JPH0562575U - 竪型電解めっき装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速めっきラインにおける金属ストリップの
片寄り現象及びサポートロールのスリップによる疵の発
生、めっき目付量のバラツキの減少による安定しためっ
き操業を提供すること。 【構成】 竪型電気めっき槽内を走行する鋼ストリップ
に対向してめっき液面上から懸吊される電極板の上部
に、ストリップ巾方向に指向する斜角形状のめっき液流
通欠溝を設けたこと。 【効果】 高速通板時におけるストリップの陽極への片
寄り現象を回避でき、その結果、生産性を従来の約２倍
に向上並びにストリップ巾方向での目付量分布のバラツ
キの減少を図ることが出来た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は走行する金属ストリップ、例えば鋼ストリップの電解めっき装置に関 するものである。

【０００２】

【従来の技術】

走行する金属ストリップの電気錫めっき、電気亜鉛めっき法は、コンダクター ロールで誘導されながらめっき槽内の金属イオンを含む水溶液中を通過するスト リップの陰極と該水溶液中に懸吊された電極板との間に、電圧を架けて該ストリ ップの表面に錫、亜鉛などの金属めっきを電解析出せしめる多くの種類の電解め っき装置が使用されている。電解めっき装置は大別して、特公昭６１−２１３２ ０号公報の第１図および第２図で紹介されるように、水平型電解めっき装置と竪 型電解めっき装置に分類される。竪型電解めっき装置は、水平型電解めっき装置 に較べて設備長さが短く、ストリップ−電極板間のめっき液中のガス抜きが良い ことなどの利点から一般に多く使用され、しかもめっきに要する電力の節減から その間を狭隘化した近接電解法で操業されている。

【０００３】 ところが、このような竪型電解めっき装置の電極板は、実公昭６０−２３３１ ２号公報の第３図や実公昭６１−３６４号公報の第１図で示すように、係合形状 に整形された電極板をめっき液槽の上部に架設した通電体に懸吊してめっき液中 に設けられているため、３００ｍ／ｍｉｎ以上の高速めっき法においてはめっき 液槽内を流動するめっき液の還流が電極板によって遮られ、走行するストリップ の内外面にかかるめっき液圧が不均一となって片寄り、ストリップが電極板に接 触し、該ストリップに線状のスパーク疵が発生する問題があった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

こうした問題を解決した技術として特開昭６１−１９００９３号公報には「電 極板の上下中央部に設けた一対の静圧パットから等しい圧力をかけて、ストリッ プを安定走行させる電解めっき装置」、実開昭６１−１０６９６９号公報の「電 極板の上下中央部に設けた一対のサポートロールを設けた電解めっき装置」、さ らには特開平１−２１９１９１号公報では「変化するストリップ形状に追従して 極間間隔を調整する電解めっき装置」などがある。しかしながら、これらの技術 はストリップを介して両側の静圧を迅速かつ均等に制御することが困難な理由か ら片寄り現象が解消されない、さらにはサポートロールのスリップによる疵の発 生やメンテナンスや操業上の困難性から実用化されない問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案はこうした問題を解消した電解めっき装置を提供することを目的とした もので、その要旨は、竪型電解めっき槽内を走行する鋼ストリップに対向してめ っき液面上から懸吊される電極板の上部に、該ストリップ巾方向に指向する斜角 形状のめっき液流通切欠溝を設けた竪型電解めっき装置である。

【０００６】 以下、本考案について図面を参照しながら詳細に説明する。 図は本考案の一実施例を示す。図１において１は、めっき槽である。めっき槽 １は、走行する金属ストリップ２をめっき液３を通過させて、該金属ストリップ ２に錫、亜鉛などのめっき金属を電着させるものであって、めっき槽１の上部に は通電ロール４まためっき液３の下部にはシンクロール５が設けられている。す なわち、走行する金属ストリップ２は、通電されながら、めっき液中のシンクロ ール５を周回して通過するように設けられている。６は電極板で、めっき槽１内 を走行する金属ストリップ２の一側または両側に対向してめっき液面上から懸吊 され、しかも図２で示すように金属ストリップ２の巾方向に指向しかつ上端から めっき液面直下にかけて斜角形状のめっき液流通切欠溝７が設けられている。め っき液流通切欠溝７は、電極板６付近のめっき液面の還流を促して金属ストリッ プ２の片寄りを防止し、その部分の金属ストリップ２に対する有効電極長さ（め っきをするための電極が作用している電極長さ）も図３で示すようにＡ，Ｂ，Ｃ 共に縦方向の累積で等しいため金属ストリップ２巾方向のめっき目付量のバラツ キを減少せしめる効果を奏する。

【０００７】

【実施例】

コンダクターロールとシンクロールのスパンが３ｍ、陽極−ストリップ間隔が ３０ｍｍ、陽極上部がめっき液面上に５０ｍｍ浮上している従来までの竪型めっ きセルにおいてラインスピードを０〜６００ｍ／ｍｉｎまで変化させて通板テス トを行った。その結果を表１に示す。この時ストリップが陽極に接触するライン スピードは３００ｍ／ｍｉｎであったのに対し巾５０ｍｍ、高さ２１０ｍｍの斜 めスリット１１個を５０ｍｍ間隔にセットした陽極（最エッジのスリットは有効 電極長を揃えた本考案の竪型めっき装置によれば６００ｍ／ｍｉｎでも片寄り現 象は全く見られず、しかも６００ｍ／ｍｉｎのラインスピードでも陽極に接触す ることなく通板することが出来た。

【０００８】

【表１】

【０００９】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案の竪型電気めっき装置を使用すると、従来の電気め っき装置に較べ金属ストリップの片寄り現象も全くなく、まためっき目付量のバ ラツキも著しく減少出来、しかも高速のラインスピードで安定してめっきするこ とが出来る、工業上極めて優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る竪型電解めっき装置の断面図、

【図２】めっきされる金属ストリップ巾方向の電極板、

【図３】電極板切欠部の有効電極長さを示す。

【符号の説明】

１ めっき槽 ２ 金属ストリップ ３ めっき液 ４ 通電ロール ５ シンクロール ６ 電極板 ７ めっき液流通切欠溝 Ａ,Ｂ,Ｃ パスラインの位置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 竪型電解めっき槽内を走行する鋼ストリ
   ップに対向してめっき液面上から懸吊される電極板の上
   部に、該ストリップ巾方向に指向する斜角形状のめっき
   液流通切欠溝を設けたことを特徴とする竪型電解めっき
   装置。