JPH0573977A - 光磁気記録媒体および光磁気再生方法 - Google Patents

光磁気記録媒体および光磁気再生方法

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JPH0573977A
JPH0573977A JP23618491A JP23618491A JPH0573977A JP H0573977 A JPH0573977 A JP H0573977A JP 23618491 A JP23618491 A JP 23618491A JP 23618491 A JP23618491 A JP 23618491A JP H0573977 A JPH0573977 A JP H0573977A
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JP
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magnetic
magneto
medium
layer
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JP23618491A
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English (en)
Inventor
Shunpei Kimura
俊平 木村
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 情報が再生される領域を制限することによっ
て、記録ピットの読み出しの解像度を向上させ、非常に
高密度に記録された情報を再生することを可能にする。 【構成】 比較的低い保磁力を有する第1の磁性層と、
第1の磁性層より高い保磁力を有し、第1の磁性層と交
換結合された第2の磁性層とから成る光磁気記録媒体に
おいて、第1の磁性層と第2の磁性層との間に、第1の
磁性層のキュリー温度および第2の磁性層のキュリー温
度より低いキュリー温度を有する第3の磁性層を設け
る。そして、情報の再生時に、光ビームが照射された領
域の一部のマスク領域において第3の磁性層の磁化を消
滅させて第1の磁性層の磁化を一方向に配向させ、マス
ク領域の情報が光ビームによって検出されないようにす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、他の部分と異なる磁化
方向を有する磁区の配列として情報が記録され、光ビー
ムの照射によって磁気光学効果を用いて記録された情報
を再生することのできる光磁気記録媒体およびこの媒体
から情報を再生する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高密度・大容量のメモリとしてレ
ーザ光を用いた光メモリ素子の研究開発が盛んに行われ
ている。なかでも、光磁気記録媒体は、書き換えが可能
なメモリとして大いに注目されている。
【0003】上記の光磁気記録媒体には、レーザ光の照
射によって記録層である磁性層を局部的に加熱すること
によって、記録ピットすなわち他の部分と異なる磁化方
向を有する磁区の配列として情報が記録される。また、
このように記録された情報は、スポット状に集光したレ
ーザ光で磁性層の記録ピット列を走査し、このレーザ光
の反射光を検光子を通して検出することによって、磁気
光学効果を用いて再生することができる。
【0004】光磁気記録媒体において、記録密度を上げ
るには、ピット長の短縮化即ち磁区の微小化を図ること
になる。しかしながら、前記ピットを再生する光スポッ
ト径が、レーザ光の波長、レンズの開口数などによって
制約を受けるため、記録密度の向上にも限界がある。例
えば、現状では長さ0.2μmの情報ピットを、スポッ
ト径が1μmのレーザ光で読み出すことは不可能であ
る。
【0005】一方、上記の問題点を解決し、スポット径
より小さな記録ピットの再生を可能とする方法が、オプ
トニューズ(OPTONEWS)No.3,1991,
18〜19頁などに記載されている。この光磁気再生方
法を以下に説明する。
【0006】図8は、上記の光磁気再生方法に用いられ
る光磁気記録媒体の略断面図である。図8の媒体は、ガ
ラスあるいはプラスチック等から成る透明基板31上
に、下引き層32、比較的低い保磁力を有する第1の磁
性層33、第1の磁性層33より高い保磁力を有し、第
1の磁性層と交換結合された第2の磁性層34、保護層
35、紫外線(UV)コート36を順に形成して成る。
【0007】図9は、図8の媒体に情報を記録し、また
媒体に記録された情報を再生する装置の概略構成図であ
