JPH0565637A - イオンビームスパツタ装置 - Google Patents

イオンビームスパツタ装置

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JPH0565637A
JPH0565637A JP22565891A JP22565891A JPH0565637A JP H0565637 A JPH0565637 A JP H0565637A JP 22565891 A JP22565891 A JP 22565891A JP 22565891 A JP22565891 A JP 22565891A JP H0565637 A JPH0565637 A JP H0565637A
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JP
Japan
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ion beam
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ion
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JP22565891A
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Masaharu Tanaka
正治 田中
Shinji Tezuka
伸治 手塚
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】立方晶窒化硼素(c−BN)の薄膜を基体表面
に成膜するに際して、高真空で且つ低温プロセスによ
り、原材料の利用効率と合成プロセスの制御性の良い、
しかも、被膜の密着性が優れ、機能向上に役立つイオン
ビームスパッタ装置を提供することを目的とする。 【構成】真空容器1内にスパッタ用イオンビーム源5
と、アシスト照射用イオン源12、及びh−BN焼結体
ターゲットとAlターゲットとを特定の表面積比率で設
けた二元素の複合ターゲット4とを配置し、前記スパッ
タ用イオンビーム源5からのイオンビームで前記複合タ
ーゲット4表面の物質をスパッタ蒸発させて基体9に向
かわせると共に、アシスト照射用イオン源12から窒素
イオンを主とするアシストイオンで基体9表面を照射
し、c−BN層とAlN層の傾斜組成を有する薄膜を基
体9に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基体表面に超硬質保護
膜、高熱伝導性膜としての窒化硼素(c−BN)膜,窒
化アルミニュウム(AlN)膜等を形成する技術に関す
るものであり、特に、低圧気相合成法による窒化硼素膜
や、イオンビームを利用した機能性薄膜の形成技術に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】TiC膜やTiN膜等のいわゆる炭化
物、窒化物のニユーセラミックの被膜は超高硬度薄膜と
して機械部材や精密加工用切削工具のコーティングとし
て利用されている。特に、ボロンの窒化物である立方晶
窒化硼素(c−BN)は、ダイヤモンドに次ぐ硬度や熱
伝導性を有し、超高硬度,耐摩耗性被膜として期待さ
れ、また電子材料としても注目を集めている材料であ
る。
【0003】窒化ボロン(BN)の結晶形態としては、
大別して3種類あり、そのうち、立方晶窒化硼素(c−
BN)は高温高圧相であり、その製法技術は高温高圧下
で合成されており、従来において低圧気相合成は困難で
あるとされてきた。これまで高温高圧下で合成されてき
た立方晶窒化硼素(c−BN)は、最近では、PVD
(Physical Vapor Depositio
n)や、CVD(Chemical Vapor De
position)により、薄膜として合成する試みが
なされている。
【0004】PVD法で代表的なものとして、電子ビー
ム蒸発源(EB蒸発源)を用いた活性化反応性蒸着法、
反応性イオンプレーティング法、スパッタリング法があ
る。これらのPVD法では、成膜中の圧力が10-2〜1
