JPH0564367U - トラス用軸構造材の応力制限機構 - Google Patents

トラス用軸構造材の応力制限機構

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JPH0564367U
JPH0564367U JP1323792U JP1323792U JPH0564367U JP H0564367 U JPH0564367 U JP H0564367U JP 1323792 U JP1323792 U JP 1323792U JP 1323792 U JP1323792 U JP 1323792U JP H0564367 U JPH0564367 U JP H0564367U
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hollow cylindrical
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元英 多田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 摩擦力を用いて相対的に変位しうる二つの部
材間で一定の軸力を保ち大きな変形を可能にするトラス
用軸構造材の応力制限機構を提供すること。 【構成】 内部に空間16が確保された中空筒体11
に、所定以上の圧縮軸力が作用したとき押し込むことが
できる押込代を備える挿入棒材12を嵌入させておく。
その両者間に押圧用介装材13を配置し、中空筒体11
の外面からねじ体14をねじ込み、押圧用介装材13を
挿入棒材12に押しつけ、所望する大きさの摩擦力が発
生するようにトルクをかけておく。このような応力制限
機構10に大きい圧縮軸力が作用し、設定された摩擦力
より大きい軸力を受けると、挿入棒材12が中空筒体1
1内に進入し、トラス用軸構造材に座屈を起こさせるこ
となく応力制限機構10が一定の軸力で縮小する。これ
によって、大地震の際にトラス構造物を大きく変形させ
ることができ、急激な倒壊を防止することができる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はトラス用軸構造材の応力制限機構に係り、詳しくは、トラスを構成す る軸材に所定以上の圧縮軸力が作用したとき、その軸力によって座屈を起こすこ となく軸長を短縮しながら大きい軸方向変形を可能にする応力制限機構に関する ものである。
【0002】
【従来の技術】
トラスを構成する多数の軸材のうち軸方向圧縮力が作用する部材に座屈が生じ た場合、その部材の耐力は、「荷重−軸方向変形」の関係を示す図5のグラフ中 に破線で表したごとく急激に低下する。したがって、その圧縮部材に隣接する他 の軸材に多大の負荷がかかることになり、トラス骨組全体の脆性的な崩壊が生じ るおそれがある。 このような事態を防止する手段の一つとして、最も危険な圧縮部材に応力制限 機構を導入する方法がすでに知られている。これは、図5中に実線で示したごと く、危険圧縮部材が座屈する前に降伏するようその部材の耐力を予め制限してお き、その軸力を保持させながら変形させるというものである。これによれば、そ の座屈の間徐々に骨組に応力を再配分させることができ、隣接部材の累進的な破 壊を防ぐことができると考えられる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記したようなことを目的としてすでに提案されている応力制限機構は、部材 自体の降伏によって一定の軸力を保つようにしたもので、スタッブコーンを切削 加工した構成部材や、補剛材として内管を挿入した二重鋼管構造材などがある。 しかしながら、それらは性能やコストの面でまだまだ満足したものが得られてい ないのが現状である。 ところで、応力制限機構ではないが、例えば実開昭63−115642号公報 には、筒体とそれに挿入されたロッドとの間で相対的摺動を可能にし、地震や風 力などによる振動エネルギーを吸収しながら減衰させるようにした制震ダンパー が開示されている。 