JPH0579564A - 内燃機関用ピストン - Google Patents
内燃機関用ピストンInfo
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- JPH0579564A JPH0579564A JP35050991A JP35050991A JPH0579564A JP H0579564 A JPH0579564 A JP H0579564A JP 35050991 A JP35050991 A JP 35050991A JP 35050991 A JP35050991 A JP 35050991A JP H0579564 A JPH0579564 A JP H0579564A
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- Japan
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- piston
- ring groove
- top ring
- base material
- oxide coating
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-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F05—INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
- F05C—INDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
- F05C2201/00—Metals
- F05C2201/02—Light metals
- F05C2201/021—Aluminium
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- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 製作性を損なうことなく陽極酸化被膜層の表
面を平滑にして製作できる内燃機関用ピストンを提供す
る。 【構成】 ピストン本体母材1の表面に陽極酸化被膜層
13を施したアルミニウム合金製ピストンにおいて、前
記ピストン本体母材1のランド部2に形成したリング溝
4,5,6のうち、少なくともトップリング溝部4の下
面4aに、前記陽極酸化被膜層13の表面の凹凸面16
を砥石車を用いた研削或いはバイトを用いた切削により
除去した平滑面18を形成した。
面を平滑にして製作できる内燃機関用ピストンを提供す
る。 【構成】 ピストン本体母材1の表面に陽極酸化被膜層
13を施したアルミニウム合金製ピストンにおいて、前
記ピストン本体母材1のランド部2に形成したリング溝
4,5,6のうち、少なくともトップリング溝部4の下
面4aに、前記陽極酸化被膜層13の表面の凹凸面16
を砥石車を用いた研削或いはバイトを用いた切削により
除去した平滑面18を形成した。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アルミニウム合金製
の内燃機関用ピストンに関し、特に圧縮リングが挿入さ
れるリング溝部の耐熱性、耐摩耗性を強化した内燃機関
用ピストンに関する。
の内燃機関用ピストンに関し、特に圧縮リングが挿入さ
れるリング溝部の耐熱性、耐摩耗性を強化した内燃機関
用ピストンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウム合金製の内燃機関用
ピストンでは、トップリング溝部においてトップリング
との間で摩耗が生じ易く、またトップリングに対するA
l(アルミニウム)の凝着によりスカッフィングが生じ
易いことから、トップリング溝部の耐熱性、耐摩耗性を
向上させるために、種々の工夫がされている。例えば特
開昭63−289370号公報に記載された内燃機関用
ピストンでは、ピストン本体の冠面、ランド部、リング
溝部の内面及びピストンピン軸受部の内周面に硬質アル
マイト処理による陽極酸化被膜層を形成している。
ピストンでは、トップリング溝部においてトップリング
との間で摩耗が生じ易く、またトップリングに対するA
l(アルミニウム)の凝着によりスカッフィングが生じ
易いことから、トップリング溝部の耐熱性、耐摩耗性を
向上させるために、種々の工夫がされている。例えば特
開昭63−289370号公報に記載された内燃機関用
ピストンでは、ピストン本体の冠面、ランド部、リング
溝部の内面及びピストンピン軸受部の内周面に硬質アル
マイト処理による陽極酸化被膜層を形成している。
