JPH0570127A - 封止材用錫酸亜鉛粉末およびその製造方法 - Google Patents

封止材用錫酸亜鉛粉末およびその製造方法

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JPH0570127A JP26552191A JP26552191A JPH0570127A JP H0570127 A JPH0570127 A JP H0570127A JP 26552191 A JP26552191 A JP 26552191A JP 26552191 A JP26552191 A JP 26552191A JP H0570127 A JPH0570127 A JP H0570127A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】封止材用充填材として好適な錫酸亜鉛粉末とそ
の製造方法を提供する。 【構成】第二錫イオンと亜鉛イオンを含む酸性水溶液と
アンモニア水溶液とを混合し、溶液の最終pH 5〜9の範
囲でヒドロキシ錫酸亜鉛を沈澱させ該沈澱を濾別乾燥
後、焼成して粒子径2〜5μmの粒子が80%以上の錫酸亜
鉛粉末を得る。 【効果】上記錫酸亜鉛粉末は粒径が均一であり、高純度
であるので電子材料の封止材用充填材として好適であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒子径2〜5μmの粒子
が80%以上であり封止材用充填材として用いられる高純
度の錫酸亜鉛粉末に関する。この粉末を分散させた成形
体は優れた充填性と難燃性を有する。
【0002】
【従来技術とその課題】LSIの封止材用の充填材とし
てシリカが使われているが、不純物としてα線を生じる
放射性物質を含むため、LSIの誤動作を引き起こしや
すい欠点を有しているので低α線で誘電率の高い酸化チ
タンが検討され、さらに最近では難燃効果を有した三酸
化アンチモンが封止材用充填材として使われるようにな
った。ところが、三酸化アンチモンは変性が強く、使用
が制限される傾向にあり、毒性のない新たな化合物への
代替が求められている。一方、錫酸亜鉛粉末は優れた難
燃性を有しており、化学的に安定なので三酸化アンチモ
ンの有力な代替品として期待できる。
【0003】一般に、封止材用充填材は高純度であるこ
とと粒子径が揃っていることが必要であり、しかも粒子
径が数μm以上が好ましいとされている。しかし従来の
湿式法によって得られるヒドロキシ錫酸亜鉛は微細なゲ
ル或はゾルで、これより得られる錫酸亜鉛粉末は粒子径
が0.1μm以下であり、封止材用充填材として用いるには
粒子が細か過ぎ、樹脂に多量に混入すると可撓性が失わ
れて樹脂が脆くなるなどの問題がある。また、従来法を
用いた場合には原料化合物のなかにナトリウムが存在す
ることから、生成した粉末のなかに不純物としてナトリ
ウムが混入する可能性がある。更に従来の製造方法は、
まずヒドロキシ錫酸Naを製造し、次に該NaをZnに
置換することによってヒドロキシ錫酸亜鉛を沈澱させ、
該沈澱を乾燥焼成することにより錫酸亜鉛粉末を製造し
ている。このように従来の製造方法は製造工程が煩雑で
ある。またヒドロキシ錫酸Naを原料とするので原料コ
ストが高く、工学的実施に適さない。
【0004】
【発明の解決課題】以上のように従来の錫酸亜鉛は封止
材用充填材としては粒子が細か過ぎ、また製造工程が煩
雑でコスト高になる問題がある。本発明は従来の上記課
題を克服した封止材用充填材として最適な錫酸亜鉛粉末
とその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題の解決手段、発明の構成】本発明によれば、
(イ)粒子径2〜5μmの粒子が80重量%以上であり、封
止材用充填材として用いられる錫酸亜鉛粉末が提供され
る。また(ロ)第二錫イオンと亜鉛イオンを含む酸性水
溶液とアンモニア水溶液とを混合し、溶液の最終pH 5〜
9の範囲でヒドロキシ錫酸亜鉛を沈澱させ、該沈澱を濾
別乾燥後、焼成して上記粒径の錫酸亜鉛粉末を製造する
方法が提供される。
【0006】本発明の製造方法では、第二錫イオンと亜
鉛イオンを含む酸性水溶液とアンモニア水溶液とを原料
として用いる。第二錫イオン源としては、塩化第二錫、
金属錫などが用いられる。なお第一錫イオンを用いると
良好なヒドロキシ錫酸亜鉛の沈澱を得ることができな
い。亜鉛イオン源としては酸化亜鉛、硫酸亜鉛、金属亜
鉛などが用いられる。これら酸化第二錫、酸化亜鉛など
を塩酸あるいは濃塩酸、硫酸などに溶解して錫・亜鉛酸
性水溶液を得る。なお、アルカリ水溶液としてアルカリ
金属塩等を用いると錫酸亜鉛粉末にアルカリ金属が残留
するので好ましくない。
【0007】第二錫イオンを亜鉛イオンを含む酸性水溶
液と、アンモニア水溶液とを混合すると、錫と亜鉛が当
量のモル比で反応し、溶液の最終pH 5〜9の範囲で結晶