る。図9において、符号11は図8のような構成の円盤
状の光磁気記録媒体(光磁気ディスク)、符号12はデ
ィスク11を回転させるスピンドルモータ、符号13は
モータ12の回転軸にディスク11を固定するクラン
パ、符号14はディスク11に光ビーム15を照射する
光ヘッドを示す。
【0008】光ヘッド14は、半導体レーザ等から成る
レーザ光源16、コリメータレンズ17、ビームスプリ
ッタ18、対物レンズ19、センサーレンズ20、検光
子26および光検出器21を内蔵し、不図示の機構によ
ってディスク11の半径方向に移動する。また、対物レ
ンズ19は、光検出器で周知の方法で検出される制御信
号に従って光軸方向および光軸と垂直な方向に移動し、
所謂、オートフォーカシング(AF)及びオートトラッ
キング(AT)を行う。レーザ光源16は、レーザ駆動
回路22によって駆動され、情報の記録時には入力端子
23より入力される記録信号に応じて強度変調された光
ビームを出射する。また、情報の再生時には、レーザ駆
動回路22はレーザ光源16から、記録時よりも強度の
低い連続発光の光ビームをディスク11に照射させる。
【0009】ディスク11を挟んで光ヘッド14と対向
する位置には、第1の磁界発生手段24が設けられてい
る。第1の磁界発生手段24は、記録時にはバイアス磁
界を、再生時には再生磁界を、ディスク11の光ビーム
が照射される部分に印加する。また、ディスク11の回
転方向に180°ずれた位置には、ディスク11に再生
磁界とは反対方向の初期化磁界を印加する第2の磁界発
生手段25が設けられている。これら第1および第2の
磁界発生手段としては、電磁石あるいは永久磁石が用い
られる。
【0010】図9の装置で図8の媒体に情報を記録する
には、良く知られた方法を用いることができる。即ち、
基板31を通して第1及び第2の磁性層33,34に、
記録信号に応じて変調された光ビームを照射する。光ビ
ームが照射された部分は、これらの磁性層のキュリー温
度以上に加熱され、磁化が消滅する。光ビームが通過し
て、磁性層が冷却されると、バイアス磁界の影響でこの
部分がある方向に磁化され、他の部分とは磁化方向の異
なる磁区(記録ピット)が形成される。
【0011】次に、上記のように記録された情報を図9
の装置を用いて再生する方法を、図10を用いて説明す
る。図10の上部の図は、記録媒体の概略平面図であ
り、T1 、T2 及びT3 は、それぞれ情報が記録された
情報トラックを示す。ここでは、トラックT2 に記録さ
れた情報を再生する例を説明する。図10の中央の図
は、記録媒体のA−A’に沿った略断面図であり、第1
の磁性層33及び第2の磁性層34中の矢印は、磁性層
の磁化方向を示す。図10の下部の図は、光ビームのビ
ームプロファイルを示す図である。図10において、P
は記録ピット、LBは光ビーム、BSはこの光ビームの
ビームスポット、矢印Dは媒体の移動方向をそれぞれ示
す。
【0012】まず媒体には、第2の磁界発生手段25に
よって、初期化磁界Hi が印加される。この初期化磁界
i の強度は、室温における第1の磁性層33の見かけ
上の保磁力(第2磁性層からの交換結合力を考慮した保
磁力)よりも大きく、且つ、室温における第2の磁性層
34の見かけ上の保磁力(第1磁性層からの交換結合力
を考慮した保磁力)よりも小さく設定されている。その
ため、第1の磁性層33の磁化方向は、初期化磁界Hi
の方向に配向され、第1の磁性層33の記録ピットは消
滅する。一方、第2の磁性層34の磁化方向は変化せ
ず、第2の磁性層34中には記録ピットが保持される。
【0013】次に、上記のように第1の磁性層のピット
が消滅した部分が光ヘッド14の位置に達すると、第1
及び第2の磁性層に第1の磁界発生手段24から、初期
化磁界Hi と反対方向の再生磁界Hr が印加される。そ
れと同時に、トラックT2 は光ヘッド14から発した光
ビームLBによって走査される。この光ビームの走査に
よって磁性層は加熱され、光ビームの走査方向の後方に
高温領域HRが発生する。この高温領域HRにおいて
は、第1の磁性層の保磁力エネルギーは磁壁エネルギー
よりも小さくなり、第2の磁性層に保持された記録ピッ
トが第1の磁性層に転写される。したがって、光ビーム
LBの反射光より光検出器21によって読み出される記
録ピットは、ビームスポットBSと高温領域HRとがオ
ーバーラップした検出領域DRにあるものだけとなる。
ここで、ビームスポットBSの検出領域DR以外の部分
からの反射光は、常に一定の偏光状態を有しているの
で、光検出器21で検出される直流成分となり、情報を
表す信号成分には影響を与えない。このことは、記録ピ
ットの読み取りの解像度が向上したことを意味し、例え
