JPH0569550A - インクジエツト記録ヘツドの製造方法 - Google Patents

インクジエツト記録ヘツドの製造方法

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JPH0569550A
JPH0569550A JP26058691A JP26058691A JPH0569550A JP H0569550 A JPH0569550 A JP H0569550A JP 26058691 A JP26058691 A JP 26058691A JP 26058691 A JP26058691 A JP 26058691A JP H0569550 A JPH0569550 A JP H0569550A
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JP
Japan
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ink
recording head
layer
orifice plate
ejection port
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JP26058691A
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English (en)
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Toru Okamoto
徹 岡本
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 画像信号に基づいてインクの小滴を吐出す
るインク吐出口が設けられたインクジェット記録ヘッド
の製造方法において、吐出口のまわりへのインクの流出
及び飛散を防止するための表面撥液層を、吐出口の狭窄
・閉塞を生じることなく形成する。 【構成】 インクジェット記録ヘッドの製造工程中
に、支持体1上に設けられたフッ素樹脂層5に、オリフ
ィス板2のインク吐出面を加熱圧着した後離間し、オリ
フィス板2にフッ素樹脂層を転写させて表面撥液層10
5を形成する工程を含める。また上記工程に代えて、イ
ンク吐出面を帯電させ、表面処理剤の粉末を吸着させた
後焼成する工程や、オリフィス板に表面撥液層を形成し
た後に穴開け加工によりインク吐出口を形成して焼成処
理する工程を含めることもできる。これにより、吐出口
の狭窄・閉塞を生じることなく表面撥液層が形成され、
良好な印字を行うことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吐出口からインクの小
滴を吐出することにより印字を行うインクジェット記録
ヘッドの製造方法に係り、特に吐出口のまわりへのイン
クの流出及び飛散を防止することができるインクジェッ
ト記録ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、文字・画像等を出力するプリ
ンタとして、記録液体であるインクをインクの吐出口か
ら吐出させ、記録体へ付着させることにより印字を行う
インクジェット記録方式によるものが知られている。こ
のプリンタにおいて用いられるインクジェット記録ヘッ
ドは、印字のための吐出口を有しているが、この吐出口
のまわりにインクが流出したり、飛散したりして印字品
質を劣化させるという問題がある。これを防止するため
にインク吐出口が設けられた吐出面の吐出口の周囲にイ
ンクをはじく性質、すなわち撥液性を有する表面処理剤
を塗布する方法が知られている。一般には、この吐出面
に撥液性表面処理剤の分散液をスプレーコーティングす
る方法が行われているが、表面処理剤がインクの吐出口
の内部まで入り込み、吐出口を狭めて吐出性能を低下さ
せたり、甚だしい場合には吐出口を閉塞させてインクジ
ェット記録ヘッドの製造の歩留を悪くするという問題が
ある。この問題を解決するために、以下に示すようなイ
ンクジェット記録ヘッドの表面処理方法が提案されてい
る。
【0003】特開昭63−239063号公報には、水
性インクを用い、ピエゾ素子に電圧を加えることにより
インクの吐出を行うインクジェット記録ヘッドにおい
て、エポキシ樹脂やアクリル樹脂をマトリクスとする表