これは、概略的に言って、一方の部材に接続されるロッドと他方の部材に接続 される筒体とを備え、筒体に挿入されたロッドと筒体との間に、スプリングの弾 発力を利用して筒体の内面に向かって付勢される摺動部材を配置し、その摺動部 材の外周と筒体の内面との間に摩擦部材を介在させた構造となっている。 このようなダンパー構造において、ロッドが大きい軸力を受けると、ロッドが 間接的に摺動部材を半径方向外方へ押しやることによって摩擦部材で生じる大き な摩擦力を軸力に対抗させ、その摩擦力に抗した筒体に対するロッドの摺動変位 により、振動を吸収することができるようになっている。 このような制震装置によれば、構造物の例えば梁に筒体の先端を接続するとと もに、壁面を構成するプレキャストコンクリートパネルの一部にロッドの他端を 接続しておくと、地震のときの振動が大きくてもそれを吸収し、例えば梁の揺れ が壁面に直接伝達されてしまうようなことを抑制することができる。すなわち、 摺動部材や摩擦部材を介して生じる筒体とロッドとの摩擦力が利用され、所定以 上に大きい圧縮や引張に対してダンパー装置自体が長くなったり短くなったりし て、ロッドと筒体との相対変位が許容される。
【0004】 しかし、このような装置はあくまでも振動の吸収を目的としており、応力制限 機構として使用できないことはないが、構造が複雑化しコスト高となること、軸 変形が短縮されるだけで十分である圧縮部材には過剰な機能まで備えさせること になること、大きな圧縮荷重が作用したとき前述した図5中に実線で示した一定 の大きさの軸力でもって軸長を大きく短縮させることができないことなどから、 軸材の降伏によって一定の軸力を保ちながら大きく変形させようというトラス用 軸構造材の応力制限機構に適用するには妥当でない。 本考案は上述した事情に鑑みなされたもので、その目的は、これまでの応力制 限機構において採用されているような部材自体の降伏によって一定の軸力を保つ というものではなしに、摩擦力を用いて相対的に変位しうる二つの部材間で一定 の軸力を保つことができるようにして大きな軸方向変形を可能にするトラス用軸 構造材の応力制限機構を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は、軸材に所定以上の圧縮軸力が作用したとき、その軸力によって座屈 を起こすことなく軸長を変更しながら大きい軸方向変形を許容させることができ るようにしたトラス用軸構造材のための応力制限機構に適用される。 その特徴とするところは、図1を参照して、トラスを構成する軸材15に接続 されるか軸材それ自体の一部をなし、内部に空間16が確保された中空筒体11 と、 トラスを構成する他の軸材19に接続されるか軸材それ自体の一部をなし、中 空筒体11に嵌入される挿入部12Aと所定以上の圧縮軸力が作用したとき該中 空筒体11内に押し込まれる押込代L2 を確保した進入部12Bとを備える挿入 棒材12と、 その挿入棒材12の挿入部12Aが中空筒体11に嵌入された状態で、該挿入 部12Aの表面と中空筒体11の内面との間にあって、該挿入部12Aの周囲に 配置される複数の押圧用介装材13と、 中空筒体11の外面から該中空筒体11の軸線11aに対して垂直に形成され たねじ孔17にねじ込まれ、押圧用介装材13を挿入棒材12の表面に押しつけ るための複数のねじ体14と、 を具備することである。 なお、上記した挿入棒材12を、その断面が軸方向に同一寸法の多角形となる ようにしておき、押圧用介装材13が面接触する平坦な摩擦面12aを備えさせ ておくとよい。 押圧用介装材13の挿入棒材12と接触する側の面13aは、特殊銅合金に固 体潤滑剤を分散焼結させかつ含油させた滑り面としておくことが好ましい。 また、押圧用介装材13と挿入棒材12とが接触する面での静摩擦係数は、そ の面での動摩擦係数と可及的に近似するように、その面を滑らかに仕上げておく とよい。 上記したねじ体14のねじ先部分には、グリースを塗布するようにしておくと よい。