ば、従来は不可能であった長さ0.6μmの記録ピット
を読み取ることが可能となった。
【0014】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、上
記の情報再生方法において、検出領域の光ビームのプロ
ファイルBPは、図10の下部に示すように非対称な形
状となる。そのため、再生された信号波形もビームプロ
ファイルBPを反映して歪んだものとなり、信号のエッ
ジ位置やピーク位置を正確に検出する際には不都合を生
じた。
【0015】また、記録情報の高密度化に伴って、記録
ピットの読み取り解像度を更に高めることが要求される
ものと予想される。
【0016】本発明の目的は、上記従来技術を更に改良
し、記録ピットの読み出しの解像度を更に向上させ、且
つ、信号波形を正確に再生することのできる光磁気再生
方法およびこの方法に用いる光磁気記録媒体を提供する
ことにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、比
較的低い保磁力を有する第1の磁性層と、該第1の磁性
層より高い保磁力を有し、第1の磁性層と交換結合され
た第2の磁性層とから成る光磁気記録媒体において、前
記第1の磁性層と第2の磁性層との間に、第1の磁性層
のキュリー温度および第2の磁性層のキュリー温度より
低いキュリー温度を有する第3の磁性層を設けることに
よって達成される。
【0018】また、上記の媒体を用いた本発明の再生方
法は、まず媒体に初期化磁界を印加することによって第
2の磁性層の磁化方向を変化させることなく第1の磁性
層の磁化方向を所定方向に配向させ、次に前記初期化磁
界とは反対方向の再生磁界を印加しながら媒体を磁区の
配列方向に光ビームで走査することによって、光ビーム
の走査方向の後方にできた高温領域において第2の磁性
層の磁区を第1の磁性層に転写し、転写された磁区によ
って偏光状態が変調された光ビームの反射光を検出する
ことによって情報を再生する光磁気再生方法において、
光ビームの走査時に前記高温領域の一部のマスク領域に
おいて第3の磁性層の磁化を消滅させて第1の磁性層の
磁化方向を再生磁界に従って配向させ、前記マスク領域
に記録された情報が光ビームによって検出されないよう
にしたことを特徴とする。
【0019】
【実施例】図1は、本発明の光磁気記録媒体の第1実施
例を示す略断面図である。図中、符号1は、ガラス或は
プラスチックから成る透明基板を示す。この基板1上に
は干渉効果と磁性層の腐食防止効果を兼ね備えた下引き
層2が設けられている。この下引き層2は、例えばSi
34 などの誘電体から形成される。
【0020】下引き層2上には、比較的低い保磁力を有
する第1の磁性層3が形成されている。第1の磁性層3
は、キュリー温度140℃のTbFeCo非晶質合金か
ら形成されている。また、第1の磁性層3の厚さは40
0Åである。第1の磁性層3上には、厚さ100Åの第
3の磁性層4が形成されている。この第3の磁性層4
は、キュリー温度が120℃のTbFe非晶質合金から
成る。第3の磁性層4上には、第1の磁性層3より室温
において高い保磁力を有する第2の磁性層5が設けられ
ている。この第2の磁性層5は、キュリー温度が250
℃のGdFeCo非晶質合金から形成されている。第2
の磁性層5の厚さは400Åである。また、第2の磁性
層5は、第3の磁性層を介して第1の磁性層3と交換結
合されている。
【0021】第2の磁性層5上には、磁性層の腐食を防
止するための保護層6が設けられている。この保護層6
は、例えばSi34 などの誘電体から形成される。保
護層6上には更に、アクリル樹脂等から成る紫外線(U
V)コート層7が設けられている。
【0022】上記本発明の媒体において、第1の磁性層
3の保磁力HC1と、第3の磁性層4の保磁力HC3とは、
C1<HC3の関係を満足している。第1、第2及び第3
の磁性層としては、上述した合金の他にも、GdCo,
GdFe,DyFe,GdTbFe,TbDyFe,G
dTbCo,GdTbFeCo,GdDyFeCo,T
bDyFeCoなど種々の合金を用いることができる。
ただし、第1の磁性層3としては、保磁力が0.1〜1
KOeの磁性材料が用いられるのが好ましい。また、第
2の磁性層5としては、保磁力が2〜10KOeの磁性
材料が用いられるのが好ましい。第1及び第2の磁性層
の膜厚は、それぞれ100〜500Åとされるのが望ま
しい。また、第3の磁性層の膜厚は10〜200Å、キ
ュリー温度は100〜120℃とされるのが好ましい。
【0023】上記媒体は、室温TR と第3の磁性層のキ
ュリー温度TC3との間に、第1の磁性層の保磁力エネル