-4Torrと比較的低真空で行うプロセスであり、反
応性ガスの制御や残留ガスの影響による膜質の悪化(特
に密着性に問題)に欠点を有する。加えて、プラズマの
作用を用いるため、プラズマイオンの物理的効果を引き
出すため、基体に高周波電圧を印加して基体周辺に負バ
イアスを発生させていること、基体自身を300℃〜7
00℃程度の高温に保持する必要があることなど、低圧
気相合成を実現させるための条件が、複雑かつ高コスト
であるという現状である。
【0005】一方、CVD法では、主にプラズマCVD
による反応ガスの化学反応で、c−BN膜を合成してい
るが、この場合においても基体を1000℃程度の高温
に保つ必要があり、一般的にPVD法よりも速い成膜速
度を得ることができるが、プロセスガスの条件,管理等
のプロセスのコントロールや再現性に問題がある。
【0006】以上のように、PVD,CVDの各法に根
本的な問題は、高い圧力(低真空度)、高温の合成プロ
セスであるため、c−BN薄膜は強い内部応力を有して
おり、大気中での安定性に実用上の欠点を有し、基体と
の密着性も未解決の状態である。
【0007】これらの問題を解決するために、電子サイ
クロトロン共鳴(ECR)プラズマを用いたCVD法
や、特開平2−259059号公報に記載されているよ
うに、イオンアシスト照射によるイオンビームの効果を
利用したEB蒸発法によって、c−BN薄膜の合成を試
みている例がある。
【0008】前者のECRプラズマCVD法では、低温
化プロセスの面からは利点があるものの、合成に用いる
原料ガスの制御や再現性、基体との密着性に問題があ
り、傾斜組成を施して成膜する場合には、プロセスの制
御が難しい。後者の方法では、金属硼素をEB蒸発源に
よって蒸気化し、窒素イオンを主とするイオンビーム照
射効果によってc−BN薄膜を合成しているが、蒸気化
硼素の量のコントロールが難しく、照射イオンの量が制
御できても、原料硼素及び反応性イオンをそれぞれ独立
に制御して、所望の傾斜組成や薄膜の積層化による膜の
機能、膜質向上を期待することが難しく、原料のコスト
(使用効率)の面でも問題が残る。レーザを用いたPV
D法も開発されているが、この場合も、前記二例と同様
の問題は解決されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、立方晶窒化
硼素(c−BN)の薄膜を基体表面に成膜するに際し
て、高真空で且つ低温プロセスにより、原材料の利用効
率と合成プロセスの制御性の良い、しかも、被膜の密着
性が優れ、機能向上に役立つイオンビームスパッタ装置
を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、真空容器内の真空度を調節できる真空排
気系を設け、真空容器内にスパッタ用イオンビーム源
と、アシスト照射用イオン源、及びh−BN焼結体ター
ゲットとAlターゲットとを特定の表面積比率で設けた
二元素の複合ターゲットとを配置し、前記複合ターゲッ
トに対向する位置に処理される基体を設け、前記スパッ
タ用イオンビーム源からのイオンビームで前記複合ター
ゲット表面の物質をスパッタ蒸発させて基体に向かわせ
ると共に、アシスト照射用イオン源から窒素イオンを主
とするアシストイオンで基体表面を照射し、c−BN層
とAlN層の傾斜組成を有する薄膜を基体に形成するこ
とを特徴とするものである。
【0011】また、本発明は、前記イオンビームスパッ
タ装置において、前記複合ターゲットはスパッタ用イオ
ンビーム源のイオンビームに対して真空容器内で移動す
る手段に支持され、c−BN層とAlN層の傾斜組成を
有する薄膜を積層してなる多層スパッタ膜を基体に形成
することを特徴とするものである。
【0012】更に、本発明は、前記イオンビームスパッ
タ装置において、前記複合ターゲットは細長い矩形状の
ターゲットからなり、該複合ターゲットのh−BN焼結
体ターゲットとAlターゲットの各面をスパッタ用イオ
ンビーム源のイオンビームに対向するような移動手段を
設け、該複合ターゲットに対向する基体は加熱手段を備
え、回転駆動手段で支持され、且つアシスト照射用イオ
ン源は真空容器の排気系とは別個の排気系を備え、軸中
