JPH0580233B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0580233B2
JPH0580233B2 JP58153860A JP15386083A JPH0580233B2 JP H0580233 B2 JPH0580233 B2 JP H0580233B2 JP 58153860 A JP58153860 A JP 58153860A JP 15386083 A JP15386083 A JP 15386083A JP H0580233 B2 JPH0580233 B2 JP H0580233B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyurethane
silicon
blood
solution
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP58153860A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6045357A (ja
Inventor
Yasushi Jo
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP58153860A priority Critical patent/JPS6045357A/ja
Publication of JPS6045357A publication Critical patent/JPS6045357A/ja
Publication of JPH0580233B2 publication Critical patent/JPH0580233B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明はポリウレタンと架橋含珪素重合体が相
互侵入網目構造を形成して成る著しく抗血栓性に
優れた新規な抗血栓材料で血液接触部が構成され
た血液接触医療器具の製造方法に関するものであ
る。 従来から、ポリジアルキルシロキサン−ポリウ
レタン系の抗血栓性物質としてはポリジアルキル
シロキサン−ポリウレタンブロツク共重合体が知
られており(特公昭49−29350、特公昭55−
8177)、前者ではポリウレタンのブロツクとポリ
ジアルキルシロキサンのブロツクが珪素−窒素結
合によつて結合しているブロツク共重合体が提案
されている。一方後者ではポリジメチルシロキサ
ン−ポリウレタンブロツク共重合体で被覆された
血液接触面が径0.1〜3μの粒子でほぼ均一に分散
したミクロ不均一構造を示す場合に抗血栓性が発
現することが主張され、このようなミクロ不均一
構造をとるために高分子物質がブロツク共重合体
であることが好ましいことを述べている。またポ
リジメチルシロキサンやポリウレタン単独重合体
よりも上記ブロツク共重合体がはるかに優れた抗
血栓性を示すとしている。 従来公知のこれらの抗血栓材料はいずれもポリ
ウレタン重合体又はポリシロキサン重合体を出発
物質としてつくられたものである。すなわち、公
知のブレンド(混合体)による抗血栓材料では、
その出発物質であるポリウレタンやポリシロキサ
ンは夫々重合体として供せられているし、一方共
重合体の場合、ランダム共重合であつても又ブロ
ツク共重合体あるいはグラフト共重合体であつて
も、共重合体を構成するブロツク単位は夫々高分
子量の重合体である。 本発明者はポリウレタン−含珪素重合体系の抗
血栓材料を探究中、従来公知の技術とは全く異な
つた手法で画期的な抗血栓材料の製造法を見い出
し、本発明を完成した。 本発明はポリウレタンと架橋含珪素重合体とが
相互侵入網目構造を形成する新しい抗血栓材料で
血液接触部を構成する血液接触医療器具の製造方
法を提供するものであり、この材料の製造方法は
公知の技術にみられない新規なものであり又この
方法によつて製造された物質は極めて優れた抗血
栓を示すことを本発明者は見出した。 本発明者はポリウレタンと含珪素重合体の単な
るブレンドではなく、この両重合体の間で相互侵
入網目構造を形成させ、両重合体が相互に交絡し
たミクロドメイン構造を発現させることを着想
し、ポリウレタンを溶媒に溶解した溶液に、適当
な方法によつて架橋能を生じ架橋重合体に転化し
うる低分子の含珪素化合物を加えた溶液とし、こ
れを成膜することによつて上記着想の具現化を試
み本発明に到達したものである。本発明に用いら
れる架橋能を有する低分子の含珪素化合物(以下
含珪素架橋剤と称する)からの含珪素重合体とし
てはポリシロキサンが最も好ましい。 本発明において使用される含珪素架橋剤として
は、通常シリコーン樹脂等の製造に用いられるい
わゆる室温架橋剤やシランカツプリング剤を用い
ることが出来る。これらは低分子であつて、上記
