JPH0577525B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は通常の冷房運転時に生ずる冷風によつ
て冷やされた保温タンク内の水の保有冷熱を利用
して、冷房開始時に即効冷房を行うことのできる
自動車用蓄熱式空気調和装置に関する。

［従来の技術］ 自動車用空気調和装置の空調用ダクトの一般的
構造は、被空調空気の吸入口と吹出口との間に上
流から順にブロワ、冷風発生用エバポレータ、温
風発生用のエンジン冷却水の温熱で暖められるヒ
ータコア、エバポレータを通過して冷やされた冷
気の一部分をヒータコアに流入させて吹出し空気
温度を調節すると共に、除湿作動時の調温機能を
果すエアミツクスダンパ、および各々の吹出方向
の異なる複数の吹出口のいずれから空調済空気を
吹出させるかを選択させるための吹出口ダンパを
納めて成り立つている。エアミツクスダンパに替
えてヒータコアへの温水の通入量の制御用ウオー
タバルブを操作することによつて空気温度の調節
する方法も行われている。

また一方では、エンジン始動時や低速走行時な
どのようにエンジン冷却水温が低くてヒータコア
の暖房能力が不足する時に備えて、通常走行時に
生じる高温のエンジン冷却水の一部を保温タンク
内に蓄えておき、冷却水温の低い時に貯溜温水を
ヒータコアに流入させていわゆる即効暖房効果を
得ようとする試みが進められている。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記の如き構造を備えた空気調和用ダクトが組
込まれた自動車用蓄熱式空気調和装置では、冷房
開始時にはダクトおよびダクト内に納められてい
る部材は外気と同じ温度に昇温しており、またエ
バポレータも急速には冷えて来ないので冷房がき
き始めるまでしばらくの間は暑い思いを強いられ
ることになつた。殊に炎天下に止めてあつた車に
乗り込む時はなおさらである。

本発明はクーラスイツチ投入後迅速に冷風を発
生させることのできる自動車用蓄熱式空気調和装
置を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために本発明の自動車用
蓄熱式空気調和装置は、ブロワ、冷房用エバポレ
ータ、ヒータコア、エアミツクスダンパ等を内蔵
し、被空調空気の出入口を備えた空調用ダクト
と、エンジンウオータージヤケツトと前記ヒータ
コアとを結ぶ第１の水循環路と、該第１の水循環
路に設けた第１の水循環路開閉用電磁弁と、前記
第１の水循環路に並列に設けた管路、および該管
路に介在させたエンジン冷却水の貯留用保温タン
クを有し、該保温タンクと前記ヒータコアとを結
ぶ第２の水循環路と、前記保温タンクの前および
後の前記管路に設けた第２の水循環路開閉用電磁
弁および第２の水循環路循環用ウオーターポンプ
と、エンジン冷却水の水温センサと、該水温セン
サからの信号に基づいて前記第１の水循環路開閉
用電磁弁、前記第２の水循環路開閉用電磁弁およ
び前記第２の水循環路循環用ウオーターポンプを
制御する制御手段とを備えてなり、前記制御手段
は、通常冷房時に前記第１の水循環路を閉じて前
記第２の水循環路を開くと共に前記第２の水循環
路循環用ウオーターポンプを作動させて、前記エ
バポレータが発生させた冷風により前記ヒータコ
アを冷やすことによつて前記保温タンク内に冷水
を貯留させた後、前記第１の水循環路を開いて前
記第２の水循環路を閉じ、冷房開始時には、前記
第１の水循環路を閉じて前記第２の水循環路を開
き、前記第２の水循環路循環用ウオーターポンプ
を作動させることによつて即効冷房を行うことを
特徴とする構成を採用した。

［作用］ 上記の如き構成からなる本発明装置は、クーラ
スイツチが投入された後しばらくたつて、エバポ
レータが充分に冷却されている通常の冷房状態時
に、装置の制御手段を作動させると、クーラ内の
水温が設定値より高いことを水温センサが検知し
た時には、エンジンウオータージヤケツトとヒー
タコアを結ぶ第１の水循環路を閉じたうえで、ヒ
ータコアと保温タンクとを結ぶ第２の水循環路が
開かれ、またウオーターポンプが起動するので、
空調用冷風によつて、保温タンク内の水が冷却さ
れる。保温タンク内の水温が設定値にまで下がる
と、上記の両水循環路は元の開または閉状態にも
どりポンプも止まる。

