JPH0566038B2 - - Google Patents
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- JPH0566038B2 JPH0566038B2 JP30942588A JP30942588A JPH0566038B2 JP H0566038 B2 JPH0566038 B2 JP H0566038B2 JP 30942588 A JP30942588 A JP 30942588A JP 30942588 A JP30942588 A JP 30942588A JP H0566038 B2 JPH0566038 B2 JP H0566038B2
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- Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
Description
イ 発明の目的
産業上の利用分野
本発明は、民生用やコンピユータ用などの電子
工業に用いられる多層セラミツクス回路基板、特
に銅を導体材料とする低温焼成セラミツクス多層
回路基板の製造方法に関する。 従来の技術 従来、電子機器類に使用する回路基板としてセ
ラミツクスを絶縁体として使用した配線基板が使
用されてきた。その代表例としてWやMoを配線
用導体に使用し、導体が酸化しないように還元雰
囲気で焼成する導体同時焼成配線基板がある。 しかしながら、導体にWやMoを使用するの
で、この基板は導通抵抗が10〜20mΩ/□と高く
なり配線幅を狭くするには限界があつた。 最近、これらの問題を解決するためにAu、
Ag、Cu系等の導通抵抗が小さな導体材料を使用
し、これらの融点以下の温度で焼成できるセラミ
ツクス材料を絶縁体として用い、導体を同時焼成
する低温焼成セラミツクス配線基板が開発されて
いる。 この内Auなどの貴金属は酸化性雰囲気で焼成
できるものの資源的に乏しく高価なため経済的に
使用し難い。これに対しCuは、酸化しないよう
な非酸化性雰囲気で焼成する必要があるもも、安
価なため利用しやすい。このようにCuは低抵抗
で安価なため導体材料として注目されている反
面、非酸化性雰囲気の焼成では、絶縁材料中の有
機バインダが焼却し難いため完全に焼却されず炭
化して基板中に残り、絶縁抵抗、耐電圧などの基
板特性を劣化させる。このため各種製造方法が開
発されてきた。特公昭第62−45720号では、水
素・水蒸気比が10-4〜10-6.5の雰囲気においてセ
ラミツクス原料中のガラスのアニール温度から軟
化温度の範囲で焼成する方法が開示されている。
この方法は水素/水蒸気比が小さいのでコントロ
ールが難しく、窒素雰囲気あるいは水素・水蒸気
雰囲気で行つているため脱バインダや脱炭焼成に
長時間を要するなどの欠点がある。特開昭第60−
254697号においては、水蒸気を含む窒素雰囲気で
ガラス成分が加熱による変化を示さない温度にお
いてバインダを飛散させる方法が開示されてい
る。この方法は、脱バインダを窒素・水蒸気で行
なつているので脱バインダに8時間、脱炭に8時
間で昇温時間を含めると約24時間を要する。これ
らの長時間焼成は、安価な銅の使用による経済性
を失うためその改善が要望されていた。 発明が解決しようとする課題 本発明の目的はCu導体およびセラミツクスか
らなる多層回路基板の製造法において、特に脱バ
インダの際、空気雰囲気中の焼成工程を導入する
ことにより全焼成時間の短縮を図るものである。 ロ 発明の構成 課題を解決するための手段 本発明は、(1)銅の融点より低い温度で焼成可能
なセラミツクス原料と熱可塑性樹脂からなるグリ
ーンテープにBET比表面積が0.05〜1.0m2/gの
銅粉を主体とするペーストを印刷し、積層後、熱
圧着して一体化する未焼成物の焼成において、該
未焼成物中のガラス成分の屈伏点以下の温度で、
カーボン残渣が600〜1500ppmとなるように空気
雰囲気中で脱バインダ焼成し、800〜1000℃の温
度でカーボン残渣が300ppm以下となるように窒
素雰囲気中で焼結することを特徴とする低温焼成
セラミツクス多層回路基板の製造方法および(2)前
第1項の未焼成物の焼成において、該未焼成物中