ポリウレタンの溶媒に可溶であり、したがつて前
記含珪素架橋剤を含有するポリウレタン溶液は均
一な透明溶液として得られる。この点において、
本発明者らがすでに提案した、ポリウレタン−ポ
リシロキサン混合系溶液組成物と大きく異なると
ころであり、ポリウレタン−ポリシロキサン混合
系は相互に溶解しないためにミクロの相分離を生
じて、溶液組成物中においてポリシロキサンは微
細粒子として分散してエマルジヨンとなり、組成
物の安定性に問題があることがわかつている。こ
れらは2成分がミクロに分散したエマルジヨンで
あるために溶液は不透明に白濁しておりポリウレ
タンとポリシロキサンのドメインも0.1〜50μにわ
たつているのが普通である。 これに反して本発明で用いる溶液組成物では、
含珪素架橋剤は低分子であり、ポリウレタンと完
全に相溶している。この系はポリウレタンの溶媒
と含珪素架橋剤から成る混合溶媒系にポリウレタ
ンが溶解しているものと考えることも出来、含珪
素架橋剤はポリウレタン分子と分子オーダーで混
合している点に特徴を有している。 本発明では系の水分を能うかぎり脱水して無水
状態とすることが好ましく、水によつて活性化さ
れる含珪素架橋剤を用いた場合、含珪素架橋剤は
無水に保たれているかぎり不活性状態に保たれ、
経時的に極めて安定である。この溶液を成膜する
と溶媒が蒸発するにつれて、高沸点の含珪素架橋
剤は成膜内に残留し、溶媒の量が蒸発によつて減
少し、これにつれて成膜内部で含珪素架橋剤が相
互に凝集して独立したミクロのドメインを形成
し、空気中の水分を吸収して該架橋剤中の官能基
が活性化して相互に縮合反応を生じ、ついには該
架橋剤は架橋したポリシロキサンにまで変化す
る。このようにして生成したポリシロキサンはミ
クロのドメインを構成するとともに、当然そこに
はポリウレタン分子を交絡して相互侵入網目構造
を形成する。 本発明の実施において、フイルム(薄膜)成形
(キヤスト、コーテイング、デイツプ等の方法に
よる)する直前に意図的に含珪素架橋剤を活性化
するために水を加えてもよい。このようにして生
成したフイルムの表面は後の実施例でも述べるよ
うにおどろく程に高度の抗血栓性を示す上、元来
透明な均一溶液であるのでフイルム表面は全く凸
凹のないスムーズなものであり、この点ポリウレ
タンとポリシロキサンの混合系より成膜したフイ
ルムの表面が0.1〜50μの凸部や凹部を生じるのと
比べて極めて対照的であつて、このスムーズな平
滑表面も又抗血栓に寄与していると思われる。こ
れらの含珪素架橋剤のうち、水によつて活性化さ
れる官能基を有するものが特に好ましい。これら
の代表例は≡SiO−COCR,≡Si−OR(R:CH3
C2H5,C3H7,C4H9などの炭化水素)、≡Si−OX
(X:Cl,Brなどのハロゲン)、≡Si−NR2(R:
上記と同じ)などがある。このような含珪素架橋
剤を用いたときに生成される架橋含珪素重合体は
ポリシロキサン構造をとる。 これらの含珪素架橋剤は必ずしも1種類のもの
を用いることに限定されることはなく、2種類以
上の混合物であつてよい。又、反応基の異なる2
種以上の含珪素架橋剤を用いてもよい。すなわ
ち、架橋反応はたとえばSi−OH同志の縮合反応
によつてSi−O−Si結合を生じさせてもよいし、
異なる官能基との間の反応によつて≡Si−R−Si
≡結合を生成させてよい(R:炭化水素)。 たとえば ≡Si−CH3+CH2=CH−Si≡過酸化物(触媒) −−−−−−−−−→ ≡Si−CH2−CH2−CH2−Si≡ ……(1) ≡Si−H+CH2=CH−Si≡白金(触媒) −−−−−−−→ ≡Si−CH2−CH2−Si≡ ……(2) のような反応を触媒の存在においておこさせてこ
の反応で架橋をおこさせてもよい。 たとえば、ヘキサメチルジシロキサンやジメチ
ルシランとトリビニルメチルシランとの混合物を
パーオキサイド触媒を用いて(1)の反応によつて3
次元架橋をおこさせてもよいし、又トリビニルエ
トキシシランとジエチルシランとを白金触媒を用
いて(2)の反応をおこさせて架橋してもよい。この
場合珪素原子は炭素原子を介して結合して高分子
化することになる。 本発明において重要な特徴は溶液組成物におい
ては含珪素架橋剤は低分子の不活性状態であり、
成膜直前又は成膜中に架橋官能基が活性化され
て、架橋反応を生じつつ、付加反応や縮合反応を
生じて高分子化し含珪素高分子化合物に変化し、
これらが架橋生成に伴つてポリウレタンと相互侵
入網目構造を生じてポリウレタンと架橋含珪素重
合体とが夫々のミクロドメインを形成することに
ある。 本発明の製造方法で得られる血液接触医療器具
は少なくともその血液接触部が上記したポリウレ
タンと架橋含珪素重合体とが相互侵入網目構造を
形成している抗血栓性材料で構成されているもの
である。 本発明の製造方法で得られる血液接触医療器具