【0006】
【作用】
中空筒体11に挿入棒材12,押圧用介装材13,ねじ体14が組み込まれた 応力制限機構10を使用してトラス用軸構造材を形成し、それをトラス骨組の中 で圧縮軸力が作用する部所に組み込む。 そのトラス用軸構造材に所定以下の大きさの軸力が作用する間は、応力制限機 構10におけるねじ体14によって押さえつけられた押圧用介装材13と挿入棒 材12の挿入部12Aとの間に発生する静摩擦力がまさり、応力制限機構10を 除いた部分の軸材15,19が弾性変形しながら縮む。 いま、大地震などにより所定以上の大きい軸力が作用したとすると、軸材15 や軸材19が降伏する前に、押圧用介装材13と挿入棒材12との間に発生する 摩擦力では耐えきれなくなる。したがって、挿入棒材12の挿入部12Aで滑り が生じ、進入部12Bが中空筒体11内へ入りはじめる。その大きい軸力が依然 として作用していると、挿入棒材12は進入部12Bの押込代がなくなるまで中 空筒体11に進入する。この間、応力制限機構10が一定の大きさの軸力でもっ て短くなり、トラス用軸構造材の大きな軸方向変形が実現される。
【0007】 上記した挿入棒材12の断面が軸方向に同一寸法の多角形であると、押圧用介 装材13との間で摩擦力を発生させる面を平坦なものとしておくことができる。 これによって、押圧用介装材13と挿入棒材12の面接触性が高く維持され、所 望する大きさの摩擦力が発揮される。 押圧用介装材13の挿入棒材12と接触する側の面13aに、特殊銅合金に固 体潤滑剤を分散焼結させかつ含油させておくと、均一で大きい摩擦力が発生し、 かつ、滑り面の摩耗が抑制される。 押圧用介装材13と挿入棒材12とが接触する面での静摩擦係数μA が、その 面での動摩擦係数μB と可及的に近似するように、その接触面を滑らかに仕上げ ておく。静摩擦力に等しい所定の大きさの軸力で挿入棒材12が滑りはじめた後 も、ほぼその大きさに等しい軸力に動摩擦力を対抗させながら、応力制限機構1 0を変形させることができるようになる。 ねじ体14のねじ先部分にグリースを塗布しておけば、押圧用介装材13を挿 入棒材12に押しつけるためのトルクが、いずれのねじ体14についても同等に 与えられ、所望する大きさの摩擦力の発生を実現することができる。
【0008】
【実施例】
以下に、本考案をその実施例の図面を参照しながら詳細に説明する。図4は、 本考案に係る応力制限機構を実現するための原理図で、例えば長い軸部材1の側 面に複数の外部部材2,2を密着させ、その側面に対して垂直な方向から幾つか の力q,qを対向して作用させた様子を示している。これは、その軸部材1にト ータルの締付力Σqを加えることによって、軸部材1と外部部材2との間に軸方 向の摩擦力pを生じさせ、圧縮軸力Pに抵抗させようというものである。 すなわち、軸部材1と外部部材2との間の静摩擦係数をμA とし、動摩擦係数 をμB とすれば、軸力Pが P=μA Σq となったときに滑りはじめ、その後 に軸力Pが一定値 P=μB Σq を保ったまま変形し続けるということを意味 している。
【0009】 図1は上記した原理を利用した応力制限機構10の縦断面図を示すもので、ト ラスを構成する軸材に所定以上の軸力Pが作用したとき、その軸力によって座屈 を起こすことなく軸長を短くしながら大きい軸方向変形を許容させることができ るようになっている。 その主たる構成は、一つの中空筒体11、それに嵌入される挿入棒材12、複 数個の押圧用介装材13,13、その押圧用介装材13を一つずつ押さえて摩擦 力pを発生させる複数個のねじ体14,14とからなっている。
