JPH058090U - プロペラシヤフト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶接を必要とせずにアンバランスの修正を可
能として、補強リング部材の薄肉化およびプロペラシャ
フト自体の軽量化を実現すること。 【構成】 ヨーク２の軸部２Ａに塑性結合するチューブ
１の端部１Ａの外周に、補強リング部材３を圧入または
焼嵌めし、その補強リング部材３に、プロペラシャフト
の軸線方向に貫通し、かつ必要に応じてバランスピン６
を挿入して嵌着可能な複数のバランスピン孔５を設け
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プロペラシャフトに関し、特に、車両用のエンジンからの動力を車 輪等に伝達するために用いて好適なプロペラシャフトに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のプロペラシャフトとしては、例えば特開平１−３０７５０６号 公報に開示されているものがある。

【０００３】 かかるプロペラシャフトは、自在継手のヨークの軸部外周にチューブ（同公報 では「パイプ」）の端部を嵌め合わせてから、チューブの端部をヨークの軸部外 周に塑性結合させ、さらに、その結合部の強度を増すために、チューブの端部外 周に補強リング部材を圧入または焼ばめによって嵌着させた構成となっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような従来例にあっては、例えば、プロペラシャフトのア ンバランスを修正するために、補強リング部材上にバランスピースを溶接にて取 り付ける場合、特にアルミニウム合金製のチューブと同材の補強リング部材上に バランスピースを溶接する場合には、チューブおよび補強リングの熱伝導性が高 いために大容量の溶接設備が必要であった。しかも、大容量の溶接のために、補 強リング部材が熱変形して、結合部の補強効果が減少するおそれがあり、それを 回避するためには、補強リング部材の肉厚を必要以上に厚くしなくてはならなか った。このことは、チューブ上にバランスピースを溶接する場合には、もっと顕 著になり、軽量化の大きな障害となる。

【０００５】 本考案の目的は、上記従来の問題を解決し、溶接を必要とせずにアンバランス の修正を可能として、補強リング部材の薄肉化および全体の軽量化を図ることが できるプロペラシャフトを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案のプロペラシャフトは、ヨークの軸部外周にチューブの端部が塑性結合 され、前記チューブの端部外周に補強リング部材が嵌着されてなるプロペラシャ フトにおいて、前記補強リング部材にバランスピースを嵌着可能な嵌着部を設け たことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

本考案のプロペラシャフトは、補強リング部材にバランスピースを嵌着可能な 嵌着部を設けたことにより、必要に応じてその嵌着部にバランスピースを嵌着さ せることによって、プロペラシャフトの回転アンバランスの矯正を可能として、 、従来のようなバランスピース等の溶接を不要とし、補強リング部材の薄肉化、 およびプロペラシャフト自体の軽量化を実現する。

【０００８】 また、バランスピースの嵌着部をプロペラシャフトの軸線方向に沿って延在す る孔として、その孔にピン状のバランスピースを挿入により嵌着させた場合には 、特別な手段を講じることなく、バランスピースの飛び出しを防止して、補強リ ング部材の一層の薄肉化を可能とする。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

【００１０】 図において、１はチューブ、２，２はヨークであり、共にアルミニウム合金材 で形成されており、チューブ１の両端部にヨーク２，２が嵌め合わされて塑性結 合され、その結合部の外側に補強リング部材３，３が圧入または焼嵌めされてい る。ヨーク２の軸部２Ａにはセレーション部４が形成されており、チューブ１の 端部１Ａの絞り加工等によって、チューブ１の内側がセレーション部４に喰い込 んでいる。

【００１１】 補強リング部材３には、円柱状のバランスピン（バランスピース）６を挿入固 定可能なバランスピン孔（バランスピースの嵌着部）５が形成されている。本実 施例におけるバランスピン孔５は、プロペラシャフトの回転中心を挾んで互いに 対向するように６対，計１２個形成され、さらにそれぞれのバランスピン孔５は 、プロペラシャフトの軸線方向に貫通する断面円形に形成されている。これらの バランスピン孔５は、後述するように、プロペラシャフトの回転バランスを矯正 するためのバランス調整部を構成している。

【００１２】 しかして、このように構成されたプロペラシャフトは、プロペラシャフトのア ンバランス方向側のバランスピン孔５内にバランスピン６を圧入固定することに よってプロペラシャフトの回転バランスを矯正することができる。また、補強リ ング部材３は、バランスピン６の圧入固定の如何に拘らず、所期の補強機能を果 たす。

【００１３】 なお、バランスピン孔５の形状および形成数は何ら上記の実施例のみに特定さ れず任意であり、バランスピン６を挿入して嵌着できればよい。また、バランス ピースとしては、バランスピン６以外の種々の形状のものを用いてもよい。さら に、バランスピースの嵌着部としては、バランスピン孔５以外の形態、例えば底 部を有する窪み形態等としてもよく、要は、バランスピースを挿入等の種々の方 法によって嵌着できればよい。なお、嵌着後に、接着剤を用いる等の方法により 、各種バランスピースの脱落防止手段を施すことは任意である。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のプロペラシャフトは、補強リング部材にバラン スピースを嵌着可能な嵌着部を設けた構成であるから、必要に応じてその嵌着部 にバランスピースを嵌着させることによって、プロペラシャフトの回転アンバラ ンスの矯正を行うことができ、従来のようなバランスピース等の溶接を不要とし て、補強リング部材の薄肉化、およびプロペラシャフト自体の軽量化を実現する ことができる。

【００１５】 また、バランスピースの嵌着部をプロペラシャフトの軸線方向に沿って延在す る孔として、その孔にピン状のバランスピースを挿入により嵌着させた場合には 、特別な手段を講じることなく、バランスピースの飛び出しを防止して、補強リ ング部材の一層の薄肉化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例を示す縦半断面図であ
る。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線に沿う拡大断面図である。

【符号の説明】

１ チューブ １Ａ 端部 ２ ヨーク ２Ａ 軸部 ３ 補強リング部材 ４ セレーション部 ５ バランスピン孔（バランスピースの嵌着部） ６ バランスピン（バランスピース）

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヨークの軸部外周にチューブの端部が塑
   性結合され、前記チューブの端部外周に補強リング部材
   が嵌着されてなるプロペラシャフトにおいて、 前記補強リング部材にバランスピースを嵌着可能な嵌着
   部を設けたことを特徴とするプロペラシャフト。
2. 【請求項２】 前記嵌着部は、プロペラシャフトの軸線
   方向に延在し、かつピン状のバランスピースを挿入によ
   り嵌着可能なバランスピン孔であることを特徴とする請
   求項１に記載のプロペラシャフト。