JPH056180U - スクロール圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インバータ装置で幅広い運転をさせても、モ
ータ・コイル温度及び、油上り共に低い値に抑える事が
でき、高い信頼性を持ったスクロール圧縮機を得る。 【構成】 分流チャンバ29の側方流出口32に吸入冷媒ガ
スの流速によって連続的に開閉する弁機構を設けたもの
である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、冷凍、空調装置用に使用されるスクロール圧縮機に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

図５、図６は、例えば特開平２−157488号公報に示された従来のスクロール圧 縮機を示す断面図であり、図において、１は渦巻1aを台板1bの一側に備えた固定 スクロール、２は渦巻2aを台板2bの一側に備えた揺動スクロール、３は吸入口（ 吸入室）、４は吐出ポート、５は固定スクロール渦巻1aと揺動スクロール渦巻2a との間に形成される圧縮室、６は主軸、７は主軸６の下端と所定空隙をもって覆 うように装着されたオイルキャップで、吸込口7aを有している。８、９は軸受フ レームで、軸受フレーム８には窪み部8aを形成している。10はモータ・ロータ、 11はモータ・ステータ、12はシェル、13はオルダム継手、13a は揺動スクロール ２に設けた溝2cに嵌合するキー、15はシェル12底部に設けた油溜め、16は吸入管 、17は吐出管、18は台板2bの他側に設けられた揺動スクロール軸2cと回転自在に 嵌入された揺動スクロール軸受で、主軸６の上端部の大径部6aに形成した偏心穴 60a 内に固着されている。19は主軸６の大経部6aの外周面61a を支承する第１主 軸受、20は主軸６の下部の小径部6bを支承する第２主軸受、21は揺動スクロール ２の台板2bにおける下面20b を軸方向から支承する第１スラスト軸受、22は主軸 ６の大経部6aと小径部6b間の段部6cを軸方向から支承する第２スラスト軸受、23 は主軸６内に軸受より偏心して設けられた給油孔で、主軸６の下端に開口部23a を有し、各軸受18、20部へ連通している。24は主軸６内に設けられたガス抜き穴 、25、26は油経路用の返油孔、27、28は吸入ガス経路用の連通孔、29はシェル12 の内壁と軸受フレーム９の外周部に設けられた凹部9aとにより形成している分流 チャンバで、吸入管16と連通しており、上方流出口30と下方流出口31と側方流出 口32とを備えている。

【０００３】 次に動作について説明する。モータ・ロータ10が回転すると、主軸６およびオ ルダム継手13を介して揺動スクロール２が公転運動を始め、圧縮を開始する。こ の時、冷媒ガスは吸入管16よりシェル12内に吸入され実線矢印に示すように、分 流チャンバ29に作動流体（以下、冷媒ガスという）が吸入され、一部は上方流出 口30より流出し、シェル12内の連通孔28を上昇して固定スクロール１に設けた吸 入口３へ導びかれ、一部は下方流出口31より流出し、モータ・ステータ11の外周 面とシェル12の内壁との間を鉛直下方向に流れ、モータ・ステータ11の下部コイ ルエンドとモータ・ステータ11全体を冷却した後、上昇し、連通孔28を通って固 定スクロール１の吸入口３に導びかれ、さらに一部は側方流出口32より流出し、 モータ・ステータ11の上部コイルエンドを冷却した後、下方流出口31より流出し たガスと合流し、固定スクロール１の吸入口３へ導びかれる。

【０００４】 また、潤滑油は油溜め15より破線の矢印で示すように主軸６に配設されたオイ ルキャップ７および給油孔23による遠心ポンプ作用により、オイルキャップ７の 吸込口7aおよび給油孔23を通して各軸受18〜20を給油した油はさらにスラスト軸 受21に至り、軸受フレーム８、９に設けられた返油孔25、26を通って油溜め15に 戻される。また、流出口30〜32の大きさはモータ・ステータ11のコイル温度が均 一に冷却され、圧縮機から機外へ持ち出される油上り量が小さくなるように決定 されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

従来のスクロール圧縮機は以上のように構成されており、インバータ装置を使 用する場合では、運転電源周波数が30〜90Hz時に対応できるようにそれぞれの流 出口の大きさが固定されているため、30Hz以下の低周波域ではモータコイルを冷 却する冷媒ガスが少なくなり、モータコイル温度が上昇し、モータ焼損の恐れが あった。また、90Hz以上の高周波域ではシェル底部の油溜めに向かう冷媒ガスの 流速・流量が多くなることにより、下方向冷媒ガス流による油の巻上げを増大さ せて、油上りが大きくなり、圧縮後の冷媒ガスとともに圧縮機外へ油を流出させ てしまい、シェル底部の油を枯渇させてしまう危険性があるなどの問題点があっ た。

