JPH0564865U - ボンド磁石現像ロール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好且つ濃度の高い鮮明な画像を得ることが
でき、しかも製造も容易なボンド磁石現像ロールを提供
せんとするものである。 【構成】 多極に着磁されたフェライト系ボンド磁石外
層と導電性軸芯とからなる磁性粉搬送転写用のボンド磁
石現像ロールに於て、前記ボンド磁石外層表面に円周線
と斜交する細条を緊密に設けたことを特徴としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は磁性粉を磁着して搬送し、対面配置した別部材の表面に磁性粉を転写 する為のボンド磁石現像ロールに関し、更に具体的には電子写真方式現象装置に 於て、現像ロール表面に現像剤が直接接触する金属スリーブを用いない直接接触 式電子写真現像法に用いるのに適したボンド磁石現像ロールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

複写機やファクシミリ等の電子写真現像装置には、感光体にトナーを搬送する 装置として磁石ロールが用いられている。従来は、例えば円筒状磁石体に金属製 シャフトを貫設して構成した磁石ロールに非磁性体製のスリーブを非接触状態で 外装し、このスリーブを磁石ロールに対して相対的に回転させることによりスリ ーブ表面に磁着したトナーを、近接配置した感光体に非接触転写するものが主流 であったが、近年にいたって、このスリーブを排除した現像法が普及しつつある 。この現像法には円柱又は円筒状の金属製シャフトの外周にゴムマグネットを配 置し、更にその外側に表面を平滑化した半球状の金属製浮遊電極を配設した現像 ロールが用いられている。又、最近にいたってはこの種の現像ロールは更に改良 されて、最外層の浮遊電極は取り除かれ、シャフト軸周にマグネット層を誘電体 を兼ねて形成するとともに、その表面を細かい表面肌に仕上げたボンド磁石現像 ロールを構成し、この現像ロールの表面にトナーを直接磁着させてトナーを搬送 させる、いわゆる直接接触式電子写真現像法が提案されている。例えば、特開昭 ６３−２２３６７５号公報記載の現像装置では、感光体からなる潜像担持体に近 接配置された１成分磁性トナーを担持しながら現象領域に搬送する現像剤搬送部 材として、外周に磁力を有する磁石体を用い、該磁石体の表面に集められたトナ ーを、帯電部材との間隙で摩擦帯電させることによって磁石体表面にトナー薄層 を形成し、該トナー薄層を磁石体の回転とともに移動させることによってトナー を感光体に搬送するものを用いている。このような磁化誘電体現像ロールにおけ るシャフト軸周に形成される磁石層は、ゴム系バインダーに等方性Ｂａフェライ トを分散したゴムマグネットから形成されている。そして該現像ロールにて搬送 されるトナーの量を規制する目的でゴム質磁性ロール表面には硬質のブレード（ トナー搬送量規制部材）が圧設配置されている。

【０００３】 かかるマグネットロールはゴム原料をフェライト等の配合物と共に混練してシ ート状としたものを金属シャフト上に巻き付けた後、高温でプレス加工成形し、 次いで表面を研磨仕上げし、表面の粗さを数μｍ以下とする方法で製造されてい る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

この様なボンド磁石現像ロールにおいてはロール表面に均一にトナーを磁着す る必要があることから表面粗さを細かくすることが求められる。又、摩擦帯電し たトナーを静電力によって感光体表面の潜像に転写するので、該ロール表面の電 位を均一にする必要があるとされ、より一層の細かい表面粗さが要求される。し たがってこのようなボンド磁石現像ロールでは、表面に微小な異物が付着してい たりあるいは表面に不規則な凹凸が存在する等、表面に僅かな不均一があるだけ でもロールの品質を損なうこととなり、このためこのような厳しい品質を維持す ることは難しく、製造や管理が極めて難しいのが現状である。 そして、ロール表面に不均一が存在するとトナーの付着状態にむらが出るばか りか、当該ボンド磁石現像ロールと接触するトナー搬送量規制部材、摩擦帯電部 材、感光体との接触状態にも不均一が発生し、現像画像に濃淡が発生する問題が ある。 又、別の問題として、従来はロール表面の不均一を解消するためロール表面を 平滑化することに主眼が置かれているために、ロール表面は極めて平滑に加工さ れており、このためトナーの搬送性が劣り、濃い現像画像が安定して得難いとい う問題もある。

