JPH0571403A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

エンジンの空燃比制御装置

Info

Publication number
JPH0571403A
JPH0571403A JP23060591A JP23060591A JPH0571403A JP H0571403 A JPH0571403 A JP H0571403A JP 23060591 A JP23060591 A JP 23060591A JP 23060591 A JP23060591 A JP 23060591A JP H0571403 A JPH0571403 A JP H0571403A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cylinder
value
combustion
air
fuel ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP23060591A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2715732B2 (ja
Inventor
Hiroshi Sato
博 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP3230605A priority Critical patent/JP2715732B2/ja
Publication of JPH0571403A publication Critical patent/JPH0571403A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2715732B2 publication Critical patent/JP2715732B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 図示平均有効圧力相当値にもとづいて噴射量
を気筒別に補正することにより、運転条件が相違しても
すべての気筒で混合気の空燃比を同じにし、かつ燃焼不
良時になると正規化値に代えて正規化値の平均値を選択
することにより、特に過渡時などにおける燃料補正精度
の悪化を防止する。 【構成】 燃焼圧力センサ検出値とシリンダ容積変化量
との積を積分手段45が所定のクランク角範囲にわたっ
て積分し、この積分値を正規化手段46が爆発行程にお
ける所定クランク角位置での燃焼圧力相当値で割ること
によって正規化する。一方、燃焼状態の判定結果にもと
づき選択手段49が燃焼良好時に正規化値を、燃焼不良
時になると正規化値の平均値を選択する。計算手段50
ではこの選択値と理論空燃比相当値のずれに応じた噴射
弁補正量を計算し、この噴射弁補正量で全気筒に共通の
基本噴射パルス幅Tpを補正手段51が補正する。こう
した補正が気筒別に行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はエンジンの空燃比制御
装置、とくに吸気管に装着される燃料噴射弁の噴射特性
の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】空燃比フィードバック補正は、三元触媒
を有効に機能させるために、フィードバック制御域にお
いて常に空燃比を理論空燃比付近に維持するための補正
である(「自動車工学」・1991年6月号第43頁な
いし第47頁参照)。
【0003】この補正では、排気管に設けたO2センサ
からの信号に対応して燃料の噴射量を増量したり減量し
たりする。刻々と変化するエンジンの運転条件に対し、
一発で理論空燃比の状態に維持することは不可能である
ため、インジェクタからの燃料噴射量の増量と減量の動
作を一定の周期で繰り返す。この繰り返しによって実空
燃比が一定の周期で理論空燃比を横切り、その平均の空
燃比が理論空燃比に落ち着くのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、燃料噴射量
の調整は、燃料噴射弁が開いている時間の長さを変える
ことによって行っている。燃料の供給圧が変化してたと
えば高くなると、同じ開弁時間でもシリンダへの噴射量
が多くなり、シリンダへの供給燃料量のコントロールを
開弁時間だけで行うことができないのであるが、どのよ
うな運転条件になっても、常に噴射圧が吸気マニホール
ド負圧より一定値だけ高くなるようにすることで、開弁
時間だけによって燃料噴射量の制御が可能となるのであ
る。
【0005】しかしながら、燃料噴射量には図8で示し
たように平均値を中心にして上下にそれぞれ数パーセン
トの誤差があるため、同じ指令値を噴射弁に与えて駆動
しても、上限値特性の噴射弁からは燃料が多めに噴か
