JP4443588B2 - 車両用蓄冷システム - Google Patents
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Description
前記ヒータコアへのエンジン冷却水循環回路に並列接続し、エンジン冷却水の貯液層と前記エバポレータからの冷媒が流通する冷媒層を有する蓄冷タンクと、
冷房運転時、前記貯液層に貯留したエンジン冷却水をエバポレータからの冷媒により冷却する蓄冷モードと、冷房運転停止後、前記貯液層内の冷却したエンジン冷却水を前記ヒータコアに導入する冷房補完モードと、を切り替えるモード切り替え手段と、を備え、
前記蓄冷タンクは、内側層と中間層と外側層を有し、前記内側層をエンジン冷却水の貯液層とし、前記中間層をエバポレータからの冷媒が流通する冷媒層とし、前記外側層を真空断熱層とし、タンク構成要素を複数枚積層し、積層したタンク構成要素の開口部を入口側蓋板と出口側蓋板とで塞ぐことにより、前記貯液層と前記冷媒層と前記真空断熱層を形成した積層型蓄冷タンクとしたことを特徴とする。
すなわち、冷房補完モードでは、空調ユニットに既存のヒータコアを、冷却したエンジン冷却水を導入するクーラコアとして活用するシステムである。このため、蓄冷タンクとモード切り替え手段を追加するだけで、既存の空調ユニットの構成はそのままで良い。
また、冷風冷却より冷却効果が高い冷媒冷却であり、かつ、エンジン冷却水の充填を蓄冷タンクの貯液層にて行うため、冷熱エネルギーの蓄積量は、蓄冷タンクの容積設定により行えるという自由度を持つ。したがって、冷房運転停止後、冷房運転時に蓄えられた十分な蓄冷エネルギーにより、従来の車両用蓄冷システムに比べ、冷房運転の補完時間を延長することができる。例えば、信号待ちによるアイドルストップの平均時間の間、冷房運転を補完したいという要求に対し、蓄冷タンクの容積設定により、冷房運転の補完時間をアイドルストップの平均時間に一致させることが可能である。
この結果、既存の空調ユニットの構成はそのままでコストやスペースの有利性を確保しながら、冷房運転停止後、冷房運転時に蓄えられた蓄冷エネルギーにより要求される時間までの冷房運転の補完を達成することができる。
加えて、蓄冷タンクは、内側層と中間層と外側層を有し、内側層をエンジン冷却水の貯液層とし、中間層をエバポレータからの冷媒が流通する冷媒層とし、外側層を真空断熱層とした。このため、真空断熱層による高い断熱性により、真空断熱層を持たないタンクに比べ、エバポレータからの冷媒が持つ冷熱エネルギーの損失や貯液層内のエンジン冷却水が蓄えた冷熱エネルギーの損失を小さく抑えることができる。
さらに、蓄冷タンクは、タンク構成要素を複数枚積層し、積層したタンク構成要素の開口部を入口側蓋板と出口側蓋板とで塞ぐことにより、貯液層と冷媒層と真空断熱層を形成した積層型蓄冷タンクとした。このため、冷房運転の補完時間の変更や車種の変更等により、蓄冷タンクの容積を変更する要求があった場合、設定された容積毎に異なる形状のタンクを用意する必要がなく、タンク構成要素の積層枚数を変更するだけで容積変更要求に対し容易に対応することができる。
図1は実施例1の車両用蓄冷システムを示す全体システム図である。図2は実施例1の車両用蓄冷システムの蓄冷要部を示すサイクル図である。図3は実施例1の車両用蓄冷システムに用いられる蓄冷タンクの一例を示す断面図である。
この蓄冷タンク50は、図3に示すように、内側層と中間層と外側層を有し、前記内側層をエンジン冷却水の貯液層50aとし、前記中間層をエバポレータ6からの冷媒が流通する冷媒層50bとし、前記外側層を真空断熱層50cとしている。
さらに、蓄冷タンク50は、図3に示すように、同一形状のタンク構成要素501を複数枚交互に反転させながら積層し、積層したタンク構成要素501の開口部を入口側蓋板502と出口側蓋板503とで塞ぐことにより、前記貯液層50aと前記冷媒層50bと前記真空断熱層50cを形成した積層型蓄冷タンクとしている。
空調コントローラ54には、図1に示すように、蓄冷タンク温度センサやエバポレータ直後面温度センサやヒータコア直後面温度センサや通常の空調制御に必要なセンサやスイッチ等のセンサ・スイッチ類55から入力情報がもたらされる。
また、空調コントローラ54は、エンジンコントローラ56に対しCAN通信線57により接続され、エンジンストップ信号等の情報交換を行いながら、信号停車時等にエンジン40を一時的に停止するアイドルストップ制御と、エンジン停止後に冷房を補完する冷房補完制御の協調制御を行う。