ギーEC1と後ほど説明する再生磁界によるエネルギーE
r との和が、第3の磁性層を介して第1及び第2の磁性
層間に働く磁壁エネルギーσ12と等しくなる閾値温度T
thを有している。Tthよりも低い温度ではEC1とEr
の和がσ12よりも大きく、Tthよりも高い温度ではσ12
がEC1とEr との和よりも大きくなる。ここで、E
C1は、第1の磁性層の保磁力をHC1、第1の磁性層の膜
厚をh1 、第1の磁性層の飽和磁化をMS1とすると、E
C1=2MS1C11と表される。また、再生磁界によっ
て第1磁性層に働くエネルギーEr は、再生磁界の大き
さをHr とすると、Er =2MS1r1 と表される。
【0024】図1の媒体への情報の記録及び再生には、
図9で説明した装置を用いることができる。情報の記録
は、例えば良く知られた方法が用いられる。即ち、基板
1を通して第1、第2及び第3の磁性層3,4,5に、
記録信号に応じて変調された光ビームを照射する。光ビ
ームが照射された部分は、これらの磁性層のキュリー温
度以上に加熱され、磁化が消滅する。光ビームが通過し
て、磁性層が冷却されると、バイアス磁界の影響でこの
部分がある方向に磁化され、他の部分とは磁化方向の異
なる磁区(記録ピット)が形成される。また、本発明の
媒体へ情報を記録するのに、連続発光の光ビームで磁性
層を走査しながら、光ビームの照射位置近傍に記録信号
に応じて極性の反転する変調磁界を印加する、所謂磁界
変調方式を用いることもできる。磁界変調方式を用いた
場合にも、情報は磁性層に磁化方向の異なる記録ピット
の連なりとして記録される。
【0025】次に、上記媒体に記録された情報を再生す
る本発明の光磁気再生方法を、図2を用いて説明する。
図2の上部の図は、記録媒体の概略平面図であり、T
1 、T2 及びT3 は、それぞれ情報が記録された情報ト
ラックを示す。ここでは、トラックT2 に記録された情
報を再生する例を説明する。図2の中央の図は、記録媒
体のB−B’に沿った略断面図であり、第1の磁性層
3、第3の磁性層4及び第2の磁性層5中の矢印は、磁
性層の磁化方向を示す。図2の下部の図は、光ビームの
ビームプロファイルを示す図である。図10において、
Pは記録ピット、LBは光ビーム、BSはこの光ビーム
のビームスポット、矢印Dは媒体の移動方向をそれぞれ
示す。
【0026】まず媒体には、第2の磁界発生手段25に
よって、初期化磁界Hi が印加される。この初期化磁界
i の強度は、室温における第1の磁性層3の見かけ上
の保磁力(第2磁性層からの交換結合力を考慮した保磁
力)よりも大きく、且つ、室温における第2の磁性層5
の見かけ上の保磁力(第1磁性層からの交換結合力を考
慮した保磁力)よりも小さく設定されている。そのた
め、第1の磁性層3の磁化方向は、初期化磁界Hi の方
向(本実施例では下向きとした)に配向され、第1の磁
性層3の記録ピットは消滅する。一方、第2の磁性層5
の磁化方向は変化せず、第2の磁性層5中には記録ピッ
トが保持される。
【0027】次に、上記のように第1の磁性層のピット
が消滅した部分が光ヘッド14の位置に達すると、第1
及び第2の磁性層に第1の磁界発生手段24から、初期
化磁界Hi と反対方向の再生磁界Hr が印加される。そ
れと同時に、トラックT2 は光ヘッド14から発した光
ビームLBによって走査される。この光ビームの走査に
よって磁性層は加熱され、光ビームの走査方向の後方に
高温領域HRが発生する。光ビームLBの強度は、高温
領域HRにおける各磁性層の温度が前述のTthより高
く、高温領域HR外では各磁性層の温度がTthより低く
なるように設定されている。したがって、再生磁界が印
加された下でも、高温領域HR外の領域では、EC1+E
r >σ12の関係を満足し、第1の磁性層3の磁化方向は
初期化磁界Hi の方向と同一のままである。
【0028】これに対し、高温領域HRの内、後述のマ
スク領域MRを除いた領域の各磁性層の温度Tは、Tth
<T<TC3となり、EC1+Er <σ12の関係を満足す
る。すなわち、第1の磁性層3が第2の磁性層5より加
えられる磁壁エネルギーが、第1の磁性層の保磁力エネ
ルギー及び再生磁界によるエネルギーを上まわり、第2
の磁性層5に保持された記録ピットが第1の磁性層に転
写される。
【0029】一方、高温領域HRの中央部は、更に温度
の高いマスク領域MRとなっている。このマスク領域M
Rの各磁性層の温度T’を、T’>TC3とすると、領域
MRの第3の磁性層4の磁化は消滅し、第1の磁性層3
と第2の磁性層5との交換結合が断ち切られる。そして
温度T’において、第1の磁性層の保磁力HC1は、HC1
<Hr の関係を有し、マスク領域MR内の第1の磁性層
