JPH0567785B2

JPH0567785B2 -

Info

Publication number: JPH0567785B2
Application number: JP29577285A
Authority: JP
Inventors: Saiji Toshioka; Hirohisa Endo
Original assignee: Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Current assignee: Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Priority date: 1985-12-27
Filing date: 1985-12-27
Publication date: 1993-09-27
Also published as: JPS62153563A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、デイーゼルエンジン、特に畜圧式の
ガス又はオイルを燃料とする中速又は低速のデイ
ーゼルエンジンの燃焼室内に燃料を噴射する燃料
噴射弁の燃料異常流出防止装置に関する。

〔従来の技術〕

デイーゼルエンジンの燃料噴射弁は、クランク
角が所定の角度にあるときだけ開弁してシリンダ
の燃焼室内へ燃料を噴射している。ところで、燃
料噴射弁のスピンドルが焼付きなどのステツク現
象で開弁状態のまま固着するような作動不良が生
じたときは、燃料が多量に燃焼室内および排気系
統内へ流出し、ガス爆発等の異常を発生する恐れ
があつた。このような異常時における燃焼室への
燃料流出を防ぐために、燃料噴射弁に燃料を供給
する燃料供給通路に弁装置を配設し、該弁装置に
設けられた弁部材により、燃料が設定量以上燃焼
室内に流出したときに、燃料供給通路を遮断でき
るようにした燃料噴射弁の燃料異常流出防止装置
が同一出願人により特願昭60−178136号に開示さ
れている。上記燃料噴射弁において、設定量は、
エンジンの全負荷時、即ち燃料噴射量最大時にお
ける燃料の異常流出を防止するために、最大燃料
噴射量の１倍以上に設定されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、燃料噴射弁の燃料噴射量は、エンジ
ンの負荷が高くなるに伴つて増大し、逆に低くな
るに伴つて減少する。しかし、上記特願昭60−
178136号に開示されている燃料噴射弁の燃料異常
流出防止装置においては、設定量が一定に設定さ
れているので、エンジン低負荷時のように燃料噴
射量が少ないときは、設定量が大きすぎることに
なる。このため、エンジン低負荷時においては、
異常時における燃料流出量と正常時における燃料
噴射量との比が大きく、即ち異常時における燃料
流出量が正常時における燃料噴射量よりかなり多
くなつて、燃焼室内への燃料の異常流出量が多く
なるという問題があつた。

本発明は、このような問題点を解決し、設定量
（後に説明する中空室３３ａのストロークボリユ
ーム量とほぼ等しい量）をエンジンの負荷変動に
応じて調整できるようにするとともに、燃料噴射
弁より燃料が設定量以上流出すると燃料供給通路
を遮断できるようにした燃料噴射弁の燃料異常流
出防止装置を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

かかる目的達成のため、本発明の燃料噴射弁の
燃料異常流出防止装置は、燃料噴射弁に燃料を供
給する燃料供給通路に弁装置が配設され、該弁装
置には燃料が設定量以上エンジンの燃料室内に流
出したときに一定量変位して前記燃料供給通路を
遮断する弁部材と、前記エンジンの負荷信号に応
じて前記弁部材の変位量を可変する位置調整機構
とが設けられているものである。

〔作用〕

上述の構成によれば、弁部材の設定位置が、位
置調整機構によりエンジン負荷に応じて変えら
れ、これによりエンジン負荷に対応する適切な設
定量が得られ、異常時における燃焼室内への燃料
異常流出をエンジン負荷の変動があつても防ぐこ
とができる。

〔実施例〕

以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

燃料噴射弁１は、外筒２と、内筒３と、スピン
ドル４と、リフト制御プラグ５と、付勢手段の一
例たる圧縮ばね６とを備えている。

外筒２は、ほぼ円筒状に形成され、燃焼室であ
るシリンダ８に装着されたシリンダカバー１０に
嵌挿固定されている。内筒３は、外筒２の内周面
にシール部材１１を介して固定されており、外筒
２の内周面の直径より若干小径の大径部３ａと、
該大径部３ａの下端側に形成された小径部３ｂ
と、該小径部３ｂの下端側に形成され更に小径の
先端部３ｃとからなり、該先端部３ｃの下部は、
外筒２の下端から突出してシリンダ８の燃焼室に
臨むように配置されている。また外筒２の内周面
と内筒３の外周面との間の部分が燃料通路１２と
されており、該燃料通路１２には、外筒２の外周
面に形成された燃料導入口１３が連通している。

