JPH0562802B2 - - Google Patents
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- JPH0562802B2 JPH0562802B2 JP60242726A JP24272685A JPH0562802B2 JP H0562802 B2 JPH0562802 B2 JP H0562802B2 JP 60242726 A JP60242726 A JP 60242726A JP 24272685 A JP24272685 A JP 24272685A JP H0562802 B2 JPH0562802 B2 JP H0562802B2
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Landscapes
- Soft Magnetic Materials (AREA)
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
この発明は、一方向性けい素鋼板の製造方法に
関し、とくにその磁気特性の有利な改善を図ろう
とするものである。 一方向性けい素鋼板に要求される磁気特性は、
高い磁束密度と低い鉄損であり、一般に磁束密度
はB10(T)で、また鉄損はW17/50(W/Kg)の
値で評価されることが多い。 (従来の技術) 良好な磁気特性を一方向性けい素鋼板に付与す
る手段の一つとして、熱延板を、冷間圧延に先立
つて高温焼鈍し、さらにその後の冷却に際して、
炭化物やインヒビターと称せられる析出物の一つ
であるAlNなどの析出分散状態を制御する方法
が知られている。例えば特公昭46−23820号公報
や特公昭59−48934号公報に記載の方法では、少
量のC,Alを含有する素材から得られた熱延板
を、前者においては、750〜1200℃の温度範囲で
焼鈍した後、750〜950℃の温度領域から400℃ま
でを2〜200秒間で急冷することにより、一方後
者においては、1080〜1200℃の温度域に保持した
後、900〜980℃の温度域の所定温度に達するまで
の時間を20〜500秒とし、次いでこの所定温度か
ら室温までを10℃/s以上の速度で急冷すること
によつて磁気特性の改善を図つている。 しかしながらこれらの方法では、主にAlNの
析出制御を意図しているため、400℃以下の低温
域の冷却についてはとくに規制がなく、単に急冷
処理を施すに止つていた。 他方、特公昭38−14009号公報では、熱ロール
帯鋼を790〜950℃の間の温度で固溶化処理した
後、540℃以下の温度に速やかに急冷し、次いで
310〜480℃に保つた後、更に急冷する方法が提案
されている。この方法は、310〜480℃に保持する
間にレンズ状炭化物を現出せしめることによつて
磁気特性の改善を図ることを眼目としている。 (発明が解決しようとする問題点) この発明は、熱延板焼鈍後の冷却に際して、上
記した如き従来法とは異なる冷却条件を適用する
ことにより、すなわち酸可溶性Alを実質的に含
有しない熱延板の焼鈍後の冷却に際して、400℃
以下の温度域を、従来とは異なる条件の下に冷却
することにより、従来法で製造された一方向性け
い素鋼板に比べ一段と優れた磁気特性を有する一
方向性けい素鋼板を製造しようとするものであ
る。 (問題点を解決するための手段) すなわちこの発明は、C:0.010〜0.080wt%
(以下単に%で表わす)およびSi:2.5〜4.0%を含
み、かつ1次再結晶粒成長抑制剤としてSおよび
Seのうち少なくとも一種:0.008〜0.050%を、
0.02〜0.20%のMnと共に含有し、さらに酸可溶
性Alの混入を0.010wt%未満に抑制した組成にな
るけい素鋼熱延板に、熱延板焼鈍を施し、ついで
中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によつて最終
板厚としたのち、脱炭焼鈍ついで最終仕上げ焼鈍
を施す一連の工程よりなる一方向性けい素鋼板の
製造方法において、上記熱延板焼鈍につき、800
〜1100℃の温度域に加熱してからこの温度域に1
〜10分間保持し、その後の冷却に際して770〜400
