JPH0574244U - 苗 鉢 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 苗を畑や庭に移植するのに植え替える必要が
なくしかもゴミとして残ることのない苗鉢を提供する。 【構成】 生分解性樹脂をカップ形状に成形するととも
に底部に水抜き孔２を設けたものを苗鉢１とする。この
苗鉢１は中の苗と一緒に鉢ごと埋められ、土壌中の微生
物により徐々に分解されて、最終的には完全に生分解さ
れてゴミとして残ることがない。水溶性樹脂層の両側に
生分解性樹脂層を積層してなる積層体で苗鉢を形成して
もよく、このようにすれば、水溶性樹脂層が溶けて生分
解性樹脂層の表面積が増加するので生分解が促進され
る。また、多数の微細孔を設けるか或いは側面をコルゲ
ート状に成形して、生分解性樹脂の表面積を増やすよう
にしてもよい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、発芽して或る程度育った野菜や草花などを移植するのに使用される 苗鉢に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、野菜や園芸用草花などの植物にあっては、発芽から或る程度育った苗の 状態で販売されるものがある。すなわち、容器内で一括して発芽させたものを移 植用の苗鉢に移し替えた状態或いは苗鉢内で発芽させた状態で販売されるもので 、購入者は苗鉢から苗を取り出し畑や庭などに移植して本格的に成育させるよう になっている。そして、この種の苗鉢として、従来はポリエチレン、ポリ塩化ビ ニル、ポリエステル等の樹脂からなるものが一般に広く使用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の如き樹脂からなる苗鉢では、上述のように鉢から苗を取 り出して植え替えるようになっているので、苗鉢から取り出す際に根を傷めたり 、さらには植え替えにより環境が急激に変化することから、苗が成育不良を起こ し場合によっては枯死させてしまうといった問題点があった。また、鉢から取り 出して植え替えること自体が手間でもあり、残った鉢はゴミとして処分する必要 があった。

【０００４】 本考案は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とする ことろは、植え替える必要がなくしかもゴミとして残ることのない苗鉢を提供す ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の苗鉢は、生分解性樹脂をカップ形状に成 形するとともに底部に水抜き孔を形成してなることを特徴としている。

【０００６】 また、同様の目的を達成するために、水溶性樹脂層の両側に生分解性樹脂層を 積層してなる積層体をカップ形状に成形するとともに底部に水抜き孔を形成した ものであってもよい。

【０００７】 そして、生分解性樹脂の表面積を増やすため、上記各構成の苗鉢において、多 数の微細孔を設けたりさらには側面をコルゲート状に成形したりしてもよい。

【０００８】

【作用】

上述した本考案の苗鉢は、鉢ごと畑や庭に埋められる。そして、生分解性樹脂 が土壌中の微生物により徐々に分解され、最終的には完全に生分解されてしまう のでゴミとして残ることがない。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面を用いて詳細に説明する。

【００１０】 図１は本考案の一実施例としての苗鉢の断面図である。苗鉢１は全体が生分解 性樹脂からなるもので、図１に示すように、底部に水抜き孔２を備えたカップ形 状をしている。この苗鉢１は生分解性樹脂を使用してブロー成形法或いは射出成 形法により図の形状に成形されたものである。

【００１１】 ここで、上記の生分解性樹脂としては、例えば、微生物により重合されるポリ エステルが挙げられ、このようなポリエステルとしては、３−ヒドロキシブチレ ートと３−ヒドロキシバリレートとのランダム共重合ポリエステル（例えば、英 国Ｉ．Ｃ．Ｉ．社により生産されている水素細菌にプロピオン酸を供給して得ら れるもの、商品名：バイオポール）や、水素細菌に吉草酸を供給して得られる３ −ヒドロキシブチレート主体のポリエステル等が挙げられる。

【００１２】 さらに、生分解性樹脂としては、ポリエチレンと、ポリカプロラクトン、デン プン及び前記のポリエステルとの混合物が挙げられる。

【００１３】 そして、上記のポリエチレンとしては、密度０．９〜０．９５ｇ／ｃｍ² 、溶 融指数（ＭＩ）０．４〜４０のエチレン単独重合体、若しくはプロピレン、ヘキ セン、オクテン、４−メチルペンテン−１等の他のオレフィンとのランダム或い はブロック共重合体、さらには酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリ ル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸等のエチ レン性不飽和基を有する単量体との共重合体、ポリプロピレン、プロピレンとエ チレン、ブテンとの共重合体等が挙げられる。