れ、逆に下限値特性の噴射弁からは燃料が少なめに噴か
れるのであり、シリンダに吸入される混合気の空燃比が
気筒間でバラツク。
【0006】排気管に1つだけ設けた上記のO2センサ
によれば、全気筒平均の空燃比が理論空燃比を基準にし
てリッチかリーンのいずれにあるかがわかるだけである
ので、たとえばリッチ側にずれたことがわかっても、1
番気筒だけで多く噴かれているのか、すべての気筒で多
く噴かれているのかといった、どの気筒の噴射弁から多
く噴かれているのかはまったくわからないのである。
【0007】そこでこの発明は、図示平均有効圧力相当
値にもとづいて噴射量を気筒別に補正することにより、
運転条件が相違してもすべての気筒で混合気の空燃比を
同じにし、かつ燃焼不良時になると正規化値に代えて所
定の燃焼サイクルにわたる正規化値の平均値を選択する
ことにより、特に過渡時や低負荷低回転時などにおける
燃料補正精度の悪化を防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、図1に示す
ように、噴射パルス幅に応じて吸気管に燃料を供給する
噴射弁41を気筒ごとに備える一方で、運転条件に応じ
て全気筒に共通する基本噴射パルス幅Tpを計算する手
段42と、この基本噴射パルス幅Tpを駆動信号に変え
て前記噴射弁41に出力する手段43とを備えるエンジ
ンの空燃比制御装置において、シリンダ内の燃焼圧力を
気筒ごとに検出するセンサ44と、このセンサ検出値と
微小クランク角度当たりのシリンダ容積変化量との積を
少なくとも爆発行程を含む所定のクランク角範囲にわた
って気筒ごとに積分する手段45と、この積分値を爆発
行程における所定クランク角位置での燃焼圧力相当値で
割ることによって気筒ごとに正規化する手段46と、所
定の燃焼サイクルにわたってこの正規化値の平均値を気
筒ごとに計算する手段47と、前記センサ検出値にもと
づいて燃焼状態が良好であるか不良であるかを気筒ごと
に判定する手段48と、この判定結果にもとづき燃焼良
好時には前記正規化値を、燃焼不良時になると前記正規
化値の平均値を気筒ごとにそれぞれ選択する手段49
と、この気筒ごとの選択値と理論空燃比相当値との比較
により選択値が理論空燃比相当値よりも小さいと供給燃
料を増量し、大きいと減量する値を噴射弁補正量として
気筒別に計算する手段50と、この気筒別の噴射弁補正
量で前記基本噴射パルス幅Tpをそれぞれ補正する手段
51と、この補正された気筒別の基本噴射パルス幅を前
記噴射弁41に対応づける手段52とを設けた。
【0009】
【作用】標準特性の噴射弁により形成される混合気の空
燃比をベース空燃比として、かりに1番気筒の噴射弁
が、標準より多く噴射する特性のものだったとすると、
この噴射弁により1番気筒では空燃比がベース空燃比よ
りもリッチ側にずれる。
【0010】このとき、供給燃料を減量する噴射弁補正
量が計算され、この補正量で全気筒に共通な基本噴射パ
ルス幅Tpが減量補正されると、1番気筒では供給燃料
量が少なくされ、これにより1番気筒ではシリンダに流
入する混合気がベース空燃比の混合気と同一にされる。
【0011】この逆に、1番気筒の噴射弁から標準より
少ない燃料しか噴かれないときは、今度は噴射弁補正量
により供給燃料量が多くされ、これによりベース空燃比
の混合気と同一にされる。
【0012】こうした噴射弁補正量による補正が他の噴
射弁についても気筒ごとに行われると、どの気筒でもベ
ース空燃比の混合気がシリンダに供給される。
【0013】一方、燃焼圧力センサ検出値と微小クラン
ク角度当たりのシリンダ容積変化量との積を少なくとも
爆発行程を含む所定のクランク角範囲にわたって積分し
た値は、図示平均有効圧力相当であり、この値は、吸気
温度や冷却水温が低下するなど運転条件の変化に応じて
変化し、この値から計算する噴射弁補正量が同じになら
ない。
【0014】このとき、図示平均圧力相当の上記積分値
が、爆発行程における所定クランク角位置での燃焼圧力
相当値で割られることによって正規化されると、正規化
値は運転条件が変化しても同じ値になる。たとえば、吸
気温度が低下すると積分値が大きくなるが、吸気温度の
低下により爆発行程における所定クランク角位置での燃
焼圧力相当値も同じ割合で大きくなるため、両者の商で
ある正規化値は変わらないのである。
【0015】また、過渡時や低負荷低回転時など、燃焼
状態がきわめて悪くなる運転状態では、図示平均有効圧
力相当の上記積分値が不安定となるため、噴射弁補正量
を正確に推定することができなくなる。
【0016】このとき、燃焼不良が判定手段48によっ
て判定され、選択手段31で上記の正規化値に代えてそ
の平均値が選択されると、平均値は、燃焼が不良となる
前の燃焼良好時のデータであるため、燃焼不良時におい
ても、燃料補正精度が悪くなることがない。
【0017】
