JPH0569512A - シリコーン複合体の製造方法 - Google Patents

シリコーン複合体の製造方法

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JPH0569512A
JPH0569512A JP26297091A JP26297091A JPH0569512A JP H0569512 A JPH0569512 A JP H0569512A JP 26297091 A JP26297091 A JP 26297091A JP 26297091 A JP26297091 A JP 26297091A JP H0569512 A JPH0569512 A JP H0569512A
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Hiroyasu Hara
寛保 原
Masayuki Ikeno
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 シリコーンゲルからなる基相とその表面に形
成されたシリコーンエラストマーまたはシリコーンレジ
ンからなる表面層とからなるシリコーン複合体の製造方
法であって、硬化してゲル状の硬化物になるシリコーン
組成物(A) からなる相を設ける工程、該相の表面に、前
記組成物(A) と非相溶性を有する、硬化してエラストマ
ー状もしくはレジン状の硬化物になるシリコーン組成物
(B) からなる層を設ける工程、および組成物(A) からな
る相と組成物(B) からなる層とを同時に硬化させる工程
を有してなる製造方法。 【効果】 相対的に高い硬度、高い強度、高い耐溶剤性
等を有し、硬度と厚さの調節が容易な表面保護層、およ
び相対的に低い硬度、低い強度、高い耐溶剤性、粘着性
等を有する応力緩和層からなる複合体を1回の硬化処理
で製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリコーンゲルからな
る基相と、該相の上に形成されたエラストマーまたはレ
ジンからなる表面層とからなるシリコーン複合体の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコーンのゲル状硬化物は、所謂シリ
コーンゲルと称され、電気絶縁性、電気特性の安定性、
柔軟性等の優れた特性を有するため、電気、電子部品の
ポッティング、封止用として、特にパワートランジスタ
ー、IC、コンデンサー等の制御用回路素子を被覆し、
熱的および機械的障害から保護するための被覆材料とし
て使用されている。
【0003】しかし、シリコーンゲルの表面は粘着性が
強いため、ゴミやホコリが付着しやすく、また、シリコ
ーンゲル上に成形物を重ね置きできない等の作業上の問
題点がある。さらに、機械的強度が不十分であるため付
着したゴミ等を除去する際に、シリコーンゲルが欠損し
たりする問題がある。上述したような欠点を解消する方
法として、以下に述べるように、シリコーンゲル表面に
表面保護層を設ける方法がある。
【0004】(1) シリコーンゲルの表面に、他の有機系
高硬度樹脂の保護層を設ける方法、
【0005】(2) 特公平1−25704 号公報に記載されて
いるように、シリコーンゲルの表面にオルガノハイドロ
ジェンポリシロキサン等を付与し、ゲル表面に拡散させ
た後、加熱硬化させ、表面にエラストマー状もしくはレ
ジン状のシリコーン層を設ける方法、
【0006】(3) 特開昭61−277414号公報に記載されて
いるように、未硬化状態のシリコーンゲル組成物の表面
にオルガノハイドロジェンポリシロキサンを付与し、拡
散しないうちに加熱して内側のシリコーンゲル組成物と
オルガノハイドロジェンポリシロキサンが取り込まれた
表面層を同時硬化させて、シリコーンゲル組成物の表面
にシリコーンエラストマー層を設ける方法、
【0007】(4) 硬化したシリコーンゲルの表面に、硬
化によりシリコーンエラストマー層もしくはシリコーン
レジン層になる組成物を付与し、それを硬化させて表面
層を設ける方法等が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記 (1)
の方法では、層間接着力が不十分のため層間剥離が発生
しやすい。 (2)の方法では、シリコーンゲル表面上にオ
ルガノハイドロジェンポリシロキサンが未硬化のまま残
存することのないように、シリコーンゲル中の残存官能