℃間の滞留時間を60秒未満、400〜300℃間の滞留
時間を60秒未満、そして300〜200℃間の滞留時間
を30秒以上とする制御冷却を施すことを特徴とす
る一方向性けい素鋼板の製造方法である。 以下この発明を具体的に説明する。 まずこの発明において、素材の成分組成を上記
の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.010〜0.080% Cは、熱延板焼鈍後の冷却過程において、適量
の微細炭化物を析出させ、冷延・焼鈍後の一次再
結晶組織を均質化するための有用成分であるが、
含有量が0.010%に満たないとその添加効果に乏
しく、一方0.080%を超えて多量に添加されると、
最終冷延後の脱炭焼鈍に長時間を必要とするの
で、含有量は0.010〜0.080%とした。 Si:2.5〜4.0% Siは、十分に低い鉄損を得るには少なくとも
2.5%が必要であり、一方4.0%を超えると冷延性
が劣化するので、含有量は2.5〜4.0%の範囲に限
定した。 Sおよび/またはSe: 0.008〜0.050%、
Mn:0.02〜0.20% S,SeはMnと結合して、一次再結晶粒成長抑
制剤(インヒビター)を形成する有用成分である
が、インヒビターとして有効に作用させるために
は、Mn:0.02〜0.20%ならびにSまたはSeの少
なくとも一種:0.008〜0.050%を含有せしめる必
要がある。 なお一次再結晶粒成長のより効果的な抑制のた
めには、Sb,Bi,Pb,As,Sn,Zn,Moおよび
Wなどの元素を併せて含有させることは有利であ
る。 酸可溶性Al:0.010%未満 酸可溶性Alは、2回冷延工程で製造する場合
には、2次再結晶粒の(110)[001]方位いわゆ
るゴス方位への集積度を高める上でむしろ有害で
あるので、0.010%未満に制限した。 次にこの発明で対象とする熱延板は、公知の製
鋼法、鋳造法、熱延法によつて製造することがで
き、通常は1.2〜3.5mmの厚さを有することが望ま
しい。というのは熱延板の厚さが上記範囲を外れ
ると、2次再結晶粒のゴス方位集積度が低下する
からである。 かくして得られた熱延板には、冷間圧延に先立
つて焼鈍が施されるが、この発明ではかかる熱延
板焼鈍がとりわけ重要である。 まず加熱温度については、800℃未満では、炭
化物を十分に固溶させられず、一方1100℃を超え
るとインヒビターが粗大化して、後工程における
一次再結晶粒成長の抑制作用の低下を招くので、
800〜1100℃の温度域で焼鈍を行う必要がある。 また加熱時間については、炭化物の固溶の点か
らは800℃以上の温度域に1分以上あれば十分で
あるが、金属組織の改良の点からは、均熱温度の
低い場合にはより長く、高い場合にはより短かく
する必要がある。しかしながら加熱時間が長くな
りすぎると、インヒビターの析出物が粗大化する
ので10分間以下程度に抑えることが好ましい。 ところで小さい昇温速度で加熱する場合には、
高温域の滞留時間が長くなるので場合によつて
は、均熱時間をとらなくてもよい。このような意
味から、加熱時間については、均熱時間ではな
く、800℃以上の温度域の滞留時間として、1分
〜10分の範囲に限定した。次に冷却については、
770〜400℃の間は、60秒未満の短時間で通過する
ように、急冷させる必要がある。というのはこの
温度領域を徐冷すると、鋼中Cが、結晶粒界等に
析出粗大化するため、この温度域より低温で結晶
粒内に析出する微細炭化物の量が不足するという
不都合を招くからである。 400℃以下の温度域の冷却条件については、以
下の実験データを参照して説明する。 第1図に、C:0.041%、Si:3.05%、Mn:
0.065%、Se:0.016%、S:0.005%、Sb:0.020
%およびAl:0.001%を含有し、残部実質的にFe
よりなる2.0mm厚の熱延板を、空気中で950℃,
3min均熱後、400℃まで20秒で冷却し、次いで、
400℃以下の温度域を種々の条件下に冷却し、そ
の後圧下率:70%の第一次冷延、H2中1000℃,
1minの中間焼鈍、圧下率:62%の第二次冷延を
経て0.23mm厚に仕上げ、その後湿H2中で850℃,