のガラス成分の屈伏点以下の温度でカーボン残渣
が600〜3000ppmになるように空気雰囲気中で脱
バインダー焼成し、次に焼結温度以下の温度で水
蒸気を含む窒素雰囲気中で脱炭焼成した後、800
〜1000℃の温度で窒素雰囲気中でカーボン残渣が
300ppm以下になるように焼結することを特徴と
する低温焼成セラミツクス多層回路基板の製造方
法である。 次に本発明につき詳細に説明する。 本発明に使用されるセラミツクス原料の一例
は、CaO−(MgO)−Al2O3−SiO2−(B2O3)系
(但し括弧内は必要により添加)のガラス成分と
Al2O3の混合粉からなり、例えば特開昭61−
117163号、特開昭第61−222957号、特開昭第62−
113758号等に記載される800〜1000℃で焼結され
る低温焼成セラミツクス原料である。 銅ペースト用の銅粉のBET比表面積が0.05
m2/gより小さいとフアインパターンの印刷が困
難になり、1.0m2/gより大きいと導通抵抗が大
となり好ましくない。これは、脱バインダ焼成中
の酸素雰囲気による銅の酸化が表面積に影響され
るためと考えられる。このように比表面積が0.05
〜1.0m2/gの銅粉を用いることにより酸素雰囲
気中での脱バインダを可能にしている。この銅粉
を用いても脱バインダ焼成後のセラミツクス中の
カーボン残渣が600ppm以下になると銅が酸化す
るため導通抵抗が増大する。一方ガラスの屈伏点
以下の温度で脱バインダ温度を調整してセラミツ
クス中のカーボン残渣を600ppm以上にした場合
には、焼結の際に基板内のバインダの分解による
モノマーやCOの発生により、酸素濃度が低減し
結果的に銅の酸化が抑えられていると考えられ
る。 次に脱バインダー後に窒素雰囲気中で焼結する
場合、カーボン残渣が1500ppm以上残つていると
焼結後300ppm以上のカーボン残渣があり、絶縁
抵抗や耐電圧等の基板特性を劣化させる。このと
きカーボン残渣の減少はまだ分解しきつていない
バインダの分解によるものとみられる。このこと
から脱バインダ後のカーボン残渣が600〜
1500ppmになるようにすることによつて銅内層の
低温焼成基板が得られる。また水蒸気を含む窒素
中で焼成しさらに窒素中で焼結する場合において
は、空気雰囲気中の脱バインダ焼成によるカーボ
ン残渣の上限が3000ppmと高くなつても通常使用
される露点40〜60℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中
でさらに脱炭焼成した後、窒素雰囲気中の焼結で
カーボン残渣を300ppm以下に低減できるので良
好な絶縁抵抗、耐電圧などの基板特性が得られ
る。この焼成法においては、水蒸気を含む窒素雰
囲気がガラスの屈伏点を越えても問題はなかつ
た。これは空気中の脱バインダ焼成のための脱炭
処理が短時間で行えるため、セラミツクス焼結体
の焼結温度以下であれば収縮が完結せず、開気孔
が存在しているためと考えられる。このように大
量のガス流量を必要とする脱バインダゾーンで空
気雰囲気が使用でき脱炭処理時間の短縮により窒
素ガスの節約にもなる。 第1図は本発明の第1発明の空気雰囲気焼成−
窒素雰囲気焼結に場合の温度と時間の関係の一例
を、第2図は同じく第2発明の空気雰囲気焼成−
水蒸気・窒素焼成−窒素焼結の一例を示す。 なお第1図および第2図で空気(Air)、水蒸
気・窒素(H2O/N2)、窒素(N2)の各雰囲気
の変更の際何れも室温まで降温した後再び昇温し
ているが、使用する焼成炉の設備によりこの降
温、昇温の過程は必要なく所要の雰囲気が確保で
きれば連続的に昇温してもよい。 実施例 実施例 1 重量比がCaO27.3%、Al2O313.6%、SiO250%、
B2O39.1%の組成からなる屈伏点726℃のガラス
とAl2O3を重量比で60:40の割合で粉砕混合した
セラミツクス原料86%とメタクリル酸エステル樹
脂11%、DOP3%を混合して作製した厚み0.3mmの
グリーンテープにBET比表面積が0.14m2/gの
銅粉とエチルセルロース・テルピネオールからな
る銅ペーストを印刷し、3層に積層し、熱圧着し
て一体化して未焼成物を形成した。この未焼成物
を空気雰囲気中で昇温速度20℃/min.、400℃、
10分間焼成することより基板中のカーボン残渣を