基と反応する官能基を持ったオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンの種類、量を選択しなければならず、ある
いは硬化後洗浄または払拭する必要がある。 (3)の方法
では、加熱を行う際にはシリコーンゲル組成物は未硬化
状態であるため、該組成物の表面に付与されたオルガノ
ハイドロジェンポリシロキサンが対流によってシリコー
ンゲル組成物中に巻き込まれる。その結果、表面層が不
均一に硬化し、良好な保護層が得られない上に、表面保
護層の厚さおよび硬度の制御が困難である。 (4)の方法
では、シリコーンゲル組成物を硬化した後にシリコーン
エラストマー層もしくはシリコーンレジン層になる組成
物を硬化するため、工程が煩雑になり、時間的にも不利
である。
【0009】そこで本発明の課題は、シリコーンゲルか
らなる基相と、該基相と良好な密着性を有し信頼性の高
いシリコーンエラストマーまたはシリコーンレジンでで
きた表面保護相からなるシリコーン複合体を簡単な工程
で容易に製造することができる製造方法を提供すること
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、シ
リコーンゲルからなる基相とその表面に形成されたシリ
コーンエラストマーまたはシリコーンレジンからなる表
面層とからなるシリコーン複合体の製造方法であって、
【0011】(a-1) 1分子中に含有されるケイ素原子に
結合した全有機基のうち平均 0.025モル%以上がアルケ
ニル基であり、該アルケニル基を除く少くとも2種の有
機基がそれぞれ10モル%以上であり、かつ25℃における
粘度が50〜100,000 cPの範囲にある、1分子中にケイ素
原子に結合したアルケニル基を平均 0.1〜2個有するオ
ルガノポリシロキサン、
【0012】(a-2) ケイ素原子に結合した水素原子を1
分子中に1〜50個有するオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサンであって、該水素原子の数が前記オルガノポリ
シロキサン(a-1) 中のケイ素原子に結合したアルケニル
基1個当たり 0.3〜2.0 個になるように配合されるも
の、および
【0013】(a-3) 付加反応触媒を含有してなり、硬化
してゲル状の硬化物になる硬化性シリコーン組成物(A)
からなる相を設ける工程、該相の表面に、
【0014】(b-1) 1分子中に含有されるケイ素原子に
結合した全有機基のうち平均0.05モル%以上がアルケニ
ル基であり、かつ25℃における粘度が50〜100,000 cPの
範囲にあり、かつ前記オルガノポリシロキサン(a-1) 中
のケイ素原子に結合した全有機基のうち10モル%以上含
有される有機基を含有しない、1分子中にケイ素原子に
結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシ
ロキサン、
【0015】(b-2) ケイ素原子に結合した水素原子を1
分子中に5〜100 個有するオルガノハイドロジェンポリ
シロキサンであって、該水素原子の数が前記オルガノポ
リシロキサン(b-1) 中のケイ素原子に結合したアルケニ
ル基1個当たり 0.3〜2.0 個になるように配合されるも
の、および
【0016】(b-3) 付加反応触媒、を含有する、硬化し
てエラストマー状またはレジン状になる硬化性シリコー
ン組成物からなる層を設ける工程、および、前記組成物
(A) からなる相および組成物(B) からなる層を同時に硬
化に供する工程を有してなる製造方法を提供するもので
ある。
【0017】なお、本明細書において、シリコーンゲル
とはJIS K-6301に規定され、A型スプリング式硬度計で
測定されたゴム硬度が0であるシリコーン硬化物を意味
する。また、ゲル状とは、シリコーン硬化物がこのよう
なシリコーンゲルの状態にあることを意味する。かかる
シリコーンゲルは、一般に、架橋度が低い3次元的網目
構造を有し、応力により変形して振動を吸収したり流動
性を示す。これに対し、エラストマー状とは、前記A型
スプリング式硬度計で測定されたゴム硬度が0より大〜
100 未満の範囲の硬度を有することを意味する。さら
に、レジン状とは、前記A型スプリング式硬度計で測定
されたゴム硬度が 100以上の硬度を有することを意味す
る。
【0018】シリコーン組成物(A) シリコーン組成物(a) は (a-1)〜(a-3) の成分を必須成
分として含み、かつ硬化することによりゲル状の硬化物
になるものである。
【0019】(a-1) オルガノポリシロキサン このオルガノポリシロキサン(a-1) は、1分子中に含有
