JPH0561272A - 導電性トナーの転写方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 導電性トナーの転写方法 【目的】導電性トナーを用いた可視画像を普通紙に転写
する際の転写率を向上させることのできる転写方法を提
供する。 【構成】静電荷像担持体上に形成された静電潜像を、体
積固有抵抗約１×１０¹⁰Ωcm以下の導電性トナーで可視
画像とした後、静電潜像電荷を消去し消去前の静電潜像
と逆極性の電荷を付与した転写紙に静電転写することを
特徴とする導電性トナーの転写方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電記録
法等による静電荷像を導電性トナーで現像した可視画像
を、転写紙に静電的に転写する導電性トナーの転写方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】導電性トナーによる現像は絶縁性トナー
と異なり電界により誘起される電荷を利用して現像する
ため、絶縁性トナーに比較して以下の利点がある。 (1) 摩擦帯電による静電荷を利用しないため、湿度によ
る画像低下の影響を排除できる。 (2) 静電潜像による誘起電荷または任意の偏倚電圧によ
りトナーの電荷を選択することができるので、摩擦帯電
を利用したトナーによる現像よりも定量的な現像がで
き、ハーフトーン再現、ベタ部の再現に優れた画像が得
られる。 (3) トナーの構成成分である、樹脂、顔料、添加物など
の選択に際し、帯電極性を考慮する必要がないため、選
択の幅が広範囲になる。 (4) 均一電荷をトナーに与えることができるので、地汚
れの少ない、解像度の優れた画像が得られる。 (6) 無理のない１成分現像が可能になる。 (6) 摩擦帯電機構が不必要なため、現像器の構造が簡単
になり、小型化できる。 (7) 同一トナーで、正現像、逆現像の双方を行うことが
できる。 (8) トナーが導電性であるため、静電気的付着力がなく
清掃が容易になる。 (9) 導電性トナー層を感光体に接触させるだけで良いの
で、トナー飛散のない現像ができる。 (10)トナー流動性がよく、現像器内部での凝集やブロッ
キング、トナー補給部の詰まり等が生じにくい。

【０００３】上記のように多くの利点にもかかわらず、
導電性トナーは、絶縁性トナーを用いたプロセスで現在
広く用いられている、静電気力を利用した普通紙転写方
式、即ちコロナ放電やバイアスを印加した導電性または
誘電体ローラーにおいて、普通紙への良好な転写が困難
であるという最大の欠点のために、現在では殆ど利用さ
れていないのが現状である。

【０００４】導電性トナーが、静電気力を利用した普通
紙転写方式において、転写性が劣化する原因は以下の通
りと推定される。即ち、導電性トナーは原理的に、電界
により生じる静電誘導電荷を利用して現像、転写を行
う。このため、特に高湿下においては転写紙が吸湿する
ことによる電気抵抗値の低下、その結果注入した電荷が
紙を通じてリークしてしまい導電性トナーに有効な電界
が働かなくなり転写しなくなると考えられる。よってこ
の現象を防止するために、従来は絶縁処理を施した静電
記録紙を用いていたが、紙が厚手になってしまい、また
コスト的にも高価であった。

【０００５】そこで、普通紙を用いこれを加熱乾燥処
理、絶縁性物質塗布等により高抵抗化して静電転写する
方法が、例えば特開昭５４−４８２４９、５４−６０９
３６、５４−１５１０４０、特開平１−２７７２６６、
特公昭５８−２６０２６各号公報に開示されている。こ
れらの手段を用いることにより、導電性トナーの静電転
写に於ける転写率は実際に向上するが、絶縁性トナーと
常時同等の転写率を得るまでには至っていない。

【０００６】また、転写率を向上させる他の手段とし
て、静電潜像電荷を転写前に消去し、トナーと静電潜像
間の拘束力をなくす方法が広く用いられている。このよ
うな効果を与える具体的な方法としては、転写前に静電
潜像に露光する転写前露光、及び交流電圧を印加した交
流コロナチャージャーを照射する方法等がある。