心に対して角度を変化させる手段を備えていることを特
徴とするものである。
【0013】
【作用】本発明の構成により、スパッタ用イオンビーム
源からのイオンビームで、h−BN焼結体ターゲットと
Alターゲットとからなる複合ターゲット表面の物質を
スパッタ蒸発させたスパッタ粒子と、アシスト照射用イ
オン源から窒素イオンを主とするアシストイオンとによ
り、基体表面を照射するため、前記スパッタ粒子とアシ
ストイオンの反応によって、高真空(5×10-5Tor
r)且つ比較的低温(100℃前後)の状態により、基
体上にはc−BN層とAlN層の傾斜組成を有する複合
被膜を形成することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1には、本発明にかかわるイオンビームスパッ
タ装置の概要を示している。真空容器1には、高真空排
気系2が接続されており、真空容器1内は2×10-7
orr以下の圧力に制御できる。高真空排気系2として
は、例えば、クライオポンプあるいはターボ分子ポンプ
を主ポンプとし、真空容器1内に設置された四重極型質
量分析計18によって、残留ガスのモニターを行い、水
分を主とする残留気体分子が非常に少ないことが確認さ
れる。
【0015】真空容器1内には、図2に示される如き、
細長の矩形ターゲット4がターゲットホルダ3に収納さ
れている。このターゲットホルダ3は図示されていない
駆動機構により、横方向(x方向)と紙面に垂直方向
(y方向)に移動可能に配置されている。この駆動機構
としては、例えば、マグネットカップリングを用いた真
空用試料移送機構で構成しても良い。
【0016】ターゲット4は純度98%以上の六方晶窒
化ボロン焼結体(h−BNターゲット)4Aと、純度9
9.999%の高純度アルミニュウム(Alターゲッ
ト)4Bからなる複合ターゲットであり、図2に示され
るように、h−BNターゲット4AとAlターゲット4
Bとは境界線Lを介して設けられ、一定の表面積比率で
構成されている。
【0017】真空容器1内には、イオンビーム源5が前
記ターゲット4に対向して配置されている。該イオンビ
ーム源5からは約1.5kvに加速及び収束されたAr
+ イオンビームが発生し、ターゲット4に当たり、ター
ゲット物質をスパッタ蒸発させる。6はイオンビーム源
5の電源であり、7はArガス導入系である。スパッタ
蒸発を行うときの真空容器1内の圧力は約5×10-5
orrである。
【0018】イオンビーム源5からターゲット4に向か
ってイオンビームが射出されると共に、ターゲット4を
支持したターゲットホルダ3は、イオンビームがターゲ
ット4の表面で、図2に示す軌跡を描くように連続移動
する。すなわち、イオンビームの軌跡kは、細長の矩形
ターゲット4のh−BNターゲット4Aの一端に最初当
てながら、y方向に移動されるターゲットホルダ3によ
り、細長の矩形ターゲット4上をy方向に直線移動し、
隣接するAlターゲット4Bに当てられる。その後、細
長の矩形ターゲット4の他端でx方向に僅かに移動し、
y方向に逆戻りして、Alターゲット4Bからh−BN
ターゲット4Aに向かい、この動作を順次繰り返す。こ
のようにして、イオンビームはターゲット4の全表面を
掃引する。
【0019】基体ホルダ8には、基体9が着脱自在に取
付けることができ、基体9表面は細長の矩形ターゲット
4と対向するように配置されている。また、基体ホルダ
8には、基体9を加熱する加熱機構11が設けられると
共に、真空容器1の外に設けられた回転駆動系10によ
って、基体ホルダ8は回転させられることができる。基
体ホルダ8に取付けられる基体9の形状は、平板状でも
よく、平板状でなくてもよい。
【0020】真空容器1内には、プラズマイオン源12
が基体9の表面に対向するように配置されている。この
プラズマイオン源12をアシスト照射用イオン源と呼ぶ
ことにする。アシスト照射用イオン源12は、例えば、
電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオン源であり、生
成したプラズマ中のイオンを加速して基体9を照射する
ことができる。
