JPH0561805U - 磁気ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 媒体の搬送方向に関係なく、高密度磁気記録
及び高速媒体搬送磁気記録が高特性でできる磁気ヘッド
を供給する。 【構成】 積層構造の第２のコア８も第１のコア１と同
様の高飽和磁束密度を有する金属磁性材料を積層コア化
し、磁気コアの飽和磁束密度の高周波域における低下を
防いだ磁気ヘッドと、更に、同材質の金属磁性材料を積
層化した磁気コアを用いることにより第１のコア１と第
２のコア８及び第３のコア３の磁気特性をほぼ等しくし
たもので、磁気カード等の媒体の搬送方向による書き込
み読み出し特性の差が小さい高密度磁気記録あるいは高
速媒体搬送磁気記録に対応した磁気ヘッドである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、書き込み、読み取りの両機能を備えた磁気ヘッドに係り、高密度磁 気記録及び高速媒体搬送磁気記録の磁気カードリーダ等に使用する磁気ヘッドに 関係する。

【０００２】

【従来の技術】

図２は、従来の１個の磁気ヘッドで書き込み、読み取りの両機能を備えた磁気 ヘッドの一例のコア組み合せ状態を説明する外観斜視図である。一般のリング形 磁気ヘッドと同様にコアをコアホルダーに固着したものを磁気ギャップを形成す るための磁気ギャップスペーサ７を挟み、互いに突合せ、コアホルダー間にわた ってねじ締され、ホルダー内に樹脂を注入した後、磁気ギャップが形成された磁 気ヘッド組立体の磁気媒体が摺動する面側をＲ面研磨して磁気ヘッドとして完成 している。図２に示すように、第１のコア１は、Ｆｅ系等の高飽和磁束密度を有 する金属磁性材料を切削加工等により断面が略コ字形の薄板状のコア片とし、こ の薄板状のコア片を２枚以上積層し所定のコア幅の磁気コアとし、第２のコア２ はＦｅ系等の高透磁率金属磁性材料を断面形状は第１のコア１の幅より狭い幅を 有する磁気コアに機械加工したもので、第３のコア３は第１のコア１と同一の材 料を断面形状がコ字形の薄板状のコア片とし、２枚以上積層し所定のコア幅の磁 気コアとしたものである。第１のコア１及び第２のコア２の中央部外周に一点鎖 線で示した巻線４、５が施され、第３のコア３は第２のコア２の両側に磁気間隙 材６を挟んで第２のコア２と密接して配置され、しかも、第１のコア１とも磁気 ギャップスペーサ７を挟み一体に構成されている。機能的には書き込みと読み取 りの機能を備えた磁気ヘッドが形成されている。上述の高速高密度磁気記録再生 用磁気ヘッドは主として一方向の搬送方向で書き込み読み取りを行うよう設計さ れ、高周波での書き込み特性のよい高飽和磁束密度磁性材料の積層磁気コアの第 １のコア１を送り出し側に配置し、進入側に読み出し特性のよい高抵抗材料のブ ロック状磁気コアの第２のコア２を配して用いていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記磁気ヘッドを用いて高保磁力の磁気カードに対して高密度磁気記録あるい は、高速媒体搬送磁気記録を行った場合、通常の搬送方向とは逆の第１のコア１ 側から第２のコア２側に磁気カード等の媒体が搬送された状態で書き込みが行わ れると、磁気媒体に十分な書き込みができず、読み取り時のヘッド出力電圧の低 下や書き込み信号の周期に対し読み取り信号の周期がずれたり、重ね書きが十分 に行えなかったりして、読み取り信号の品質、信頼性が低下するという問題があ った。本考案の課題は、高密度高速媒体搬送磁気記録や高保磁力カード等の記録 再生において、何れの方向から書き込み読み出しを行っても、書き込み読み出し 特性が安定し、搬送方向による差の小さい磁気ヘッドを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