970ppmにした後、酸素濃度5ppm以下の窒素雰囲
気中で900℃、20分間焼結して、カーボン残渣が
220ppmの基板が得られた。この基板は絶縁抵抗
1014Ωcm以上、耐電圧57kv/mm、導通抵抗3.0m
Ω/cmの特性が得られた。 実施例 2 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中で450℃、
10分間焼成して基板中のカーボン残渣を660ppm
とした後、窒素雰囲気中で900℃、20分間焼結し
てカーボン残渣80ppmの基板が得られた。この基
板は絶縁抵抗1014Ωcm以上、耐電圧60kv/mm以
上、導通抵抗7.8mΩ/□の特性が得られた。 実施例 3 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中350℃、10
分間焼成することにより、基板中のカーボン残渣
を2200ppmにし露点55℃の水蒸気を含む窒素雰囲
気中800℃、2時間焼成し、カーボン残渣250ppm
にした後、窒素雰囲気中900℃、20分間焼結して
カーボン残渣200ppmの基板が得られた。この基
板の絶縁抵抗1014Ωcm以上、耐電圧60kv/mm以
上、導通抵抗2,3mΩ/□で良好な特性が得ら
れた。 実施例 4 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中400℃、10
分間焼成することにより、基板中のカーボン残渣
を970ppmにし、露点55℃の水蒸気を含む窒素雰
囲気中800℃、2時間焼成しカーボン残渣を
120ppmにした後、窒素雰囲気中900℃、20分間焼
結してカーボン残渣80ppmの基板が得られた。こ
の基板は絶縁抵抗は1014Ωcm以上、耐電圧60kv/
mm以上、導通抵抗2.7mΩ/□で良好な特性が得
られた。 実施例 5 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中450℃、10
分間焼成することにより基板中のカーボン残渣を
660ppmにし、露点55℃以下の水蒸気を含む窒素
雰囲気中800℃、2時間焼成し、カーボン残渣
70ppmにした後、窒素雰囲気中900℃、20分間焼
結してカーボン残渣60ppmの基板が得られた。こ
の基板は絶縁抵抗1014Ωcm以上、耐電圧60kv/mm
以上、導通抵抗9.1mΩ/□の特性が得られた。 実施例 6 実施例1のグリーンテープに、本発明の範囲の
BET比表面積が0.06、0.14、0.54、0.97m2/gの
銅粉をエチルセルロース、テルピンネオールから
なる銅ペーストを印刷し、3層に積層し、熱圧着
して一体化した未焼成物を実施例1と同様に焼成
した。導通抵抗は各々3.3、3.0、3.5、5.8mΩ/□
の良好な特性が得られた。 比較例 比較例 1 実施例1、2の比較例として実施例1の未焼成
物を空気雰囲気中350℃、10分間焼成することに
より基板中のカーボン残渣を2200ppmにした後、
窒素雰囲気中900℃、20分間焼結してカーボン残
渣810ppmの基板が得られた。この基板は絶縁抵
抗4×107Ωcm、耐電圧0kv/mm、導通抵抗3.8m
Ω/□で必要な基板特性は得られなかつた。 比較例 2 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中500℃、10
分間焼成することにより、基板中のカーボン残渣
を520ppmにした後、窒素雰囲気中900℃、20分間
焼結してカーボン残渣70ppmの基板が得られた。
この基板は断線し導通がとれなかつた。 比較例 3 実施例3、4、5の比較例として実施例1の未
焼成物を空気雰囲気中で300℃、10分間焼成する
ことにより、基板中のカーボン残渣を8600ppmに
し露点55℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中800℃、
2時間焼成しカーボン残渣650ppmにした後、窒
素雰囲気中で900℃、20分間焼結しカーボン残渣
1530ppmの基板が得られた。この基板の絶縁抵抗
107Ωcm以下、耐電圧0kv/mmで必要な基板特性
