JPH0576027B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

＜産業上の利用分野＞ 本発明は、電子写真法又は静電記録法において
使用される乾式二成分系正帯電性シアン現像剤に
関するものである。 ＜従来の技術＞ 最近、フルカラー複写が注目され既に乾式フル
カラー複写機が数機種市販されている。これらの
複写機では正極性の静電荷像を形成する感光体が
使用されており、従つて現像剤は負極性のものが
使用されている。 しかし、近年OPC（有機半導体）が、その変性
の容易さ、無公害性、実用上十分な耐刷特性等の
点から注目をあび、一般の黒色画像用複写機への
搭載が進んでおり、乾式フルカラー複写機への応
用も検討が進められている。現状のOPC感光体
は正帯電のものは技術的に困難で通常負帯電性の
ものが使用されており、従つて正帯電性のフルカ
ラー用トナーが要望されている。 ところで、フルカラー複写は通常のモノカラー
複写と異なり、ピクトリアルなカラー原稿を鮮
明、かつ忠実に再現できることが重要である。フ
ルカラー複写の原稿は、色文字、黒文字などの文
字原稿、印刷等の網点原稿、銀塩写真の原稿な
ど、並びにこれらが混在して１枚の原稿になるこ
ともあり、原稿と複写画像が並置されるため、特
に色彩を忠実に再現することが要望される。色再
現性は、フルカラー画像のなかでも特に重要であ
り、定着画像の色調、透明性、光沢度、階調性な
どが影響する。色再現はイエロー、マゼンタ及び
シアンの三原色トナーによる減法混色あるいは並
置加法混色より成り立つている。減法混色におい
ては光を透過する透明性トナーを用いることが必
要である。また、オーバーヘツドプロジエクター
等に使用する透明フイルムに定着した画像も光透
過性でないと色再現ができない。 フルカラー用トナーの電荷制御剤は無色又は実
質的に無色に近い淡色でなければならない。従来
から黒色トナー用電荷制御剤として知られている
塩基性ニグロシン染料は、それ自体が黒色状であ
るため、フルカラー用トナーには使用できない。
現在、フルカラー用トナーの電荷制御剤として
は、第４級アンモニウム塩及びポリアミンが知ら
れている（特開昭62−966号公報参照）。しかし電
荷制御剤として第４級アンモニウム塩、キヤリア
ー粒子として例えば、酸化鉄粉、アクリル系やシ
リコーン系等の樹脂コートキヤリアーを用いたカ
ラートナーは、繰り返し複写において帯電量及び
画像濃度が不安定であり、かつカブリが生じると
いう問題点がある。また電荷制御剤としてポリア
ミンを用いた場合は、帯電量が高く、カブリはみ
られなかつたが、繰り返し複写において帯電量が
急上昇し、画像濃度が低下するという問題点があ
る。 ＜発明が解決しようとする課題＞ 本発明は、上記の事情に鑑み、透明性のある良
好な画像を得ることができ、電荷制御特性に優れ
た耐久性の良好な正帯電性シアン現像剤を提供す
るものである。 ＜課題を解決するための手段＞ 本発明は、少なくとも結着樹脂と下記式（）
及び式（）

【化】

【化】 で表わされるフタロシアニン系顔料を式（）：
式（）＝６：４〜９：１の配合比にて含有する
シアントナーと、フツ化ビニリデン系樹脂を主成
分とする被覆層を有するキヤリアー粒子とからな
る正帯電性シアン現像剤である。 本発明に用いられるシアントナーに含有される
結着樹脂としては、通常の熱ロール定着用樹脂よ
りも溶融粘度の低いシヤープメルト樹脂、特にポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−アク
リル共重合体樹脂等が好ましいが、これらに限定
されるものではない。また式（）及び式（）
で表わされるフタロシアニン系顔料としては、市
販の製品を用いることができる。ここで式（）
と式（）のフタロシアニン系顔料は、安定した
帯電特性を得るために両者を併用するもので、そ
の配合割合は重量比率で式（）：式（）＝６：
４〜９：１である。 本発明におけるシアントナーは、上記のフタロ
シアニン系顔料自体がトナーに正帯電性を付与す
るので、例えば染料系の電荷制御剤を併用しなく
ても十分な正帯電特性が得られるが、ロングライ
フにおいて十分に安定した帯電特性を得るために
は、例えば第４級アンモニウム塩の如き無色又は
淡色の正帯電用電荷制御剤を補助的に併用するこ
とが好ましい。 本発明におけるシアントナーは、必要に応じて
ポリプロピレン、ポリエチレン、合成ワツクス、
天然ワツクスなどの内添剤を含有していてもよ
い。また疎水性シリカ、アルミナ、ポリ弗化ビニ
リデン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレー
ト等の微粉末で後処理されていてもよい。 本発明におけるシアントナーは、常法により結
着樹脂、式（）及び式（）のフタロシアニン
