JPH0561951B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、ゴルフ用アイアンクラブヘツドに
関し、特に、金属材料からなるヘツドフレーム本
体の打球面側を開放し、この開放面に高弾性率材
からなる打球面板を添設することにより、打球時
のボールに対する反発特性の向上を図るようにし
たものである。

［従来の技術］ 最近、アイアンクラブにおいては、ステンレス
スチール等の金属材料からなるヘツドフレーム本
体の打球面相当部に繊維強化プラスチツクス（以
下、FRPと略記する）、特に、カーボン繊維を補
強繊維とした高弾性率材料からなるCFRP（カー
ボン繊維強化プラスチツクス）を添設した複合構
造を有するものが提案され、実用に供されてい
る。

このようなアイアンクラブヘツドは、打球面を
CFRPからなる打球面板で構成することにより、
打球時に、CFRP特有の反発特性をボールに付与
し、ボールの飛距離を高めるようにするととも
に、ヘツド全体重量の軽減化を図り、ボールの方
向性を安定化させるなどの効果を得ることを目的
としている。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、上記した従来構造のアイアンク
ラブヘツドにあつては、ヘツドフレーム本体の打
球面相当部にCFRPの打球面板を直接またはゴム
等の緩衝部材を介してベタ貼りしてなることか
ら、打球時の衝撃によるCFRPの弾性変形作用が
打球方向に対して後方部分に位置するヘツドフレ
ーム本体で全面的にバツクアツプされるため、ヘ
ツドフレーム本体の特性が大きく影響し、これに
よつて、CFRPの特性が充分に発揮させることが
できないという問題があつた。

［発明の目的］ この発明の目的は、打球時に打球面板の特性を
充分に発揮させることができるようにしたゴルフ
用アイアンクラブヘツドを提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記した課題を解決するために、この発明は、
打球面相当部をバツク面側まで貫き開放させた金
属材料からなるヘツドフレーム本体と、該ヘツド
フレーム本体の打球面相当部に添設したFRP，
Be，Tiなどの高弾性率材からなる打球面板とを
備えたアイアンクラブヘツドをであつて、前記ヘ
ツドフレーム本体の打球面側外周端縁部で前記打
球面板のほぼ全周囲を支持してなる構成としたも
のである。

この場合、前記打球面板のほぼ全周囲とは、打
球面板の周囲にヘツドフレーム本体での不支持部
分が存在していても良いことを意味するもので、
打球面板の全周囲をヘツドフレーム本体で完全に
支持しても良いことは云うまでもない。

〔作用〕

すなわち、この発明は、上記の構成を採用する
ことによつて、打球面相当部をバツク面側まで貫
き開放させた金属材料からなるヘツドフレーム本
体の打球面相当部の貫き開放面に、高弾性率材か
らなる打球面板を添設するとともに、この打球面
板のほぼ全周囲をヘツドフレーム本体で支持して
なるために、ヘツドフレーム自体でウエイト調整
効果、打球面板の支持機能及び打球面板とシヤフ
ト・ホーゼルとの連結機能を持たせることが可能
になり、これによつて、打球時に、打球面板の特
性を完全に発揮させ得る。

〔実施例〕

以下、この発明を図示の実施例を参照しながら
詳細に説明する。

第１図から第３図は、この発明に係るゴルフ用
アイアンクラブヘツドの第１実施例を示すもの
で、図中１は、例えばステンレススチール等の金
属材料からなるヘツドフレーム本体である。

このヘツドフレーム本体１には、その打球面相
当部２の外周端縁部２ａを除いてバツク面３側ま
で貫き開放してなる断面矩形または楕円形の開放
孔４が貫通させて形成されているとともに、この
開放孔４の打球面側開放面４ａには、CFRPなど
の高弾性率材からなる打球面板５が閉塞するよう
に添設されている。

この打球面板５は、前記ヘツドフレーム本体１
の打球面相当部２の全面に亘つて、または、打球
面相当部２の外周端縁部２ａに段差部２１を段付
き形成して、この段差部２１に外周端縁部２ａと
面一になるように嵌合させて添設されて、接着剤
等により固定されているとともに、その表面に
は、金属薄膜６がメツキ、蒸着または金属溶射等
によつて形成されている。