されるケイ素原子に結合した全有機基のうち平均 0.025
モル%以上がアルケニル基であり、該アルケニル基を除
く少くとも2種の有機基がそれぞれ10モル%以上であ
り、かつ25℃における粘度が10〜100,000 cPの範囲にあ
る、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を平
均 0.1〜2個有するものである。1分子に含有されるケ
イ素原子に結合した全有機基のうちアルケニル基の割合
が平均 0.025モル%より少ないと、シリコーンゲルが得
られにくい。かかるアルケニル基としては、ビニル基、
アリル基、イソプロペニル基、シクロヘキセニル基等が
挙げられる。 (a-1)成分の合成が容易であること、およ
び多くの種類の触媒によって容易に反応することから、
ビニル基が好ましい。
【0020】ケイ素原子に結合したアルケニル基以外の
有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基等のアルキル基、ベンジル基、2-フェニルエチル基等
のアラルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等
のアリール基、あるいはこれらの基の水素原子の一部ま
たは全部をハロゲン原子等で置換したクロロメチル基、
3,3,3-トリフルオロプロピル基等の炭素原子数1〜10、
好ましくは炭素原子数1〜8の非置換または置換の1価
炭化水素基が挙げられる。合成が容易なこと、および得
られるシリコーンゲルからなる基相の耐熱性や物理的性
質が優れたものであることから、メチル基、フェニル
基、3,3,3-トリフルオロプロピル基が好ましいが、後述
する (b-1)成分と非相溶性である点から、 (a-1)成分中
にはこれらの有機基のうち、少くとも2種類が、全有機
基に対して各々10モル%以上含有されることが必要とさ
れる。
【0021】また、このオルガノポリシロキサン(a-1)
の25℃における粘度は、50〜100,000 cP、好ましくは 1
00〜10,000cPである。粘度が50cPよりも低いと、得られ
るシリコーン組成物(A) が流れ易いために作業性が低下
し、該組成物を硬化して得られる硬化物の損失正接等の
物理的性質が不満足なものとなる。一方、粘度が100,00
0 cPよりも高くても得られる組成物の作業性が悪くな
る。
【0022】シリコーン組成物(A) が硬化によりゲル状
硬化物となるためには、 (a-1)成分は、1分子中に含有
されるケイ素原子に結合した全有機基のうち、平均 0.0
25モル%以上がアルケニル基であり、かつ、1分子中に
ケイ素原子に結合したアルケニル基を平均 0.1〜2個有
するものであることが必要である。さらに、このオルガ
ノポリシロキサン(a-1) の分子構造は、直鎖状でも分岐
状でもよい。これらの混合物の形でもよい。
【0023】以上に述べたような (a-1)成分のオルガノ
ポリシロキサンとしては、例えば下記の一般式で表され
るものが挙げられる。
【化1】 〔ここで、x, yおよびzは、0≦x≦1.9, 0.1≦y≦
2, x+y=2の正数;l, m, nはそれぞれ0または
正の整数であり;CH3 −, C 6 H 5 −, CF3 C 2 H 4
のうち少くとも2種がそれぞれケイ素原子に結合した全
有機に対して10モル%以上となる様に適宜選択される〕
【0024】(a-2) オルガノハイドロジェンポリシロキ
サン オルガノハイドロジェンポリシロキサン(a-2) は、前記
(a-1)成分中のアルケニル基と反応してシリコーンゲル
を形成するもので、そのために、ケイ素原子に結合する
水素原子が1分子中に少なくとも1個存在しなければな
らない。このような水素原子は、オルガノハイドロジェ
ンポリシロキサン分子鎖の末端、あるいは途中のいずれ
のケイ素原子に結合していてもよい。
【0025】オルガノハイドロジェンポリシロキサン(a
-2) のケイ素原子に結合した水素原子以外の1価の原子
もしくは基としては、前記 (a-1)のオルガノポリシロキ
サンのケイ素原子に結合したアルケニル基以外の基とし
て例示されたものと同様のものを例示することができ
る。 (a-2)成分を容易に合成することができること、お
よび得られるシリコーンゲルの耐熱性がより優れたもの
となることから、メチル基が好ましい。
【0026】(a-2)成分の配合量は、 (a-1)成分中のケ
イ素原子に結合するアルケニル基1個に対して (a-2)成
