JPH0577727A - 車両用換気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】車両の高速化に伴う車外圧力の増大に対して、
必要換気量を満足しつつ、送風機の逆流による換気装置
から車内に伝播する圧力変動を抑制し、乗客が受ける耳
つん現象を防止して快適な室内空間を確保する。 【構成】車外の新鮮空気を取り入れる高圧力小風量の給
気ブロワ３，低圧力大風量の給気ファン１と、車内の汚
染空気の車外に排出する高圧力小風量の排気ブロワ４，
低圧力大風量の排気ファン２と、前記給・排気ブロワと
給・排気ファンの車内への流路を切替る流路切替手段６
とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両用換気装置に係
り、特に高速で走行する鉄道車両に好適な車両用換気装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、高速で走行する鉄道車両に用いら
れる車両用換気装置としては、特開昭６２−２０３８６
８号に記載されているような内燃機関の過給気に用いら
れるターボ圧縮機を給・排気用の送風機に用いたものが
知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、前記
ターボ圧縮機の駆動源として、車載の車上電源用発電機
を駆動する原動機であるところの内燃機関の排気ガス、
あるいは高速度回転可能な電動機を用いていた。

【０００４】ところが、車上電源用発電機を駆動する原
動機が車載されていない場合には、内燃機関の排気ガス
は利用できない。また、排気ガスを利用するためにわざ
わざ内燃機関を車載することは装置の大型化を招くもの
である。

【０００５】一方、駆動源として高速度回転可能な電動
機を用いた場合、５０，０００ｒｐｍ以上もの高速度で
回転し続けなければならず、電動機の寿命を著しく低下
させるものである。また、送風機の消費電力は風量と風
圧の乗算に比例することから、車外圧力変動の最大値以
上の圧力特性を有した送風機で必要量の換気を行わせる
ことは電力容量の増大につながり、車上電源容量が小さ
い車両の場合には適用できない。

【０００６】本発明の目的は、車両の高速走行時におけ
る車外圧力変動の車内への伝播を小さな動力で抑制し、
快適な室内空間を確保しえる車両用換気装置を提供する
ことにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、車外の新鮮空気を取り入れる給気装置及び車内の汚
染空気を車外に排出する排気装置を夫々高圧力小風量の
ブロワと低圧力大風量のファンによって構成し、トンネ
ル内外でファンとブロワの運転を切替ると共にファンの
流路を締め切るようにした流路切替え手段を備えたもの
である。

【０００８】

【作用】一般に、車外圧力が大きく変動するのはトンネ
ル内での車両すれ違い時であり、換気装置から車内への
圧力伝播を防止するには、トンネル内は高圧力のブロワ
で換気するようにすればよい。

【０００９】高圧力小風量のブロワは、例えば、現在新
幹線電車の便所排気に用いられているブロワがあり、シ
ロッコファンあるいはターボファンに比較して７〜８倍
の高圧力特性を有し、その圧力特性は２，０００mmＨ_２
Ｏにも達し、小形軽量である。従って、前記ブロワをト
ンネル内における換気の給・排気装置として用いること
により、その圧力特性が車外圧力変動を上回るため、ブ
ロワからの逆流現象は防止でき、また、低圧のファンは
流路を締め切るので、車外圧力の車内への影響を抑制す
ることができる。その結果、乗客の耳つんを防止するこ
とができる。前記ブロワは小風量のためトンネル外で運
転する給・排気ファンの消費電力と同等となり、車内圧
力の変動を抑制するのに特に大きな電力を必要としなく
てよい。

【００１０】前記ブロワは、小風量であるため、車内の
二酸化炭素濃度は上昇するが、トンネル区間が短いので
許容値を超えることはない。また、トンネル外では大風
量のファンで給排気するので車内の二酸化炭素濃度は十
分低いレベルに維持できる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１ないし図５に
より詳細に説明する。

【００１２】図１ないし図３において、１は新鮮外気を
取り入れる低圧力大風量の給気ファンであり、２は車内
の汚染空気を車外へ排出するための低圧力大風量の排気
ファンである。３は新鮮外気を取り入れる高圧力小風量
の特性を有する給気ブロワであり、４は車内の汚染空気
を車外へ排出する高圧力小風量の特性を有する排気ブロ
ワである。５は給・排気ダクトであり、６は給・排気ダ
クト５内に設置された流路切替え手段である流路切替ダ
ンパである。７は流路切替ダンパ６を駆動する駆動装置
であり、８は駆動装置７の駆動力を流路切替ダンパ６に
伝達するリンクである。１２は流路切替時に流路を完全
に締め切るためのパッキンである。９は前記給気ファン
１，排気ファン２，給気ブロワ３，排気ブロワ４及び駆
動装置７を制御する運転制御装置である。１０は地上の
集中管制室あるいは車上の運転室からのトンネル情報を
取り込み運転制御装置９に運転指令を与える検知器であ
る。１１は換気が行われる客室である。