なお、図中７は前記ヘツドフレーム本体１のホ
ーゼル部１ａに連結されたシヤフトである。

また、第４図はこの発明に係るゴルフ用アイア
ンクラブヘツドの第２実施例を示し、上記した第
１実施例において、ヘツドフレーム本体１と打球
面板５との間にゴム等の弾性部材８を介在してな
る構成を有するもので、このような弾性部材８の
介在によつて、打球時における高弾性率材からな
るクラブヘツドの運動エネルギを比較的低弾性率
材からなるボールに伝達する際の伝達効率を最大
限に発揮させ得るようになつているものである。

ところで、上記した打球面板５を構成する素材
としての代表的なものは、以下に述べるように、
CFRPなどを含むFRP，FRM（繊維強化金属）な
どの高弾性率材である。

このような高弾性率材は、例えばFRPを例に
説明すると、目的とするクラブの番手に応じた厚
さ及び特性に応じて補強繊維を複数枚重ね合わせ
て多層に積層し、このような積層体からなる補強
繊維に、エポキシ樹脂あるいは不飽和ポリエステ
ル樹脂等のマトリツクス用未硬化合成樹脂液を含
浸し、必要に応じて半硬化させたプリプレグ状ま
たは湿式の成形用材料であるFRP成形用生材を
用い、このFRP成形用生材を成形型にて加熱・
加圧して所望の厚さに硬化成形するか、あるい
は、硬化済のFRP板を複数枚重ねて積層接着す
ることにより得るものである。

また、補強繊維の種類としては、２次元織編ま
たは３次元織編からなるカーボン繊維の単独使用
の他に、カーボン繊維を主として高弾性率の芳香
族ポリアミド繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、シ
リコンカーバイド繊維あるいはアルミナ繊維等が
好適に組合せ使用される。

さらに、これらの補強繊維は、各々単独に織編
したものを重ねたり、または、各種の繊維を混合
し組合せ併用して織編したものを好適に使用して
なるものである。

また、ヘツドフレーム本体１の成形材料として
は、ステンレススチールの他に、鋳鉄、軟鉄、銅
合金あるいは真鍮等の高比重、高強度材料が好適
に使用され、その成形にあたつては、ヘツドフレ
ーム本体１への貫き開放部４の成形手段が異なる
のみで、外形的には従来のアイアンクラブヘツド
の成形手段と同様である。

このとき、ヘツドフレーム本体１の成形と同時
に、ヘツド全体重量の調整及び強度的効果が維持
されるように成形されるとともに、ヘツドフレー
ム本体１のホーゼル部１ａへのシヤフト７の連結
も従来と同様に行なわれる。

しかして、上記したこの発明に係るアイアンク
ラブヘツドは、ヘツドフレーム本体１の打球面相
当部２に添設したCFRPなどの高弾性率材からな
る打球面板５の打球方向に対する背面側が貫き開
放孔４にて開放されているために、打球時の衝撃
は、直接には打球面板５のみで負担され、これに
よつて、ボールに対して高弾性率材からなる打球
面板５の特性を充分に発揮させることが可能にな
る。

また、ヘツドフレーム本体１は、全体の重量調
整及び他のウエイト部材との連結支持、ソール部
１ｂの耐摩耗性もしくは耐衝撃性及びシヤフト７
との連結等の構造的効果を受け持つように寄与
し、高比重、高強度金属材料特有の効果を維持す
ることが可能になるとともに、重量分布の調整幅
も大きく、ヘツド形状の設計の自由度も大きくな
る。

さらに、ヘツドフレーム本体１の打球面相当部
２の外周端縁部２ａに段差部２１を段付き形成し
て、この段差部２１に外周端縁部２ａと面一にな
るように嵌合させて打球面板５を添設した構造で
は、打球時の外力はヘツドフレーム本体１に加わ
り、打球面板５の端部は保護されるので、耐久性
が向上する。

さらにまた、ヘツドフレーム本体１の外形状及
び貫き開放孔４の断面形状は、ヘツドの全体重量
及び重量分布の調整による重心位置の設定等によ
つて設計上において種々変更可能である。

また、第５図はこの発明に係るアイアンクラブ
ヘツドの第３実施例を示すもので、ヘツドフレー
ム本体１の貫き開放孔４内の内底面等にウエイト
部材９を固着することによつて、ヘツド全体重量
及び重心位置を調整可能にしてなる構成を有する
ものである。

なお、この発明の実施例においては、ヘツドフ
レーム本体１の貫き開放孔４内に発泡性または非
発泡性合成樹脂等の非強度用の合成樹脂からなる
充填材を充填したり、あるいは、そのバツク面３
側の開放面を合成樹脂薄板等からなる保護カバー
で閉塞するなどすることにより、ヘツドの外形を
整え、これによつて、ヘツドフレーム本体１の貫
き開放孔４内への泥塵等の付着を防止して、意匠
的な美観を高め得るようにしても良い。

