JPH0569319A - 研磨制御方法及びその装置 - Google Patents

研磨制御方法及びその装置

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JPH0569319A
JPH0569319A JP3258486A JP25848691A JPH0569319A JP H0569319 A JPH0569319 A JP H0569319A JP 3258486 A JP3258486 A JP 3258486A JP 25848691 A JP25848691 A JP 25848691A JP H0569319 A JPH0569319 A JP H0569319A
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polishing
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coating
control
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワーク表面の欠陥部の研磨に影響を及ぼす複
数の表面状態量に基いて最適な研磨速度を設定し得るよ
うな研磨制御方法及びその装置を提供する。 【構成】 自動車の塗装欠陥部を研磨ツールで研磨する
ときの研磨速度に影響を及ぼす複数の表面状態量に基い
て研磨速度を制御する為に、複数の表面状態量のメンバ
ーシップ関数と、複数の表面状態量と研磨速度の対応関
係を規定する複数のファジィ制御規則とを予め設定し、
前記複数の表面状態量の検出値及び/又は設定値をメン
バーシップ関数とファジィ制御規則とに適用し、図14
に示すように重心法により最適な研磨速度を設定する。
尚、各塗装欠陥の研磨に許容される研磨時間も前件部変
数として扱い、塗装欠陥の多少に応じて研磨時間を変
え、タクト時間をキープし得る研磨速度を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、研磨制御方法及び研磨
制御装置に関し、特にワークの塗装欠陥を研磨する研磨
速度をファジィ制御により設定するようにしたものに関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車製造工場のボディ表面の塗装には
微小な塗装欠陥が発生することから、塗装ラインの下流
側には水研加工ラインが設けられ、水研加工ラインの検
査工程において、撮像装置により塗装欠陥の検出が実行
され、検査工程の下流側の研磨工程において塗装欠陥部
の研磨が実行される。前記塗装欠陥は、ロボットに撮像
装置を装着して自動的に塗装欠陥を検出する技術が実用
化されつつあるが、ロボットを用いて塗装欠陥を自動的
に研磨する自動化技術は未だ確立されておらず、現在の
ところ専ら人手により或いは半自動化された研磨装置に
より研磨しているのが実情である。例えば、特公昭60
−39508号公報には、研磨ツールを取付けた支持ア
ームを研磨位置と非研磨位置とに亙って揺動自在に支持
し、支持アームを研磨位置側へ付勢する押圧ウェイトを
設け、この押圧ウェイトを介して研磨の押圧力を一定化
する技術が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記塗装欠陥の研磨を
自動化する場合、研磨速度を制御する技術が必須不可欠
である。研磨速度を一定に制御する場合には、欠陥の種
類(凹凸)や大きさや塗膜の硬度に応じて最適の研磨速
度で研磨できず、研磨品質が低下すること、また予想さ
れる最大欠陥発生数に基いて水研工程のタクト時間を設
定することになるためタクト時間が長くなること、など
の問題がある。特に、研磨時間に余裕があれば、研磨品
質の観点からは極力低速で研磨することが望ましいが、
ボディ1台当たりに発生する塗装欠陥の数も種々異な
り、塗装欠陥の種類や大きさも種々にわたり、塗装の仕
様に応じて塗膜の硬度も異なり、研磨ツールを塗装欠陥
に押し付ける押付け力も一定にはならないことから、個
々の塗装欠陥を研磨する研磨速度を最適に設定すること