スピンドル４は、内筒３の軸中心線上に形成さ
れた中心穴３ｄに軸方向に摺動可能に嵌挿されて
おり、大径部４ａと、該大径部４ａの下端側に形
成された小径部４ｂと、該小径部４ｂの下端側に
形成された更に小径の先端部４ｃとからなり、該
先端部４ｃの下端にはテーパ部４ｄが形成されて
いる。また大径部４ａと小径部４ｂとを連結する
部分には、小径部４ｂの直径より更に小径のネツ
ク部４ｅが形成されている。

内筒３の中心穴３ｄは、スピンドル４の大径部
４ａおよび小径部４ｂがそれぞれ摺動可能に嵌挿
されるように形成されている。該中心穴３ｄに
は、第１図に示す燃料噴射弁１閉弁状態におい
て、スピンドル４の大径部４ａの下面およびネツ
ク部４ｅの外周面を含む周回溝１６、小径部４ｂ
下面および先端部４ｃの外周面を含む周回溝１８
がそれぞれ形成されている。周回溝１５には、内
筒３に形成されたコントロールオイル通路１９が
連通されており、外部からコントロールオイルが
導入可能とされている。周回溝１６には、内筒３
に形成されたシールオイル通路２０が連通されて
おり、外部からシールオイルが導入可能とされて
いる。周回溝１８には、内筒３の小径部３ｂ外周
面に軸心に向かつた放射状に形成された複数の穴
２１が連通している。

内筒３の中心穴３ｄ下端部分は、小径となつて
燃料噴射通路２２とされており、該燃料噴射通路
２２の先端部には、シリンダ８内に連通する燃料
噴射口２３が放射状に複数形成されている。燃料
噴射通路２２と周回溝１８との連結部分は、スピ
ンドル４のテーパ部４ｄに倣つたテーパ面が形成
されており、このテーパ面が燃料弁座２４となつ
ている。

リフト制限プラグ５は、内筒３の中心穴３ｄ上
端部分に若干大径で上方を開口して形成された凹
部３ｅに螺着されており、該リフト制限プラグ５
には、スピンドル４と同心で大径部４ａの直径よ
り小さい直径のリフトストツパ２５が一体的に突
出形成されている。該リフトストツパ２５の下面
は、第１図に示す燃料噴射弁１閉弁状態におい
て、スピンドル４の大径部４ａ上面と一定の間隙
をもつて配設されている。圧縮ばね６は、リフト
ストツパ２５の外側に装設されており、該圧縮ば
ね６によりスピンドル４は下方に付勢されてい
る。

燃料異常流出防止装置は、弁装置３０と、位置
調整機構３１とを備えており、該弁装置３０は、
圧縮機（図示せず）と燃料導入口１３にそれぞれ
連通する燃料供給通路３２に配設され、ハウジン
グ３３と、弁部材３４と、圧縮ばね３５とからな
つている。

第２図に示すように、ハウジング３３には中空
室３３ａが形成されており、ハウジング３３の下
面左側および右側面には、中空室３３ａに連通
し、かつ圧縮機側および燃料導入口１３側の燃料
供給通路３２にそれぞれ連通する連通穴３３ｂ，
３３ｃが形成されている。弁部材３４は、上下方
向に隙間Ａをもつて中空室３３ａ内に収容されて
おり、中心部に微少直径の貫通穴３４ａが形成さ
れている。圧縮ばね３５は、連通穴３３ｃ側の中
空室３３ａに収容されており、該圧縮ばね３５に
より弁部材３４は連通穴３３ｂ側に付勢されてい
る。

位置調整機構３１は、調整部材３６と、ポジシ
ヨナ３８とを備えており、調整部材３６は、ハウ
ジング３３の連通穴３３ｂを含む中空室３３ａに
収容されたフランジ部３６ａと、シール部材４０
を介してハウジング３３の左側面に形成された貫
通穴３３ｄに摺動自在に嵌挿された軸部３６ｂと
からなつている。またフランジ部３６ａの右側面
には、弁部材３４が圧縮ばね３５により付勢され
て当接し得るようになつている。

