沈殿させる第
1の工程と、第1の工程で得られた各沈殿を含むスラ
リーを混合し、濾過、水洗、乾燥を行う第2の工程と、
得られた混合沈殿粉体を仮焼、粉砕する第3の工程と
から構成されている。
造方法としては、例えば、本願発明の発明者らが提案し
た湿式合成法がある(特開昭59−128263号公
報)。このセラミック原料の製造方法は、第1の槽に
おいて、構成元素として少なくともBa,Sr,Ca,
Mgの1種類を含む硝酸塩あるいは塩化物の水溶液に炭
酸ガスまたは、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなど
の可溶性炭酸塩水溶液を加えて、pHを7〜10に調整
し、構成元素を炭酸塩として沈殿させ、第2の槽におい
て、構成元素として少なくとも、Ti,Zr,Sn,P
bの1種を含む硝酸塩または塩化物の水溶液に、NaO
H,NH4OHなどの苛性アルカリを加えてpHを7〜
10に調整し、構成元素を水酸化物として沈殿させる第
1の工程と、第1の工程で得られた各沈殿を含むスラ
リーを混合し、濾過、水洗、乾燥を行う第2の工程と、
得られた混合沈殿粉体を仮焼、粉砕する第3の工程と
から構成されている。
【0003】また、この他にも、従来の湿式合成法とし
て、特開昭59−195574号公報、特開昭59−1
95576号公報に記載された湿式合成法がある。そし
て、これら2つの方法のいずれもが、例えば、Baにつ
いてみると、Baの塩化物の溶液に炭酸ナトリウムなど
の沈殿剤を含む溶液を加えてpHを7〜10に調整し、
炭酸塩として構成元素を沈殿させる工程を含んでいる。
て、特開昭59−195574号公報、特開昭59−1
95576号公報に記載された湿式合成法がある。そし
て、これら2つの方法のいずれもが、例えば、Baにつ
いてみると、Baの塩化物の溶液に炭酸ナトリウムなど
の沈殿剤を含む溶液を加えてpHを7〜10に調整し、
炭酸塩として構成元素を沈殿させる工程を含んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の湿式合成法
は、いずれも、セラミック原料の構成成分を含む溶液に
沈殿剤を含む溶液を添加する工程を備えているが、沈殿
剤を含む溶液の体積は、セラミック原料の構成成分を含
む溶液の体積に対して小さく、沈殿剤を含む溶液をセラ
ミック原料の構成成分を含む溶液に添加する場合、両者
を、速やかに均一に混合することは困難であり、その分
散状態にかたよりが生じる。その結果、セラミック原料
の構成成分を含む溶液のpH値が高い部分と、あまり高
くない部分が生じ、沈殿の生成状態にばらつきが生じ
る。
は、いずれも、セラミック原料の構成成分を含む溶液に
沈殿剤を含む溶液を添加する工程を備えているが、沈殿
剤を含む溶液の体積は、セラミック原料の構成成分を含
む溶液の体積に対して小さく、沈殿剤を含む溶液をセラ
ミック原料の構成成分を含む溶液に添加する場合、両者
を、速やかに均一に混合することは困難であり、その分
散状態にかたよりが生じる。その結果、セラミック原料
の構成成分を含む溶液のpH値が高い部分と、あまり高
くない部分が生じ、沈殿の生成状態にばらつきが生じ
る。
【0005】また、従来の方法においては、沈殿剤を含
む溶液を大量のセラミック原料の構成成分を含む溶液に
徐々に添加してゆくため、沈殿剤を含む溶液を添加する
にしたがってpH値が徐々に変化する。したがって、反
応工程において、時系列的に、前駆体−中間生成物−セ
ラミック化合物と、各生成物が順次生成してゆくが、沈
殿剤を含む溶液を添加しはじめた初期の段階のセラミッ
ク化合物と、沈殿剤を含む溶液を相当に添加した後の段
階のセラミック化合物とでは、粉体特性が異なり、均一
なセラミック原料微粉を得ることができないという問題
点がある。
む溶液を大量のセラミック原料の構成成分を含む溶液に
徐々に添加してゆくため、沈殿剤を含む溶液を添加する
にしたがってpH値が徐々に変化する。したがって、反
応工程において、時系列的に、前駆体−中間生成物−セ
ラミック化合物と、各生成物が順次生成してゆくが、沈
殿剤を含む溶液を添加しはじめた初期の段階のセラミッ
ク化合物と、沈殿剤を含む溶液を相当に添加した後の段
階のセラミック化合物とでは、粉体特性が異なり、均一
なセラミック原料微粉を得ることができないという問題
点がある。
【0006】さらに、沈殿剤を含む溶液をセラミック原
料の構成成分を含む溶液に添加した段階で、混合状態が
不均一になり、各生成物(沈殿)が安定に存在するpH
の範囲を外れると、沈殿の再溶解や、構成比のずれ(目
的とする構成比(組成)と異なる構成比になること)が
生じ、良好なセラミック原料微粉が得ることができない
という問題点がある。
料の構成成分を含む溶液に添加した段階で、混合状態が
不均一になり、各生成物(沈殿)が安定に存在するpH
の範囲を外れると、沈殿の再溶解や、構成比のずれ(目
的とする構成比(組成)と異なる構成比になること)が
生じ、良好なセラミック原料微粉が得ることができない
という問題点がある。
【0007】本願発明は、上記従来のセラミック原料微
粉の製造方法の問題点を解決するものであり、反応工程
で、生成物(沈殿)の再溶解や、構成比のずれを生じる
ことがなく、目標とする構成比を有するセラミック原料
微粉を得ることが可能なセラミック原料微粉の製造方法
を提供することを目的とする。
粉の製造方法の問題点を解決するものであり、反応工程
で、生成物(沈殿)の再溶解や、構成比のずれを生じる
ことがなく、目標とする構成比を有するセラミック原料
微粉を得ることが可能なセラミック原料微粉の製造方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願第1の発明のセラミック原料微粉の製造方法
