JPH0561466U - プランジャポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 始動トルクが比較的小さな電動機を使用して
も、ポンプを十分に起動することが可能なプランジャポ
ンプを提供する。 【構成】 偏心カム５に対しプランジャ１ａと対向する
位置に補助プランジャ１ｂを配置するとともに、補助プ
ランジャ１ｂを偏心カム５に向けて押圧する補助スプリ
ング２ｂを設けたプランジャポンプ１。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、電動機の駆動により流体を送給するのに利用されるプランジャポ ンプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

電動機を駆動源とし、この電動機に駆動される偏心カムによりプランジャを揺 動させて油を加圧するポンプが実公昭５５−２２２３号公報に開示されている。

【０００３】 この公告公報の第１図、第２図に開示されたポンプは、１つの偏心カムと、１ つのスプリングによって付勢された１つのプランジャを備えている。このポンプ では、スプリングによって大きな弾性力がプランジャに加えられているため、ポ ンプを起動させる際に、スプリングの弾性力及び加圧される油の圧力に打ち勝つ 力が偏心カムに加えられなければならない。したがって、偏心カムを駆動する電 動機として、始動トルクの大きなものが選択される。

【０００４】 また、上記公告公報の第３図、第４図に開示されたポンプは、１つの偏心カム と、この偏心カムのそれぞれ両側に配置され、それぞれ１つのスプリングによっ て付勢された２つのプランジャを備えている。このポンプでは、それぞれのスプ リングによって付勢されたプランジャにより、偏心カムには両側から押圧力が加 えられている。したがって、このポンプでは、静的状態においては、２つのスプ リングの弾性力が釣合っている。それ故見かけ上、プランジャに大きな力が加え られてはいない。しかし、このポンプでは、それぞれのプランジャがポンプ作用 をするように構成されており、偏心カムによって圧縮されたスプリングが伸長す る際に、スプリングは大気に対し仕事をしなければならない。それ故、スプリン グを圧縮する際に、プランジャがそのスプリングに与える仕事量に較べ、スプリ ングが伸長する際にスプリングがプランジャに与える仕事量は、はるかに小さい 。したがって、このポンプにおいても、ポンプを起動させる際に、スプリングの 弾性力及び油の圧力に勝る起動トルクを発生することが可能な電動機が使用され ねばならない。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記した従来の装置では、ポンプの起動を容易にするために、その駆動源であ る電動機として、始動トルクの大きなものが選択されなければならない。

【０００６】 本考案は、始動トルクが比較的小さな電動機を使用しても、ポンプを十分に起 動することが可能なプランジャポンプを提供するものである。

【０００７】

【考案の構成】

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、本考案においては、偏心カムに対して、プラン ジャと対向する位置に補助プランジャを配置し、かつ、この補助プランジャを偏 心カムの方向へ付勢する補助スプリングを配置する。補助スプリングは、ポンプ として作用せず、単に、偏心カムから受けた力を補助スプリングへ伝達し、また 補助スプリングの弾性力を偏心カムへ伝達するように構成されている。

【０００９】

【作用】

補助プランジャが偏心カムから力を受けると、補助スプリングが収縮し、補助 スプリングにエネルギーが蓄積される。そして、補助スプリングが伸長する際に 、補助スプリングに蓄積されたエネルギーは、偏心カムに供給される。すなわち 、この装置では補助スプリングの弾性力が補助プランジャを介して偏心カムに常 に加えられる。そして、ポンプが起動される際、補助スプリングの弾性力は電動 機の始動トルクに加算されるように偏心カムに作用し、ポンプは容易に起動する 。

【００１０】

【実施例】 図１に本考案によるプランジャポンプの断面図が示されている。

【００１１】 本考案によるプランジャポンプ１は、偏心カム５、プランジャ１ａ、スプリン グ２ａ、ボディ１５、吸入管１２、吐出管１１、チェックバルブ３，１０、補助 プランジャ１ｂ、及び補助スプリング２ｂを備えている。

【００１２】 プランジャ１ａは、ボディ１５に形成されたポンプ室１３内に摺動可能に収容 され、スプリング２ａはプランジャ１ａを偏心カム５へ向けて付勢している。補 助プランジャ１ｂはプランジャ１ａに対して対向して配置され、ボディ２０に形 成された補助プランジャ室１４内に摺動可能に収容され、補助スプリング２ｂは プランジャ１ｂを偏心カム５へ向けて付勢している。この実施例においてボディ １５、２０は結合部２１により一体的に形成されている。