は少なくともその血液接触部が本発明に用いる溶
液組成物を用いて得られる抗血栓性材料で構成さ
れておればよく、該部以外は他の材料で形成され
ていてもよい。本発明に用いる溶液組成物を用い
て得られる抗血栓材料は驚異的ともいえる抗血栓
性を示すので、この材料で血液接触部が構成され
た本発明の製造方法で得られる血液接触医療器具
としては人工心臓、人工腎臓回路や人工心肺回路
のような血液回路、血管内留置カテーテル、カニ
ユーレ、各種血液バイパスチユーブ、血液バツグ
などあらゆる血液接触医療器具が含まれる。 本発明の製造方法で得られる血液接触医療器具
はその血液接触面にポリウレタンと含珪素架橋剤
が均一に溶解した溶液を何らかの方法で接触さ
せ、被膜を形成させて血液接触面を形成させる
が、接触の方法としては流延、デイツピング、コ
ーテイング、噴霧など公知の方法を用いることが
でき、特に制限はない。 被膜中の該架橋剤の架橋含珪素重合体への転化
を充分に行わせることによつて血液接触面ができ
あがる。 本発明の血液接触医療器具の製造方法について
詳細に説明する。 本発明においては、ポリウレタンをまず溶媒に
溶解する。この場合溶媒を出来るだけ脱水してお
くことが好ましい。溶媒としてはポリウレタンを
溶解する溶媒であればどんな溶媒を用いてもよ
い。この溶媒に含珪素架橋剤を加える。こゝで含
珪素架橋剤とは珪素をその分子内に1ケ以上有
し、適当な活性化手法によつて架橋能を生じるよ
うな官能基を有する化合物を指し、具体的にはシ
リコーンゴムやシリコーン樹脂の室温架橋剤、ラ
ンカツプリング剤として知られている公知の化合
物が広く用いられる。 水によつて活性化して架橋能を発揮し、ポリシ
ロキサン架橋体を形成する分子内に珪素原子1ケ
を有する含珪素架橋剤の例としては一般式 RoSiR′4-o(式中Rはアルキル基、アリール基など
の炭化水素残基を、R′はアルコキシ基、アシル
オキシ基、ハロゲン又はアミン残基を、nは0,
1を表わす)で表わされる化合物がある。 具体的な例としては、たとえばテトラアセトキ
シシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチル
トリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシ
シラン、ブチルトリアセトキシシラン、フエニル
トリアセトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、テトラエトキシ
シラン、フエニルトリエトキシシラン、プロピル
トリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルト
リメトキシシラン、ブチルトリメトキシシランあ
るいはテトラクロロシラン、メチルトリクロロシ
ラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロ
ロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビス−
(N−メチルベンジルアミド)エトキシメチルシ
ラン、トリス−(ジメチルアミノ)メチルシラン、
トリス−(シクロヘキシルアミノ)メチルシラン、
ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、テトラプロポキシシラン、ジビニルジエト
キシシランなどを代表例として挙げることができ
る。又、珪素をその分子中に2ケ含む含珪素架橋
剤の代表例としては、たとえば、テトラアセトキ
シジシロキサン、1,3−ジメチルテトラアセト
キシジシロキサン、1,3−ジビニルテトラエト
キシジシロキサンのような一般式 RoR′3-o−Si−O−SiRoR″3-n(式中n,m=0,
1,2,3,n+m=0,1,2,3のいずれ
か、Rは架橋能のない炭化水素残基、R′,R″は
適当な活性化手段で架橋能を示す基を示す)で表
わされる化合物が挙げられる。 珪素をその分子中に3ケ含む含珪素架橋剤の例
としては1,3,5−トリメトキシ−1,1,
3,5,5ペンタメチルトリシロキサン、1,
1,3,3,5,5−ヘキサアセトキシ−1.5−
メチルトリシロキサンなどを挙げることが出来
る。 これらの含珪素架橋剤としては公知の室温架橋
型のシランカツプリング剤が広く用いられ、たと
えばPetrarch System Inc.(ペトラーチシステム
インコーポレイテツド)発行のカタログSilicon
Compounds,Register & Review1979や同
社のSilicones1981に記載されているすべての
含珪素架橋剤を用いることが出来る。 本発明で使用するポリウレタンは何ら限定され
ず、ポリエステル系ポリウレタンおよびポリエー
テル系のポリウレタンであつて良い。 ポリエステル系ポリウレタンは例えばエチレン