は大変難しい。本発明の目的は、欠陥部の研磨に影響を
及ぼす複数の表面状態量に基いて最適な研磨速度を設定
し得るような研磨制御方法及び研磨制御装置を提供する
ことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る研磨制御
方法は、ワークの表面に検出された欠陥部を研磨ツール
で研磨するときの研磨速度に影響を及ぼす複数の表面状
態量に基いて、研磨速度を制御する研磨制御方法におい
て、前記複数の表面状態量が研磨速度に及ぼす影響度合
を夫々設定した複数のメンバーシップ関数と、複数の表
面状態量と研磨速度の対応関係を規定する複数のファジ
ィ制御規則とを予め設定し、前記複数の表面状態量の検
出値及び/又は設定値をメンバーシップ関数とファジィ
制御規則とに適用して研磨速度を設定することを特徴と
するものである。
【0005】請求項2に係る研磨制御方法は、請求項1
の方法において、前記ワークの表面に検出された欠陥部
がワークの表面の塗装欠陥であることを特徴とするもの
である。
【0006】請求項3に係る研磨制御方法は、請求項2
の方法において、前記複数の表面状態量が、少なくとも
塗装欠陥の大きさと、塗装欠陥の凹状の度合いと、塗装
欠陥の凸状の度合いとを含むことを特徴とするものであ
る。
【0007】請求項4に係る研磨制御方法は、請求項3
の方法において、各塗装欠陥の研磨に許容される研磨時
間が研磨速度に及ぼす影響度合を設定したメンバーシッ
プ関数を予め設定するとともに、前記複数のファジィ制
御規則に研磨時間を前件部変数として組み込んだことを
特徴とするものである。
【0008】請求項5に係る研磨制御装置は、ワークの
表面に検出された欠陥部を研磨ツールで研磨するときの
研磨速度に影響を及ぼす複数の表面状態量に基いて、研
磨速度を制御する研磨制御装置において、前記複数の表
面状態量が研磨速度に及ぼす影響度合を夫々設定した複
数のメンバーシップ関数と、複数の表面状態量と研磨速
度の対応関係を規定する複数のファジィ制御規則とを予
め設定して格納した記憶手段と、前記複数の表面状態量
の検出値及び/又は設定値を記憶手段から読み出したメ
ンバーシップ関数とファジィ制御規則とに適用して、研
磨ツールを駆動するアクチュエータの研磨速度を設定す
る制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】請求項1に係る研磨制御方法においては、ワー
クの表面に検出された欠陥部を研磨ツールで研磨すると
きの研磨速度に影響を及ぼす複数の表面状態量に基い
て、研磨速度を制御するに当たり、複数の表面状態量が
研磨速度に及ぼす影響度合を夫々設定した複数のメンバ
ーシップ関数と、複数の表面状態量と研磨速度の対応関
係を規定する複数のファジィ制御規則とを予め設定し、
複数の表面状態量の検出値及び/又は設定値をメンバー
シップ関数とファジィ制御規則とに適用して研磨速度を
設定するので、メンバーシップ関数とファジィ制御規則
とを適切に設定しておけば、欠陥の大きさやワークの表
面の硬度などの複数の表面状態量を勘案して研磨速度を
最適に設定することができ、研磨品質を向上させること
ができる。
【0010】請求項2に係る研磨制御方法においては、
基本的に請求項1と同様の作用が得られるうえ、前記ワ
ークの表面に検出された欠陥部がワークの表面の塗装欠
陥であるから、自動車のボディの塗装面などワークの表
面の塗装欠陥を研磨する研磨品質を高めてワークの表面
仕上がりを改善できる。
【0011】請求項3に係る研磨制御方法においては、
基本的に請求項2と同様の作用が得られるうえ、前記複
数の表面状態量が、少なくとも塗装欠陥の大きさと、塗
装欠陥の凹状の度合いと、塗装欠陥の凸状の度合いとを
含むので、これら塗装欠陥を特徴付ける代表的な表面状
態量に基いて研磨速度を最適に設定できる。
【0012】請求項4に係る研磨制御方法においては、
基本的に請求項3と同様の作用が得られるうえ、各塗装
欠陥の研磨に許容される研磨時間が研磨速度に及ぼす影
響度合を設定したメンバーシップ関数を予め設定すると