は、一般式ABO3(但し、AはBa,Sr,Mg,C
a等の2価のアルカリ土類金属からなる群から選ばれる
少なくとも一種であり、BはTi,Zr,Sn等の4価
金属元素からなる群から選ばれる少なくとも一種であ
る)で示される複合ペロブスカイト化合物からなるセラ
ミック原料微粉の製造方法であって、Aを構成する金属
元素の水酸化物と、前記水酸化物1モルに対して、Na
OH,KOH,LiOH,NH4OH及びアミンからな
る群から選ばれる1種または2種以上の混合物1〜4モ
ルを含有する液温60〜95℃の第1溶液と、Bを構成
する金属元素の複合アルコキシドを含有する第2溶液と
を、それぞれ別経路からAとBのモル比が1対1になる
ように、流体の通路となる筒状部に設けたひねり羽根な
どの流動制御部材により流体の流れを制御して通過流体
を混合させる静止型ラインミキサに送り込み、前記静止
型ラインミキサにおいて両者を均一に混合して反応させ
ることにより、所定の組成を有するセラミック原料微粉
を沈殿析出させることを特徴とする。
に、本願第1の発明のセラミック原料微粉の製造方法
は、一般式ABO3(但し、AはBa,Sr,Mg,C
a等の2価のアルカリ土類金属からなる群から選ばれる
少なくとも一種であり、BはTi,Zr,Sn等の4価
金属元素からなる群から選ばれる少なくとも一種であ
る)で示される複合ペロブスカイト化合物からなるセラ
ミック原料微粉の製造方法であって、Aを構成する金属
元素の水酸化物と、前記水酸化物1モルに対して、Na
OH,KOH,LiOH,NH4OH及びアミンからな
る群から選ばれる1種または2種以上の混合物1〜4モ
ルを含有する液温60〜95℃の第1溶液と、Bを構成
する金属元素の複合アルコキシドを含有する第2溶液と
を、それぞれ別経路からAとBのモル比が1対1になる
ように、流体の通路となる筒状部に設けたひねり羽根な
どの流動制御部材により流体の流れを制御して通過流体
を混合させる静止型ラインミキサに送り込み、前記静止
型ラインミキサにおいて両者を均一に混合して反応させ
ることにより、所定の組成を有するセラミック原料微粉
を沈殿析出させることを特徴とする。
【0009】また、本願第2の発明のセラミック原料微
粉の製造方法は、一般式ABO3(但し、AはBa,S
r,Mg,Ca等の2価のアルカリ土類金属からなる群
から選ばれる少なくとも一種であり、BはTi,Zr,
Sn等の4価金属元素からなる群から選ばれる少なくと
も一種である)で示される複合ペロブスカイト化合物か
らなるセラミック原料微粉の製造方法であって、上記本
願第1の発明の第1溶液と第2溶液とを、それぞれ別経
路からAとBのモル比が1対1になるように、第1段目
の静止型ラインミキサに送り込み、第1段目の前記静止
型ラインミキサにおいて両者を均一に混合して第1次反
応を行わせた後、引続き、第1次反応により生成した複
合ペロブスカイト化合物の沈殿を含むスラリーと、温度
係数を向上させるのに必要な金属元素の複合アルコキシ
ドなどの成分を含有する第3溶液とを、第2段目の静止
型ラインミキサに送り込み、均一に混合して第2次反応
を行わせることにより、所定の組成を有するセラミック
原料微粉を沈殿析出させることを特徴としている。
粉の製造方法は、一般式ABO3(但し、AはBa,S
r,Mg,Ca等の2価のアルカリ土類金属からなる群
から選ばれる少なくとも一種であり、BはTi,Zr,
Sn等の4価金属元素からなる群から選ばれる少なくと
も一種である)で示される複合ペロブスカイト化合物か
らなるセラミック原料微粉の製造方法であって、上記本
願第1の発明の第1溶液と第2溶液とを、それぞれ別経
路からAとBのモル比が1対1になるように、第1段目
の静止型ラインミキサに送り込み、第1段目の前記静止
型ラインミキサにおいて両者を均一に混合して第1次反
応を行わせた後、引続き、第1次反応により生成した複
合ペロブスカイト化合物の沈殿を含むスラリーと、温度
係数を向上させるのに必要な金属元素の複合アルコキシ
ドなどの成分を含有する第3溶液とを、第2段目の静止
型ラインミキサに送り込み、均一に混合して第2次反応
を行わせることにより、所定の組成を有するセラミック
原料微粉を沈殿析出させることを特徴としている。
【0010】さらに、第2溶液に、半導体化剤(金属元
素など)その他の成分を共存させることも可能である。
素など)その他の成分を共存させることも可能である。
【0011】また、前記静止型ラインミキサとして、筒
状部内の軸方向に、所定形状のひねり羽根を複数段配設
固定し、該筒状部を通過する流体を各段のひねり羽根を
通過する度に2分割し、n段のひねり羽根を通過したと
きに通過流体を2n個に分割するような静止型ラインミ
キサを用いることができる。
状部内の軸方向に、所定形状のひねり羽根を複数段配設
固定し、該筒状部を通過する流体を各段のひねり羽根を
通過する度に2分割し、n段のひねり羽根を通過したと
きに通過流体を2n個に分割するような静止型ラインミ
キサを用いることができる。
【0012】以下に、図1及び図2を参照しつつ本願発
明の構成を詳しく説明する。
明の構成を詳しく説明する。
【0013】図1は、本願第1の発明のセラミック原料
微粉の製造方法を実施するのに用いられる装置例を示す
図である。この装置は、第1溶液を貯めるタンク1、第
2溶液を貯めるタンク2、第1溶液と第2溶液を混合さ
せる静止型ラインミキサ3及び第1溶液と第2溶液を混
合させることにより生成したセラミック原料微粉(沈
殿)を回収する回収タンク4を備えている。そして、タ
ンク1,タンク2から、第1溶液及び第2溶液を静止型
ラインミキサ3に供給するライン(パイプ)5,6に
は、定量ポンプ7,8が配設されている。
微粉の製造方法を実施するのに用いられる装置例を示す