【０００６】 この考案は、上記のような問題点を解消すべくなされたもので、インバータ装 置で15〜150Hz という幅広い運転をさせても、モータ・コイル温度及び、油上り 共に低い値に抑える事ができ、高い信頼性を持ったスクロール圧縮機を得る事を 目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この考案に係るスクロール圧縮機は、分流チャンバの側方流出口に吸入冷媒ガ スの流速によって連続的に開閉する弁機構を設けたものである。

【０００８】

【作用】

この考案におけるスクロール圧縮機は、分流チャンバの側方流出口に吸入冷媒 ガスの流速によって連続的に開閉する弁機構を設けたことにより、低周波域の吸 入冷媒ガス流速が小さい時に弁機構は全閉となり、下方分流量が多く得られモー タ・コイルを良好に冷却する。また、高周波域の吸入冷媒ガス流速が大きい時に 弁機構は全開となり、下方分流量が側方流出の無い場合に比べて低減し、下方向 冷媒ガス流による油の巻上げを低下させる。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図について説明する。図１〜４において、33〜36 で、弁機構を構成しており、33は弁ハウジングで、側方に吸入冷媒ガス流出口33 a が設けられていると共に、分流チャンバー側面に設けられていた側方流出口32 に分流チャンバー29の反チャンバー側からその吸入冷媒ガス開口部33b が同位置 となるように取付けられている。34はバネ、35はバネ34を弁ハウジング33内に支 持するバネ押え、36は弁を示し、図２に示す様な断面構造でそれぞれ組込まれて 弁機構を構成している。図３、図４は弁機構の作動特性を示し、図中矢印は作動 流体の流れを示している。

【００１０】 次に動作について説明する。圧縮機運転時において、低周波領域、即ち、吸入 冷媒ガス流速の小さい領域では、図３に示す様に弁36はバネ34に押されて、側方 流出口は閉じられていて、吸入管16より流入した吸入ガスは上方流出口30、下方 流出口31のみを通り上方、下方にのみ流れる。この際、上方流出口30、下方流出 口31については大きさが固定されているので、吸入冷媒ガスの配分比は固定され る。また、高周波領域の吸入冷媒ガス流速の大きな領域では、ガス流体が弁36を 押して、弁ハウジング33に設けられた開口部33b が開口して、図４に示すように 側方流出口32が開口して、分流チャンバ29から側方への冷媒ガス流れが形成され る。この事によって、分流チャンバ29から流出する流出口30〜32の通路面積が増 加して流出ガスの流速が下がると共に、下方への冷媒ガス流配分比も低下する。 この事により、高周波側については、側方流路が無い場合に比べて、流量、流速 共に低減する事ができ、モータ・コイル下方からの下方向冷媒ガス流による油の 巻上げを低下させる事ができる。

【００１１】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば分流チャンバの側方流出口に吸入冷媒ガスの 流速によって連続的に開閉する弁機構を設けた構成としたので、インバータ装置 で幅広い運転をさせても、モータ・コイル温度及び、油上りが共に低い値に抑え る事ができ、高い信頼性をもったものが得られる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示すスクロール圧縮機の
断面図である。

【図２】図１の弁機構の拡大断面図である

【図３】図１の弁機構全閉時の状態を示す分流チャンバ
部の断面図である

【図４】図１の弁機構全開時の状態を示す分流チャンバ
部の断面図である。

【図５】従来のスクロール圧縮機の断面図である。

【図６】図５の軸受フレームを示す斜視図である。

【符号の説明】

１ 固定スクロール ２ 揺動スクロール ６ 主軸 ９ 軸受フレーム 10 モータ・ロータ 11 モータ・ステータ 12 シェル 16 吸入管 26 分流チャンバ 30 上方流出口 31 下方流出口 32 側方流出口 33 弁ハウジング 34 バネ 35 バネ押え

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 鈴木 賢志 静岡市小鹿三丁目18番１号 三菱電機株式 会社静岡製作所内

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 固定スクロールと揺動スクロールを互い
   に組み合わせた圧縮機構と、揺動スクロールを駆動する
   主軸と、主軸を駆動させるモータ・ロータおよびモータ
   ・ステータと、圧縮機構を支承する軸受フレームと、冷
   媒ガスをシェル内に吸入する吸入管と、吸入管から吸入
   される冷媒ガスを上方の圧縮機構と下方のモータ・ロー
   タおよびモーター・ステータと側方のモータ・ステータ
   の上部コイルエンド部とに導く流出口を有する分流チャ
   ンバとを備えたスクロール圧縮機において、分流チャン
   バの側方流出口に吸入冷媒ガスの流速によって連続的に
   開閉する弁機構を設けたことを特徴とするスクロール圧
   縮機。