【0010】 中空筒体11は、図3に示すごとくトラスを構成する軸材15に接続されるか 軸材それ自体の一部をなすものであり、その内部に空間16(図1参照)が確保 されている。そして、中空筒体11の軸線11aに対して垂直な、すなわち、本 例においては外面11bに対して垂直なねじ孔17が一定の間隔をおいて多数形 成されている。 なお、この例の場合の中空筒体11は軸材15と接続されるようになっている ので、図1に示すように、筒部の左端内面には雌ねじ11cが刻設され、右端内 面には閉止蓋体18を取り付けるための雌ねじ11dも形成されている。ちなみ に、上記の雌ねじ11cは後述するカップラー20を取り付けるためのものであ るが、その雌ねじ11cを設けることなくカップラー20に相当する部分を左端 に一体にして製作しておいてもよい。
【0011】 挿入棒材12も、トラスを構成する他の軸材19に接続されるか軸材それ自体 の一部をなし、上記した中空筒体11にその大部分が嵌入されるものである。そ の断面は図2に示すごとく軸方向に一様な同一寸法の六角形とされ、次に述べる 押圧用介装材13が面接触する六つの摩擦面12a,12aを備えている。この 挿入棒材12も図1に示すごとく軸材19と接続される場合の例であるので、右 端外面には雄ねじ12bが刻設されている。 この挿入棒材12は、雄ねじ12bの部分を除けば、中空筒体11に嵌入され る長さL1 の挿入部12Aと、所定以上の軸力が作用したとき中空筒体11内に 押し込まれる押込代L2 を確保した進入部12Bとを備える長さとなっている。 なお、材質としてはSS400などの鉄材で十分であるが、焼入れ焼き戻し等の 調質が施され、押圧用介装材13から押圧力を受けたり軸荷重が作用して大きい 摩擦力が発生しても耐えられるように表面処理がなされている。 ちなみに、上記した右端外面の雄ねじ12bは、後述するカップラー21を取 り付けるためのものであるが、その雄ねじ12bを設けることなく、外面に外ね じ部21bを刻設したカップラー21に相当する部分を進入部12Aの先端に一 体にして製作しておいてもよい。
【0012】 押圧用介装材13は、挿入棒材12が中空筒体11に嵌入された状態で、挿入 棒材12と中空筒体11との間に介在され、挿入棒材12の周囲を均等に取り囲 むように配置されるものである。本例では挿入棒材12が六角断面であることか ら、押圧用介装材13は図2に示すごとく一様な矩形断面を有する6つのプレー ト材が採用される。 このプレート材13の挿入棒材12と接触する側の面13aには、特殊銅合金 に固体潤滑剤を分散焼結させかつ含油させた滑り面が形成され、表面強度の向上 と所望する大きさの摩擦力を発生させやすくするように配慮されている。
【0013】 ねじ体14は、中空筒体11のねじ孔17にねじ込まれ、プレート材13を挿 入棒材12の摩擦面12aに押しつけるためのものである。このねじ体は六角ボ ルトでもよいが、本例において、ねじ体14の頭部は胴部と同じ径であり、そこ に六角穴14aのついた止めねじが採用されている。そして、全部で18個が準 備され、挿入棒材12に対して垂直な6つの方向から軸対称的に締め込むように している。
【0014】 上記したごとく、中空筒体11も挿入棒材12もトラスを構成する軸材15, 19に接続される形式であるので、応力制限機構10としては敢えて長くしてお く必要はない。 本例においては、中空筒体11の左端で雌ねじ11cと雄ねじ部20aとを螺 合させるようにしてカップラー20が接続され、そのボス部20bを隔てた反対 側の雄ねじ部20cを介して、軸材15が接合されるようになっている。 一方、挿入棒材12の右端では雄ねじ12bに内ねじ部21aを螺合させるよ うにしてカップラー21が取り付けられ、その外ねじ部21bを介して他の軸材 19が接合される。
