JPH0582927U - 長尺材移送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】保持具の後退動作に要する時間の大幅な短縮を
実現して製作効率の向上を図ることができる長尺材移送
装置を提供する。 【構成】加工機１に連結されたローラコンベア２と、こ
のローラコンベア２上に載置された長尺材Ｗ_F，Ｗ_Bそれ
ぞれの端部Ｗ₁，Ｗ₂を保持する保持具３と、この保持具
３を加工機１に向かって移送する前進用移送機構１３
と、この前進用移送機構１３及び保持具３を互いに切り
離し可能に連結する連結機構１４と、保持具３を加工機
１から離れる方向に沿って移送する後退用移送機構１５
とを備えており、連結機構１４は移送機構１３の送りね
じ軸８をその両側から挟み込む一対の移送ナット１６を
具備し、また、後退用移送機構１５はローラコンベア２
の一側部に沿って配設されたうえで保持具３と連結され
た無端伝動体２１及びこれを後退方向に沿って駆動する
駆動源２３とを具備している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電気機器の構成部材であるブスバーなどを製作する際に用いられる 長尺材移送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、この種の長尺材移送装置としては、図４ないし図６で示すように、 プレス機のような加工機１に連結して設置されたローラコンベア２と、このロー ラコンベア２上に載置された長尺材Ｗ_F，Ｗ_Bそれぞれの端部Ｗ₁，Ｗ₂を保持する 保持具３と、この保持具３を加工機１に向かう前進方向（図中、符号Ｆで示す） 及び加工機１から離れる後退方向（図中、符号Ｂで示す）のいずれにも沿って移 送しうる移送機構４とを備えたものがある。そして、この保持具３はエアシリン ダ５などを用いることによってローラコンベア２の上面に対して遠近自在に揺動 操作される構成となっており、保持具３の前端部にはその前側位置に配置された 長尺材Ｗ_Fの後端部Ｗ₁をつかんで保持するチャック部６が設けられる一方、その 後端部には保持具３の後側位置に配置された他の長尺材Ｗ_Bの前端部Ｗ₂をつかん で保持するチャック部７が設けられている。

【０００３】 また、移送機構４は、ローラコンベア２の一側部に沿って並列配置されたうえ で回動自在に支持された送りねじ軸８と、これを回動操作する正逆転可能な電動 モータ９とから構成されており、送りねじ軸８には保持具３の基台１０に取り付 け固定された移送ナット１１が螺合させられている。なお、図中の符号１２は保 持具３を正しく案内すべく設けられたガイドレールであり、ローラコンベア２と 平行な状態で取り付けられている。

【０００４】 ところで、上記長尺材移送装置においては、保持具３を前進動作させることに より、その前端部に設けられたチャック部６によって後端部Ｗ₁がつかまれた長 尺材Ｗ_Fを加工機１に向かって送り込んでいくと、この保持具３の後端部に設け られたチャック部７によって前端部Ｗ₂が保持された他の長尺材Ｗ_Bも同時に引き 込まれ、ローラコンベア２上を加工機１に向かって前進してくることになる。そ こで、この長尺材移送装置によれば、ローラコンベア２の後側位置上に載置され た次に加工すべき長尺材Ｗ_Bを加工機１近くまで人手によって送り込む必要がな くなり、保持具３の前側位置に配置されていた長尺材Ｗ_Fの加工が終了した後は 、加工済みとなった長尺材Ｗ_Fの残存部及び引き込まれてきた他の長尺材Ｗ_Bをチ ャック部６，７からそれぞれ取り外したうえ、保持具３を揺動操作してローラコ ンベア２の上面から離間させた状態で他の長尺材Ｗ_Bの後端部（図示していない ）をつかみうる所定の後側位置まで後退させると、すぐさま、保持具３のチャッ ク部６によって新たに加工すべき長尺材Ｗ_Bの後端部を保持したうえでの加工作 業を続行することができることになる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、前記従来構成とされた長尺材移送装置においては、保持具３が前進 動作及び後退動作を繰り返すことになるのであるが、正逆転駆動される送りねじ 軸８を用いて構成された同一の移送機構４によって保持具３の前進動作及び後退 動作を行わせる構成となっているため、長尺材Ｗ_Fの加工速度に従って前進した 保持具３をただ単に他の長尺材Ｗ_Bの後端部をつかみうる所定の後側位置まで後 退させる必要があるだけに過ぎないにも拘わらず、その後退動作時には前進動作 時とほぼ同程度の時間を要することになり、生産効率の向上を図りにくいという 不都合が生じることになっていた。

