JPH0576357A - グリコシルホスフアチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼd - Google Patents

グリコシルホスフアチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼd

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JPH0576357A
JPH0576357A JP3276792A JP27679291A JPH0576357A JP H0576357 A JPH0576357 A JP H0576357A JP 3276792 A JP3276792 A JP 3276792A JP 27679291 A JP27679291 A JP 27679291A JP H0576357 A JPH0576357 A JP H0576357A
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pld
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Kuo-Sen Huang
フアング クオ−セン
Jarema P Kochan
ピーター コチヤン ジヤレマ
Shirley Hsia-Han Li
シアオ−ハン リー シヤーリー
Yu-Ching E Pan
ユジエン パン ユ−チン
Bernard J Scallon
ジエームス スカローン バーナード
Thomas C H Tsang
クリストフアー ヒン−シン ツアン トーマス
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F Hoffmann La Roche AG
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    • C07K2319/912Fusion polypeptide containing a motif for post-translational modification containing a motif for glycosylation containing a GPI (phosphatidyl-inositol glycane) anchor

Abstract

(57)【要約】 【構成】 実質的に純粋な形の蛋白グリコシルホスファ
チジルイノシトール特異的ホスホリパーゼD(GPI−
PLD)、GPI−PLDをコードするポリヌクレオチ
ド、GPI−PLDをコードする単離されたポリヌクレ
オチドを含むベクター、およびGPI−PLDをコード
するポリヌクレオチドを含むベクターで形質転換された
細胞に関する。また、グリコシルホスファチジルイノシ
トール特異的ホスホリパーゼDと共にグリコシルホスフ
ァチジルイノシトール固定蛋白をコードする遺伝子で真
核細胞を同時トランスフェクトすることから成る、真核
細胞から分泌されうる蛋白の生産方法に関する。 【効果】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛋白、組み換えDNA
および遺伝子工学の分野に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の研究により、多くの細胞表面蛋白
はグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)ア
ンカーへの共有結合により膜につなぎとめられているこ
とが明らかになった。この新しいクラスの膜アンカーが
果たす生理学的役割は知られていないが、1つの可能性
はそれが in vivoで特異的ホスホリパーゼによる分子の
放出を促進するということである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】蛋白からGPIアンカ
ーを取り除くことができると思われる数種の哺乳類ホス
ホリパーゼ活性が報告された。これらは最初ホスファチ
ジルイノシトール(PI)特異的ホスホリパーゼCの作
用に属するとされた。その理由は、この特異性の酵素が
哺乳類組織に広く分布しているからである。しかしなが
ら、哺乳類PI特異的ホスホリパーゼCは細胞内に存在
すると考えられるのに、GPI固定蛋白は細胞表面に存
在するので、このようなプロセスの生理学的意義には問
題が残された。その後、胎盤PI特異的ホスホリパーゼ
C活性はGPIアンカー切断活性に影響を及ぼさないこ
とが見いだされ、GPI固定蛋白の放出には他の酵素が
関与していることが示された。こうして、この活性はG
PIアンカーに対して特異性を有する新規なホスホリパ
ーゼDによることが示唆された。最近、いくつかのグル
ープは哺乳動物血漿および血清中に高レベルのGPI特
異的ホスホリパーゼD(GPI−PLD)が存在するこ
とを報告した〔Low,M.G., and Prasad,A.R.S.(1988) Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA, 85, 980-984; Davitz,M.A., He
reld,D., Shak,S., Krakow,J., Englund,P.L., and Nus
senzweig,V. (1987) Science, 238, 81-84; Cardoso de
Almeida,M.L., Turner,M.J., Stambuk,B.B. and Schen
kman,S.(1988) Biochem.Biophys.Res.Commun., 150, 47
6-482 〕。この酵素は、細胞外に存在し且つGPIに対
して特異的であるために、in vivo で細胞表面からGP
I固定蛋白を放出させるのに関係があると思われる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、他の蛋白を実
質的に含まない蛋白グリコシルホスファチジルイノシト
ール特異的ホスホリパーゼD(GPI−PLD)または
その生物学的に活性な断片、GPI−PLDまたはその
生物学的に活性な断片をコードするポリヌクレオチド、
GPI−PLDまたはその生物学的に活性な断片をコー
ドするポリヌクレオチドを含むベクター、並びにこのよ
うなベクターにより形質転換された細胞に関する。
【0005】他の実施態様において、本発明はまた、天
然GPI−PLDの生物学的活性を実質的に保持するG
PI−PLDの変異体またはその生物学的に活性な断
片、これらの変異体をコードするポリヌクレオチド、こ
れらのポリヌクレオチドを含むベクター、およびこのよ
うなベクターにより形質転換された細胞に関する。さら
に、本発明は、このようなGPI−PLD活性化合物を
コードする組み換えベクターを保有する宿主を適当な生
育条件下で培養して前記化合物を発現させ、そして前記
化合物を単離することから成る、GPI−PLDまたは
その生物学的に活性な断片、もしくはGPI−PLDの
変異体またはその断片の生産方法に関する。
【0006】本発明の他の実施態様は、グリコシルホス
ファチジルイノシトール固定蛋白とグリコシルホスファ
チジルイノシトール特異的ホスホリパーゼDをコードす
る遺伝子で真核細胞をトランスフェクトすることから成
る、真核細胞から分泌可能な蛋白を生産する方法であ
る。さらに、本発明は、細胞が増殖しつつある細胞培養
物に適当な洗剤と組合わせたグリコシルホスファチジル
イノシトール特異的ホスホリパーゼDを投与することか
ら成る、グリコシルホスファチジルイノシトールアンカ
ーによって細胞に固定されている蛋白を切断する方法に
関する。
【0007】最後に、本発明は、他の蛋白を実質的に含
まないGPI−PLDに特異的な抗体に関する。図にお
いて、図1は、GPIアンカー構造の模型である。蛋白
のCOOH末端アミノ酸がエタノールアミン残基に結合
し、このエタノールアミン残基がホスホジエステル結合
を介して複合グリカン部分に結合する。GPI−PLD
の加水分解部位が矢印で示してある。
【0008】図2は、ヒドロキシアパタイトおよびZn
キレートマトリックスクロマトグラフィーにより精製さ
れた試料のSDS−PAGEである。試料(1−3μ
g)は還元条件下に10%ポリアクリルアミドゲルで電
気泳動を行い、クーマシーブルーで染色した。(予備染
色した)蛋白標準品はベセスダリサーチ研究所(Bethes
da Research Labs. )から得られた。レーン1:ヒドロ
キシアパタイト流動プール(〜3μg);レーン2:Z
nキレートプール1(〜1μg);レーン3:Znキレ
ートプール2(〜3μg)。
【0009】図3は、イムノアフィニティークロマトグ
ラフィー法により精製された試料のSDS−PAGEで
ある。試料は還元条件下に8.5%アクリルアミドゲル
で電気泳動を行い、クーマシーブルーで染色した。レー
ン1:イムノアフィニティー溶出液、〜10μg;レー
ン2:レクチンセファロース溶出液、〜5.0μg;レ
ーン3:Mono Q-FPLC プール、〜2.5μg。
【0010】図4は、クローンpBJ1549およびp
BJ1644由来のスプライスされた挿入物の制限地図
および塩基配列決定戦略である。2つのラムダgt11
クローンからのウシ肝臓GPI−PLDcDNA挿入物
をpGEM4Z(Promega Biotec, Madison, WI )にサ
ブクローニングし、シークエナーゼ酵素(U.S.Biochemi
cal Corp., Cleveland, OH)を使って両鎖の塩基配列を
決定した。黒丸および白丸の付いた矢印はそれぞれ、よ
り小さいサブクローンのSP6/T7プロモータープラ
イマーから決定された配列および合成オリゴヌクレオチ
ドプライマーから決定された配列を表す。翻訳開始およ
び終止コドンの位置を示してある。クローンpBJ15
49およびpBJ1644はそれぞれヌクレオチド1−
1577およびヌクレオチド1438−2578にわた
っていた。A,AccI;B,BamHI;H,Hin
dIII ;K,KpnI;N,NcoI;P,PstI;
S,SacI;V,PvuII。
【0011】図5は、ウシ肝臓GPI−PLDのDNA
配列および推定アミノ酸配列である。矢印は成熟蛋白の
N末端を示す。インテグリンαサブユニットの金属イオ
ン結合ドメインへの配列類似性を示す領域には下線が引
いてある。図6は、トランスフェクトされたCOS細胞
の培地およびリゼイトのウェスターンブロット分析であ
る。完全2.6kbクローン化cDNAをpBC12B
1のHindIII /Smal部位に連結し、この組み換
えプラスミドpBJ1682を標準DEAE−デキスト
ラン媒介法を使ってCOS−7細胞に導入した。COS
細胞は10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ修飾イーグ
ル培地(DMEM)で最初の24時間にわたり培養し、
その後内因性PLDを除くために1%ニュートリドーマ
(Nutridoma; Boehringer Mannheim, Indianapolis, I
N)を含む無血清DMEMに交換した。無血清培地交換
の48時間後に培地を集め、遠心して浮遊細胞をペレッ
ト化し、セントリコン10(Centricon; Amicon, Danve
rs, MA)を使って15倍に濃縮した。細胞リゼイトはア
プロチニン(30μg/ml)、ロイペプチン(10μ
g/ml)、ペプスタチン(10μg/ml)、および
フッ化フェニルメチルスルホニル(1mM)を含むPB
S中の0.5%ノニデット(Nonidet )P−40 1m
lあたり5x107 細胞−同等物の濃度に調製した。こ
のリゼイトを13,000g、4℃で20分遠心し、上
清を集めた。ゲル電気泳動およびニトロセルロースへの
ブロッティング後、ウシ血清GPI−PLDに対する5
種類のモノクローナル抗体(各々1μg/ml)のプー
ルおよびアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗マウスIg
G(Jackson Immuno-Research, WestGrove,PA)を使っ
て蛋白を検出した。レーン1、擬似トランスフェクト細
胞のリゼイト;レーン2、擬似トランスフェクト細胞か
らの培地;レーン3、等量のpBJ1682−トランス
フェクト細胞からのリゼイトおよび擬似トランスフェク
ト細胞からの培地;レーン4、等量のpBJ1682−
トランスフェクト細胞からの培地および擬似トランスフ
ェクト細胞からのリゼイト;レーン5、50ngの精製
した血清GPI−PLD;レーン6、擬似トランスフェ
クト細胞からの培地と混合した200ngの精製した血
清GPI−PLD。
【0012】図7は、 3H標識VSGの加水分解による
トランスフェクトCOS細胞におけるGPI−PLD活
性の証明である。擬似トランスフェクトされたまたはp