分中のケイ素原子に結合する水素原子が 0.3〜2.0 個、
好ましくは 0.5〜1.5 個となる量である。 0.3個より少
ない量であると、得られるシリコーンゲルに残存する未
反応アルケニル基によって、基相の耐熱性が悪くなって
しまう。また、 2.0個より多い量であると組成物(A) が
硬化の際に発泡する恐れがある。
【0027】(a-2)成分は (a-1)成分と相溶性を有する
必要があり、そのためには、後述するように、 (a-2)成
分の主な有機基が、 (a-1)成分が主に有する有機基(例
えばメチル基)と親和性が高いように選択する必要があ
る。または組成物(A) が硬化によりゲル状になるために
は、 (a-2)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子を1
分子中に1〜50個有するものである必要がある。粘度は
特に制限されないが、 (a-2)成分を合成するのに容易で
あること、および作業性がよいことから、25℃において
10〜1,000 cPの範囲であることが好ましい。
【0028】以上に述べたような (a-2)成分のオルガノ
ハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記の一般式
で表されるものが挙げられる。
【化2】 〔ここで、x, yは、x≧0, y≧0, x+y=2の正
数であり;mとnは0≦n≦250,0≦m≦50, 0≦m+
n≦250 の整数である。〕
【0029】(a-3) 付加反応触媒 付加反応触媒(a-3) は、 (a-1)成分中のケイ素原子に結
合するアルケニル基と、 (a-2)成分中のケイ素原子に結
合する水素原子との付加反応(ヒドロシリル化反応)を
促進するものとして知られるいかなる触媒でもよい。通
常、白金族金属系触媒が用いられ、例えば塩化白金酸、
アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とビニルシロキ
サンとの錯体、塩化白金酸−2-エチルヘキサノール溶液
等の白金系触媒、テトラキス(トリフェニルホスフィ
ン) パラジウム、パラジウム黒とトリフェニルホスフィ
ンとの混合物等のパラジウム系触媒、ロジウム触媒等が
挙げられる。中でも塩化白金酸−2-エチルヘキサノール
溶液が好ましい。
【0030】これらの触媒の配合量はいわゆる触媒量で
よい。通常、 (a-1)成分と (a-2)成分との合計量に対し
て、 0.1〜100 ppm (触媒金属元素換算)の範囲であ
る。
【0031】シリコーン組成物(B) シリコーン組成物(B) は (b-1)〜(b-3) の成分を必須成
分として含み、かつ硬化することによりエラストマー状
もしくはレジン状の表面層になるものである。
【0032】(b-1) オルガノポリシロキサン このオルガノポリシロキサン(b-1) は、1分子中に含有
されるケイ素原子に結合した全有機基のうち平均0.05モ
ル%以上がアルケニル基であり、かつ25℃における粘度
が10〜100,000 cPの範囲にあり、かつ前記オルガノポリ
シロキサン(a-1) 中のケイ素原子に結合した全有機基の
うち、10モル%以上含有される少くとも一種の有機基を
含有しない、1分子中にケイ基原子に結合したアルケニ
ル基を2個以上有するものである。1分子に含有される
ケイ素原子に結合した全有機基のうちアルケニル基の割
合が平均0.05モル%より少ないと、エラストー状または
レジン状の硬化物が得難い。かかるアルケニル基として
は、 (a-1)成分について例示のものが挙げられ、ビニル
基が好ましい。
【0033】ケイ素原子に結合したアルケニル基以外の
有機基としても、 (a-1)成分について例示されたものと
同様のものが挙げられ、好ましくはメチル基、フェニル
基であるが、前述した (a-1)成分と非相溶性である点か
ら (b-1)成分中には、 (a-1)成分中のケイ素原子に結合
した全有機基に対して10モル%以上含有される有機基の
うちの少くとも一種を含有しないことが必要である。
【0034】(b-1)成分のオルガノポリシロキサンの25
℃における粘度は、50〜100,000 cP、好ましくは 100〜
10,000cPである。粘度が50cPよりも低いと、得られるシ
リコーン組成物(b) が流れやすく、該組成物を硬化して
得られる硬化物の物理的性質が不満足なものとなる。一
方、粘度が100,000 cPよりも高いと、得られる組成物の
作業性が悪くなる。
【0035】シリコーン組成物(B) が硬化によりエラス
トマー状もしくはレジン状の硬化物になるためには、