【0003】一般に、内燃機関用ピストンに使用される
アルミニウム合金材においては、その化学成分中に多量
のSi(硅素)が含まれ、図6に示すように金属組織中
にも多量のSiが晶出しており、図7に示すように、母
材表面20に存在するSi粒上には陽極酸化被膜21を
生成し難いというアルマイトの性質上、前記公報記載の
内燃機関用ピストンのように母材表面20に陽極酸化被
膜層21を形成すると、形成された陽極酸化被膜層21
の表面は凹凸が多い性状となる場合が多い。この結果、
ピストン本体の下部のスカート部やピストンピン軸受部
の内周面においては凹凸面22にオイルが油膜を形成す
るから、潤滑油通路を形成することなく良好な耐スカッ
フィング性及び耐摩耗性を発揮させることができ、しか
も、陽極酸化被膜層21が形成されていれば、燃焼室の
熱がピストン本体に伝達されることで生じる熱損失を防
止し、ランド部に形成されたトップリング溝部の内面の
摩耗、へたり等を防止することができるという利点があ
る。
アルミニウム合金材においては、その化学成分中に多量
のSi(硅素)が含まれ、図6に示すように金属組織中
にも多量のSiが晶出しており、図7に示すように、母
材表面20に存在するSi粒上には陽極酸化被膜21を
生成し難いというアルマイトの性質上、前記公報記載の
内燃機関用ピストンのように母材表面20に陽極酸化被
膜層21を形成すると、形成された陽極酸化被膜層21
の表面は凹凸が多い性状となる場合が多い。この結果、
ピストン本体の下部のスカート部やピストンピン軸受部
の内周面においては凹凸面22にオイルが油膜を形成す
るから、潤滑油通路を形成することなく良好な耐スカッ
フィング性及び耐摩耗性を発揮させることができ、しか
も、陽極酸化被膜層21が形成されていれば、燃焼室の
熱がピストン本体に伝達されることで生じる熱損失を防
止し、ランド部に形成されたトップリング溝部の内面の
摩耗、へたり等を防止することができるという利点があ
る。
【0004】しかしながら、母材表面20に存在するS
i粒上には陽極酸化被膜21を生成し難いという前述ア
ルマイトの性質上、母材表面20に単に陽極酸化被膜層
21を形成するだけでは、この陽極酸化被膜層21を緻
密かつ均一に形成することは困難であり、形成された陽
極酸化被膜層21の表面の凹凸面22は不均一な凹凸と
なる性状の場合が多い。また、陽極酸化被膜層21の厚
みを厚くすることも困難である。
i粒上には陽極酸化被膜21を生成し難いという前述ア
ルマイトの性質上、母材表面20に単に陽極酸化被膜層
21を形成するだけでは、この陽極酸化被膜層21を緻
密かつ均一に形成することは困難であり、形成された陽
極酸化被膜層21の表面の凹凸面22は不均一な凹凸と
なる性状の場合が多い。また、陽極酸化被膜層21の厚
みを厚くすることも困難である。
【0005】この結果、陽極酸化被膜層21の表面に形
成された凹凸面22がとりわけトップリング溝部の壁面
特に下面に存在すれば、機関運転時、トップリング溝部
の下面と、該溝部に挿入されたトップリングの下面との
間のシール性が不足して、この部位からのオイル漏れや
燃焼ガスの吹き抜けが生じて、初期のオイル消費量の増
加やブローバイガス量の増加といったようにエンジン性
能面で支障を来すおそれがある。
成された凹凸面22がとりわけトップリング溝部の壁面
特に下面に存在すれば、機関運転時、トップリング溝部
の下面と、該溝部に挿入されたトップリングの下面との
間のシール性が不足して、この部位からのオイル漏れや
燃焼ガスの吹き抜けが生じて、初期のオイル消費量の増
加やブローバイガス量の増加といったようにエンジン性
能面で支障を来すおそれがある。
【0006】そこで、特開平3−3947号公報に記載
された内燃機関用ピストンでは、問題となるトップリン
グ溝部に、Si(硅素)含有量が 0.4wt%以下の低Si
のAl−Mg(アルミニウム・マグネシウム)系アルミ
ニウム合金展伸材を鋳ぐるみ、その鋳ぐるみ材で形成さ
れたトップリング溝部の内面のうち、少なくとも上下面
に硬質アルマイト処理による陽極酸化被膜層を形成して
その表面の平滑化を図っている。
された内燃機関用ピストンでは、問題となるトップリン
グ溝部に、Si(硅素)含有量が 0.4wt%以下の低Si
のAl−Mg(アルミニウム・マグネシウム)系アルミ
ニウム合金展伸材を鋳ぐるみ、その鋳ぐるみ材で形成さ
れたトップリング溝部の内面のうち、少なくとも上下面
に硬質アルマイト処理による陽極酸化被膜層を形成して
その表面の平滑化を図っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
