JPH056689U - 筒形リチウム電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 筒形リチウム電池において、電池外部短絡時
における内部圧力上昇による弁機構の破断と同時に、電
流を完全に遮断し、熱爆走を防止する。 【構成】 ケース１２の内方に向けて突出する弁室１４
ａを中央に設けた皿状絶縁体１４と、弁室１４ａの内部
に収納され、下端をリード板１６にスポット溶接Ｐ1 に
より接続された金属球体１８と、絶縁体１４上に配置さ
れ、かつ前記金属球体１８の上端にスポット溶接Ｐ2 に
より接続される金属薄板２０と、絶縁体１４と前記金属
薄板２０および金属リング２２を積層した状態で周縁を
一体的にカシメ付け固定する金属製封口板２４と、金属
製封口板２４の上面に載置される正極端子板２６とを備
えている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は電池外部短絡時における電池内部の圧力上昇による弁機構の破断時 に電流を完全に遮断し、熱爆走を防止した筒形リチウム電池に関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

一般に筒形リチウム電池にあっては、電池内部の圧力が上昇するとガス抜きを する弁機構と、これに加えて外部短絡により電池に大電流が流れ、電池の温度上 昇およびこれに伴う発火などの熱爆走を防止する電流遮断機構を設けたものがあ る。

【０００３】 ガス抜きのための弁機構は、図３に示すように、端子板１の中央部に下方に向 けて切り起こされた切刃１ａと、金属薄板２を対向させた状態で周囲を封口リン グ３で一体にカシメ付け固定し、これを絶縁性封口ガスケット４を介してケース ５の開口縁にカシメ付け固定したものである。なお、封口リング３は発電要素６ から導出されるリード板７にスポット溶接により接続されている。この構造では 薄板２が電池内外を気密に区画し、電池の内部圧力が上昇すると、薄板２が膨出 し、切刃１ａに当接することでこれが破断し、ガスを外部に逃すものである。

【０００４】 また、ガス抜きと外部短絡による大電流を遮断するための改良タイプとしては 、図４に示すように、前記端子板１と封口リング３との間にＰＴＣ素子８を介在 させたものもある。このＰＣＴ素子８は、導電材を含んだ樹脂を金属板の間に挟 み込んだものであり、常温では電気抵抗値が低いが、温度の上昇に伴い抵抗値が 急激に増加する特性を有する。この特性を利用して外部短絡により電池に大電流 が流れた場合、ジュール熱により素子自体が発熱し、電流の流れを阻害し、温度 上昇を防止する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、図３に示した構造では電池に流れる電流を遮断することはない 。また図４に示すＰＴＣ素子８を配置した場合においても微弱な電流は依然とし て流れ続けている。したがって、いずれの構造にあっても電流を完全に遮断する ことはできず、熱爆走などによる発火のおそれを完全に排除することはできなか った。

【０００６】 この考案は以上の問題点を解決するものであって、その目的は、電池内部の圧 力上昇に伴う金属薄膜の破断と同時に電流を完全に遮断する構造の筒形リチウム 電池を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するためこの考案では、発電要素を収納したケースと、このケ ース内方に向けて突出する弁室を中央に設けた皿状絶縁体と、前記弁室内部に収 納されて下端を前記発電要素から導出されるリード板に溶接により接続金属球体 と、前記絶縁体上に配置され、かつ前記金属球体の上端に溶接により接続される 金属薄板と、前記絶縁体と前記金属薄板を積層した状態で一体的にカシメ付け固 定する金属製封口板と、この金属製封口板の上面に載置されかつガス抜き穴を形 成した端子板と、この端子板および金属製封口板の周縁を前記ケースの開口縁に カシメ付け固定する絶縁性封口ガスケットとを備えたものである。