3minの脱炭焼鈍を施したのち、MgOを主体とす
る分離剤を塗布してから、H2中で1200℃,10hの
BOX焼鈍を施して得た一方向性けい素鋼板の鉄
損W17/50について調べた結果を、熱延板焼鈍後
冷却中の所定温度領域における滞留時間の関係で
示す。 この調査において所定温度域での滞留時間は、
冷却方法として、気水吹付、ガスジエツト吹付、
空気中放冷、水中焼入等を適宜組合せることによ
つて変更した。 同図から明らかなように、熱延板焼鈍後の冷却
に際して、400〜300℃の間の滞留時間を60秒未満
でかつ300℃〜200℃の間の滞留時間を30秒以上と
することによつてはじめて良好な鉄損値が得られ
ている。 従つてこの発明では、冷却途中における400〜
300℃間および300〜200℃間での滞留時間をそれ
ぞれ60秒未満、30秒以上の範囲に制御することと
したのである。 770〜400℃の温度域を60秒未満、400〜300℃の
温度域を60秒未満で通過させる方法としては、例
えば、H2,N2,Ar,空気等のガスジエツトやミ
スト,フオグ等の気水噴射あるいは、水冷ロール
に鋼板を接触させるロール冷却等公知の急冷方法
を適用できる。また300〜200℃の温度域に30秒以
上滞留させるためには、自然放冷、保温カバー内
通過、所定温度に保持した炉内通過等公知の方法
を適用できる。なおかかる熱延板焼鈍および冷却
中の雰囲気については、特別の制約はない。 次に熱鈍後の熱延板は、中間焼鈍を挟む2回以
上の冷延により最終仕上げ板厚とする。このとき
中間焼鈍は、800〜1100℃の温度域で、均熱時間
を低温側では長く、高温側では短かくとるのが良
い。また最終冷延の圧下率は40〜75%程度とする
のが好適である。 次いで、700〜1000℃の温度域で脱炭焼鈍を施
し、鋼中Cを0.003%以下まで低減する。 次いで、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布
してから、最終仕上げ焼鈍を施す。この最終仕上
げ焼鈍は、1100℃〜1250℃の温度域のH2中で鋼
中のS,Se,N等の不純物元素が十分低減する
のに必要な時間均熱する。なお昇温の際に、800
〜920℃の温度域の所定温度で保持するか、ある
いはこの温度域を徐熱するかして、2次再結晶組
織を十分発達させることは有利である。 (実施例) 実施例 1 C:0.045%,Si:3.41%,Mn:0.078%,S:
0.002%,Se:0.025%,Sb:0.030%酸可溶性
Al:0.001%を含有し、残部実質的にFeの組成に
なる3.0mm厚の熱延板(素材A)に、N2中で950
℃,200s(ただし800℃以上の滞留時間:350s)の
焼鈍を施し、その後表1に示す種々の冷却条件下
に冷却した。 冷却後の鋼板は、N2中での1000℃,60sの中間
焼鈍を挟み、最終冷延の圧下率が65%である2回
冷延法により最終板厚0.27mmとした。次いで湿
H2中で850℃,5minの脱炭焼鈍を施したのち、
MgOを主体とする分離剤を塗布してから、N2中
で850℃,30hの焼鈍を施し、ついでH2中で1200
℃、10hの最終仕上げ焼鈍を施した。 かくして得られた成品の磁気特性について調べ
た結果を表1に示す。 実施例 2 C:0.041%,Si:2.94%,Mn:0.075%,S:
0.024%,Mo:0.020%および酸可溶性Al:0.001
%を含有し、残部実質的にFeの組成になる3.0mm
厚の熱延板(素材B)を空気中で950℃,3min焼
鈍後、表1に示す種々の条件下に冷却し、その
後、実施例1と同じ工程で処理して成品を得た。 かくして得られた一方向性けい素鋼板の磁気特
性について調べた結果を表1に示す。 実施例 3 C:0.037%,Si:3.01%,Mn:0.055%,S:
0.015%および酸可溶性Al:0.002%を含有し、残
部実質的にFeの組成になる3.0mm厚の熱延板(素
材C)を、実施例2と同じ条件で分離剤塗布工程
まで処理し、次いで常温から1200℃まで20℃/h
の速度で昇温したのち、H2中で1200℃,5h均熱
する最終仕上げ焼鈍を施した。 かくして得られた成品の磁気特性について調べ
た結果を、同じく表1に示す。
