JPH0580232B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

産業上の利用分野 本発明は固形芳香剤、詳しくはポリノルボルネ
ンを含有する固形芳香剤に関する。 従来の技術 従来より、室内その他の限定空間内を賦香する
ための固形芳香剤は種々研究開発されているが、
いずれも、芳香性、保形性、製造作業性、安定性
等の面で尚改善される余地があつた。 また近年、生活水準の向上に伴い、貯水式水洗
トイレも普及し、該トイレ用芳香剤やインタンク
式トイレ洗浄剤の研究開発もまた種々行なわれて
おり、特に上記芳香剤とインタンク式トイレ洗浄
剤との両者を兼備えた商品の開発も進められてい
る。然るに上記芳香剤とは本来空気との接触によ
り空間賦香をなし得るものであり、一方洗浄剤は
水との接触により水中に溶解され、便器その他の
洗浄効果を奏するものであり、両者は、本質的に
その使用形態及び機能を異にし、之等に応じて
夫々別個に調製され、単に之等を組み合せた所で
両機能即ち徐々に溶解して所望の洗浄効果を奏す
る機能及び空気中に揮散して芳香性雰囲気とする
機能を、同時に且つ充分に発揮させることは困難
である。 発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、従来の芳香剤を改良し、また
芳香剤と洗浄剤との両機能を具備する新しい芳香
剤乃至芳香洗浄剤を提供することにある。 問題点を解決するための手段 本発明によれば、ポリノルボルネンを含有する
ことを特徴とする固形芳香剤が提供される。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、上記ポ
リノルボルネンが、常温下で多量の香料成分を吸
油固化する能力を有し、この吸油能は水の存在下
でも低下せず、また上記固化物は熱に対して安定
で約70℃前後でも形がくずれないという事実を見
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
つた。 従つて、本発明の芳香剤は、上記ポリノルボル
ネンの使用に基づいて、香料成分を多量に配合す
ることができ、しかも製品形態に賦形する際等に
加熱や加温を必要とせず、その製造作業が容易、
簡便であると共に、これに伴われる香料成分の変
質もなく、非常に優れた芳香性を有する。また上
記ポリノルボルネンは、水の存在下でも吸油能の
低下がなく、選択的に香料を吸油固化できるの
で、本発明芳香剤は、これをヒドロゲルタイプと
することもでき、本発明によれば高濃度で香料を
含有する上記ヒドロゲルタイプの芳香剤も提供さ
れる。更に本発明の芳香剤は上記ポリノルボルネ
ンの使用に基づいて熱に対して安定であり、約70
℃前後でも形崩れがないという優れた保形性を有
する。また上記各種の利点に基づいて、本発明芳
香剤は、これに更に界面活性剤や次亜塩素酸塩等
の塩素系の洗浄剤等を配合すれば、上記利点を保
持した芳香洗浄剤として利用できる。即ち、該芳
香洗浄剤は、これを例えば貯水タンクの手洗部等
に設置すれば、フラツシングによる水洗時、水中
に洗浄剤成分が溶出して洗浄効果が奏されると共
に、上記フラツシング時以外は、製品自体は水と
接触せず空気中に露出され、これにより空間賦香
の目的を効果的に達成できる。しかも実に驚くべ
きことに繰返しフラツシングによつても製品自体
の崩壊流出がなく、香料の揮発性も阻害されず、
これが製品の香料含有率の高さ相俟つて、芳香剤
として充分な芳香を持続発揮できる。殊に本発明
芳香剤は高香料含有率でも安定で、空間賦香をよ
り効果的に行ない得るものである。 本発明芳香剤は、ポリノルボルネンを含有する
ことを必須とする。該ポリノルボルネンは、エチ
レンとシクロペンタジエンとのデイールス・アル
ダー反応により得られるノルボルネンを開環重合
して得られ、二重結合と五員環とが交互に結合し
た構造を有するポリマーであり、その代表例とし
ては、フランスCdFケーミ（CdF Chime）社の
開発した「ノーソレツクス（norsorex）」及び
「フイクソール（fixol）」（日本ゼオン社）を例示
できる。該ポリノルボルネンは、得られる芳香剤
製品中に通常約１〜30重量％、好ましくは約３〜
20重量％配合されるのがよく、この配合により、