【実施例】図2において、1はエンジンの回転数Neを
検出するセンサ、2はエアクリーナから吸入される空気
量Qaを検出するエアフローメータで、これらはマイコ
ンからなるコントロールユニット11に入力されてい
る。
【0018】燃料の噴射は、量が多いときも少ないとき
も、各気筒の吸気ポートに設けた一か所のインジェクタ
8a〜8d(図は4気筒)から供給するので、量の調整
はコントロールユニット11によりその噴射時間で行
う。噴射時間が長くなれば噴射量が多くなり、噴射時間
が短くなれば噴射量が少なくなる。混合気の濃さつまり
空燃比は、一定量の吸入空気に対する燃料噴射量が多く
なればリッチ側にずれ、燃料噴射量が少なくなればリー
ン側にずれる。
【0019】したがって、吸入空気量との比が一定とな
るように燃料の基本噴射量を決定してやれば運転条件が
相違しても同じ空燃比の混合気が得られる。ただし、燃
料の噴射はエンジンの1回転について1回行われるの
で、基本噴射パルス幅計算手段5では1回転で吸い込ん
だ空気量に対して1回転当たりの基本噴射パルス幅Tp
(=K・Qa/Ne、ただしKは定数)を、そのときの吸入
空気量Qaとエンジン回転数Neとから求めるのである。
通常、標準特性の噴射弁を用いてこの基本噴射パルス幅
Tpにより決定される空燃比をベース空燃比といい、ベ
ース空燃比は理論空燃比付近になっている。
【0020】排気管にはエンジンから排出されてくるC
O,HC,NOxといった三つの有害成分を処理する三
元触媒が設けられる。この三元触媒が三成分を同時に処
理できるのは、シリンダに供給している混合気の空燃比
が理論空燃比を中心とする狭い範囲にあるときだけであ
る。この範囲より実空燃比が少しでもリッチ側にずれる
とCO,HCの排出量が増し、逆にリーン側にずれると
NOxが多く排出される。
【0021】ところが、同じ値の基本噴射パルス幅Tp
ですべての噴射弁8a〜8dを駆動しても、これら噴射
弁8a〜8dに図8で示した噴射特性のバラツキがあっ
たり、経時変化によって噴射特性のバラツキがあらたに
生じると、実際にシリンダに供給される燃料量が気筒間
で相違し、多く噴射された気筒では空燃比が理論空燃比
よりもリッチ側に、少なく噴射された気筒では空燃比が
理論空燃比よりもリーン側に傾く。
【0022】こうした噴射弁特性のバラツキの影響を受
けないようにするには、まず各気筒に供給される混合気
の空燃比が実際にリッチ、リーンのいずれの側になって
いるかを知らなければならない。
【0023】さて、所定のクランク角度位置θにおける
筒内圧とシリンダ容積をθの関数としてそれぞれP
(θ),V(θ)としたとき、次の式
【数1】 で与えるβは、図示平均有効圧力(積分範囲はクランク
角度で720度)に比例するが、ここでは図4で示した
ように、θ1を圧縮上死点前180度、θ4を圧縮上死点
後180度とすることによって燃焼に起因する有効圧力
だけを用いることとし、ポンピング損失は考えない。な
お、θ1,θ4を上記以外の値にすると、後述する(2)
式のβがオフセット量をもつなど誤差が生じることを確
認している。
【0024】ここで、筒内圧センサ検出値を微小なクラ
ンク角度間隔δθごとにサンプリングすると、i番めの
測定点に当たるクランク角度位置での筒内圧Piと同じ
クランク角度位置でのδθ当たりのシリンダ容積変化量
(dV/dθ)iは Pi=P(θ1+i・δθ) (dV/dθ)i=(Vi+1−Vi)/δθ と近似できるので、台形積分法を用いれば
【数2】 によりβを計算することができる。もちろんこのβは図
示平均有効圧力相当である。
【0025】ただし、(2)式においてVi+1,Viは Vi+1=V(θ1+(i+1)・δθ), Vi=V
(θ1+i・δθ) である。また、nはサンプル総数でn=(θ4−θ1)/
δθである。
【0026】一方、シリンダ容積Vそのものはエンジン
の設計寸法から
【数3】 で計算することができる。
【0027】ただし、(3)式においてVSTは行程容
積、CRは圧縮比、Bはコンロッド長/ストローク長の
2倍である。
【0028】(2)式の図示平均有効圧力相当値βは空
燃比と相関関係を有する。たとえば、空燃比を理論空燃
比よりリッチ側にすると燃焼圧力が高くなるためβが大
きくなり、この逆に空燃比をリーン側にするとβが小さ
くなる。したがって、βを用いて各気筒の空燃比がリッ
チ、リーンのいずれにあるかを判断し、その結果に応じ
て気筒別に供給燃料量を補正することにより、各気筒の
空燃比を同じ値にすることができる。こうした提案は数
多くされている。
【0029】しかしながら、このβは空燃比だけでなく
吸気温度や冷却水温あるいは回転数や負荷といったエン
ジンの運転条件によってその値が変わるため、βそのも
のから補正量を求めたのでは、補正量が大きくなったり
小さくなったりして安定しないのである。