【００１４】 また、上記のポリカプロラクトンは、ε−カプロラクトンの開環重合により得 られ、その重量平均分子量（Ｍｗ）は通常、４，０００〜１００，０００程度で ある。また、上記のデンプンは、Ｄ−グルコースの重合体であり、ジャガイモ、 サツマイモ、トウモロコシ、小麦等の茎や根から工業的に製造されるものであり 、その重量平均分子量（Ｍｗ）は原料、製法により数万から数千万まで大きく変 化する。このようなデンプンの平均粒径は１０μｍ以下が好ましい。

【００１５】 ポリエチレンと、ポリカプロラクトン、デンプン及び微生物により重合される ポリエステルとの混合物からなる生分解性樹脂におけるポリカプロラクトン、デ ンプン及び微生物により重合されるポリエステルの混合割合は、ポリエチレンと 上記各混合成分の合計量に対してそれぞれ５〜８０重量％が好ましい。上記各成 分の混合割合が５重量％未満では微生物分解性が不十分であり、また８０重量％ を越えると強度的に弱くなってしまう。

【００１６】 なお、ポリカプロラクトン、デンプン及び微生物により重合されるポリエステ ルの各成分は２種以上を用いてもよいが、その場合、混合量は合計で５〜８０重 量％の範囲になればよい。

【００１７】 図２は本考案の他の実施例としての苗鉢の断面図である。本実施例の苗鉢３は 、水溶性樹脂層４の両側に生分解性樹脂層５，６を積層してなる積層体で構成さ れており、底部に水抜き孔７を備えたカップ形状をしている。この苗鉢３は、水 溶性樹脂として部分ケン化ポリビニルアルコールを使用し、生分解性樹脂として 前記のバイオポールを用いて、共押出しにより積層体を形成するか、或いは単体 で押し出してそれぞれ製膜したものをラミネートすることで積層体を形成し、こ れを真空成形法により図の形状に成形加工して形成されている。

【００１８】 なお、水溶性樹脂としては、上記したものの他に、共重合などによる変成ポリ ビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース等を使用すること ができる。

【００１９】 上記の苗鉢１，３は、発芽した苗を根付近の土壌とともに入れた状態で販売さ れ、購入者により鉢ごと畑や庭に植えられる。このようにして鉢ごと植えられる と、苗鉢１，３は土壌中の微生物により生分解性樹脂が徐々に分解され、数週間 から数カ月で完全に生分解されてしまう。特に、後者のタイプの苗鉢３は、中間 層の水溶性樹脂層４が雨水や灌水などで溶解し、生分解性樹脂層５，６の表面積 が増えて生分解が促進されるので、前者の苗鉢１に比べて早く消滅する。

【００２０】 そして、上記の苗鉢１，３において、側壁や底部に多数の微細孔を設けた形態 としてもよい。これには、例えば針を突き刺して０．５〜０．２ｍｍ程度の孔を 多数形成すればよい。さらには、側面をコルゲート状に成形した形態としてもよ い。このような形態にすることで、生分解性樹脂の表面積が増加し分解の速度を 早めることができる。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の苗鉢は、鉢自体が生分解性樹脂で構成されてい るので、土壌中にそのまま埋めても微生物により完全に分解されてゴミとして残 らないことから、苗を植え替える必要がないという効果を奏する。したがって、 移し替えの手間がかからず、しかも苗の根を傷めることもない。

【００２２】 また、本考案の苗鉢は、徐々に分解していくため、苗にとって急激な環境変化 が避けられ、成育不良を起こすのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例としての苗鉢の断面図であ
る。

【図２】本考案の他の実施例としての苗鉢の断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 苗鉢 ２ 水抜き孔 ３ 苗鉢 ４ 水溶性樹脂層 ５，６ 生分解性樹脂層 ７ 水抜き孔

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 生分解性樹脂をカップ形状に成形すると
   ともに底部に水抜き孔を形成してなることを特徴とする
   苗鉢。
2. 【請求項２】 水溶性樹脂層の両側に生分解性樹脂層を
   積層してなる積層体をカップ形状に成形するとともに底
   部に水抜き孔を形成してなることを特徴とする苗鉢。
3. 【請求項３】 多数の微細孔を設けたことを特徴とする
   請求項１又は２記載の苗鉢。
4. 【請求項４】 側面をコルゲート状に成形したことを特
   徴とする請求項１，２又は３記載の苗鉢。