JPH0585504U - 表面粗化用切削バイト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複写機やファクシミリ、更にはレーザープリ
ンタ等の直接接触式電子写真現像装置に使用するマグネ
ットロールの表面切削用バイトであって、磁石層内に金
属異物等を含有していても、刃先が欠けることがない表
面粗化用切削バイトに関する。 【構成】 表面の磁石層に直接トナーを吸着させる直接
接触式電子写真現像装置に使用するマグネットロールの
表面を均一に粗化する切削バイトにおいて、刃先３の切
れ刃５の平面形状を、鈍角な前切れ刃角を有する二つの
刃６，７を近接配置した反Ｗ形状となした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、複写機やファクシミリ、更にはレーザープリンタ等の直接接触式電 子写真現像装置に使用するマグネットロールの表面粗化用切削バイトに関する。

【０００２】

【従来の技術】

複写機やファクシミリ等の電子写真現像装置には、感光体にトナーを搬送する 装置としてマグネットロールが用いられている。従来は、例えば円筒状磁石体に 金属製シャフトを貫設して構成したマグネットロールに、非磁性体製のスリーブ を非接触状態で外装し、このスリーブをマグネットロールに対して相対的に回転 させることにより、スリーブ表面に吸着したトナーを、近接配置した感光体に非 接触転写するものが主流であったが、近年にいたっては、このスリーブを排除し た現像法が普及しつつある。この現像法には円柱又は円筒状の金属製シャフトの 外周にゴムマグネットを配置し、更にその外側に表面を平滑化した半球状の金属 製浮遊電極を配設したマグネットロールが用いられている。又、最近にいたって はこの種のマグネットロールは更に改良されて、最外層の浮遊電極は取り除かれ 、シャフト軸周に樹脂磁石層を誘電体を兼ねて形成するとともに、その表面を細 かい表面肌に仕上げたマグネットロールを構成し、このマグネットロールの表面 にトナーを直接吸着させてトナーを搬送させる、いわゆる直接接触式電子写真現 像法が提案されている。

【０００３】 例えば、特開昭６３−２２３６７号公報記載の現像装置では、感光体からなる 潜像担持体に近接配置された１成分磁性トナーを担持しながら現像領域に搬送す る現像剤搬送部材として、外周に磁力を有する磁石体を用い、該磁石体の表面に 集められたトナーを、帯電部材との間隙で摩擦帯電させることによって磁石体表 面にトナー薄層を形成し、該トナー薄層を磁石体の回転とともに移動させること によってトナーを感光体に搬送するものを用いている。

【０００４】 このような磁化誘電体マグネットロールにおけるシャフト軸周に形成される磁 石層は、ゴム系バインダーに等方性Ｂａフェライトを分散したゴムマグネットか ら形成されている。かかるマグネットロールは、ゴム原料をフェライト等の磁性 配合物と共に混練してシート状としたものを金属製シャフトに巻き付けた後、高 温でプレス加工成形し、次いで表面を研磨仕上げする方法で製造されている。 また、本出願人は、磁性粉末と熱可塑性合成樹脂を混練した熱可塑性樹脂磁石 組成物を、金属製シャフトの周囲に射出成形又は押出し成形等によるインサート 成形によって直接層状に形成するマグネットロールの製造方法を既に提案し、更 に樹脂磁石層の表面粗度を５μｍ以下にするために、樹脂磁石層の表面を切削及 び研削する仕上げ方法も提案している。

【０００５】 このようにマグネットロールにおいては、磁石層表面に均一にトナーを吸着す る必要があることから表面粗さを小さくすることが求められている。又、帯電し たトナーを静電力によって感光体表面の潜像に転写するので、該ロール表面の電 位を均一にする必要があるとされ、より一層の細かい表面粗さが要求されている 。従って、このようなマグネットロールでは、表面に微小な異物が付着していた り、あるいは表面に不規則な凹凸が存在する等、表面に僅かな不均一があるだけ でもマグネットロールの品質を損なうことになり、このためこのような厳しい品 質を維持することは難しく、製造や管理が極めて難しいのが現状である。 そして、マグネットロールの表面に不均一が存在するとトナーの付着状態にむ らができるばかりでなく、マグネットロールと接触するトナー搬送量規制部材、 摩擦帯電部材との接触状態にも不均一が発生し、現像画像に濃淡が発生する問題 がある。 又、別の問題として、従来はマグネットロール表面の不均一を解消するためそ の表面を平滑化することに主眼が置かれているために、マグネットロール表面は 極めて平滑に加工されており、このためトナーの搬送性が劣り、濃い現像画像が 安定して得難いといった問題もある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】 そこで、マグネットロールの表面にトナー径よりも微小な細条を均一に形成し 、その溝部に通常問題となる数μｍの大きさの付着異物等を落し込むことによっ て静電現象に対する悪影響を排除する方法も本出願人によって既に提案されてい る。 従来、送りピッチを規定した場合に表面を粗くする方法は、バイトのノーズ半 径Ｒを変更するか、又はバイトの刃先角度を変更することにより、必要とする送 りピッチで表面粗さを決定していた。しかしながら、かかる形状のバイトはマグ ネットロール内に金属異物等を含有した場合は、バイトに衝撃がかかり、バイト が欠け、所定の粗さができなかった。 本考案が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、従来汎用されていた バイトの欠点を改良し、マグネットロールの磁石層の表面にトナー径よりも微小 な細条を均一に形成するバイトであって、磁石層内に金属異物等を含有していて も、刃先が欠ける欠点を解消して耐久性を向上させ得る表面粗化用切削バイトを 提供する点にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前述の課題解決のために、表面の磁石層に直接トナーを吸着させる 直接接触式電子写真現像装置に使用するマグネットロールの表面を均一に粗化す る切削バイトにおいて、刃先の切れ刃の平面形状を、鈍角な前切れ刃角を有する 二つの刃を近接配置した反Ｗ形状となした表面粗化用切削バイトを構成した。