3の磁化方向は、再生磁界の方向(本実施例では上向き
とした)と同方向に配向される。このため、第2の磁性
層から転写される上向きの磁化を有するピットは、マス
ク領域全体が上向きに磁化されるため、この中に埋没
し、丁度マスクをかけた状態となる。
【0030】このような手段によって、光ビームLBの
反射光より光検出器21によって読み出される記録ピッ
トは、ビームスポットBSとマスク領域MRを除いた高
温領域HRとがオーバーラップした検出領域DRにある
ものだけとなる。ここで、ビームスポットBSの検出領
域DR以外の部分は、常に下向きに磁化されているの
で、この部分からの反射光は光検出器21で検出される
直流成分となり、情報を表す信号成分には影響を与えな
い。また、ビームスポットBSとマスク領域MRのオー
バーラップした部分は、常に上向きに磁化されているの
で、この部分からの反射光も光検出器21で検出される
直流成分となり、情報を表す信号成分には影響を与えな
い。
【0031】このように本発明によれば、記録ピットの
検出領域DRを非常に微小にできるため、ピット読み出
しの解像度を格段に向上させることができる。例えば、
本発明の方法では、0.3μm以下の長さのピットを読
み出すことが可能である。また、検出領域DRのビーム
プロファイルBPは、図2の下部に示すように、従来に
比べてより対称形に近いものとなる。したがって、本発
明によれば、信号波形を正確に再生することができ、信
号のエッジ位置やピーク位置を検出することも容易にな
る。
【0032】図3は、本発明の光磁気記録媒体の第2実
施例を示す略断面図である。図3において、図1と同一
の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
第2実施例の媒体の基本構成は、第3磁性層と第2磁性
層との間に、第4の磁性層が設けられている点で第1実
施例と異なる。この第4の磁性層は、前述のような再生
時の高温領域において、第1の磁性層の磁化が第2の磁
性層の磁化に対して、安定な向きに配向する、すなわち
第2の磁性層の記録ピットが第1の磁性層に転写される
のを助ける働きをする。
【0033】図3において、下引き層2上には、キュリ
ー温度140℃で、厚さが200Åの第1の磁性層43
が形成されている。第1の磁性層43上には、厚さ10
0Åの第3の磁性層44が形成されている。この第3の
磁性層44は、キュリー温度が120℃のTbFe非晶
質合金から成る。第3の磁性層44上には、GdFeC
o非晶質合金から成る厚さ100Åの第4の磁性層8が
形成されている。更に、第4の磁性層8上には、第1の
磁性層43より室温において高い保磁力を有する第2の
磁性層45が設けられている。この第2の磁性層45
は、キュリー温度が250℃のTbFeCo非晶質合金
から形成されている。第2の磁性層5の厚さは200Å
である。また、第2の磁性層45は、第3及び第4の磁
性層を介して第1の磁性層43と交換結合されている。
第2の磁性層45上には、第1実施例と同様に保護層6
およびUVコート層7が設けられている。
【0034】本実施例において、第1、第2及び第4の
磁性層の保磁力をそれぞれHC1、HC2及びHC4とする
と、HC1≒HC4<HC2の関係を有している。第1〜第4
の磁性層としては、上記の例に限らず、第1実施例で説
明したような種々の磁性材料を用いることができる。こ
こで、第4の磁性層のキュリー温度は、140℃以上と
されるのが望ましい。また、第4の磁性層の厚さは、1
0〜200Åに形成されるのが望ましい。
【0035】本実施例においては、第4の磁性層を設け
ることによって、第1磁性層と第2の磁性層との間に第
3の磁性層を介して働く磁壁エネルギーを大きくするこ
とができる。そして、これによって、上記のように第1
及び第2の磁性層の膜厚を第1の実施例より薄くして、
記録感度を高めることが可能となった。また、再生の際
に、閾値温度Tthを制御するのが容易になった。
【0036】図4は、図3の媒体を用いた本発明の光磁
気再生方法を説明する図である。図4の上部、中央およ
び下部の図はそれぞれ記録媒体の概略平面図、記録媒体
のB−B’に沿った略断面図および光ビームのビームプ
ロファイルを示す。図4において図2と同一の部材には
同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0037】図4に示す再生方法のプロセスは、図2で
説明した方法と全く同一なので、詳細な説明は省略する
が、図4の方法では、第4の磁性層8が高温領域HRに
おいて、第2の磁性層45の記録ピットが第1の磁性層
43に転写されるのを助けている。このため、図4の実