【０００７】この転写前露光を利用した導電性トナーの
静電転写法としては、例えば特開昭５１−２６０４４号
公報に開示されているように、転写前露光すると共に転
写紙と静電荷像担持体間にバイアス電圧を印加する方法
が開示されているが、やはりこれだけでは絶縁性トナー
と常時同等の転写率を得ることはできない。導電性トナ
ーの静電転写に於いては、導電性トナーが正・負どちら
にも容易に反転する特性に注目しなければならない。こ
のような例としては、例えば特開昭５１−１１３１号公
報に開示されているように、導電性トナーで現像した静
電潜像に一様帯電を施し、その後転写紙を積層し転写紙
背面から前記帯電極性と同極性電圧を印加する方法があ
るがやはり十分な転写率が得られない。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、導電性トナ
ーを用いた可視画像を普通紙に静電転写する際の転写率
を向上させる、導電性トナーの転写方法に関する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、静電荷像担持
体上に形成された静電潜像を、体積固有抵抗約１×１０
¹⁰Ωcm以下の導電性トナーで可視画像とした後、静電潜
像電荷を消去し消去前の静電潜像と逆極性の電荷を付与
した転写紙に静電転写することを特徴とする導電性トナ
ーの転写方法を提供する。本発明をより具体的に説明す
る。

【００１０】まず、Ｓｅ系、ａ−シリコン系等の無機感
光体、及び有機感光体等の静電荷像担持体に光を当てな
い状態でコロナ放電等を利用して帯電させることにより
均一に電荷を分布させた後、画像情報を露光して静電潜
像を形成する。その後、この静電潜像に例えば磁気力に
より導電性トナーを保持したトナー担持体を接近させる
と、静電潜像とトナー担持体または導電性トナーとの間
に発生する電界によって導電性トナーを静電潜像に選択
的に付着させる。

【００１１】本発明に用いる導電性トナーは、その体積
固有抵抗が約１×１０¹⁰Ωcm以下であることが必要であ
る。トナーの体積固有抵抗の測定方法としては、まずト
ナーを２００kg／cm² 以上の強い圧力で加圧してペレッ
トを作製し、ペレットの両端に導電性ペースト等を塗布
し電極とした後、この電極間に電圧を印加してその電流
値から算出する方法が採用される。トナーの体積固有抵
抗が約１×１０¹⁰Ωcmを超える場合は、前記の導電性ト
ナーの各種利点が損なわれるため好ましくない。

【００１２】本発明の導電性トナーの製造方法として
は、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー成分と着色
剤成分及び導電性付与成分、その他必要に応じて添加さ
れる成分を、２軸押出混練機、２本ロールミル、加圧ニ
ーダー等の混練機を用いて熱熔融混練した後、冷却固化
しジェットミル等に粉砕機を用いて微粉砕し、気流分級
機等により所望の粒度分布に調整するのが一般的であ
る。また、近年は懸濁重合法、乳化重合法等により、直
接トナー粒子を生成する方法も種々提案されており、こ
れらの方法により製造したトナーでも使用できる。上記
トナーは体積基準平均粒径が５〜１５μｍであることが
必要である。上記上限を超えると画像の荒れが顕著にな
り、また上記下限より小さいと通常の現像器ではトナー
としての流動性の悪化による補給性の悪化が顕著になる
ので好ましくない。

【００１３】熱可塑性樹脂としては、トナー用として通
常使用されるものであればよく、例えばポリスチレン
系、スチレンとアクリル酸エステルもしくはメタクリル
酸エステル、アクリロニトリルあるいはマレイン酸エス
テルとのスチレンを含む共重合体系、ポリアクリル酸エ
ステル系、ポリメタクリル酸エステル系、ポリエステル
系、ポリアミド系、エポキシ系、フェノール系、炭化水
素系、石油系等の樹脂を例示できる。

【００１４】着色剤としては、通常使用されている顔料
や染料が使用できる。着色剤としては例えば、カーボン
ブラック、鉄黒、亜鉛華、黄色酸化鉄、ハンザイエロ
ー、ジスアゾイエロー、キノリンイエロー、パーマネン
トイエロー、ベンガラ、リソールレッド、ウォッチャン
レッドカルシウム塩、ウォッチャンレッドマンガン塩、
ピラゾロンレッド、レーキレッドＣ、レーキレッドＤ、
ブリリアントカーミン３Ｂ、紺青、フタロシアニンブル
ー、酸化チタン等の顔料、或いは油溶性の染料を使用で
きる。

【００１５】導電性付与剤としてはカーボンブラックが
最も一般的であるが、その他導電性亜鉛華、導電性酸化
スズ等の各種導電性金属酸化物、各種帯電防止剤等が例
示される。

【００１６】また必要に応じて磁性粉を含有しても差し
支えない。磁性粉としては、各種フェライト、マグネタ
イト、ヘマタイト等公知のものが使用できる。

【００１７】静電荷像担持体上の静電潜像を現像した上
記導電性トナーを普通紙に良好に静電転写するために、
本発明では静電潜像電荷を予め転写前に消去し、消去前
の静電潜像と逆極性の電荷を付与した転写紙に静電転写
する。静電潜像電荷を消去する方法としては静電潜像を
露光する転写前露光、及び交流電圧を印加した交流コロ
ナチャージャー照射が最も一般的であるが、転写率の増
加率からは転写前露光が特に好ましい。