【0030】この点を解決するため、次式 α=β/γ…(4) のようにβを圧力ゲインγによって割った値を考える。
【0031】γは図4に示した爆発行程におけるθ2
らθ3までのクランク角度範囲における微小間隔δθご
との筒内圧サンプル値とシリンダ容積を用いて以下のよ
うにして求めるものである。なお、発明者の実験によれ
ば、θ2が上死点後60度、θ3が上死点後100度程度
が望ましいことを確認している。
【0032】爆発行程にあるθ2からθ3のあいだではシ
リンダ内の燃焼ガスがポリトロープの関係、すなわち P・VC=一定値 を保ちつつ膨張すると仮定することができ(C≒1.
3)、各測定点での筒内圧サンプル値Pjとシリンダ容
積Vjから Cj=Pj・Vj 1・3 によってCjをそれぞれ計算し、その平均値を
【数4】 によって求める。
【0033】ただし、(5)式のkはθ2からθ3までの
サンプル数でk=(θ3−θ2)/δθである。
【0034】(5)式の平均値を用いて所定のクランク
角度位置、たとえばθ2における圧力ゲインγを
【数5】 によって定義すると、γは燃焼圧力に相当する。
【0035】しかも、燃焼圧力Pには、 PV=mRT の関係があることが知られているため、γも燃焼ガス量
と燃焼温度の積に比例する。ただし、mはガス量、Rは
ガス定数、Tはガス温度である。
【0036】このようにして求めたγとβからαを
(4)式により計算し、所定の運転条件において、空燃
比とαの関係を発明者の実験により確認したところ、図
5に示す関係があり、しかもこの理論空燃比を中心にし
て線形となる関係は、エンジンが同一である限り運転条
件を相違させても変わらないことがわかった。これは、
燃焼ガス量当たりの発生エネルギが空燃比によって所定
の値になることによって説明され、それが運転条件に依
存せずエンジンの構成が同一であれば同じ値を示すこと
によるものである。つまり、図示平均有効圧力相当値β
が圧力ゲインγにより運転条件に関して正規化されたわ
けである。
【0037】この関係を用いて気筒ごとに空燃比を理論
空燃比(14.6)の近くに制御するには、各気筒で燃
焼ごとにαを計算し、これが理論空燃比相当値α0より
も大きいと、燃料噴射量の前回補正量を一定値だけ減ら
し、この逆にα0より小さければ前回補正量を一定値だ
け増やすように補正してやればよい。
【0038】こうした燃料補正を行うため、図2で示し
たように、クランク角度センサ3とシリンダ内の燃焼圧
力(筒内圧)を検出するセンサ(たとえば点火プラグの
座金状に形成される)4a〜4dからの検出値にもとづ
いて噴射弁補正量計算手段6が気筒別に噴射弁補正量Δ
Ta〜ΔTdを計算し、これらを噴射量補正手段7a〜
7dが上記基本噴射パルス幅Tpに気筒別に加算してい
る。なお、図には4気筒の例を示すが、これに限られる
ものではない。
【0039】また、噴射弁補正量計算手段6では、各気
筒に対して同じように動作するので、ここでは1番気筒
で代表させて述べると、1番気筒に対して図3に示した
回路が組まれている。なお、各回路の機能は実際にはソ
フトウエアで果たされている。
【0040】図3において、サンプリング手段21で
は、θ1からθ4までのあいだδθごとに1番気筒の筒内
圧センサ検出値がサンプリングされ、P0からPnまでの
合計n+1個のデータがメモリに格納される。δθ当た
りのシリンダ容積変化量についても、シリンダ容積変化
量計算手段23からの信号を受けて、(dV/dθ)0
から(dV/dθ)nまでの合計n+1個の値がメモリ
に記憶される。
【0041】これら2つのデータサンプリングが終了し
た時点、つまりθ4を過ぎた時点で、掛算器24、積算
手段25により(2)式によって図示平均有効圧力相当
値βが計算される。
【0042】一方、シリンダ容積計算手段22によりθ
2からθ3までのあいだδθごとに計算されたシリンダ容
積V0からVkまでの合計k+1個のデータもメモリに記
憶されており、平均値計算手段26ではこのシリンダ容
積データとメモリ内のθ2からθ3までの筒内圧データと
を用いて、(5)式により平均値が求められる。さら
に、除算器27で(6)式により圧力ゲインγが、除算
器28で上記のβをγで割ることによって正規化値αが
求められる。
【0043】こうして求められた正規化値αは、比較器
32で理論空燃比相当値α0と比較され、α>α0であれ
ば空燃比がリッチ側にあると判断され、補正量計算手段
33でメモリに格納している補正量ΔTaが一定値ΔT
だけ減じられる。この逆にα<α0であれば空燃比がリ
ーン側にあるとして補正量ΔTaが一定値ΔTだけ増さ
れる。このΔTだけ増減した値はふたたびメモリに格納
しておく。つまり、ここでの補正量ΔTaは学習値とし
て構成され、ΔTaは正負のいずれの値もとることにな
る。
【0044】残りの気筒についても、気筒ごとに求めた
図示平均有効圧力相当値が上記のようにして正規化さ