図である。この装置は、第1溶液を貯めるタンク1、第
2溶液を貯めるタンク2、第1溶液と第2溶液を混合さ
せる静止型ラインミキサ3及び第1溶液と第2溶液を混
合させることにより生成したセラミック原料微粉(沈
殿)を回収する回収タンク4を備えている。そして、タ
ンク1,タンク2から、第1溶液及び第2溶液を静止型
ラインミキサ3に供給するライン(パイプ)5,6に
は、定量ポンプ7,8が配設されている。
【0014】本願発明において用いられる静止型ライン
ミキサは、例えば、ライン5,6と連通する筒状部内
に、ひねり羽根など、流体の流れを制御したり、流体を
分割したりする部材(流動制御部材)を配設し、そこを
通過する流体の流れを利用して、液・液混合や、固・液
混合などを行うミキサであって、可動部をもたず、高い
混合効率を得ることが可能なミキサを意味するものであ
り、筒状部や流動制御部材の形状などに特に制約を受け
るものではない。
ミキサは、例えば、ライン5,6と連通する筒状部内
に、ひねり羽根など、流体の流れを制御したり、流体を
分割したりする部材(流動制御部材)を配設し、そこを
通過する流体の流れを利用して、液・液混合や、固・液
混合などを行うミキサであって、可動部をもたず、高い
混合効率を得ることが可能なミキサを意味するものであ
り、筒状部や流動制御部材の形状などに特に制約を受け
るものではない。
【0015】また、静止型ラインミキサのうち、流体を
2分割する固定ひねり羽根を筒状部内の軸方向に複数段
(n段)配設固定した静止型ラインミキサ(例えば、日
本陶器(株)製、ノリタケリアクター(商品名))は、
生成したセラミック原料微粉を含むスラリーを2n個
(例えば、27段のひねり羽根を有するものにあって
は、227個=1.4×108個)に分割して混合するこ
とが可能で、従来の攪拌羽根を回転させる方式の攪拌混
合機では実現できないような、十分な攪拌混合を行い、
均一なスラリーを得ることができるため、本願発明のセ
ラミック原料微粉の製造方法を実施するのに特に適して
いる。
2分割する固定ひねり羽根を筒状部内の軸方向に複数段
(n段)配設固定した静止型ラインミキサ(例えば、日
本陶器(株)製、ノリタケリアクター(商品名))は、
生成したセラミック原料微粉を含むスラリーを2n個
(例えば、27段のひねり羽根を有するものにあって
は、227個=1.4×108個)に分割して混合するこ
とが可能で、従来の攪拌羽根を回転させる方式の攪拌混
合機では実現できないような、十分な攪拌混合を行い、
均一なスラリーを得ることができるため、本願発明のセ
ラミック原料微粉の製造方法を実施するのに特に適して
いる。
【0016】図1に示すような装置を用いて、本願第1
の発明のセラミック原料微粉の製造方法によりセラミッ
ク原料微粉を製造する場合、タンク1に貯められた、A
を構成する金属元素の少なくとも1種の水酸化物と苛性
アルカリを含有する60〜95℃の第1溶液1aと、タ
ンク2に貯められた、Bを構成する金属元素の複合アル
コキシド溶液である第2溶液2aは、定量ポンプ7,8
により、Aを構成する金属元素イオンの合計当量と、B
を構成する金属イオン元素の合計当量が互に等しくなる
ような割合で、それぞれ別のライン5,6から、流体混
合器9を経て、可動部を有しない静止型ラインミキサ3
に送り込まれる。
の発明のセラミック原料微粉の製造方法によりセラミッ
ク原料微粉を製造する場合、タンク1に貯められた、A
を構成する金属元素の少なくとも1種の水酸化物と苛性
アルカリを含有する60〜95℃の第1溶液1aと、タ
ンク2に貯められた、Bを構成する金属元素の複合アル
コキシド溶液である第2溶液2aは、定量ポンプ7,8
により、Aを構成する金属元素イオンの合計当量と、B
を構成する金属イオン元素の合計当量が互に等しくなる
ような割合で、それぞれ別のライン5,6から、流体混
合器9を経て、可動部を有しない静止型ラインミキサ3
に送り込まれる。
【0017】そして、静止型ラインミキサ3において、
第1溶液1aと第2溶液2aとが接触し、十分に混合さ
れてセラミック原料となる微細な沈殿を生じる。この工
程においては、定量ポンプ7,8により、第1溶液1
a,第2溶液2aが、構成金属元素の当量比で1対1の
割合で定量的に静止型ラインミキサ3に供給されるた
め、均一なセラミック原料微粉沈殿が生成し、その組成
や性状が時系列的に変化するようなことがない。したが
って、静止型ラインミキサ3に第1溶液1a及び第2溶
液2aを供給しはじめた初期の段階で生成する沈殿と、
その後の段階で生成する沈殿との間に粉体特性のばらつ
きがなく、安定したセラミック原料微粉の沈殿を生成さ
せることができる。そして、静止型ラインミキサ3にお
いて生成した沈殿を含むスラリー11は、ライン10を
通って回収タンク4に送られ、通常の固液分離手段(図
示せず)により固液分離され、水洗乾燥することにより
セラミック原料微粉が製造される。
第1溶液1aと第2溶液2aとが接触し、十分に混合さ
れてセラミック原料となる微細な沈殿を生じる。この工
程においては、定量ポンプ7,8により、第1溶液1
a,第2溶液2aが、構成金属元素の当量比で1対1の
割合で定量的に静止型ラインミキサ3に供給されるた
め、均一なセラミック原料微粉沈殿が生成し、その組成
や性状が時系列的に変化するようなことがない。したが
って、静止型ラインミキサ3に第1溶液1a及び第2溶
液2aを供給しはじめた初期の段階で生成する沈殿と、
その後の段階で生成する沈殿との間に粉体特性のばらつ
きがなく、安定したセラミック原料微粉の沈殿を生成さ
せることができる。そして、静止型ラインミキサ3にお
いて生成した沈殿を含むスラリー11は、ライン10を
通って回収タンク4に送られ、通常の固液分離手段(図
示せず)により固液分離され、水洗乾燥することにより