関し、とくにその磁気特性の有利な改善を図ろう
とするものである。 一方向性けい素鋼板に要求される磁気特性は、
高い磁束密度と低い鉄損であり、一般に磁束密度
はB10(T)で、また鉄損はW17/50(W/Kg)の
値で評価されることが多い。 (従来の技術) 良好な磁気特性を一方向性けい素鋼板に付与す
る手段の一つとして、熱延板を、冷間圧延に先立
つて高温焼鈍し、さらにその後の冷却に際して、
炭化物やインヒビターと称せられる析出物の一つ
であるAlNなどの析出分散状態を制御する方法
が知られている。例えば特公昭46−23820号公報
や特公昭59−48934号公報に記載の方法では、少
量のC,Alを含有する素材から得られた熱延板
を、前者においては、750〜1200℃の温度範囲で
焼鈍した後、750〜950℃の温度領域から400℃ま
でを2〜200秒間で急冷することにより、一方後
者においては、1080〜1200℃の温度域に保持した
後、900〜980℃の温度域の所定温度に達するまで
の時間を20〜500秒とし、次いでこの所定温度か
ら室温までを10℃/s以上の速度で急冷すること
によつて磁気特性の改善を図つている。 しかしながらこれらの方法では、主にAlNの
析出制御を意図しているため、400℃以下の低温
域の冷却についてはとくに規制がなく、単に急冷
処理を施すに止つていた。 他方、特公昭38−14009号公報では、熱ロール
帯鋼を790〜950℃の間の温度で固溶化処理した
後、540℃以下の温度に速やかに急冷し、次いで
310〜480℃に保つた後、更に急冷する方法が提案
されている。この方法は、310〜480℃に保持する
間にレンズ状炭化物を現出せしめることによつて
磁気特性の改善を図ることを眼目としている。 (発明が解決しようとする問題点) この発明は、熱延板焼鈍後の冷却に際して、上
記した如き従来法とは異なる冷却条件を適用する
ことにより、すなわち酸可溶性Alを実質的に含
有しない熱延板の焼鈍後の冷却に際して、400℃
以下の温度域を、従来とは異なる条件の下に冷却
することにより、従来法で製造された一方向性け
い素鋼板に比べ一段と優れた磁気特性を有する一
方向性けい素鋼板を製造しようとするものであ
る。 (問題点を解決するための手段) すなわちこの発明は、C:0.010〜0.080wt%
(以下単に%で表わす)およびSi:2.5〜4.0%を含
み、かつ1次再結晶粒成長抑制剤としてSおよび
Seのうち少なくとも一種:0.008〜0.050%を、
0.02〜0.20%のMnと共に含有し、さらに酸可溶
性Alの混入を0.010wt%未満に抑制した組成にな
るけい素鋼熱延板に、熱延板焼鈍を施し、ついで
中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によつて最終
板厚としたのち、脱炭焼鈍ついで最終仕上げ焼鈍
を施す一連の工程よりなる一方向性けい素鋼板の
製造方法において、上記熱延板焼鈍につき、800
〜1100℃の温度域に加熱してからこの温度域に1
〜10分間保持し、その後の冷却に際して770〜400
℃間の滞留時間を60秒未満、400〜300℃間の滞留
時間を60秒未満、そして300〜200℃間の滞留時間
を30秒以上とする制御冷却を施すことを特徴とす
る一方向性けい素鋼板の製造方法である。 以下この発明を具体的に説明する。 まずこの発明において、素材の成分組成を上記
の範囲に限定した理由について説明する。 C:0.010〜0.080% Cは、熱延板焼鈍後の冷却過程において、適量
の微細炭化物を析出させ、冷延・焼鈍後の一次再
結晶組織を均質化するための有用成分であるが、
含有量が0.010%に満たないとその添加効果に乏
しく、一方0.080%を超えて多量に添加されると、
最終冷延後の脱炭焼鈍に長時間を必要とするの
で、含有量は0.010〜0.080%とした。 Si:2.5〜4.0% Siは、十分に低い鉄損を得るには少なくとも
2.5%が必要であり、一方4.0%を超えると冷延性
が劣化するので、含有量は2.5〜4.0%の範囲に限
定した。 Sおよび/またはSe: 0.008〜0.050%、
Mn:0.02〜0.20% S,SeはMnと結合して、一次再結晶粒成長抑