BJ1682−トランスフェクトされたCOS細胞は、
図6で説明したトランスフェクションの24時間後に無
血清培地に変えた。(A)ホスホリパーゼ活性の時間依
存性。無血清培地に交換後いろいろな時点で培地からア
リコート(10μg)を抜き取り、ホスホリパーゼ活性
について検定した。1単位の活性は1分あたりに1%の
3 H〕ミリステート標識VSGを加水分解する酵素の
量として定義される。△─△はDNAトランスフェクト
細胞における活性を示す;○─○は擬似トランスフェク
ト細胞における活性を示す。(B)培地および細胞リゼ
イトにおけるホスホリパーゼ活性の比較。細胞を無血清
培地で44時間増殖させた後、10μlの培地を抜き取
り、ホスホリパーゼ活性について検定した。細胞リゼイ
トは図6に記載する通りに調製し、同時に検定した。
【0013】図8は、薄層クロマトグラフィーによる加
水分解VSGの生成物の分析である。pBJ1682−
および擬似トランスフェクトCOS細胞培地と血清から
精製されたGPI−PLDの試料(50μl)を、40
μMトリス−マレエート、pH7.0、0.2%NP−
40、および3x104 cpm 3H標識VSGを含むV
SGカクテル100μlと37℃で30分間インキュベ
ートした。この反応は0.5mlブタノールの添加によ
り停止させ、25μgずつのジミリストイルホスファチ
ジン酸(DMPA)およびジミリストイルグリセロール
(DMG)を加えた。遠心による相分離後、0.35m
lのブタノール上相を蒸発乾固させ、反応生成物を20
μlのCHCl3 :MeOH(1:1,v/v)に懸濁
させて、DMPAおよびDMG標準と一緒に、シリカゲ
ル60F254プレート(Merck)にスポットした。プレ
ートはCHCl3 :ピリジン:70%ギ酸(50:3
0:7,v/v/v)から成る溶剤系中で展開した。1
0cmの距離を展開後、プレートを一晩自然乾燥させ、
標準を沃素で視覚化した。0.5cmのゾーンをこすり
取り、150μlのCHCl3 :MeOH:ブタノール
(1:1:1,v/v/v)で溶出し、シンチレーショ
ン蛍光体中で計数した。○─○、擬似トランスフェクト
細胞培地;□─□、pBJ1682−トランスフェクト
細胞培地;●─●、精製された血清GPI−PLD。
【0014】図9は、ヒト肝臓グリコシルホスファチジ
ルイノシトール特異的ホスホリパーゼDのヌクレオチド
配列および推定上のアミノ酸配列である。図10は、ヒ
トおよびウシ肝臓GPI−PLD成熟蛋白のアミノ酸配
列の整合である。図11は、ヒト膵臓グリコシルホスフ
ァチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼDのヌクレ
オチド配列および推定上のアミノ酸配列である。
【0015】図12は、PLDの存在下および不在下で
のELAM−1−GPI(カラムA)およびELAM−
1−2−GPI(カラムB)の発現を示すSDS−PA
GEである。さらに、本明細書では、次の略語が用いら
れる:GPI、グリコシルホスファチジルイノシトー
ル;PLD、ホスホリパーゼD;PI、ホスファチジル
イノシトール;VSG、変異型表面糖蛋白;CHAP
S、(3−〔(3−クロラミドプロピル)シメチル−ア
ンモニオ〕1−プロパンスルホネート;PEG、ポリエ
チレングリコール;BSA、ウシ血清アルブミン;EG
TA、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢
酸;SDS、ドデシル硫酸ナトリウム;PAGE、ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動;HP(またはFP)L
C、高性能(または高速蛋白)液体クロマトグラフィ
ー;PTH、フェニルチオヒダントイン;ELISA、
酵素免疫吸着検定法;HRP、西洋ワサビペルオキシダ
ーゼ。
【0016】ここに引用したすべての文献の教示内容は
参照によりここに引用されるものとする。本発明は、他
の蛋白を実質的に含まないグリコシルホスファチジルイ
ノシトール特異的ホスホリパーゼD(GPI−PLD)
またはその生物学的に活性な断片に関する。この酵素は
グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)固定
蛋白、GPI脂質および関連分子のイノシトール−ホス
フェート結合を選択的に加水分解する。図1を参照され
たい。
【0017】ウシ肝臓GPI−PLDのDNA配列およ
び推定アミノ酸配列は図5に示してある;ヒト肝臓GP
I−PLDのDNA配列および推定アミノ酸配列は図9
に示してある;そして図11はヒト膵臓GPI−PLD
のDNA配列および推定アミノ酸配列を示す。組み換え
DNA技術の慣用方法を使って(例えば、Maniatiset a
l., “Molecular Cloning-A Laboratory Manual ”, C
old Spring HarborLaboratory, 1989 を参照)、組み換
えGPI−PLDをコードする発現ベクターを構築する
ことができる。これらの発現ベクターを原核および真核
細胞宿主に導入すると、組み換えGPI−PLDが合成
される。
【0018】本発明はまた、GPI−PLD蛋白または
その生物学的に活性な断片をコードする二本鎖あるいは
一本鎖のポリヌクレオチドに関する。ウシ肝臓GPI−
PLD、ヒト肝臓GPI−PLDおよびヒト膵臓GPI
−PLDをコードするヌクレオチド配列はそれぞれ図
5、9および11に示してある。従って、本発明はこれ
らのヌクレオチド配列またはそれらの相同もしくは縮重
配列に関し、これは同一機能を有するが異なる種(例え
ばヒト)に由来するヌクレオチド配列、あるいは遺伝暗
号の縮重の結果としてのヌクレオチド配列を意味する。
ポリヌクレオチドは天然源から得ることができ、また当
分野で習熟した者に知られた方法を使って合成的に製造
することもできる。
【0019】さらに、本発明は、GPI−PLD活性を
有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列
を含む複製可能な微生物ベクター、この種の複製可能な
微生物ベクターで形質転換された宿主生物に関し、この
宿主は前記ポリヌクレオチドによりコードされるアミノ
酸配列を発現する能力をもっている。二本鎖DNAのク
ローニングには、宿主/クローニングベヒクルのいろい
ろな組合わせが使用される。例えば、有用なクローニン
グベヒクルは染色体、非染色体または合成DNA配列の
セグメントから成り、例えば既知の細菌プラスミド
(例.pBR322のような大腸菌プラスミド)、ファ
ージDNA、並びにプラスミドおよびファージDNAの
組合わせから誘導されたベクター(例.ファージDNA
または他の発現調節配列もしくは酵母プラスミドを使用
するように修飾されたプラスミド)が含まれる。有用な
宿主には微生物、哺乳動物細胞、植物細胞などが含まれ
る。中でも、好ましくは微生物と哺乳動物細胞が利用さ
れる。好ましい微生物として、アクチノミセス(Actino
myces )や大腸菌(Escherichia coli)のような酵母お
よび細菌を挙げることができる。哺乳動物宿主の中では
CHO細胞が好適である。
【0020】外来性ポリヌクレオチドを含むクローニン
グベヒクルまたはベクターは、そのポリヌクレオチドが
コードする蛋白またはその一部を宿主に発現させるべく
その宿主を形質転換するために使用される。適当な宿主
の選択は当分野で認められる多くの要因によっても左右
される。これらには、例えば、所定のベクターとの適合
性、ハイブリッドプラスミドによりコードされる蛋白の
毒性、目的とする蛋白の回収容易性、発現特性、生物安
全性およびコストが含まれる。本発明で使用するのに適
した発現ベクターは真核細胞の発現プラスミドpBC1
2BIである(Cullen(1987), Methods in Enzymology
152, 684-704)。他の適当なクローニングまたは発現ベ
クターは実施例に記載されるか、または当分野で知られ
ている。
【0021】本発明はまた、天然GPI−PLDの生物
学的活性を実質的に保持するGPI−PLDの変異体ま
たはその生物学的に活性な断片に関する。さらに、本発
明は変異型GPI−PLDまたはその生物学的に活性な
断片をコードするポリヌクレオチドに関する。本発明は
また、変異型GPI−PLDまたはその生物学的に活性
な断片をコードする単離ポリヌクレオチドを含むベクタ
ーに関する。これらの変異体はDNA配列の部位特異的
突然変異誘発、突然変異DNA構築物の発現ベクターへ
の挿入、および発現ベクターを適当な原核または真核細
胞宿主に導入することによる変異型GPI−PLDの生
産のような既知方法を使って製造することができる。ま
た、変異型GPI−PLDはGPI−PLD蛋白の酵素
による切断および固相合成によっても製造される。変異
型蛋白はその後ここに記載される検定法によってPLD
活性を示す能力について検定される。
【0022】本発明によれば、GPI−PLDは実施例
1に記載する方法により精製され、性状決定される。G
PI−PLDの精製のために開発され、それに使用しう
る方法は以下で論じられ、それぞれの精製段階で得られ
た活性酵素化合物の同定について記載する。この方法で
は、大部分の血清アルブミンと一部の他の夾雑蛋白がP
EG沈降により除かれた。上清をその後Qセファロース
(アニオン交換)でクロマトグラフィーにかけ、続いて
S−300ゲル濾過クロマトグラフィーにかけた。GP
I−PLD活性は≧250kDaの分子量を示す広い第
二蛋白ピークに溶出された。この広い活性溶出は血清中
のGPI−PLDが他の血清蛋白と複合体を形成してい
ることを示唆するものである。
【0023】GPI−PLDは小麦胚芽レクチン−セフ
ァロースおよびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ
ーによりさらに精製した。この段階で、GPI−PLD
は、Lemmli, U.K.(1970), Nature, 227, 680-685に記載
される方法を使ってSDS−PAGEにより判定して、
約10%の純度であった。精製の最終段階はZnキレー
トクロマトグラフィー、MonoQ−HPLCおよびス
ペロース(Superose)12−HPLCから成っていた。
ヒドロキシアパタイト精製物質をZnキレートでクロマ
トグラフィーにかけたとき、2つのGPI−PLD活性
ピークが観察された。第一の活性ピーク(プール1)は
洗液画分に溶出され、大部分の夾雑蛋白から分離されて
比較的高い比活性を示した。このプールはSDS−PA
GEで〜100kDaの見掛け分子量を有する主要蛋白
バンドとその他の少量の蛋白バンドを含んでいた。第二
活性ピーク(プール2)は10mMヒスチジンにより溶
出され、SDS−PAGEで〜100および〜180k
Daの分子量を有する2本の主要蛋白バンドと数種の少
量成分を含んでいた。
【0024】Znキレートクロマトグラフィーからの2
つの活性プールは別々にMonoQ−HPLCでさらに
精製した。Znキレートプール1はMonoQ−HPL
Cにより0.2M NaClで単一の活性ピークとして
溶出され、これは図2のレーン2に示すようにSDS−
PAGEで分子量〜100kDaの単一バンドに相当し
た。対照的に、Znキレートプール2はMonoQ−H
PLCにより0.2Mおよび0.3M NaClで2つ
の活性ピークに分割された。両方のピークは図2のレー
ン3に示すようにSDS−PAGEで〜100kDaの
主要蛋白バンドと〜180kDaに相当する別のバンド
を含んでいた。
【0025】Znキレートプール1に溶出された物質を
スペロース12−HPLCで分析したとき、この溶出プ
ロフィールは、GPI−PLDが分子量マーカー(Bio-
Radのゲル濾過標品)により測定して約200kDaの
見掛け分子量を有する単一ピークとして溶出され、この
酵素がダイマーとして存在することを示した。しかしな
がら、Znキレートプール2のピーク2の物質をスペロ
ース12−HPLCで分析したとき、3つの活性ピーク
が観察された。実際の画分をSDS−PAGEで分析し
た結果、大部分のGPI−PLDは200kDaより高
い分子量を有する領域に相当する画分に溶出されること
が見いだされ、これはGPI−PLDがより高分子量の
アグリゲートとして溶出されることを示唆した。高分子
量アグリゲート(ピーク1)は基質としてアルカリホス
ファターゼ(1.0x103 U/mg)よりもVSG
(〜2.3x104 U/mg)に対して一層高い比活性
を示した。
【0026】実施例1には、スペロース12−HPLC
段階を含む上記のプロトコールを利用して、2.5リッ
トルのウシ血清からGPI−PLDを精製することが要
約してある。Znキレート、プール1から精製されたダ
イマーGPI−PLDは最も高い比活性を示した(アル
カリホスファターゼおよびVSGに対してそれぞれ6.