セラミック原料微粉が製造される。
【0018】ところで、従来の湿式合成法に準じた方
法、すなわち、Aを構成する少なくとも1種の金属元素
の水酸化物及び苛性アルカリを含有する60〜95℃の
溶液(第1溶液)中に、Bを構成する少なくとも1種の
金属元素の複合アルコキシドを含有する溶液(第2溶
液)を徐々に添加して反応させる方法では、初期の段階
においては添加される第2溶液の量(体積)が第1溶液
の量(体積)に対して小さいため、生成するセラミック
原料の沈殿濃度が低く、生成した沈殿は再溶解と析出を
繰り返して粒径の大きな沈殿となる。一方、ある程度時
間が経過し、相当量の第2溶液を添加した後の段階にな
ると、反応槽中の沈殿濃度が高くなり、生成する不溶性
沈殿の粒径が小さくなる。その結果、時系列的に生成す
る沈殿の粒径が変化し、粒度分布の狭い(すなわち粒度
の集中度の高い)セラミック原料微粉を得ることができ
ない。
法、すなわち、Aを構成する少なくとも1種の金属元素
の水酸化物及び苛性アルカリを含有する60〜95℃の
溶液(第1溶液)中に、Bを構成する少なくとも1種の
金属元素の複合アルコキシドを含有する溶液(第2溶
液)を徐々に添加して反応させる方法では、初期の段階
においては添加される第2溶液の量(体積)が第1溶液
の量(体積)に対して小さいため、生成するセラミック
原料の沈殿濃度が低く、生成した沈殿は再溶解と析出を
繰り返して粒径の大きな沈殿となる。一方、ある程度時
間が経過し、相当量の第2溶液を添加した後の段階にな
ると、反応槽中の沈殿濃度が高くなり、生成する不溶性
沈殿の粒径が小さくなる。その結果、時系列的に生成す
る沈殿の粒径が変化し、粒度分布の狭い(すなわち粒度
の集中度の高い)セラミック原料微粉を得ることができ
ない。
【0019】これに対し、本願発明のセラミック原料微
粉の製造方法では、第1溶液と第2溶液を定量的に静止
型ラインミキサに送り込みつつ反応を行わせるので、セ
ラミック原料の沈殿生成条件(沈殿濃度など)が時系列
的に変動することがなく、粒度分布の狭いセラミック原
料微粉を得ることができる。
粉の製造方法では、第1溶液と第2溶液を定量的に静止
型ラインミキサに送り込みつつ反応を行わせるので、セ
ラミック原料の沈殿生成条件(沈殿濃度など)が時系列
的に変動することがなく、粒度分布の狭いセラミック原
料微粉を得ることができる。
【0020】さらに、第2溶液に、原料微粉を半導体化
させるのに必要な金属元素など(半導体化剤)を添加し
ておくことも可能であり、これにより、得られるセラミ
ック原料微粉の特性を向上させることが可能になる。な
お、半導体化に必要な金属元素としては、例えば、La
やZrなどが挙げられるが、その他の金属元素を用いる
ことも可能である。さらに、第2溶液には、半導体化剤
以外の、例えば、他の特性を向上させるために必要な成
分などを含有させることも可能である。
させるのに必要な金属元素など(半導体化剤)を添加し
ておくことも可能であり、これにより、得られるセラミ
ック原料微粉の特性を向上させることが可能になる。な
お、半導体化に必要な金属元素としては、例えば、La
やZrなどが挙げられるが、その他の金属元素を用いる
ことも可能である。さらに、第2溶液には、半導体化剤
以外の、例えば、他の特性を向上させるために必要な成
分などを含有させることも可能である。
【0021】また、図2は、本願第2の発明のセラミッ
ク原料微粉の製造方法を実施するのに用いられる装置例
を示す図である。この装置は、本願第1の発明のセラミ
ック原料微粉の製造方法を実施するための装置(図1)
の、静止型ラインミキサ3の後に、さらに、もう1台の
(第2段目の)静止型ラインミキサ13を接続し、第1
段目の静止型ラインミキサ3において第1次反応を行わ
せることにより得られたセラミック原料微粉の沈殿を含
むスラリー液と、第3溶液14aとを流体混合器15に
供給して、第2段目の静止型ラインミキサ13において
両者を混合させるように構成したものである。なお、第
3溶液14aはタンク14に貯められ、定量ポンプ17
により、ライン16を経て、流体混合器15に供給され
る。最終沈殿生成物を含むスラリー18は、ライン19
を経て、回収タンク20に送られ、通常の固液分離手段
(図示せず)により固液分離され、水洗乾燥することに
よりセラミック原料微粉が製造される。
ク原料微粉の製造方法を実施するのに用いられる装置例
を示す図である。この装置は、本願第1の発明のセラミ
ック原料微粉の製造方法を実施するための装置(図1)
の、静止型ラインミキサ3の後に、さらに、もう1台の
(第2段目の)静止型ラインミキサ13を接続し、第1
段目の静止型ラインミキサ3において第1次反応を行わ
せることにより得られたセラミック原料微粉の沈殿を含
むスラリー液と、第3溶液14aとを流体混合器15に
供給して、第2段目の静止型ラインミキサ13において
両者を混合させるように構成したものである。なお、第
3溶液14aはタンク14に貯められ、定量ポンプ17
により、ライン16を経て、流体混合器15に供給され
る。最終沈殿生成物を含むスラリー18は、ライン19
を経て、回収タンク20に送られ、通常の固液分離手段
(図示せず)により固液分離され、水洗乾燥することに
よりセラミック原料微粉が製造される。
【0022】この方法においては、第1次反応により生
成したセラミック原料の微細な沈殿を含むスラリーに、
温度特性(温度係数)を向上させる金属元素の複合アル
コキシドなどの成分を含有する第3溶液を添加して、混
合させることにより、さらに温度特性に優れたセラミッ
ク原料微粉を製造することができる。なお、温度特性を
向上させる複合アルコキシド用の金属元素としては、M
nなどが例示されるが、その他の金属元素を用いること