次の冷房開始時に装置の制御手段を働かせると
同じ制御作動が行われて、保温タンク内に蓄えら
れていた冷水がヒータコア内に循環流通させられ
るので、未だ冷えていないエバポレータを通過し
た外気温に等しい被空調空気は、冷房開始直後に
もかかわらず冷却されているヒータコアに通入さ
せられることによつていわば即効冷房効果を得る
ことができる。エバポレータが充分に冷却された
ことを直接的または間接的に温度センサが検知す
れば、制御手段が働いて第１の水循環路は開き、
第２の水循環路は閉じて、エアミツクスダンパに
よる温度調節および除湿が行えるようになる。

［実施例］ 以下に本発明の自動車用蓄熱式空気調和装置を
付図に示す実施例に基づいて具体的に説明する。

第１図は本発明装置のシステム図であつて、１
は自動車エンジンのウオータージヤケツト、２は
エンジン冷却用ウオーターポンプ、３はラジエー
タ、４はエンジン冷却水温の制御用サーモスタツ
ト、５はウオータージヤケツト水温センサ、６は
第１の水循環路開閉用電磁弁でウオータージヤケ
ツト１とヒータコア１０とを結ぶ第１の水循環路
２１→２２→２３→２４のうちの管路２１に介在
される。第２の水循環路開閉用電磁弁７は保温タ
ンク８とヒータコア１０とを結ぶ第２の水循環路
２５→２２→２３のうちの管路２５に介在させ
る。９は前記管路２５に介在させた水の第２の水
循環路循環用ウオーターポンプである。第２の水
循環路開閉用電磁弁７および第２の水循環路循環
用ウオーターポンプ９は、前記管路２５の、前記
保温タンク８の前および後に装着されている。１
４はヒータコア１０内へのエンジン冷却水流入制
御用ウオーターバルブ（電磁弁）、１５は保温タ
ンク８内の水温センサ、１３は制御装着で水温セ
ンサ５および１５からの信号に基づいて電磁弁
６，７，１４およびウオーターポンプ９の作動制
御を行う。

１８は空調用ダクトであつて、車室内空気の切
換導入用の内外切換箱を組付けてある空気入口１
９と空調済み空気の吹出用のデフロスト、ベンチ
レーシヨンおよびヒータの各吹出口３１，３２お
よび３３を備えており、内空部には上流側から順
にブロワ１２、冷房用エバポレータ１１、ヒータ
コア１０、エアミツクスダンパ１６および各空気
吹出口３１〜３３への空気分配用のダンパ３４と
３５などが納められている。１７はエアミツクス
ダンパ１６の回動用アクチユエータであり、制御
装着１３によつて制御される。保温タンク８は容
量が５リツトル内外あるいはそれ以上で、金属ま
たは合成樹脂製の２重壁構造タンク壁間空隙にポ
リウレタンフオームの如き断熱材を充填した構造
を備えており、車体の適宜の個所に設置される。

なお上記の第１図には、通常冷房時に保温タン
ク８内の冷風によつて冷却させるための蓄冷用ス
イツチをONさせるか、または水温センサが働い
て自動的に蓄冷作動モードに入つた時の、第１お
よび第２の水循環路内の水の流れ方向が矢印で示
されている。この水の流れ状態は、冷房開始時の
即効冷房モードの場合と同じである。また保温タ
ンク８に蓄えられた温水をヒータコア１０に流入
させる即効暖房モードにおいても、この第１図に
示された状態と同じ水の流れとなる。

第２図は第１図に示された装置が通常の冷房ま
たは暖房モードにある場合の水の流れを矢印で示
している。エアミツクスダンパ１６も図示の如く
適宜の位置に変位される。

第３図は、第１図に示された装置が保温タンク
８内に温水を蓄えるための蓄熱作動モードにある
時の水の流れ方向を矢印で示している。

次に本発明装置の作動について、第１図ないし
第３図を参照しながら、通常の冷房時において保
温タンク８内に冷水を貯えさせるための蓄冷作動
モードと、冷房開始時に貯えられた冷水を利用し
て急速冷房を行わせるための即効冷房モード、お
よび保温タンク８内に蓄えられたエンジン冷却温
水を利用して急速冷房を行わせるための即効暖房
モードに分けて以下に説明する。