【０００８】

【作用】

電池内部の圧力上昇により金属薄板がたわみ、金属球体と薄板との接点破壊が 生じ、電流を遮断すると同時に薄板が破断して圧力を外部に逃す。

【０００９】

【実施例】

図１，２はこの考案の一実施例を示している。図における筒形リチウム電池は 、発電要素１０を収納した筒形の負極ケース１２と、ケース１２の内方に向けて 突出する弁室１４ａを中央に設けた皿状絶縁体１４と、弁室１４ａの内部に収納 され、下端を前記発電要素１０から導出されるリード板１６にスポット溶接Ｐ1 により接続された金属球体１８と、前記絶縁体１４上に配置され、かつ前記金属 球体１８の上端にスポット溶接Ｐ2 により接続される金属薄板２０およびこれの 上部に載置される金属リング２２と、絶縁体１４と前記金属薄板２０および金属 リング２２を積層した状態で周縁を一体的にカシメ付け固定する金属製封口板２ ４と、金属製封口板２４の上面に載置される正極端子板２６とを備え、これら正 極端子板２６および金属製封口板２４の周縁を絶縁性封口ガスケット２８を介し て前記ケース１２の開口縁にカシメ付け固定することによってリチウム電池が完 成する。

【００１０】 以上の構成において、皿状絶縁体１４は耐溶剤性を考慮するとポリプロピレン などポリオレフィン系樹脂の射出成形体が用いられる。弁室１４ａの深さは金属 球体１８の直径に等しく、また１２０°間隔ですり割り１４ｂが形成されている とともに、中央に金属球体１８の下端が露出する弁穴１４ｃが形成されている。 金属球体１８はアルミニウム，ステンレスなどの材質が用いられる。また、金属 薄板２０はアルミニウム，ステンレスなどの材質からなるもので、アルミニウム の場合には３０μｍ程度の厚さが圧力による破断性とスポット溶接性の双方を満 足し、ステンレスの場合では１０μｍ程度の厚さが好ましい。

【００１１】 さらに、端子板２６の周囲には複数のガス抜き穴２６ａが開口され、破断状態 で、ガスをここから外部に放出する。

【００１２】 したがって、通常状態ではリード板１６，金属球体１８，金属薄板２０，金属 製封口板２４および端子板２６は、電気的接触が保持されている。この状態で外 部短絡で電池の内部圧力が増大すると、金属薄板２０がたわみ一定圧力以上に達 すると金属球体１８と金属薄板２０との接点が破壊し、同時に金属薄板２０が破 断する。この破断孔を通じて噴出したガスはガス抜き穴２６ａを通じて外部に放 出される。一方、リード板１６のたわみは、前記弁室１４ａの底面で規制される ことから、電流は完全に遮断状態となる。なお、電池が上下どの方向に向いてい ても一旦金属球体１８と金属薄板２０の接点が破壊され、金属薄板２０が破断す ると、球体１８は、リード板１６に保持されるため、上に移動することがなく、 再接続が防止される。

【００１３】

【考案の効果】

この考案では、金属薄板がたわむことにより、薄板と金属球体との接点が破壊 され、同時に金属薄板の破断が生じて、電流を遮断する構成なので、従来のよう に引き続き電流が外部に流れることがなく、より安全性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案による筒形リチウム電池の要部を示す
断面図である。

【図２】同上要部分解斜視図である。

【図３】従来の筒形リチウム電池の防爆機構を示す要部
断面図である。

【図４】従来の筒形リチウム電池の防爆機構を示す要部
断面図である。

【符号の説明】

１０ 発電要素 １２ 負極ケース １４ 皿状絶縁体 １４ａ 弁室 １６ リード板 １８ 金属球体 ２０ 金属薄板 ２４ 金属製封口板 ２６ 負極端子板 ２６ａ ガス抜き穴 ２８ 封口ガスケット Ｐ1 ，Ｐ2 スポット溶接

フロントページの続き (72)考案者 名倉 秀哲 東京都港区新橋５丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内 (72)考案者 稲垣 稔 東京都港区新橋５丁目36番11号 富士電気 化学株式会社内

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 発電要素を収納したケースと、このケー
   ス内方に向けて突出する弁室を中央に設けた皿状絶縁体
   と、前記弁室内部に収納されて下端を前記発電要素から
   導出されるリード板に溶接により接続金属球体と、前記
   絶縁体上に配置され、かつ前記金属球体の上端に溶接に
   より接続される金属薄板と、前記絶縁体と前記金属薄板
   を積層した状態で一体的にカシメ付け固定する金属製封
   口板と、この金属製封口板の上面に載置されかつガス抜
   き穴を形成した端子板と、この端子板および金属製封口
   板の周縁を前記ケースの開口縁にカシメ付け固定する絶
   縁性封口ガスケットとを備えたことを特徴とする筒形リ
   チウム電池。