【００１３】 偏心カム５は、電動機（図示せず）の回転軸でもあるカム軸８に嵌合されたカ ム６と、カム６の周りを囲んで回転可能に配置されたローラ７、及びカム６とロ ーラ７との間に配置されたボールベアリング９からなり、偏心カム５は、プラン ジャ１ａ、補助プランジャ１ｂに接し、両者の間に配置されている。カム６とロ ーラ７の中心の位置は一致している。カム軸８の中心は、カム６の中心から一定 の距離だけ離れて配置されている。

【００１４】 ポンプ室１３は、チェックバルブ３が収容されたチェックバルブ室１７に連通 し、チェックバルブ室１７は吐出管１１に連通している。また、ポンプ室１３は チェックバルブ室１９に連通し、チェックバルブ室１９は吸入管１２に連通して いる。チェックバルブ３、１０はそれぞれスプリング４、１８によって図示する 位置へ押圧されている。補助プランジャ室１４は開口１４ａを通して大気に連通 している。ボディ１５は台１６上に載置されている。

【００１５】 カム軸８が回転すると、カム６が偏心回転し、ローラ７が偏心運動をする。ロ ーラ７の偏心運動に伴い、プランジャ１ａ、補助プランジャ１ｂが往復運動をす る。プランジャ１ａの往復運動により、チェックバルブ３、１０がそれぞれスプ リング４、１８の弾性力に対抗してチェックバルブ室１７、１９内の油とともに 往復運動し、吸入管１２からチェックバルブ室１９、ポンプ室１３、チェックバ ルブ１７及び吐出管１１を経由して油が吸入管１２から吐出管１１へ送給される 。

【００１６】 偏心カム５が偏心運動を開始することによって、偏心カム５がプランジャ１ａ を押圧している間、偏心カム５はスプリング２ａの弾性力及びポンプ室１３内の 油の圧力に勝る力でプランジャ１ａを押圧する。偏心カム５がプランジャ１ａを 押圧する力は、カム軸８に加えられた電動機のトルクと、補助プランジャ１ｂか ら伝達される補助スプリング２ｂの弾性力である。

【００１７】 偏心カム５が偏心運動をして補助プランジャ１ｂを押圧する際、偏心カム５は 補助スプリング２ｂの弾性力に勝る力をプランジャ１ａに加えればよい。本考案 の装置においてスプリング２ａ、２ｂとして弾性力がほぼ同程度のものが選ばれ る。

【００１８】 図２に本考案の装置の作用が模式的に示されている。

【００１９】 偏心カム５の中心がカム軸８の中心０から距離ｌｏだけ偏心していると、カム 軸８が角度θ回転し、偏心カム５が偏心カム５´の位置へ移動すると、プランジ ャ１ａ、１ｂは距離△ｌ＝ｌｏｓｉｎθだけ移動し、両者の移動距離は等しい。 スプリング２ａ，２ｂの弾性係数が等しく、図２におけるカム５の位置でスプリ ング２ａ，２ｂが同程度収縮しているとすれば、スプリング２ａ，２ｂが偏心カ ム５を押圧する力はほぼ等しい。

【００２０】 それ故、スプリング２ａ，２ｂから偏心カム５に作用する弾性力Ｆは互いに釣 合い、偏心カム５には見かけ上、力が加えられていない。スプリング２ａ，２ｂ の弾性力Ｆはプランジャ１ａ，１ｂの位置が距離△ｌ変わることにより変化する が、距離△ｌが小さければ弾性力の変化は小さい。したがって、弾性力Ｆの変化 が小さいとすれば、プランジャ１ｂの位置が距離△ｌだけ変位すると、補助スプ リング２ｂは偏心カム５に対しＷ_１＝Ｆ・△ｌの仕事をする。また、偏心カム５ はスプリング２ａに対しＷ_２＝Ｆ・△ｌの仕事をする。したがって、偏心カム５ がスプリング２ｂから得たエネルギーはスプリング２ｂに与えられる。

【００２１】 本考案の装置において、補助プランジャ室１４が大気に連通しているので、補 助スプリング２ｂは大気に対し仕事をすることはなく、補助スプリング２ｂに蓄 積されたエネルギーは偏心カム５に与えられ、さらにスプリング２ａに与えられ る。もちろん、電動機が発生するエメルギーも偏心カム５を介してスプリング２ ａにも与えられる。しかし、補助スプリング２ｂもスプリング２ａに対し仕事を する。それ故、偏心カム５はプランジャ１ａ、スプリング２ａに対して十分に仕 事をする必要はなく、偏心カム５はポンプ室１３内の油に対し仕事をすればよい 。それ故、カム軸８に結合された電動機（図示せず）はその始動トルクが従来の 電動機に比べて小さなものであってよい。