3−3947号公報記載の内燃機関用ピストンでは、ト
ップリング溝部に別部材のAl−Mg系アルミニウム合
金展伸材を鋳ぐるむことから、ピストンの製作性が悪化
し、コストアップとなるばかりでなく、鋳ぐるみ材の剥
離等、鋳ぐるみ材とピストン本体との密着性に問題があ
った。
3−3947号公報記載の内燃機関用ピストンでは、ト
ップリング溝部に別部材のAl−Mg系アルミニウム合
金展伸材を鋳ぐるむことから、ピストンの製作性が悪化
し、コストアップとなるばかりでなく、鋳ぐるみ材の剥
離等、鋳ぐるみ材とピストン本体との密着性に問題があ
った。
【0008】この発明は前記従来の課題を解決するため
になしたもので、製作性を損なうことなく陽極酸化被膜
層の表面を平滑にして製作できる内燃機関用ピストンを
提供することにある。
になしたもので、製作性を損なうことなく陽極酸化被膜
層の表面を平滑にして製作できる内燃機関用ピストンを
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明では、ピストン本体母材の表面に陽極酸
化被膜層を施したアルミニウム合金製ピストンにおい
て、前記ピストン本体母材のランド部に形成したリング
溝のうち、少なくともトップリング溝部の下面に、前記
陽極酸化被膜層の表面の凹凸を、砥石車を用いた研削或
いはバイトを用いた切削や化学研摩等により除去して平
滑面を形成した。
に、第1の発明では、ピストン本体母材の表面に陽極酸
化被膜層を施したアルミニウム合金製ピストンにおい
て、前記ピストン本体母材のランド部に形成したリング
溝のうち、少なくともトップリング溝部の下面に、前記
陽極酸化被膜層の表面の凹凸を、砥石車を用いた研削或
いはバイトを用いた切削や化学研摩等により除去して平
滑面を形成した。
【0010】また、第2の発明では、ピストン本体母材
の表面に陽極酸化被膜層を施したアルミニウム合金製ピ
ストンにおいて、前記ピストン本体母材のランド部に形
成したリング溝のうち、少なくともトップリング溝部の
下面に、Si粒が除去された表面部を形成し、この表面
部に前記陽極酸化被膜層を形成した。
の表面に陽極酸化被膜層を施したアルミニウム合金製ピ
ストンにおいて、前記ピストン本体母材のランド部に形
成したリング溝のうち、少なくともトップリング溝部の
下面に、Si粒が除去された表面部を形成し、この表面
部に前記陽極酸化被膜層を形成した。
【0011】
【作用】上記両発明の構成によれば、トップリング溝部
の下面に形成された陽極酸化被膜層の表面が平滑面であ
るから、トップリング溝部の下面とトップリングの下面
との間のシール性が向上し、機関運転時、オイル漏れに
よるオイル消費量の増加や燃焼室からの燃焼ガスの吹き
抜けによるブローバイガス流量の増加を確実に低減させ
ることができる。
の下面に形成された陽極酸化被膜層の表面が平滑面であ
るから、トップリング溝部の下面とトップリングの下面
との間のシール性が向上し、機関運転時、オイル漏れに
よるオイル消費量の増加や燃焼室からの燃焼ガスの吹き
抜けによるブローバイガス流量の増加を確実に低減させ
ることができる。
【0012】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。図1(1)はアルミニウム合金製ピストン本体母
材に陽極酸化被膜層を施した内燃機関用ピストンの断面
図、図1(2)および図3は、本発明の第1実施例を示
すもので、図1(2)は陽極酸化被膜層に平滑面形成後
のトップリング溝の下面を示す拡大断面図、図3は陽極
酸化被膜層に平滑面形成前のトップリング溝の下面を示
す拡大断面図である。
する。図1(1)はアルミニウム合金製ピストン本体母
材に陽極酸化被膜層を施した内燃機関用ピストンの断面
図、図1(2)および図3は、本発明の第1実施例を示
すもので、図1(2)は陽極酸化被膜層に平滑面形成後
のトップリング溝の下面を示す拡大断面図、図3は陽極
酸化被膜層に平滑面形成前のトップリング溝の下面を示
す拡大断面図である。
【0013】図中1はアルミニウム合金製のピストン本
体母材で、このピストン本体母材1はクラウン部2とス
カート部3とで構成されている。クラウン部2の外周部
に形成されたランド部には有底環状のトップリング溝部
4とセカンドリング溝部5とオイルリング溝部6が間隔
をおき並べて形成され、これによりトップランド部7と
セカンドランド部8とサードランド部9とが形成される
と共に、前記各リング溝部4、5、6にはそれぞれトッ
プリング10とセカンドリング11とオイルリング12
が挿入されている。また、スカート部3には、図示しな
いピストンピンが取り付けられるピストンピン孔19が
形成されている。
