JPH057074Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ライトバン、キヤンピングカー等自
動車に使用される折畳み式座席シートを確実にセ
ツトするためのスライドシートのロツク装置に関
するものである。

（従来の技術） 従来、自動車には座席シートを前後に移動する
スライド機構が設けられており、運転操作を確実
に行うため、もしくは身体の特長に合わせ座席シ
ート位置を調節している。また、ライトバン、キ
ヤンピングカー等においては、車内を効率よく利
用するために折畳み式座席シートが、乗車人数、
荷物量等によりスペースを調節する目的で取付け
られている。

このような座席シートは操作が簡単なことと、
各々のシート取付け位置における固定手段が確実
に作動することが要求される。

例えば、スライド機構付折畳み式座席シートに
おいて、座席シートに設けられた一対のアツパー
レールを車体に固定された一対のロアーレールに
対し、着座時の脚の屈伸状態をよくするためスラ
イドし、スライドした座席シートを所望位置にロ
ツクする。ロツク機構には、座席シートの片側の
レールだけに取付けたスイングルロツク機構と、
両側のレールに取付けたダブルロツク機構とがあ
る。この座席シートを前倒したとき、シングルロ
ツク機構の場合には、座席シートの自重により、
ロツク機構のない側が下方へずり落ち左右のバラ
ンスが崩れる。そして、この状態のまま、元の位
置に戻すと、ロツク機構がうまくかからない場合
が多い。ダブルロツク機構を取付けた場合には安
定して停止し、シングルロツク機構のもつ欠点は
解消される。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、座席シートの左右の傾斜はダブ
ルロツクにより解消されるが、ダブルロツク機構
を操作するためにはロツクレリーズ連動機構が必
要となり、構造が複雑化し、コストアツプにつな
がる。また、座席シートを前倒した時、誤操作で
ロツクレリーズを解除した場合には、座席シート
が自重で下方へ滑動し、アツパーレールはその勢
いで車床を損傷する事態を起こす。このような出
来事を防止するには、二重構造のロツク方式が提
案されている。たとえば実公昭59−11798号公報
に示されたものは、アツパーレールに回動自在に
取付けたロツク爪が、座席シート（シートバツ
ク）の倒設時に、ロアーレールに設けた嵌合孔に
嵌合する構造となつている。

これらロツク機構を装備する場合においても、
操作が簡単で、確実なものでなくてはならない。

本考案は、座席シートの前倒時に、座席シート
のバランスを保ち、かつ確実に固定するスライド
シートのロツク装置を提供するものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記目的を達成するために、自動車
車室内の床面に、車体の幅方向に設けたヒンジピ
ンを中心にして展開するヒンジの下側ヒンジプレ
ートを取付け、該ヒンジの上側ヒンジプレートに
はスライドシートのロアレールの前端を固着する
ことによりロアレールの前端を床面に対して前倒
自在に設け、該ロアレールにはアツパレールを滑
動自在に設けて該アツパレールにフツク係合部を
設け、前記ロアレールに、一端にフツク部を他端
に当接部を有するフツク装置の中間部を、該中間
部に設ける軸から当接部までの長さよりフツク部
までの長さを長くして回動自在に支持すると共
に、前記フツク部が前記アツパレールのフツク係
合部に常時向かうようばね付勢し、前記ヒンジが
閉じた状態にあるとき、フツク装置の当接部が床
面に当接することによつて、フツク部がばね付勢
に抗して前記アツパレールのフツク係合部から離
脱するように構成したことを特徴とする。

（作用） 本考案は、上記のように構成するものであるか
ら、シートへの着座時のようにロアレールが床面
に近接している状態では、ロアレールにばね付勢
して取付けてあるフツク装置は、その一端の当接
部が床面に当接し、このフツク装置をばね付勢に
抗して他の一端のフツク部がアツパレールのフツ
ク係合部から脱出する方向に回動させることにな
る。この結果、フツク部はフツク係合部から脱出
し、アツパレールのロアレールへのロツクが解除
されることになる。このように作動するとき、フ
ツク装置は、その中間部に設けられる軸から当接
部までの長さよりフツク部までの長さが長くして
回動自在に支持されているために、当接部の僅か
な動きでフツク部が確実に動くことになる。

スライドシートはアツパーレールと一体化して
おり、ロアレール上を前後にスライドし、所望位
置に停止して固定されている。このスライドシー
トを前倒する場合には、アツパーレールを定位
置、つまりフツク係合部とフツク部とが対向する
位置に移動してから行う。

ロアレールを前傾すると当接部は床面側から離
れるので、フツク装置のばね付勢の抑制が解除さ
れ、フツク部はアツパーレールのフツク係合部に
係合する。ロアレールを原位置に戻す場合にはそ
のまま倒す。フツクの当接部が床面側に接する
と、フツク装置が回転し、フツク部もフツク係合
部から離間する。