【0015】 ところで、図4の説明でも明らかなように、応力制限機構10に作用する圧縮 軸力Pが、挿入棒材12とプレート材13との間で発生する摩擦力μA Σqに等 しくなるまでは、主として中空筒体11に接続された軸材15および挿入棒材1 2に接続された軸材19が、図5の傾斜した線のごとく弾性的に変形する。そし て、その軸力PがμA Σqとなったときに、挿入棒材12とプレート材13との 摩擦力に抗して滑りが生じはじめる。その後は、一定の軸力を保ったまま、一本 のトラス用軸構造材自体が圧縮変形することになる。 一般的に、静摩擦係数μA は動摩擦係数μB より大きいが、両者にかなりの差 を残したままであると、図5における実線のように荷重を一定に保って変形させ るということができなくなる。すなわち、変形を開始するときにはP=μA Σq の軸力であるが、滑りはじめるとそれより小さい力μB Σqにしか対抗できなく なる。これではμA Σqの軸力を維持できなく、応力制限機構として十分に機能 を発揮し得なくなってしまう。 そこで、押圧用介装材13と挿入棒材12とが接触する面は、その静摩擦係数 μA と動摩擦係数μB とが可及的に近似するように、例えば5ないし10μm程 度の滑らかさに仕上げられる。このようにしておけば静摩擦係数と動摩擦係数と に差があっても高々10%以内に抑えておくことができる。もちろん、それ以下 にしておくことが好ましいのは述べるまでもないが、10%程度まであれば所期 の目的はある程度達成できることが確認されている。
【0016】 ちなみに、プレート材13とねじ体14とが接触するねじ先部分にグリースを 塗布しておくと、所定の摩擦力を発生させるためのトルクをねじ体14に与えて 締めつけることができる。そして、ねじ体によってはトルクがばらつくといった ことも抑制することができる。 上記したねじ体14は図2に示すように軸線11aに対して対称となるように 配置しておくことが好ましく、しかも、その対向する二つのねじ体からなる組を 本例のごとく三組程度設けておくことが最も好ましい。そして、図3のように軸 方向に並ぶ数は、所望する摩擦力の大きさによって適宜選定される。本例の場合 には18個のねじ体14が採用されているが、そのうち図2に示した3つのねじ 体14Aを中空筒体11に予め固定しておけば、実際に締めつけるねじ体の数は 9個でよいことになる。 以上述べた応力制限機構10では、挿入棒材12として六角ロッドを採用して いるが、四角断面であっても逆に摩擦面の多い例えば八角形であってもよい。極 端には丸い断面でも差し支えないが、その場合には、押圧用介装材13として、 円柱状側面に密着する円弧状断面の接触面を備えるものとしておけばよい。つい でながら、中空筒体11も筒状であれば図2に示すごとくの円筒状である必要は なく、平坦な面を有する多角形断面の筒状体としておいても差し支えない。
【0017】 図1のような構成例の応力制限機構10によれば、次のようにして、図5中の 軸力Pa に到達した後は実線で示した一定の圧縮軸力を維持して軸材が座屈を起 こすことなく大きく軸変形させることができる。 トラスを形成する軸材の中に応力制限機構10を組み込む手順から述べる。ま ず、中空筒体11の左端の雌ねじ11cにカップラー20の雄ねじ部20aを噛 み合わせ、六角形のボス部20bにレンチなどをかけて回転させカップラー20 を強固に取り付ける。一方、挿入棒材12の右端の雄ねじ12bにもカップラー 21の内ねじ部21aを螺合させ、六角断面の挿入部12Aを閉止蓋体18の開 口18aに挿通しておく。 次に、閉止蓋体18をカップラー21側に寄せておき、挿入部12Aの摩擦面 12aに6つのプレート材13を沿わせ、その状態で挿入棒材12を中空筒体1 1内の空間16へ挿入する。本例においては、挿入部12Aが比較的長く確保さ れ、カップラー20には中空部20dが設けられているので、挿入部12Aの左 端を中空部20dの中に入るまで深く挿入するとともに、プレート材13の端面 がカップラー20に当たるまでプレート材13を押し込む。 この状態で閉止蓋体18を中空筒体11に接近させ、六角ボス部18bにレン チをかけて閉止蓋体18を強くねじ込む。そして、閉止蓋体18の先端がプレー ト材13の端部に当接するようにしておけば、プレート材13は軸線11aの方 向に動くことなく安定して格納される。 次に、ねじ体14のねじ先部分にグリースを付着させておき、中空筒体11の 外面11bからそれらのねじ体14,14をねじ込み、所定のトルクをかけて締 めつける。最後に、カップラー20には中空の長尺な軸材15を雄ねじ20cを 介して接続し、他方のカップラー21の外ねじ21bに同様にして他の軸材19 を接続すると、一本の圧縮軸材が組み立てられる。なお、以上述べたいずれのね じ面にも接着剤などを塗布しておき、簡単に緩んだり外れたりしないように螺合 状態を強固にしておく。
