JPH0561564U - メタルシリンダーヘッドガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 シール材が剥離する可能性を最少限に抑え、
シール材が剥離しても冷却液の流動への悪影響を最少限
にすることのでき、かつ、ガスケットの平面方向への剛
性を確保して使用中の変形を防止できオープンデッキシ
リンダーブロック構造を有するエンジンに適用される多
層構造のメタルシリンダーヘッドガスケットを提供しよ
うとするものである。 【構成】 外表面にシール材を有する少なくとも１枚の
金属薄板１とこの金属薄板と相互に重ね合わされる別の
金属薄板２とから構成される。シール材を有する金属薄
板のウォータージャケット部に位置する部分はブリッジ
部５を残して穴開けされる。また、ブリッジ部５は約３
から２０mmの幅を有し、かつシリンダーボア中心から、
隣接したシリンダーボアの中心を相互に連結する方向
と、この連結方向に対して直行する方向またはこの連結
方向から約４５度づつ離間した方向とにそれぞれ配設さ
れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は内燃機関に使用されるガスケットに関し、特に、オープンデッキシリ ンダーブロック構造を有するエンジンに適用される多層構造のメタルシリンダー ヘッドガスケットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車用エンジンに対する種々の要求は年々厳しくなっており、冷却効果等の 観点から、シリンダーの回りを冷却水用流路が囲周するように形成されたウォー タージャケット部を備えたオープンデッキシリンダーブロック構造のエンジンが 主流となっている。

【０００３】 オープンデッキシリンダーブロック構造のエンジンにおけるシリンダーヘッド ガスケットは、ウォータージャケット部に位置する部分が常に冷却水により浸漬 されている。そのため、ガスケット表面に付着されたシール材が剥離し、流路に 混入し、冷却水の流れを阻害しやすいものであった。

【０００４】 このシール材の剥離を防止するために、ガスケットのウォータージャケット部 の部分のシール材をウォータージェットにより剥離したガスケットが提案されて いる。また、多層構造で形成し、ウォータージャケット部の部分に沿ってシール 材を有する金属板を抜き落としたガスケットが提案されている。

【０００５】 しかし、前者の手段は、金属板を打ち抜き、結合することにより実質的に完成 されていたこれまでのガスケットの製造工程に、ウォータージェットによる剥離 という新たな工程が追加されることになる。そのため、ウォータージェット設備 の新規導入、製造工程の増加、加工精度の維持管理等、ガスケット製造単価の高 騰を引き起こすものであった。

【０００６】 一方、後者の場合、ウォータージャケット部がシリンダーを囲周するように形 成されているため、シール材を有する金属板がシリンダーボア側とその外周側と に分割されることになる。そのため、積層される金属板間の位置関係を保持する ための手段を別途に設ける必要があるだけでなく、完成されたガスケットの平面 方向への剛性が不足し、使用中の変形によるモレを生じ易いものであった。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、ウォータージャケット部に露呈していることにより生ずるシール材 が剥離する可能性を最少限に抑え、シール材が剥離しても冷却液の流動への悪影 響を最少限にすることのできるシリンダーヘッドメタルガスケットを提供しよう とするものである。

【０００８】 本考案はまた、従来の無用な結合手段を省略でき、かつ、ガスケットの平面方 向への剛性を確保して使用中の変形を防止できるシリンダーヘッドメタルガスケ ットを提供しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

本考案によるシリンダーヘッドメタルガスケットは、オープンデッキシリンダ ーブロック構造を有するエンジンに適用される多層構造のメタルシリンダーヘッ ドガスケットである。本考案によるシリンダーヘッドメタルガスケットは、外表 面にシール材を有する少なくとも１枚の金属薄板と該金属薄板と相互に重ね合わ される別の金属薄板とから構成される。シール材を有する金属薄板のエンジンの ウォータージャケット部に位置する部分はブリッジ部を残して穴開けされる。

【００１０】 本考案によるシリンダーヘッドメタルガスケットはまた、ブリッジ部が約３か ら２０mmの幅を有し、かつシリンダーボア中心から、隣接したシリンダーボアの 中心を相互に連結する方向と、該連結方向に対して直行する方向または該連結方 向から約４５度づつ離間した方向とにそれぞれ位置するように設けられる。

【００１１】

【作用】

シール材を有する金属薄板は、エンジンに組み込まれたとき、エンジンのウォ ータージャケット部にはブリッジ部のみが位置し、シール材の剥離可能性を最少 限する。また、シリンダーボア側とその外周側との部分を、結合手段を別途に設 けることなくブリッジ部により連結し、適当に離間して配設されたブリッジ部に よりガスケットの平面方向への剛性を確保する。シール材の剥離が生じた場合、 ブリッジ部の寸法により剥離したシール材の大きさは無視し得る程度に小さく、 ウォータージャケット部を閉塞することはない。