（実施例） 本考案の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図ないし第５図は本考案の一実施例であ
る。図において、１は一対のロアレールでスライ
ドシート（図示を略す）の両側に沿つて平行に位
置しており、ロアレール１の上にフツク係合部２
を取付けたアツパーレール３がスライドシートと
一体になつて前後に滑動自在に係合している。ロ
アレール１はスライドシートを前倒するためのヒ
ンジ４を介して床面５に取付けられている。ヒン
ジ４は一対のヒンジプレート４ａ，４ｂと両者を
回転自在に連結するヒンジピン４ｃからなつてい
る。６はヒンジプレート４ａに取付けられたフツ
ク装置であり、フツクの回転軸はロアレール１と
同方向を向き、この回転軸の周りにフツク部６ａ
を回転自在に設け、フツク部６ａはリターンスプ
リング７で反時計方向（第１図において）に付勢
されている。フツク部６ａはフツク係合部２に嵌
入する形状を呈しており、フツク装置の当接部６
ｂはヒンジ４が閉じ合わせられているときにヒン
ジプレート４ｂに突き当つている。

当接部６ｂが開放されていれば、フツク部６ａ
はばね付勢によりフツク部６ａがフツク係合部２
に嵌入する（第３図）。

スライドシートを前倒する場合には、アツパー
レール３を所定位置に移動しヒンジピン４ｃを中
心にしてスライドシートを前倒する。ヒンジプレ
ート４ａ，４ｂが展開すると、ばね付勢により当
接部６ｂに対する規制面が離間するので、フツク
部６ａが反時計方向にはねかえり、ヒンジプレー
ト４ｂから当接部６ｂが離れたとき、フツク部６
ａはフツク係合部２に嵌入する（第４図）、フツ
ク部６ａが確実に嵌込することによつて、スライ
ドシートの傾斜方向の滑落は阻止される（第５
図）。

なお、このフツク部６ａとフツク係合部２との
解除はスライドシートを元に戻すここにより、当
接部６ｂがヒンジプレート４ｂに当接することに
よつて自動的に外れる。このように作動すると
き、フツク装置６は、その中間部に設けられる軸
から当接部６ｂまでの長さよりフツク部６ａまで
の長さが長くして回動自在に支持されているため
に、当接部６ｂの僅かな動きでフツク部６ａが確
実に動くことになる。

第６図ないし第９図は本考案の他の実施例であ
る。

これは、フツクの嵌合を強固にしたものであ
る。なお、前記実施例と同一または類似の部材に
は同一符号をつけ、その説明を省略する。

図において、係合部２，２はアツパーレール３
の両側部に位置し、フツク装置６のフツク部６ａ
はロアレール１と直交するように位置した回転軸
１８の周りにかつその両端に回転自在に取付けら
れており、フツク部６ａはリターンスプリング１
７，１７により第６図で反時計方向にばね付勢さ
れている。フツク部６ａは付勢方向にＬ字形状に
曲折されており、またフツク当接部６ｂはヒンジ
プレート４ｄの突起部に接触するように真直ぐに
延びている。

フツク部６ａ，６ａの作動は第１の実施例と同
様に、スライドシートを前倒したときに、係合部
２，２にフツク部６ａ，６ａが嵌合する。この実
施例では、アツパーレール３の両側でフツク部６
ａ，６ａをそれぞれ係合するので、左右のバラン
スがとれ、荷重が均等に分散し耐久性がよくな
る。なお、フツク部６ａ，６ａ、リターンスプリ
ング１７，１７はそれぞれ１個の部材で成形して
もよい。また、実施例ではフツク装置をヒンジに
取付けているが、ロアレールに取付けても良く、
さらにフツクの当接部をヒンジプレートに当接す
るように設けたが、床面に当接するようにしても
良いものである。

（考案の効果） 本考案は、以上のように構成するものであるか
ら、フツクの嵌合、離脱をスライドシートの前倒
動に連繋するように配置したので、スライドシー
トの移動時にオートロツクがかり、不注意、誤動
作によるシートの変形もしくは車床の損傷は未然
に防ぐことが出来るようになつた。また複雑な連
動機構に頼らず簡単にスライドシートの左右のバ
ランスを保つて固定することができるので省力化
が図れる。そしてその作動は、当接部の僅かな動
きで確実に行なわれる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の正面断面図、第２
図は第１図の側面図、第３図ないし第５図は本考
案の一実施例によるフツク動作の説明図、第６図
ないし第９図は本考案の他の実施例の説明図であ
る。 １……ロアレール、２……フツク係合部、３…
…アツパーレール、６……フツク装置、６ａ……
フツク部、６ｂ……当接部、７……リターンスプ
リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動車車室内の床面に、車体の幅方向に設けた
   ヒンジピンを中心にして展開するヒンジの下側ヒ
   ンジプレートを取付け、該ヒンジの上側ヒンジプ
   レートにはスライドシートのロアレールの前端を
   固着することによりロアレールの前端を床面に対
   して前倒自在に設け、該ロアレールにはアツパレ
   ールを滑動自在に設けて該アツパレールにフツク
   係合部を設け、前記ロアレールに、一端にフツク
   部を他端に当接部を有するフツク装置の中間部
   を、該中間部に設ける軸から当接部までの長さよ
   りフツク部までの長さを長くして回動自在に支持
   すると共に、前記フツク部が前記アツパレールの
   フツク係合部に常時向かうようばね付勢し、前記
   ヒンジが閉じた状態にあるとき、フツク装置の当
   接部が床面に当接することによつて、フツク部が
   ばね付勢に抗して前記アツパレールのフツク係合
   部から離脱するように構成したことを特徴とする
   スライドシートのロツク装置。