ともに、前記複数のファジィ制御規則に研磨時間を前件
部変数として組み込んだので、研磨許容時間を加味して
研磨速度を設定できるから、研磨許容時間の枠内で研磨
速度を極力低く設定して研磨品質を向上でき、塗装欠陥
数の多少に応じて研磨許容時間を変更できるのでタクト
時間が長くなることもない。
【0013】請求項5に係る研磨制御装置においては、
ワークの表面に検出された欠陥部を研磨ツールで研磨す
るときの研磨速度に影響を及ぼす複数の表面状態量が研
磨速度に及ぼす影響度合を夫々設定した複数のメンバー
シップ関数と複数の表面状態量と研磨速度の対応関係を
規定する複数のファジィ制御規則とを予め設定して格納
した記憶手段と、前記複数の表面状態量の検出値及び/
又は設定値を記憶手段から読み出したメンバーシップ関
数とファジィ制御規則とに適用して、研磨ツールを駆動
するアクチュエータの研磨速度を設定する制御手段とを
設けたことにより、前記請求項1と同様に欠陥の大きさ
やワークの表面の硬度などの複数の表面状態量を勘案し
て研磨速度を最適に設定することができ、研磨品質を向
上させることができる。
【0014】
【発明の効果】請求項1に係る研磨制御方法によれば、
前記作用の項で説明したように、複数のメンバーシップ
関数と複数のファジィ制御規則とを予め設定し、複数の
表面状態量の検出値及び/又は設定値をメンバーシップ
関数とファジィ制御規則とに適用して研磨速度を設定す
るので、メンバーシップ関数とファジィ制御規則とを適
切に設定しておけば、欠陥の大きさやワークの表面の硬
度などの複数の表面状態量を勘案して研磨速度を最適に
設定することができ、研磨品質を向上させることができ
る。
【0015】請求項2に係る研磨制御方法によれば、基
本的に請求項1と同様の効果が得られるうえ、自動車の
ボディの塗装面などワークの表面の塗装欠陥を研磨する
研磨品質を高めてワークの表面仕上がりを改善できる。
【0016】請求項3に係る研磨制御方法によれば、基
本的に請求項2と同様の効果が得られるうえ、少なくと
も塗装欠陥の大きさと、塗装欠陥の凹状の度合いと、塗
装欠陥の凸状の度合いなど塗装欠陥を特徴付ける代表的
な表面状態量に基いて研磨速度を最適に設定できる。
【0017】請求項4に係る研磨制御方法によれば、基
本的に請求項3と同様の効果が得られるうえ、研磨許容
時間を加味して研磨速度を設定できるから、研磨許容時
間の枠内で研磨速度を極力低く設定して研磨品質を向上
でき、塗装欠陥数の多少に応じて研磨許容時間を変更で
きるのでタクト時間が長くなることもない。
【0018】請求項5に係る研磨制御装置によれば、複
数のメンバーシップ関数と複数のファジィ制御規則とを
予め設定して格納した記憶手段と、前記複数の表面状態
量の検出値及び/又は設定値を記憶手段から読み出した
メンバーシップ関数とファジィ制御規則とに適用して、
研磨ツールを駆動するアクチュエータの研磨速度を設定
する制御手段とを設けたことにより、前記請求項1と同
様に欠陥の大きさやワークの表面の硬度などの複数の表
面状態量を勘案して研磨速度を最適に設定することがで
き、研磨品質を向上させることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。本実施例は、自動車製造工場の水研加工ライ
ンの研磨ステーションにおいて、車体の塗装欠陥部位を
研磨する際の研磨制御方法及びその装置に本発明を適用
したものである。先ず、水研加工ラインLについて簡単
に説明する。図1に示すように、中塗塗装ライン(図示
略)の下流側に設けられた水研加工ラインLには、上流
側から検査ステーションL1、研磨ステーションL2及
び水洗ステーションL3が設けられている。
【0020】検査ステーションL1には、車体Bのボン
ネット、ルーフ及びトランクリッドの塗装面を検査する
検査制御装置1Aと、車体Bの左右のフロントフェン
ダ、ドア及びリヤフェンダの塗装面を夫々検査する検査
装置1B・1Cが配設され、検査装置1A〜1Cは、夫
々6軸の自由度を有する多関節型のロボット2と、撮像
ヘッド及び投光器などを備えロボット2のハンド部2a