施例では図2の実施例に比べて、高温領域HRの大きさ
および温度を所望のものとするように、光ビームLBの
強度などを制御するのが容易となった。
【0038】図5は、本発明の光磁気記録媒体の第3実
施例を示す略断面図である。図5において、図1と同一
の部材には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5の媒体は、保護層6とUVコート層7との間に熱拡
散層9を設けた点でのみ図1の媒体と異なる。
【0039】図5において、熱拡散層9は、各磁性層3
〜5の熱伝導率より高い熱伝導率を有する材料で形成さ
れる。磁性層の熱伝導率は通常、2.0×10-2〜2.
0×10-1cal/cm・℃・sec 程度であるので、熱拡散層
9は、2.0×10-1〜6.0×10-1cal/cm・℃・se
c の熱伝導率を有する材料から形成されるのが好まし
い。このような熱拡散層9の材料としては、銅(C
u)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)などの金属材
料、CuS、AlNなどの化合物材料などが挙げられ
る。
【0040】上記第3実施例の光磁気記録媒体は、図2
で説明した記録方法において、検出領域DRのビームプ
ロファイルをより対称形に近いものとする効果を有す
る。図6は、第3実施例の媒体のこのような効果を説明
するための概略図である。図6において、符号27はビ
ームスポット、符号28は検出領域、符号29は記録ピ
ット、符号30はビームプロファイルをそれぞれ示す。
このように、第3実施例の媒体を用いた場合、検出領域
28のビームプロファイル30がほぼ対称な形状となる
ため、第1実施例に比べ信号波形を更に正確に再生する
ことができ、信号のエッジ位置やピーク位置を検出する
ことを容易にする効果が得られる。
【0041】上記の熱拡散層は、図3の構成の媒体と組
み合わせて用いることもできる。このような本発明の光
磁気記録媒体の第4実施例を図7に示す。図7におい
て、図3と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0042】図7において、熱拡散層9は、図5でも説
明した材料と全く同一の材料を用いて形成することがで
きる。この第4実施例も、第3実施例と同様に、検出領
域のビームプロファイルをほぼ対称な形状とすることが
でき、第2実施例に比べ信号波形を更に正確に再生し、
信号のエッジ位置やピーク位置を検出することを容易に
する効果が得られる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光磁気記
録媒体及び光磁気再生方法は、第1の磁性層と第2の磁
性層との間に、第1の磁性層のキュリー温度および第2
の磁性層のキュリー温度より低いキュリー温度を有する
第3の磁性層を設け、光ビームの照射によって情報が再
生される領域を制限したので、記録ピットの読み出しの
解像度を向上させ、非常に高密度に記録された情報を再
生することを可能にする効果を有する。また、本発明に
おいては、情報が再生される領域のビームプロファイル
が対称形に近くなるため、信号波形を正確に再生するこ
とができ、信号のエッジ位置やピーク位置の検出を容易
にする効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記録媒体の第1実施例を示す略
断面図である。
【図2】図1の媒体を用いた本発明の光磁気再生方法を
説明する概略図である。
【図3】本発明の光磁気記録媒体の第2実施例を示す略
断面図である。
【図4】図3の媒体を用いた本発明の光磁気再生方法を
説明する概略図である。
【図5】本発明の光磁気記録媒体の第3実施例を示す略
断面図である。
【図6】図5の媒体を用いた場合の検出領域のビームプ
ロファイルを示す概略図である。
【図7】本発明の光磁気記録媒体の第4実施例を示す略
断面図である。
【図8】従来の光磁気記録媒体の構成例を示す略断面図
である。
【図9】従来の方法および本発明の方法に用いる光磁気
記録再生装置の一例を示す概略図である。
【図10】図9の媒体を用いた従来の光磁気再生方法を
説明する概略図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 下引き層 3 第1の磁性層 4 第3の磁性層 5 第2の磁性層 6 保護層 7 UVコート層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比較的低い保磁力を有する第1の磁性層
    と、該第1の磁性層より高い保磁力を有し、第1の磁性
    層と交換結合された第2の磁性層とから成る光磁気記録