体母材で、このピストン本体母材1はクラウン部2とス
カート部3とで構成されている。クラウン部2の外周部
に形成されたランド部には有底環状のトップリング溝部
4とセカンドリング溝部5とオイルリング溝部6が間隔
をおき並べて形成され、これによりトップランド部7と
セカンドランド部8とサードランド部9とが形成される
と共に、前記各リング溝部4、5、6にはそれぞれトッ
プリング10とセカンドリング11とオイルリング12
が挿入されている。また、スカート部3には、図示しな
いピストンピンが取り付けられるピストンピン孔19が
形成されている。
【0014】このピストン本体母材1の表面は、硬質ア
ルマイト処理による陽極酸化被膜層13が形成され被覆
されている。この際、アルマイトは不均一な粒状である
ので、図2に示すように、陽極酸化被膜層13の外表面
は粗い凹凸面16に形成されている。そこで、本実施例
では、図1(2)に示すように、少なくともトップリン
グ溝4の下面4aにある陽極酸化被膜層13の凹凸面1
6を砥石車を用いた研削或いはバイトを用いた切削等に
より除去して平滑面18を形成する。これにより、トッ
プリング溝4の下面4aとトップリング10の下面10
a間のシール性を向上させる。
ルマイト処理による陽極酸化被膜層13が形成され被覆
されている。この際、アルマイトは不均一な粒状である
ので、図2に示すように、陽極酸化被膜層13の外表面
は粗い凹凸面16に形成されている。そこで、本実施例
では、図1(2)に示すように、少なくともトップリン
グ溝4の下面4aにある陽極酸化被膜層13の凹凸面1
6を砥石車を用いた研削或いはバイトを用いた切削等に
より除去して平滑面18を形成する。これにより、トッ
プリング溝4の下面4aとトップリング10の下面10
a間のシール性を向上させる。
【0015】このようなピストンは、図示しないシリン
ダブロックのシリンダ内に摺動可能に収納されて、ピス
トンピンに装着された図示しないコンロッドを介してク
ランクシャフトに連接支持されると共に、各リング1
0、11、12が適当な弾性力でシリンダ内周壁に常時
圧接しており、これによって、シリンダ内が図示しない
燃焼室とクランク室に区画されている。
ダブロックのシリンダ内に摺動可能に収納されて、ピス
トンピンに装着された図示しないコンロッドを介してク
ランクシャフトに連接支持されると共に、各リング1
0、11、12が適当な弾性力でシリンダ内周壁に常時
圧接しており、これによって、シリンダ内が図示しない
燃焼室とクランク室に区画されている。
【0016】次に作用を説明する。ピストン本体母材1
の表面は、アルマイト処理を施すことにより、耐摩耗
性、耐スカッフィング性かつ低熱伝導率に優れた陽極酸
化被膜層13が形成される。これにより、内燃機関運転
時に、図示しないシリンダ内を内燃機関用ピストンが上
下方向に摺動する際、図示しない燃焼室からの熱はピス
トン本体母材1に伝達されず、熱損失が防止され、その
結果、燃費が向上すると共に、陽極酸化被膜層13の凹
凸にオイルが油膜を張ることにより、耐摩耗性および耐
スカッフィング性が向上し、とくにスカート部3での摩
擦が低減される。
の表面は、アルマイト処理を施すことにより、耐摩耗
性、耐スカッフィング性かつ低熱伝導率に優れた陽極酸
化被膜層13が形成される。これにより、内燃機関運転
時に、図示しないシリンダ内を内燃機関用ピストンが上
下方向に摺動する際、図示しない燃焼室からの熱はピス
トン本体母材1に伝達されず、熱損失が防止され、その
結果、燃費が向上すると共に、陽極酸化被膜層13の凹
凸にオイルが油膜を張ることにより、耐摩耗性および耐
スカッフィング性が向上し、とくにスカート部3での摩
擦が低減される。
【0017】また、トップリング溝4の下面4aにある
陽極酸化被膜層13の凹凸面16が平滑面18になって
いるので、この平滑面18とトップリング10の下面1
0aとのシール性が向上することにより、内燃機関運転
時のオイル漏れや図示しない燃焼室からの燃焼ガスの吹
き抜けを低減することができる。これにより、オイル消
費量の増加や、ブローバイガス流量の増加等のエンジン
性能に関わる問題を克服することができる。
陽極酸化被膜層13の凹凸面16が平滑面18になって
いるので、この平滑面18とトップリング10の下面1
0aとのシール性が向上することにより、内燃機関運転
時のオイル漏れや図示しない燃焼室からの燃焼ガスの吹
き抜けを低減することができる。これにより、オイル消
費量の増加や、ブローバイガス流量の増加等のエンジン
性能に関わる問題を克服することができる。
【0018】また、トップリング溝4の下面4aに限ら
ず、セカンドリング溝5の下面5aにも同様の平滑面1