ポジシヨナ３８は、エンジン負荷に基づく信号
により作動するようになつており、調整部材３６
の軸部３６ｂに機械的、油圧的又は電気的に接続
されている。

弁部材３４の右側面と、連通穴３３ｃを含む中
空室３３ａの端面、即ちシート面３３ｅとの間は
Ｄなる間隙が形成されるようになつている。この
間隙Ｄ間の中空室３３ａのボリユーム量、いわゆ
るストロークボリユーム量（以下、設定量とい
う）は、調整部材３６の変位により変えることが
できるようになつている。

つぎに、本発明の実施例の作用を説明する。

第１図に示すように、閉弁状態にある燃料噴射
弁１においては、スピンドル４は圧縮ばね６より
下方に付勢され、テーパ部４ｄにより燃料弁座２
４が閉塞されている。調整部材３６は、エンジン
負荷信号がポジシヨナ３８に入力されると弁部材
３４を伴つて所定位置に変位するもので、エンジ
ン負荷が高くなるに伴つて左方向に変位し、これ
により設定量が増加し、逆にエンジン負荷が低く
なるに伴つて右方向に変位し、これにより設定量
が減少する。また設定量は、各エンジン負荷の正
常時における燃料噴射量により若干大きく設定さ
れている。

そして、弁装置３０の弁部材３４の左右両側面
に加わる燃料圧力P₁とP₂とは等しく、従つて弁
部材３４は、圧縮ばね３５のばね力により左方に
押圧され最左端位置の開弁状態にあり、周回溝１
８には、連通穴３３ｂ、中空室３３ａの隙間Ａ、
連通穴３３ｃおよび燃料供給通路３２を通つて燃
料導入口１３から常時高圧（200〜250Kg／cm²）の
燃料が供給されている。また周回溝１６には、シ
ールオイル通路２０から燃料圧力より若干高目の
圧力（280Kg／cm²）のシールオイルが供給され、
周回溝１５には、コントロールオイル通路１９か
ら通常低圧のコントロールオイルが充填されてい
る。

このような閉弁状態にある燃料噴射弁１を開弁
状態にするには、まずスピンドルコントロールポ
ンプ（図示せず）により加圧されたコントロール
オイルをコントロールオイル通路１９を通して周
回溝１５に供給する。すると、スピンドル４の大
径部４ａがコントロールオイルの背圧を受け、ス
ピンドル４が圧縮ばね６のばね力を抗してリフト
ストツパ２５に当接するまで上昇し、燃料弁座２
４が開放され、所定量の燃料噴射通路２２を通つ
て燃料噴射口２３からシリンダ８内に噴射され
る。

この燃料の噴射が開始されると、連通穴３３ｃ
側の中空室３３ａ内の燃料圧力が低下し、圧力
P₁＞P₂になる。この圧力差による力が圧縮ばね
３５のばね力に打勝つと弁部材３４は右方向に移
動するが、設定量が、各エンジン負荷の正常時に
おける燃料噴射量より大きく設定されているの
で、弁部材３４がシート面３３ｅに当接する前即
ち閉弁前に燃料噴射料が完了する。

燃料の噴射が完了すると、加圧されたコントロ
ールオイルの供給が停止され、スピンドル４は圧
縮ばね６の復元力により下降し、第１図に示すよ
うな閉弁状態となる。同時に、連通穴３３ｃ側の
中空室３３ａ内には隙間Ａおよび貫通穴３４ａを
通つて燃料が供給されて圧力₂が上昇し、圧力差
（P₁−P₂）による力より圧縮ばね３５のばね力が
大きくなると、圧縮ばね３５のばね力により弁部
材３４はシート面３３ｅの反対側に移動し、弁部
材３４が調整部材３６に当接して圧力P₁とP₂と
が等しくなり弁装置３０は開弁状態に復帰する。

なお、隙間Ａおよび貫通穴３４ａの通路面積
は、燃料噴射が始まつたときから次の噴射サイク
ルまでに圧力差（P₁−P₂）により、この通路面
積から連通穴３３ｃ側の中空室３３ａに燃料が補
給されて弁部材３４が復原できる大きさであれば
よい。

