JPH056189U - 横置形密閉回転圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸入ガス中に含まれる冷凍機油を分離する機
能を有する横置形密閉回転圧縮機の油分離能力の低下防
止。 【構成】 排油孔の出口のまわりに略環状の溝を設け、
軸受より漏れ出す潤滑油が、油分離孔の出口に達しない
ようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、横置形密閉回転圧縮機に係り、特に吸入冷媒ガスからの油分離の 改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図３は例えば特願平１−２０４１０１号明細書に示された従来の横置形密閉回 転圧縮機の縦断面図であり、図において、１は圧縮機の外殻をなす密閉容器であ り、この密閉容器１には電動要素２及び圧縮要素３が収納されており、これら電 動要素２及び圧縮要素３はフレーム４及びシリンダへツド５にて支持されたクラ ンク軸６を介して連結されている。シリンダヘツド５には密閉容器１外方より貫 通した吸入管７が接続され、この吸入管７及び上記シリンダヘツド５に形成した 連通穴５ａを介して冷媒ガスがシリンダ８の低圧室９ａ側に吸入されるようにな っている。上記シリンダ８は、クランク軸６方向の両開口端をフレーム４及びシ リンダヘッド５で閉鎖されて圧縮室が形成されており、この圧縮室には上記クラ ンク軸６により駆動されるローリングピストン９が内接状態で偏心可能に設けら れると共に、該ローリングピストン９の外周に常時圧接される図示しないベーン がシリンダ半径方向に往復動可能となるように、図示しないベーン溝に取り付け られており、上記ベーンによって上記圧縮室が低圧室１０と高圧室とに分けられ ている。１１は吐出マフラーで、この吐出マフラー１１は上記シリンダ８の高圧 室側とシリンダヘッド５に形成した吐出穴（図示せず）を介して連通し、圧縮さ れた冷媒ガスを収容し、この吐出マフラー１１と連通する吐出管１２を通して密 閉容器１外の冷媒回路に吐出するようにしている。１３は上記シリンダ８の低圧 室１０側の周壁に形成された油分離部で、この油分離部１３のシリンダヘッド５ 側開口部には、シリンダヘツド５の貫通穴５ａに圧入固定された吸入管７の冷媒 ガス出口の末端部７ａが位置している。また、フレーム４はシリンダ８の端面開 口を塞ぎ、このフレーム４には吸入管７の軸線と同一方向で且つクランク軸６と 平行に形成された排油孔１４が設けられ、シリンダ８の低圧室１０側と密閉容器 １内部とが連通するようになっている。１５は密閉容器１の底部に貯溜された潤 滑油、１６は吸入される冷媒中に含まれる潤滑油、１７は軸受として使用される フレーム４の端部より漏れ出す潤滑油である。

【０００３】 上記のように構成された横置形密閉回転圧縮機においては、冷媒回路を循環し た潤滑油１６を含んだ冷媒ガスが吸入管７を介して、シリンダ８の低圧室１０の 側に形成した油分離部１３に導入され、さらに吸入管７の末端部７ａと対向する フレーム４の内面に衝突することで比重の大きい油のみ冷媒ガスより分離する。 潤滑油が分離された冷媒ガスは、低圧室１０側、すなわち吸入管７からの冷媒ガ スの流れ方向と直角方向に流れ、順次高圧室側に移動して吐出マフラー１１に吐 出され、吐出管１２を介して冷媒回路に送り出される。一方シリンダ８の油分離 部１３で冷媒ガスより分離された油は、フレーム４に形成した排油孔１４を通っ て密閉容器１内部へ排出される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

従来の横置形密閉回転圧縮機は以上のように構成されており、図３、図４に示 すようにフレームへ供給した潤滑油がフレームの端部より漏れ、フレーム外壁面 をつたって落下し、排油孔の出口に達してしまう。また、油分離室の内部はロー リングピストンの回転によっての冷媒ガス吸引により、周期的な圧力脈動を生じ ており、油分離室の圧力が密閉容器内の圧力より低い区間が存在し、この区間に おいて、排油孔に達した潤滑油を油分離室内に吸い込んでしまう。その結果、圧 縮機から冷媒回路等へ運び去られる潤滑油量が著しく増大し、密閉容器内に貯溜 される潤滑油量の減少を招き、ひいては、潤滑油不足による軸受の焼付きを生じ てしまうなどの問題点があった。

【０００５】 この考案は上記のような課題を解消するためになされたものであり、圧縮機か ら冷媒回路等へ運び去られる潤滑油の量が少なく、密閉容器内には常に、軸受の 潤滑に必要かつ十分な潤滑油を確保できる信頼性の高い横置形密閉回転圧縮機を 提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る横置形密閉回転圧縮機は、フレームに設けられた排油孔の出口 のまわりに略環状溝を設けたものである。

【０００７】

【作用】

この考案における横置形密閉回転圧縮機は、排油孔の出口のまわりに略環状溝 を設けたために、フレーム端部より漏れ出す潤滑油は、略環状溝に沿って流れ、 排油孔の出口に達することはなく、潤滑油が吸入室に吸い込まれることはない。

【０００８】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図について説明する。図１、図２において、１〜 １７は、上記従来の横置形密閉回転圧縮機と全く同一のものである。１８は排油 孔１４の出口のまわりに設けた略環状溝である。

【０００９】 上記のように構成された横置形密閉回転圧縮機では、その機能及び動作は、下 記に示す動作以外は従来の横置形密閉回転圧縮機と全く同一である。潤滑油１５ を供給して、ジャーナル軸受として使用するフレーム４の端部からは、潤滑油１ ７が漏れ出す。この潤滑油１７はフレームをつたって落下するが、途中、排油孔 １４出口のまわりに設けた略環状溝１８に達したところで、流れの方向が、この 略環状溝１８に沿うように変化し、排油孔１４の出口を迂回する格好で落下し、 密閉容器１の底部へと流れ落ちる。

【００１０】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、フレームより漏れ出す潤滑油は、排油孔の 出口のまわりに設けた略環状溝に沿って流れ、排油孔の出口に達することはなく 、したがって、吸入室の圧力脈動によって、吸入室内に潤滑油が吸い込まれるこ とがなく、圧縮機から冷媒回路等へ運び去られる油の量も少なく、密閉容器の底 部には、常に軸受の潤滑に必要かつ十分な潤滑油が確保され、信頼性の高い横置 形密閉回転圧縮機を提供できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例による横置形密閉回転圧縮
機を示す要部断面図である。

【図２】図１の排油孔の出口付近を示す正面図である。

【図３】従来の横置形密閉回転圧縮機を示す要部断面図
である。

【図４】図３の排油孔の出口付近を示す正面図である。

【符号の説明】

１ 密閉容器 ２ 電動要素 ３ 圧縮要素 ７ 吸入管 １０ 低圧室 １２ 吐出管 １４ 排油孔 １６ 潤滑油 １８ 略環状溝

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 密閉容器内に収納された圧縮要素と電動
   要素と、圧縮要素に密閉容器外部より冷媒ガスを供給す
   る吸入管と、圧縮要素によって圧縮された冷媒ガスを密
   閉容器外部に直接導く吐出管と、吸入管の冷媒ガス出口
   末端部に接続された圧縮室の低圧室と、圧縮室の低圧室
   に冷媒ガスから分離された潤滑油を密閉容器内部へ排油
   する排油孔とを備えた低圧シェル方式の横置形密閉回転
   圧縮機において、排油孔の出口のまわりに略環状溝を設
   けたことを特徴とする横置形密閉回転圧縮機。