【０００５】 本考案はかかる現況に鑑みてなされたものであり、表面付着した異物の現像画 像への影響を排除することができるとともに、トナー搬送量規制部材、摩擦帯電 部材及び感光体に均一に接触させることができ、しかもトナーの搬送性にも優れ 、且つ製造も容易で工業的量産にも適したボンド磁石現像ロールを提供せんとす るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決した本考案は、当該ロールのボンド磁石外層の表面に円周線と 斜交する細かい線条（以下、細条と称す）を緊密に設けたことを特徴としている 。

【０００７】

【作用】

このような構成のボンド磁石現像ロールは、先ず第一に、通常問題となる数μ ｍの大きさの付着異物等をロール表面に設けた細条の溝部に落し込むことによっ て静電現象に対する悪影響を排除出来る。第二にはロール表面に形成される細条 の山部がその断面形状により弾性効果を発揮し、この弾性効果により感光体表面 、摩擦帯電部材、トナー搬送量規制部材に、より均一な押圧力で接触させること が可能となり、トナーの帯電量、トナー搬送量等をより均一化することができ、 現像画像の均一化がはかれる。第三にはロール表面の細条の存在により表面の摩 擦力が増大することに加えて、溝内部にトナーを保持させ得る結果、トナー搬送 量が増大できるので、現像画像の濃度を上げることが容易となる。

【０００８】

【実施例】

次に本考案の詳細を図示した実施例に基づき説明する。図１（イ),（ロ）は本 考案のボンド磁石現像ロールの断面図であり、図２は正面図である。図中１は導 電性軸芯であり、図中２は多極に着磁されたフェライト系ボンド磁石外層である 。本考案は図２に示す如く、ボンド磁石外層２の表面に円周線と斜交する細条３ を緊密に設けたことを特徴としている。図３は細条の１実施例を示した説明用拡 大図であり、図中４が細条の溝部、図中５が細条の山部である。細条の形状は図 例のものに限定されないことはいうまでもない。

【０００９】 細条溝部４の深さａ、ピッチｂは実際に使用するトナーの粒度や想定される異 物の大きさ、あるいは必要とするトナー搬送量等に応じて設定する。例えば、平 均粒子径が１０μｍ程度のトナーを使用するときには、深さａを少なくとも１０ μｍ以上とする。通常、トナーの平均粒子径と同等以上に深さを設定する。又、 細条溝部４の深さａは、本ロールが想定する異物の粒子径よりも深くする必要も ある。本ロールで問題となる異物の典型的な例はフェライト粉中の粗大粒子であ り、その多くは最大５〜６μｍであるのでそれ以上の深さに設定する。一方、隣 接する細条間のピッチｂは細条溝部４の深さａよりも大きく設定する。しかし、 ピッチｂが極度に大きいと画像を現像するときに細条の山部５のみが寄与する部 分と溝部４のみが寄与する部分とが生じるので、これによって僅かな画像むらが 生じることがある。従って、このピッチは視認出来ない程度に抑制する必要があ る。通常、人間の裸眼では視認限度は０．２ｍｍ程度であるので、本考案のロー ルでは細条間のピッチｂは０．２ｍｍ以下にする。当然ながら、ピッチが小さけ ればそれだけ画像のむらは視認し難くなるので好ましいが、細条加工上で生産性 が低下するので極力大きくするのが好ましい。

【００１０】 細条はロールの円周線に対して斜交する様に設ける。直交する様に設けること も不可能では無いが、工業的には事実上実施不可能であり、又、斜交させること によってトナー搬送規制部材との摩擦方向が細条に対して斜めになるので、細条 溝部を利用したトナー搬送効果がより高くなる。