(b-1)成分は、1分子中に含有されるケイ素原子に結合
した全有機基のうち、平均0.05モル%以上がアルケニル
基であり、かつ、1分子中にケイ素原子に結合したアル
ケニル基を2個以上有するものである必要がある。
【0036】この (b-1)成分は、 (a-1)成分に対して非
相溶性を有する必要がある。相溶性を有するか、あるい
は非相溶性であるかは、前述した様に (b-1)成分中のケ
イ素原子に結合したアルケニル基以外の有機基の種類お
よび量ならびに (a-1)成分の種類に依存する。代表的な
有機基について親和性の程度を述べると、メチル基、エ
チル基等の低級アルキル基等(便宜上第I群という)は
相互に親和性が高く、有機基が主としてこれらからなる
オルガノポリシロキサン同士は一般に相溶性を有する。
一方、フェニル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、含
ポリエーテル基等(第II群という)の基は前記の第I群
の基と親和性が低いので、主として第I群の有機基から
なるオルガノポリシロキサンと、主として第II群の有機
基を有するオルガノポリシロキサンとは相溶性を有しな
い。さらに具体的には、 (b-1)成分が (a-1)成分に対し
非相溶性を示す例として、下記のものが挙げられる。
【0037】例1) (a-1)成分:ケイ素原子に結合した
アルケニル基以外の有機基がメチル基および3,3,3-トリ
フルオロプロピル基であり、後者の3,3,3-トリフルオロ
プロピル基の割合が平均で30モル%以上であるオルガノ
ポリシロキサン、 (b-1)成分:ポリジメチルシロキサン。
【0038】例2) (a-1)成分:ケイ素原子に結合した
アルケニル基以外の有機基がメチル基およびフェニル基
であり、後者のフェニル基の割合が平均で10モル%以上
であるオルガノポリシロキサン、 (b-1)成分:ポリジメチルシロキサン。
【0039】例3) (a-1)ケイ素原子に結合したアルケ
ニル基以外の有機基がメチル基および3,3,3-トリフルオ
ロプロピル基であり、後者の3,3,3-トリフルオロプロピ
ル基の割合が平均で30モル%以上であるオルガノポリシ
ロキサン、(b-1)ケイ素原子に結合したアルケニル基以
外の有機基がメチル基およびフェニル基であり、後者の
フェニル基の割合が平均で10モル%以上であるオルガノ
ポリシロキサン。
【0040】(b-1)成分のオルガノポリシロキサンの分
子構造は、直鎖状でも分岐状でもよい。これらの混合物
の形でもよい。以上に述べたような (b-1)成分のオルガ
ノポリシロキサンとしては、下記の一般式で表されるも
のが挙げられる。
【化3】 〔ここで、l, m, n, pはそれぞれ0または正の整数
であり、l, m, nのうち少くとも1つは0である。〕
【0041】(b-2) オルガノハイドロジェンポリシロキ
サン 本発明に用いられるオルガノハイドロジェンポリシロキ
サン(b-2) は、前記 (b-1)成分中のアルケニル基と反応
してエラストマー状またはレジン状の硬化物を形成す
る。そのために、ケイ素原子に結合する水素原子が1分
子中に少なくとも1個存在しなければならない。このよ
うな水素原子は、オルガノハイドロジェンポリシロキサ
ン分子鎖の末端、あるいは途中のいずれのケイ素原子に
結合していてもよい。
【0042】オルガノハイドロジェンポリシロキサン(b
-2) のケイ素原子に結合した水素原子以外の基として
は、前記 (b-1)のオルガノポリシロキサンのケイ素原子
に結合したアルケニル基以外の基として例示されたもの
と同様のものを例示することができる。 (b-2)成分を容
易に合成することができること、および得られるシリコ
ーンゲルの耐熱性がより優れたものとなる点では、メチ
ル基が好ましい。
【0043】(b-2)成分の配合量は、 (b-1)成分中のケ
イ素原子に結合するアルケニル基1個に対して (b-2)成
分中のケイ素原子に結合する水素原子が 0.3〜2.0 個、
好ましくは 0.5〜1.5 個となる量である。 0.3個より少
ない量であると、得られる表面層中に残存するアルケニ
ル基によって、該層が有する耐熱性が悪くなってしま
う。また、 2.0個より多い量であると、得られるシリコ
ーン組成物(B) が硬化の際に発泡してしまう恐れがあ
る。
【0044】この (b-2)成分が前記 (b-1)成分に対して
相溶性を有するためには、 (b-2)成分が有する有機基が
(b-1)成分が有する主要な有機基と親和性の高い有機基