面処理剤を転写によってインクの吐出口面に付着させる
表面処理方法が提案されている。また、特開昭63−1
22560号公報には、インクの吐出口に容易に除去で
きる物を充填した後、この吐出口が設けられたインクジ
ェット記録ヘッドの吐出面に、シランカップリング剤の
塗布やポリテトラフロロエチレンのスパッタリングによ
る表面処理を行い、その後充填物を除去するという方法
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
63−239063号公報に記載の表面処理方法では、
エポキシ樹脂やアクリル樹脂をマトリクスとする表面処
理剤が、水性のインクに対しては撥液性を有するもの
の、油のような表面張力の小さなインクに対しては撥液
効果が小さく表面が濡れたような状態となり易く、油性
のインクが吐出口周囲へ流出するのを防止する効果を有
しないという問題点がある。一方、特開昭63−122
560号公報に記載の表面処理方法では、シランカップ
リング剤を単に塗布した膜は、材料によって油のような
表面張力の小さなインクに対して十分な撥液性を示すも
のもあるが、一般には払拭に弱く、溶剤に溶け易いなど
膜面の耐久性が悪いという欠点がある。また、ポリテト
ラフロロエチレンのスパッタリングによる膜は、スッパ
タリングの工程中に化学構造に変化をきたし易く、十分
な撥液性がでないという問題点もある。
【0005】本発明は上記のような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、表面処理剤がインクの吐
出口の内部に入り込み、吐出口を狭窄したり、閉塞した
りすることがなく、十分な撥液性を有し耐久性の高い表
面処理層を形成することのできるインクジェット記録ヘ
ッドの製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、印字が行われる記録体と
対向し、画像信号に基づいてインクの小滴を吐出するイ
ンク吐出口が複数設けられたインクの吐出面を有するイ
ンクジェット記録ヘッドの製造方法において、支持体上
にフッ素樹脂層を形成し、 前記インク吐出口が設けら
れた吐出面を前記フッ素樹脂層に加熱圧着した後離間
し、前記吐出面の少なくともインク吐出口の周囲にフッ
素樹脂層を転写して表面処理層を形成する工程を含むも
のとする。
【0007】請求項2に記載の発明は、印字が行われる
記録体と対向し、画像信号に基づいてインクの小滴を吐
出するインク吐出口が複数設けられたインクの吐出面を
有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
前記インク吐出口が設けられた吐出面を帯電させ、電
荷を有する表面処理剤の粉末を吸着させた後、焼成して
前記吐出面の少なくともインク吐出口の周囲に表面処理
層を形成する工程を含むものとする。
【0008】請求項3に記載の発明は、印字が行われる
記録体と対向し、画像信号に基づいてインクの小滴を吐
出するインク吐出口が複数設けられたインクの吐出面を
有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
前記インク吐出口が設けられる吐出面に、インク吐出
口を形成する前に表面処理層を形成し、穴開け加工によ
って前記インク吐出口を形成した後、焼成処理する工程
を含むものとする。
【0009】請求項2または請求項3に記載の発明にお
ける表面処理剤として、たとえばポリテトラフロロエチ
レン等のフッ素樹脂を用いることができ、その他の撥液
性及び熱可塑性を有する表面処理剤を用いることもでき
る。請求項2に記載の発明における吐出面の帯電は、摩
擦によって帯電させる方法、コロトロンによって帯電さ
せる方法等、吐出口が設けられている吐出面を帯電させ
ることができる方法を採用することができる。また、表
面処理剤の粉末を吸着させるには、直接吐出面に粉末を
接触させてもよいし、他の基体上に粉末の薄層を形成
し、これを転写して吸着させてもよい。請求項3に記載
の発明において、インクの吐出口を形成する前に表面処
理層を施す方法は、スプレーコーティング等様々の方法
を採用することができる。
【0010】
【作用】請求項1に記載したインクジェット記録ヘッド
の製造方法では、基体上に設けられたフッ素樹脂層を、
インクの吐出口を有するインクジェット記録ヘッドのイ