考案者は前記課題を解決するため、上記問題点を検討した結果、第２のコア２ の飽和磁束密度が第１のコア１の飽和磁束密度より低いことにより、特に書き込 み周波数が高くなると第２のコア２の飽和磁束密度が低周波域よりも著しく低下 していると考えられ、本考案は上記の観点より第２のコアも第１のコアと同様の 高飽和磁束密度を有する金属磁性材料を積層コア化し、磁気コアの飽和磁束密度 の高周波域における低下を防ぐとともに、同材質の金属磁性材料を用いることに より、更に第１のコアと第２及び第３のコアの磁気特性をほぼ等しくしたもので 、磁気カード等の媒体の搬送方向による書き込み読み出し特性の差が小さい高密 度磁気記録あるいは高速媒体搬送磁気記録に対応した磁気ヘッドである。

【０００５】 即ち、本考案は、断面が略コ字形で第１の巻線を施された金属磁性材料からな る第１のコアと、断面が略コ字形で上記第１のコアより狭いコア幅を有し、第２ の巻線を施され上記第１のコア幅の範囲内に位置し上記第１のコアとループ状磁 路を形成するように互いに突合わされた金属磁性材料からなる第２のコアと、上 記第２のコアの両側に磁気間隙材を挟んで密接並置され上記第１のコアの両側端 部に当接された金属磁性材料からなる２つの第３のコアと、上記第１のコアと第 ２のコアの上下両端の突合わせ部の一方において該第１及び第２のコア間及び該 第１のコアと上記第３のコア間に延在して配置された磁気ギャップスペーサを有 し、上記第２のコアを通る磁束に対して該第２のコア幅の第１のコアとの間に磁 気ギャップが与えられ、同じく、該磁気ギャップスペーサの両側部が上記第３の コアを通る磁束に対する第１のコアとの間の磁気ギャップを与えるような構造を 有する磁気ヘッドにおいて、上記第１のコアを該第１のコア幅より狭いコア片を ２枚以上積層し、所定のコア幅にした磁気コアとし、上記第２、第３のコアを各 コアのコア幅より狭いコア片を２枚以上積層し、所定のコア幅としたコアを用い て構成したことを特徴とする磁気ヘッド、及び前記磁気ヘッドにおいて、第１、 第２、第３のコアを構成するコア材が同一の金属磁性材料からなることを特徴と する磁気ヘッドである。

【０００６】

【作用】

従来、一方向で使用していた高速搬送、高密度記録用磁気ヘッドの読み出し側 の磁気コアを積層比して、双方向からの書き込み読み出し特性を等しくし、記録 再生装置の双方向の処理特性が同等で、しかも高い特性を有するので、双方向駆 動による高速処理が可能となる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を用いて詳細に説明する。図１は、本考案 の磁気ヘッドの磁気コアの構成を説明する磁気コア周辺部の外観斜視図である。 図１において、断面が略コ字形に機械加工された薄板状のコア片を２枚以上積層 （本実施例では６枚積層）し、所定のコア幅に仕上げられた金属磁性材料で高飽 和磁束密度材よりなる第１のコア１の中央部に第１の巻線４を施す。次に積層構 造の第２のコア８は、第１のコア１のコア幅方向の中央部に、第２の巻線５を施 した断面が第１のコアとほぼ同一形状で、第１のコア１と同一材料からなる薄板 状のコア片を２枚以上積層（本実施例では４枚積層）し、第１のコア１の幅より 狭い所定のコア幅に仕上げられた積層構造の第２のコア８を得る。積層構造の第 ２のコア８を上部突合せ部に磁気ギャップスペーサ７を挟み、第１のコア１とル ープ状磁路を形成するように互いに突合せる。積層構造の第２のコア８の両側面 へ、断面がコ字形に機械加工された薄板状のコア片を２枚以上積層（本実施例で は４枚積層）された第１のコア１と同一材料よりなる第３のコア３をコ字の向き を逆にして第２コア２の両側に磁気間隙材６を挟んで密着して組み立て、しかも 第１のコア１の上部突合せ部と第３のコア３のコア背面との間にも前記磁気ギャ ップスペーサ７を挟んで突合せ密着配置して組み立てられる。