れ、その正規化値から残りの気筒の噴射弁補正量ΔTb
〜ΔTdが求められる。
【0045】ここで、この例の作用を説明すると、1番
気筒の噴射弁8aが図8において、かりに上限値の特性
をもつ噴射弁だったとすると、この噴射弁によれば多く
の燃料が噴射されるため、1番気筒では空燃比がベース
空燃比よりもリッチ側にずれる。
【0046】このとき、正規化値αはα0より小さくな
り、補正量TaがΔTだけ減量されると、供給燃料量が
少なくされる。これにより1番気筒ではシリンダに流入
する混合気がベース空燃比の混合気と同一にされる。
【0047】この逆に、1番気筒の噴射弁6aが図8で
下限値特性の噴射弁であったとしても、今度はαa>α
0より供給燃料量が多くされ、これによりベース空燃比
の混合気と同一にされる。
【0048】つまり、噴射弁補正量ΔTa〜ΔTdは理
論空燃比からのずれに応じた値であり、このΔTa〜Δ
TdによってTpを増減することで、どの気筒にも同量
の燃料量を供給するのである。いいかえると、噴射弁に
より噴射量が多いもの、少ないものがあるなど各気筒で
噴射量がバラツクことがあっても、また長期の使用に伴
う噴射弁の目づまりなどによってその後に気筒間で噴射
量のバラツキが生じたときにも、そうしたことに関係な
く、すべての気筒の空燃比を同じにすることができるの
である。
【0049】ところで、(2)式のβそのものは、運転
条件が変化すると、その値が異なってくるので、βにも
とづいて噴射弁補正量を求めるのでは補正量が不安定と
なって、空燃比制御精度がおちる。たとえば、ある吸気
温度や冷却水温のときβが理論空燃比相当値と一致して
いても、その温度より吸気温度が低いときには、空気の
充填効率がよくなるので、その分βの値が大きくなる。
しかしながらこのβの増加を抑えようと燃料が減量され
る結果、空燃比がリーン側にずれてしまうのである。
【0050】これに対して、この例によれば、上記のよ
うに吸気温度の低下により図示平均有効圧力相当値βが
大きくなると、これに合わせて圧力ゲインγも同じ割合
で大きくなるため、β/γの値(αの値)は変わらな
い。つまり、βは吸気温度や冷却水温に応じて変化する
のであるから、同じように変化する別の圧力相当値γを
分母にもってくることによって、温度の影響を除いたの
である。
【0051】この結果、エンジンの設計寸法、燃焼室形
状が同一であるかぎり、吸気温度や冷却水温が変わろう
と、噴射弁補正量を同じにして、ベース空燃比への制御
精度を高めることができるのである。
【0052】なお、温度の影響を除く意味からは、爆発
行程の筒内圧から求めた圧力ゲインγのかわりに、同様
の計算方法で圧縮行程の圧力を用いてβを正規化するこ
とが考えられる。しかしながら、圧縮行程の圧力は燃焼
前のガス温度に比例するため燃焼温度による変化を正規
化できず、気筒間で空燃比と正規化値の関係が異なるこ
と、また冷却水温、吸気温度などによってその関係が変
わることが発明者の実験によってわかっており、圧力ゲ
インγはあくまで爆発行程の筒内圧から求めなければな
らない。
【0053】また、βから求めた噴射弁補正量により定
常時は理論空燃比付近に制御されていても、過渡時にな
ると空燃比がリッチあるいはリーン側へとずれることが
あるのに対して、正規化値αから求めた噴射弁補正量に
よれば過渡時の理論空燃比への制御精度も高い。
【0054】さらに、O2センサや広域空燃比センサを
用いた空燃比補正では、センサ位置への排気ガス到達遅
れ、センサ自体の応答遅れなどによって特に3000回
転以上の高回転時や過渡時に空燃比が理論空燃比からず
れやすいのであるが、この例では燃焼圧力を直接用いて
αを求めているので、高回転時や過渡時の応答性もよい
のである。
【0055】ところで、過渡時や低負荷低回転時など、
燃焼状態がきわめて悪くなる運転状態では、図示平均有
効圧力相当値βが不安定となって、図5のαが上下に変
動してしまうので、空燃比がリッチ、リーンのいずれの
側にあるのかを正確に推定することができず、気筒別の
燃料補正精度が悪くなる。
【0056】こうした影響を避けるため、この例では、
図3に示したように、所定の燃焼サイクル(たとえば過
去の10燃焼サイクル)にわたって正規化値αの平均値
を計算する手段29を設けておき、燃焼状態が不良にな
ると、選択手段31により正規化値αに代えて、αの平
均値に切換えるのである。
【0057】このとき、比較器32ではαの平均値がα
0より大きいと、ΔTa=ΔTa−ΔTとし、逆に小さ
ければΔTa=ΔTa+ΔTとして補正量を決定する。
【0058】燃焼状態判定手段30による燃焼良好か燃
焼不良かの判定は、図4において筒内圧からポンピング
圧力を差し引き、この差圧ΔPmaxが最大となるクラン
ク角度θΔpmaxと、筒内圧そのものが最大となるクラン