【００１３】このような構成において、車両が通常トン
ネル外を走行する場合、図３に示すように給・排気ダク
ト５の中の流路切替ダンパ６は給気ファン１，排気ファ
ン２の流路が客室１１と連通するような位置となってお
り、該給気ファン１，排気ファン２により必要風量が常
に送風されているので、客室１１内の空気は清浄に保た
れている。一方、給気ブロワ３，排気ブロワ４はトンネ
ル外では停止している。この動作状態を図１に点線矢印
および流路切替ダンパ６の一点鎖線にて示している。

【００１４】このような状態で走行中、地上の集中管制
室あるいは車上の運転席からトンネル情報を検知器１０
で受信し、運転制御装置９から給気ファン１，排気ファ
ン２及び駆動装置７さらに給気ブロワ３，排気ブロワ４
に制御指令が送られる。その制御信号のタイミングチャ
ートは図４のようになる。まず、給気ブロワ３，排気ブ
ロワ４が運転を開始し、同時に駆動装置７も運転を開始
する。次に、流路切替ダンパ６が給気ブロワ３，排気ブ
ロワ４の流路を客室１１に連通させる位置になった時
に、給気ファン１，排気ファン２は運転を停止する。従
って、車内の換気を連続的に行いながら流路切替を行
い、トンネル内走行時には図２に示すように給気ブロワ
３，排気ブロワ４だけで客室１１内の換気を行うことに
なる。この動作状態を図１に実線矢印および流路切替ダ
ンパ６の実線にて示している。

【００１５】前記作動状況にあっては、トンネル突入・
脱出時の衝撃波による車外圧力変動に対応するため及び
給・排気ブロワの起動時間やダンパの切替完了時間をカ
バーするために、トンネル突入時には早めに、トンネル
を出る時には遅めに動作できるように、制御装置９から
予見信号が各部へいち早く送信される。この時、客室１
１内の空気は一時換気風量が低下するが、高速走行であ
りトンネル通過時間が短いため、トンネル通過後に前記
給気ファン１，排気ファン２を再起動すれば、直ちに換
気風量は補われることになる。従って、客室１１内の空
気が汚染される程の長時間の換気風量の低下が続くこと
はなく、トンネル内走行中の急激な車外圧力変動あるい
は列車のすれ違いによる車外圧力の増大によって車内へ
圧力が伝播することを抑制できる。

【００１６】前記給気ファン１，排気ファン２及び給気
ブロワ３，排気用ブロワ４は、現在一般に車両用換気送
風機として適用されているものであり、その特性の一例
を示すと図５のようになる。すなわち、給・排気ブロワ
３、４は、従来の換気ファンに比べて大幅に圧力特性が
向上しているので、高速車両のトンネル内でのすれ違い
時における車外圧力変動が大きくても、客室１１へ該圧
力変動の影響を伝播させることがない。また、大きさも
従来の換気ファンに比べて小型であるため、換気装置が
全体として大型化することを防止できる。

【００１７】このような構成によれば、前記給気ファン
１，排気ファン２と前記給気ブロワ３，排気用ブロワ４
を併用し、流路切替ダンパ６を前記給気ファン１，排気
ファン２、給気ブロワ３，排気ブロワ４の両方の流路切
替に用いるため、換気装置を大型化することなく、か
つ、車両が高速でトンネル内においてすれ違う場合の客
室１１内の圧力変動を大幅に抑制することができる。さ
らに、車上電源の容量を増大させる必要がなく、省エネ
ルギー化が図れ、車上電源の確保が困難な場合には特に
有効である。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車
両の高速走行時における車外圧力変動の車内への伝播を
抑制して快適な室内空間を確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による車両用換気装置の一実施例を示す
空気経路図である。

【図２】図１の流路切替ダンパのトンネル内における動
作状況を示した断面図である。

【図３】図１の流路切替ダンパのトンネル外における動
作状況を示した断面図である。

【図４】図１に示した換気送風機及び流路切替装置の制
御系の動作状況を示すタイミングチャートである。

【図５】換気送風機として用いられる高圧ブロワ及び従
来の換気ファンの圧力特性を示すグラフである。

【符号の説明】

１…給気ファン、２…排気ファン、３…給気ブロワ、４
排気ブロワ、５…給・排気ダクト、６…流路切替ダン
パ、７…駆動装置、８…リンク、９…運転制御装置、１
０…検出器、１１…客室、１２…パッキン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車外の新鮮空気を取り入れる高圧力小風量
   の給気ブロワおよび低圧力大風量の給気ファンと、車内
   の汚染空気を車外に排出する高圧力小風量の排気ブロワ
   および低圧力大風量の排気ファンと、前記給・排気ブロ
   ワと給・排気ファンの車内への流路を切替る流路切替え
   手段を具備したことを特徴とする車両用換気装置。