【0021】このアシスト照射用イオン源12は、平板
状基体表面の場合に対して静止の状態でアシストイオン
を照射するが、不定形基体の表面に対してはその軸中心
を変位させる手段によって、アシストイオンの照射角度
を変化させて、該表面にc−BN層及びAlN層の積層
薄膜を形成することができる。アシスト照射用イオン源
12の排気は、真空容器1とは別個の真空排気系13に
よって真空排気される。
【0022】アシスト照射用イオン源12には、窒素ガ
スとアルゴンガスがガス導入系15によって導入され
る。ガス導入系15から導入された窒素ガスとアルゴン
ガスは、マスフローコントローラ16,17によって、
夫々のガス流量が制御される。14はアシスト照射用イ
オン源12の電源であり、プラズマ発生用電源とイオン
引出加速系電源として機能する。窒素ガスとアルゴンガ
スとの混合比は、窒素ガスが好ましくは30体積%であ
り、イオンの加速電圧は400〜700Vである。
【0023】基体9部分には、高周波電圧を印加するた
めの電源20が設けられ、通常、200W〜400Wの
高周波電圧を印加して、基体9に負のセルフバイアスを
生ぜしめ、アシスト照射用イオン源12からの窒素ガス
及びアルゴンガスの衝撃効果によって、窒素イオンでは
反応合成を促進し、アルゴンイオンでは立方晶窒化硼素
(c−BN)と結晶系が異なり、硬度、密着性の劣る六
方晶窒化硼素(h−BN)結晶粒を衝撃エネルギーによ
り離脱させ、結晶粒のみを成膜形成に作用するようにす
る。
【0024】したがって、アシスト照射用イオン源12
から出される窒素イオンを主とするイオンビームが基体
9の表面に照射され、イオンビーム源5のイオンビーム
により、ターゲット4でスパッタ蒸発されたスパッタ粒
子と窒素イオンとの反応によって、基体9の表面には、
立方晶窒化硼素(c−BN)の薄膜が形成される。
【0025】この際、基体9とc−BN薄膜との密着性
に関して、図3に示されるように、最初、基体9の表面
に硼素リッチな層S1 を形成する。このため、基体9は
120℃の温度に維持され、この状態で窒素イオンの照
射を行わずに、h−BNをスパッタする。このとき、揮
発性の高い窒素が早く抜けるため、h−BNターゲット
4Aから蒸発する硼素が多い状態で、基体9には硼素リ
ッチな層S1 ができる。
【0026】イオンビーム源5からのイオンビームを照
射する際、図2に示されるようにターゲット4上のa位
置からb位置まで窒素イオンのアシスト照射を行わず、
b位置からアシスト照射を行い、傾斜組成構造にしたc
−BN層S2を形成する。このときの硼素と窒素の反応
状態は、四重極型質量分析計18によって粒子種とその
量をモニターする。19は四重極型質量分析計18の計
測・制御系である。
【0027】四重極型質量分析計18によって、硼素と
窒素の粒子種をモニターする場合について説明する。イ
オンビーム源5のイオンビームの加速電圧とスパッタさ
れる中性粒子(ここではB,N)の量とは相関があるの
で、予め四重極型質量分析計18により、硼素,窒素の
量を計測する。次に、c−BNの合成時に、アシスト照
射用イオン源12から照射される窒素イオンについて、
イオン分析の手法で同じ四重極型質量分析計18によ
り、イオン量をモニターしながら窒素ガスのマスフロー
コントローラ16及びイオン引出加速系電源14にフィ
ードバックし、窒素イオン量を可変にして照射し、傾斜
組成を作る。c−BNの傾斜組成構造によって、c−B
N層S2 を形成した後は、Alターゲット4Bをスパッ
タしながら、窒素イオンを照射して窒化アルミニウムの
層S3 を形成する。
【0028】このようにして、c−BNの傾斜組成層S
2 と窒化アルミニウムの層S3 を積層しながら、最終層
に近づくにつれて、c−BN層S2 を多く含むc−BN
被膜が完成する。窒化アルミニウム(AlN)は高い熱
伝導性を示す透明膜であり、高硬度,耐摩耗性を示すc
−BN層の密着性と熱伝導性を補い、複合化した材料と
して著しい特性改善を図ることができる。図3には、そ
のc−BN被膜の構成の例を示している。
【0029】RFプラズマCVD、RF反応性イオンプ
レーティング法では、基体に高周波電圧を加え、基体に