グリコール、ジエチレングリコール等のグリコー
ルまたはトリメチロールプロパン、グリセリン等
の多価アルコールとアジピン酸、コハク酸等の多
価カルボン酸との間で末端水酸基のポリエステル
を合成し、これとエチレンジイソシアネート、
2,4−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジ
フエニルメタンジイソシアネート等のポリウレタ
ンの製造に従来から使用されているイソシアネー
ト基含有化合物とを反応させて両末端がイソシア
ネート基であるプレポリマーとし、公知の鎖延長
剤で鎖延長して調製してもよい。 また、ポリエーテル系ポリウレタンはたとえば
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール又はこれらの共重合物テトラメチレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコールあるいはア
ルキレンオキシドとプロピレングリコール、1,
2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコール
とを反応させて得られるポリオールと前記のイソ
シアネート基含有化合物とを反応させて末端イソ
シアネートのプレポリマーとし、これらを公知の
鎖延長剤で分子鎖を伸長させて調製してもよい。 尚、本発明に使用するポリウレタンを調製する
に際し、鎖延長剤としてジアミン、たとえばエチ
レンジアミン、ジエチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン等を用いてポリウレタンウレアとし
てもよい。又鎖延長剤としてはエチレングリコー
ル、ブタンジオール等の公知のジオールを用いて
もよいことは勿論である。 本発明で使用する溶剤はポリウレタンを溶解す
る環状エーテル類やジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシドのよう
な有機極性溶媒であり、医療器への応用の観点か
ら、塗布膜からの溶剤の除去(蒸発、水洗など)
が容易であることが必要であり、沸点が低いこと
が望ましく、沸点は160℃以下、更に好ましくは
沸点110℃以下が望ましい。また水洗除去の容易
さから水溶性の溶媒であることが望ましい。 従つて好ましい環状エーテル類としてはテトラ
ヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。 本発明においては溶剤は単独であるいは混合し
て使用することができる。優れた抗血栓性を与え
かつ塗布や脱溶剤が容易な点でテトラヒドロフラ
ンとジオキサンの混合物を使用することが最も好
ましい。ジオキサン/テトラヒドロフランの重量
比は1以下が好ましく、より好ましくは1/1〜
1/4、さらに好ましくは1/1.5〜1/3.0であ
る。1より大きいとポリウレタンの溶解性が低下
し、1/4より小さいとテトラヒドロフラン(低
沸点)の蒸発速度のコントロールがむつかしく、
好ましい表面をうる条件設定がむつかしくなる。
ジオキサン/テトラヒドロフラン混合比がこの範
囲にあるときに抗血栓性がすぐれているのは、こ
の範囲の溶媒の、蒸発速度と表面形成が微妙に影
響しているためと思われる。 またエーテル類に、本発明を実施するに際し程
度の大きい影響を及ぼさない範囲で少量の他の溶
剤、例えばアルコールやアセトン、ジメチルホル
ムアミドなどが含まれることは差しつかえない。
ポリウレタンと含珪素架橋剤の混合比は大巾に変
更可能である。すなわち混合物中の含珪素架橋剤
の量はポリウレタン100重量部に対して0.1〜200
重量部の範囲で使用可能で好ましくは1.0〜180重
量部、より好ましくは1.5〜160重量部、更に好ま
しくは2.0〜150重量部、更に好ましくは20部〜
120部である。 含珪素架橋剤の量がポリウレタン100重量部に
対して0.1重量部未満ではポリウレタン単独の場
合と比べて有意をみとめず又、含珪素架橋剤の量
が200重量部を超えるとフイルムの機械的性能が
劣り好ましくない。 本発明で使用する含珪素架橋剤を溶解したポリ
ウレタン溶液中のポリウレタン濃度は1〜50重量
%が用いられ、好ましくは3〜40重量%、より好
ましくは5〜30重量%、更に好ましくは8〜20重
量%である。この範囲よりポリウレタン濃度が低
いときは粘度が低くすぎて成膜時に塗布回数の増
加や形成フイルムの極薄などの問題を生じ、又こ
の範囲を超えると粘度が高すぎてフイルム厚の調
整が困難となる。 既に述べたとおり、公知の接触方法により血液
接触部は本発明で用いる溶液で被覆され、溶媒を
蒸発させることによつて被膜が形成される。溶媒
を蒸発させる際の温度は被膜に気泡が生じたり、
血液接触部が被覆溶液によつて溶解変形しない温
度であれば特に制限はないが、好ましくは室温〜