【００１８】以下、第１図を用いて本発明の原理を説明
する。導電性トナーにより静電潜像を現像すると、導電
性トナーは静電潜像極性の逆極性を有する粒子として付
着する。第１図（ａ）では静電潜像電荷は負、導電性ト
ナーは正に帯電している。しかし現像後のこの静電潜像
電荷は、トナー転写時には静電荷像担持体側へのトナー
拘束力となってしまうために、転写率悪化の原因とな
る。そこで第１図（ｂ）のように例えば露光によって静
電潜像電荷を消去する必要がある。このとき、露光は潜
像電荷と共にトナーの有する電荷も静電荷像担持体を通
してリークしてしまう程度に十分行う必要がある。露光
が不十分であると良好な転写率を得ることができなくな
る。露光量は現像されたトナー画像の表面電位の低下度
合いにより実験的に決定される。次に、第１図（ｃ）の
ように、消去前の静電潜像と逆極性（消去前のトナー電
荷と同極性）電荷を付与した転写紙を、トナー画像上に
積層する。上記転写のための電荷の印加は、第２図
（ａ）のように転写部位の前で行われても、第２図
（ｂ）のように転写部位で転写と同時に行われても構わ
ない。また、転写電荷付与装置としては、コロナチャー
ジャーが最も一般的であるが、導電性または誘電体ロー
ラーに電圧を印加して転写紙背後から圧接する方法であ
っても良い。

【００１９】第１図（ｃ）に於いて、トナーも静電潜像
も電荷を有していないために、静電転写方式では転写が
行われないはずであるが、実験により転写が行われるこ
とが確認できた。ここで、転写前露光後、消去前の静電
潜像と同極性（消去前のトナー電荷と逆極性）電荷を付
与しても、転写前露光の効果が得られず十分な転写率が
得られない。この原因については定かではないが、トナ
ーには転写時に静電荷像担持体を通って電荷がトナーに
注入され、その易動度が極性により異なるためと思われ
る。以上述べた通り、転写前の潜像電荷消去と静電転写
極性を特定することによって、初めて良好な転写率を得
ることが可能となった。

【００２０】なお、本発明に関する転写方法によって導
電性トナーの転写率は従来に比較しして大きく向上する
が、特に普通紙を用いた場合に非常な高湿下では転写率
が低下することがある。低湿度下に於ける場合や、転写
紙に例えばＯＨＰシートを用いた場合には問題ないが、
転写機構の前に簡単な転写紙前加熱装置を併設し、転写
紙の含水率を予め低下させることがより好ましい。転写
紙前加熱装置としては具体的には、通常定着器として使
用している熱圧ローラー、または熱プレート、フラッシ
ュ露光等が挙げられる。

【００２１】以下実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。

【００２２】製造例、導電性トナー 下記配合の導電性トナー原料を予備混合した。 ポリエステル樹脂（商品名：タフトンＮＥ３８２、花王
（株）製） ５０．０部 マグネタイト（商品名：ＭＧ−ＲＦ、三井金属工業
（株）製） ４０．０部 カーボンブラック（商品名：コンダクテックスＳＣ、コ
ロンビアンカーボン社製） １０．０部

【００２３】予備混合した原料を２軸押出混練機にて加
熱熔融混練し、ジェットミルにて粉砕、気流分級機にて
分級し、体積基準平均粒径１２μｍで５μｍ以下と２５
μｍ以上の粒子を実質的に含まないトナーを調製した。
粒度分布はコールターカウンター（ＴＡ−II型、コール
ターエレクトロニック社製）を用いて測定した。

【００２４】こうして得られたトナーの体積固有抵抗
は、８×１０⁶ Ωcmであった。なお、体積固有抵抗は以
下のように測定した。市販の赤外線吸収スペクトル測定
用錠剤成型器（成型内部断面が２０mmの円）に、予め２
３℃・５０％ＲＨの恒温恒湿槽に２４時間放置したトナ
ー約０．８ｇを入れ、油圧プレス器を用い４００kg／cm
² で加圧して、厚さ約２mm、両端面が直径２０mmの円形
である円筒形ペレットを作製した。このペレットの両方
の円形端面部の中央に、直径１０mmの主電極を銀ペース
トを塗布して密着させ一端をグランドに接地した。次
に、一端をグランドに接地したガード電極をペレット外
周部に沿って設けた。主電極に直流１００Ｖの電圧を印
加し、電流計で主電極間を流れる電流を直読し、安定し
た段階の電流値より下記式により体積固有抵抗値を算出
した。