本発明所期の優れた効果を奏する。 本発明芳香剤において香料成分としては、従来
より芳香剤として使用されている各種のものを１
種単独で又は２種以上調合して用いることができ
る。その具体例としては例えば天然植物精油であ
るラベンダー、レモン油、ローズ油、スペアミン
ト油、グリーン油等、動物性香料であるムスク、
シペツト等、合成香料であるアルデヒド類、ケト
ン類、エステル類、之等の混合物等を例示でき
る。上記香料の本発明芳香剤中への配合量は、香
料の種類や香りの強度、得られる芳香剤の大きさ
等に応じて若干異なるが、例えば全量15ｇの芳香
剤の場合、通常該芳香剤中に約５〜95重量％の範
囲で含有される量とするのが好ましい。 本発明芳香剤は、上記ポリノルボルネンと香料
のみからなつていてもよいが、通常この種芳香剤
に配合されることの知られている各種の添加剤、
例えば芳香剤の有効性の目安とする色素や上記ポ
リノルボルネン以外のゲル化剤（固化剤）等を配
合することができる。上記色素としては、水溶性
の染料例えばメチレンブルー、シアニンブルー、
青色１号、黄色４号、黄色５号、緑色３号、青色
202号、青色203号等を例示できる。その配合量
は、用いる色素の種類（色調、濃度）に応じて適
宜決定でき、通常のこの種芳香剤におけるそれら
と同様でよく、一般には製品中に約10〜30重量％
含まれる量とするのが適当である。また上記ゲル
化剤としては、通常の油ゲル化剤、例えばゴム等
の高分子物質、カルナバワツクス、パラフインろ
う等の親油性の樹脂、ワツクス等、蛋白質誘導
体、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸のカ
ルシウム、リチウム等の金属石鹸、12−ヒドロキ
システアリン酸、ジベンジリデンソルビトール、
Ｎ−アシルアミノ酸のアミド、エステル、アミン
塩等のアミノ酸系油ゲル化剤等を例示できる。之
等のうちでは、ベンジリデンソルビトール類（モ
ノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソ
ルビトール、トリベンジリデンソルビトール及び
之等の混合物）、12−ヒドロキシステアリン酸、
及びラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド、ラ
ウロイルグルタミン酸ジステアリルアミド、ラウ
ロイルグルタミン酸ラウリルアミン塩、ラウロイ
ルグルタミン酸ジラウリルエステル、ジカプリロ
イルリジンラウリルアミド、ジカプリロイルリジ
ンラウリルアミン塩、ジカプリロイルリジンラウ
リルエステル、ラウロイルバリンブチルアミド、
ラウロイルフエニルアラニンラウリルアミン塩、
ラウロイルフエニルアラニンラウリルアミド等の
アシルアミノ酸誘導体が好ましい。上記12−ヒド
ロキシステアリン酸は、製品中に約0.1〜８重量
％、ベンジリデンソルビトール類は、約0.1〜５
重量％、アシルアミン誘導体は、約0.1〜10重量
％配合されるのが望ましい。 また、本発明芳香剤には、更に界面活性剤、石
鹸、塩素系洗浄剤等を配合して洗浄作用を兼備え
させることもできる。上記界面活性剤としては、
広く公知の各種のものを使用でき、その代表例と
しては、例えばポリオキシエチレンラウリルエー
テル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリ
オキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエ
チレンノニルフエノールエーテル、ポリオキシエ
チレンソルビタントリステアレート、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチ
レングリコールモノステアレート、ポリエチレン
グリコールジステアレート、ポリオキシエチレン
ジステアレート、オキシエチレンオキシプロピレ
ンブロツクポリマー等を例示できる。之等は一種
単独で又は二種以上混合して使用できる。之等の
うちでは特にポリオキシエチレンジステアレー
ト、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテ
ル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が好