ンクの吐出面に加熱圧着することにより転写させ、イン
クジェット記録ヘッドの吐出口の周囲にフッ素樹脂層を
形成することができる。このように転写によってフッ素
樹脂層を形成するので、フッ素樹脂がインクの吐出口内
部へ入り込み吐出口を狭めて吐出性能を低下させること
はなく、印字品質の低下が防止される。またフッ素樹脂
層を設けることによって油性インクのような表面張力の
小さなインクに対しても十分な撥液性が得られ、インク
が吐出口のまわりに流出したり、飛散したりする現象が
防止され良好な印字品質を得ることができる。さらに、
上記フッ素樹脂層は払拭に強く、溶剤にも強いので、耐
久性の良いインクジェット記録ヘッドが得られる。
【0011】請求項2に記載したインクジェット記録ヘ
ッドの製造方法では、インクジェット記録ヘッドのイン
クの吐出面に帯電した表面処理剤の粉末を吸着させた
後、上記インクの吐出面を焼成することにより上記表面
処理剤のよる薄層が形成されるので、上記の表面処理剤
の粉末がわずかしかインクの吐出口内部に入り込まず、
吐出口を狭めて吐出性能を低下させるようなことがな
く、印字品質の良好なインクジェット記録ヘッドを容易
に得ることができる。また上記表面処理剤として撥液性
を有する材料を用いることによりインクが吐出口のまわ
りに流出したり、飛散したりする現象が防止され、良好
な印字品質が得られる。
【0012】請求項3に記載したインクジェット記録ヘ
ッドの製造方法では、インクジェット記録ヘッドのイン
クの吐出面に予め表面処理剤による層を形成した後にイ
ンクの吐出口を形成する穴開け加工を施すので、表面処
理剤が吐出口内部に付着することはない。また、穴開け
加工の際に表面処理剤が伸びることによってバリを生じ
ても、吐出口形成部を焼成処理することによりバリは縮
小して融着するので、ほぼ所定の形状の吐出口を少ない
工程で得ることができる。また、上記表面処理剤として
撥液性を有する材料を使用することにより、インクが吐
出口のまわりに流出したり、飛散したりする現象が防止
され、良好な印字品質が得られる。
【0013】
【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図1は、請求項1に記載の発明の一実施例であるイ
ンクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図であ
る。ポリテトラフロロエチレン粉を水または有機溶剤に
分散してディスパージョン液を作り、さらに塗膜の接着
性を上げるため、顔料などからなるプライマをこのディ
スパージョン液に混入させる。ガラス板からなる基体1
に上記ディスパージョン液をスプレー塗布した後、該基
体1を熱風循環炉にて350℃程度に加熱してディスパ
ージョン液を溶融し、冷却とともに固着させ、ポリテト
ラフロロエチレン層5を形成する[図1(a)]。この
ポリテトラフロロエチレン層5はスプレー塗布の条件を
最適化することにより、10μmから30μmの所望の
厚さを得ることができる。
【0014】一方、オリフィス板2には、貫通する円形
のオリフィス6が形成されており、このオリフィス6が
開口するオリフィス板2の一方の面には、エッチングプ
ロセスにより制御電極3を所定の形状に形成し、さらに
その上には、スクリーン印刷及び焼成プロセスにより絶
縁保護層4を形成する。なお、上記オリフィス6の直径
は50〜100μmである。
【0015】このオリフィス板2の上記制御電極3を設
けた側の反対面と、上記基板1上のポリテトラフロロエ
チレン層5の面とを、350℃程度に加熱したホットプ
レート上で矢印Pの方向に強圧し[図1(b)]、その
後熱いままで垂直に剥離することにより、ポリテトラフ
ロロエチレン層5の一部が転写させてオリフィス板2に
付着し、冷却とともに固着する[図1(c)]。このよ
うにしてオリフィス板2に厚さ5〜30μmのポリテト
ラフロロエチレン層からなる表面撥液層105が形成さ
れる。この表面撥液層105は、上記熱転写工程でオリ
フィス板2のポリテトラフロロエチレン層5との接触面
のみに形成され、上記オリフィス6の内部まで入り込み
オリフィス6の口径を狭めたり、開口部を閉塞させたり
することはない。
【0016】図2(a)は、上記工程を経て表面撥液層
105が形成されたオリフィス板2を用いた静電吸引型
インクジェト記録ヘッドを示す概略構造図であり、図2