ク角度θpmaxをそれぞれ検出し、両検出値の角度差δ
(=θΔpmax−θpmax)と所定値δ0とを比較すること
によって行う。
【0059】燃焼状態が不良になったときの筒内圧波形
は、図6に示したように筒内圧波形のピーク位置はその
ままでピーク値が小さくなるケースと、図7のように筒
内圧波形がゆがんだかたちになるかのいずれかしかな
く、燃焼不良により燃焼良好時の筒内圧波形がそのまま
右にずれるケースはない。
【0060】これら2つのケースに対応して、差圧ΔP
maxの波形を重ねて示すと、これが図6と図7で下側に
位置する2つの波形である。
【0061】図6からみてみると、燃焼良好時の角度差
δ10(=θΔpmax1−θpmax)と燃焼不良時の角度差δ
20(=θΔpmax2−θpmax)の大小関係は、δ10<δ20
となるので、δ10とδ20のあいだに所定値δ0を設ける
ことによって、δ10<δ0のときは燃焼状態が良好にあ
ると、δ0<δ20のときは燃焼状態が不良であると判断
できる。
【0062】同様にして図7においても、常に燃焼良好
時の角度差δ11(=θΔpmax1−θpmax1)についてδ11
<δ0となり、燃焼不良時の角度差δ21(=θΔpmax2
θpmax2)についてδ0<δ21となることを実験により確
認している。
【0063】このようにして、燃焼状態の良、不良を判
断し、その結果より燃焼良好時は正規化値αをそのまま
用い、燃焼不良時になると所定の燃焼サイクルにわたっ
てαを平均した値を用いることにより、空燃比がリッ
チ、リーンのいずれの側にあるのかを推定するときの信
頼性が増し、特に過渡時や低負荷低回転時など燃焼状態
がきわめて悪い運転状態で燃料補正精度が悪くなること
を防止できるのである。
【0064】また、燃焼不良時に平均値を使うことの意
義は以下のようなものである。
【0065】たとえばエアフローメータの故障により基
本噴射パルス幅の設定がくるって空燃比が10%リーン
になったときを考え、故障後数サイクルはリーンである
状態が続くように筒内圧信号による燃料補正の速度を設
定したとする。このとき燃焼不良によるあいまい情報を
切り捨てて気筒別の燃料補正をしないとするよりも、燃
焼良好時にリーンと判断した過去のデータによる平均値
を用いることによって補正速度を維持することができ
る。つまり、燃焼不良時においても、燃焼良好時のデー
タである平均値を用いて燃料補正を継続するほうが過渡
時の応答性がよく、制御上も好ましいのである。なお、
補正速度を早めるための一般的な方法である制御ゲイン
を高めることは、定常状態で空燃比の微小変化に対する
制御変動が大きくなるので好ましくない。
【0066】
【発明の効果】この発明では、各気筒について、爆発行
程を含んだ燃焼圧力の検出値にもとづいて図示平均有効
圧力相当値を求め、この値を爆発行程における所定クラ
ンク角位置での燃焼圧力相当値で割ることによって正規
化する一方で、燃焼状態を判定し、燃焼良好時はこの正
規化値を、燃焼不良時になると所定の燃焼サイクルにわ
たる正規化値の平均値を選択し、この選択値と理論空燃
比相当値とのずれに応じた噴射弁補正量で全気筒に共通
の基本噴射パルス幅を補正するため、噴射弁特性に気筒
間バラツキがあっても各気筒の空燃比を同一にすること
ができるとともに、吸気温度や冷却水温などの運転条件
が相違しても空燃比補正精度を高めることができ、かつ
特に過渡時や低負荷低回転時などにおける燃料補正精度
の悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のクレーム対応図である。
【図2】一実施例のシステム図である。
【図3】噴射弁補正量計算手段のブロック図である。
【図4】筒内圧センサによる燃焼圧力の波形図である。
【図5】正規化値αと空燃比の相関を示す特性図であ
る。
【図6】筒内圧と差圧ΔPmaxの各波形図である。
【図7】筒内圧と差圧ΔPmaxの各波形図である。
【図8】燃料噴射弁の噴射量特性図である。
【符号の説明】
1 エンジン回転数センサ 2 エアフローメータ 3 クランク角度センサ 4a〜4d 筒内圧センサ(燃焼圧力センサ) 5 基本噴射パルス幅計算手段 6 噴射弁補正量計算手段 7a〜7d 噴射量補正手段 8a〜8d 燃料噴射弁 11 コントロールユニット 21 サンプリング手段 22 シリンダ容積計算手段 23 シリンダ容積変化量計算手段 24 掛算器 25 積算手段 26 平均値計算手段 27 除算器 28 除算器 29 平均値計算手段 30 燃焼状態判定手段 31 選択手段 32 比較器 33 補正量計算手段 41 燃料噴射弁 42 基本噴射パルス幅計算手段 43 駆動信号出力手段 44 燃焼圧力センサ 45 積分手段 46 正規化手段 47 平均値計算手段 48 燃焼状態判定手段 49 選択手段 50 噴射弁補正量計算手段 51 噴射量補正手段 52 気筒別対応づけ手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 噴射パルス幅に応じて吸気管に燃料を供