また、ヘツドフレーム本体１の打球面相当部２
に添設されたCFRP等からなる打球面板５の表面
に形成される金属薄板６は、ヘツドフレーム本体
１を形成する金属材料との違和感を防止するとと
もに、打球面板５の耐摩耗性を高めてなるもの
で、メツキ、蒸着または溶射等による形成の他
に、金属とセラミツクス微粉末との混合物からな
る膜状体や、CFRPなどの打球面板それ自体の特
性に影響を及ぼさない程度に協働可能な厚さの金
属面板なども使用可能である。

このとき、ヘツド打球面へのスコアライン（横
溝）の形成にあたつて、打球面板５の表面の金属
層のみにスコアラインを凹設すれば、打球面板５
の特性を害することがない。

その他、この発明は、この発明の要旨を変えな
い範囲において種々変更実施可能なことは勿論で
ある。

［発明の効果］ 以上の発明から明らかなように、この発明によ
れば、打球面相当部をバツク面側まで貫き開放し
たヘツドフレーム本体の打球面に、高弾性率材か
らなる打球面板を添設することにより、打球面板
の背面側を開放してなる構成を有することから、
打球時のボールに対する反発特性に打球面板の高
弾性率特性をそのまま発揮させることができる。

また、打球面板のほぼ全周囲をヘツドフレーム
本体の外周端縁部にて支持しているために、打球
面板の面剛性を高めることができるとともに、打
球面板の高弾性特性を活かすことができる。

さらに、ヘツドフレーム本体の打球面相当部と
いう大きな領域に貫き開放孔を形成してなるため
に、ヘツドフレーム本体の外側に重量配分を設定
することができ、これによつて、慣性効率を高め
ることができるとともに、スイートスポツト及び
スイートアリアの拡大化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係るゴルフ用アイアンクラ
ブヘツドの第１実施例を示す斜視図、第２図は同
じく縦断側面図、第３図は同じくヘツドフレーム
本と打球面板とを分解して示す斜視図、第４図は
この発明に係るゴルフ用アイアンクラブヘツドの
第２実施例を一部拡大して示す縦断側面図、第５
図はこの発明に係るゴルフ用アイアンクラブヘツ
ドの第３実施例を示す縦断側面図である。 符号の説明、１……ヘツドフレーム本体、２…
…打球面相当部、２ａ……外周端縁部、２１……
段差部、３……バツク面、４……貫き開放孔、４
ａ……開放面、５……打球面板、６……金属薄
板、８……弾性部材、９……ウエイト部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 打球面相当部をバツク面側まで貫き開放させ
   た金属材料からなるヘツドフレーム本体と、 このヘツドフレーム本体の打球面相当部に添設
   した高弾性率材からなる打球面板とを備えたゴル
   フ用アイアンクラブヘツドであつて、 前記ヘツドフレーム本体の打球面側外周端縁部
   で前記打球面板のほぼ全周囲を支持したことを特
   徴とするゴルフ用アイアンクラブヘツド。 ２ 前記ヘツドフレーム本体と打球面板との間に
   弾性部材を介在させたことを特徴とする特許請求
   の範囲第１項に記載のゴルフ用アイアンクラブヘ
   ツド。 ３ 前記打球面板の表面に金属薄膜を形成したこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項もしくは第
   ２項のいずれかに記載のゴルフ用アイアンクラブ
   ヘツド。 ４ 前記打球面板に金属面板を添設したことを特
   徴とする特許請求の範囲の範囲第１項もしくは第
   ２項のいずれかに記載のゴルフ用アイアンクラブ
   ヘツド。 ５ 前記貫き開放孔が形成されたヘツドフレーム
   本体の打球面相当部の外周端縁部に段差部を段付
   き形成し、この段差部に打球面板を嵌合して面一
   に添設したことを特徴とする特許請求の範囲の範
   囲第１項乃至第４項のいずれか一つに記載のゴル
   フ用アイアンクラブヘツド。 ６ 前記ヘツドフレーム本体の貫き開放孔内の内
   底面にウエイト部材を固定したことを特徴とする
   特許請求の範囲の範囲第１項乃至第５項のいずれ
   か一つに記載のゴルフ用アイアンクラブヘツド。