3x105 および4.5x105 U/mg)。これは〜
2,250倍の精製および約0.5%の全回収率を表す
(表1)。
【0027】本発明はさらに他の蛋白を実質的に含まな
いGPI−PLDまたはその断片、もしくはGPI−P
LD変異体またはその断片に対して特異的な抗体に関す
る。これらの抗体は例えば以下でおよび実施例1で述べ
るようなGPI−PLD活性化合物の精製に使用するの
に適している。GPI−PLDに対するモノクローナル抗体の生産 ダイマーおよびアグリゲートGPI−PLDの混合物を
免疫原として使って、マウスにGPI−PLDに対する
ポリクローナル抗血清を産生せしめた。3匹の免疫マウ
スはすべてELISA分析で測定したとき免疫原に対す
る抗体を産生した。GPI−PLD活性は精製した又は
部分精製した蛋白を使用したとき抗血清により完全に失
活した。部分精製した物質をイムノブロッティングで分
析すると、100kDa蛋白が抗血清と反応性であった
(データは示してない)。
【0028】100kDa蛋白がGPI−PLDである
ことをさらに確かめるために、この酵素に対するモノク
ローナル抗体が生産された。血清はGPI−PLDを含
むので、ハイブリドーマは融合後無血清培地で増殖させ
た。我々はGPI−PLD活性の中和によりハイブリド
ーマをスクリーニングすることを試みた。ハイブリドー
マの上清はELISAで分析した。高レベルのIgG抗
体を分泌するクローンは、GPI−PLD活性に対する
免疫枯渇検定法(immunodepletion assay )でさらにス
クリーニングした。サブクローニング後に24個のクロ
ーンが得られた。免疫沈降生成物をさらに分析するため
に、免疫枯渇検定法において 125I標識免疫原を使用
し、生成物をSDS−PAGEで分析した。結果は、ハ
イブリドーマ上清中の抗体がGPI−PLD活性および
100kDa蛋白を選択的に沈降させたことを示す(デ
ータは示してない)。
【0029】ELISA陽性および免疫枯渇陽性ウェル
からの細胞をサブクローニングした。24個のクローン
を単離し、BALB/cByJマウス内で腹水腫として
増殖させた。モノクローナル抗体は精製後、イムノブロ
ット分析により100kDa蛋白との反応性についてス
クリーニングした。それらのうちで、19個が強い反応
性を示した。100kDa蛋白の免疫反応性は抗体濃度
に依存し、過剰の抗体で飽和された。過剰の精製GPI
−PLDによる抗体の予備吸収は免疫反応性を減少させ
た。精製抗体はまた溶液中でのGPI−PLD活性の直
接阻害についてスクリーニングした。それらはどれもG
PI−PLDを阻害しなかった。イムノアフィニティークロマトグラフィーによるGPI
−PLDの精製 モノクローナル抗体のうちどれがイムノアフィニティー
クロマトグラフィーに最も適しているかを調べるための
実験を行った。ELISAでGPI−PLDに対して異
なる親和性を有する抗体をCNBr活性化セファロース
に別々に結合させた。粗製ウシ血清をイムノアフィニテ
ィーカラムに負荷し、異なる試薬を使ってGPI−PL
D活性を溶出した。結果は、低親和性抗体を使用すると
き、結合GPI−PLDが活性の約60%の回収率で3
M MgCl2 により溶出されることを示した。しかし
ながら、高親和性抗体を使用した場合は、極めて少量の
GPI−PLDが3M MgCl2 で溶出されただけだ
った。SDS−PAGE分析は残存する結合蛋白の大部
分が0.1Mグリシン−HCl緩衝液(pH2.8)に
より溶出されることを示したが、酵素活性は失われた。
それ故に、イムノアフィニティー精製のために低親和性
抗体が選ばれた。イムノアフィニティークロマトグラフ
ィーからの溶出液は約9.75x103 U/mgの比活
性を与え、これは123倍の精製を表す(表2参照)。
この比活性(精製酵素は4.5x105 U/mgの比活
性をもつと仮定する)およびSDS−PAGE分析に基
づいて、GPI−PLD純度は約2%であると算出され
た。図3のレーン1を参照されたい。
【0030】イムノアフィニティー精製GPI−PLD
は3M MgCl2中に安定した状態で貯蔵することが
できなかったので、それは直ちに2.5mMずつのCa
Cl2 と酢酸亜鉛を補給した緩衝液C(実施例1参照)
で6倍に希釈した。希釈緩衝液中のカルシウムおよび亜
鉛イオンは、酵素活性がカルシウムおよび亜鉛イオンに
依存してMg2+に依存しないという以前の観察と一致し
て、この酵素活性を安定化させると思われた。その後、
希釈試料中のGPI−PLDは小麦胚芽レクチンセファ
ロースでさらに精製した。表2に示すように、レクチン
セファロースクロマトグラフィーにより10倍の精製が
達成された。SDS−PAGE(図3、レーン2)で、
レクチンセファロース溶出液は、主要な夾雑蛋白が試料
中にまだ存在するが、100kDaのGPI−PLDが
濃縮されたことを示した。GPI−PLDはMonoQ
−FPLCでさらに精製した。溶出プロフィールは、極
めて少量の活性が0.3M NaClで溶出されるが、
大部分の活性は0.2MNaClでピーク中に溶出され
ることを示した。この試料をSDS−PAGEで分析す
ると、主要活性ピークは100kDaの分子量を有する
単一バンドを示した。図3のレーン3を参照されたい。
小さい活性ピーク中の試料も他の夾雑蛋白と共に少量
(カラムから回収された全GPI−PLDの10%未
満)の100kDa蛋白を示した。精製したGPI−P
LDをスペロース12−HPLCで分析すると、それは
200kDaの見掛け分子量を有する単一ピークとして
溶出された。
【0031】実施例1中の表2には、上で述べたような
イムノアフィニティークロマトグラフィーを用いた20
0mlのウシ血清からのGPI−PLDの精製が要約し
てある。イムノアフィニティー法から精製されたGPI
−PLDの比活性は8段階法で得られたものとほぼ同じ
であった。しかしながら、全回収率(26%)はかなり
高かった。GPI−PLDの性状決定 精製GPI−PLDによる〔 3H〕ミリステート標識V
SG加水分解の生成物は、シリカゲルによる薄層クロマ
トグラフィーにより2種類の異なる溶剤系(クロロホル
ム:ピリジン:70%ギ酸、50:30:7またはクロ
ロホルム:メタノール:氷酢酸:H2 O、50:30:
8:4)を使って分析した。 3H標識生成物はジミリス
チルホスファチジン酸標準と共に泳動した。ミリスチン
酸や1,2−ジミリストイルグリセロールのような他の
存在しうるホスホリパーゼ生成物は検出できなかった
(すなわち、回収された放射能の5%未満)。この結果
はダイマー形とより高分子量のアグリゲートの両方の場
合に得られた。
【0032】EGTAおよび1,10−フェナントロリ
ンに対する酵素活性の感受性が研究された。表3はすべ
ての酵素活性がEGTAおよび1,10−フェナントロ
リンにより阻害され、すべての形のGPI−PLDが金
属イオンの必要性を共有することを示している。ダイマ
ーおよびアグリゲート形のGPI−PLDの物理的性質
をさらに研究するために、精製GPI−PLDを 125
で標識し、スペロース12−HPLCを使って異なる形
のGPI−PLDを分離した。その後、それぞれの形の
GPI−PLDを再度スペロース12−HPLCにかけ
た。結果は、これらの形の溶出位置が未変化のままであ
り、これらの形が互いに平衡状態でないことを示した。
【0033】ダイマーおよびより大きいアグリゲート形
の100kDa蛋白は分離用SDS−PAGEで単離
し、アミノ末端配列分析に付した。結果はすべての形の
GPI−PLDが同じアミノ末端配列(H2 N−X−G
−I−S−T−(H)−I−E−I−G−X−(R)−
A−L−E−F−L−−)を共有することを示す。コン
ピュータープログラムTFASTAおよびSEARCH
を用いたGenBankおよびNBRFデータベースの
範囲内の検索は、他の既知蛋白の配列に対する強い配列
相同を全く示さなかった。
【0034】これらの形のGPI−PLD間の一次構造
関係はそれらのトリプシンペプチド地図を比較すること
によっても研究された。両方の試料をトリプシンで消化
し、切断生成物をC8 カラムによる逆相HPLCで分離
した。トリプシンペプチド地図はほとんど同じであり、
このことは2つの形のGPI−PLDが同一蛋白を表す
か、または構造的に非常に類似することを示している。
【0035】トリプシンペプチドは蛋白ミクロシークエ
ンス分析によりさらに分析した。実施例1中の表4に
は、9のピーク画分から誘導された配列が要約してあ
る。本発明はまた、真核細胞から分泌可能な蛋白を生産
する方法に関し、この方法は次の段階: a)GPI−PLD活性を有するポリペプチドをコード
する組み換えベクターおよびGPI固定蛋白をコードす
る組み換えベクターで宿主細胞を形質転換すること; b)形質転換細胞を両蛋白が発現されるような適当な生
育条件下で培養すること;および c)GPIアンカーが切り離された該蛋白を単離するこ
と;から成っている。
【0036】分泌可能な蛋白は、対象の蛋白をコードす
るDNA配列を、グリコシルホスファチジルイノシトー
ルアンカー(GPIアンカー)の蛋白への結合を合図す
るペプチドをコードするDNA配列と、スプライスする
ことにより生産される。GPIアンカーの蛋白への結合
を合図するこのようなC末端GPIシグナルペプチドの
例はCD16のC末端37アミノ酸を有するペプチド、
すなわち:
【0037】
【式1】
【0038】
【0039】である。C末端GPIシグナルペプチドを
コードするDNA配列は、蛋白−GPIアンカー構築物
を形成するために蛋白の機能ドメインをコードするDN
A配列にスプライスされる。蛋白−GPIアンカーハイ
ブリッド構築物はその後、GPI−PLDをコードする
遺伝子と共に、蛋白−GPIアンカーシグナルペプチド
ハイブリッド構築物とGPI−PLD遺伝子の両方が発
現されるようにCOS細胞のような真核細胞にトランス
フェクトされる。GPIアンカーは蛋白に結合されてG
PIアンカー−蛋白を形成する;GPI−PLD酵素は
アンカーを切り離し、蛋白を細胞から分泌させる。この
ような方法で生産・分泌されうる蛋白の例は、2,3の
名を挙げると、CD4、ELAM−1、IL−2レセプ
ターのp70のようなサイトカインレセプター、インテ
グリンおよびセレクチンファミリーの仲間である。
【0040】本発明はまた、細胞が増殖している細胞培
養物に、CHAPSまたはNONIDET P40のよ
うな適当な界面活性剤と組合わせたGPI−PLDを投
与することから成る、グリコシルホスファチジルイノシ
トールアンカーによって細胞に固定されている蛋白を切
り離す方法に関する。GPI−PLDアンカーを切り離
すためには、蛋白は必ずしも細胞に固定されている必要
はない。
【0041】本発明は以下の実施例によりさらに例示さ
れるであろう。
【0042】
【実施例】
【0043】
【実施例1】 PLDの精製および性状決定 物質─ウシ血清は Pel-Freez Biologicalsから得られ
た。PEG−5000はPolyscience Inc.から得られ
た。ヒドロキシアパタイトウルトロゲル(Ultrogel)は
IBF Biotechnicsから入手した。CNBr活性化セファ
ロース、Qセファロース、小麦胚芽レクチン−セファロ
ースおよびセファクリルS−300はPharmacia から得
られた。IODO−BEADSおよび固定化(フラクト
ゲルTSK HW−65F)イミノジ酢酸は Pierce か
ら得られた。CHAPS、4−(2−ヒドロキシエチ
ル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPE
S)、フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、
トリトンX−114および100、ノニデットP40、
並びにヤギ抗マウスIgGアガロースは Sigmaから入手
した。HRP結合ヤギF(ab′)2抗マウスIgGは
TAGOから得られた。雌Balb/cおよびBalb
/cByJマウスはそれぞれ Charles RiverLabsおよび
Jackson Labs から得られた。
【0044】本明細書に記載されるこれらおよび他の試
薬供給源は単に便宜上与えられるものであり、本発明を
制限するものではない。 溶液─緩衝液A:10mM HEPES、pH7.0、
0.15M NaCl、0.1mM MgCl2 、およ
び0.01mM 酢酸亜鉛;緩衝液B:50mM トリ
ス、pH7.5、0.1M NaCl、0.5mM P
MSF、および0.02% NaN3 ;緩衝液C:50
mM トリス、pH7.5、0.1MNaCl、0.6
% CHAPS、および0.02% NaN3
【0045】GPI−PLD検定─GPI−PLDの8
段階精製のために、酵素活性は基質としてGPI固定胎
盤アルカリホスファターゼを使って、Low,M.G., and Pr
asad,A.R.S. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85,
980-984に記載される通りに検定した。一般的には、ア
ルカリホスファターゼ基質(Malik,A.S. and Low,M.G.