(b)は図2(a)中に示すI−I線での概略断面図で
ある。オリフィス板2は、前記表面撥液層105が形成
された面を外側として箱状の枠に組み込まれ、この枠内
にはインク101が充填されている。また、上記オリフ
ィス板2が設けられた側と反対側の枠外には一様加熱手
段104が設置され、上記インク101を加熱溶融でき
るようになっている。上記枠内のオリフィス板2の内側
の面には、オリフィス6の回りを囲むように、各オリフ
ィス毎に独立した制御電極3が着膜されており、各々の
制御電極3には制御電極駆動手段103が接続されてい
る。この制御電極3は、制御電極駆動手段103から出
力されるパルス電圧によって隣接する制御電極に電流が
流れるのを抑えるため及び制御電極を保護するために、
オリフィス6の近傍以外では絶縁保護層4で被われてい
る。
【0017】一方、オリフィス板2を設けた吐出面10
6側には、オリフィス6と対向する位置に背面電極10
8が設けられ、この背面電極108には背面電極駆動手
段110が接続されている。また上記オリフィス板2と
背面電極108との対向位置には、背面電極108と接
触して記録体109が支持され、記録体搬送手段(図示
しない)によって、所定に方向に搬送されるようになっ
ている。
【0018】上記のインク101は、ワックスをベース
にカーボンブラックの微細粉を分散した黒色のホットメ
ルトインクである。このインク101の融点は、記録物
の保管時の安定性に鑑み、余裕を持って90℃から10
0℃となるように、ワックスの分子量が調整されてい
る。これは、ワックスの分子量が低いとインクの融点が
低くなり、記録物の保管中に紙の融着が起きたり、記録
物が擦れることで画像が伸びて汚れるといったことが起
こるので、このような現象を防止するのに適当なインク
の融点として上記温度に設定したものである。また、上
記インク101は静電的に良好な飛翔特性を持たせるた
め、体積抵抗率が106 Ω・cmから1010Ω・cmと
なるように、ワックス中の微量成分と顔料中の微量成分
とが調整されている。また、良好な飛翔特性を得るため
にはインクの溶融粘度は10mPasから20mPas
であることが望ましく、インクを吐出させて記録体に付
着させる際の良好な曳糸成長を得るためには、表面張力
が20dyne/cmから40dyne/cmであるこ
とが望ましい。なお、本実施例では、カーボンブラック
の分散された黒色インクが用いられているが、染料で染
色したカラーインクを用いてもよい。
【0019】上記静電吸引型インクジェット記録ヘッド
によって印字は次のように行われる。インク101は、
一様加熱手段104によって加熱溶融され、溶融された
インク101はオリフィス6の近傍で制御電極3と接触
する。また、静電吸引型インクジェット記録ヘッドに
は、インク加圧手段(図示しない)により大気圧よりわ
ずかに高いインク供給圧が印加されるようになってお
り、上記の溶融されたインク101は、オリフィス6を
通じてインクの吐出面106まで導かれ、凸メニスカス
113を形成する。オリフィス板2には表面撥液層10
5が着層されており、溶融されたインク101により凸
メニスカス113を形成しても、インクがオリフィス6
の周囲へ流出するのが抑止される。凸メニスカス113
に対向する位置には記録体109が支持されており、記
録体109は、記録体搬送手段(図示しない)によっ
て、記録体移動方向Dへ背面電極108に沿って搬送さ
れる。
【0020】制御電極駆動手段103と背面電極駆動手
段110とは共に高電圧駆動回路で逆極性となるように
されており、制御電極駆動手段103は+400Vと0
Vとの間をスイッチングする回路構成で、背面電極駆動
手段110は−1800Vと0Vとの間をスイッチング
する回路構成である。制御電極駆動手段103は画像信
号に応じてパルスを出力し背面電極駆動手段110は一
定周期のパルスを出力するようになっており、両駆動手
段は約1msから10msの同期したパルスを出力す
る。
【0021】オリフィス板2の厚さは、上記パルス幅の
時間内でオリフィス6内のインクに充分な電荷が注入さ
れる程度しかないので、凸メニスカス113の部分のイ
ンクは、パルス幅の時間幅及びオリフィス板2の厚さで
みると実質的に導電性であり、ON状態の上記制御電極
3から電荷注入を受けて、制御電極3の電位と同じ電位
となる。従って、凸メニスカス113の部分のインク