【００２５】体積固有抵抗〔Ωcm〕＝（抵抗値〔Ω〕×
主電極面積〔cm² 〕）／ペレット厚み〔cm〕

【００２６】実施例１ 前記製造法にて製造した導電性トナーを手製の手現像実
験装置を用いて現像した。即ち、市販の酸化亜鉛感光紙
を手現像実験装置に用い、−６．５ｋＶを印加したコロ
ナチャージャーにて一様帯電した後画像を露光し負極性
の静電潜像を形成した。次にマグネットローラーに導電
性トナーを磁気力により付着させて磁気ブラシを形成し
これを感光紙に接触させることでトナーで静電潜像を現
像した。次いでトナーの転写を以下の手順で行った。こ
のトナー像を有する感光紙面を露光ランプを用いて全面
露光することによりトナーの付着した静電潜像電荷を消
去した。なお、感光紙上での光強度は光パワーメーター
（（株）アドバンテスト製、ＴＱ８２１０型）を用い、
波長５５０ｎｍで測定した。転写紙としては普通紙をロ
ーラー温度１８０℃、ニップ幅４ｍｍの熱圧ローラーを
用いて加熱乾燥した加熱紙及び未加熱のＯＨＰシートの
２種を使用した。この転写紙をトナー像に積層し、＋
６．５ｋＶを印加したコロナチャージャーによりコロナ
転写した。なお、転写率は下記式により算出した。 転写率〔％〕＝｛転写紙上の付着トナー重量〔mg〕／
（感光紙上の残留トナー重量〔mg〕＋転写紙上の付着ト
ナー重量〔mg〕｝×１００

【００２７】転写率の測定結果を以下に示した。 転写率〔％〕 光強度〔μＷ〕 露光時間〔ｓｅｃ〕 加熱紙 ＯＨＰシート ０ ０ ８．８ １８．５ ４０ １ ２０．２ ３７．３ ４００ １ ７８．８ ８４．２ ４００ １０ ９１．４ ９０．８ ４００ １００ ８９．９ ９０．３ なお、測定は２３℃、５０％ＲＨの環境下で行った。４
００μＷ、１０ｓｅｃ以上の露光で転写率向上の効果が
認められた。

【００２８】比較例１ 転写紙に実施例１と同様な加熱紙を使用し、印加電圧を
−６．５ｋＶとして実施例１と同様の実験を行ったとこ
ろ、転写率は下表のようになった。 光強度〔μＷ〕 露光時間〔ｓｅｃ〕 転写率〔％〕 ０ ０ ７４．５ ４０ １ ７７．５ ４００ １ ５８．６ ４００ １０ ５７．９ ４００ １００ ５５．６ 以上のように、露光量を増やすとともに転写率が低下し
不適であった。

【００２９】実施例２ 感光体に単層型ＯＰＣを用い、４００μＷ、１０ｓｅｃ
の転写前露光を行い、転写紙に実施例１と同様な加熱紙
を使用し、印加電圧を−６．５ｋＶとして転写実験を行
ったところ、転写率は９１．４％となり転写率向上の効
果が認められた。

【００３０】比較例２ 感光体に単層型ＯＰＣを用い、４００μＷ、１０ｓｅｃ
の転写前露光を行い、転写紙に実施例１と同様な加熱紙
を使用し、印加電圧を＋６．５ｋＶとして転写実験を行
ったところ、転写率は５０．６％となり十分な転写率が
得られなかった。

【００３１】

【発明の効果】本発明に依って、従来静電転写が困難で
あった導電性トナーによる可視画像を良好に普通紙に静
電転写することが可能になった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による導電性トナーの転写方法を説明す
る断面図

【図２】本発明による導電性トナーの転写方法の他の例
を説明する断面図

【符号の説明】

１ 感光体 ２ 静電潜像電荷 ３ 導電性トナー ４ 露光ランプ ５ 転写紙 ６ 転写電荷 ７ コロナチャージャー ８ 直流電源

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 静電荷像担持体上に形成された静電潜像
   を、体積固有抵抗約１×１０¹⁰Ωcm以下の導電性トナー
   で可視画像とした後、静電潜像電荷を消去し消去前の静
   電潜像と逆極性の電荷を付与した転写紙に静電転写する
   ことを特徴とする導電性トナーの転写方法。