60℃の範囲である。また成膜中に含珪素架橋剤を
活性化して架橋を進行させるためには水分は不可
欠であるが、水分補給が可能であれば湿度は0
(たとえば窒素気流中)〜65%R.H.の範囲が好ま
しい。水分の存在下に該架橋剤の架橋を進行させ
るには、形成された被膜表面に水を噴霧したり、
血液接触部を水に浸漬したりなどの水分補給を行
なつて、室温〜100℃の範囲で通常1時間〜1ケ
月の範囲で充分に架橋を行わしめる。 このようにして血液接触部がポリウレタンと架
橋含珪素重合体が相互侵入網目構造を形成する抗
血栓材料で構成された血液接触医療器具が製造さ
れる。 本発明はポリウレタン溶液に前記の架橋能を有
する含珪素架橋剤を溶解し、この溶液を適当な方
法によつて成膜して血液接触部を形成させ、成膜
中に溶媒の蒸発に伴つて該架橋剤のミクロドメイ
ンを形成させるとともに架橋反応を活性化して3
次元の付加又は縮合反応を生起させて架橋含珪素
重合体とポリウレタンの相互侵入網目構造を形成
させることにその特徴を有するものである。 なお、本発明における相互侵入網目構造(IPN
と称される)の形成は一般的な相互侵入網目構造
形成法の一つである線状重合体()を架橋重合
体()を形成する単量体に溶解して架橋重合体
()を生成せしめる方法〔例えば
ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE
AND TECHNOLOGY、増補第1巻、288〜306
頁(1976年、John Wiley & Sons社刊)参
照〕に従つたものであり、線状のポリウレタンと
架橋含珪素重合体とが相互侵入網目構造を形成し
ているものである。 本発明による透明な、含珪素架橋剤を含有する
ポリウレタン溶液から成膜した表面は実に驚異的
ともいえる抗血栓性を示すだけでなく、該被膜は
強靱であると共に優れた弾性的性質を有している
ので、人工心臓や大動脈内バルーンポンプのよう
に絶えず拍動するような血液接触部を形成するの
に適している。 以下実施例により本発明を具体的に説明する。 以下に示す実施例は説明のためのものであつて
決して本発明の特許請求の範囲を限定するもので
はない。 実施例 1 ポリプロピレングリコール(平均分子量2100)
とメチレンビス(4−フエニルイソシアネート)
を用い、連鎖拡張剤としてエチレンジアミンを用
いて公知の方法で調製したポリエーテル系ポリウ
レタン100重量部を水分8ppm以下にまで脱水した
ジオキサン/テトラヒドロフラン混合溶剤(重量
混合比1/2)に35℃で、攪拌下に溶解し、粘稠
な溶液(重合体濃度10重量%)を調製した。この
溶液は最終的に9.5ppmの水分を含有していた。 この溶液に蒸留直後のメチルトリアセキシシラ
ンをポリウレタン100重量部に対し1,2,4,
6,8,12,14,20,30,40,50,60,75,80,
100,120,140,160,180,200重量部を夫々加え
て20種類の溶液をつくつた。これらの溶液を夫々
1−(1),1−(2),……,1−(20)とする。 これらの溶液はいずれも無色透明であつて、1
ケ月の貯蔵に対しても変化なく安定であつた。 これらの溶液からガラス板に成膜したフイルム
について言うと、溶液1−(1),1−(2),1−(3)か
ら製膜したフイルムはほとんど無色透明であり、
溶液1−(4)から成膜したフイルムは少し乳白色を
帯び、溶液中のメチルトリアセトキシシランの含
量が増加するにしたがつて白化度は増加する。 これらの表面を走査型電顕で観察すると極めて
平滑であつた。 これらのフイルムを用いてリーホワイト試験
(臨床検査法提要、−86、金井泉、金井正光編
著 金原出版)を行い、血液の凝固時間を測定し
た。結果を第1表に示した。参考までにガラス、
シリコーン処理(ポリジメチルシロキサンで被
覆)ガラス、本実施例のポリウレタンの結果も併
記した。供試フイルムはガラス製時計血を前記の
各溶液でコーテイングし、室温、65%RHの雰囲
気中で10日以上放置して充分メチルトリアセトキ
シシランの架橋を行わせたのち、試験に供した。
【表】
【表】 第1表に示すようにリーホワイト試験の結果、
溶液1−(14)〜(20)を用いた場合血液は200分
以上にわたつて凝固せず、従来の常識をこえた画
期的性能を有することがわかつた。 実施例 2 ポリエチレングリコール(平均分子量1800)と
トリレンジイソシアネートを用い、連鎖拡張剤と
してブタンジオールを用いポリエーテルポリウレ
タンを調製した。このポリエーテルポリウレタン
100重量部を充分に脱水したジオキサンテトラヒ
ドロフラン(重量比1/3)に室温で攪拌下に溶
解させ重合体濃度9.0%の粘稠な溶液とした。こ
の溶液にメチルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシランを下記表に示すような割合で添加