系顔料、更に必要に応じて用いられる添加剤等を
混練分散し、粉砕したのち分級することにより得
られる。 次に、本発明に用いられるキヤリアー粒子は、
フツ化ビニリデン系樹脂を主成分とする被覆層を
有するものである。そのコア材としては、一般に
用いられている多孔質鉄粉、酸化鉄粉、フエライ
ト粒子等、更に四三酸化鉄を含有する樹脂粒子、
その他各種の金属又は金属化合物粒子等の磁性を
有するものであれば材質、形状等は特に限定され
ることなく使用することができる。また、フツ化
ビニリデン系樹脂としては、フツ化ビニリデンの
単独重合体及び四フツ化エチレン、酢酸ビニル、
アクリル系等のモノマーとの共重合体が挙げられ
る。被覆層は上記の如きフツ化ビニリデン系樹脂
を主成分とするもので、必要に応じて一般にコー
テイングキヤリアーに用いられている樹脂や、帯
電性や機械的強度等の調整のための添加剤等を含
有することもできる。なお、被覆層には全被覆成
分に対してフツ化ビニリデン成分が50％以上含有
することが好ましい。また、この様な被覆層を前
記コア材の表面に形成するには、フローコーター
法、スプレードライヤー法等の従来公知の方法を
適宜用いて形成することができる。被覆層の厚さ
は単分子層レベルから約5μ位までの薄層が好ま
しい。 本発明の正帯電性シアン現像剤は、前記シアン
トナーとキヤリアー粒子とを常法により混合する
ことによつて得られるものである。ここで混合割
合は、用いられるシアントナー及びキヤリアー粒
子の粒度分布や形態等によつて適宜決定されるも
のであるが、シアントナーの割合が通常２〜10重
量％程度が好ましい。 ＜実施例＞ 次に実施例により本発明を説明する。なお、こ
こで配合を表わす部数はすべて重量部である。 実施例 １ 下記組成にて混合し、エクストルーダーにて熱
混練して冷却後、粉砕・分級して平均粒径（体積
50％径、コールターカウンター使用）約10μのシ
アントナーを得た。 ポリエステル樹脂（日本合成化学工業社製、
HP−320） 100部 式（）のフタロシアニン系顔料（住化カラー
社製、スミトモシアニンブルーLG） 1.35部 式（）のフタロシアニン系顔料（住化カラー
社製、スミカプリントシアニンブルーGN−
Ｄ） 0.15部 第４級アンモニウム塩系電荷制御剤（バイエル
社製、HRO 9482） 1.5部 次に粒度150／325メツシユのポリフツ化ビニリ
デン系樹脂コートキヤリアー（関東電化工業社
製、B29）93.5部に上記シアントナー6.5部を加
え、Ｖブレンダーで１時間攪拌して本発明の正帯
電性シアン現像剤を作製した。なお、ブローオフ
帯電量測定装置（東芝ケミカル社製）によるシア
ントナーの摩擦帯電量は16.0μc／ｇであつた。 上記の正帯電性シアン現像剤を用いて、OPC
感光体使用の複写機（シヤープ社製、SF−8260）
によりコピーしたところ、画像濃度、カブリ、階
調性、刷毛筋等画質は良好であつた。また、透明
フイルムにコピーしてオーバーヘツドプロジエク
ターにより画質を確認したところ、スクリーン上
に美しいシアン色の映像が得られ、透明性も優れ
ていることがわかつた。更に、繰り返し複写試験
を行つたところ、３万枚後も帯電量、画質等初期
とほとんど変わらず良好な耐久性が確認された。 実施例 ２ シアントナーの組成を下記のように代えた以外
は実施例１と全く同様にして本発明の正帯電性シ
アン現像剤を作製した。なお、該シアントナーの
摩擦帯電量は15.2μc／ｇであつた。 ポリエステル樹脂（日本合成化学工業社製、
HP−320） 100部 式（）のフタロシアニン系顔料（BASF社
製、Heliogen Blue Ｇ） 1.0部 式（）のフタロシアニン系顔料（東洋インキ
製造社製、リオノール ブルーFG−7350）
0.5部 第４級アンモニウム塩系電荷制御剤（バイエル
社製、HRO 9482） 1.5部 次にこの現像剤を用いて実施例１と同様にし
て、画質、透明性、耐久性を評価したところ、い
ずれも良好で優れた現像剤であることが確認され
た。 実施例 ３ シアントナーの組成を下記の様に代えた以外は
実施例１と全く同様にして本発明の正帯電性マゼ
ンタ現像剤を作製した。なお、該シアントナーの
摩擦帯電量は17.3μc／ｇであつた。 ポリエステル樹脂（日本合成化学工業社製、
HP−320） 100部 式（）のフタロシアニン系顔料（住化カラー
社製、スミトモシアニンブルーLG） 0.9部 式（）のフタロシアニン系顔料（住化カラー
社製、スミカプリントシアニンブルーGN−
Ｄ） 0.6部 第４級アンモニウム塩系電荷制御剤（バイエル
社製、HRO 9482） 1.5部 次にこの現像剤を用いて実施例１と同様にし
て、画質、透明性、耐久性を評価したところ、い
ずれも良好で優れた現像剤であることが確認され
た。 比較例 １ キヤリアー粒子を150／325メツシユのポリテト