(1986) Biochem. J., 240, 519-527に記載されるように
精製した、1volのアルカリホスファターゼ、2vo
lの1%NP−40および2volの0.2Mトリス−
マレエート、pH7を含む0.05ml)は全容量0.
2ml中で試料のアリコートと37℃で30分間インキ
ュベートした。その後この混合物は0.8mlの氷冷緩
衝液Aで希釈した。アリコート(0.05ml)を取り
出し、0.2mlの緩衝液Aおよび0.25mlの2%
予備凝縮トリトンX−114と混合した。全アルカリホ
スファターゼ活性検定用の0.1mlアリコートを採取
した後、混合物を37℃で10分間インキュベートし、
直ちに室温で2分間遠心し、そして上相(水相)の0.
1mlアリコートを採取した。アルカリホスファターゼ
活性が調べられた。アンカー切断は上相中の活性(すな
わち、切断形態)を相分離前の全混合物中の活性と比較
することにより測定した。1単位は記載される検定条件
下で1分あたりに1%のアルカリホスファターゼを加水
分解する酵素の量として定義される。
【0046】イムノアフィニティークロマトグラフィー
によるGPI−PLDの精製のために、〔 3H〕ミリス
テートで生合成的に標識したVSGが基質として使用さ
れた。これは Hereld,D., Krakow,J.L., Bangs,J.D., H
art,G.W., and Englund,P.T.(1986) J. Biol. Chem., 2
61, 13813-13819に記載される方法の変法により製造し
た。一般的には、T.brucei(MItat 117 または118 )を
感染ラットから調製し、in vitroにて〔 3H〕ミリスチ
ン酸で標識し、そして 3H標識VSGを単離した。〔 3
H〕ミリステート標識VSG(4,000−5,000
cpm、2μg)は0.02mlの0.2Mトリス−マ
レエート、pH7.0、0.02mlの1%NP−40
および0.06mlのH2 Oと混合した。その後、基質
(0.1ml)をGPI−PLD試料(0.1ml)と
37℃で30分間インキュベートした。この反応は1M
水酸化アンモニウムで飽和したブタノール0.5mlの
添加により停止させた。ボルテックス混合後、1,50
0xgで3分間遠心して相を分離した。上(ブタノー
ル)相(0.35ml)を抜き取り、4mlのシンチレ
ーション流体と混合し、計数した。基質としてVSGを
用いたGPI−PLD活性の1単位は1分あたりに1%
の〔 3H〕ミリステート標識VSGを加水分解する酵素
の量として定義される。
【0047】GPI−PLDの基質特異性を調べるため
に、精製GPI−PLDによる〔 3H〕ミリステート標
識VSG加水分解の生成物は、Low,M.G., and Prasad,
A.R.S. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 980-
984に記載されるように薄層クロマトグラフィーで分析
した。〔 3H〕コリン標識ホスファチジルコリンおよび
3H〕イノシトール標識PIの加水分解は上記のイン
キュベーション混合物中でVSGの代わりにそれらを使
用することにより測定した。リン脂質から放出された水
溶性放射能は、Low,M.G., Stiernberg,J., Waneck,G.
L., Flavell,R.A.,and Kincade,P.W. (1988) J. Immuno
l. Methods, 113, 101-111 に記載されるように測定し
た。8段階法によるGPI−PLDの精製 この精製段階は表1に要約してある。
【0048】
【表1】
【0049】ウシ血清(2.5l)は0.5mM PM
SFおよび0.02% NaN3 の存在下に4℃で解凍
した。4℃で攪拌しながら、PEG−5000を徐々に
加えて最終濃度を9%とした。この混合物をさらに1時
間攪拌し、10,000xgで25分間遠心した。上清
を回収し、等容量の緩衝液Bで希釈した。後続の精製段
階は、特に指定しない限り、すべて4℃で行った。
【0050】希釈上清は緩衝液Bで平衡化したQセファ
ロースカラム(9x10cm)に30ml/分の流速で
負荷した。平衡緩衝液で洗浄後、GPI−PLD活性を
4lの50mMトリス、pH7.5、0.02% Na
3 および0.5mM PMSF中の0.1−1.0M
NaClの直線勾配で溶出した。活性含有画分をプー
ルし、YM−10(Amicon)メンブラン濾過で約200
mlに濃縮した。この濃縮物は縦に連結した2本のS−
300カラム(10x53cm)に緩衝液Bで3.8m
l/分の流速で加えた。活性画分をプールし、蛋白の凝
集を最小限に抑えるためにNaClおよびCHAPSを
加え、それぞれ0.2Mおよび0.6%の最終濃度とし
た。試料の半分を50mMトリス、pH7.5、0.2
M NaCl、0.02% NaN3 および0.6%
CHAPSで平衡化した40ml(直径2.5cm)小
麦胚芽レクチンカラムに負荷した(流速:17ml/
時)。洗浄後、0.3M N−アセチルグルコサミンを
含む平衡緩衝液でGPI−PLD活性を溶出した。2つ
の実験からの溶出液を合わせて10mlに濃縮した。9
倍容量の5mM NaPO4、pH6.8、0.4%
CHAPSおよび0.02% NaN3 を加え、この試
料を5mM NaPO4 、pH6.8、0.6% CH
APSおよび0.02% NaN3 でヒドロキシアパタ
イトウルトロゲルの4.2x22cmカラムに室温(流
速:3ml/分)で負荷した。GPI−PLD活性は洗
液画分中に回収され、夾雑蛋白を0.5M NaP
4 、pH6.8、0.6% CHAPSおよび0.0
2% NaN3で溶出した。
【0051】ヒドロキシアパタイトアガロースクロマト
グラフィーからのGPI−PLD活性画分はプールし、
YM−10メンブラン濾過で21mlに濃縮し、そして
1Mトリス−HCl、pH7.5の20倍希釈液の添加
によりpHを調整した。この試料は亜鉛でキレート化し
且つ緩衝液Cで平衡化したフラクトゲルTSK HW−
65F上のイミノジ酢酸のカラム(1.5x5.0c
m)に負荷した。第一の活性ピークは平衡緩衝液で10
−15ベッドボリュームの洗液中に回収され、より鋭い
第二の活性ピークは平衡緩衝液中の10mMヒスチジン
で溶出された。
【0052】2つのZnキレート活性プールは別々にY
M−10メンブラン濾過で濃縮した。各試料(5ml)
を緩衝液C(NaN3 を含まない)で平衡化したMon
oQ(HR5/5、Pharmacia )カラムに室温で注入し
た。GPI−PLD活性は1ml/分の流速で50mM
トリス、pH7.5、および0.6% CHAPS中の
0.1−0.19M NaClの勾配を使って6分間溶
出し、次に0.19MNaClで5分間イソクラチック
溶出し、最後に0.19−0.4M NaClの勾配を
使って14分間溶出した。これらの条件下で、第一のZ
nキレートプールは0.2M NaClで1つの活性ピ
ークとして溶出されたが、第二のZnキレートプールは
0.2Mおよび0.3M NaClで2つの活性ピーク
に分割された。
【0053】MonoQ−HPLCからのGPI−PL
D活性画分をプールし、濃縮し、そして各試料(0.4
ml)を緩衝液Cで平衡化したスペロース12−HPL
C(HR10/30、Pharmacia )カラムに注入した。
蛋白は0.3ml/分の流速で溶出し、0.5ml画分
を集めた。イムノアフィニティークロマトグラフィーによるGPI
−PLDの精製 モノクローナル抗体PLD216.1はCNBr活性化
セファロースに1mg/ml樹脂の最終濃度で結合させ
た。ウシ血清(200ml)は16,000xgで20
分遠心し、上清を1.2リットルの緩衝液Bおよび0.
5%NP−40で希釈した。0.22μmメンブラン
(Nalgene フィルターユニット)を通して濾過した後、
試料をイムノアフィニティーカラム(20ml、2.5
x4cm)に30ml/時の流速で負荷した。その後、
このカラムを400mlの緩衝液Cで洗い、GPI−P
LDを緩衝液C中の3M MgCl2 で溶出した。活性
画分をプールし(100ml、40mg)、すぐに6倍
容量の緩衝液Cおよび2.5mMずつのCaCl2 と酢
酸亜鉛で希釈した。試料はその後50mMトリス、pH
7.5、0.2M NaCl、0.6% CHAPS、
0.02% NaN3 および2.5mMずつのCaCl
2 と酢酸亜鉛(平衡緩衝液)で平衡化した20ml(直
径2.5cm)小麦胚芽レクチンセファロースカラムに
30ml/時の流速で負荷した。カラムを洗浄後、試料
は平衡緩衝液中の0.3M N−アセチルグルコサミン
で溶出した。
【0054】小麦胚芽レクチンセファロース溶出液のプ
ール(60ml、2.5mg)はYM−10メンブラン
濾過で約15mlに濃縮し、等容量の50mMトリス、
pH7.5、および0.6% CHAPSで希釈した。
試料はその後緩衝液C(NaN3 を含まない)で平衡化
したMonoQ−FPLCに室温で負荷した。GPI−
PLDは上記のようなNaClの勾配を使って1ml/
分の流速で溶出した。
【0055】各精製段階の結果を表2に要約する。
【0056】
【表2】
【0057】表2から、GPI−PLDはウシ血清中に
約7μg/mlの濃度で存在すると概算される。蛋白の測定 ─精製中の蛋白濃度は280nmでの吸光度
により監視した。さらに、精製調製物の蛋白濃度は Bra
dford,M (1976) Anal. Biochem., 72, 248-254の方法に
より Bio-Radの蛋白検定用試薬を使って測定した。1m
g/mlの精製GPI−PLDは280nmで1光学密
度単位に相当する。
【0058】トリプシンペプチドマッピング─Mono
Q−HPLCからのピーク1および2中の100kDa
蛋白は分離用SDS−PAGEで単離した。蛋白は Hun
kapillar,M.W., Lujan,E., Ostrader,F., and Hood,L.