制剤(インヒビター)を形成する有用成分である
が、インヒビターとして有効に作用させるために
は、Mn:0.02〜0.20%ならびにSまたはSeの少
なくとも一種:0.008〜0.050%を含有せしめる必
要がある。 なお一次再結晶粒成長のより効果的な抑制のた
めには、Sb,Bi,Pb,As,Sn,Zn,Moおよび
Wなどの元素を併せて含有させることは有利であ
る。 酸可溶性Al:0.010%未満 酸可溶性Alは、2回冷延工程で製造する場合
には、2次再結晶粒の(110)[001]方位いわゆ
るゴス方位への集積度を高める上でむしろ有害で
あるので、0.010%未満に制限した。 次にこの発明で対象とする熱延板は、公知の製
鋼法、鋳造法、熱延法によつて製造することがで
き、通常は1.2〜3.5mmの厚さを有することが望ま
しい。というのは熱延板の厚さが上記範囲を外れ
ると、2次再結晶粒のゴス方位集積度が低下する
からである。 かくして得られた熱延板には、冷間圧延に先立
つて焼鈍が施されるが、この発明ではかかる熱延
板焼鈍がとりわけ重要である。 まず加熱温度については、800℃未満では、炭
化物を十分に固溶させられず、一方1100℃を超え
るとインヒビターが粗大化して、後工程における
一次再結晶粒成長の抑制作用の低下を招くので、
800〜1100℃の温度域で焼鈍を行う必要がある。 また加熱時間については、炭化物の固溶の点か
らは800℃以上の温度域に1分以上あれば十分で
あるが、金属組織の改良の点からは、均熱温度の
低い場合にはより長く、高い場合にはより短かく
する必要がある。しかしながら加熱時間が長くな
りすぎると、インヒビターの析出物が粗大化する
ので10分間以下程度に抑えることが好ましい。 ところで小さい昇温速度で加熱する場合には、
高温域の滞留時間が長くなるので場合によつて
は、均熱時間をとらなくてもよい。このような意
味から、加熱時間については、均熱時間ではな
く、800℃以上の温度域の滞留時間として、1分
〜10分の範囲に限定した。次に冷却については、
770〜400℃の間は、60秒未満の短時間で通過する
ように、急冷させる必要がある。というのはこの
温度領域を徐冷すると、鋼中Cが、結晶粒界等に
析出粗大化するため、この温度域より低温で結晶
粒内に析出する微細炭化物の量が不足するという
不都合を招くからである。 400℃以下の温度域の冷却条件については、以
下の実験データを参照して説明する。 第1図に、C:0.041%、Si:3.05%、Mn:
0.065%、Se:0.016%、S:0.005%、Sb:0.020
%およびAl:0.001%を含有し、残部実質的にFe
よりなる2.0mm厚の熱延板を、空気中で950℃,
3min均熱後、400℃まで20秒で冷却し、次いで、
400℃以下の温度域を種々の条件下に冷却し、そ
の後圧下率:70%の第一次冷延、H2中1000℃,
1minの中間焼鈍、圧下率:62%の第二次冷延を
経て0.23mm厚に仕上げ、その後湿H2中で850℃,
3minの脱炭焼鈍を施したのち、MgOを主体とす
る分離剤を塗布してから、H2中で1200℃,10hの
BOX焼鈍を施して得た一方向性けい素鋼板の鉄
損W17/50について調べた結果を、熱延板焼鈍後
冷却中の所定温度領域における滞留時間の関係で
示す。 この調査において所定温度域での滞留時間は、
冷却方法として、気水吹付、ガスジエツト吹付、
空気中放冷、水中焼入等を適宜組合せることによ
つて変更した。 同図から明らかなように、熱延板焼鈍後の冷却
に際して、400〜300℃の間の滞留時間を60秒未満
でかつ300℃〜200℃の間の滞留時間を30秒以上と
することによつてはじめて良好な鉄損値が得られ
ている。 従つてこの発明では、冷却途中における400〜
300℃間および300〜200℃間での滞留時間をそれ
ぞれ60秒未満、30秒以上の範囲に制御することと
したのである。 770〜400℃の温度域を60秒未満、400〜300℃の
温度域を60秒未満で通過させる方法としては、例
えば、H2,N2,Ar,空気等のガスジエツトやミ
スト,フオグ等の気水噴射あるいは、水冷ロール
に鋼板を接触させるロール冷却等公知の急冷方法
を適用できる。また300〜200℃の温度域に30秒以