も可能である。さらに、第3溶液には、温度特性の向上
に必要な成分以外の、他の特性を向上させるために必要
な成分を含有させることも可能である。
成したセラミック原料の微細な沈殿を含むスラリーに、
温度特性(温度係数)を向上させる金属元素の複合アル
コキシドなどの成分を含有する第3溶液を添加して、混
合させることにより、さらに温度特性に優れたセラミッ
ク原料微粉を製造することができる。なお、温度特性を
向上させる複合アルコキシド用の金属元素としては、M
nなどが例示されるが、その他の金属元素を用いること
も可能である。さらに、第3溶液には、温度特性の向上
に必要な成分以外の、他の特性を向上させるために必要
な成分を含有させることも可能である。
【0023】なお、図2の装置は、第1段目及び第2段
目の2つの静止型ラインミキサを設けた装置であるが、
さらに第3段目以降の静止型ラインミキサを設けて、複
数次反応を連続的に行わせることも可能である。
目の2つの静止型ラインミキサを設けた装置であるが、
さらに第3段目以降の静止型ラインミキサを設けて、複
数次反応を連続的に行わせることも可能である。
【0024】また、本願発明のセラミック原料微粉の製
造方法において用いられるアミンとしては、例えば、メ
チルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチ
ルアミンなどの脂肪属アミン、o−,m−,p−トルイ
ジン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどを代表的な
ものとして挙げることができる。
造方法において用いられるアミンとしては、例えば、メ
チルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチ
ルアミンなどの脂肪属アミン、o−,m−,p−トルイ
ジン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどを代表的な
ものとして挙げることができる。
【0025】また、チタンアルコキシドとしては、チタ
ンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンエトキ
シド、ジブトキシ−ジトリエタノ−ルアミナトチタン、
ジブトキシジ(2−ヒドロキシエチルアミノエトキシ)
チタンなどが挙げられる。
ンイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンエトキ
シド、ジブトキシ−ジトリエタノ−ルアミナトチタン、
ジブトキシジ(2−ヒドロキシエチルアミノエトキシ)
チタンなどが挙げられる。
【0026】チタンと複合アルコキシド化を行わせる金
属化合物としては、エステル交換反応を起こしやすい酢
酸ジルコニルや酢酸ランタンなどの酢酸塩を用いる方が
コスト的に有利であるが、アルコシス反応を利用して複
合化することが可能な金属アルコキシドを用いてもよ
い。
属化合物としては、エステル交換反応を起こしやすい酢
酸ジルコニルや酢酸ランタンなどの酢酸塩を用いる方が
コスト的に有利であるが、アルコシス反応を利用して複
合化することが可能な金属アルコキシドを用いてもよ
い。
【0027】
【実施例】以下、本願発明の実施例を比較例とともに示
して、発明の特徴をさらに詳しく説明する。原料溶液(第1、第2、第3溶液)の調製 Aを構成する金属元素とNaOHを表1に示すような割
合で正確に秤量し、90℃の純水1Lに溶解して第1溶
液を調製する。
して、発明の特徴をさらに詳しく説明する。原料溶液(第1、第2、第3溶液)の調製 Aを構成する金属元素とNaOHを表1に示すような割
合で正確に秤量し、90℃の純水1Lに溶解して第1溶
液を調製する。
【0028】
【表1】
【0029】そして、表1の実験No.1,2について
は、表1に示す量のチタンイソプロポキシド(Ti(O
C3H7)4)を正確に秤取し、これにイソプロピルアル
コールを添加し、全量を1リットルにして第2溶液を調
製する。
は、表1に示す量のチタンイソプロポキシド(Ti(O
C3H7)4)を正確に秤取し、これにイソプロピルアル
コールを添加し、全量を1リットルにして第2溶液を調
製する。
【0030】また、実験No.3については、表1にした
がって、チタンイソプロポキシド(Ti(OC
3H7)4)と酢酸ジルコニル(ZrO(CH3CO
O)2)を正確に秤取し、丸底フラスコに入れて加熱還
流し、エステル交換反応により、Ti−O−Zrの複合
アルコキシドを生成させ、これに、イソプロピルアルコ
ールを添加し、全量を1Lにして第2溶液を調製する。
がって、チタンイソプロポキシド(Ti(OC
3H7)4)と酢酸ジルコニル(ZrO(CH3CO
O)2)を正確に秤取し、丸底フラスコに入れて加熱還
流し、エステル交換反応により、Ti−O−Zrの複合
アルコキシドを生成させ、これに、イソプロピルアルコ
ールを添加し、全量を1Lにして第2溶液を調製する。
【0031】さらに、実験No.4については、表1にし
たがって、チタンイソプロポキシド(Ti(OC3H7)
4)と酢酸ランタン(La(CH3COO)3・3/2H
2O)を正確に秤取し、丸底フラスコに入れて加熱還流
し、エステル交換反応により、Ti−O−Laの複合ア
ルコキシドを生成させ、これに、イソプロピルアルコー
ルを添加し、全量を1Lにして第2溶液を調製する。さ
らに、実験No.4においては、アミン変成したマンガン
アルコキシドをイソプロピルアルコールに溶解し、全量
を2Lにして第3溶液を調製する。
たがって、チタンイソプロポキシド(Ti(OC3H7)
4)と酢酸ランタン(La(CH3COO)3・3/2H
2O)を正確に秤取し、丸底フラスコに入れて加熱還流