負のセルフバイアスを生ぜしめている。この方法では、
反応系にプラズマそのものが関与しており、反応系のコ
ントロールが難しい。これに対して、本発明では、プラ
ズマはイオン発生源として使われるのみであり、そのプ
ラズマによって正イオンを引出し、基体に印加された高
周波電圧のセルフバイアスによってイオン衝撃効果を得
るので、イオンのエネルギーや量の制御性が格段に良
く、高真空において低温形成するのに適している。ま
た、通常のスパッタ法(平行平板二極スパッタ)に比べ
て、イオンビームスパッタはスパッタ粒子の量やエネル
ギーの制御、ターゲットの利用効率が非常に良い。
【0030】本発明の構成において、イオンビームによ
るスパッタ粒子とアシスト照射用イオン源からのアシス
トイオンとの反応により、5×10-5Torrの高真空
で且つ100℃前後の比較的低温で、基体上にc−BN
層とAlN層とからなる複合被膜を形成することができ
る。この反応では、スパッタ粒子の量とアシストイオン
の量、また、それらのエネルギー状態を独立に制御する
ことができ、結晶性、組成、密着性を任意に制御するこ
とができる。特に、アシストイオンの効果により、基体
上の成膜粒子に熱エネルギー効果を与え、低温プロセス
が実現できる。
【0031】本発明では、硬度、耐摩耗性、熱伝導性に
おいて優れた材料を積層し、c−BN層とAlN層は夫
々の特性により互いに相補的に補完し合い、窒化物系セ
ラミック薄膜を実用化して、超高硬度、高熱伝導性被膜
を形成することができる。更に、c−BN層に傾斜組成
構造を付与することにより、基体との密着性が向上す
る。AlN層は薄膜層であり、高い内部残留応力を持つ
c−BN層に対して、内部応力を緩和するバッファ層と
して働く。
【0032】また、本発明において、薄膜合成を行う真
空容器とアシスト照射用イオン源とを夫々別個に真空排
気することによりなる高真空プロセスによって、基体表
面は平板に限定されることなく、複雑な形状を有する基
体表面に対して、所望の被膜を形成することができる。
ターゲットの利用効率は100%に近いうえに、小面積
ターゲットに対して、大きな面積を有する基体に被膜を
形成することができることから、コスト上も有利であ
る。
【0033】本発明の構成によると、スパッタ粒子(中
性粒子)及びアシストイオン(荷電粒子)を四重極型質
量分析計によってモニターし、該質量分析計によりアシ
ストイオンの量をモニター且つ制御することによって、
容易に傾斜組成のコントロールができ、更に、該質量分
析計によりアシストイオンのイオンビームエネルギーの
プロファイルを得ることができるので、結晶性の制御も
可能である。
【0034】更に、本発明では、基体周辺に負のセルフ
バイアス電位を生ぜしめ、アシスト照射用イオン源から
照射される窒素イオン及びアルゴンイオンが、基体近傍
において急速にエネルギーを付勢されて加速され、その
イオン衝撃効果により膜の合成が促進されると共に、衝
撃時のエネルギーにより、結晶性が向上し、c−BNの
形成を促進する。そして、基体へのマイグレーション効
果により密着性が改善される。
【0035】本発明において、窒素イオンによりc−B
N、AlNの低圧気相合成が行なえると共に、アルゴン
イオンの衝撃効果によりh−BN結晶粒を脱離させ、c
−BNのみを選択的に基体上に成膜形成することができ
る。AlN層形成時にも、下地となるc−BN層への密
着性が良くなる。
【0036】
【発明の効果】本発明の構成により、スパッタ粒子とア
シストイオンの反応によって、高真空且つ比較的低温の
プロセスにより、基体上にはc−BNとAlNの傾斜組
成を有する複合被膜を形成することができる効果を有
し、この際、被膜の基板に対する密着性に優れ、機能向
上を図った利点を有し、合成プロセスの制御性に適し、
原材料に利用率に優れる装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわるイオンビームスパッタ装置の
概要を示す断面図である。
【図2】本発明に用いられる複合ターゲットの平面図で
ある。
【図3】本発明のイオンビームスパッタ装置によって基
体表面に形成されたc−BNとAlNの各薄膜の積層状