E. (1983) Methods Enzymol.,91, 227-236 に記載され
るような67mM N−エチルモルホリンアセテート、
pH8.6、および0.05% SDSでの電気溶出に
より回収した。電気溶出後、蛋白(100μg)は10
mMジチオトレイトールを使って37℃で2時間還元
し、暗室にて20mMヨード酢酸を使って室温で30分
間アルキル化した。反応を止めるためにこの混合物に追
加の10mMジチオトレイトールを加えた。この試料を
凍結乾燥し、蛋白をアセトン:酢酸:トリエチルアミ
ン:水(85:5:5:5、容量基準)で沈降させた。
沈降した蛋白は氷冷アセトンで2回洗い、乾燥し、0.
3mlの0.1MNH4 HCO3 、pH8.0、および
0.5mM CaCl2 中に再懸濁した。試料はTPC
K処理トリプシン(Cooper Biomedical 、全量6μg)
を使って37℃で16時間消化した。トリプシンは3つ
の等しいアリコートに分けて添加した:すなわち、最初
は0時間に、2回目は4時間後に、そして3回目は12
時間のインキュベーション後に加えた。試料はギ酸を使
って15%へ酸性化し、C8 カラム(Phase Separation
Inc. 、0.2x15cm)での逆相HPLCにかけ
た。ペプチドは0.1%トリフルオロ酢酸中のアセトニ
トリル(0−70%)の勾配を用いて溶出した(流速:
0.2ml/分)。
【0059】蛋白シークエンシング─アミノ酸配列分析
は Applied Biosystems (ABI,Foster City, CA )
気相シークエンサー470A型を使って行った。PTH
アミノ酸は逆相C−18カラム(2.1x220mm、
ABI)を使ってABI 120A型PTHアナライザ
ーで“ on line”同定した。この方法で得られた異なる
トリプシンペプチドの配列を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】GPI−PLDに対するモノクローナル抗
体の生産─雌BALB/cマウスはフロインド完全アジ
ュバントと1:1で混合したMonoQ−HPLC精製
GPI−PLD(蛋白60μg)の2つの形の混合物を
腹腔内に注射して免疫した。4週間後、マウスはフロイ
ンド不完全アジュバント中の同量の免疫原を腹腔内に注
射して追加免疫した。1週間後に試験用の血液を採取
し、ELISAおよびGPI−PLD活性を中和する直
接検定を用いて抗血清を調べた。
【0062】融合の3日前に、マウスの尾静脈に60μ
gの免疫原を注射してさらに追加免疫した。マウス由来
の脾細胞は、Thomas,P.E., Reik,L.M., Ryan,D.E., and
Levin,W. (1984) J. Biol. Chem., 259, 3890-3899に記
載される方法を使って、ミエローマ細胞系列PAI−0
と融合させた。融合の10日後、細胞を無血清培地(H
L−1、Ventrex Laboratories)に移し、40時間後上
清を免疫原に対するIgG生産についてELISAを使
って分析した。ELISA陽性培養物を無血清培地で増
殖させた。無血清培地中で弱い増殖を示すハイブリドー
マは0.5%ウマ血清中で増殖させた。このような条件
下で、内因性ウマ血清GPI−PLDはELISAや免
疫枯渇検定を妨げなかった。確立されたハイブリドーマ
細胞はその後プリスタン−プライムBALB/cByJ
マウスにおいて腹水腫として増殖させた。抗GPI−P
LDモノクローナル抗体は、Reik,L.M., Maines,S.L.,
Ryan,D.E., Levin,W., Bandiera,S., and Thomas,P.E.
(1987) J. Immunol.Methods,100, 123-130に記載される
ようなカプリル酸および硫酸アンモニウム沈殿により腹
水から精製した。
【0063】ELISA─非競合ELISA検定は、Th
omas,P.E., Reik,L.M., Ryan,D.E.,and Levin,W. (198
4) J. Biol. Chem., 259, 3890-3899に記載されるよう
に、マウス抗血清および培養上清に対して行った。免疫
原または部分精製した(小麦胚芽レクチン−またはZn
キレートマトリックス−)GPI−PLDを96ウェル
のポリスチレン製マイクロテストプレートに被覆した。
GPI−PLD被覆プレートへの抗体の結合は、Thoma
s,P.E., Reik,L.M., Ryan,D.E.,and Levin,W. (1984)
J. Biol. Chem., 259, 3890-3899に記載されるように、
HRP結合第二抗体および適当な色素原を使って検出し
た。
【0064】免疫枯渇検定─ハイブリドーマ上清はGP
I−PLD活性を免疫沈降させる能力についてスクリー
ニングした。培養上清(0.5ml)をヤギ抗マウスI
gG−アガロースの50%懸濁液50μlと37℃で1
時間インキュベートした。キャリアー蛋白としてBSA
(0.5mg)を加えた。ビーズを1ml緩衝液Aおよ
び0.5%NP−40で2回洗い、緩衝液Aおよび1m
g/ml BSAで希釈した40μlの小麦胚芽レクチ
ン精製GPI−PLDとインキュベートした。37℃で
1時間後、1,500xgで0.5分間遠心してビーズ
を除き、上清は基質としてアルカリホスファターゼまた
3H−VSGを使ってGPI−PLD活性について分
析した。
【0065】イムノブロッティング─イムノブロット法
は Towbin,H., Staehlin,T., andGordon,J. (1979) Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, 76, 4350-4354に記載される
ように実施した。抗体(マウス抗血清または精製モノク
ローナル抗体)および第二抗体(HRP−ヤギF(a
b′)2抗マウスIgG)はリン酸緩衝溶液、1%BS
A、5%正常ヤギ血清、および0.05%トゥイーン2
0で希釈した。数回の洗浄後、ペルオキシダーゼ活性は
Nielsen,P.J., Manchester,K.L., Towbin,H.,Gordon,
J., and Thomas,G. (1982) J. Biol. Chem., 257, 1231
6-12321に記載されるように、4−クロロ−1−ナフト
ールおよび過酸化水素により検出した。
【0066】免疫沈降─ダイマーGPI−PLDはIO
DO−BEADSを使って 125Iでヨウ素化した。遊離
125Iを脱塩カラム(Econo-Pac 10DG, Bio-Rad )を使
って除いた。ハイブリドーマ上清(それぞれ0.25m
l)はヤギ抗マウスIgG−アガロースビーズ(0.0
5mlの50%スラリー)と37℃で1.5時間インキ
ュベートした。インキュベーションの間キャリアー蛋白
として各試料にBSA(0.2mg)を加えた。その後
この混合物を1,500xgで0.5分間遠心し、ビー
ズを0.25mlの50mMトリス、pH7.5、0.
1M NaCl、0.5% NP−40、および1mg
/ml BSA中で 125I標識GPI−PLD(3.5
x105 cpm)と4℃にて一晩インキュベートした。
ビーズを遠心により分離し、50mMトリス、pH7.
5、0.1M NaCl、および0.5% NP−40
で3回(それぞれ0.8ml)洗った。SDS−PAG
E還元性試料緩衝液(40μl)をビーズに加え、アリ
コート(20μl)をSDS−PAGEで分析した。電
気泳動後、ゲルを真空下で乾燥し、オートラジオグラフ
ィーに付した。
【0067】要約すると、GPI特異的ホスホリパーゼ
Dは2つの異なる方法によってウシ血清から精製され
た。この酵素は初めに8段階法を使って精製された。精
製酵素を免疫原として用いて、GPI−PLDに対する
モノクローナル抗体が生産された。また、ウシ血清由来
の精製GPI−PLDはイムノアフィニティークロマト
グラフィー、小麦胚芽レクチンセファロースおよびMo
noQ−FPLCを伴う単純な方法によっても得られ
た。後者の方法で精製した酵素は、ゲル濾過−HPLC
で分析したとき、ダイマーとして存在している。しかし
ながら、8段階法で精製した物質はダイマーと高分子量
アグリゲートの混合物を含んでいる。これらの形態のG
PI−PLDはMonoQ−およびゲル濾過−HPLC
で分離することができる。SDS−PAGEで、精製酵
素は100kDaの分子量を有する単一の蛋白バンドを
示す。自然等電点電気泳動(データは示してない)で、
それぞれの形のGPI−PLDは約5.6の共通のpI
を示す。基質としてVSGまたはアルカリホスファター
ゼを使うと、ダイマーは高分子量アグリゲートよりも一
層高い比活性を示す。
【0068】100kDa蛋白およびそのトリプシンペ
プチドをアミノ酸配列分析にかけたとき、配列データは
他の既知蛋白の配列に対して強い相同性を全く示さなか
った。ただし、2つのトリプシンペプチド配列が互いに
対しておよびカルシウム結合蛋白のCa2+結合ドメイン
に対して相同性を示した。2つの可能な金属結合配列の
発見は、この酵素活性が2価金属イオンキレート化剤、
例えば表4に示すようなEGTAや1,10−フェナン
トロリン、の添加に対して感受性であるというここに報
告したデータを考慮すると、興味を起こさせる。
【0069】
【表4】
【0070】
【実施例2】ウシ・グリコシルホスファチジルイノシトール特異的ホ
スホリパーゼDのクローニングおよび発現 ウシ肝臓cDNAライブラリーは精製したウシ・グリコ
シルホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼ
D(GPI−PLD)から誘導されたペプチド配列に一
致する合成オリゴヌクレオチドを使ってスクリーニング
した。2つの重複するフローンが単離され、これらは一
緒になって、配列決定がなされた8つのトリプシン断片
の正確なアミノ酸配列を予言する。2つのクローンのD
NA配列は、816アミノ酸の成熟蛋白と23アミノ酸
の追加のシグナルペプチドを予言した。この推定配列は
8つの存在しうるN結合グリコシル化部位、およびイン
テグリンファミリーの仲間の金属イオン結合ドメインに
類似した配列を有する少なくとも4つの領域を含んでい
た〔Hynes,R.O. (1987) Cell, 48, 549-554 〕。これら
の観察は、性状決定されたGPI−PLDが100kd
の大きさであり、グリコシル化されており、且つ金属イ
オン依存性であることと一致していた。クローン化cD
NAは生物学的活性に関する2つの検定法により同定し
た。第一に、この遺伝子でトランスフェクトされたCO
S細胞の培養培地および細胞リゼイトは、in vitro検定
において基質としてアフリカトリパノソーマの 3H標識
GPI固定変異型表面糖蛋白(VSG)を使用すること
により、ホスホリパーゼ活性を示した。薄層クロマトグ
ラフィーによるin vitroVSG検定からの生成物の分析
はホスファチジン酸が反応生成物であることを示し、ホ
スホリパーゼ活性がホスホリパーゼDによることを確か
めた。第二に、GPI固定胎盤アルカリホスファターゼ
(PLAP)をコードする遺伝子でトランスフェクトさ
れたCOS細胞は、GPI−PLDクローンと同時トラ
ンスフェクトされたとき、相当量のPLAPを培地に放
出したが、単独でトランスフェクトされたときには放出
しなかった。これらの結果は、GPI−PLDが in vi
voでGPI固定蛋白の細胞表面発現の調節に1つの役割
を果たすことを示唆している。