【００１１】 かかる細条の形成は旋盤加工にて行う。したがって、細条はロール表面全体に わたって連続した螺旋状とする。砥石やサンドペーパーによる研磨では本考案の ロールを作ることが困難である。旋盤加工で細条を形成すればロールの長さ全体 にわたって均一なピッチでの細条を安定的に形成できる。

【００１２】 本考案はロール表面層がボンド磁石であることから、ロール表面に細条を緊密 に設けたことで、弾性変形可能な細条山部５が無数に形成されることとなりロー ル表面に弾性効果が発揮される。

【００１３】 本考案のボンド磁石にはマグネトプランバイト型フェライト粉を有機高分子バ インダー中に分散したものを用いる。鋳造磁石、焼結磁石等の磁石では弾性効果 も乏しく、成形加工自体も困難を極めるので採用出来ない。

【００１４】 本考案で用いるフェライト粉は永久磁石材料として用いられるバリウムフェラ イト、ストロンチウムフェライトである。特に、粗大粒子を含まず、均一且つ微 小な粒子径を有する湿式微粉砕フェライト粉で平均粒子径が０．８〜１．３μｍ のものが好ましいが、フェライトの平均粒子径は上記範囲に限定されるものでは なく、前記範囲外であっても前記範囲近傍であり且つ粗大粒子が無いものであれ ば使用可能である。フェライトの作用機能は磁性を付与することと、誘電率を増 加させること、及び電気抵抗率を低下させることである。ボンド磁石中のフェラ イト粉の含有量は必要とする磁気特性、誘電率及び電気抵抗率を勘案して決定す る。これら特性の内、電気抵抗率はフェライト粉表面を有機化合物で被覆処理す ることによって一定範囲内で調整可能である。通常、フェライト粉の使用量は４ ０〜６５体積％である。上記の弾性効果の発揮を容易にするにはフェライト粉の 含有量を５０体積％以下とするのが一層好ましい。

【００１５】 本考案で用いるバインダーは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム等の有機高分 子化合物である。フェライト粉を充填した熱硬化性樹脂の成形は通常圧縮成形で 行うが、生産効率はやや低く推奨できるものでは無い。又、ゴムは電子写真現像 用の磁石ロールとして実績のあるバインダー材料であるが、例えば軸芯との接 着不良、クラックの発生、気泡の発生による画像濃淡むら、ゴム加工時の高粘 度に起因するフェライト粉の分散不良による画像欠落等の問題があり、その改良 が求められている。ゴムバインダーを使用した場合のかかる問題はバインダーを 熱可塑性樹脂とすれば解決できるので、バインダーとしては熱可塑性樹脂が最も 好ましい。

【００１６】 ボンド磁石外層２に細条を緊密に設けることでロール表面に弾性効果が発揮さ れることは既に述べたが、ボンド磁石外層２のバインダーとして通常の射出成形 磁石に用いるポリアミド等の結晶性硬質樹脂やエポキシ樹脂、その他の硬質熱硬 化性樹脂を用いた場合、やや弾性が不足する場合がある。従って、ボンド磁石外 層の弾性効果をより効果的に発現させる観点からは軟質樹脂あるいはゴムをバイ ンダーとするのが好ましい。本考案で使用出来るバインダーの例は塩素化ポリエ チレン、エチレン／酢酸ビニルコポリマー、エチレンプロピレジエンターポリマ ー、ＮＢＲ、ポリアミド、ポリプロピレン、線状飽和ポリエチレン、塩化ビニル 、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂等である。勿論、加工性 、熱安定性、機械的強度その他を改善する目的で各種の添加物を、本考案のロー ルの特性を損なわない範囲内で添加使用してもよい。それらの例はカップリング 剤等の表面処理剤、可塑剤、安定剤、滑材、架硫剤又は架橋剤、充填剤などであ る。