上滞留させるためには、自然放冷、保温カバー内
通過、所定温度に保持した炉内通過等公知の方法
を適用できる。なおかかる熱延板焼鈍および冷却
中の雰囲気については、特別の制約はない。 次に熱鈍後の熱延板は、中間焼鈍を挟む2回以
上の冷延により最終仕上げ板厚とする。このとき
中間焼鈍は、800〜1100℃の温度域で、均熱時間
を低温側では長く、高温側では短かくとるのが良
い。また最終冷延の圧下率は40〜75%程度とする
のが好適である。 次いで、700〜1000℃の温度域で脱炭焼鈍を施
し、鋼中Cを0.003%以下まで低減する。 次いで、MgOを主体とする焼鈍分離剤を塗布
してから、最終仕上げ焼鈍を施す。この最終仕上
げ焼鈍は、1100℃〜1250℃の温度域のH2中で鋼
中のS,Se,N等の不純物元素が十分低減する
のに必要な時間均熱する。なお昇温の際に、800
〜920℃の温度域の所定温度で保持するか、ある
いはこの温度域を徐熱するかして、2次再結晶組
織を十分発達させることは有利である。 (実施例) 実施例 1 C:0.045%,Si:3.41%,Mn:0.078%,S:
0.002%,Se:0.025%,Sb:0.030%酸可溶性
Al:0.001%を含有し、残部実質的にFeの組成に
なる3.0mm厚の熱延板(素材A)に、N2中で950
℃,200s(ただし800℃以上の滞留時間:350s)の
焼鈍を施し、その後表1に示す種々の冷却条件下
に冷却した。 冷却後の鋼板は、N2中での1000℃,60sの中間
焼鈍を挟み、最終冷延の圧下率が65%である2回
冷延法により最終板厚0.27mmとした。次いで湿
H2中で850℃,5minの脱炭焼鈍を施したのち、
MgOを主体とする分離剤を塗布してから、N2中
で850℃,30hの焼鈍を施し、ついでH2中で1200
℃、10hの最終仕上げ焼鈍を施した。 かくして得られた成品の磁気特性について調べ
た結果を表1に示す。 実施例 2 C:0.041%,Si:2.94%,Mn:0.075%,S:
0.024%,Mo:0.020%および酸可溶性Al:0.001
%を含有し、残部実質的にFeの組成になる3.0mm
厚の熱延板(素材B)を空気中で950℃,3min焼
鈍後、表1に示す種々の条件下に冷却し、その
後、実施例1と同じ工程で処理して成品を得た。 かくして得られた一方向性けい素鋼板の磁気特
性について調べた結果を表1に示す。 実施例 3 C:0.037%,Si:3.01%,Mn:0.055%,S:
0.015%および酸可溶性Al:0.002%を含有し、残
部実質的にFeの組成になる3.0mm厚の熱延板(素
材C)を、実施例2と同じ条件で分離剤塗布工程
まで処理し、次いで常温から1200℃まで20℃/h
の速度で昇温したのち、H2中で1200℃,5h均熱
する最終仕上げ焼鈍を施した。 かくして得られた成品の磁気特性について調べ
た結果を、同じく表1に示す。
【表】
表1に示した結果から明らかなように、熱延板
焼鈍後の冷却に際して、所定温度域の滞留時間を
この発明で規定した範囲に制御した場合(冷却方
法a,bおよびc)はいずれも、鉄損が低くかつ
磁束密度の高い一方向性けい素鋼板が得られた。 これに対し冷却条件がこの発明の適正範囲を逸
脱した場合(冷却方法d,eおよびf)は、鉄損
および磁束密度とも良好なものは得られなかつ
た。 (発明の効果) かくしてこの発明によれば、インヒビターとし
てMnS,MnSeを使用する一方向性けい素鋼板に
つき、その熱延板焼鈍工程における冷却条件を調
整するという簡単な操作によつて、磁気特性を従
来材よりも格段に向上させることができる。
焼鈍後の冷却に際して、所定温度域の滞留時間を
この発明で規定した範囲に制御した場合(冷却方
法a,bおよびc)はいずれも、鉄損が低くかつ
磁束密度の高い一方向性けい素鋼板が得られた。 これに対し冷却条件がこの発明の適正範囲を逸
脱した場合(冷却方法d,eおよびf)は、鉄損
および磁束密度とも良好なものは得られなかつ
た。 (発明の効果) かくしてこの発明によれば、インヒビターとし
てMnS,MnSeを使用する一方向性けい素鋼板に
つき、その熱延板焼鈍工程における冷却条件を調
整するという簡単な操作によつて、磁気特性を従