【0071】ウシGPI−PLDからの8つのトリプシ
ン断片のアミノ酸配列は、DNAハイブリダイゼーショ
ンによりウシDNAライブラリーをスクリーニングする
ための4つの縮重オリゴヌクレオチドプローブをデザイ
ンするために使用された。PLD活性は肝臓抽出物中に
検出されていたので、初めに肝臓cDNAライブラリー
がスクリーニングされた。スクリーニングした5x10
5 個のクローンの中には陽性クローンが検出されなかっ
た。しかしながら、ウシゲノムライブラリーのスクリー
ニングは4つのオリゴヌクレオチドプローブの1つとハ
イブリダイズする1個の陽性クローンをもたらした。こ
のクローンの部分DNA配列分析は22アミノ酸のトリ
プシン断片T34の配列を正確に予言するオープン・リ
ーディング・フレームを明らかにした。しかし、このコ
ード配列は長さがたった79bpであると思われたエク
ソン中に存在していた。このゲノムクローンの特性をこ
れ以上調べる代わりに、cDNAクローンを単離する第
二の試みが79bpエクソン配列に一致する2つの非縮
重30merオリゴヌクレオチドを使って行われた。さ
らに、新しいウシ肝臓cDNAライブラリーが第一鎖の
合成を開始させるために無作為のヘキサヌクレオチドを
使って作製された。スクリーニングした5x105 個の
クローンから2個の陽性クローンが単離され、長い方の
挿入物は鎖長が1.6kbであった(クローンpBJ1
549)。この1.6kb挿入物の完全なヌクレオチド
配列を決定し、これはゲノムクローンによりコードされ
る断片T34を(予想通りに)含む8つのトリプシン断
片のうちの5つのアミノ酸配列を正確に予言することが
分かった。推定された蛋白配列と完全GPI−PLDの
N末端配列を比較することにより、このクローンはこの
蛋白の成熟N末端(図5のCys1 )をコードすること
が判明した。これは初期翻訳産物が23アミノ酸ペプチ
ドを含むことを意味している。
【0072】クローンpBJ1549は、1)80−1
00kdのコア蛋白が予想されるのに、それはたった5
0kdの蛋白をコードしていた、2)8つのトリプシン
断片のうち3つが明らかにされなかった、3)in-frame
翻訳終止コドンが存在しなかった、ので不完全であると
見なされた。C末端をコードするクローンを単離するた
めに、肝臓cDNAライブラリーはpBJ1549の
3′末端からのニックトランスレートされた400bp
断片を用いてスクリーニングした。1.1kbの挿入物
を含む1個のクローンが単離された(クローンpBJ1
644)。配列分析は、この挿入物がpBJ1549の
ヌクレオチド1450から始まって、C末端の方向に1
090ヌクレオチド延びていることを示した。2つのク
ローンは140塩基の重複領域に同一の配列をもってい
た。pBJ1549で確認されたオープン・リーディン
グ・フレームはpBJ1644中のヌクレオチド255
7の終止コドンまで続いていた。pBJ1644挿入物
はpBJ1549がコードしない3つのトリプシン断片
を正確にコードしていた。それらは、一緒になって、2
3アミノ酸のシグナルペプチドと、8つの存在しうるN
結合グリコシル化部位を有する816アミノ酸の成熟蛋
白(90.2kd)をコードしていた。これらのデータ
は、組合わせたこれらの2つのクローンがこの蛋白の完
全なコード配列を含むことを示した。
【0073】推定アミノ酸配列の分析は、互いに21−
54%の同一性(54−75%の類似性)を示す4つの
内部類似領域を明らかにした。アミノ酸およびヌクレオ
チド配列データベースでのコンピューター検索により、
これらの反復領域はインテグリンαサブユニットの金属
イオン結合ドメインと有意に類似することが分かった。
それらはインテグリンに特異な短い保存セグメントに挟
まれたアスパルテートに富むコア配列を共有する。グル
タメート残基の不在を別にすれば、コア配列:DX(D
/N)XDGXXDはカルモジュリン、トロポニンC、
パルブアルブミンのような多くのCa2+/Mg2+結合蛋
白に特徴的なEF−ハンドコンセンサスモチーフにマッ
チする。ここに報告した遺伝子がインテグリンの金属イ
オン結合ドメインに類似したドメインを含むという観察
は、酵素検定におけるGPI−PLDのカルシウム必要
性と一致する。
【0074】クローン化cDNAを発現させて、コード
化蛋白がGPI−PLDであることを確かめるために、
初めに、2つの挿入物をそれらの重複領域内のAccI
部位で一緒にスプライスし、生成した2.6kb cD
NAを真核細胞発現プラスミドpBC12BI(Cullen
(1987) Methodsin Enzymology 152, 684-704)に連結
した。得られたプラスミドpBJ1682をCOS細胞
に導入し、そして精製血清酵素に対するモノクローナル
抗体のプールを使って、1)透過細胞の免疫蛍光(デー
タは示してない)および2)ウェスターンブロット分析
を行うことにより発現を確かめた。擬似トランスフェク
ト細胞の培地およびリゼイトはウェスターンブロットで
検出可能な免疫反応性蛋白を示さなかった(図6のレー
ン1および2)が、pBJ1682トランスフェクト細
胞は培地とリゼイトの両方において検出可能な、グリコ
シル化90kdコア蛋白の大きさと一致する大きさの免
疫反応性蛋白を生産した(レーン3および4)。しかし
ながら、リゼイト中に検出された蛋白は培地に分泌され
た蛋白よりもわずかに速く泳動し、分泌蛋白は精製され
た血清GPI−PLDよりも速く泳動した。これらの泳
動差が試料のタイプ(例えば、リゼイト対培地)の相違
によるものでないことを証明するために、ゲルに負荷す
る前に、pBJ1682トランスフェクト細胞の培地ま
たはリゼイトをそれぞれ等容量の擬似トランスフェクト
細胞のリゼイトまたは培地と混合した。これらの大きさ
の差異(リゼイトと精製血清蛋白では10kdほどの差
があると概算された)の本質は、この酵素の活性型がそ
の不活性型とどのように相違するかについての重要な手
がかりを与えるかもしれない。
【0075】その後、pBJ1682トランスフェクト
または擬似トランスフェクトCOS細胞の培養培地およ
びリゼイトを調製し、 3H標識GPI固定変異型表面糖
蛋白(VSG)とインキュベートしてホスホリパーゼ活
性について試験した。図7Aに示すように、DNAトラ
ンスフェクト細胞の培地中にかなりの量のホスホリパー
ゼ活性が検出されたが、擬似トランスフェクト細胞では
バックグラウンドレベルの活性しか検出されなかった。
無血清培地で46時間後、分泌されたホスホリパーゼ活
性の量は65U/ml(COS細胞により分泌された酵
素が精製されたウシ血清酵素と同じ比活性をもつと仮定
すると約0.15μg/ml)に達した。図7Bは、p
BJ1682トランスフェクト細胞の培地と比べて、リ
ゼイトでは少量のホスホリパーゼ活性しか観察されない
ことを示す。これらの結果は、クローン化遺伝子がホス
ホリパーゼ酵素をコードすること、および大部分の酵素
活性が細胞から分泌されることを示した。
【0076】 3H標識VSG加水分解検定の反応生成物
の分析により、DNAトランスフェクト細胞のホスホリ
パーゼ活性はホスホリパーゼDによることが確認できた
(図8参照)。精製血清GPI−PLDまたはトランス
フェクト細胞のコンディションド培地による加水分解か
ら得られた主要量の 3H標識生成物は薄層クロマトグラ
フィーにおいてジミリストイルホスファチジン酸と共泳
動した。
【0077】トランスフェクトCOS細胞のリゼイトお
よびコンディションド培地はさらにエタノールの存在下
で非GPI結合ジパルミトイルホスファチジルコリン基
質に対するそれらの特異性について試験した。PAもホ
スファチジルエタノール(エタノールの存在下でのホス
ファチジルコリン特異的PLDのホスファチジル基転移
反応生成物)も薄層クロマトグラフィーで検出されず
(データは示してない)、クローン化遺伝子がPLDの
GPI特異的形態であると確認できた。
【0078】
【実施例3】GPI固定蛋白のみをコードする遺伝子およびGPI−
PLDをコードする遺伝子によるCOS細胞のトランス
フェクション GPI固定基質に対する in vivoホスホリパーゼ活性を
試験するために、COS細胞はGPI固定胎盤アルカリ
ホスファターゼ(PLAP)のみをコードする遺伝子で
トランスフェクトし、またpBJ1682を用いて同時
トランスフェクトした。細胞培地およびリゼイトをアル
カリホスファターゼ活性について検定した。COS細胞
をPLAPcDNA単独でトランスフェクトした場合、
PLAP活性の大部分は細胞リゼイトに検出された。こ
れはPLAPがGPI固定蛋白であることと一致した。
COS細胞をPLAPとpBJ1682の両方で同時ト
ランスフェクトした場合は、培地に分泌されたPLAP
の量がPLAPcDNAのみでトランスフェクトした細
胞の場合よりもかなり高かった。同時トランスフェクト
細胞のリゼイト中のPLAP活性はPLAPのみでトラ
ンスフェクトした細胞の場合よりもわずかに高く、この
ことは同時トランスフェクト細胞においてGPI固定P
LAPが絶えず合成され、ホスホリパーゼ活性により放
出されていることを示唆している。これはまた、同時ト
ランスフェクト細胞の培地およびリゼイト中に検出され
た全PLAP活性が、PLAPのみでトランスフェクト
した細胞の場合よりも、常にかなり高いという事実によ
っても支持された。pBJ1682DNA単独でトラン
スフェクトされたCOS細胞では、バックグラウンドレ
ベルの内因性PLAPが培地やリゼイトに検出されただ
けだった。これらの結果は、クローン化ホスホリパーゼ
がGPI固定蛋白の細胞表面発現に大いに影響を与える
ことを立証した。
【0079】COS細胞から分泌されたGPI−PLD
が細胞表面GPI固定PLAPを加水分解するかどうか
を試験するために、pBJ1682トランスフェクト細
胞からの培地をPLAPトランスフェクト細胞とインキ
ュベートし、1、3、8および24時間のインキュベー
ション後、培地のアリコートのPLAP活性を検定し
た。PLAP活性は、たとえ培地が24時間のインキュ
ベーション期間の前後でVSG検定において活性であっ
ても、全く検出されなかった。
【0080】GPI固定蛋白がGPI−PLDにより加
水分解されるかどうかを調べる別の方法として、同時ト
ランスフェクトCOS細胞の培養上清を3H−エタノー
ルアミンで標識後免疫沈降により試験した。もしもGP
I固定蛋白が実際にGPI−PLDにより加水分解され
るならば、加水分解産物は3H−エタノールアミン部分
を保持すると予想され、蛋白加水分解により誘導された
産物はこの基を含まないだろう。PLAPとCD16は
両方ともエタノールアミン残基をまだ含む形でGPI−
PLD同時トランスフェクト細胞から放出される。これ
らの結果は、放出された蛋白が蛋白の加水分解により誘
導された産物であるという可能性を排除し、少なくとも
2つの異なるGPI固定蛋白がGPI−PLDにより放
出されることを示している。
【0081】
【実施例4】ヒト肝臓ホスホリパーゼD遺伝子の分子クローニング ウシGPI−PLDのトリプシンペプチド断片配列と部
分ウシゲノムクローンからのDNA配列を利用すること
ができた。この情報を使って、一対のオリゴヌクレオチ
ド(#1s、#1a)をデザインし、ポリメラーゼ・チ
ェイン・リアクションによりPLDmRNAのヒト源を
検索した。肝臓において、81−bpアンプリコンによ
りメッセージの存在が検出された。ウシcDNA配列に
基づいてプライマー(#5s、#4a)を作製し、ヒト