が得られれなかつた。 比較例 4 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中で500℃、
10分間焼成することにより基板中のカーボン残渣
を520ppmにし露点55℃の水蒸気を含む窒素雰囲
気中800℃、2時間焼成しカーボン残渣70ppmと
し窒素雰囲気中900℃、20分間で焼成してカーボ
ン残渣60ppmの基板が得られた。この基板は断線
を起こし導通がとれなかつた。 比較例 5 実施例6の比較例として、実施例1のグリーン
テープにBET比表面積が0.04、1.49m2/gの銅粉
とエチルセルロース、テルピネオールからなる銅
ペーストを印刷し、3層に積層し、熱圧着して一
体化した未焼成物を実施例1と同様に焼成した。
BET比表面積0.04m2/gの試料は断線しており、
導通抵抗が測定できなかつた。BET比表面積
1.49m2/gの試料の導通抵抗は15.5mΩ/□と高
い値であつた。以上の試験結果を第1表または第
2表に示した。
工業に用いられる多層セラミツクス回路基板、特
に銅を導体材料とする低温焼成セラミツクス多層
回路基板の製造方法に関する。 従来の技術 従来、電子機器類に使用する回路基板としてセ
ラミツクスを絶縁体として使用した配線基板が使
用されてきた。その代表例としてWやMoを配線
用導体に使用し、導体が酸化しないように還元雰
囲気で焼成する導体同時焼成配線基板がある。 しかしながら、導体にWやMoを使用するの
で、この基板は導通抵抗が10〜20mΩ/□と高く
なり配線幅を狭くするには限界があつた。 最近、これらの問題を解決するためにAu、
Ag、Cu系等の導通抵抗が小さな導体材料を使用
し、これらの融点以下の温度で焼成できるセラミ
ツクス材料を絶縁体として用い、導体を同時焼成
する低温焼成セラミツクス配線基板が開発されて
いる。 この内Auなどの貴金属は酸化性雰囲気で焼成
できるものの資源的に乏しく高価なため経済的に
使用し難い。これに対しCuは、酸化しないよう
な非酸化性雰囲気で焼成する必要があるもも、安
価なため利用しやすい。このようにCuは低抵抗
で安価なため導体材料として注目されている反
面、非酸化性雰囲気の焼成では、絶縁材料中の有
機バインダが焼却し難いため完全に焼却されず炭
化して基板中に残り、絶縁抵抗、耐電圧などの基
板特性を劣化させる。このため各種製造方法が開
発されてきた。特公昭第62−45720号では、水
素・水蒸気比が10-4〜10-6.5の雰囲気においてセ
ラミツクス原料中のガラスのアニール温度から軟
化温度の範囲で焼成する方法が開示されている。
この方法は水素/水蒸気比が小さいのでコントロ
ールが難しく、窒素雰囲気あるいは水素・水蒸気
雰囲気で行つているため脱バインダや脱炭焼成に
長時間を要するなどの欠点がある。特開昭第60−
254697号においては、水蒸気を含む窒素雰囲気で
ガラス成分が加熱による変化を示さない温度にお
いてバインダを飛散させる方法が開示されてい
る。この方法は、脱バインダを窒素・水蒸気で行
なつているので脱バインダに8時間、脱炭に8時
間で昇温時間を含めると約24時間を要する。これ
らの長時間焼成は、安価な銅の使用による経済性
を失うためその改善が要望されていた。 発明が解決しようとする課題 本発明の目的はCu導体およびセラミツクスか
らなる多層回路基板の製造法において、特に脱バ
インダの際、空気雰囲気中の焼成工程を導入する
ことにより全焼成時間の短縮を図るものである。 ロ 発明の構成 課題を解決するための手段 本発明は、(1)銅の融点より低い温度で焼成可能
なセラミツクス原料と熱可塑性樹脂からなるグリ
ーンテープにBET比表面積が0.05〜1.0m2/gの
銅粉を主体とするペーストを印刷し、積層後、熱
圧着して一体化する未焼成物の焼成において、該
未焼成物中のガラス成分の屈伏点以下の温度で、
カーボン残渣が600〜1500ppmとなるように空気
雰囲気中で脱バインダ焼成し、800〜1000℃の温
度でカーボン残渣が300ppm以下となるように窒
素雰囲気中で焼結することを特徴とする低温焼成
セラミツクス多層回路基板の製造方法および(2)前
第1項の未焼成物の焼成において、該未焼成物中
のガラス成分の屈伏点以下の温度でカーボン残渣
が600〜3000ppmになるように空気雰囲気中で脱
バインダー焼成し、次に焼結温度以下の温度で水