    給する噴射弁を気筒ごとに備える一方で、運転条件に応
    じて全気筒に共通する基本噴射パルス幅を計算する手段
    と、この基本噴射パルス幅を駆動信号に変えて前記噴射
    弁に出力する手段とを備えるエンジンの空燃比制御装置
    において、シリンダ内の燃焼圧力を気筒ごとに検出する
    センサと、このセンサ検出値と微小クランク角度当たり
    のシリンダ容積変化量との積を少なくとも爆発行程を含
    む所定のクランク角範囲にわたって気筒ごとに積分する
    手段と、この積分値を爆発行程における所定クランク角
    位置での燃焼圧力相当値で割ることによって気筒ごとに
    正規化する手段と、所定の燃焼サイクルにわたってこの
    正規化値の平均値を気筒ごとに計算する手段と、前記セ
    ンサ検出値にもとづいて燃焼状態が良好であるか不良で
    あるかを気筒ごとに判定する手段と、この判定結果にも
    とづき燃焼良好時には前記正規化値を、燃焼不良時にな
    ると前記正規化値の平均値を気筒ごとにそれぞれ選択す
    る手段と、この気筒ごとの選択値と理論空燃比相当値と
    の比較により選択値が理論空燃比相当値よりも小さいと
    供給燃料を増量し、大きいと減量する値を噴射弁補正量
    として気筒別に計算する手段と、この気筒別の噴射弁補
    正量で前記基本噴射パルス幅をそれぞれ補正する手段
    と、この補正された気筒別の基本噴射パルス幅を前記噴
    射弁に対応づける手段とを設けたことを特徴とするエン
    ジンの空燃比制御装置。
JP3230605A 1991-09-10 1991-09-10 エンジンの空燃比制御装置 Expired - Fee Related JP2715732B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3230605A JP2715732B2 (ja) 1991-09-10 1991-09-10 エンジンの空燃比制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3230605A JP2715732B2 (ja) 1991-09-10 1991-09-10 エンジンの空燃比制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0571403A true JPH0571403A (ja) 1993-03-23
JP2715732B2 JP2715732B2 (ja) 1998-02-18

Family

ID=16910375

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3230605A Expired - Fee Related JP2715732B2 (ja) 1991-09-10 1991-09-10 エンジンの空燃比制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2715732B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002079629A1 (fr) * 2001-03-30 2002-10-10 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Procede et dispositif de diagnostic et de controle de la combustion d'un moteur a combustion interne
JP2008138681A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Robert Bosch Gmbh 内燃機関のシリンダごとの燃焼特性の決定方法およびその制御装置
JP2010174745A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Toyota Motor Corp 筒内圧センサの感度劣化判定装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62132252U (ja) * 1986-02-17 1987-08-20
JPS6375326A (ja) * 1986-09-19 1988-04-05 Japan Electronic Control Syst Co Ltd 内燃機関の電子制御燃料噴射装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62132252U (ja) * 1986-02-17 1987-08-20