蓄冷モードの制御は、最大冷房運転時を除いて第2エアミックスドア8を開(エアミックスドアのヒータコア側開)とし、両切り替えバルブ51,52をバルブ閉(蓄冷タンクバルブ閉)とし、循環ポンプ53を停止(ポンプOFF)し、蓄冷タンク50の貯液層50aに貯留したエンジン冷却水をエバポレータ6からの低温・低圧冷媒により冷却する。
通常の空調制御としては、目標温設定、日射量補正、吹き出し温度制御、吹き出しモード制御、内外気切り替え制御、エアミックスドア切り替え制御、コンプレッサ制御、ブロワ制御、クーリングファン制御等を行う。
PTC制御は、冬季や寒冷地でのエンジン始動時等で、暖房要求があるにもかかわらずエンジン冷却水が低温であるとき、暖房を補完するべくPTCヒータ10をONとする制御を行う。
ここで、蓄冷タンク50での蓄冷完了判断は、蓄冷タンク温度センサからの蓄冷タンク温度に基づき行うもので、併せて、エバポレータ直後面温度やヒータコア直後面温度の情報を考慮する。
ここで、冷房運転を停止する環境であるか否かの判断情報としては、外気温度、室内温度、日射量、吹き出し温度等を用いる。すなわち、夏季炎天下等の状況では、冷房運転を継続する環境であると判断し、エンジン40を停止することなく冷房運転を継続する。
すなわち、エンジンストップ要求条件(ステップS3でのON)と、空調ユニット作動条件(ステップS6でのON)と、蓄冷完了条件(ステップS8でYES)と、冷房運転停止許可条件(ステップS10でのエンジンストップOK)の成立により、エンジン40を停止する。
ここで、蓄冷タンク50での放冷完了判断は、蓄冷完了判断と同様に、蓄冷タンク温度センサからの蓄冷タンク温度に基づき行うもので、併せて、エバポレータ直後面温度やヒータコア直後面温度の情報を考慮する。
近年、燃費改善要求と排出ガスの低減による環境改善要求から、駐停車時にエンジンを一時的に停止するアイドルストップが注目されていて、手動によりエンジン停止とエンジン始動を行うアイドルストップに限らず、半自動や自動によるアイドルストップ制御システムを搭載した車両も実現化している。例えば、直噴形式をとるエンジン搭載車では、エンジンの起動時間を非常に短くすることが可能となり、車両が停止したらエンジンを切り、発進前のクラッチ・シフトレバー操作を感知して、自動的にエンジンをスタートさせるアイドルストップ制御システムを採用している。
例えば、信号待ち時間の平均時間は60秒前後であり、この信号待ち時間の間、冷房運転を補完することができたら、エンジンを停止するアイドルストップ時間を長い時間確保することができ、燃費改善や環境改善の実効を図ることができる。
以下、実施例1の車両用蓄冷システムにおける作用を、「最大冷房運転作用」、「温度調整運転および蓄冷運転作用」、「蓄冷完了作用」、「冷房運転の補完作用」に分けて説明する。
図5は実施例1の車両用蓄冷システムにおける冷房・蓄冷モードでの蓄冷要部を示す作用説明図である。図6は実施例1の車両用蓄冷システムにおける最大冷房運転時の空調ユニットAUを示す要部断面図である。
図7は実施例1の車両用蓄冷システムにおける温度調整運転および蓄冷運転時の空調ユニットAUを示す要部断面図である。
図8は実施例1の車両用蓄冷システムにおける蓄冷完了時の空調ユニットAUを示す要部断面図である。
図9は実施例1の車両用蓄冷システムにおけるエンジン停止時の冷房補完モードでの蓄冷要部を示す作用説明図である。図10は実施例1の車両用蓄冷システムにおけるアイドルストップ時冷房状態の空調ユニットAUを示す要部断面図である。
この冷房運転の補完作用は、ステップS13において、蓄冷タンク50での放冷が完了したと判断されるまで継続される。
例えば、信号待ちによるアイドルストップの平均時間(約60秒)の間、冷房運転を補完したいという要求に対し、蓄冷タンク50の容積設定により、冷房運転の補完時間をアイドルストップの平均時間に一致させることが可能である。
実施例1の車両用蓄冷システムにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
図11は実施例2の車両用蓄冷システムに用いられる蓄冷タンクの一例を示す断面図である。
ここで、潜熱蓄冷材50eとしては、例えば、n-パラフィンをカプセル化、あるいは、パッケージ化したものを用いる。このn-パラフィンは、炭素鎖数に対応して広範な温度域をカバーでき(凝固点-50〜80℃)、溶融潜熱も130〜250KJ/Kgと高い。
実施例2の車両用蓄冷システムにあっては、実施例1の(1)〜(6),(8)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
1 空調ケース
2 インテークドア
3 クリーンフィルター
4 ブロワ
5 ブロワモータ
6 エバポレータ