蒸気を含む窒素雰囲気中で脱炭焼成した後、800
〜1000℃の温度で窒素雰囲気中でカーボン残渣が
300ppm以下になるように焼結することを特徴と
する低温焼成セラミツクス多層回路基板の製造方
法である。 次に本発明につき詳細に説明する。 本発明に使用されるセラミツクス原料の一例
は、CaO−(MgO)−Al2O3−SiO2−(B2O3)系
(但し括弧内は必要により添加)のガラス成分と
Al2O3の混合粉からなり、例えば特開昭61−
117163号、特開昭第61−222957号、特開昭第62−
113758号等に記載される800〜1000℃で焼結され
る低温焼成セラミツクス原料である。 銅ペースト用の銅粉のBET比表面積が0.05
m2/gより小さいとフアインパターンの印刷が困
難になり、1.0m2/gより大きいと導通抵抗が大
となり好ましくない。これは、脱バインダ焼成中
の酸素雰囲気による銅の酸化が表面積に影響され
るためと考えられる。このように比表面積が0.05
〜1.0m2/gの銅粉を用いることにより酸素雰囲
気中での脱バインダを可能にしている。この銅粉
を用いても脱バインダ焼成後のセラミツクス中の
カーボン残渣が600ppm以下になると銅が酸化す
るため導通抵抗が増大する。一方ガラスの屈伏点
以下の温度で脱バインダ温度を調整してセラミツ
クス中のカーボン残渣を600ppm以上にした場合
には、焼結の際に基板内のバインダの分解による
モノマーやCOの発生により、酸素濃度が低減し
結果的に銅の酸化が抑えられていると考えられ
る。 次に脱バインダー後に窒素雰囲気中で焼結する
場合、カーボン残渣が1500ppm以上残つていると
焼結後300ppm以上のカーボン残渣があり、絶縁
抵抗や耐電圧等の基板特性を劣化させる。このと
きカーボン残渣の減少はまだ分解しきつていない
バインダの分解によるものとみられる。このこと
から脱バインダ後のカーボン残渣が600〜
1500ppmになるようにすることによつて銅内層の
低温焼成基板が得られる。また水蒸気を含む窒素
中で焼成しさらに窒素中で焼結する場合において
は、空気雰囲気中の脱バインダ焼成によるカーボ
ン残渣の上限が3000ppmと高くなつても通常使用
される露点40〜60℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中
でさらに脱炭焼成した後、窒素雰囲気中の焼結で
カーボン残渣を300ppm以下に低減できるので良
好な絶縁抵抗、耐電圧などの基板特性が得られ
る。この焼成法においては、水蒸気を含む窒素雰
囲気がガラスの屈伏点を越えても問題はなかつ
た。これは空気中の脱バインダ焼成のための脱炭
処理が短時間で行えるため、セラミツクス焼結体
の焼結温度以下であれば収縮が完結せず、開気孔
が存在しているためと考えられる。このように大
量のガス流量を必要とする脱バインダゾーンで空
気雰囲気が使用でき脱炭処理時間の短縮により窒
素ガスの節約にもなる。 第1図は本発明の第1発明の空気雰囲気焼成−
窒素雰囲気焼結に場合の温度と時間の関係の一例
を、第2図は同じく第2発明の空気雰囲気焼成−
水蒸気・窒素焼成−窒素焼結の一例を示す。 なお第1図および第2図で空気(Air)、水蒸
気・窒素(H2O/N2)、窒素(N2)の各雰囲気
の変更の際何れも室温まで降温した後再び昇温し
ているが、使用する焼成炉の設備によりこの降
温、昇温の過程は必要なく所要の雰囲気が確保で
きれば連続的に昇温してもよい。 実施例 実施例 1 重量比がCaO27.3%、Al2O313.6%、SiO250%、
B2O39.1%の組成からなる屈伏点726℃のガラス
とAl2O3を重量比で60:40の割合で粉砕混合した
セラミツクス原料86%とメタクリル酸エステル樹
脂11%、DOP3%を混合して作製した厚み0.3mmの
グリーンテープにBET比表面積が0.14m2/gの
銅粉とエチルセルロース・テルピネオールからな
る銅ペーストを印刷し、3層に積層し、熱圧着し
て一体化して未焼成物を形成した。この未焼成物
を空気雰囲気中で昇温速度20℃/min.、400℃、
10分間焼成することより基板中のカーボン残渣を
970ppmにした後、酸素濃度5ppm以下の窒素雰囲
気中で900℃、20分間焼結して、カーボン残渣が