し、エステル交換反応により、Ti−O−Laの複合ア
ルコキシドを生成させ、これに、イソプロピルアルコー
ルを添加し、全量を1Lにして第2溶液を調製する。さ
らに、実験No.4においては、アミン変成したマンガン
アルコキシドをイソプロピルアルコールに溶解し、全量
を2Lにして第3溶液を調製する。
【0032】反応及び生成したセラミック原料微粉沈殿
の回収 実験No.1〜3については、図1に示すような装置を用
い、第1溶液及び第2溶液を定量ポンプで、それぞれ、
1L/minの割合で、10段のひねり羽根を設けた静止
型ラインミキサに送り込み、反応を行わせる。それか
ら、生成した原料微粉の沈殿を濾過器などの固液分離手
段で分離して水洗乾燥を行い、セラミック原料微粉を得
る。
の回収 実験No.1〜3については、図1に示すような装置を用
い、第1溶液及び第2溶液を定量ポンプで、それぞれ、
1L/minの割合で、10段のひねり羽根を設けた静止
型ラインミキサに送り込み、反応を行わせる。それか
ら、生成した原料微粉の沈殿を濾過器などの固液分離手
段で分離して水洗乾燥を行い、セラミック原料微粉を得
る。
【0033】また、実験No.4については、図2に示す
ような装置を用いて、実験No.1〜3と同様にして、第
1溶液と第2溶液とを第1段目の静止型ラインミキサに
送り込み、第1次反応を行わせた後、第1次反応で生成
した沈殿を含むスラリーと第3溶液とを、第2段目の静
止型ラインミキサに送り込んで、第1次反応により生じ
た沈殿を含むスラリーと第3溶液とを、それぞれ2L/
minの割合で10段のひねり羽根を設けた静止型ライン
ミキサに送り込み、第2次反応を行わせる。それから、
生成したセラミック原料微粉の沈殿を濾過器などの固液
分離手段を用いて分離し、水洗乾燥を行い、セラミック
原料微粉を得る。
ような装置を用いて、実験No.1〜3と同様にして、第
1溶液と第2溶液とを第1段目の静止型ラインミキサに
送り込み、第1次反応を行わせた後、第1次反応で生成
した沈殿を含むスラリーと第3溶液とを、第2段目の静
止型ラインミキサに送り込んで、第1次反応により生じ
た沈殿を含むスラリーと第3溶液とを、それぞれ2L/
minの割合で10段のひねり羽根を設けた静止型ライン
ミキサに送り込み、第2次反応を行わせる。それから、
生成したセラミック原料微粉の沈殿を濾過器などの固液
分離手段を用いて分離し、水洗乾燥を行い、セラミック
原料微粉を得る。
【0034】比較例 塩化バリウム水溶液に、炭酸アンモニウム水溶液を滴下
し、pHを9〜9.5に調整して炭酸バリウムを沈殿さ
せ、また、四塩化チタン水溶液に過酸化水素水(30
%)15mlを添加するとともに、アンモニア水を添加
し、pHを9〜9.5に調整してチタン化合物を沈殿さ
せた。それから、炭酸バリウム及びチタン化合物の沈殿
を濾過水洗した後、乾燥し、これを900℃で仮焼して
チタン酸バリウム(BaTiO3)の粉体を得た。
し、pHを9〜9.5に調整して炭酸バリウムを沈殿さ
せ、また、四塩化チタン水溶液に過酸化水素水(30
%)15mlを添加するとともに、アンモニア水を添加
し、pHを9〜9.5に調整してチタン化合物を沈殿さ
せた。それから、炭酸バリウム及びチタン化合物の沈殿
を濾過水洗した後、乾燥し、これを900℃で仮焼して
チタン酸バリウム(BaTiO3)の粉体を得た。
【0035】評価 実験No.1において得られた粉体をX線回折法により、
分析した結果、粉体は、立方晶単相のBaTiO3であ
ることが確認された。
分析した結果、粉体は、立方晶単相のBaTiO3であ
ることが確認された。
【0036】また、実験No.2,No.3及びNo.4につい
ても、X線回折法による分析の結果、得られた粉体(セ
ラミック原料微粉)は一般式ABO3で示される複合ペ
ロブスカイト化合物であることが確認された。
ても、X線回折法による分析の結果、得られた粉体(セ
ラミック原料微粉)は一般式ABO3で示される複合ペ
ロブスカイト化合物であることが確認された。
【0037】さらに、実験例2において得られた粉体
(セラミック原料微粉)を透過分析電子顕微鏡を用い、
3μmスポット径で10点、ランダムに構成成分のモル
比分析を行った。その結果を表2に示す。
(セラミック原料微粉)を透過分析電子顕微鏡を用い、
3μmスポット径で10点、ランダムに構成成分のモル
比分析を行った。その結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】また、比較例の方法により得たBaTiO
3粉体についても同様の方法で構成成分のモル比分析を
行った。その結果を表3に示す。
3粉体についても同様の方法で構成成分のモル比分析を
行った。その結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】表2及び表3から、比較例の方法により得
られた粉体は、ミクロ的にみるとモル比が理論値から大
きくずれた部分がみられ、比較例の方法では、各粒子に
ついて理論値に近い構成比率を有するセラミック粉体を
得ることができないのに対し、本願発明の方法により得
られたセラミック原料微粉は、個々の粒子が、それぞれ
理論値に近い構成比率(モル比)になっていることがわ
かる。
られた粉体は、ミクロ的にみるとモル比が理論値から大
きくずれた部分がみられ、比較例の方法では、各粒子に
ついて理論値に近い構成比率を有するセラミック粉体を
得ることができないのに対し、本願発明の方法により得
られたセラミック原料微粉は、個々の粒子が、それぞれ
理論値に近い構成比率(モル比)になっていることがわ
かる。
【0042】なお、表2には特に示していないが、実験
No.1,No.3及びNo.4により得られたセラミック原料
微粉についても、同様のモル比分析を行い、実験No.