7 第1エアミックスドア(温調ドア)
8 第2エアミックスドア(温調ドア)
9 ヒータコア
10 PTCヒータ(暖房補完手段)
11 冷風バイパス通路
12 温風通路
13 ベントドア
14 フットドア
15 デフドア
16 ベント吹き出し口
17 フット吹き出し口
18 デフ吹き出し口
19 ベントダクト
20 フットダクト
21 デフダクト
22 ベントグリル
30 コンプレッサ
31 コンデンサ
32 レシーバー
33 エキスパンションバルブ
34 エバポレータ第1出口回路
35 エバポレータ第2出口回路
40 エンジン
41 ラジエータ
42 サーモスタットバルブ
43 ウォータポンプ
44 バイパス回路
45 ヒータコア入口回路
46 ヒータコア出口回路
50 蓄冷タンク
50a 貯液層
50b 冷媒層
50c 真空断熱層
50d 蓄冷材層
50e 潜熱蓄冷材
51 第1切り替えバルブ(切り替えバルブ)
52 第2切り替えバルブ(切り替えバルブ)
53 循環ポンプ
54 空調コントローラ(モード切り替え制御手段)
Claims (6)
- エバポレータとヒータコアを内蔵する空調ユニットを備え、冷房運転時に蓄冷しておき、冷房運転停止後、蓄冷エネルギーを用いて冷房運転を補完する車両用蓄冷システムにおいて、
前記ヒータコアへのエンジン冷却水循環回路に並列接続し、エンジン冷却水の貯液層と前記エバポレータからの冷媒が流通する冷媒層を有する蓄冷タンクと、
冷房運転時、前記貯液層に貯留したエンジン冷却水をエバポレータからの冷媒により冷却する蓄冷モードと、冷房運転停止後、前記貯液層内の冷却したエンジン冷却水を前記ヒータコアに導入する冷房補完モードと、を切り替えるモード切り替え手段と、を備え、
前記蓄冷タンクは、内側層と中間層と外側層を有し、前記内側層をエンジン冷却水の貯液層とし、前記中間層をエバポレータからの冷媒が流通する冷媒層とし、前記外側層を真空断熱層とし、タンク構成要素を複数枚積層し、積層したタンク構成要素の開口部を入口側蓋板と出口側蓋板とで塞ぐことにより、前記貯液層と前記冷媒層と前記真空断熱層を形成した積層型蓄冷タンクとしたことを特徴とする車両用蓄冷システム。 - 請求項1に記載された車両用蓄冷システムにおいて、
前記モード切り替え手段は、
冷房運転時、前記貯液層の入口と出口を閉じてエンジン冷却水を溜めたままとするバルブ閉状態と、冷房運転停止後、前記貯液層の入口と出口を開きエンジン冷却水を前記ヒータコアに流通させるバルブ開状態とを切り替える切り替えバルブと、
冷房運転停止後、前記貯液層と前記ヒータコアとの間で冷却したエンジン冷却水を強制循環する循環ポンプと、
前記切り替えバルブと前記循環ポンプの作動制御と空調ユニットの制御により、冷房運転時の蓄冷モードと冷房運転停止後の冷房補完モードの切り替え制御を行うモード切り替え制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用蓄冷システム。 - 請求項2に記載された車両用蓄冷システムにおいて、
前記モード切り替え制御手段は、エンジン作動の蓄冷モード時、前記切り替えバルブをバルブ閉とし、前記循環ポンプを停止し、貯液層に貯留したエンジン冷却水をエバポレータからの低温・低圧冷媒により冷却することを特徴とする車両用蓄冷システム。 - 請求項2または請求項3に記載された車両用蓄冷システムにおいて、
前記モード切り替え制御手段は、エンジンストップ要求条件と空調ユニット作動条件と蓄冷完了条件の成立によりエンジンを停止し、前記切り替えバルブをバルブ開とし、前記循環ポンプを作動すると共に、空調ユニットのブロワを作動し、インテークドアを外気導入位置と内気循環位置のうち負荷の低い位置とし、温調ドアのヒータコア側を開くことで冷房補完モードを開始することを特徴とする車両用蓄冷システム。 - 請求項4に記載された車両用蓄冷システムにおいて、
前記モード切り替え制御手段は、冷房補完モードの開始後、放冷完了条件が成立すると、前記切り替えバルブをバルブ閉とし、前記循環ポンプを停止すると共に、空調ユニットのブロワを停止することで冷房補完モードを終了することを特徴とする車両用蓄冷システム。 - 請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載された車両用蓄冷システムにおいて、
前記空調ユニットは、前記ヒータコアの下流位置に、暖房要求があるにもかかわらずエンジン冷却水が低温であるとき、暖房を補完する暖房補完手段を設定したことを特徴とする車両用蓄冷システム。
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