220ppmの基板が得られた。この基板は絶縁抵抗
1014Ωcm以上、耐電圧57kv/mm、導通抵抗3.0m
Ω/cmの特性が得られた。 実施例 2 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中で450℃、
10分間焼成して基板中のカーボン残渣を660ppm
とした後、窒素雰囲気中で900℃、20分間焼結し
てカーボン残渣80ppmの基板が得られた。この基
板は絶縁抵抗1014Ωcm以上、耐電圧60kv/mm以
上、導通抵抗7.8mΩ/□の特性が得られた。 実施例 3 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中350℃、10
分間焼成することにより、基板中のカーボン残渣
を2200ppmにし露点55℃の水蒸気を含む窒素雰囲
気中800℃、2時間焼成し、カーボン残渣250ppm
にした後、窒素雰囲気中900℃、20分間焼結して
カーボン残渣200ppmの基板が得られた。この基
板の絶縁抵抗1014Ωcm以上、耐電圧60kv/mm以
上、導通抵抗2,3mΩ/□で良好な特性が得ら
れた。 実施例 4 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中400℃、10
分間焼成することにより、基板中のカーボン残渣
を970ppmにし、露点55℃の水蒸気を含む窒素雰
囲気中800℃、2時間焼成しカーボン残渣を
120ppmにした後、窒素雰囲気中900℃、20分間焼
結してカーボン残渣80ppmの基板が得られた。こ
の基板は絶縁抵抗は1014Ωcm以上、耐電圧60kv/
mm以上、導通抵抗2.7mΩ/□で良好な特性が得
られた。 実施例 5 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中450℃、10
分間焼成することにより基板中のカーボン残渣を
660ppmにし、露点55℃以下の水蒸気を含む窒素
雰囲気中800℃、2時間焼成し、カーボン残渣
70ppmにした後、窒素雰囲気中900℃、20分間焼
結してカーボン残渣60ppmの基板が得られた。こ
の基板は絶縁抵抗1014Ωcm以上、耐電圧60kv/mm
以上、導通抵抗9.1mΩ/□の特性が得られた。 実施例 6 実施例1のグリーンテープに、本発明の範囲の
BET比表面積が0.06、0.14、0.54、0.97m2/gの
銅粉をエチルセルロース、テルピンネオールから
なる銅ペーストを印刷し、3層に積層し、熱圧着
して一体化した未焼成物を実施例1と同様に焼成
した。導通抵抗は各々3.3、3.0、3.5、5.8mΩ/□
の良好な特性が得られた。 比較例 比較例 1 実施例1、2の比較例として実施例1の未焼成
物を空気雰囲気中350℃、10分間焼成することに
より基板中のカーボン残渣を2200ppmにした後、
窒素雰囲気中900℃、20分間焼結してカーボン残
渣810ppmの基板が得られた。この基板は絶縁抵
抗4×107Ωcm、耐電圧0kv/mm、導通抵抗3.8m
Ω/□で必要な基板特性は得られなかつた。 比較例 2 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中500℃、10
分間焼成することにより、基板中のカーボン残渣
を520ppmにした後、窒素雰囲気中900℃、20分間
焼結してカーボン残渣70ppmの基板が得られた。
この基板は断線し導通がとれなかつた。 比較例 3 実施例3、4、5の比較例として実施例1の未
焼成物を空気雰囲気中で300℃、10分間焼成する
ことにより、基板中のカーボン残渣を8600ppmに
し露点55℃の水蒸気を含む窒素雰囲気中800℃、
2時間焼成しカーボン残渣650ppmにした後、窒
素雰囲気中で900℃、20分間焼結しカーボン残渣
1530ppmの基板が得られた。この基板の絶縁抵抗
107Ωcm以下、耐電圧0kv/mmで必要な基板特性
が得られれなかつた。 比較例 4 実施例1の未焼成物を空気雰囲気中で500℃、
10分間焼成することにより基板中のカーボン残渣
を520ppmにし露点55℃の水蒸気を含む窒素雰囲
気中800℃、2時間焼成しカーボン残渣70ppmと
し窒素雰囲気中900℃、20分間で焼成してカーボ