【０００６】 本考案は、このような不都合に鑑みて創案されたものであって、保持具の後退 動作に要する時間の大幅な短縮を実現して生産効率の向上を図ることができる長 尺材移送装置の提供を目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案にかかる長尺材移送装置は、このような目的を達成するために、加工機 に連結されたローラコンベアと、このローラコンベア上に載置された長尺材それ ぞれの端部を保持する保持具と、この保持具を加工機に向かう前進方向に沿って 移送する前進用移送機構と、この前進用移送機構及び保持具を互いに切り離し可 能に連結する連結機構と、保持具を加工機から離れる後退方向に沿って移送する 後退用移送機構とを備えており、連結機構は前進用移送機構の送りねじ軸をその 両側から挟み込む一対の移送ナットを具備し、また、後退用移送機構はローラコ ンベアの一側部に沿って配設されたうえで保持具と連結された無端伝動体及びこ れを後退方向に沿って駆動する駆動源とを具備していることを特徴とするもので ある。

【０００８】

【作用】

上記構成によれば、長尺材の加工速度に従って行われる保持具の前進動作が終 了した後、連結機構の操作によって前進用移送機構の送りねじ軸と保持具とを互 いに切り離したうえで後退用移送機構の駆動源を駆動すると、保持具はこれが連 結された無端伝動体の駆動に伴い、加工機から離れる後退方向に沿って移送され ることになる。そこで、この保持具の後退動作に要する時間が前進用移送機構に よって規制されることはなくなり、後退用移送機構によって保持具の後退動作時 における必要時間を一義的に定めることが可能となる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

【００１０】 図１は本実施例にかかる長尺材移送装置の概略構成を示す平面図、図２は図１ のＡ−Ａ線に沿う側断面図であり、図３は図１のＢ−Ｂ線に沿う要部構造を拡大 して示す断面図である。なお、この長尺材移送装置の全体構成は従来例と基本的 に異ならないから、図１ないし図３において図４ないし図６と互いに同一もしく は相当する部品、部分については同一符号を付しており、ここでの詳しい説明は 省略する。

【００１１】 本実施例にかかる長尺材移送装置は、プレス機や孔明け機などのような加工機 １に連結して設置されたローラコンベア２と、ローラコンベア２上に載置された うえでブスバーなどとして加工される長尺材Ｗ_F，Ｗ_Bそれぞれの端部Ｗ₁，Ｗ₂を 保持する保持具３と、この保持具３を加工機１に向かう前進方向Ｆに沿って移送 する前進用移送機構１３と、この前進用移送機構１３と保持具３とを切り離し自 在に連結する連結機構１４と、保持具３を加工機１から離れる後退方向Ｂに沿っ て移送する後退用移送機構１５とを備えている。そして、この前進用移送機構１ ３は、従来例における移送機構４と同様、ローラコンベア２の一側部に沿って並 列配置されたうえで回動自在に支持された送りねじ軸８と、これを回動操作する 正逆転可能な電動機９とから構成されている。

【００１２】 また、連結機構１４は、前進用移送機構１３を構成する送りねじ軸８をその両 側から挟み込む半割り形状とされた一対の移送ナット１６を具備しており、各移 送ナット１６の互いに向きあう対向面上の所定位置には送りねじ軸８と合致して 螺合する半割り形状の雌ねじ（図示していない）がそれぞれ形成されている。そ して、これらの移送ナット１６は、保持具３の基台１０から吊り下げ固定された 一対の取付板１７間に架設された一対の連結軸１８によって摺動自在に支持され ており、移送ナット１６それぞれの対向面同士間には、押圧によって縮み、かつ 、自由状態で伸びることになる圧縮ばね１９が介装されている。さらに、各移送 ナット１６及びこれと対面する取付板１７との間には、周縁の一部に切欠部２０ ａが形成された半円形状のカム板２０がそれぞれ介装されており、これらのカム 板２０は互いに逆となる向き、すなわち、一方が時計方向であれば他方は反時計 方向となる向きに沿って回動操作されるようになっている。

【００１３】 そこで、互いに逆向きに回動させられたカム板２０それぞれの切欠部２０ａ同 士が対向しあった場合には、図３で示すように、圧縮ばね１９の作用によって各 移送ナット１６が互いに離間させられたうえで取付板１７側へとそれぞれ移動す ることになり、その結果として保持具３と送りねじ軸８とが互いに切り離される ことになる。なお、ここでは、これらのカム板２０を回動操作するために設けら れる駆動源及び駆動構成についての図示を省略している。

【００１４】 さらにまた、後退用移送機構１５は、ローラコンベア２の一側部に沿って配設 されて保持具３と連結された無端伝動体であるワイヤ２１と、ローラコンベア２ の前後端側それぞれに配置されてワイヤ２１が掛け渡された一対のワイヤシーブ ２２と、ワイヤ２１を加工機１から離れる後退方向に沿って駆動する駆動源とし ての電動モータ２３とを具備している。そして、この電動モータ２３にはワイヤ シーブ２２のうちの一方が直結もしくはギヤ機構（図示していない）などを介し て連結されており、これらの間には保持具３の前進動作に伴うワイヤ２１の移動 時におけるワイヤシーブ２２を空転動作させるための一方向クラッチ装置（図示 していない）が設けられている。なお、このとき、他方のワイヤシーブ２２が回 動自在に支持されていることは勿論である。