【００１７】 本考案のボンド磁石現像ロールを製造する方法は樹脂、ゴムの加工に用いる各 種の加工方法が採用できる。例えば、ゴムバインダーの場合にはロールミル、ニ ーダー等で混練した後シート状となし、軸芯の周囲に巻き付けてラバープレスで 加熱架硫する方法やチューブ状に成形したボンド磁石に導電性軸芯を挿入する方 法が採用できる。又、熱可塑性樹脂の場合には射出成形法や押出し成形法によっ て軸芯周囲に被覆成形する。熱可塑性樹脂の場合は成形の生産性が高く最も好ま しい。又、軸芯とボンド磁石層とを緊密に固着する為に、両者の間に接着剤を用 いてもよい。

【００１８】 ボンド磁石層表面は多極に着磁して磁性トナーに対する磁着搬送能力をもたせ る。ボンド磁石層表面に多極磁着するには櫛歯状のヨーク芯に絶縁電線を埋設し た着磁ヨークを使用し、該着磁ヨークの表面近傍にボンド磁石現像ロールを配置 し、次いで該電線に通電してロール表面に多極に磁極を形成する。 そして、通常はボンド磁石外層に対して旋盤加工により細条を形成した後に着 磁を行うものである。尚、着磁後にボンド磁石外層に対して旋盤加工による細条 の形成を行うこともある。

【００１９】 比較試験 本考案の効果を確認する為に行った比較試験について述べる。 フェライト粉として平均粒子径が１．３μｍのＢａフェライト粉及び熱可塑性 樹脂として塩素化ポリエチレン樹脂を安定剤、カップリング剤と共にミキサーで 混合したものを押出し機で１３０℃で混練してペレット化し、この配合物ペレッ トを長さ２４０ｍｍの鉄シャフトの表面に押出機を用いて１３０℃の温度で被覆 成形し、直径２０．２ｍｍのマグネット層被覆成形体を得た後、これを旋盤で直 径２０ｍｍに切削仕上げした後、多極に着磁して本考案実施例用のボンド磁石現 像ロールと比較例用のボンド磁石現像ロールを得た。実施例のロールには０．１ ５ｍｍピッチで深さ１６μｍの細条を表面全体に形成し、他方、比較例のロール は旋盤で仕上げた後、＃１０００のサンドペーパーで表面を研磨し、表面粗さが ２μｍのロールとした。

【００２０】 これらのロールを静電現像複写機に装着し、平均粒度１０μｍのトナーを用い て画像を出力し、同一駆動条件での黒べた部分の画像濃度を比較したところ、実 施例のロールを用いた場合には画像濃度計のＩＤ値が１．４５であったが、比較 例のロールを用いた場合には１．３５と濃度が低かった。いずれも全体の画像は 良好であった。

【００２１】

【考案の効果】

上述の如く本考案によれば、ボンド磁石層の表面に円周線と斜交する細条を緊 密に設けたことにより、表面付着した異物の現像画像への影響を極力排除するこ とができるとともにトナー搬送量規制部材や感光体との接触状態も均一にでき、 トナーの搬送性も高めることが可能となり、良好且つ濃度の高い鮮明な画像を得 ることができる。しかも本考案のボンド磁石現像ロールは製造も容易であり、工 業的な量産にも適している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のボンド磁石現像ロールの断面図であ
り、（イ）は軸方向断面図、（ロ）は径方向断面図

【図２】本考案のボンド磁石現像ロールの概要を示す正
面図

【図３】細条の１実施例を示した説明用拡大図

【符号の説明】

１ 導電性軸芯 ２ ボンド磁石外層 ３ 細条 ４ 溝部 ５ 山部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 多極に着磁されたフェライト系ボンド磁
   石外層と導電性軸芯とからなる磁性粉搬送転写用のボン
   ド磁石現像ロールに於て、前記ボンド磁石外層表面に円
   周線と斜交する細条を緊密に設けたことを特徴とするボ
   ンド磁石現像ロール。
2. 【請求項２】 フェライト系ボンド磁石外層がゴム様弾
   性を有することを特徴とする請求項１記載のボンド磁石
   現像ロール。
3. 【請求項３】 細条溝部の深さを、少なくとも当該ボン
   ド磁石現像ロールが想定する異物の大きさよりも深くし
   たことを特徴とする請求項１又は２記載のボンド磁石現
   像ロール。