ン残渣60ppmの基板が得られた。この基板は断線
を起こし導通がとれなかつた。 比較例 5 実施例6の比較例として、実施例1のグリーン
テープにBET比表面積が0.04、1.49m2/gの銅粉
とエチルセルロース、テルピネオールからなる銅
ペーストを印刷し、3層に積層し、熱圧着して一
体化した未焼成物を実施例1と同様に焼成した。
BET比表面積0.04m2/gの試料は断線しており、
導通抵抗が測定できなかつた。BET比表面積
1.49m2/gの試料の導通抵抗は15.5mΩ/□と高
い値であつた。以上の試験結果を第1表または第
2表に示した。
【表】
【表】
ハ 発明の効果
本発明の製造方法により、大量のガス流量の必
要な脱バインダを空気雰囲気中で短時間に迅速に
行うことができ、銅を配線材料とする多層セラミ
ツクス回路基板の焼成時間、焼成コストの低減に
効果がある。
要な脱バインダを空気雰囲気中で短時間に迅速に
行うことができ、銅を配線材料とする多層セラミ
ツクス回路基板の焼成時間、焼成コストの低減に
効果がある。
第1図および第2図は本発明の焼成、昇温曲線
の一例を示す。第1図は第1発明で、また第2図
は第2発明である。
の一例を示す。第1図は第1発明で、また第2図
は第2発明である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 銅の融点より低い温度で焼成可能なセラミツ
クス原料と熱可塑性樹脂からなるグリーンテープ
にBET比表面積が0.5〜1.0m2/gの銅粉を主体と
するペーストを印刷し、積層後、熱圧着して一体
化する未焼成物の焼成において、該未焼成物中の
ガラス成分の屈伏点以下の温度で、カーボン残渣
が600〜1500ppmとなるように空気雰囲気中で脱
バインダ焼成し、800〜1000℃の温度でカーボン
残渣が300ppm以下となるように窒素雰囲気中で
焼結することを特徴とする低温焼成セラミツクス
多層回路基板の製造方法。 2 特許請求の範囲第1項の未焼成物の焼成にお
いて、該未焼成物中のガラス成分の屈伏点以下の
温度でカーボン残渣が600〜3000ppmになるよう
に空気雰囲気中で脱バインダー焼成し、次に焼結
温度以下の温度で水蒸気と含む窒素雰囲気中で脱
炭焼成した後、800〜1000℃の温度で窒素雰囲気
中でカーボン残渣が300ppm以下になるように焼
結することを特徴とする低温焼成セラミツクス多
層回路基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30942588A JPH02155294A (ja) | 1988-12-07 | 1988-12-07 | 低温焼成セラミックス多層基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30942588A JPH02155294A (ja) | 1988-12-07 | 1988-12-07 | 低温焼成セラミックス多層基板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02155294A JPH02155294A (ja) | 1990-06-14 |
JPH0566038B2 true JPH0566038B2 (ja) | 1993-09-20 |
Family
ID=17992853
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30942588A Granted JPH02155294A (ja) | 1988-12-07 | 1988-12-07 | 低温焼成セラミックス多層基板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH02155294A (ja) |
-
1988
- 1988-12-07 JP JP30942588A patent/JPH02155294A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02155294A (ja) | 1990-06-14 |
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