は、制御電極駆動手段103により印加される電圧と背
面電極駆動手段110により印加されて電圧との合計の
電圧に相当する電界のクーロン力を受ける。すなわち画
像信号のONに相当する位置では両者の和は2200V
であり、画像信号のOFFに相当する位置では両者の和
は1800Vである。
【0022】凸メニスカス113と背面電極108との
間隙は、インクが画像信号のONの電圧で十分に飛翔
し、画像信号OFFの電圧では飛翔しないように設定さ
れ、本実施例では150μmから350μmまでが適切
である。このため、画像信号に応じて凸メニスカス11
3から所定量のインクが記録体109へと噴射され、イ
ンクの付着により印字ドットが形成される。この印字ド
ットの組み合わせにより画像が形成される。このような
本実施例に製造方法によるホットメルト静電吸引型イン
クジェット記録ヘッドを用いて印字テストを行ったとこ
ろ、鮮明で良好な画像が得られた。
【0023】一方、上記実施例におけるインクジェット
記録ヘッドの製造工程で使用した分散液と同様の分散液
を用いて、直接オリフィス板にスプレー塗布して表面撥
液層を形成したところ、分散液はスプレーによってオリ
フィスの内部へ流れ込み、オリフィスの総数128個の
うち38個が閉塞した。その後、熱風循環炉で焼成した
が閉塞は解除されなかった。このオリフィス板を上記実
施例と同様にホットメルト静電吸引型インクジェット記
録ヘッドに組み立てて印字テストを行ったが、閉塞した
オリフィスからインクが噴射しなかったのみならず、オ
リフィス内部に流入した分散液が凸メニスカスの形状を
小さくしてしまうことによって印字したドットの大きさ
は不均一であった。従って本発明に係る上記実施例にお
ける印字テストでは、明らかな画像品質の向上が認めら
れ、製品の歩留まりも著しく改善することが認められ
る。
【0024】図3は、請求項2に記載の発明の一実施例
であるインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明
図である。基体11上にポリテトラフロロエチレン粉体
を供給し、ブレード8で摺擦することにより、一定厚の
ポリテトラフロロエチレン層17を形成する[図3
(a)]。なお、図3(a)では便宜上ポリテトラフロ
ロエチレン層6の粒子は均一に1層で層形成されている
ように描かれているが、実際には複数の粒子が重なって
層形成されていることが多い。このポリテトラフロロエ
チレン層6はできるだけ均一な薄層であることが望まし
い。そのため、ポリテトラフロロエチレン粉の粒径は細
かいものが好ましく、本実施例では体積平均粒径でφ
1.2μmのものを用いた。
【0025】一方、セラミック製オリフィス板12の制
御電極13と絶縁保護層14とが積層された側の反対面
を、コロトロン帯電器19を矢印Bのように移動させる
ことにより、正の電荷20を有するように帯電させる
[図3(b)]。帯電中は制御電極13を放電対象とし
て電位差を設けるために0(V)に保持する。また、矢
印Bはコロトロン帯電器19の移動方向を示している
が、コロトロン帯電器19とオリフィス板12とはどち
らを移動させてもよい。コロトロン帯電器19の帯電極
性はポリテトラフロロエチレン粉の帯電極性と反対にす
る。
【0026】次に、帯電したオリフィス板12と、基体
11上に形成されたポリテトラフロロエチレン層17と
を近接させる。オリフィス板12の帯電極性とポリテト
ラフロロエチレン粉の帯電極性とは逆なので、クーロン
力で引き合ってポリテトラフロロエチレン粉はオリフィ
ス板12の帯電面に付着する[図3(c)]。図3
(c)ではオリフィス板12にポリテトラフロロエチレ
ン粉が100%転移しているかの如く描かれているが、
実際には相当量が基体11に残留する。また、同図で
は、オリフィス16の内部には全くポリテトラフロロエ
チレン粉が付着しないように描かれているが、実際はご
く少量がオリフィス板12の表面近傍に付着する。しか
し、実質的にはオリフィス6の直径を変化させたり、オ
リフィス6を閉塞させたりすることはない。
【0027】次に、ポリテトラフロロエチレン粉が静電
付着したオリフィス板を、熱風循環炉(図示しない)に
入れて、380℃で5分加熱して、ポリテトラフロロエ
チレン粉を融着させる。これにより、セラミック製のオ
リフィス板12上でポリテトラフロロエチレン粉体同士