来材よりも格段に向上させることができる。
第1図は、熱延板焼鈍後の冷却過程における
400〜300℃間および300〜200℃間での滞留時間
が、製品の鉄損特性に及ぼす影響を示したグラフ
である。
400〜300℃間および300〜200℃間での滞留時間
が、製品の鉄損特性に及ぼす影響を示したグラフ
である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C:0.010〜0.080wt%および Si:2.5〜4.0wt% を含み、かつ1次再結晶粒成長抑制剤としてSお
よびSeのうち少なくとも一種:0.008〜0.050wt%
を、0.02〜0.20wt%のMnと共に含有し、さらに
酸可溶性Alの混入を0.010wt%未満に抑制した組
成になるけい素鋼熱延板に、熱延板焼鈍を施し、
ついで中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延によつ
て最終板厚としたのち、脱炭焼鈍ついで最終仕上
げ焼鈍を施す一連の工程よりなる一方向性けい素
鋼板の製造方法において、 上記熱延板焼鈍につき、800〜1100℃の温度域
に加熱してからこの温度域に1〜10分間保持し、
その後の冷却に際して770〜400℃間の滞留時間を
60秒未満、400〜300℃間の滞留時間を60秒未満、
そして300〜200℃間の滞留時間を30秒以上とする
制御冷却を施すことを特徴とする一方向性けい素
鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60242726A JPS62104008A (ja) | 1985-10-31 | 1985-10-31 | 一方向性けい素鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60242726A JPS62104008A (ja) | 1985-10-31 | 1985-10-31 | 一方向性けい素鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62104008A JPS62104008A (ja) | 1987-05-14 |
JPH0562802B2 true JPH0562802B2 (ja) | 1993-09-09 |
Family
ID=17093333
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60242726A Granted JPS62104008A (ja) | 1985-10-31 | 1985-10-31 | 一方向性けい素鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62104008A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012162773A (ja) * | 2011-02-08 | 2012-08-30 | Jfe Steel Corp | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007311652A (ja) * | 2006-05-19 | 2007-11-29 | Denso Corp | アモルファス積層材及びアモルファス積層材の製造方法及び回転電機の鉄心の製造方法 |
-
1985
- 1985-10-31 JP JP60242726A patent/JPS62104008A/ja active Granted
Cited By (1)
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JP2012162773A (ja) * | 2011-02-08 | 2012-08-30 | Jfe Steel Corp | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62104008A (ja) | 1987-05-14 |
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