JPH0577199U - 高所作業車の安全装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高所作業車において、上部操作通信装置から
異常な制御信号が送信されたときは、迅速に下部操作装
置からの制御信号を優先させて昇降装置を制御できるよ
うにする安全装置を提供する。 【構成】 安全装置２０は、上部操作通信装置１６から
の下部制御装置１８に対する制御信号の通信状態の正常
・異常を判定する通信状態判定手段を備えている。そし
て、優先側切換手段により、この通信状態判定手段によ
って通信状態が正常と判定されたときは、下部操作装置
１７からの制御信号の入力にかかわらず上部操作通信装
置１６から入力される制御信号に基づいて下部制御装置
１８に昇降装置１３の作動制御を行い、通信状態が異常
と判定されたときは、上部操作通信装置１６からの制御
信号の入力にかかわらず下部操作装置１７からの制御信
号に基づいて昇降装置１３の作動制御を行う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、高所作業車の安全装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

車体上に作業台を昇降させるブーム等の昇降装置を備えた高所作業車の車体に は、昇降装置の作動制御を行う下部制御装置が取り付けられている。また、同じ く車体には、地上にいる作業者が昇降装置の作動を指示すべく操作する下部操作 装置が取り付けられており、下部制御装置は、その下部操作装置から出力された 制御信号が入力されており、下部制御装置はこの制御信号に基づいて昇降装置の 作動制御を行うことができる。 一方、作業台には、この作業台に搭乗した作業者が昇降装置の作動を指示すべ く操作され、その操作に対応する制御信号を下部制御装置に対して送信する上部 操作通信装置が取り付けられている。下部制御装置は、この上部操作通信装置か ら入力された制御信号に基づいても昇降装置の作動制御を行うことができる。 ただし、下部操作信号と上部操作通信装置の双方から同時に制御信号が入力さ れると下部制御装置に誤作動等が生ずるため、通常は、実際に高所作業を行う作 業台搭乗の作業者の意思に基づく制御信号、即ち、上部操作通信装置からの制御 信号を下部操作装置からの制御信号に優先して取り込み、上部操作通信装置から の入力がないときにだけ下部操作装置からの制御信号に基づく昇降装置の作動制 御がなされるようになっていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、このような高所作業車では、上部操作通信装置が故障すること により誤って制御信号が送信された場合に、昇降装置が作業台に搭乗した作業者 の意思に反して作動するおそれがある。そして、その作動を停止させようとして 地上にいる作業者が下部操作装置を操作しても、上部操作通信装置からの誤制御 信号の送信が停止されない限り、下部操作装置側から制御することができないと いう問題がある。 なお、上部操作通信装置には、送信した制御信号を作業者の操作に基づいてキ ャンセルするシステムが備えられている場合があるが、この場合でも、キャンセ ルされるまでにある程度時間が経過してしまうため、その間の作業者の安全を確 保することができないという問題がある。

【０００４】 本考案は、このような問題に鑑みてなされたものであり、上部操作通信装置か ら異常な制御信号が送信されたときは、迅速に下部操作装置の優先状態に切り換 えることができるようにした高所作業車の安全装置を提供することを目的として いる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案の安全装置は、上部操作通信装置からの 下部制御装置に対する制御信号の通信状態の正常・異常を判定する通信状態判定 手段を備えている。そして、優先側切換手段により、この通信状態判定手段によ って通信状態が正常と判定されたときは、下部操作装置からの制御信号の入力に かかわらず上部操作通信装置から入力される制御信号に基づいて下部制御装置に 昇降装置の作動制御を行わせるようにしている。一方、通信状態が異常と判定さ れたときは、上部操作通信装置からの制御信号の入力にかかわらず下部操作装置 からの制御信号に基づいて下部制御装置に昇降装置の作動制御を行わせるように している。

【０００６】

【作用】

このような安全装置では、上部操作通信装置の通信状態が正常と判定される限 りは、従来と同様に上部操作通信装置からの制御信号が優先的に下部制御信号に 入力される。しかし、上部操作通信装置の通信状態が異常と判定された場合には 、優先側切換手段により、下部操作装置からの制御信号は無視され、下部制御装 置には下部操作装置からの制御信号が入力される。これにより、上部操作通信装 置の通信状態が異常となると、即、下部操作装置における操作に基づく昇降装置 の作動制御に切り換わり、昇降装置の誤作動を未然に回避することができる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。 まず、図１には、本考案に係る安全装置を備えた高所作業車１０を示している 。この高所作業車１０の車体１１の後部には、車体１１に対して水平旋回が自在 な旋回台１２が取り付けられている。また、この旋回台１２の上部には、テレス コープ状に伸縮自在に構成されたブーム１３が起伏自在に枢着されている。さら に、ブーム１３の先端には、作業台１５が水平に取り付けられている。作業台１ ５には、旋回台１２やブーム１３の作動を指示すべく操作される上部操作装置１ ６が取り付けられており、作業台１５に搭乗した作業者（以下、上部作業者とい う。）は、この上部操作装置１６の操作を通じて作業台１５とともに任意の高所 に移動して、高所作業を行うことができる。 一方、旋回台１２の側面にも、旋回台１２やブーム１３の作動を指示すべく操 作される下部操作装置１７が取り付けられている。例えば、作業台１５に搭乗し た作業者に上部操作装置１６を操作することができない事情が生じた場合に、そ の作業者に代わって地上にいる別の作業者（以下、下部作業者という。）が下部 操作装置１７の操作を通じて作業台１５を移動させることができる。 なお、旋回台１２やブーム１３の作動は、上部操作装置１６又は下部操作装置 １７から出力された制御信号の入力を受けた下部制御装置１８により直接制御さ れる。