肝臓第一鎖cDNAからのホスホリパーゼD転写物の
5′半分に対応する1.2kb断片を増幅させた。
【0082】部分ヒトGPI−PLDcDNAクローン
はライブラリースクリーニングにより単離した。ヒト肝
臓ポリA+ mRNAをオリゴdTを使って分離し、大き
さにより選別した。EcoRIリンカーを結合させたc
DNAをラムダZAPIIベクター(Stratagene)にクロ
ーニングした。250万個の組み換え体から成るこのラ
イブラリーは、(低ストリンジェンシーで)ウシcDN
Aと(高ストリンジェンシーで)1.2kbヒトGPI
−PLDアンプリコンを使って二通りに未増幅のままス
クリーニングした。陽性クローンが両方のプローブによ
って同定され、挿入物の配列が分析された。この部分c
DNAクローン(ヌクレオチド688−1247)は1
86個のアミノ酸残基(230−416)をコードして
いた。
【0083】ヒトGPI−PLDの成熟アミノ末端はウ
シ蛋白のその部分により高度に保存されていることが判
明し(最初の12個のうち11個のアミノ酸が同一)、
しかもヒト膵臓PLDcDNAの部分C末端配列を利用
することができたので、2つのオリゴヌクレオチド(#
5s、#9a)を作製して、ヒト肝臓第一鎖cDNAか
ら2.5kbアンプリコンを増幅させた。このセグメン
トは成熟ヒトホスホリパーゼD遺伝子産物をコードする
配列と一致する。このアンプリコンはベクターpRcC
mV(Invitrogen)および哺乳動物細胞による発現に適
するpBC12BI誘導ベクターにクローニングした。
【0084】成熟ヒトGPI−PLD蛋白をコードする
DNA配列は2.5kbアンプリコン、部分cDNAク
ローンおよび1.2kbアンプリコン(上で述べた;図
9参照)の2つの独立して単離されたクローンから得ら
れた。予想されたペプチド配列は817アミノ酸であ
り、ウシ配列と82%が同一である。ヒトGPI−PL
Dのシグナルペプチドをクローニングするために、オリ
ゴヌクレオチド(#5RT)をデザインし、肝臓ポリA
+RNAからcDNAを合成した。アダプター−リンカ
ーをcDNAの末端に連結した後、アダプタープライマ
ーおよびオリゴヌクレオチド#5amp次に#237を
使って、2ラウンドのPCRを行った。サザンブロット
で#5sにより検出された300bpアンプリコンをサ
ブクローニングし、7つのクローンの配列を解析した。
ヒト肝臓GPI−PLDのシグナルペプチドは長さが2
4アミノ酸であり、この配列はウシGPI−PLDのそ
れとよく合っていた(14アミノ酸が同一)。ヒト肝臓
シグナルペプチドをpRcCMV発現構築物中のHpa
I部位を介して成熟蛋白コード配列に結合させた。
【0085】上記方法では、以下のオリゴヌクレオチド
およびPCR条件を採用した。
【0086】
【式2】
【0087】
【0088】PCRでは、鋳型として、プラスミドまた
はゲノムDNA、一本鎖cDNA、もしくはラムダファ
ージを使用した。50μlの反応混合物は10mMトリ
ス−HCl、25℃でpH8.3、1.5mM MgC
2 、50mM KCl、0.01%(w/v)ゼラチ
ン、鋳型DNA、一対のオリゴヌクレオチドプライマー
(それぞれ50pmol)、2.5単位のTaqDNA
ポリメラーゼ(Cetus-Perkin Elmer)および200μM
のdATP、dCTP、dGTP、dTTPを含んでい
る。鋳型DNAは94℃で7分間変性し、Perkin Elmer
サーモサイクラーで25−35サイクルの増幅を実施し
た。各サイクルは94℃で1分間の変性段階、55℃で
2分間のアニーリング段階、および72℃で3分間の伸
長段階から成っている。最初のサイクルの変性段階は7
分に延長し、そして最後のサイクルの伸長段階は72℃
で10分に延長した。PCR産物は1−4%アガロース
ゲルで分析した。増幅DNAをゲルから切り出し、ガラ
スビーズ(Geneclean )で精製し、一般用のクローニン
グベクターpBS(Stratgene )のHincII部位にサ
ブクローニングした。ライブラリー構築およびスクリー
ニングは次のように行った:ヒト肝臓mRNAを Clont
ech Labsから購入し、Gubler and Hoffmann (1983)の方
法によりcDNAを合成した。50μlの反応混合物
(50mMトリス−HCl、pH8.3、75mM K
Cl、3mM MgCl2 、10mM DTT、0.5
mM dATP、0.5mM dCTP、0.5mM
dGTP、0.5mM dTTP)中で、1.25μg
のオリゴ−dTを付加した1μgのmRNAを、RNa
seH陰性MMLV−逆転写酵素(BRL)を使って、
一本鎖cDNAに変換した。この反応混合物は37℃で
1時間インキュベートした。この反応混合物に10μC
32P−dCTPを加えて、TCA沈殿後に取り込まれ
た放射能を測定することにより収量を監視した。
【0089】第二鎖の合成は Amersham cDNA合成・
クローニングキットからの緩衝液を使って次のように行
った。250μlの反応混合物は50μlの第一鎖合成
反応混合物、93.5μlの第二鎖合成緩衝液、4Uの
RNaseH、115UのDNAポリメラーゼIおよび
91.5μlの水を含む。合成は14℃で1時間次に室
温で1時間行い、最後に70℃で10分間インキュベー
トした。2μlのT4DNAポリメラーゼ(4U/μ
l)を加え、この混合物を37℃で10分間インキュベ
ートした。この反応の収量はTCA沈殿cDNAをカウ
ントすることにより概算した。精製した二本鎖cDNA
は、4μlのM緩衝液、1xs−アデノシルメチオニン
および30UのEcoRIメチラーゼを含む20μlの
反応混合物中でメチル化した。この混合物を37℃で1
時間次に70℃で10分間インキュベートして酵素を不
活性化した。このメチル化cDNA(1.5μg)に、
50mMトリス−HCl、pH7.5、10mM Mg
Cl2 、10mM DTT、1mM ATPおよびT4
DNAリガーゼ中で15℃にて一晩かけてEcoRI
リンカー(1.5μg)を連結した。100μlの反応
混合物中のリンカー付加cDNAはEcoRI(100
U)を用いて37℃で5時間消化した。その後、消化し
たcDNAはセファクリルS500カラムにかけて大き
さにより分画化し、高分子量画分をプールして精製し
た。
【0090】遺伝子ライブラリーはベクターラムダZA
PII(Strategen )に構築した。T4 DNAリガーゼ
とその緩衝液を含む10μlの反応混合物中で、Eco
RI消化リン酸化ベクターに14℃で一晩かけてcDN
Aを連結させた。連結cDNAはギガパック(Gigapac
k)キットを使って、Stratageneにより示唆される条件
のもとでファージにパッケージした。
【0091】250万個のクローンのライブラリーが得
られ、XL−1ブルーセルにプレートし、2組のフィル
ターに写しとった。プラーク・ハイブリダイゼーション
はBenton and Davis (1977) Science 196, 180-182の方
法に従った。放射性32P標識DNAプローブ(2.5x
108 cpm/μg)をランダムプライミング法(Fein
berg and Vogelstein (1984) Anal..Biochem. 137, 266
-267)により作製した。ハイブリダイゼーションは6x
SSC、0.1%SDS、5x Denhardt 、100μg
/mlのサケ精子DNA、25−50%ホルムアミド中
で42℃一晩行った。オートラジオグラフィーの前に
0.1−2xSSC、0.1%SDS中で37℃(低ス
トリンジェンシー)または55℃(高ストリンジェンシ
ー)にてフィルターを洗った。DNAシークエンシング 二本鎖プラスミドDNAはシークエナーゼ(Sequenase;
USB)マニュアルに記載される方法により配列決定を
実施した。図9には、ヒト肝臓GPI−PLDのヌクレ
オチド配列および翻訳アミノ酸配列が示してある。図1
0には、ヒトおよびウシ肝臓GPI−PLD成熟蛋白の
アミノ酸配列の整合が示してある。
【0092】
【実施例5】ヒト膵臓ホスホリパーゼDcDNAクローンの単離およ
び性状決定 全RNAは、Gubler et al., (1983) Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 80, 4311-4314に記載されるように、ヒト
膵臓腫瘍から単離した。ポリA+ RNAが、RNA全量
に対して2.5%(w/w)の収率で得られた。cDN
AライブラリーをSambrook,J., Fritsch,E.F. and Mani
atis,T., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, S
econd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press
1989に発表された方法に従ってλgt11に構築し、
増幅させた。cDNAライブラリーはプローブとしてウ
シGPI−PLDニックトランスレートcDNA〔Koch
a,J.et al. (1986) Cell 44, 689-696〕を用いて低スト
リンジェンシー(25%ホルムアミド)条件下でスクリ
ーニングした。2つの陽性クローンがプラーク精製さ
れ、cDNA挿入物をpGem3z(Promega Biotec)
にサブクローニングして、シークエナーゼの製造者(Un
ited States Biochemical Corp. )により推薦されるジ
デオキシシークエンシング法を使ってそれらの配列を解
析した。クローンpJJ1935aの配列は図11に示
してあり、ヌクレオチド1(ウシGPI−PLDヌクレ
オチドのヌクレオチド1609に対応する)から始ま
る。クローンpJJ1939の配列はpJJ1935a
のヌクレオチド位置410から始まるものの、あとはp
JJ1935aと同一である。
【0093】ヒト膵臓GPI−PLDの部分アミノ酸配
列の分析は、ウシアミノ酸配列と比較したとき、高レベ
ルの同一性(81%)を示し、ヌクレオチドレベルでは
84%が同一であった。
【0094】
【実施例6】組み換え体、分泌可能蛋白の新規な生産方法 通常GPI固定されない他の蛋白は、それらの遺伝子を
3′末端でGPI結合のシグナル配列をコードするよう
に修飾することにより、GPI固定されるように誘導す
ることができる。細胞をこの修飾遺伝子とGPI−PL
Dの遺伝子の両方でトランスフェクトすると、蛋白が分
泌されるようになる。
【0095】GPI固定蛋白の分泌の原理が他の蛋白に
一般的に適用されるかどうか調べるために、CD16の
GPIアンカーを他の蛋白に移し、その後GPI−PL
Dの存在または不在下でそれらの発現を監視した。GP
I結合のシグナルを送るCD16の部分をコードするD
NA断片〔Scallon et al., Proc. Natl. Acad. Sci.US
A 86, 5079-5083 (1989), Selvaraj et al., Nature 33
3, 565-567 (1988) および Simmons et al., Nature 33
3, 568-570 (1988) を参照〕、すなわちC末端37アミ
ノ酸:
【0096】
【式3】
【0097】
【0098】は、内皮白血球付着分子−1(Endothelia
l Leukocyte Adhesion Molecule-1 :ELAM−1)の
細胞外ドメインをコードするDNAに〔Bevilacqua,M.