が融着し、かつ、オリフィス板にも融着して凸凹はある
が実質的に均一な表面撥液層が形成される。この表面撥
液層の厚さは5μmから30μmであるのが望ましい。
【0028】本実施例で形成された上記オリフィス板
を、前記請求項1に記載の発明の実施例と同様に図2に
示すようなホットメルト静電吸引型インクジェット記録
ヘッドに組み立て、印字テストを行った。本実施例でも
凸メニスカス113と背面電極108との間の距離が1
50μmから350μmの間で良好な画像が得られた。
【0029】図4は、請求項3に記載の発明の一実施例
であるインクジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明
図である。機械加工可能なセラミック[三井鉱山(株)
製、商品名:マセライトHSP]を削りだしたヘッド基
板22の片面に制御電極23を厚膜金のエッチングプロ
セスにより所望の形状に形成し、さらにその上に絶縁保
護層24をスクリーン印刷及び焼成プロセスによって形
成する。さらに、上記制御電極23の設けられた面と反
対の面に、ポリテトラフロロエチレンの分散液をスプレ
ー塗布し、380℃の熱風循環炉で10分間焼成し、急
冷しつつ取り出して表面撥液層25を形成する[図4
(a)]。この表面撥液層25の厚さは10μm〜30
μmとするのが望ましい。
【0030】次に、マイクロドリル27で所望の位置に
穴開け加工を行い直径50μm〜150μmの円形のオ
リフィス26を形成する[図4(b)]。先に表面撥液
層25を設けた後に穴開け加工するので、オリフィス2
6の内部にポリテトラフロロエチレンが付着することは
ない。しかし、この時、ヘッド基板22より表面撥液層
25は柔らかく延びる性質があるので、図4(b)に示
すように表面撥液層が穴の端部につき出し、長さ10μ
m〜30μm程度のバリ25aが発生する。このまま使
用すると、このバリ25aがインクの吐出の邪魔をした
り、インクによって形成される凸メニスカスの形状を歪
めたりするので、このヘッド基板を再び350℃の熱風
循環炉で5分焼成し、急冷しつつ取り出す。この工程に
より、バリ25aは溶融してメルトフローし、オリフィ
スの周辺または内部に融着する[図4(c)]。焼成に
よって縮小し、融着した表面撥液層のバリ25bはオリ
フィス26内部にも回り込むが、オリフィス26内部に
回り込む寸法が小さいので、実質的に凸メニスカスの形
成には影響しない。
【0031】このようにして作成されたヘッド基板を、
前記実施例と同様に図2に示すようなホットメルト静電
吸引型インクジェット記録ヘッドに組み立てて印字テス
トを行った。本実施例でも凸メニスカス113と背面電
極108との間の距離が150μmから350μmの間
で良好な画像が得られた。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載のイ
ンクジェット記録ヘッドの製造方法では、基体上に設け
られたフッ素樹脂層を熱転写することにより、インクジ
ェット記録ヘッドの吐出口を有する面にフッ素樹脂層が
形成されるので、フッ素樹脂が吐出口の内部へほとんど
入り込まず、吐出口の狭窄・閉塞を生じることなく表面
撥液層を形成することができる。また油性インクに対し
ても充分な撥液性を有し、耐久性のある表面撥液層を容
易に形成することができる。これによりインクが吐出口
のまわりに流出及び飛散したりすることなく、良好な印
字を行うことができるインクジェット記録ヘッドが得ら
れる。また、請求項2に記載のインクジェット記録ヘッ
ドの製造方法では、インクジェット記録ヘッド表面に帯
電を施して表面処理剤の粉末を吸着させた後、焼成工程
を経ることにより上記表面処理剤による薄層が形成され
るので、表面処理剤がインクの吐出口の内部に入り込ま
ず、吐出口の狭窄・閉塞を生じることなく表面処理層を
形成することができる。また上記表面処理剤として撥液
性を有する材料を使用することにより、インクが吐出口
にまわりに流出及び飛散したりする現象が防止され、良
好な印字を行うことができるインクジェット記録ヘッド
が得られる。また、請求項3に記載のインクジェット記
録ヘッドの製造方法では、予め表面撥液層が形成された
ヘッド基板に吐出口を形成する穴開け加工を施し、その
後焼成処理を行うので、表面処理剤が吐出口を狭窄・閉
塞することなく、吐出面に表面処理層を形成することが