に装着された撮像装置3と、制御装置4などで構成され
ている。制御装置4は、CPUとROMとRAMとを含
むコンピュータと入出力インターフェイスとドライバな
どを備え、ROMには、ロボット2と撮像装置3を駆動
制御するとともに撮像装置3で撮像した画像信号を画像
処理するための検査制御プログラムが格納されている。
ボンネットなどの車体Bの各部位の塗装面には、複数分
割した撮像領域が予め設定されるとともに、各撮像領域
についてその撮像領域を撮像装置3で撮像するための撮
像ポイントと撮像順序を示す撮像領域Noとが予め設定
されている。車体Bの各部位の塗装面を検査する際に
は、検査装置1A〜1Cの撮像装置3は、ロボット2を
介して撮像ポイントに亙って順次移動駆動され、撮像ポ
イントにおいて所定の撮像姿勢で撮像領域を撮像する。
撮像領域の画像信号は、制御装置4において画像処理さ
れ、その画像データに基いて塗装欠陥部位の有無が検出
され、塗装欠陥部位が検出された場合には、塗装欠陥部
位の位置、塗装欠陥が凹欠陥か凸欠陥かの欠陥の種類、
凹欠陥における欠陥の深さ又は凸欠陥における欠陥の高
さ及び塗装欠陥の大きさが演算されるとともに、ライン
タクトに基いて各塗装欠陥部位について許容される研磨
時間が演算され、その結果が撮像領域Noとともに塗装
欠陥データとして記憶され、車体Bの検査終了後、検査
装置1A〜1Cの各制御装置4から、研磨ステーション
L2に配設された後述の研磨装置11A〜11Cの対応
する制御装置14に転送されるようになっている。
【0021】研磨ステーションL2には、車体Bのボン
ネット、ルーフ及びトランクリッドの塗装欠陥部位を研
磨する研磨装置11Aと、車体Bの左右のフロントフェ
ンダ、ドア及びリヤフェンダの塗装欠陥部位を夫々研磨
する研磨装置11B・11Cが配設され、研磨装置11
A〜11Cは、夫々6軸の自由度を有する多関節型のロ
ボット12と、図2に示すように、ロボット12のハン
ド部12aに装着され砥石15を有する研磨ツール13
と、制御装置14などで構成されている。研磨ツール1
3の内部には、砥石15を回転駆動するACサーボモー
タ16と塗装欠陥部位を研磨する際の砥石15の塗装欠
陥部位に対する押付圧を検出する力センサ17とが内蔵
されている。制御装置14は、CPUとROMとRAM
とを含むコンピュータと入出力インターフェイスとドラ
イバなどを備え、ROMには、研磨ステーションL2に
搬送されてきた車体Bの塗装欠陥部位を研磨する際に、
塗装欠陥データなどに基いてロボット12を駆動制御す
るとともに塗装欠陥部位に対して最適な研磨を施すため
に塗装欠陥データなどに基いてファジィ制御手法により
研磨ツール13のACサーボモータ15の回転数を決定
して研磨するための後述の研磨制御プログラムが格納さ
れ、またRAMには、塗装欠陥データなど制御に必要な
種々のデータを記憶するためのメモリが設けられてい
る。
【0022】図3に示すように、水研加工ラインLに
は、外部から生産情報を受ける生産情報ネット端末器2
0が設けられ、生産情報ネット端末器20と検査装置1
A〜1Cの制御装置4と研磨装置11A〜11Cの制御
装置14とはバスで接続され、生産情報ネット端末器2
0を介して制御装置4には車体Bの車種データなどが入
力され、制御装置14には車種データと車体Bの塗装面
の塗膜硬度のデータなどが入力され、これらデータは制
御装置4・14のメモリに記憶されるようになってい
る。水洗ステーションL3は、研磨後の車体Bを水洗い
するために設けられ、水洗ステーションL3には、シャ
ワー7とブラシ8・9が配設されている。
【0023】ここで、塗装欠陥部位についての研磨条
件、即ち研磨時間、欠陥の大きさ、塗膜硬度及び砥石1
5の塗装欠陥部位に対する押付圧と、塗装欠陥部位を研
磨する際の砥石15の回転数、即ちACサーボモータ1
5の回転数との関係について図4〜図7に基いて説明す
る。尚、砥石15の回転数が研磨速度に相当する。研磨
時間については、砥石15の回転数を低回転にしてゆっ
くりと研磨を行うほうが仕上がり状態がよくなることか
ら、図4に示すように、許容される研磨時間が多いほど