である必要がある。上述した親和性の関係に照らして適
当なオルガノハイドロジェンポリシロキサンを選択すれ
ばよい。
【0045】シリコーン組成物(b) を硬化させて得られ
る硬化物がエラストマー状もしくはレジン状のものにな
るためには、 (b-2)成分は、ケイ素原子に結合した水素
原子を1分子中に5〜100 個有するものである必要があ
る。粘度は特に制限されないが、 (b-2)成分を合成する
のに容易であること、および作業性がよいことから、25
℃において10〜1,000 cPの範囲であることが好ましい。
【0046】以上に述べたような (b-2)成分のオルガノ
ハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記の一般式
で表されるものが挙げられる。
【化4】 〔ここで、x, yは、x≧0, y≧0, x+y=2の
数;mとnは0≦m, 3≦n≦100 の整数である。〕
【0047】(b-3) 付加反応触媒 (b-3)成分に用いられる付加反応触媒としては、 (a-3)
成分として説明したものと同様の触媒を使用することが
できる。配合量はいわゆる触媒量でよい。通常、 (b-1)
と (b-2)との合計量に対して、 0.1〜100 ppm (触媒金
属元素換算)の範囲である。
【0048】また、組成物(B) の組成、および組成物
(B) の使用量を変化させることによって、得られる複合
体の表面層の硬度および厚さを調節することが可能であ
る。具体的には、 (b-1)成分中のアルケニル基の量、
(b-2)成分中のケイ素原子結合水素原子(Si-H基)の量
を増加することにより硬化物の硬度を上げることがで
き、組成物(B)の使用量(注入量)を増加することで表
面層の厚さを厚くすることができる。
【0049】本発明の好ましい一態様においては、組成
物(B) に自己接着性シリコーン組成物を使用する。組成
物(B) の自己接着性は、アルコキシシリル基とケイ素原
子に結合した水素原子とを分子中に有するオルガノシロ
キサンあるいはアルコキシシリル基とケイ素原子に結合
したアルケニル基とを分子中に有するオルガノシロキサ
ン等を接着助剤として、組成物中に配合することによっ
て達せられる。
【0050】その他の配合剤 シリコーン組成物(A) およびシリコーン組成物(B) に
は、さらに、必要に応じて、前記の成分以外にも、硬化
性シリコーン組成物に従来添加することが知られている
添加剤を添加してよい。例えばアセチレンアルコール化
合物等の反応制御剤、炭酸マンガン、カーボンブラック
等の難燃性付与剤、染料、顔料等の着色剤、耐熱安定
剤、耐油安定剤等である。さらに、硬化して得られる硬
化物の振動吸収性を向上させるために、内部に低沸点化
合物を含む有機ポリマー充填剤等を必要に応じて配合し
てよい。ただし、これらの任意的な添加剤は、組成物
(A) の場合には、硬化させて得られる硬化物がゲル状と
なること、組成物(B) の場合には、得られる硬化物がエ
ラストマー状もしくはレジン状なることを阻害すること
があってはならない。
【0051】シリコーン組成物(A) からなる相を設ける
工程 シリコーン組成物(A) からなる相を設けるには、目的と
する所定の形状の型内もしくは支持体表面に該組成物
(A) を塗布する、噴霧する、注入する、射出する、押し
出す、滴下する、落下させる等の方法がある。
【0052】シリコーン組成物(B) からなる層を設ける
工程 上記にようにして設けられたシリコーン組成物(A) から
なる相の表面に、シリコーン組成物(B) を塗布する、噴
霧する、注入する、射出する、押し出す等の方法により
適用し、組成物(B) の表面層を設ける。組成物(A) と組
成物(B) とは、それぞれの主成分が非相溶性であるため
に、組成物としても非相溶性である。そのため、これら
の組成物は積層したことによって相互に混合したり、拡
散しあうことがない。
【0053】硬化工程 上記の工程により、未硬化の基相に未硬化の表面層が積
層されたものが得られるが、これらを一体として同時に
硬化処理に供する。これにより、シリコーンゲルからな
る基相とエラストマーまたはレジンからなる表面層とか
らなるシリコーン複合体を得ることができる。硬化の条
件としては、通常の硬化条件でよく、例えば60〜150 ℃
程度の温度で、30〜180 分程度の加熱処理でよい。
【0054】用途 本発明の方法により得られるシリコーン複合体は、内部
のシリコーンゲル相が応力緩和相として、表面層である
シリコーンエラストマーまたはレジンの層が表面保護層