    媒体において、前記第1の磁性層と第2の磁性層との間
    に、第1の磁性層のキュリー温度および第2の磁性層の
    キュリー温度より低いキュリー温度を有する第3の磁性
    層を設けたことを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記第1の磁性層と第2の磁性層との間
    に更に、所定の温度以上の温度において、第1の磁性層
    の磁化が第2の磁性層の磁化方向に対して安定な向きに
    配向するのを助ける第4の磁性層を設けたことを特徴と
    する請求項1の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記第1、第2および第3の磁性層より
    も大きな熱伝導率を有する熱拡散層を設けたことを特徴
    とする請求項1の光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 比較的低い保磁力を有する第1の磁性層
    と、該第1の磁性層より高い保磁力を有し、第1の磁性
    層と交換結合された第2の磁性層とから成り、これらの
    磁性層に他の部分とは異なる磁化方向を有する磁区の配
    列として情報が記録された光磁気記録媒体を用いて、ま
    ず媒体に初期化磁界を印加することによって第2の磁性
    層の磁化方向を変化させることなく第1の磁性層の磁化
    方向を所定方向に配向させ、次に前記初期化磁界とは反
    対方向の再生磁界を印加しながら媒体を磁区の配列方向
    に光ビームで走査することによって、光ビームの走査方
    向の後方にできた高温領域において第2の磁性層の磁区
    を第1の磁性層に転写し、転写された磁区によって偏光
    状態が変調された光ビームの反射光を検出することによ
    って情報を再生する光磁気再生方法において、前記媒体
    として第1の磁性層と第2の磁性層との間に、これらの
    磁性層のキュリー温度より低いキュリー温度をを有する
    第3の磁性層を設けた媒体を用い、光ビームの走査時に
    前記高温領域の一部のマスク領域において第3の磁性層
    の磁化を消滅させて第1の磁性層の磁化方向を再生磁界
    に従って配向させ、前記マスク領域に記録された情報が
    光ビームによって検出されないようにしたことを特徴と
    する光磁気再生方法。
  5. 【請求項5】 前記媒体として、第1の磁性層と第2の
    磁性層との間に更に、光ビーム走査時の高温領域の温度
    において第1の磁性層の磁化が第2の磁性層の磁化方向
    に対して安定な向きに配向するのを助ける第4の磁性層
    を設けた媒体を用いたことを特徴とする請求項4の光磁
    気再生方法。
  6. 【請求項6】 前記媒体として更に、第1、第2および
    第3の磁性層よりも大きな熱伝導率を有する熱拡散層を
    設けた媒体を用いることによって、前記マスク領域を除
    く高温領域と重なり合う光ビームの強度分布が、光ビー
    ムの走査方法に対称な形状となるようにしたことを特徴
    とする請求項4の光磁気再生方法。
  7. 【請求項7】 前記マスク領域における磁性層の温度を
    E2、マスク領域を除く高温領域における磁性層の温度
    をTE1、室温をTR、第3の磁性層のキュリー温度をT
    C3、第1の磁性層の保磁力をHC1、第1の磁性層の膜厚
    をh1 、第1の磁性層の飽和磁化をMS1、第1の磁性層
    の保磁力エネルギーをEC1(EC1=2MS1C11 )、
    第3の磁性層を介して第1及び第2の磁性層間に働く層
    間磁壁エネルギーをσ12、再生磁界の大きさをHr とし
    たときに、TR <TE1<TC3<TE2なる関係を有し、室
    温TR において条件式EC1+2MS1r1 >σ12を満
    足し、温度TE1において条件式EC1+2MS1r1
    σ12を満足し、温度TE2において条件式HC1<Hr を満
    足することを特徴とする請求項4の光磁気再生方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6096444A (en) * 1995-06-09 2000-08-01 Fujitsu Limited Magneto-optical recording medium capable of double mask readout

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