ラフルオロエチレンコートキヤリアーに代えた以
外は実施例１と全く同様にして比較用の正帯電性
シアン現像剤を作製した。なお、この場合におけ
るシアントナーの摩擦帯電量は25.0μc／ｇであつ
た。 次にこの現像剤を用いて実施例１と同様にし
て、画質、透明性、耐久性を評価したところ、ラ
ンニング時の帯電量の上昇が大きいため、画像濃
度が大幅に低下してしまうという問題があり、６
千枚で評価を中止した。 比較例 ２ キヤリアー粒子を150／325メツシユのスチレン
−ｎ−ブチルメタクリレート共重合体コートキヤ
リアーに代えた以外は実施例１と全く同様にして
比較用の正帯電性シアン現像剤を作製した。な
お、この場合におけるシアントナーの摩擦帯電量
は8.3μc／ｇであつた。 次にこの現像剤を用いて実施例１と同様にし
て、画質、透明性、耐久性を評価したところ、初
期画質においてカブリ、刷毛筋が不良で、更にト
ナー飛散も多いという問題を有するため、耐久性
テストは実施しなかつた。 比較例 ３ シアントナーの組成を下記の様に代えた以外は
実施例１と全く同様にして比較用の正帯電性シア
ン現像剤を作製した。なお、この場合におけるシ
アントナーの摩擦帯電量は9.5μc／ｇであつた。 ポリエステル樹脂（日本合成化学工業社製、
HP−320） 100部 式（）のフタロシアニン顔料（住化カラー社
製、スミトモシアニンブルーLG） 1.5部 第４級アンモニウム塩系電荷制御剤（バイエル
社製、HRO 9482） 1.5部 次にこの現像剤を用いて実施例１と同様にし
て、画質、透明性、耐久性を評価したところ、初
期画質においてカブリ、刷毛筋が不良で、更にト
ナー飛散も多いという問題を有するため、耐久性
テストは実施しなかつた。 比較例 ４ シアントナーの組成を下記の様に代えた以外は
実施例１と全く同様にして比較用の正帯電性シア
ン現像剤を作製した。なお、この場合におけるシ
アントナーの摩擦帯電量は26.1μc／ｇであつた。 ポリエステル樹脂（日本合成化学工業社製、
HP−320） 100部 式（）のフタロシアニン系顔料（住化カラー
社製、スミカプリントシアニンブルーGN−
Ｄ） 1.5部 第４級アンモニウム塩系電荷制御剤（バイエル
社製、HRO 9482） 1.5部 次にこの現像剤を用いて実施例１と同様にし
て、画質、透明性、耐久性を評価したところ、ラ
ンニング時の帯電量の上昇が大きいため、画像濃
度が大幅に低下してしまうという問題があり、６
千枚で評価を中止した。 比較例 ５ シアントナーの組成を下記の様に代えた以外は
実施例１と全く同様にして比較用の正帯電性シア
ン現像剤を作製した。なお、この場合におけるシ
アントナーの摩擦帯電量は6.2μc／ｇであつた。 ポリエステル樹脂（日本合成化学工業社製、
HP−320） 100部 スレン系顔料（大日本インキ化学社製、KET
BLue 101） 1.5部 第４級アンモニウム塩系電荷制御剤（バイエル
社製、HRO 9482） 1.5部 次にこの現像剤を用いて実施例１と同様にし
て、画質、透明性、耐久性を評価したところ、初
期画質においてカブリ、刷毛筋が不良で、更にト
ナー飛散も多いという問題を有するため、耐久性
テストは実施しなかつた。また、色調的にも暗い
ブルーであり、フルカラー用としては鮮明さに欠
けるものであつた。 以上の実施例１〜３及び比較例１〜５の結果を
まとめると表−１の通りである。なお、帯電量は
ブローオフ粉体帯電量測定装置（東芝ケミカル社
製）、画像濃度はマクベス濃度計を用いて測定し
た。またカブリ、階調性及び刷毛筋は目視判定で
あり、◎は全く問題なく優れていること、○は良
好、△は実用上の限度レベル、×は問題ありを意
味するものである。

【表】 表−１の結果から明らかな様に、本発明の正帯
電性シアン現像剤は式（）及び式（）のフタ
ロシアニン系顔料を併用したシアントナーとフツ
化ビニリデン系樹脂コートキヤリアーとを組合わ
せたことによつて優れた特性が得られたことが確
認できた。 ＜発明の効果＞ 本発明の正帯電性シアン現像剤は、画像濃度、
カブリ、階調性等の画質が良好な、しかも繰り返
しコピーにおいて画質や帯電量が安定している優
れた耐久性を有するものである。また画像の透明
性も良好なため、オーバーヘツドプロジエクター
用の透明シートへのコピーや、フルカラーコピー
にも良好に使用できるものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 少なくとも結着樹脂と下記（）式及び
   （）式で表わされるフタロシアニン系顔料を式
   （）：式（）＝６：４〜９：１の配合比にて含
   有するシアントナーと、フツ化ビニリデン系樹脂
   を主成分とする被覆層を有するキヤリアー粒子と
   からなることを特徴とする正帯電性シアン現像
   剤。 【式】 【化】