【０００８】 このように構成された磁気ヘッドを用いて高保磁力媒体に高密度記録あるいは 高速媒体搬送記録を行った場合、磁気コアの高周波域における飽和磁束密度の低 下が減少すると同時に、コア間の磁気特性がほぼ同様になり、媒体の搬送方向に 影響されることなく磁気記録媒体への飽和書き込みと読み取りが可能になり、表 １に示すように逆方向（図３矢印Ｂ１０の方向）での書き込み、読み取り特性の 品質、信頼性が向上した。図３は、表１に示す本実施例と従来の例の比較した重 ね書き特性を測定したときの磁気ヘッドに対する媒体の搬送方向を示したもので ある。従来の磁気ヘッドでは搬送方向により約４割も特性差があるのに対し、本 考案による磁気ヘッドでは、搬送方向による差は殆どみられない。さらに重ね書 き特性が約１割向上していることがわかる。本実施例の磁気ヘッドでは、第１の コアと積層構造の第２のコアは同材質の金属磁性材料により構成した例を用いて 説明したが異なった特性の材料においても本考案の効果は得られる。

【０００９】

【表１】

【００１０】

【考案の効果】

以上説明したごとく本考案によれば、磁気コアの高周波域における飽和磁束密 度の低下を減少させると同時に、各コア間の磁気特性の差を極めて小さくするこ とができ、媒体の搬送方向に影響されることなく高保磁力媒体への飽和書き込み が可能となり読み取り信号の品質、信頼性が向上し、磁気カードリーダ等の高密 度磁気記録あるいは高速媒体搬送磁気記録に対応した磁気ヘッドを提供すること が可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の磁気ヘッドの磁気コアの構成
を説明する磁気コア部周辺の外観斜視図。

【図２】従来の磁気ヘッドの磁気コアの構成を説明する
磁気コア部周辺の外観斜視図。

【図３】本考案の実施例及び従来の例の磁気ギャップ方
向より見た磁気ヘッドの磁気コア部の平面図で、図３
（ａ）は実施例、図３（ｂ）は従来の例を示し、矢印は
媒体搬送方向を示す。

【符号の説明】

１ 第１のコア ２ 第２のコア ３ 第３のコア ４ 巻線 ５ 巻線 ６ 磁気間隙材 ７ 磁気ギャップスペーサ ８ 積層構造の第２のコア ９ 矢印Ａ １０ 矢印Ｂ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面が略コ字形で第１の巻線を施された
   金属磁性材料からなる第１のコアと、断面が略コ字形で
   上記第１のコアより狭いコア幅を有し、第２の巻線を施
   され上記第１のコア幅の範囲内に位置し上記第１のコア
   とループ状磁路を形成するように互いに突合わされた金
   属磁性材料からなる第２のコアと、上記第２のコアの両
   側に磁気間隙材を挟んで密接並置され上記第１のコアの
   両側端部に当接された金属磁性材料からなる２つの第３
   のコアと、上記第１のコアと第２のコアの上下両端の突
   合わせ部の一方において該第１及び第２のコア間及び該
   第１のコアと上記第３のコア間に延在して配置された磁
   気ギャップスペーサを有し、上記第２のコアを通る磁束
   に対して該第２のコア幅の第１のコアとの間に磁気ギャ
   ップが与えられ、同じく、該磁気ギャップスペーサの両
   側部が上記第３のコアを通る磁束に対する第１のコアと
   の間の磁気ギャップを与えるような構造を有する磁気ヘ
   ッドにおいて、上記第１のコアを該第１のコア幅より狭
   いコア片を２枚以上積層し、所定のコア幅にした磁気コ
   アとし、上記第２、第３のコアを各コアのコア幅より狭
   いコア片を２枚以上積層し、所定のコア幅としたコアを
   用いて構成したことを特徴とする磁気ヘッド。
2. 【請求項２】 請求項１の磁気ヘッドにおいて、第１、
   第２、第３のコアを構成するコア材が同一の金属磁性材
   料からなることを特徴とする磁気ヘッド。