JPH0569306A - エアモータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 タービン式のエアーモータに対して、ター
ビンの回転軸を軸支するベアリングの冷却手段を合理的
に具備させることを目的とする。 【構成】 回転軸４の両端をベアリングに５，６によ
り軸支されるタービン２を備え、導入した圧搾空気を給
気流路８を通してタービン室３に噴射供給した後、該タ
ービン室３から流出した排気を排気流路９の中を通して
排気するエアモータＡにおいて、前記給気流路８をター
ビン回転軸４の一端を軸支するベアリング５に接触さ
せ、且つ排気流路９を上記回転軸の他端を軸支するベア
リング６と接触させたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は歯科用のハンドピース
等に用いるエアモータに関し、さらに詳しくは、モータ
本体の内部に回転軸の両端をベアリングにより軸支され
るタービンを備え、上記モータ本体の端部から導入した
圧搾空気を同本体内に形成した給気流路を通してタービ
ン室に噴射供給した後、該タービン室から流出した排気
を排気流路の中を通して排気するエアモータに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記したようなタービン式のエア
モータは、歯科用のハンドピースや精密加工用の切削機
器等に使用される。例えば歯科用のハンドピースの場合
は、ハンドピース本体の一端部に切削工具を保持するコ
レットとこれに直結するタービンを備え、同ハンドピー
ス本体の後端から導入した圧搾空気を同本体内に形成さ
れる給気流路を通してタービン室内に供給する。そし
て、タービン室内に噴射された圧搾空気はタービンに対
して回転力を与えた後、モータ本体内に形成した排気流
路を折り返すように通過して同本体の中間部、若しくは
後端部に開口する排気口から排気される。

【０００３】

【発明が解決しょうとする課題】上記したタービンはコ
レットと直結する回転軸の両端をベアリングにて軸支さ
れた状態で回転するが、その回転数は２０万〜３０万ｒ
ｐｍまでにも達する。この為に、タービンの回転軸を軸
支するベアリングは必然的に発熱し、放熱状態が悪い場
合は上記ベアリングの疲労が早まることにもなる。

【０００４】本発明は、上記した如きタービン式のエア
ーモータに対して、タービンの回転軸を軸支するベアリ
ングの冷却手段を合理的に具備させることよりベアリン
グの耐用年数を延長させることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記した課題を
解決する為に、モータ本体の内部に回転軸の両端をベア
リングにより軸支されるタービンを備え、上記モータ本
体の端部から導入した圧搾空気を同本体内に形成した給
気流路を通してタービン室に噴射供給した後、該タービ
ン室から流出した排気を排気流路の中を通して排気する
エアモータにおいて、前記給気流路をタービン回転軸の
一端を軸支するベアリングに接触させ、且つ排気流路を
上記回転軸の他端を軸支するベアリングと接触させたも
のである。

【０００６】

【作用】以上の手段によれば、給気流路を通過してター
ビン室に供給される圧搾空気は、給気流路の途中にてタ
ービン回転軸の一端を軸支するベアリングに触れて該ベ
アリングを空気冷却する。また、タービン室から排気流
路に流出した排気はタービン回転軸の他端を軸支するベ
アリングに触れて空気冷却してからモータ本体の外部へ
排気される。

【０００７】

【発明の効果】本発明は以上説明したように、給気流路
を通してタービン室に供給される圧搾空気と、タービン
室から排気流路を通して排気される排気を利用してター
ビンの回転軸を軸支する両ベアリングを空気冷却するも
のであるから、高回転して発熱する両ベアリングを高速
で流れる圧搾空気により合理的に空気冷却することがで
き、さらには、冷却手段の為にエアモータ自体が大型に
なったり構造が複雑化することもない。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施を図面に基づいて説明
する。

【０００９】第１図乃至第６図は歯科用のハンドピース
を示しており、ハンドピース本体１内部の前部にタービ
ン型のエアモータＡを備え、上記ハンドピース本体１後
端に接続されるエア供給ホース２３から導入した圧力空
気を同本体１内の給気流路８を通して上記エアモータＡ
のタービン室３に供給し、また、タービン室３からの排
気を排気流路９を通して再びハンドピース本体１の後端
部５開口する排気口２６から排気するように構成してあ
る。

【００１０】尚、図中において、１はハンドピース本
体、２はタービン、３はタービン室、４はタービンの回
転軸、５及び６は回転軸を軸支するベアリング、７はコ
レット，８は給気流路、９は排気流路である。

【００１１】略ペン型で中空状のハンドピース本体１は
フロントケース１ａとリアケース１ｂとの２部材を中央
で螺合接続することにより構成され、上記フロントケー
ス１ａ内の前端にはタービンケース１１が圧入してあ
る。

【００１２】タービンケース１１は、内部にタービン２
を収納するタービン室３を形成すると共に、先端部の端
面にベアリング５を内嵌する段差部１１ａを形成した筒
状体であり、上記した段差部１１ａにパッキン１１ｂを
装着した上でフロントケース１ａ内の先端部に圧入す
る。