砥石15の回転数を低回転に設定する。欠陥の大きさに
ついては、砥石15の回転数を高回転にして小さい塗装
欠陥を研磨すると仕上がり状態のバラツキが大きくなる
ことから、図5に示すように、欠陥の大きさが小さいほ
ど砥石15の回転数を低回転に設定する。但し、欠陥の
大きさが同じでも凹欠陥を研磨する場合には、凸欠陥を
研磨するときよりも砥石15の回転数を高回転に設定す
る必要がある。塗膜硬度については、塗膜硬度が硬いほ
ど砥石15の回転数を高回転にして研磨を行う必要があ
ることから、図6に示すように設定する。砥石15の押
付圧については、押付圧が大きいほど効率良く研磨でき
ることから、図7に示すように、押付圧が大きいほど砥
石15の回転数を低回転に設定する。
【0024】次に、ファジィ制御によりACサーボモー
タ16の最適回転数を決定する制御において用いる後述
の「IF〜THENルール」の制御規則の前件部と後件
部のファジィ変数について説明する。塗装欠陥データ、
生産情報及び力センサ17の検出値として制御装置14
に入力される塗装欠陥部位についての研磨条件、即ち研
磨時間(GRTM)、凸欠陥における欠陥の高さ又は凹
欠陥における欠陥の深さ(FL)、欠陥の大きさ(FL
SZ)、塗膜硬度(PTHD)及び砥石15の押付圧
(GRPR)が前件部のファジィ変数として設定され、
ACサーボモータ16の回転数(GRSD)が後件部の
ファジィ変数として設定されている。図8〜図14に示
すように、これらファジィ変数の夫々のメンバーシップ
関数が設定され、メンバーシップ関数は、研磨制御の制
御プログラムに付随させてROMに予めテーブルとして
格納されている。尚、図11〜図14において、SA、
SM、MM、ML及びLAは、夫々「小さい」、「少し
小さい」、「普通」、「少し大きい」及び「大きい」と
いうファジィ変数のメンバーシップ関数のラベルを示
す。
【0025】次に、前記制御規則について表1に基いて
説明する。尚、制御規則は、塗装欠陥が凸欠陥である場
合にも、凹欠陥である場合にも同様に適用されるので、
凸欠陥について説明し、凹欠陥については異なる点のみ
補足的に説明する。
【表1】 表1に示すように、制御規則は、塗膜硬度、砥石15の
押付圧及び欠陥の大きさと、砥石15の回転数との前述
した関係を加味して16通り設定されている。例えば、
制御規則1は、「IF GRTM=○、FL=○、PT
HD(SA)=○THEN GRSD(SA)=○」と
いう推論を示す。以下、制御規則2〜16についても同
様である。各制御規則において、前件部の○印は、研磨
時間、凸欠陥の高さ、塗膜硬度、砥石15の押付圧及び
欠陥の大きさの確定した入力値についての対応するメン
バーシップ関数のグレード値を示す。
【0026】制御規則を実行する際の手順について説明
すると、例えば、制御規則1においては、研磨時間と、
凸欠陥の高さと、塗膜硬度の正規化した入力値について
の対応するメンバーシップ関数のグレード値が夫々得ら
れたとすると、これらグレード値のうちの最小のグレー
ド値を選択し、次にその最小のグレード値をACサーボ
モータ16の回転数のラベルSAのメンバーシップ関数
のグレード値として設定する。以下、制御規則2〜16
についても同様の手順を実行する。尚、塗装欠陥が凹欠
陥である場合には、凹欠陥の深さについてのメンバーシ
ップ関数を適用するものとする。次にこうして得られた
最小のグレード値でもって対応するメンバーシップ関数
を削り落とし、次に削り落としたメンバーシップ関数を
重ね合わせ、次に重ね合わせたメンバーシップ関数の領
域の重心を求め、次にこの重心に対応するACサーボモ
ータ16の回転数を求める。
【0027】次に、研磨制御のルーチンについて図15
のフローチャートに基いて説明する。但し、図中Si
(i=1、2、・・・)は各ステップを示す。尚、この
制御は、研磨装置11A〜11Cについて同様に実行さ
れる。また、車体Bが研磨ステーションL2の所定位置
まで搬送されてきたときにルーチンが起動するものとす
る。ルーチンが起動すると、メモリのクリアや研磨した