5を形成すれば、より一層の効果を得ることができる。
ず、セカンドリング溝5の下面5aにも同様の平滑面1
5を形成すれば、より一層の効果を得ることができる。
【0019】上記第1実施例は、ピストン本体母材1の
少なくともトップリング溝部4の下面4aに、砥石車を
用いた研削或いはバイトを用いた切削等により平滑面1
8を形成した例であったが、図3に想像線で示すように
陽極酸化被膜層13を形成した後、同図に実線で示すよ
うに化学研磨によって平滑面17を形成しても良い。す
なわち、例えばこの化学研磨は、酸性溶液等又はアルカ
リ性溶液等の液中に陽極酸化被膜層13の表面を浸漬さ
せるか、或いは、一般に硬質アルマイト処理が硫酸浴中
又は蓚酸浴中での電解により行われるため、陽極酸化被
膜層13の形成後、無通電の状態でそのまま処理浴中に
浸漬させて陽極酸化被膜層13の表面を研摩するのであ
る。
少なくともトップリング溝部4の下面4aに、砥石車を
用いた研削或いはバイトを用いた切削等により平滑面1
8を形成した例であったが、図3に想像線で示すように
陽極酸化被膜層13を形成した後、同図に実線で示すよ
うに化学研磨によって平滑面17を形成しても良い。す
なわち、例えばこの化学研磨は、酸性溶液等又はアルカ
リ性溶液等の液中に陽極酸化被膜層13の表面を浸漬さ
せるか、或いは、一般に硬質アルマイト処理が硫酸浴中
又は蓚酸浴中での電解により行われるため、陽極酸化被
膜層13の形成後、無通電の状態でそのまま処理浴中に
浸漬させて陽極酸化被膜層13の表面を研摩するのであ
る。
【0020】次に本発明の第3実施例を図4および図5
を用いて説明すると、図4はトップリング溝部のSi粒
が除去された下面を示す金属組織の断面図、図5は図4
に示すトップリング溝部の下面に形成された陽極酸化被
膜層を示す断面図である。
を用いて説明すると、図4はトップリング溝部のSi粒
が除去された下面を示す金属組織の断面図、図5は図4
に示すトップリング溝部の下面に形成された陽極酸化被
膜層を示す断面図である。
【0021】そして、前記リング溝部4、5、6のう
ち、少なくともトップリング溝部4の下面4aには、陽
極酸化被膜層13の生成に妨げとなるSi粒が予め除去
されてAl層のみ存在する表面部14が形成されてお
り、この表面部14には図5に示すように緻密かつ均一
な性状をもつ陽極酸化被膜層13が形成されて、その表
面はほぼ平滑に近い面(以下、平滑面という)15とな
っている。より具体的には、ピストン本体母材1のトッ
プリング溝部4の下面4aは硝酸と弗酸の混合液による
酸洗いでSi粒が溶解除去されている。図4は酸洗い後
の前記下面4aにおける金属組織の断面を示している。
この図4から、母材のアルミニウム層中にSiが晶出し
ているが、表面のSi粒は除去されていることが分か
る。前記酸洗い液は、硝酸と弗酸が重量%で2:1であ
る混合液が適している。硝酸濃度が高くなり過ぎると、
アルミニウム素地が不働能化してしまい、母材表面に不
働能膜が生成するため、反応が起こり難くなる。逆に、
弗酸濃度が高くなり過ぎると、Si粒の溶解と共にアル
ミニウム素地の溶解が大きくなり過ぎてしまい不適とな
る。
ち、少なくともトップリング溝部4の下面4aには、陽
極酸化被膜層13の生成に妨げとなるSi粒が予め除去
されてAl層のみ存在する表面部14が形成されてお
り、この表面部14には図5に示すように緻密かつ均一
な性状をもつ陽極酸化被膜層13が形成されて、その表
面はほぼ平滑に近い面(以下、平滑面という)15とな
っている。より具体的には、ピストン本体母材1のトッ
プリング溝部4の下面4aは硝酸と弗酸の混合液による
酸洗いでSi粒が溶解除去されている。図4は酸洗い後
の前記下面4aにおける金属組織の断面を示している。
この図4から、母材のアルミニウム層中にSiが晶出し
ているが、表面のSi粒は除去されていることが分か
る。前記酸洗い液は、硝酸と弗酸が重量%で2:1であ
る混合液が適している。硝酸濃度が高くなり過ぎると、
アルミニウム素地が不働能化してしまい、母材表面に不
働能膜が生成するため、反応が起こり難くなる。逆に、
弗酸濃度が高くなり過ぎると、Si粒の溶解と共にアル
ミニウム素地の溶解が大きくなり過ぎてしまい不適とな
る。
【0022】以上の構成を有する第3実施例において
も、ピストン本体母材1の冠面1aには耐熱性に優れ、
熱伝導率が小さい陽極酸化被膜層13が形成されてお
り、機関運転時、燃焼室からの熱はピストン本体母材1
に伝達され難いから、熱損失が防止される。
も、ピストン本体母材1の冠面1aには耐熱性に優れ、
熱伝導率が小さい陽極酸化被膜層13が形成されてお
り、機関運転時、燃焼室からの熱はピストン本体母材1