として効果的に機能するので、各種の電気、電子部品や
半導体素子の表面の被覆剤として有用である。また、本
発明のシリコーン複合体は、各種のプラスチック、金
属、ガラス等のいずれの基材の表面にも成形することが
できる。
【0055】
【実施例】以下の記載において、粘度は25℃における値
を示す。実施例1 (1) 平均で下記の式:
【化5】 (式中、構成単位はランダムに配列されている)で表さ
れ、粘度 700cPのオルガノポリシロキサン 100重量部、
下記の式:
【化6】
【0056】で表され、粘度2cPであるオルガノハイド
ロジェンポリシロキサン 3.8重量部、および、塩化白金
酸−2-エチルヘキサノール溶液5ppm (白金換算)を混
合機に仕込み、均一に混合して、シリコーン組成物(A-
1)を得た。
【0057】(2) 平均で下記の式:
【化7】 で表され、粘度 100cPであるオルガノポリシロキサン 1
00重量部、平均で下記の式:
【化8】
【0058】(式中、構成単位はランダムに配列されて
いる)で表され、粘度10cPであるオルガノハイドロジェ
ンポリシロキサン7重量部、および、塩化白金酸−2-エ
チルヘキサノール溶液5ppm (白金換算)を混合機に仕
込み、均一に混合して、シリコーン組成物(B-1)を得
た。
【0059】(3) シリコーン組成物(A-1)20gを直径5
cmのアルミシャーレに注入し、続けてその表面にシリコ
ーン組成物(B-1)2gを積層して積層物を得た。この積
層物を温度60℃で2時間加熱したところ、粘着性のない
エラストマー状の表面層と、耐寒性を有するゲル状の基
相からなる透明なシリコーン複合体が得られた。
【0060】実施例2 (1) 下記の構造式:
【化9】 で表され、粘度1000cPであるオルガノポリシロキサン 1
00重量部、平均で下記の式:
【化10】
【0061】(式中、構成単位はランダムに配列されて
いる)で表され、粘度28cPであるオルガノハイドロジェ
ンポリシロキサン5重量部、塩化白金酸−2-エチルヘキ
サノール溶液5ppm (白金換算)および、充填剤とし
て、結晶性シリカ粉末50重量部、を混合機に仕込み、均
一に混合して、シリコーン組成物(A-2)を得た。
【0062】(2) 平均で下記の式:
【化11】 (式中、構成単位はランダムに配列されている)で表さ
れ、粘度 700cPのオルガノポリシロキサン 100重量部、
下記の構造式:
【化12】
【0063】で表され、粘度2cpのオルガノハイドロジ
ェンポリシロキサン7重量部、および、塩化白金酸−2-
エチルヘキサノール溶液5ppm (白金換算)を混合機に
仕込み、均一に混合して、シリコーン組成物(B-2) を得
た。前記のシリコーン組成物(A-2) 20gを直径5cmのア
ルミシャーレに注入し、続けてその表面にシリコーン組
成物(B-2) 2gを積層した。得られた積層組成物を温度
60℃で2時間加熱したところ、粘着性のないエラストマ
ー状の表面層と、耐寒性を有するゲル状の内部層からな
る透明なシリコーン複合体が得られた。
【0064】実施例3 (1) 平均で下記の式:
【化13】 (式中、構成単位はランダムに配列されている)で表さ
れ、粘度 800cPのオルガノポリシロキサン 100重量部、
下記の構造式:
【化14】
【0065】で表され、粘度 150cPのオルガノハイドロ
ジェンポリシロキサン15重量部、および、塩化白金酸−
2-エチルヘキサノール溶液5ppm (白金換算)を混合機
に仕込み、均一に混合して、シリコーン組成物(A-3) を
得た。
【0066】(2) 下記の構造式:
【化15】 で表され、粘度 100cPのオルガノポリシロキサン 100重
量部、平均で下記の式:
【化16】
【0067】(式中、構成単位はランダムに配列されて
いる)で表され、粘度10cPのオルガノハイドロジェンポ
リシロキサン8重量部、および、塩化白金酸−2-エチル
ヘキサノール溶液5ppm (白金換算)を混合機に仕込
み、均一に混合して、シリコーン組成物(B-3) を得た。
【0068】(3) シリコーン組成物(A-3) 20gを直径5
cmのアルミシャーレに注入し、続けてその表面にシリコ
ーン組成物(B-3) 2gを積層した。得られた積層物を温
度60℃で2時間加熱したところ、粘着性のないエラスト
マー状の表面層と、耐寒性を有するゲル状の内部層から
なる透明なシリコーン複合体が得られた。
【0069】実施例4 (1) 下記の構造式:
【化17】 で表され、粘度1000cPのオルガノポリシロキサン 100重
量部、平均で下記の式:
【化18】