態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 真空容器 2 高真空排気系 3 ターゲットホルダ 4 ターゲット 4A h−BNターゲット 4B Alターゲット 5 イオンビーム源 6 イオンビーム源の電源 7 Arガス導入系 8 基体ホルダ 9 基体 10 回転駆動系 11 加熱機構 12 アシスト照射用イオン源 13 アシスト照射用イオン源の真空排気系 14 アシスト照射用イオン源の電源 15 ガス導入系 16,17 マスフローコントローラ 18 四重極型質量分析計 19 四重極型質量分析計の計測・制御系 20 高周波電圧印加用電源

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内の真空度を調節できる真空排
    気系を設け、真空容器内にスパッタ用イオンビーム源
    と、アシスト照射用イオン源、及びh−BN焼結体ター
    ゲットとAlターゲットとを特定の表面積比率で設けた
    二元素の複合ターゲットとを配置し、前記複合ターゲッ
    トに対向する位置に処理される基体を設け、前記スパッ
    タ用イオンビーム源からのイオンビームで前記複合ター
    ゲット表面の物質をスパッタ蒸発させて基体に向かわせ
    ると共に、アシスト照射用イオン源から窒素イオンを主
    とするアシストイオンで基体表面を照射し、c−BN層
    とAlN層の傾斜組成を有する薄膜を基体に形成するこ
    とを特徴とするイオンビームスパッタ装置。
  2. 【請求項2】 前記複合ターゲットはスパッタ用イオン
    ビーム源のイオンビームに対して真空容器内で移動する
    手段に支持され、c−BN層とAlN層の傾斜組成を有
    する薄膜を積層してなる多層スパッタ膜を基体に形成す
    ることを特徴とする請求項1記載のイオンビームスパッ
    タ装置。
  3. 【請求項3】 前記複合ターゲットは細長い矩形状のタ
    ーゲットからなり、該複合ターゲットのh−BN焼結体
    ターゲットとAlターゲットの各面をスパッタ用イオン
    ビーム源のイオンビームに対向するような移動手段を設
    け、該複合ターゲットに対向する基体は加熱手段を備
    え、回転駆動手段で支持され、且つアシスト照射用イオ
    ン源は真空容器の排気系とは別個の排気系を備え、軸中
    心に対して角度を変化させる手段を備えていることを特
    徴とする請求項1記載のイオンビームスパッタ装置。
  4. 【請求項4】 真空容器内に配置された基体近傍に、質
    量分析計を設置し、複合ターゲットから飛来するスパッ
    タ中性粒子、アシスト照射用イオン源から照射されるイ
    オンの量をモニターし、該質量分析計によってスパッタ
    中性粒子の量に対し、アシスト照射用イオン源から照射
    されるアシストイオンの量を制御する手段を備えている
    ことを特徴とする請求項1記載のイオンビームスパッタ
    装置。
  5. 【請求項5】 基体には、200〜400Wの高周波電
    圧が印加され、基体周辺に負バイアス電位を発生させ、
    該アシスト照射用イオン源から放出されるプラズマイオ
    ンの衝撃効果によりc−BNの膜質向上を図ることを特
    徴とする請求項1記載のイオンビームスパッタ装置。
  6. 【請求項6】 前記アシスト照射用イオン源として、E
    CRプラズマイオン源が用いられ、該ECRプラズマイ
    オン源により窒素ガスと希ガスのイオンを発生せしめ、
    希ガスとしてアルゴンが用いられ、その混合比率は、窒
    素ガスが18〜45体積%であることを特徴とする請求
    項1記載のイオンビームスパッタ装置。
JP22565891A 1991-09-05 1991-09-05 イオンビームスパツタ装置 Withdrawn JPH0565637A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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