し、均一透明の溶液を得た。実施例1と同様にガ
ラス板上に流延して製膜したフイルム及び試験管
に塗布してリーホワイト試験を行つた結果を第2
表にまとめた。
【表】 実施例 3 市販のポリエーテルポリウレタン(Ethicon
社製品 Biomer)の12重量%ジメチルアセトア
ミド溶液を調製し、充分に脱水した。この溶液に
蒸留直後の精製したテトラアセトキシシラン、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシランを第
3表記載の量加えて8種の溶液を得た。これらの
溶液から成膜したフイルムを用いてリーホワイト
試験を行つた。結果を第3表に併記する。
【表】 実施例 4 実施例1と同じポリウレタン溶液にトリアセト
キシシランとテトラアセトキシシランを第4表記
載の量(ポリウレタン100重量部当りの重量部)
添加して6種の溶液を得た。これらの溶液から成
膜したフイルムを用いてリーホワイト試験を行つ
た。結果を第4表に併記した。
【表】 実施例 5 サツク型の人工心臓を軟質ポリ塩化ビニルで作
成した。この軟質ポリ塩化ビニルは80重量%のジ
オクチルフタレートを含有した。この人工心臓の
サツク部の容量は90mlである。 この内面の血液接触部に実施例1,2,3,4
で得た溶液を夫々塗布し、湿度65%RHの雰囲気
中で2週間以上放置して充分架橋を行わせ、夫々
について山羊を用いて左心補助を毎分1.0以下
の低吐出量で行つた。すべての場合3週間の実験
で全く血栓の生成は認められなかつた。 一方参考のため市販の抗血栓材料であるカルデ
イオサン1を塗布した同様のポンプを用いた実験
では2/分以上の吐出では血栓の生成をみなか
つたが、2.0/分以下の吐出量では1週間後に
全般に亘つてほとんど血栓の発生はないもののサ
ツクの一部にわずかの血栓の発生がみられること
があつた。 実施例 6 実施例2で調製したポリウレタンの溶液にトリ
ビニルエトキシシランとメチルシランとの等モル
混合物をポリウレタン100重量部に対して40重量
部加えて均一溶液とし、これに塩化白金酸の5%
イソプロピルアルコール溶液0.001部加えこれを
よく攪拌したのち試験管に塗布した。 このフイルムのリーホワイト試験での凝血時間
は140分であつた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 ポリウレタンを溶媒に溶解してなる溶液に含
    珪素架橋剤を加えて均一溶液となし、この溶液を
    用いて血液接触医療器具の少なくとも血液接触部
    に被膜を形成させ、該架橋剤を架橋含珪素重合体
    に転化させることを特徴とする血液接触医療器具
    の製造方法。
JP58153860A 1983-08-23 1983-08-23 血液接触医療器具の製造方法 Granted JPS6045357A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58153860A JPS6045357A (ja) 1983-08-23 1983-08-23 血液接触医療器具の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58153860A JPS6045357A (ja) 1983-08-23 1983-08-23 血液接触医療器具の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6045357A JPS6045357A (ja) 1985-03-11
JPH0580233B2 true JPH0580233B2 (ja) 1993-11-08

Family

ID=15571682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP58153860A Granted JPS6045357A (ja) 1983-08-23 1983-08-23 血液接触医療器具の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS6045357A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0657247B2 (ja) * 1985-07-05 1994-08-03 東レ株式会社 コ−テイング方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56136565A (en) * 1980-02-29 1981-10-24 Thoratec Lab Corp Polymer surface as blood contacting surface of biological medical device and its forming method
