JPH0581940U - 有機電解液電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】圧力応答性の良好な安全弁装置を具備し、か
つ、耐リーク性に優れた有機電解液電池を得ること。 【構成】外装缶は発電要素を内蔵し一極性端子を兼ね
る。金属蓋は外装缶と導電的に固着され外装缶の開口部
を閉塞する。封口体は安全弁を有し、他極性端子を兼ね
る。封口体は絶縁部材を介して封口体挟持板をかしめ固
定される。封口体挟持板はプロジェクション溶接により
金属蓋と一体化されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はポータブル機器の駆動用電源としての有機電解液電池に関するもので あり、特に、短絡や過充放電時等における電池内圧上昇や電池温度上昇時等に対 する防爆、安全構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年、ラップトップコンピューター，ワープロ等の携帯情報機器、カメラ一体 型ＶＴＲ，液晶テレビ等のＡＶ機器や携帯電話等の移動通信機器等々のように、 電源としての電池に対し大電流、大出力を要求する機器が多種多様に発達し、よ り高エネルギー密度の電池が要望されている。さらに、機器が薄形化、小型化す るにつれ電池も薄形化、小型化が要求される。そして、その要望に応えるべく、 種々の新しい電池が提案されているが、特に、有機電解液電池は高エネルギー密 度の為、研究開発、さらには商品化が近年盛んに行われている。

【０００３】 しかしながら、この種の電池が長期にわたって安定に使用されるためには、電 解液の漏出や大気中の水分の電池内への侵入による電池活物質や電解質等との反 応が原因で生じる電池性能の低下を防止するため、気密性、液密性の両面から電 池を完全密封する必要があり、極めて密閉性の高い封口がなされている。

【０００４】 一方、この種の電池が高温に晒されたり、外部短絡又は電極やセパレータの劣 化、形状変化等による内部短絡、或は外部電源による強制的な過大電流放電の発 生により急激な温度上昇があった場合や、過大電圧による過充電がなされた場合 に、有機電解液溶媒が揮発或は分解してガスが発生し、このガスが電池内に閉じ 込められ、電池内圧が著しく上昇するため、電池ケースが膨張変形し、時として 電池が破裂し、安全上重大な問題となる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 このような問題を解決するため、従来この種の電池においては、ガス発生によ り電池内圧が上昇した時、危険な破裂に至る高圧になる前に電池ケース或は封口 体に安全弁装置が設けられていた。代表的なものとして、図８に示すようにガラ スシール或はセラミックシールなどの絶縁部材（１７）を用いたハーメチック構 造を採用し、一極性端子を兼ねる外装缶（６）と金属蓋（１）とをレーザー溶接 等により溶着すると共に、他極性端子ピン（１８）を絶縁部材（１７）中に貫通 固定するものがある。

【０００６】 ところが、このような電池においてはその密閉性の高さゆえに誤使用や異常環 境下で電池内圧が上昇すると外装缶が異常に膨れ電池破裂の危険性がある。また 、電池破裂を防ごうとし、電池内圧上昇時に絶縁部材（１７）が破壊する構造な るものにしようとすると、絶縁部材と金属蓋部或は絶縁部材と端子ピン（１８） との密着性を弱めなければならないが、そうすると、電解液の漏液が発生する。 そこで、電池の破裂を未然に防止するものとして、図９に示すように、外装缶（ ６）の底の一部を薄肉とすることで、電池内圧異常上昇時に薄肉部（１９）が破 れる構造を持たそうするものがある。しかしながら、この場合、薄肉部の厚みを 管理するのが困難であり、作動圧設定が難しく、十分な安全性を得ることはでき ない。

【０００７】 図１０の電池構造は安全弁を付設した封口体（１３）を樹脂製絶縁パッキング （１２）を介して外装缶（６）の開口縁によりかしめつけて固定するものである 。この構造は特に圧力応答性の良好な安全弁を装着しうるものの、予め電解液を 注入した後、かしめ固着するため電解液が絶縁パッキング（１２）と外装缶（６ ）との間隙或は絶縁パッキング（１２）と封口体（１３）との間隙に侵入して液 だまりができたりすることで耐リーク性能に問題がある。

【０００８】 そこで、圧力応答性の良好な安全弁装置を具備し、かつ、耐リーク性に優れた 有機電解液電池を得ることが課題とされていた。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案は、発電要素を内蔵する一極性端子兼用の外装缶と、該外装缶に導電的 に固着された外装缶の開口部を閉塞する金属蓋と、安全弁を付設し、且つ、絶縁 部材を介して配置される他極性端子兼用の封口体をかしめて締着する封口体挟持 板を前記金属蓋にプロジェクション溶接にて金属蓋と一体化してなる安全弁装置 を備えた有機電解液電池とすることにより前述の課題を解決するものである。

【００１０】 この封口体挟持板と金属蓋を接続する方法はプロジェクション溶接の他、レー ザー溶接、抵抗スポット溶接等があるが、レーザー溶接は装置が高額で、また、 溶接に時間がかかるため生産性に劣る。さらに、抵抗スポット溶接は単点スポッ トを狭いピッチで多点溶接する必要があり、生産性に劣り、また、溶接間隔に間 隙ができるため気密性にかける。プロジェクション溶接では、図１に示すように 、金属蓋（１）または、封口体挟持板（２）にリング状に山状のプロジェクショ ン（突起）（３）を設け、この突起によって溶接電流及び加圧力の集中を図り、 発熱効率の高い溶接ができるので、一工程で全周の溶接ができ、生産性がよく、 気密性のある溶接物が得られる。