【0018】 このようにして応力制限機構10が組み込まれた軸材を、工事現場で組み立て られているトラス骨組の大きい圧縮軸力が作用する部所に搬入し、他の軸材と図 示しない節点部材などを介して接続する。 いま、大地震などによって圧縮軸材に大きい軸力が作用したとすると、図5中 の軸力Pa に到達するまでは軸材15,19が弾性変形しながら縮み、その後は 実線で示した一定の圧縮軸力Pa を維持して、応力制限機構10を構成する挿入 棒材12の進入部12Bが、押圧用介装材13との間に発生する摩擦力に抗して 中空筒体11内へ進入する。その押込代はL2 の長さが存在するので応力制限機 構10は大きく変形し、その変形の間は、軸材15,19に座屈が起こることは ない。 すなわち、軸材15,19が降伏して座屈を起こし建造物が倒壊しはじめるの は、進入部12Aの全部が中空筒体11内に入った後であり、したがって、トラ ス構造物を直ちに倒壊させることがない。このようにして応力制限機構10によ って大きい変形を生じさせている間に建造物から人々が避難する程度の時間が確 保され、構造物内にいる人々の安全が図られる。
【0019】 なお、図1中に一点鎖線で示したごとく、閉止蓋材18とカップラー21との 間に筒状カバー22を入れておけば、応力制限機構10が機能するまでの間、挿 入棒材12の挿入部12Aや進入部12Bにごみが付着するのを防止したり、湿 気の侵入を抑制して錆の発生を予防しておくことができる。 その筒状カバー22は、挿入棒材12に閉止蓋材18を嵌める前に進入部12 Bに通しておけばよい。そして、応力制限機構10が機能して挿入棒材12が中 空筒体11内に進入する際には、カップラー21と閉止蓋体18とで挟圧され破 壊するようにしておく必要があるので、樹脂材などで成形しておくとよい。そし て、気密のより一層の向上を図るためには、その両端に溝を形成してOリング2 3,24を介装させるなどの配慮を施しておけばよい。
【0020】 以上の説明から判るように、本考案の応力制限機構は、軸材の一部を意図的に 降伏させることによって一定の軸力を保持させようというのではなく、挿入棒材 と押圧用介装材との間に生じる摩擦力を用いて同じ作用効果を発揮させるように したものである。したがって、トラス構造物が大地震に遭遇しても、応力制限機 構は所定の大きさの圧縮軸力に到達した後に一定の軸力を維持して、軸材に座屈 を起こさせることなく進入部に確保された長さだけ大きく軸変形し、建造物の急 激な倒壊を防止するように機能する。 また、この応力制限機構を一本の圧縮軸材の中間に設けることも、隣りあう他 のトラス用軸構造材との接続部の近傍に配置することもでき、軸材の先端のみに 設けるスタッブコーン形式の応力制限機構に比べると、その取付位置に自由度を 持たせることが可能となり、建造物を構築するときの設計もしやすくなる利点が ある。
【0021】
【考案の効果】
本考案によれば、トラス用軸構造材に作用する軸力を、押圧用介装材と挿入棒 材との間に発生する摩擦力で対抗させることができる。軸荷重が大きくなると押 圧用介装材と挿入棒材との間に滑りが生じるが、挿入棒材の押込代は予め長く確 保されているので、応力制限機構を備えるトラス用軸構造材は大きく変形し、そ の間に軸材の部分で座屈が起こることはない。したがって、トラス構造物が急激 に倒壊するといったことはなく、その中にいる人々が避難するに必要な時間が確 保され、その安全が図られる。 挿入棒材の断面を多角形としておけば、押圧用介装材との面接触性を上げるこ とができ、応力制限機構としての機能を発揮させやすくなる。 