できる。また、上記表面処理層として撥液性を有する材
料を用いることにより、吐出口にまわりにインクが流出
及び飛散する現象は防止され、良好な印字を行うことが
できるインクジェット記録ヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の発明の一実施例であるインク
ジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【図2】上記実施例によって製造されたインクジェット
記録ヘッドを示す概略構造図である。
【図3】請求項2に記載の発明の一実施例であるインク
ジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【図4】請求項3に記載の発明の一実施例であるインク
ジェット記録ヘッドの製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1, 11, 基体 2, 12, 22 オリフィス板 3, 13, 23 制御電極 4, 14, 24 絶縁保護層 5, 25 ポリテトラフロロエチレン層 6, 16, 26 オリフィス 17 ポリテトラフロロエチレンの粉体 18 ブレード 19
コロトロン帯電器 27 マイクロドリル 101
インク 103 制御電極駆動手段 104
加熱手段 105 表面撥液層 106
吐出面 108 背面電極 109
記録体 110 背面電極駆動手段 113
凸メニスカス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印字が行われる記録体と対向し、画像
    信号に基づいてインクの小滴を吐出するインク吐出口が
    複数設けられたインクの吐出面を有するインクジェット
    記録ヘッドの製造方法において、 支持体上にフッ素樹脂層を形成し、 前記インク吐出口が設けられた吐出面を前記フッ素樹脂
    層に加熱圧着した後離間し、前記吐出面の少なくともイ
    ンク吐出口の周囲にフッ素樹脂層を転写して表面処理層
    を形成する工程を含むことを特徴とするインクジェット
    記録ヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 印字が行われる記録体と対向し、画像
    信号に基づいてインクの小滴を吐出するインク吐出口が
    複数設けられたインクの吐出面を有するインクジェット
    記録ヘッドの製造方法において、 前記インク吐出口が設けられた吐出面を帯電させ、電荷
    を有する表面処理剤の粉末を吸着させた後、焼成して前
    記吐出面の少なくともインク吐出口の周囲に表面処理層
    を形成する工程を含むことを特徴とするインクジェット
    記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 印字が行われる記録体と対向し、画像
    信号に基づいてインクの小滴を吐出するインク吐出口が
    複数設けられたインクの吐出面を有するインクジェット
    記録ヘッドの製造方法において、 前記インク吐出口が設けられる吐出面に、インク吐出口
    を形成する前に表面処理層を形成し、穴開け加工によっ
    て前記インク吐出口を形成した後、焼成処理する工程を
    含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造
    方法。
JP26058691A 1991-09-12 1991-09-12 インクジエツト記録ヘツドの製造方法 Withdrawn JPH0569550A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5653901A (en) * 1993-08-18 1997-08-05 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Method of fabricating a nozzle plate
JP2007313701A (ja) * 2006-05-24 2007-12-06 Konica Minolta Holdings Inc ノズルプレートの製造方法

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