【００１２】

【実施例】

本考案の実施例によるシリンダーヘッドメタルガスケットは、図１、図２およ び図３に示すように、オープンデッキシリンダーブロック構造を有するエンジン に適用されるように形成されており、少なくとも１枚（図示の場合、２枚）の金 属薄板１と、この金属薄板１と相互に重ね合わされる別の金属薄板２とから構成 される。

【００１３】 金属薄板１は、適用されるフランジ面と接面する側となる外表面にシール材３ を有する。金属薄板１は、適用されるフランジ面と実質的に同様に、シリンダボ アＣ、ボルト穴Ｂ等を有する平面形状に形成される。しかし、金属薄板１は、エ ンジンのウォータージャケット部Ｊに位置する部分において、ウォータージャケ ット部Ｊの形状に沿った形状の複数の穴４が形成されており、これらの複数の穴 ４間にはブリッジ部５が設けられる。かくして、金属薄板１のシリンダーボアＣ の周縁部分６とその外周側部分７との間は、ウォータージャケット部Ｊ上を跨ぐ 位置関係で設けられたブリッジ部５により連結されることなる。

【００１４】 金属薄板２は、金属薄板１と同様に、適用されるフランジ面と実質的に同様な 平面形状を有する。金属薄板２のウォータージャケット部Ｊに位置する部分には 水穴８が設けられ、これにより、ウォータージャケット部Ｊを流れる冷却水の流 量および流動方向を調節してエンジンを効率よく冷却させる。

【００１５】 シール材３は金属薄板を材料とすることによるガスケット面方向のシール漏れ を解消し得る耐熱性材料が使用され、例えば、慣用のラバーコーティングを適用 できる。

【００１６】 ブリッジ部５は、シリンダーボアＣ中心から、隣接したシリンダーボアの中心 を相互に連結する方向Ｘと、連結方向Ｘに対して直行する方向Ｙまたは連結方向 Ｘから約４５度づつ離間した方向ＹおよびＺとにそれぞれ位置するように設けら れる。この離間角度は厳密に設定する必要はなく、水穴８の位置等により、全体 的にみて均等にブリッジ部５が配置されるように設けられるように留意すべきで あるが、基本的に上記関係で配置されることによりガスケットの平面方向への剛 性を確保する。

【００１７】 また、ブリッジ部５の幅Ｗは、シール材の剥離が生じた場合に、ウォータージ ャケット部Ｊを閉塞する恐れがないように無視し得る程度に小さく、かつ、ガス ケットの平面方向への剛性を確保できる寸法として、約３から２０mmの寸法で形 成される。

【００１８】

【考案の効果】

本考案によれば、金属薄板１のシリンダーボアＣの周縁部分６とその外周側部 分７との間をブリッジ部５により連結するように形成されることにより、ウォー タージャケット部Ｊに露出する部分を最少限にでき、万一シール材の剥離を生じ た場合でも、剥離片が小さく、冷却水の流動を阻害する恐れを最少限にすること ができ、もってエンジンの二次不具合を防止できるものである。

【００１９】 また、ブリッジ部５を適当な離間角度で設け、かつその幅Ｗを適当な寸法にす ることにより、ガスケットの平面方向への剛性を確保でき、エンジン実働時の振 動や熱等によるガスケットの変形を防止して、モレの発生を回避できるものであ る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例によるメタルシリンダーヘッド
ガスケットの平面形状を示す部分図である。

【図２】図１の線II−IIにおける断面図である。

【図３】図１の線III−IIIにおける断面図である。

【符号の説明】

１、２ 金属薄板 ３ シール材 ４ 穴 ５ ブリッジ部 ８ 水穴 Ｊ ウォータージャケット部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 オープンデッキシリンダーブロック構造
   を有するエンジンに適用される多層構造のメタルシリン
   ダーヘッドガスケットにおいて、外表面にシール材を有
   する少なくとも１枚の金属薄板と該金属薄板と相互に重
   ね合わされる別の金属薄板とから構成され、シール材を
   有する金属薄板のエンジンのウォータージャケット部に
   位置する部分はブリッジ部を残して穴開けされているこ
   とを特徴としたメタルシリンダーヘッドガスケット。
2. 【請求項２】 前記ブリッジ部は約３から２０mmの幅を
   有し、かつシリンダーボア中心から、隣接したシリンダ
   ーボアの中心を相互に連結する方向と、該連結方向に対
   して直行する方向または該連結方向から約４５度づつ離
   間した方向とにそれぞれ位置するように設けられること
   を特徴とした請求項１記載のメタルシリンダーヘッドガ
   スケット。