【０００８】

【作用】

以上の如き内容からなる本考案の表面粗化用切削バイトは、刃先の切れ刃の平 面形状を、鈍角な前切れ刃角を有する二つの刃を近接配置した反Ｗ形状となした ことにより、第一の刃で荒切削を行い、第二の刃で仕上げ切削を行うことが可能 となり、第二の刃への衝撃及び切削負荷を少なくし、バイトの耐久性を向上させ るとともに、切削能率を向上させるものである。

【０００９】

【実施例】 次に添付図面に示した実施例に基づき更に本考案の詳細を説明する。図１は、 本考案のバイト１の代表的実施例を示し、図中２はシャンク、３は刃先、４は超 硬チップをそれぞれ示している。尚、図２はバイト１の先端部の平面図を示して いる。

【００１０】 前記シャンク２は、通常、鋼製で作成され、その断面は通常は正方形か若しく は幅より高さが大きい縦長長方形の長尺物であり、その先端部に刃先３を切削形 成されている。そして、刃先３の先端部には高速度鋼や超硬合金等で作成した超 硬チップ４がロウ付け等によって固着されており、この超硬チップ４の先端に切 れ刃５が形成されている。

【００１１】 そして、本考案は図２に示すように、前記切れ刃５をそれぞれ鈍角な前切れ刃 角θ₁ を有する第一の刃６と鈍角な前切れ刃角θ₂ を有する第二の刃７を所定の 間隔Ｐを隔てて反Ｗ形状に一体形成したものである。本実施例では、前切れ刃角 θ₁ とθ₂ は共に１５０°に設定しているが、若干異なってもよい。また、この 前切れ刃角の範囲は、９０°≦θ₁ ，θ₂ ≦１６０°であることが好ましい。こ の前切れ刃角θ₁ ，θ₂ が下限９０°より小さいと欠け易く、また上限１６０° より大きいと切削能率が低下するので好ましくない。

【００１２】 また、第一の刃６と第二の刃７の先端の突出量は、本実施例では同一となして いる。これにより、バイト１の刃先３をマグネットロールの磁石層表面に押し当 てて所定の切り込み深さに設定した場合、第一の刃６で一定深さを荒切削すると 、第二の刃７に対しては磁石層表面が後退することによって、接触圧が小さく、 即ち切れ込み深さが浅くなって緩やかな仕上げ切削が行えるのである。本考案の バイト１を用いた切削によって、マグネットロールの磁石層表面には細条が螺旋 状となって密に形成される。

【００１３】 次に、本考案のバイト１による耐久性向上の効果を確認した比較実験について 説明する。先ず、サンプルとしてフェライト含有フレキシブル樹脂磁石を、直径 １８ｍｍの鉄シャフトの周囲に１ｍｍの厚さに形成した長さ２４０ｍｍのマグネ ットロールを成形した。そして、このマグネットロールの表面を、図２に示した 本考案のバイトと、図３に示したノーズ半径Ｒ付きの切れ刃５ａを有するバイト １ａ（比較例１）と、図４に示した前切れ刃角１５０°の切れ刃５ｂを有するバ イト１ｂ（比較例２、比較例３）とを用いて、耐久性の比較試験を行った。その 結果を次の表１に示す。

【００１４】

【表１】

【００１５】 この比較実験の結果、本考案のバイト１は３００本以上のマグネットロールを 切削加工しても切れ刃５が欠けことなく継続して使用中である。それに対して、 従来タイプのバイト１ａ，１ｂでは比較的少本数で切れ刃に欠けが発生して、使 用不能となった。

【００１６】

【考案の効果】

以上にしてなる本考案の表面粗化用切削バイトは、表面の磁石層に直接トナー を吸着させる直接接触式電子写真現像装置に使用するマグネットロールの表面を 均一に粗化する切削バイトにおいて、刃先の切れ刃の平面形状を、鈍角な前切れ 刃角を有する二つの刃を近接配置した反Ｗ形状となしたので、第一の刃で荒切削 を行い、第二の刃で仕上げ切削を行うことが可能となり、第二の刃への衝撃及び 切削負荷を少なくし、バイトの耐久性を向上させるとともに、切削能率を向上さ せることができるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のバイトの先端部を示す斜視図である。

【図２】同じくバイトの先端部平面図である。

【図３】比較例を示すノーズ半径Ｒ付きバイトの先端部
平面図である。

【図４】他の比較例を示す鈍角な前切れ刃角を有するバ
イトの先端部平面図である。

【符号の説明】

１ バイト １ａ バイト １ｂ バイト ２ シャンク ３ 刃先 ４ 超硬チップ ５ 切れ刃 ５ａ 切れ刃 ５ｂ 切れ刃 ６ 第一の刃 ７ 第二の刃

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面の磁石層に直接トナーを吸着させる
   直接接触式電子写真現像装置に使用するマグネットロー
   ルの表面を均一に粗化する切削バイトにおいて、刃先の
   切れ刃の平面形状を、鈍角な前切れ刃角を有する二つの
   刃を近接配置した反Ｗ形状となしたことを特徴とする表
   面粗化用切削バイト。