【００１３】一方、上記したタービン室３に内装される
タービン２は、図４にて示す如く断面くさび型に形成し
たブレード２ａを外周部に沿って８枚備え、軸芯部に嵌
挿される中空状の回転軸４により回転自在に支持され
る。

【００１４】上記した回転軸４は、タービン２の先後両
端部をベアリング５及び６にて軸支するが、先端側のベ
アリング５は前記したタービンケース１１の段差部１１
ａの内側に、また後端側のベアリング６はタービンケー
ス１１の後部開口内に螺嵌するカラー１９の嵌合凹部１
９ａ内にそれぞれ嵌合して固定してある。これにより、
タービン２はタービン室３内にて回転自在に支持され
る。

【００１５】尚、上記したタービン２の各ブレード２ａ
は、図２ｂ及び図４にて示す様に、ブレード後端２ａ−
２の受圧面２ｂの角度が、ブレード先端２ａ−１の受圧
面２ｂの角度よりも回転方向と反対へ向けて例えば５度
程度捻れる様にリード角ｒを設けてあり、これにより、
圧搾空気の噴射によるエネルギーをより効率良く回転エ
ネルギーに変換することが可能となる。

【００１６】上記した様にフロントケース１ａ内の先端
部に内嵌されるタービンケース１１の外周部には、該ケ
ース１１全長に凹設する給気溝１４と先半部の範囲だけ
に形成する給気溝１５とを同ケース３の円周方向へ交互
に凹設すると共に、給気溝１５内の後端部にはタービン
室３に対して傾斜角をもって臨む噴射口１６を穿設する
（図３）。これにより、タービンケース１１後端から上
記給気溝１４を通ってフロントケース１ａ内の先端部に
形成される空間１３に至り、さらに折り返す形で給気溝
１５を通って噴射口１６からタービン室３に至る空気流
路８が形成される（図１）。

【００１７】上記した様に、空気供給８（給気溝１４，
１５）を通過して４箇所の噴射口１６からタービン室３
内に噴射された圧搾空気は、タービン２外周のブレード
に当てられて該タービン２に一定方向の回転エネルギー
を与えながらタービン室３の後端へ向けて流れ、同室３
後端に開設される排気口９ａから排気流路９に排気され
る。

【００１８】タービン２は圧搾空気から得るエネルギー
により２０万ｒｐｍ以上の高回転で回転するが、この為
にタービン２の回転を支持する両ベアリング５，６はか
なり発熱する。本願発明は、上記した両ベアリング５，
６の過剰な発熱を防止する為に、給気流路８及び排気流
路９を流れる圧搾空気を利用して上記両ベアリング５，
６の冷却を行っている。

【００１９】即ち、図３にて示すように、上記したター
ビンケース１１前端に形成される段差部１１ａの外周に
沿って数個の小孔１７を開口させ、先端側のベアリング
５の外周を給気流路８に直接露出させることにより、給
気流路８を流れる圧搾空気の一部が上記小孔１７内を迂
回してベアリング５の外輪を空気冷却する様に構成して
ある。

【００２０】また、後側のベアリング６にあっては、カ
ラー１９におけるベアリング６の嵌合凹部１９ａの外周
部に接する形で排気流路９の始端となる連通孔を開口さ
せて、ベアリンク６の外輪を排気流路９に接触させるこ
とで、タービン室３から上記連通孔を通して流出する排
気により空気冷却を行うように構成してある。

【００２１】本発明が採用した冷却手段は、上記したよ
うにハンドピースの駆動に必要な給気と排気の高速な流
を利用して行うものであるから、合理的で且つ効果的な
冷却が行えると共に、給気流路８と排気流路９とを迂回
させて両ベアリング５，６に接触させるだけで実現する
ことが出来るので、エアモータ自体が大型になったり構
造が複雑化することもない。

【００２２】次ぎに、切削工具１０を着脱自在に保持す
るコレット７と該コレット７の作動機構について説明す
る。

【００２３】コレット７は先端部の軸芯に沿って切削工
具１０を差し込むすり割り付きの装着孔７ａとその外周
に形成される逆テーパ面７ｂを備え、回転軸４の中空部
に対してスライド自在に嵌挿して、フロントケース１ａ
の先端口から出没するように支持してある。また、回転
軸４の後部に突出するコレット７の後端部と回転軸４端
面との間にはスプリング１８を弾装してあり、このスプ
リング１８の復元力により上記コレット７が常時後方へ
向けて引かれるように付勢している。

【００２４】従って、コレット７先端の逆テーパ面７ｂ
は回転軸４の先端口内周に形成した受け口４ａ内に向け
て圧接され、これにより装着孔７ａが締められて該装着
孔７ａに装着される切削工具１０を保持している。ま
た、スプリング１８の付勢力に抗してコレット７を前方
へ押し出すことにより、上記した逆テーパ面７と受け口
４ａによる締め付けが解除され、装着孔７ａから自由に
切削工具１０を取り外すことが出来るようになる。

【００２５】また、上記したハンドピース本体１の内部
にはタービンケース１１の後ろ側に内嵌するスリーブ１
２と、このスリーブ１２に対して前後摺動自在に嵌合す
るピストン体２０が内装してある。