1,No.3及びNo.4のいずれの試料についても、個々の
粒子が理論値に近い構成比率を有する、一般式ABO3
で示される複合ペロブスカイト化合物であることが確認
されている。
No.1,No.3及びNo.4により得られたセラミック原料
微粉についても、同様のモル比分析を行い、実験No.
1,No.3及びNo.4のいずれの試料についても、個々の
粒子が理論値に近い構成比率を有する、一般式ABO3
で示される複合ペロブスカイト化合物であることが確認
されている。
【0043】
【発明の効果】上述ように、本願第1の発明のセラミッ
ク原料微粉の製造方法は、第1溶液中の金属元素の合計
当量と、第2溶液中の金属元素の合計当量との比が1対
1になるような割合で、第1溶液と第2溶液とを定量的
に静止型ラインミキサに送り込んで接触反応を行わせる
ようにしているので、沈殿の生成条件(沈殿濃度など)
が時系列的に変化せず、安定しているため、粒度分布が
狭く、かつ、比表面積の大きい、一般式ABO3で表さ
れる複合ペロブスカイト化合物からなるセラミック原料
微粉を得ることができる。
ク原料微粉の製造方法は、第1溶液中の金属元素の合計
当量と、第2溶液中の金属元素の合計当量との比が1対
1になるような割合で、第1溶液と第2溶液とを定量的
に静止型ラインミキサに送り込んで接触反応を行わせる
ようにしているので、沈殿の生成条件(沈殿濃度など)
が時系列的に変化せず、安定しているため、粒度分布が
狭く、かつ、比表面積の大きい、一般式ABO3で表さ
れる複合ペロブスカイト化合物からなるセラミック原料
微粉を得ることができる。
【0044】また、本願第2の発明のセラミック原料微
粉の製造方法は、第1溶液と第2溶液とを反応(第1次
反応)させるとともに、引続き、第1次反応により生成
した複合ペロブスカイト化合物の沈殿を含むスラリー
と、温度係数を向上させるのに必要な金属元素の複合ア
ルコキシドなど、A,B以外の成分を含有する第3溶液
とを、第2段目の静止型ラインミキサに送り込み、均一
に混合して第2次反応を行わせることにより、微細で、
粒度分布が狭いばかりでなく、温度特性に優れた、一般
式ABO3で表される複合ペロブスカイト化合物からな
るセラミック原料微粉を得ることができる。
粉の製造方法は、第1溶液と第2溶液とを反応(第1次
反応)させるとともに、引続き、第1次反応により生成
した複合ペロブスカイト化合物の沈殿を含むスラリー
と、温度係数を向上させるのに必要な金属元素の複合ア
ルコキシドなど、A,B以外の成分を含有する第3溶液
とを、第2段目の静止型ラインミキサに送り込み、均一
に混合して第2次反応を行わせることにより、微細で、
粒度分布が狭いばかりでなく、温度特性に優れた、一般
式ABO3で表される複合ペロブスカイト化合物からな
るセラミック原料微粉を得ることができる。
【0045】さらに、本願発明のセラミック原料微粉の
製造方法において用いられる静止型ラインミキサは、従
来の攪拌羽根を回転させる方式の混合攪拌機に比べては
るかに小型であり、リアクターの取付スペースを小さく
することが可能である。
製造方法において用いられる静止型ラインミキサは、従
来の攪拌羽根を回転させる方式の混合攪拌機に比べては
るかに小型であり、リアクターの取付スペースを小さく
することが可能である。
【0046】また、本願第2の発明の方法に関しては、
静止型ラインミキサを連結するだけで複数次反応を連続
的に行わせることが可能になり、反応操作が簡潔になる
ばかりでなく、製造装置を小型化することが可能で、経
済性にも優れている。さらに、第1次反応により生成し
たセラミック原料微粉の沈殿を含むスラリーを、引続
き、第2段目の静止型ラインミキサに導いて、第3溶液
と接触させることができるため、先の工程で生成する沈
殿と後の工程で生成する沈殿とを均一に混合することが
可能になり、温度特性などの特性に優れたセラミック原
料微粉を容易、かつ、確実に製造することができる。
静止型ラインミキサを連結するだけで複数次反応を連続
的に行わせることが可能になり、反応操作が簡潔になる
ばかりでなく、製造装置を小型化することが可能で、経
済性にも優れている。さらに、第1次反応により生成し
たセラミック原料微粉の沈殿を含むスラリーを、引続
き、第2段目の静止型ラインミキサに導いて、第3溶液
と接触させることができるため、先の工程で生成する沈
殿と後の工程で生成する沈殿とを均一に混合することが
可能になり、温度特性などの特性に優れたセラミック原
料微粉を容易、かつ、確実に製造することができる。
【図1】本願第1の発明のセラミック原料微粉の製造方
法を実施するのに用いられる装置を示す図である。
法を実施するのに用いられる装置を示す図である。
【図2】本願第2の発明のセラミック原料微粉の製造方
法を実施するのに用いられる装置を示す図である。
法を実施するのに用いられる装置を示す図である。
1a 第1溶液 2a 第2溶液 3 静止型ラインミキサ 13 第2段目の静止型ラインミキ
サ 14a 第3溶液
サ 14a 第3溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜地 幸生 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 坂部 行雄 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式ABO3(但し、AはBa,S
r,Mg,Ca等の2価のアルカリ土類金属からなる群
から選ばれる少なくとも一種であり、BはTi,Zr,
Sn等の4価金属元素からなる群から選ばれる少なくと
も一種である)で示される複合ペロブスカイト化合物か
らなるセラミック原料微粉の製造方法であって、Aを構
成する金属元素の水酸化物と、前記水酸化物1モルに対
して、NaOH,KOH,LiOH,NH4OH及びア
ミンからなる群から選ばれる1種または2種以上の混合
物1〜4モルを含有する液温60〜95℃の第1溶液
と、Bを構成する金属元素の複合アルコキシドを含有す