【００２２】 図３に本考案の第２の実施例が開示されている。この実施例においては、補助 プランジャ室１４が密閉構造になっている。補助プランジャ室１４には、例えば 空気が封入されている。

【００２３】 この実施例において、補助プランジャ１ｂが偏心カム５によって押圧されると 、補助スプリング２ｂが収縮し、補助プランジャ１ｂが補助プランジャ室１４内 に移動される。補助プランジャ室１４の体積が小さくなると、補助プランジャ室 １４内に封入された空気の圧力は上昇する。圧力が上昇した補助プランジャ室１ ４内の空気は、弾性体として作用し、補助スプリング２ｂの弾性力を補強する作 用をする。

【００２４】 図４に本考案の第３の実施例が開示されている。この第３の実施例においては 、カム室２２が蓋体２３により密閉されており、カム室２２には例えば空気が封 入されている。また、この実施例において、補助プランジャ室１４は導管２４に よってカム室２２に連通している。

【００２５】 この実施例において、偏心カム５によって補助プランジャ１ｂが押圧されると 、補助プランジャ室１４内の空気は導管２４を通ってカム室２２内へ移動する。 また、補助プランジャ室１４内の体積が増大する際に、カム室２２内から導管２ ４を通って補助ブランジャ１４内へ空気が移動する。この実施例においても、補 助プランジャ１ｂはカム室２２内の空気に対し仕事をする必要はない。

【００２６】 なお、上記した第３の実施例において、補助プランジャ室１４が第１の実施例 と同様に大気に連通し、かつ導管２４が設けられなくてもよい。この場合、大気 が補助プランジャ１ｂに作用し、カム室２２内の空気に対して仕事をする。

【００２７】

【考案の効果】

以上説明してきたように本考案は、偏心カムと、プランジャと、プランジャを 偏心カムに向けて押圧するスプリングを備えたポンプにおいて、偏心カムに対し プランジャと対向する位置に補助プランジャを配置するとともに、この補助プラ ンジャを偏心カムに向けて押圧する補助スプリングを設け、補助スプリングにエ ネルギーを蓄積し、その弾性力を電動機の始動トルクに付加することによってポ ンプを起動する。したがって、補助スプリングが発生する弾性力に基づいて偏心 カムに与える力だけポンプの起動は容易になり、偏心カムのカム軸に結合された 電動機の始動トルクは小さくてよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案によるプランジャポンプの第１の実施例
の断面図である。

【図２】本考案によるプランジャポンプの作用を説明す
るための模式図である。

【図３】本考案によるプランジャポンプの第２の実施例
の断面図である。

【図４】本考案によるプランジャポンプの第３の実施例
の断面図である。

【符号の説明】

１ プランジャポンプ １ａ プランジャ １ｂ 補助プランジャ ２ａ スプリング ２ｂ 補助スプリング ５ 偏心カム １３ ポンプ室 １４ 補助プランジャ室 １５ 第１のボディ ２０ 第２のボディ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電動機により駆動される偏心カムと、 上記偏心カムに押圧されるプランジャと、 上記プランジャを摺動可能に収容したポンプ室を備える
   第１のボディと、 上記第１のボディと上記プランジャとに係止され、当該
   プランジャを偏心カムに向けて付勢するスプリングを備
   えたプランジャポンプにおいて、 上記偏心カムを挟んで上記プランジャに対向して配置さ
   れた補助プランジャと、 上記補助プランジャを摺動可能に収容し、補助プランジ
   ャ室を備え、上記第１のボディと一体的に形成された第
   ２のボディと、 上記第２のボディと補助プランジャに係止され、当該補
   助プランジャを偏心カムに向けて付勢する補助スプリン
   グを備えていることを特徴とするプランジャポンプ。
2. 【請求項２】 補助プランジャ室が大気に連通する開口
   を有していることを特徴とする請求項１に記載のプラン
   ジャポンプ。
3. 【請求項３】 偏心カムは、第１のボディと第２のボデ
   ィ、第１、第２のボディを連結する連結部及び蓋体とに
   より囲まれた密閉空間のカム室に収容され、上記カム室
   と補助プランジャとが導管により連通されていることを
   特徴とする請求項１に記載のプランジャポンプ。