塗装欠陥部位の数をカウントするカウンタのクリアなど
の初期設定が実行され(S1)、次に研磨ツール13が
所定の研磨姿勢で最初に研磨すべき塗装欠陥部位上に位
置するようにロボット12が駆動制御される(S2)。
次に後述の研磨処理制御が実行され、塗装欠陥部位が研
磨される(S3)。研磨終了後、カウンタがインクリメ
ントされ(S4)、次に全塗装欠陥部位の研磨が終了し
たか否かが判定され(S5)、終了していない場合には
(S5:No)、S2に移行して研磨ツール13が次に
研磨すべき塗装欠陥部位に移動駆動され、以下同様にS
3〜S5が実行される。このようにして全塗装欠陥部位
の研磨が終了すると(S5:Yes)、ロボット12は
初期位置に戻され(S6)、ルーチンを終了する。
【0028】次に前記研磨処理制御のルーチンについて
図16のフローチャートに基づいて説明する。但し、図
中Si(i=10、11、・・・)は各ステップを示
す。尚、この制御は、研磨ツール13の砥石15が塗装
欠陥部位に当接して力センサ17から塗装欠陥部位に対
する砥石15の押付圧が入力されたときに起動するもの
とする。ルーチンが起動すると、力センサ17から入力
された最初の押付圧の入力値がデータとして記憶され
(S10)、次に塗装欠陥部位データ、塗膜硬度データ
及び押付圧データが読出され(S11)、次に前述した
ように制御規則1〜16が順次実行される(S12)。
例えば、塗装欠陥が凸欠陥であって、その塗装欠陥部位
についての研磨時間、欠陥の高さ、塗膜硬度、砥石15
の押付圧及び欠陥の大きさの正規化された入力値が夫々
0.7、0.2、0.8、0.3、0.8であるとする
と、対応するメンバーシップ関数のグレード値は、夫々
図8・図9・図11〜図13及び表2に示した値とな
る。この場合、16通りの制御規則のうち前件部が成立
するのは制御規則4・5・7・8・14・15だけであ
る。次にこれら制御規則の夫々の前件部の3組のグレー
ド値のうちの最小のグレード値を選択し、表2に示すよ
うにその最小のグレード値を対応する後件部のラベルの
メンバーシップ関数のグレード値に設定する。尚、後件
部のラベルLLは「非常に大きい」というメンバーシッ
プ関数を示す。
【表2】
【0029】次に、図17に一点鎖線で示したように、
前記最小のグレード値を用いてラベルSM、MM、ML
及びLAのメンバーシップ関数を削り落とし、図17に
斜線で示したように、削り落としたメンバーシップ関数
の重ね合わせを行う(S13)。次に重ね合わせたメン
バーシップ関数の領域の重心Gを求め(S14)、次に
この重心Gに対応するACサーボモータ16の回転数を
求め、この回転数に基いてACサーボモータ16の駆動
電流値を決定する。その後この駆動電流値でACサーボ
モータ16を回転駆動して砥石15を回転させ、塗装欠
陥部位を設定された研磨時間研磨する(S16)。
【0030】このように塗装欠陥部位に対する許容され
る研磨時間、欠陥の度合い及び欠陥の大きさなどの研磨
条件の夫々についてメンバーシップ関数を設定するとと
もに、研磨条件の夫々の検出値及び/又は設定値とAC
サーボモータ16の回転数との対応関係を規定する制御
規則とを予め設定し、これら検出値及び/又は設定値を
メンバーシップ関数とファジィ制御規則とに適用してA
Cサーボモータ16の回転数を設定するので、ACサー
ボモータ16の回転数を最適に設定することができ、車
体Bの塗装欠陥部位の研磨品質を向上させることができ
る。また、許容される研磨時間を加味してACサーボモ
ータ16の回転数を設定するので、研磨時間の枠内で研
磨速度を極力低く設定して研磨品質を向上でき、塗装欠
陥数の多少に応じて研磨許容時間を変更できるのでタク
ト時間が長くなることもない。
【0031】尚、前記研磨処理制御を、ファジィ・メモ
リ、ファジィ推論エンジン、CーMAX回路及びデファ
ジィファイヤなどで構成されるファジィ推論プロセッサ
を用いて実行するようにしてもよい。また、制御規則の
ファジィ変数のメンバーシップ関数は、図示した特性に
限らず種々の特性に設定することも有り得る。加えて、
塗膜硬度と砥石15の押付圧については、メンバーシッ