性ヒドロキシ錫酸亜鉛の沈澱を生じる。好ましくは混合
液を1時間以上攪拌して沈澱の生成を促すとよい。最終
pHが4以下または10以上では、粒子径の細かい錫酸亜鉛
沈澱が混在するため、本発明の目的とする粒度範囲の錫
酸亜鉛粉末を得ることができなくなる。以上のようにし
て得たヒドロキシ錫酸亜鉛の沈澱を濾別回収し、水洗、
乾燥の後、400℃程度で焼成することにより、粒子径2〜
5μmの粒子が80重量%以上の錫酸亜鉛粉末が得られる。
なお、上記沈澱を濾別回収した際、デカンテーションに
より塩類を充分に除去できるので高純度の錫酸亜鉛粉末
を得ることができる。また、焼成してOH基を除去する
際、焼成温度が400℃付近までは無定形の錫酸亜鉛が得
られ、400℃を越えると結晶性の錫酸亜鉛が得られる。
【0008】本発明による錫酸亜鉛粉末は粒度が揃って
おり封止材用充填材として使用されているシリカ粉末と
併用することによりパッキング性に優れた難燃性封止材
を形成することができる。また上記錫酸亜鉛粉末は、デ
カンテーションにより塩類を十分に除去した高純度の錫
酸亜鉛粉末であるので、特に不純物としてアルカリ金属
の混入を嫌う電子材料の樹脂封止材用難燃性充填材とし
て好適である。
【0009】実施例1 第二塩化錫の60%塩酸溶液 21.7g(錫0.05mol相当)と、
酸化亜鉛4.0g(亜鉛0.05mol相当)濃塩酸10molとを混合
し、錫/亜鉛水溶液を調整した。この溶液を3mol/リットルの
アンモニア水溶液150gに撹拌しながら滴下し、ヒドロキ
シ錫酸亜鉛を生成させた。このとき溶液の最終pHは8で
あった。反応後このまま溶液を1時間撹拌し続けた後、
デカンテーションにより塩類を除去し濾別、風乾した。
更に、この粉末を400℃で2時間焼成した。この結果、
白色粉末10.6gが得られた(収率91.4%)。得られた粉末
をX線回折法により測定したところ、図1に示すように
ヒドロキシ錫酸亜鉛や他の錫、亜鉛化合物の生成もな
く、無定形錫酸亜鉛の生成を示した。またこの粉末の粒
度分布は図2に示すように粒子径2〜5μmの粒子が80%
以上であった。
【0010】実施例2 第二塩化錫の60%の塩酸溶液108.75g(錫0.25mol相当)
と、酸化亜鉛20.25g(亜鉛0.25mol相当)濃塩酸10mlとを
混合し、錫/亜鉛水溶液を調製した。この溶液を3mol/リッ
トルのアンモニア水溶液700gに撹拌しながら滴下し、ヒド
ロキシ錫酸亜鉛を生成させた。このとき溶液の最終pHは
5であった。反応後このまま溶液を1時間撹拌し続けた
後、デカンテーションにより塩類を除去し濾別、風乾し
た。更に、この粉末を400℃で2時間焼成した。この結
果錫酸亜鉛の白色粉末55.1gが得られた(収率95.0%)。
【0011】実施例3 実施例1、2により得られた錫酸亜鉛粉末を、塩化ビニ
ル樹脂に混練し分散させて製膜したシートを製造し、こ
の限界酸素指数(LOI)を測定した。結果を表1に示す。
表1に示すように本発明により得られた錫酸亜鉛粉末は
ポリマーに難燃効果を与えることが判る。更に本発明に
より得られた錫酸亜鉛粉末はシリカと併用した際のパッ
キング性に優れているためICモールドパッケージの強度
を損なうことなく高い信頼性を得ることができる。
【0012】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例1 実施例2 比較例 ──────────────────────────────────── 錫酸亜鉛量(重量%) 2 5 2 5 0 限界酸素指数(LOI) 24.0 25.0 24.0 25.0 22.5 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0013】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば高純度の錫酸
亜鉛粉末を安価にかつ容易に製造することができる。ま
た得られる錫酸亜鉛粉末は、粒度が均一であり、優れた
難燃性を有するもので電子材料の樹脂難燃性封止材用充
填材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られた錫酸亜鉛粉末のX線回
析チャート。
【図2】実施例1により得られた錫酸亜鉛粉末の粒度分
布を示すグラフ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子径2〜5μmの粒子が80%以上であ
    り,封止材用充填材として用いられる錫酸亜鉛粉末。
  2. 【請求項2】 第二錫イオンと亜鉛イオンを含む酸性水
    溶液とアンモニア水溶液とを混合し、溶液の最終pH 5〜
    9の範囲でヒドロキシ錫酸亜鉛を沈澱させ該沈澱を濾別
    乾燥後、焼成して請求項1の錫酸亜鉛粉末を製造する方
    法。
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