P. etal., (1989) Science 243, 1160-1165〕;および
IL−2レセプターのp70サブユニットの細胞外ドメ
インをコードするDNAに(Hatakeyama,M., (1989)Sci
ence 244, 551-556)一般的な方法を使ってスプライス
した。
【0099】詳細には、ELAM−1の場合、2つの独
立した構築物、すなわちELAM−1−1−GPIおよ
びELAM−1−2−GPI、がPCR技法を用いて作
製された。ELAM−1−1−GPIでは、オリゴヌク
レオチド5′−TTTGATCATTCTCTCAGC
TCTCACTTTG−3′(5′センスプライマー)
と5′−TGGTCGACTCAGTGGGAGCTT
CACAGGT−3′(3′アンチセンスプライマー)
を使ってアンプリコンを形成させた。このアンプリコン
はその後制限酵素BelIおよびSalIで消化した。
これはELAM−1−1−GPIの構築に使用されるE
LAM細胞外コード配列(アミノ酸15−532)を含
んでいた。ELAM−1−2−GPIでは、オリゴヌク
レオチド5′−TTTGATCATTCTCTCAGC
TCTCACTTTG−3′(5′センスプライマー)
と5′−TAGTCGACACAATTTGCTCAC
ACTTGAG−3′(3′アンチセンスプライマー)
を使ってアンプリコンを形成させた。このアンプリコン
はその後制限酵素BelIおよびSalIで消化した。
これはELAM−1−2−GPIの構築に使用されるE
LAM−1細胞外コード配列(アミノ酸15−157)
を含んでいた。
【0100】p70−GPIの場合は、オリゴヌクレオ
チド5′−ACGTCGACGTGTCCTTCCCA
AGGGCTGC−3′(3′アンチセンスプライマ
ー)と5′−CCGGATCCTGTCCTGGCGT
CTGCCCCTC−3′(5′センスプライマー)を
使ってアンプリコンを形成させた。このアンプリコンは
その後制限酵素BamHIおよびSalIで消化した。
これはp70−GPIの構築に使用されるp70細胞外
コード配列(アミノ酸21−214)を含んでいた。
【0101】また、CD16からのC末端GPIシグナ
ルペプチドもPCR技法を用いて単離した。オリゴヌク
レオチド5′−GTGTCGACCATCTCATCA
TTCTCTCCA−3′(5′センスプライマー)と
5′−AGTGTTTGTGTAGCTCTGAAAC
TT−3′(3′アンチセンスプライマー)を使ってア
ンプリコンを形成させ、これを制限酵素SalIおよび
StuI(アンプリコンの内部制限部位)で消化した。
この消化物はCD16蛋白のアミノ酸180−2167
をコードしていた。種々のGPIキメラ構築物を作製す
るために、対象となる蛋白の蛋白コード領域をCD16
GPIアンカー配列に連結させ、次いで真核細胞発現ベ
クターpBC12BI(BamHIとSmaIで消化し
ておいた)に連結させた。それぞれのGPI構築物はコ
ロニーハイブリダイゼーションにより同定し、制限酵素
分析およびDNAシークエンシングにより確認した。
【0102】ハイブリッドGPI−蛋白が、GPI−P
LDで同時トランスフェクトされたとき、分泌されるか
どうか調べるために、COS細胞をpBJ1682の存
在または不在下にELAM−1−1−GPI(図12
A)、ELAM−1−2−GPI(図12B)、または
p70−GPI(図示せず)でトランスフェクトした。
トランスフェクションの2日後、細胞は35S−システイ
ンを用いて2時間代謝的に標識した。対象の蛋白に対し
て誘導された抗体を使って、培地または抽出物を免疫沈
降させ、SDS−PAGEで分画化し、そしてフルオロ
グラフィーにより視覚化した。試験したすべての細胞抽
出物において対象の蛋白が検出されたが、上清中にはG
PI−PLD構築物を同時トランスフェクトしたときだ
け検出された。これらの結果は、GPIアンカーが通常
GPI固定されない蛋白に結合されること、この新規ハ
イブリッド蛋白がGPI−PLD酵素の存在下で発現さ
れるときに分泌されること、を証明している。このよう
な分泌蛋白は、用いるハイブリッド蛋白に応じて、いろ
いろな疾患の治療に関係するだろう。
【0103】下記の文献を含めて本明細書中で引用した
全ての文献の教示内容は参照によりここに挿入されるも
のとする。
【0104】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】GPIアンカー構造の模型を示す図。
【図2】ヒドロキシアパタイトおよびZnキレートマト
リックスクロマトグラフィーにより精製された試料のS
DS−PAGEを示す図(電気泳動図)。
【図3】イムノアフィニティークロマトグラフィー法に
より精製された試料のSDS−PAGEを示す図(電気
泳動図)。
【図4】クローンpBJ1549およびpBJ1644
由来のスプライスされた挿入物の制限地図および塩基配
列決定戦略を示す図。
【図5】ウシ肝臓GPI−PLDのDNA配列および推
定アミノ酸配列を示す図。
【図6】トランスフェクトされたCOS細胞の培地およ
びリゼイトのウェスターンブロット分析を示す図(電気
泳動図)。
【図7】 3H標識VSGの加水分解によるトランスフェ
クトCOS細胞におけるGPI−PLD活性の証明を示
す図。
【図8】薄層クロマトグラフィーによる加水分解VSG
の生成物の分析を示す図。
【図9】ヒト肝臓グリコシルホスファチジルイノシトー
ル特異的ホスホリパーゼDのヌクレオチド配列および推
定上のアミノ酸配列を示す図。
【図10】ヒトおよびウシ肝臓GPI−PLD成熟蛋白の
アミノ酸配列の整合を示す図。
【図11】ヒト膵臓グリコシルホスファチジルイノシトー
ル特異的ホスホリパーゼDのヌクレオチド配列および推
定上のアミノ酸配列を示す図。
【図12】PLDの存在下および不在下でのELAM−1
−GPI(カラムA)およびELAM−1−2−GPI
(カラムB)の発現を示すSDS−PAGEを示す図
(電気泳動図)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 8214−4B 8828−4B C12N 15/00 C (72)発明者 ジヤレマ ピーター コチヤン アメリカ合衆国 ニユージヤージー州 07044,ベロナ,クレストモント ロード 7 (72)発明者 シヤーリー シアオ−ハン リー アメリカ合衆国 ニユージヤージー州 07028,グレンリツジ,ブルームフイール ド アベニユー 969 (72)発明者 ユ−チン ユジエン パン アメリカ合衆国 ニユージヤージー州 07058,パインブルツク,クレーンドライ ブ 10 (72)発明者 バーナード ジエームス スカローン アメリカ合衆国 ニユージヤージー州 07110,ナツトリー,センターストリート 500 (72)発明者 トーマス クリストフアー ヒン−シン ツアン アメリカ合衆国 ニユージヤージー州 07109,ベルビル,デウイツトアベニユー 468

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 他の蛋白を実質的に含まない、蛋白グリ
    コシルホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパー
    ゼD(GPI−PLD)またはその生物学的に活性な断
    片。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の化合物の変異型であ
    る、グリコシルホスファチジルイノシトール特異的ホス
    ホリパーゼD活性化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1の蛋白はウシ肝臓GPI−PL
    Dである、請求項1または2の化合物。
  4. 【請求項4】 ウシ肝臓GPI−PLDは図5に示すア
    ミノ酸配列を有する、請求項3の化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1の蛋白はヒト肝臓GPI−PL
    Dである、請求項1または2の化合物。
  6. 【請求項6】 ヒト肝臓GPI−PLDは図9に示すア
    ミノ酸配列を有する、請求項5の化合物。
  7. 【請求項7】 請求項1の蛋白はヒト膵臓GPI−PL
    Dである、請求項1または2の化合物。
  8. 【請求項8】 ヒト膵臓GPI−PLDは図11に示す
    部分アミノ酸配列を有する、請求項7の化合物。
  9. 【請求項9】 請求項3−8のいずれか1項に記載の化
    合物のグリコシルホスファチジルイノシトール特異的ホ
    スホリパーゼD活性断片。
  10. 【請求項10】 請求項3−8のいずれか1項に記載の化
    合物のグリコシルホスファチジルイノシトール特異的ホ
    スホリパーゼD活性変異体。
  11. 【請求項11】 請求項3−8のいずれか1項に記載の化
    合物の変異体のグリコシルホスファチジルイノシトール
    特異的ホスホリパーゼD活性断片。
  12. 【請求項12】 請求項1−11のいずれか1項に記載の
    蛋白をコードするポリヌクレオチドまたはその相補鎖。
  13. 【請求項13】 発現DNA配列に機能しうる状態で連結
    された請求項12に記載のポリヌクレオチドを含む組み
    換えベクター。
  14. 【請求項14】 真核または原核細胞内で複製可能なプラ
    スミドまたはウイルスベクターである、請求項13の組
    み換えベクター。
  15. 【請求項15】 請求項13または14に記載のベクター
    で形質転換されたもしくはトランスフェクトされた原核
    または真核宿主細胞。
  16. 【請求項16】 請求項1−11のいずれか1項に記載の
    蛋白を生産する方法であって、請求項13または14の
    いずれかに記載の組み換えベクターを含む宿主を適当な
    生育条件下で培養して前記蛋白を発現させ、そして前記
    蛋白を単離することから成る方法。
  17. 【請求項17】 宿主はCHO細胞である、請求項16の
    方法。
  18. 【請求項18】 細胞から蛋白を分泌させる方法であっ
    て、 a)宿主細胞を請求項13または14のいずれかに記載
    の組み換えベクターとGPI固定蛋白をコードする組み
    換えベクターとで形質転換すること; b)形質転換細胞を適当な生育条件下で培養して両蛋白
    を発現させること;および c)GPIアンカーが切り離された蛋白を培地から単離
    すること;から成る方法。
  19. 【請求項19】 GPI固定蛋白は対象の蛋白にC末端G
    PIシグナルペプチドをスプライスすることにより形成
    される、請求項18の方法。
  20. 【請求項20】 C末端GPIシグナルペプチドはCD1
    6蛋白から誘導される、請求項19の方法。
  21. 【請求項21】 請求項1−11のいずれか1項に記載の
    蛋白および適当な洗剤と反応させることによりGPIア
    ンカーに結合された蛋白をGPIアンカーから切り離す
    ことを特徴とする、グリコシルホスファチジルイノシト
    ールアンカーに結合された蛋白を切断するための請求項
    1−11のいずれか1項に記載の蛋白の使用。
  22. 【請求項22】 請求項1−11のいずれか1項に記載の
    蛋白に特異的な抗体。
JP3276792A 1990-09-27 1991-09-27 グリコシルホスフアチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼd Pending JPH0576357A (ja)

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