ところで、燃料噴射弁１が開弁状態から閉弁状
態に移るとき、スピンドル４が焼付き等によるス
テツク現象で開弁状態のまま固着し動かなくなつ
てしまうと、燃料弁座２４は常時開いた状態とな
り、燃料通路１２内の燃料は連続的に燃料噴射口
２３から流出される。

すると、燃料通路１２内の燃料圧力は次第に低
下し、これに伴つて連通穴３３ｃ側の中空室３３
ａ内の燃料圧力も低下し、圧力P₁＞P₂となる。
この圧力差（P₁−P₂）による力が圧縮ばね３５
のばね力に打勝つようになると、弁部材３４はシ
ート面３３ｅ側に移動し、燃料流出量が設定量以
上となると遂には弁部材３４の右側面がシート面
３３ｅに当接して弁装置３０は閉弁状態となる。
この状態で、弁部材３４の貫通穴３４ａから燃料
が燃料通路１２側に供給されるが、その量は極め
て微量である。従つてシリンダ８内には燃料は殆
ど流出することはない。

ここで、設定量は前述の如く位置調整機構３１
によりエンジン負荷に応じて調整され、各エンジ
ン負荷時における異常時における燃料流出量と正
常時における燃料噴射量との比を小さくすること
ができる。この結果、エンジン低負荷時に燃焼室
内および排気系統内の空気量が減少したときに、
それに応じて設定量を小さくし異常時における燃
料流出量を殆どなくすことができるので、例えば
未燃料ガスが発生する場合、未燃焼ガスの濃度が
高くなることなく、燃焼室内および排気系統内に
おけるガス爆発を防ぐことができ、安全性を向上
する。

燃料噴射弁１が正常の閉弁状態に復帰すると、
連通穴３３ｃ側の中空室３３ａの圧力P₂が高く
なり、圧縮ばね３５の復原力が圧力差（P₁−P₂）
による力より大きくなると、弁部材３４は圧縮ば
ね３５復原力によりシート面３３ｅと反対側に移
動して調整部材３６のフランジ部３６ａに当接す
る。すると、圧力P₁とP₂とが等しくなり弁装置
３０は開弁状態に復帰する。

ここで、弁装置３０が閉弁状態から開弁状態に
移行する場合、弁部材３４に微少直径の貫通穴３
４ａが形成されており、該貫通穴３４ａからもわ
ずかな燃料が流出しているので、弁部材３４のシ
ート面３３ｅからの離脱が容易に行なわれる。こ
の離脱方法は、他の方法によつて行なうこともで
きる。

なお、実施例では単一の燃料を使用した燃料噴
射弁１を一例として示したが、副燃料を併用した
燃料噴射弁１にも適用することができる。また弁
装置３０は、燃料噴射弁１の外部に配設されてい
るが、内蔵するようにしてもよい。さらに調整部
材３６を制御するポジシヨナ３８の制御手段とし
ては、機械式、油圧式又は電気式などがあり、ま
た調整部材３６をねじ式にしても回転させるよう
にしてもよい。

〔発明の効果〕

上述のとおり、本発明によれば、エンジン負荷
変動に応じて燃料流出量を可変調整することがで
きるので、低負荷時に多量に供給されることがな
くなり、燃焼室内および排気系統内におけるガス
爆発の発生を防ぐことができ、安全性が大幅に向
上する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例に係り、第１図は燃料異
常流出防止装置を備えた閉弁における燃料噴射弁
の縦断面図、第２図は燃料異常流出防止装置の縦
端面図である。１…燃料噴射弁、３０…弁装置、３１…位置調
整機構、３２…燃料供給通路、３４…弁部材。

Claims

【特許請求の範囲】

１燃料噴射弁に燃料を供給する燃料供給通路に
弁装置が配設され、該弁装置には設定量以上の燃
料がエンジン燃料室内に流出したときに一定量変
位して前記燃料供給通路を遮断する弁部材と、前
記エンジンの負荷信号に応じて前記弁部材の変位
量を可変する位置調整機構とが設けられているこ
とを特徴とする燃料噴射弁の燃料異常流出防止装
置。