押圧用介装材の摩擦力発生面に、特殊銅合金に固体潤滑剤を分散焼結させかつ 含油させておくと、均一で大きい摩擦力を発生させることができる。また、その 面での摩耗も軽減される。 押圧用介装材と挿入棒材との間の静摩擦係数を、その面での動摩擦係数に可及 的に近似させるべく滑らかに仕上げておけば、所定の大きさの軸力で滑り始めた 後も、ほぼその大きさの軸力でもって挿入棒材が滑り、応力制限機構としての機 能を確実に発揮させることができる。 ねじ体のねじ先部分にグリースを塗布しておけば、各ねじ体にかけるトルクの 均等化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案に係る応力制限機構の縦断面図。
【図2】 図1のA−A線矢視断面図。
【図3】 図1におけるB−B線矢視であって、左右に
軸材が接続された状態の応力制限機構付きトラス用軸構
造材の外観平面図
【図4】 本考案の応力制限機構の思想を説明する原理
説明図。
【図5】 圧縮軸力を受けた場合の応力制限機構を備え
ない軸材と応力制限機構を備える軸材における「荷重−
軸方向変形」を説明するグラフ。
【符号の説明】
10…トラス用軸構造材、11…中空筒体、11a…軸
線、12…挿入棒材、12a…摩擦面、12A…挿入
部、12B…進入部、13…押圧用介装材(プレート
材)、13a…面、14,14A…ねじ体、15…軸
材、16…空間、17…ねじ孔、19…軸材、P…所定
以上の軸力(圧縮軸力)、μA …静摩擦係数、μB …動
摩擦係数。

Claims (5)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸材に所定以上の圧縮軸力が作用したと
    き、その軸力によって座屈を起こすことなく軸長を変更
    しながら大きい軸方向変形を許容させることができるよ
    うにしたトラス用軸構造材のための応力制限機構におい
    て、 トラスを構成する軸材に接続されるか軸材それ自体の一
    部をなし、内部に空間が確保された中空筒体と、 トラスを構成する他の軸材に接続されるか軸材それ自体
    の一部をなし、上記中空筒体に嵌入される挿入部と所定
    以上の圧縮軸力が作用したとき該中空筒体内に押し込ま
    れる押込代を確保した進入部とを備える挿入棒材と、 その挿入棒材の挿入部が上記中空筒体に嵌入された状態
    で、該挿入部の表面と中空筒体の内面との間にあって、
    該挿入部の周囲に配置される複数の押圧用介装材と、 前記中空筒体の外面から該中空筒体の軸線に対して垂直
    に形成されたねじ孔にねじ込まれ、前記押圧用介装材を
    上記挿入棒材の表面に押しつけるための複数のねじ体
    と、 を具備することを特徴とするトラス用軸構造材の応力制
    限機構。
  2. 【請求項2】 前記挿入棒材は、その断面が軸方向に同
    一寸法の多角形とされ、前記押圧用介装材が面接触する
    平坦な摩擦面を備えることを特徴とする請求項1に記載
    されたトラス用軸構造材の応力制限機構。
  3. 【請求項3】 前記押圧用介装材の上記挿入棒材と接触
    する側の面は、特殊銅合金に固体潤滑剤を分散焼結させ
    かつ含油させた滑り面となっていることを特徴とする請
    求項1に記載されたトラス用軸構造材の応力制限機構。
  4. 【請求項4】 前記押圧用介装材と挿入棒材とが接触す
    る面での静摩擦係数は、その面での動摩擦係数と可及的
    に近似するよう滑らかに仕上げられていることを特徴と
    する請求項1に記載されたトラス用軸構造材の応力制限
    機構。
  5. 【請求項5】 前記ねじ体のねじ先部分には、グリース
    が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載され
    たトラス用軸構造材の応力制限機構。
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