【００１５】 また、本実施例においては、ワイヤ２１及びワイヤシーブ２２を用いることに よって後退用移送機構１５を構成するとしているが、これに限定されるものでは なく、例えば、無端伝動体としてのチェーン及びスプロケットなどを用いてもよ いことはいうまでもない。さらに、以上の説明においては、一方向クラッチ装置 の使用によって後退用移送機構１５の空転動作を確保するとしているが、長尺材 Ｗ_Fの加工時における保持具３の前進動作に伴うワイヤ２１の移動速度はかなり 遅いのが普通であるから、一方向クラッチ装置を用いることなく、電動モータ２ ３自身を空転動作させることも考えられる。

【００１６】 ところで、本実施例にかかる長尺材移送装置によっても、保持具３が前進動作 及び後退動作を繰り返しながらの長尺材Ｗ_F，Ｗ_Bの加工が行われるのは従来例と 同じである。しかしながら、この長尺材移送装置においては、保持具３の前進動 作が終了した後、加工済みとなった長尺材Ｗ_Fの残存部及び保持具３の前進動作 に伴って引き込まれてきた他の長尺材Ｗ_Bがチャック部６，７から取り外された 保持具３を揺動操作してローラコンベア２の上面から離間させた状態で他の長尺 材Ｗ_Bの後端部（図示していない）をつかみうる所定の後側位置まで後退させる 場合に、連結機構１４を操作することによって前進用移送機構１３の送りねじ軸 ８と保持具３とを互いに切り離したうえで後退用移送機構１５の具備する電動モ ータ２３を駆動すると、この保持具３は前進用移送機構１３と何らの関わりなく ワイヤ２１によって高速駆動されることになるから、他の長尺材Ｗ_Bの後端部を 新たにつかみうる所定の後側位置までさほどの時間を要することなく後退させる ことが可能となる。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案にかかる長尺材移送装置によれば、前進用移送機 構と保持具とを切り離し可能に連結する連結機構と、保持具を後退方向に沿って 移送する後退用移送機構とを設けているので、連結機構の操作によって前進用移 送機構の送りねじ軸と保持具とを互いに切り離したうえで後退用移送機構の駆動 源を駆動すると、保持具はこれが連結された無端伝動体の駆動に伴い、加工機か ら離れる後退方向に沿って移送されることになる。そこで、この保持具の後退動 作に要する時間が前進用移送機構によって規制されることはなくなり、後退用移 送機構によって保持具の後退動作時における必要時間を一義的に定めることが可 能となる結果、保持具の後退動作に要する時間の大幅な短縮を実現して生産効率 の向上を図ることができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例にかかる長尺材移送装置の概略構成を
示す平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う側断面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線に沿う要部構造を拡大して示す
断面図である。

【図４】従来例にかかる長尺材移送装置の概略構成を示
す平面図である。

【図５】その側面図である。

【図６】保持具の揺動機構を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 加工機 ２ ローラコンベア ３ 保持具 ８ 送りねじ軸 １３ 前進用移送機構 １４ 連結機構 １５ 後退用移送機構 １６ 移送ナット ２１ ワイヤ（無端伝動体） ２３ 電動モータ（駆動源） Ｗ_F 長尺材 Ｗ_B 長尺材 Ｗ₁ 後端部 Ｗ₂ 前端部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 加工機（１）に連結されたローラコンベ
   ア（２）と、このローラコンベア（２）上に載置された
   長尺材（Ｗ_F，Ｗ_B）それぞれの端部（Ｗ₁，Ｗ₂）を保持
   する保持具（３）と、この保持具（３）を加工機（１）
   に向かう前進方向（Ｆ）に沿って移送する前進用移送機
   構（１３）と、この前進用移送機構（１３）及び保持具
   （３）を互いに切り離し可能に連結する連結機構（１
   ４）と、保持具（３）を加工機（１）から離れる後退方
   向（Ｂ）に沿って移送する後退用移送機構（１５）とを
   備えており、 連結機構（１４）は、前進用移送機構（１３）の送りね
   じ軸（８）をその両側から挟み込む一対の移送ナット
   （１６）を具備し、 また、後退用移送機構（１５）は、ローラコンベア
   （２）の一側部に沿って配設されたうえで保持具（３）
   と連結された無端伝動体（２１）及びこれを後退方向に
   沿って駆動する駆動源（２３）とを具備していることを
   特徴とする長尺材移送装置。