【0070】(式中、構成単位はランダムに配列されて
いる)で表され、粘度100cPのオルガノハイドロジェン
ポリシロキサン5重量部、塩化白金酸−2-エチルヘキサ
ノール溶液5ppm (白金換算)および、充填剤として、
結晶性シリカ粉末50重量部、を混合機に仕込み、均一に
混合して、シリコーン組成物(A-4) を得た。
【0071】(2) 平均で下記の式:
【化19】 (式中、構成単位はランダムに配列されている)で表さ
れ、粘度 800cPのオルガノポリシロキサン 100重量部、
下記の構造式:
【化20】
【0072】で表され、粘度 150cPであるオルガノハイ
ドロジェンポリシロキサン30重量部、および、塩化白金
酸−2-エチルヘキサノール溶液5ppm (白金換算)を混
合機に仕込み、均一に混合して、シリコーン組成物(B-
4) を得た。
【0073】(3) シリコーン組成物(A-4) 20gを直径5
cmのアルミシャーレに注入し、続けてその表面にシリコ
ーン組成物(B-4) 2gを積層した。得られた積層物を温
度60℃で2時間加熱したところ、粘着性のないエラスト
マー状の表面層と、耐寒性を有するゲル状の内部層から
なる透明なシリコーン複合体が得られた。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、相対的に高い硬度、高
い強度、高い耐溶剤性等を有し、硬度と厚さの調節が容
易な表面保護層、および相対的に低い硬度、低い強度、
高い耐溶剤性、粘着性等を有する応力緩和層からなる複
合体を1回の硬化処理で製造できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコーンゲルからなる基相とその表面
    に形成されたシリコーンエラストマーまたはシリコーン
    レジンからなる表面層とからなるシリコーン複合体の製
    造方法であって、 (a-1) 1分子中に含有されるケイ素原子に結合した全有
    機基のうち平均 0.025モル%以上がアルケニル基であ
    り、該アルケニル基を除く少くとも2種の有機基がそれ
    ぞれ10モル%以上であり、かつ25℃における粘度が50〜
    100,000 cPの範囲にある、1分子中にケイ素原子に結合
    したアルケニル基を平均 0.1〜2個有するオルガノポリ
    シロキサン、 (a-2) ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に1〜
    50個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであ
    って、該水素原子の数が前記オルガノポリシロキサン(a
    -1) 中のケイ素原子に結合したアルケニル基1個当たり
    0.3〜2.0 個になるように配合されるもの、および (a-3) 付加反応触媒 を含有してなり、硬化してゲル状の硬化物になる硬化性
    シリコーン組成物(A) からなる相を設ける工程、 該相の表面に、 (b-1) 1分子中に含有されるケイ素原子に結合した全有
    機基のうち平均0.05モル%以上がアルケニル基であり、
    かつ25℃における粘度が50〜100,000 cPの範囲にあり、
    かつ前記オルガノポリシロキサン(a-1) 中のケイ素原子
    に結合した全有機基のうち10モル%以上含有される有機
    基を含有しない、1分子中にケイ素原子に結合したアル
    ケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、 (b-2) ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に5〜
    100 個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンで
    あって、該水素原子の数が前記オルガノポリシロキサン
    (b-1) 中のケイ素原子に結合したアルケニル基1個当た
    り 0.3〜2.0 個になるように配合されるもの、および (b-3) 付加反応触媒、を含有する、硬化してエラストマ
    ー状またはレジン状になる硬化性シリコーン組成物から
    なる層を設ける工程、および、 前記組成物(A) からなる相および組成物(B) からなる層
    を同時に硬化に供する工程を有してなる製造方法。
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