ましい。上記界面活性剤は、製品中に約５〜70重
量％の範囲で配合することができる。また洗浄剤
（漂白剤）としては、例えば次亜塩素酸カルシウ
ム、塩素化イソシアヌル酸等を例示できる。之等
界面活性剤、洗浄剤等の配合により所望の芳香洗
浄剤製品を得ることができる。 上記芳香洗浄剤には、更に必要に応じて、公知
のPH調節剤、緩衝剤、消毒剤、殺菌剤、脱塩素
剤、漂白剤、フロー防止剤等の添加剤を加えるこ
ともできる。 本発明芳香剤は、単にポリノルボルネン、香料
及び必要に応じて各種の添加剤を常温で混合した
のち、適宜の製品形態にとするための型に入れて
該型内で固化させることにより調製することがで
きる。また洗浄剤を兼備えた本発明の芳香剤、即
ち芳香洗浄剤も各成分を混合後、混合物を任意の
形状の型に注入し冷却固化させることにより調製
され、かくして固型の貯水式水洗トイレ用固形芳
香洗浄剤製品とされる。上記混合に当つては、各
成分の混合状態をより均一にするため若干の加温
を行なうこともできる。また上記芳香洗浄剤製品
の剤型は、その使用形態に応じて適当に決定さ
れ、通常適当な大きさの容器例えば皿状容器に収
容した塊状固体形態とされ、他にペレツト状、棒
状、錠剤状等であつてもよい。該製品は、例えば
適当な通水孔及び排水孔を有する装置に収容さ
れ、貯水タンクの手洗部に設置して、実用でき
る。また製品は例えば不織布等の通水通気性シー
ト等で包装して上記手洗部等に設置されてもよ
い。上記芳香洗浄剤製品の大きさも任意であり、
その表面積（水との接触面積）、使用期間等に応
じて適当に決定され、通常製品15ｇで約１ケ月の
使用が可能である。 実施例 以下実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明す
る。尚、各例においてポリノルボルネンとして
は、フランスCdFケーミ社製「ノーソレツクス」
（日本ゼオン社販売）を、レモン香料としては、
高砂香料社製「PH2661」を用いた。 実施例 １ 下記第１表に記載の配合割合でポリノルボルネ
ン及びレモン香料（全量15ｇ）を混合し、上面直
径55mm、底面直径50mm、高さ13mmの皿型容器に分
注し、固化させて本発明の固形芳香剤を得た。

【表】 得られた各芳香剤（本発明1a〜1f）は、いずれ
も、優れた芳香性、保形性及び安定性を有してい
た。特に之等各製品を70℃下に２時間放置しても
何ら製品形態の崩壊（型崩れ）は認められなかつ
た。 実施例 ２ 実施例１においてレモン香料に代えて、キンモ
クセイ香料（高砂香料社製「PH4171」）の各々同
量を用いて、同様にして本発明固形芳香剤No.2a
〜2fを得た。 得られた各芳香剤は、いずれも実施例１で得ら
れたそれらと同様の特性を有していた。 実施例 ３ 下記第２表に記載の配合割合でポリノルボルネ
ン、レモン香料、パラオキシエチレンジステアレ
ート及び色素（青色１号）を全量が15ｇとなるよ
うに混合し、上面直径55mm、底面直径50mm、高さ
13mmの皿型容器に分注し、固化させて本発明の固
形芳香剤を得た。 得られた各芳香剤は、芳香性に優れ、しかも常
温で液体の香料を多量に配合させた場合にも、こ
の香料の高含有率化に拘わらず、高温での安定性
に優れており、香料の変質等の認められないもの
であつた。

【表】 実施例 ４ ポリノルボルネン ８重量部 カラギーナン ２重量部 ローカストビーンガム ２重量部 レモン香料 80重量部 KCl 0.5重量部水 115.5重量部 合計 200重量部 上記成分組成となるように、まずカラギーナ
ン、ローカストビーンガム及び水を混合して加熱
（75℃）し、この混合物にレモン香料を添加、攪
拌後、ポリノルボルネン及びKClを順次添加し、
冷却固化させて、本発明芳香剤を得た。 かくして得られた本発明芳香剤（ヒドロゲルタ
イプ）は、香料を多量（40重量％）に含有させる
ことができ、この香料の高含有率化で高温で非常
に安定で香料の変質等は見られず、しかも組成物
は適度の粘性を有し、その製造作業性が良好なも
のであつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ポリノルボルネンを含有することを特徴とす
   る固形芳香剤。