（蓄冷作動モード） 空調装置の制御盤に設けてあるクーラースイツ
チを投入すると（および蓄冷用スイツチをONさ
せる）と、保温タンク８内の水温が設定値例えば
３℃より高いことを水温センサ１５が検知するこ
とによつて、制御装置１３が信号を発して電磁弁
６を閉弁させ、第１の水循環路２１→２２→２３
→２４を遮断してヒータコア１０へのエンジン冷
却水の流入を停止させると共に電磁弁７および１
４を開弁させ、且つウオーターポンプ９を作動さ
せるので、第２の水循環路２５→２２→２３は開
放されて保温タンク８内の水がヒータコア１０に
循環流入する。また制御装置１３はアクチユエー
タ１７を働かせて空調用ダクト１８内を通る空気
の全量がヒータコア１０を通過するようにエアミ
ツクスダンパ１６を第１図に示された位置にもた
らすので、ブロワ１２によつてエバポレータ１１
内を通過させられた冷風がヒータコア１０を有効
に冷却させる。従つて保温タンク８内の水も次第
に冷え前述の設定温度に到達すると、水温センサ
１５からの信号に基づいて、電磁弁６と７および
ウオーターポンプ９は前記とは逆の側に働いてこ
の作動モードのスタート時の状態にもどり、保温
タンク８はエンジンウオータージヤケツト１およ
びヒータコア１０との連通を断たれるので蓄えた
冷熱の流亡が防がれる。一方ヒータコア１０はエ
ンジン冷却温水の供給を受けて通常の冷房状態
（第２図参照）に移行する。通常の冷房が行われ
ている間に、保温タンク８内の水温が設定値を越
えて暖まれば、水温センサ１５の信号に基づいて
再び蓄冷作動が開始されて設定水温が維持されれ
る。

（即効冷房モード） 蓄冷作動が行われて保温タンク８内に冷水が蓄
えられている状態のもとに、高温下に曝されてい
る車室内に乗り込んだ時クーラースイツチと共に
蓄冷スイツチを投入すると、装置は制御装置１３
の働きによつて第１図に示された作動状態にセツ
トされるので、ヒータコア１０には保温タンク８
内の貯溜冷水がウオーターポンプ９の働きによつ
て流入し、クーラーの起動直後のために冷却され
ていないエバポレータ１１に代わつてヒータコア
１０がブロワ１２によつて送り込まれて来る被空
調空気を冷やすことになり、急速冷房ないしは即
効冷房効果を得ることができる。保温タンク８内
の貯溜冷水は送入空気と熱交換して次第に暖まつ
て来るが、その頃にはエバポレータ１１による冷
風発生機能が作用し始めるので、ヒータコア１０
がこの冷風で冷やされることによつて保温タンク
８内の水温は再び下降して、設定値に達すれば前
述の如くしてこの即効冷房モード並びにそれに続
く蓄冷作動モードは終了して通常の冷房モード
（第２図）に移行する。

（即効暖房モード） 寒季に空調装置の制御盤に設けられた蓄熱用ス
イツチを投入して置くと、ヒータコア１０が充分
に暖められている通常暖房状態下で、保温タンク
８内の水温が設定値例えば50℃以下であることを
水温センサ１５が検知すると制御装置１３が働い
ていままで閉されていた電磁弁７を開かせ、開か
れている電磁弁６を経てエンジンウオータージヤ
ケツト１から送られて来る温水を保温タンク８に
導入させる。タンク８内の水温が設定水準に到達
すれば電磁弁７は閉ざされて保温タンク８内の温
水はエンジン冷却水の循環系から切り離され温熱
の流亡が防がれる（第３図参照）。

保温タンク８内に温水が蓄えられている状態の
もとで、蓄熱用スイツチが投入されていると、制
御装置１３が働いて、ウオータージヤケツトの水
温センサ５が設定温度、例えば35℃以下を検知す
ると（エンジン始動時や低速走行時などに）、電
磁弁６を閉弁、電磁弁７を開弁させると共にウオ
ーターポンプ９を起動させるので、ヒータコア１
０内に低温のエンジン冷却水が流入することが阻
止され、その代わりにより高い温度に保たれてい
る保温タンク８内の温水が供給されるので、いわ
ゆる即効暖房効果を得ることができる。この場合
水循環の流路は即効冷房モードにおける流路（第
１図）と同じである。

エンジン冷却水温が設定値にまで昇温すれば、
制御装置１３が働いて第２図に示された通常の暖
房（冷房）モードに移行する。このモードのもと
での空調用ダクト１８からの吹出し空気温度の調
節は、エアミツクスダンパ１６を制御装置１３か
らの指令に基づいて作動制御されるアクチユエー
タ７の前後進動作を介して回転させるか、あるい
は空調装置制御盤の手動レバーを操作してエアミ
ツクスダンパ１６の回転位置を変位させることに
よつて行う。