JPS5781347A (en) * 1980-11-10 1982-05-21 Nippon Zeon Co Blood contact medical appliance having antithrombus property and its manufacture
JPS57180962A (en) * 1981-04-30 1982-11-08 Nippon Zeon Co Blood contacting medical device
JPS57211360A (en) * 1981-06-24 1982-12-25 Nippon Zeon Co Blood contact medical instrument and method

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56136565A (en) * 1980-02-29 1981-10-24 Thoratec Lab Corp Polymer surface as blood contacting surface of biological medical device and its forming method
JPS5781347A (en) * 1980-11-10 1982-05-21 Nippon Zeon Co Blood contact medical appliance having antithrombus property and its manufacture
JPS57180962A (en) * 1981-04-30 1982-11-08 Nippon Zeon Co Blood contacting medical device
JPS57211360A (en) * 1981-06-24 1982-12-25 Nippon Zeon Co Blood contact medical instrument and method

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6045357A (ja) 1985-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4872867A (en) Compositions having antithrombogenic properties and blood contact medical devices using the same
US10369247B2 (en) Adhesive article and method of making the same
US4604412A (en) Stable polymer emulsion composition capable of giving a thromboresistant surface, and process for production thereof
JPH07503748A (ja) 湿分硬化性ポリシロキサン剥離コーティング組成物
JP2010261049A (ja) 安定組成物
JP4107552B2 (ja) 4級アンモニウム塩含有基を有するオルガノポリシロキサン化合物及びその製造方法
JPS5987004A (ja) 気体分離膜
JPS58163402A (ja) 気体分離膜
JPH0580233B2 (ja)
US5756572A (en) Silicone pressure sensitive adhesive composition containing thermoplastic multi-segmented copolymer
JP2000063661A (ja) 有機無機ハイブリッドポリウレタン用組成物および有機無機ハイブリッドポリウレタン
JPS60238315A (ja) 抗血栓性ポリウレタン又はポリウレタンウレア及びその製造方法、ならびに血液接触医療器具
JPH07252463A (ja) 熱可塑性マルチセグメント化コポリマーを含むシリコーン感圧接着剤組成物
JPH0622591B2 (ja) 血液接触医療器具の製造方法
JP4546001B2 (ja) ポリウレタン多孔質体
JP2005074139A (ja) 医療用品用コーティング組成物
JPH0135669B2 (ja)
JPH0366905B2 (ja)
JPH0368704B2 (ja)
JPH0751356A (ja) 抗血栓性医療用具及び抗血栓性付与方法
JPS63246170A (ja) 血液接触医療器具の製造方法
JPS61154674A (ja) 抗血栓性材料
JPS645907B2 (ja)
JP2925054B2 (ja) 疎水性物質の親水性化方法
JPH05329346A (ja) 複合半透膜