に伝達され難いから、熱損失が防止される。
【0023】各ランド部7、8、9やリング溝部4、
5、6の内面は、耐摩耗性に優れた陽極酸化被膜層13
により保護されて、その摩耗、へたり等が少なくなる。
5、6の内面は、耐摩耗性に優れた陽極酸化被膜層13
により保護されて、その摩耗、へたり等が少なくなる。
【0024】また、トップリング溝部4の下面4aに陽
極酸化被膜層13が形成され、その表面に平滑面15が
形成されており、この平滑面15とトップリング溝部4
内に挿入されたトップリング10の下面10aとが当接
して両者間のシール性が向上するから、機関運転時、オ
イル漏れや燃焼ガスの吹き抜けが低減される。尚、第1
実施例と同様、セカンドリング溝部5の下面5aに形成
された陽極酸化被膜層13の表面にも同様に平滑面15
が形成されていれば、より一層の効果を得ることができ
る。
極酸化被膜層13が形成され、その表面に平滑面15が
形成されており、この平滑面15とトップリング溝部4
内に挿入されたトップリング10の下面10aとが当接
して両者間のシール性が向上するから、機関運転時、オ
イル漏れや燃焼ガスの吹き抜けが低減される。尚、第1
実施例と同様、セカンドリング溝部5の下面5aに形成
された陽極酸化被膜層13の表面にも同様に平滑面15
が形成されていれば、より一層の効果を得ることができ
る。
【0025】また、スカート部3の表面やピストンピン
孔19の内周面に形成した陽極酸化被膜層13の表面に
は粗い凹凸面16が形成されており、この凹凸面16に
オイルが油膜を形成するから、潤滑油通路を形成するこ
となく良好な耐スカッフィング性及び耐摩耗性が得ら
れ、特にスカート部3での摩擦が低減される。
孔19の内周面に形成した陽極酸化被膜層13の表面に
は粗い凹凸面16が形成されており、この凹凸面16に
オイルが油膜を形成するから、潤滑油通路を形成するこ
となく良好な耐スカッフィング性及び耐摩耗性が得ら
れ、特にスカート部3での摩擦が低減される。
【0026】
【発明の効果】以上の通りこの発明は、アルミニウム合
金製ピストン本体母材のランド部に形成されたリング溝
部のうち、少なくともトップリング溝部の下面に表面が
平滑である陽極酸化被膜層を形成したから、ピストンの
製作性を損なうことなく、トップリング溝部の下面とト
ップリングの下面との間のシール性を向上させて、機関
運転時、オイル漏れによる初期のオイル消費量の増加や
燃焼室からの燃焼ガスの吹き抜けによるブローバイガス
流量の増加を確実に低減させることができる。
金製ピストン本体母材のランド部に形成されたリング溝
部のうち、少なくともトップリング溝部の下面に表面が
平滑である陽極酸化被膜層を形成したから、ピストンの
製作性を損なうことなく、トップリング溝部の下面とト
ップリングの下面との間のシール性を向上させて、機関
運転時、オイル漏れによる初期のオイル消費量の増加や
燃焼室からの燃焼ガスの吹き抜けによるブローバイガス
流量の増加を確実に低減させることができる。
【図1】(1) 表面に陽極酸化被膜層を施した内燃機
関用ピストンの一部を示す縦断面図である。 (2) 本発明の第1実施例における平滑面形成後のト
ップリング溝の下面を示す拡大断面図である。
関用ピストンの一部を示す縦断面図である。 (2) 本発明の第1実施例における平滑面形成後のト
ップリング溝の下面を示す拡大断面図である。
【図2】本発明の第1実施例における平滑面形成前のト
ップリング溝の下面を示す拡大断面図である。
ップリング溝の下面を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の第2実施例におけるピストン本体母材
のトップリング溝部のSi粒が除去されていない下面に
形成された陽極酸化被膜層を示す断面図である。
のトップリング溝部のSi粒が除去されていない下面に
形成された陽極酸化被膜層を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施例におけるピストン本体母材
のトップリング溝部の下面に形成したSi粒が除去され
た表面部における金属組織の断面図である。
のトップリング溝部の下面に形成したSi粒が除去され
た表面部における金属組織の断面図である。
【図5】図4に示す表面部に形成された陽極酸化被膜層
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図6】ピストン本体母材のトップリング溝部のSi粒
が除去されていない下面を示す金属組織の断面図であ
る。
が除去されていない下面を示す金属組織の断面図であ
る。
【図7】図6に示すピストン本体母材のトップリング溝