る第2溶液とを、それぞれ別経路からAとBのモル比が
1対1になるように、流体の通路となる筒状部に設けた
ひねり羽根などの流動制御部材により流体の流れを制御
して通過流体を混合させる静止型ラインミキサに送り込
み、前記静止型ラインミキサにおいて両者を均一に混合
して反応させることにより、所定の組成を有するセラミ
ック原料微粉を沈殿析出させることを特徴とするセラミ
ック原料微粉の製造方法。 - 【請求項2】 一般式ABO3(但し、AはBa,S
r,Mg,Ca等の2価のアルカリ土類金属からなる群
から選ばれる少なくとも一種であり、BはTi,Zr,
Sn等の4価金属元素からなる群から選ばれる少なくと
も一種である)で示される複合ペロブスカイト化合物か
らなるセラミック原料微粉の製造方法であって、請求項
1記載の第1溶液と、請求項1記載の第2溶液とを、そ
れぞれ別経路からAとBのモル比が1対1になるよう
に、請求項1記載の静止型ラインミキサに送り込み、前
記静止型ラインミキサにおいて両者を均一に混合して第
1次反応を行わせた後、引続き、前記第1次反応により
生成した複合ペロブスカイト化合物の沈殿を含むスラリ
ーと、温度係数を向上させるのに必要な金属元素の複合
アルコキシドなどの成分を含有する第3溶液とを、第2
段目の静止型ラインミキサに送り込み、均一に混合して
第2次反応を行わせることにより、所定の組成を有する
セラミック原料微粉を沈殿析出させることを特徴とする
セラミック原料微粉の製造方法。 - 【請求項3】 前記第2溶液に、さらに半導体化剤その
他の成分を共存させることを特徴とする請求項1または
2記載のセラミック原料微粉の製造方法。 - 【請求項4】 前記静止型ラインミキサが、筒状部内の
軸方向に所定形状のひねり羽根を複数段配設固定し、該
筒状部を通過する流体を各段のひねり羽根を通過する度
に2分割し、n段のひねり羽根を通過したときに通過流
体を2n個に分割するような静止型ラインミキサである
ことを特徴とする請求項1,2または3記載のセラミッ
ク原料微粉の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27658991A JP3240643B2 (ja) | 1991-09-26 | 1991-09-26 | セラミック原料微粉の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27658991A JP3240643B2 (ja) | 1991-09-26 | 1991-09-26 | セラミック原料微粉の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0585727A true JPH0585727A (ja) | 1993-04-06 |
JP3240643B2 JP3240643B2 (ja) | 2001-12-17 |
Family
ID=17571561
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27658991A Expired - Fee Related JP3240643B2 (ja) | 1991-09-26 | 1991-09-26 | セラミック原料微粉の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3240643B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0641740A1 (en) * | 1993-09-03 | 1995-03-08 | Chon International Co. Ltd. | Process for the synthesis of crystalline ceramic powders of perovskite compounds |
JP2006298746A (ja) * | 2005-03-22 | 2006-11-02 | Tdk Corp | 粉末の製造方法、その粉末及びその粉末を用いた積層セラミックコンデンサ |
US7276225B2 (en) | 1995-10-12 | 2007-10-02 | Cabot Corporation | Process for producing niobium and tantalum compounds |
JP2013151516A (ja) * | 2013-03-05 | 2013-08-08 | Nippon Chem Ind Co Ltd | シュウ酸バリウムチタニルの製造方法及びチタン酸バリウムの製造方法 |
-
1991
- 1991-09-26 JP JP27658991A patent/JP3240643B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2008088055A (ja) * | 1995-10-12 | 2008-04-17 | Cabot Corp | 五酸化ニオブ及びタンタル化合物 |
JP2011144110A (ja) * | 1995-10-12 | 2011-07-28 | Cabot Corp | 五酸化ニオブ及びタンタル化合物 |
JP2006298746A (ja) * | 2005-03-22 | 2006-11-02 | Tdk Corp | 粉末の製造方法、その粉末及びその粉末を用いた積層セラミックコンデンサ |
JP2013151516A (ja) * | 2013-03-05 | 2013-08-08 | Nippon Chem Ind Co Ltd | シュウ酸バリウムチタニルの製造方法及びチタン酸バリウムの製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3240643B2 (ja) | 2001-12-17 |
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