プ関数を設定せずに、それらのグレード値を固定的に設
定することも有り得る。更に、ロボット2・12は、多
関節型に限らず直交座標型など種々の型式のロボットを
用いることも可能である。また、検査ステーションL1
と研磨ステーションL2とを統合して、1つのステーシ
ョンで検査と研磨を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水研加工ラインの平面図である。
【図2】研磨ツールの斜視図である。
【図3】検査装置と研磨装置と生産情報端末器との相互
接続図である。
【図4】研磨時間と砥石の回転数との関係を示す線図で
ある。
【図5】欠陥の大きさと砥石の回転数との関係を示す線
図である。
【図6】塗膜硬度と砥石の回転数との関係を示す線図で
ある。
【図7】砥石の押付圧と砥石の回転数との関係を示す線
図である。
【図8】研磨時間のメンバーシップ関数の線図である。
【図9】凸欠陥の高さのメンバーシップ関数の線図であ
る。
【図10】凹欠陥の深さのメンバーシップ関数の線図で
ある。
【図11】塗膜硬度のメンバーシップ関数の線図であ
る。
【図12】砥石の押付圧のメンバーシップ関数の線図で
ある。
【図13】欠陥の大きさのメンバーシップ関数の線図で
ある。
【図14】ACサーボモータの回転数のメンバーシップ
関数の線図である。
【図15】研磨制御のルーチンの概略フローチャートで
ある。
【図16】研磨処理制御のルーチンの概略フローチャー
トである。
【図17】メンバーシップ関数の重ね合わせ状態を示す
図14相当図である。
【符号の説明】
B 車体 11A〜11C 研磨装置 13 研磨ツール 14 制御装置 16 ACサーボモータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークの表面に検出された欠陥部を研磨
    ツールで研磨するときの研磨速度に影響を及ぼす複数の
    表面状態量に基いて、研磨速度を制御する研磨制御方法
    において、 前記複数の表面状態量が研磨速度に及ぼす影響度合を夫
    々設定した複数のメンバーシップ関数と、複数の表面状
    態量と研磨速度の対応関係を規定する複数のファジィ制
    御規則とを予め設定し、 前記複数の表面状態量の検出値及び/又は設定値をメン
    バーシップ関数とファジィ制御規則とに適用して研磨速
    度を設定することを特徴とする研磨制御方法。
  2. 【請求項2】 前記ワークの表面に検出された欠陥部が
    ワークの表面の塗装欠陥であることを特徴とする請求項
    1に記載の研磨制御方法。
  3. 【請求項3】 前記複数の表面状態量が、少なくとも塗
    装欠陥の大きさと、塗装欠陥の凹状の度合いと、塗装欠
    陥の凸状の度合いとを含むことを特徴とする請求項2に
    記載の研磨制御方法。
  4. 【請求項4】 各塗装欠陥の研磨に許容される研磨時間
    が研磨速度に及ぼす影響度合を設定したメンバーシップ
    関数を予め設定するとともに、前記複数のファジィ制御
    規則に研磨時間を前件部変数として組み込んだことを特
    徴とする請求項3に記載の研磨制御方法。
  5. 【請求項5】 ワークの表面に検出された欠陥部を研磨
    ツールで研磨するときの研磨速度に影響を及ぼす複数の
    表面状態量に基いて、研磨速度を制御する研磨制御装置
    において、 前記複数の表面状態量が研磨速度に及ぼす影響度合を夫
    々設定した複数のメンバーシップ関数と、複数の表面状
    態量と研磨速度の対応関係を規定する複数のファジィ制
    御規則とを予め設定して格納した記憶手段と、 前記複数の表面状態量の検出値及び/又は設定値を記憶
    手段から読み出したメンバーシップ関数とファジィ制御
    規則とに適用して、研磨ツールを駆動するアクチュエー
    タの研磨速度を設定する制御手段とを備えたことを特徴
    とする研磨制御装置。
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