部の下面に形成された陽極酸化被膜層を示す断面図であ
る。
部の下面に形成された陽極酸化被膜層を示す断面図であ
る。
1 ピストン本体母材 2 ランド部 4 トップリング溝(リング溝) 4a 下面 5 セカンドリング溝(リング溝) 6 オイルリング溝 (リング溝) 10 トップリング 10a 下面 13 陽極酸化被膜層 14 表面部 15,17 平滑面 16 凹凸面
Claims (4)
- 【請求項1】 ピストン本体母材の表面に陽極酸化被膜
層を施したアルミニウム合金製ピストンにおいて、前記
ピストン本体母材のランド部に形成したリング溝のう
ち、少なくともトップリング溝部の下面に、前記陽極酸
化被膜層の表面の凹凸を除去した平滑面を形成したこと
を特徴とする内燃機関用ピストン。 - 【請求項2】 前記平滑面を砥石車を用いた研削或いは
バイトを用いた切削により形成したことを特徴とする請
求項1記載の内燃機関用ピストン。 - 【請求項3】 前記陽極酸化被膜層の表面を化学研摩に
より平滑面に形成したことを特徴とする請求項1記載の
内燃機関用ピストン。 - 【請求項4】 ピストン本体母材の表面に陽極酸化被膜
層を施したアルミニウム合金製ピストンにおいて、前記
ピストン本体母材のランド部に形成したリング溝のう
ち、少なくともトップリング溝部の下面にSi粒が除去
された表面部を形成し、この表面部に前記陽極酸化被膜
層を形成したことを特徴とする内燃機関用ピストン。
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---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=16509002
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03350509A Expired - Fee Related JP3129494B2 (ja) | 1991-07-22 | 1991-12-11 | 内燃機関用ピストン |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3129494B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2383833A (en) * | 2001-12-27 | 2003-07-09 | Perkins Engines Co Ltd | Piston with a ceramic reinforced ring groove |
KR101445284B1 (ko) * | 2013-08-21 | 2014-09-26 | 린나이코리아 주식회사 | 상향식 보일러용 공기배출장치 |
US9932928B2 (en) | 2014-05-23 | 2018-04-03 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Piston for internal combustion engine |
US10208703B2 (en) | 2015-03-17 | 2019-02-19 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Piston for internal combustion engine, internal combustion engine including this piston, and manufacturing method of this piston |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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AU2005214741B2 (en) | 2004-02-13 | 2009-05-07 | Intelligent Coffee Company, L.L.C. | Liquid concentrate beverage dispenser with replaceable cartridge |
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-
1991
- 1991-12-11 JP JP03350509A patent/JP3129494B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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