【０００８】 ところで、この高所作業車１０は電設工事に用いられることが多いことから、 ブーム１３の先端側は電気絶縁性材料により形成されている。さらに、その絶縁 性を確保するために、上部操作装置１６から下部制御装置１８間における制御信 号の送信は、光ケーブル１９を介して行われる。このため、上部操作装置１６に は光通信装置（図示せず）が一体的に取り付けられている。したがって、以下、 上部操作装置１６を上部操作通信装置１６と称することとする。

【０００９】 このような高所作業車１０では、通常は、実際に高所作業を行う上部作業者に より操作される上部操作通信装置１６から送信された制御信号に応じて、下部制 御装置１８がブーム１３等の作動を制御し、下部操作装置１７からの制御信号は 無視する。このように、上部操作通信装置１６からの制御信号を優先的に扱うこ とにより、下部作業者が誤って下部操作装置１７を操作した場合等でも、上部作 業者の意思に反するようなブーム１３等の作動を回避することができる。 ただし、上部操作通信装置１６が故障して異常な制御信号が送信された場合に は、そのような異常信号に基づいて制御されるブーム１３等の作動を停止させて 上部作業者の安全を確保する必要がある。そこで、この高所作業車１０には、上 記安全装置が備えられている。

【００１０】 図２に、上記安全装置２０を示している。この安全装置２０は、通信状態判定 部２１と、優先側切換部２２とから構成されている。 通信状態判定部２１は、所定の短時間のサイクルごとに、上部操作通信装置１ ６と下部制御装置１８間の通信状態の正常・異常を判定する。そして、正常と判 定したときは正常信号を出力し、異常と判定したときは異常信号を出力する。 優先側切換部２２は、上記判定部２１から正常信号が入力されているときは、 前述のように下部操作装置１７からの制御信号の入力にかかわらず上部操作通信 装置１６から送信される制御信号に基づいて、下部制御装置１８にブーム１３等 の作動制御を行わせる。ただし、正常・異常信号のいずれも入力されていないと き、即ち、上部操作通信装置１６が未操作状態のときは、下部操作装置１７から 下部制御装置１８への制御信号の入力を許容し、その制御信号に基づいてブーム １３等の作動制御を行わせる。しかし、異常信号が入力されたときは、上部操作 通信装置１６からの制御信号を無視して、下部操作装置１７からの制御信号に基 づいてブーム１３等の作動制御を行わせる状態に切り換える。

【００１１】 このような安全装置２０によれば、上部操作通信装置１６が故障してそこから 送信される制御信号が上部作業者の操作に対応しなくなってしまったときに、通 信状態判定部２１における異常判定に基づいて、優先側切換部２２が上部操作通 信装置１６の優先状態から下部操作装置１７の優先状態に切り換わるため、上部 操作通信装置１６からの制御信号が自動的にキャンセルされ、とりあえずブーム １３等の作動を停止させることができる。そして、下部作業者による下部操作装 置１７の操作を通じて、作業台１５を地上に降ろすことができ、上部作業者の安 全を確保することができる。

【００１２】

【考案の効果】

以上のように、本考案の安全装置を用いれば、上部操作通信装置と下部制御装 置間の通信状態が異常となったときは、迅速かつ自動的に下部操作装置からの制 御信号によってのみ昇降装置の作動制御が可能な状態に切り換えられる。このた め、従来必要であった上部操作通信装置におけるキャンセル操作を待たずに昇降 装置の作動を停止させることができるとともに、その後、下部操作装置を通じて 昇降装置の作動制御を行うことができ、作業台に搭乗した作業者を安全に地上等 に降ろすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る安全装置を備えた高所作業車の斜
視図である。

【図２】上記安全装置のブロック図である。

【符号の説明】

１３ ブーム（昇降装置） １５ 作業台 １６ 上部操作通信装置 １７ 下部操作装置 １８ 下部制御装置 １９ 光ファイバー ２０ 安全装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体上に、作業台を昇降させる昇降装置
   を備えた高所作業車において、前記車体には、入力され
   た制御信号に基づいて前記昇降装置の作動を制御する下
   部制御装置およびその下部制御装置に対して制御信号を
   入力する下部操作装置が備えられ、前記作業台には、前
   記下部制御装置に対して制御信号を送信する上部操作通
   信装置が備えられている高所作業車の安全装置であっ
   て、 前記上部操作通信装置からの下部制御装置に対する制御
   信号の通信状態の正常・異常を判定する通信状態判定手
   段と、 この通信状態判定手段により前記通信状態が正常と判定
   されたときは、前記下部操作装置からの制御信号の入力
   にかかわらず前記上部操作通信装置から入力される制御
   信号に基づいて前記下部制御装置に前記昇降装置の作動
   制御を行わせ、前記通信状態が異常と判定されたとき
   は、前記上部操作通信装置からの制御信号の入力にかか
   わらず前記下部操作装置からの制御信号に基づいて前記
   下部制御装置に前記昇降装置の作動制御を行わせる優先
   側切換手段とから構成されることを特徴とする高所作業
   車の安全装置。