【００１１】

【作用】

本考案電池によれば、図２に示す圧力応答性の良好な安全弁装置を有するため 誤使用等の異常時による電池の破裂がなく、安全性に優れている。また、金属蓋 、封口体、及び絶縁部材を一体化した後に電解液を注入した外装缶に装着するも のであるため、図１０のような構造の電池で問題となる液だまりによる漏液は発 生することがなく、耐リーク性の向上を図ることができる。

【００１２】

【実施例】

以下、本考案の実施例につき図面に基づき詳述する。

【００１３】 図１はプロジェクション溶接の加工工程を示す。開口部の周囲にリング状にプ ロジェクション（３）を設けた金属蓋（１）と封口体挟持板（２）を、溶接電極 ヘッド（４）により加圧しながら溶接（１４）し、金属蓋（１）と一体化した蓋 体（５）を得る。

【００１４】 図２は、図１の工程で得られた蓋体（５）を用いて組み立てた一実施例による 有機電解液電池の要部断面図を示し、封口体（１３）を絶縁部材（１２）を介し て、封口体挟持板（２）内に装着し、封口体挟持板の上端部を内側にかしめて締 着して固定する。

【００１５】 封口体（１３）は、図５に示すように、ガス抜き孔（８）を有した皿状端子板 （７）、弁孔（１０）を有した封口蓋（９）、可塑性薄板（１１）からなり、封 口蓋（９）をかしめて一体とする。また、可塑性薄板（１１）は、電池の内圧が 上昇した時に破れ、電池内のガスが外部に放出されて電池の破裂を防止するため の安全弁の役目をする。

【００１６】 尚、図３は封口体（１３）を締着する封口体挟持板の形状をシルクハット状封 口体挟持板（１５）とし、このシルクハット形状のつばの部分を金属蓋（１）に プロジェクション溶接したものであり、さらに、図４は金属蓋（１）の内側に封 口体挟持板を溶接した他の実施例である。

【００１７】 さらに、金属蓋（１）と封口体挟持板（２）との溶接時の位置合わせを容易に するために、図６に示すように、封口体挟持板の開口部端を金属蓋開口部に内接 するように突出させた構造としてもよい。

【００１８】 尚、本実施例では金属蓋にリング状のプロジェクションを設けたが、このプロ ジェクションは金属蓋または封口体挟持板のどちらに設けてもよい。

【００１９】 プロジェクションの形状、寸法によって溶接そのものが大きな影響を受け、ま た、溶接部の品質が決まると言っても過言ではなく、溶接材料の板厚み、材質を 考慮して決定する必要がある。本実施例では山状のプロジェクションを設けたが 、その他、図７に示すようにコーン状（１６）にしても良好な溶接が可能である 。

【００２０】

【考案の効果】

以上のことから、本考案によれば、有機電解液電池において、圧力応答性の良 好な安全弁装置を有し、且つ、金属蓋、封口板及び絶縁部材を一体化した後に電 解液を注入した外装缶の開口部に装着するものあるので、従来のような電解液注 入後に金属蓋の孔縁部延出部の端部を絶縁パッキングに締着して封口板を固定す るかしめ工程において液だまりが生じるという弊害がなく、安全性に加えて耐リ ーク性に優れた有機電解液電池を得ることができ、その実用的価値は極めて大で ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例におけるプロジェクション溶接
の加工工程図。

【図２】本考案の実施例による有機電解液電池の要部断
面図。

【図３】他の実施例による有機電解液電池の要部断面
図。

【図４】他の実施例による有機電解液電池の要部断面
図。

【図５】封口体の加工工程図。

【図６】他の実施例における封口体挟持板の開口部端を
突出した構造の断面図。

【図７】他の実施例における金属蓋に設けるプロジェク
ションの断面図。

【図８】従来の有機電解液電池の要部断面図。

【図９】従来の有機電解液電池の要部断面図。

【図１０】従来の有機電解液電池の要部断面図。

【符号の説明】

１ 金属蓋 ２ 封口体挟持板 ３ 本実施例のプロジェクション ４ 溶接電極 ５ 封口蓋 ６ 外装缶 ７ 皿状端子板 ８ ガス抜き孔蓋 ９ 蓋体 １０ 弁孔 １１ 可塑性薄板 １２ 絶縁部材 １３ 封口体 １４ 溶接部 １５ シルクハット状封口体挟持板 １６ コーン状プロジェクション １７ ガラスまたはセラミックシール １８ 端子ピン １９ 薄肉部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】外装缶（６）と金属蓋（１）と封口体（１
   ３）を有し、 外装缶は発電要素を内蔵し一極性端子を兼ねるものであ
   り、 金属蓋は外装缶と導電的に固着され外装缶の開口部を閉
   塞するものであり、 封口体は安全弁を有し、且つ、他極性端子を兼ねるもの
   であり、封口体は絶縁部材を介して封口体挟持板（２）
   をかしめることにより固定されており、封口体挟持板は
   プロジェクション溶接により金属蓋と一体化されている
   ことを特徴とする有機電解液電池。