また、上記第１の実施例は、本発明の蓄熱式空
気調和装置を、ヒータコア１０への被空調空気の
流入をエアミツクスダンパ１６によつて調節する
エアミツクス式空気調和装置に適用した例である
が、第４図の他の実施例のサイクル図に示したよ
うに、リヒート式の空調装置にも適用できる。リ
ヒート式においては、エアミツクスダンパ１６を
なくし、被空調空気がヒータコア１０′にすべて
流入するように構成し、ヒータコア１０′へのエ
ンジン冷却水の流入量を制御用ウオーターバルブ
１４で制御することによつて吹出温度を調節す
る。このようなリヒート式空調装置においては、
エンジン始動時の急速冷房時には、ヒータコア１
０′内には外気温相当の温度の高い冷却水が滞留
しており、エアミツクス式のようにエアミツクス
ダンパによつてヒータコアをバイパスさせること
ができないために急速冷房効果は、エアミツクス
式より劣つている。従つてこのようなリヒート式
空調装置に本発明の蓄熱式空気調和装置を適用す
れば大きな効果が得られる。

［発明の効果］ 本発明による自動車用蓄熱式空気調和装置は次
のような効果を奏する。

イ 従来行われて来た自動車用空気調和装置に、
比較的小型の冷水（または温水）貯溜用の保温
タンクと、エンジン冷却水の流路の切換用の小
数の部品を付加するのみで、冷房開始直後のエ
バポレータが働き始めない時期に有効な冷房を
行うことができ、炎天下に止めてあつた車に乗
り込んだ時の耐えがたい暑さから解放される。

ロ 寒季のエンジン始動時等に即効暖房を行うた
めの温水用保温タンクが組み込まれている車種
であれば、保温タンクの付設の手間が省ける上
に夏季には不要化する保温タンクを極めて有効
に活用することができる。

ハ 保温タンク内の水の冷却およびヒータコアへ
の冷水の放出作動等は付設制御装置の働きによ
つて自動的に行われるので、本発明装置の操作
は始動スイツチの投入という極めて単純な動作
のみで足りる。また、この発明では、蓄冷後に
おいて、ヒータコアに温水を流し、再加熱して
所望の吹出温度を得るという温調ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置のシステム図、第２図は第
１図の装置が通常冷房または暖房モードにあると
きの、配管内の水の流れ方向を矢印で示した図、
第３図は保温タンク内に温水を蓄える蓄熱作動モ
ード時の水の流れ方向を示した図、そして第４図
は本発明装置の別の実施態様を示した装置のシス
テム図である。 図中、１……エンジンウオータージヤケツト、
６，７……電磁弁、８……保温タンク、９……ウ
オーターポンプ、１０……ヒータコア、１１……
エバポレータ、１２……ブロワ、１３……制御装
置制御手段、１４……ウオーターバルブ、５，１
５……水温センサ、１６……エアミツクスダン
パ、１８……空調用ダクト、２１，２２，２３，
２４……第１の水循環路、２５，２２，２３……
第２の水循環路、３１，３２，３３……空気吹出
口。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ブロワ、冷房用エバポレータ、ヒータコア、
   エアミツクスダンパ等を内蔵し、被空調空気の出
   入口を備えた空調用ダクトと、 エンジンウオータージヤケツトと前記ヒータコ
   アとを結ぶ第１の水循環路と、 該第１の水循環路に設けた第１の水循環路開閉
   用電磁弁と、 前記第１の水循環路に並列に設けた管路、およ
   び該管路に介在させたエンジン冷却水の貯留用保
   温タンクを有し、該保温タンクと前記ヒータコア
   とを結ぶ第２の水循環路と、 前記保温タンクの前および後の前記管路に設け
   た第２の水循環路開閉用電磁弁および第２の水循
   環路循環用ウオーターポンプと、 エンジン冷却水の水温センサと、 該水温センサからの信号に基づいて前記第１の
   水循環路開閉用電磁弁、前記第２の水循環路開閉
   用電磁弁および前記第２の水循環路循環用ウオー
   ターポンプを制御する制御手段とを備えてなり、 前記制御手段は、通常冷房時に前記第１の水循
   環路を閉じて前記第２の水循環路を開くと共に前
   記第２の水循環路循環用ウオーターポンプを作動
   させて、前記エバポレータが発生させた冷風によ
   り前記ヒータコアを冷やすことによつて前記保温
   タンク内に冷水を貯留させた後、前記第１の水循
   環路を開いて前記第２の水循環路を閉じ、冷房開
   始時には、前記第１の水循環路を閉じて前記第２
   の水循環路を開き、前記第２の水循環路循環用ウ
   オーターポンプを作動させることによつて即効冷
   房を行うことを特徴とする自動車用蓄熱式空気調
   和装置。