【００２６】スリーブ１２はフロントケース１ａの内周
面に嵌装する筒状体であり、その内部には一回り小径な
スリーブ孔１２ａを形成し、該スリーブ孔１２ａ内にピ
ストン体２０の先端部を気密パッキン２０ｃを介して前
後摺動自在に嵌挿してある。

【００２７】ピストン体２０は前半部２０ａと後半部２
０ｂとを中間で螺合接続してなる中空体であり、その後
端部にエアの供給ホース２３を接続する接続口２２を突
出形成すると共に、軸芯に沿う中空部を前記したエアモ
ータＡに連絡する給気流路８として構成してある。ま
た、ピストン体２０の先半部２０ａと後半部２０ｂとの
接続部は幾分大径に形成してその内部にエアフィルター
２１を装着し、このエアフィルター２１により上記給気
流路８内を通過する圧搾空気をろ過している。

【００２８】上記したピストン体２０の先端部外周とス
リーブ１２の対応箇所には給気の通孔２４，及び２５を
穿設し、これにより、エアの供給ホース２３から供給さ
れる圧搾空気がピストン体２０内の給気流路８内を流
れ、上記通孔２４，２５を通過して、スリーブ１２の外
周から前記タービンケース１１外周の給気流路８に供給
されるようになる。

【００２９】一方、上記したピストン体２０の外周とス
リーブ１２内周およびリアケース１ｂ内周との間には所
要のクリアランスを設け、このクリアランスを前記した
タービンケース１１後端口のカラー１９に設けた排気流
路９と、リアケース１ｂの後端に開口する排気口２６と
の間を連絡する排気流路９として構成している。従っ
て、タービン室３からの排気は、カラー１９の連通孔ら
か後方へ流出してスリーブ孔１２ａと平行して穿設され
る通孔１２ｂを通過し、さらにピストン体２０接続部の
外周に沿って後方へ流れ、同ピストン体２０後部に螺合
接続されるノック管２７とリアケース１ｂとの間に形成
される排気口２６から外部へ流出するようになる。

【００３０】また、上記したピストン体２０後部に形成
した段部２８とリアケース１ｂ内周に周設した鍔部２９
との間にはスプリング３０を弾装し、これによりピスト
ン体２０は常時後方へ向けて付勢され、接続部の段差３
１が上記鍔部２９に当接する後退位置にて止められる様
になっている。尚、ピストン体２０は、上記した後退位
置にある時、該ピストン体２０先端と前記コレット７後
端との間に幾分の隙間が出来るように位置設定がなされ
ている。

【００３１】即ち、上記した如くエアピース本体１内に
内装されるピストン体２０は、先端部をスリーブ１２内
に嵌挿して前後摺動自在に保持され、後端部に螺合接続
したノック管２７をスプリング３０の反発力に抗して先
端側に押し込むことにより、その先端がスプリング１８
の反発により後退するコレット７を後ろから押し出して
装着孔７ａ内に保持していた切削工具１０を解放する
（図６）。

【００３２】従来のハンドピースにおいては、コレット
の先端に穿設した装着孔に対して切削工具を圧入するこ
とにより工具の保持を行っていた。しかし、切削工具が
細くなるに連れてその様な圧入による保持方式では切削
工具に無理な負荷が加わるので、工具の圧入する際に不
意に工具が折れて手に怪我をする危険があった。

【００３３】しかし、上記した実施例のようにピストン
体２０の後端部を押すだけでコレット７による切削工具
１０の保持を解除できるように構成すれば、細い切削工
具１０であっても簡単且つ安全に着脱することができる
ようになる。

【００３４】尚、上記した如きエアーモータは、歯科用
のハンドピースの他にも精密加工用の切削工具等に利用
出来ることは無論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明を実施したエアーモータを備えるハ
ンドピースを示す縦断面図。

【図２】 図１におけるａ−ａ線断面〜ｈ−ｈ線断面
図。

【図３】 同ハンドピースの先端側ベアリング部を一
部切欠して示す斜視図。

【図４】 同ハンドピースの後端側ベアリング部を一
部切欠して示す斜視図。

【図５】 同ハンドピースの分解斜視図。

【図６】 ピストン体を押し出した状態のハンドピー
スを示す縦断面図。

【符号の説明】

Ａ・・・エアモータ １・・・ハンドピース本体 ２・・・タービン ３・・・タービン室 ４・・・回転軸 ５・・・ベアリング（先端側） ６・・・ベアリング（後端側） ８・・・給気流路 ９・・・排気流路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 モータ本体の内部に回転軸の両端をベ
   アリングにより軸支されるタービンを備え、上記モータ
   本体の端部から導入した圧搾空気を同本体内に形成した
   給気流路を通してタービン室に噴射供給した後、該ター
   ビン室から流出した排気を排気流路の中を通して排気す
   るエアモータにおいて、前記給気流路をタービン回転軸
   の一端を軸支するベアリングに接触させ、且つ排気流路
   を上記回転軸の他端を軸支するベアリングと接触させた
   構造。