JPS6375326A (ja) * 1986-09-19 1988-04-05 Japan Electronic Control Syst Co Ltd 内燃機関の電子制御燃料噴射装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002079629A1 (fr) * 2001-03-30 2002-10-10 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Procede et dispositif de diagnostic et de controle de la combustion d'un moteur a combustion interne
US6810320B2 (en) 2001-03-30 2004-10-26 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Apparatus and method of combustion diagnosis/control in internal combustion engine
CN1308586C (zh) * 2001-03-30 2007-04-04 三菱重工业株式会社 内燃机燃烧诊断·控制装置
JP2008138681A (ja) * 2006-11-30 2008-06-19 Robert Bosch Gmbh 内燃機関のシリンダごとの燃焼特性の決定方法およびその制御装置
JP2010174745A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Toyota Motor Corp 筒内圧センサの感度劣化判定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2715732B2 (ja) 1998-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR920004511B1 (ko) 내연기관의 공연비 제어장치
JP4281445B2 (ja) 内燃機関の制御装置および内燃機関の制御方法
JPH0827203B2 (ja) エンジンの吸入空気量検出装置
EP0292175A2 (en) Air/Fuel ratio control system for internal combustion engine
US5156128A (en) Apparatus for controlling variation in torque of internal combustion engine
US5427069A (en) Apparatus and method for fuel injection timing control of an internal combustion engine
JPH0571403A (ja) エンジンの空燃比制御装置
JP4274055B2 (ja) 内燃機関の制御装置および制御方法
JPH06100148B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP3979704B2 (ja) 筒内圧力測定装置
JPH0759905B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2715727B2 (ja) エンジンの空燃比制御装置
JPH08121221A (ja) 酸素濃度センサの劣化検出装置
JPS63134845A (ja) 排気ガス再循環制御装置
JP2847454B2 (ja) 内燃機関における空燃比検出装置
JPH1037789A (ja) 筒内噴射エンジンの制御装置
JP3095326B2 (ja) 電子制御燃料噴射システム
US5107816A (en) Air-fuel ratio control apparatus
JP3617058B2 (ja) 内燃機関の燃焼状態評価方法および燃焼状態評価装置並びに内燃機関の燃焼状態制御装置
JPH0544544A (ja) エンジンの空燃比制御装置
JP4385542B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2715726B2 (ja) エンジンの空燃比制御装置
JPH02293655A (ja) 空燃比検出方法
JPH04259639A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP3078008B2 (ja) エンジンの燃料制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees