JPH0560562U - グラビアロール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】グラビアロールの画線部の溝の形状を改善する
ことにより塗料の転写量の向上及びその塗布層の厚さの
バラツキを少なくする。 【構成】ロール本体の回転方向の溝の断面形状を外方に
漸次拡開する凹部に形成するとともに、この凹部はロー
ル本体の軸線に垂直な後面部と、この後面部より回転方
向前方に傾斜した傾斜面部を有する。 【効果】後面部により後続の溝への塗料の乗り越えを防
止して転写パターンの乱れをなくし、塗布層の厚さのバ
ラツキを小さくするとともに、傾斜面部により塗料の転
写のための移動をスムーズにして転写効率を向上し、塗
布層の厚さのバラツキを少なくする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、画線部の溝の形状を改善し、塗料の転写量を向上し、その塗布層の 厚さのバラツキを少なくしたグラビアロールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

グラビアロールを使用したコータは、磁気記録媒体や印刷物を作成するときに よく用いられている。 磁気記録媒体としては、磁気テープ、磁気ディスク等がビデオ分野、オーディ オ分野、コンピュータ分野等で広く使用されているが、このような磁気記録媒体 を製造するには、磁性粉末、結合剤、溶剤、分散剤その他の添加剤からなる磁性 塗料をポリエステルフィルム（ＰＥＴフィルム）等の非磁性支持体上にグラビア ロールを使用して塗布し、次いでその未乾燥状態でソレノイド中を通過させて配 向処理を施し、ついで乾燥させ、巻き取ることにより磁性層を形成することも良 く行われている。 磁性塗料の塗布工程は、図５に示すように、例えば図６に示すグラビアロール １に対してバックアップロール２を設け、両者の間にＰＥＴフィルム等のフィル ム３を通し、回転させたグラビアロール１に磁性塗料を塗料供給装置４から供給 して付着させ、その余分な部分をドクターブレード５によりかきとり、上記バッ クアップロール２によりフィルム３をグラビアロール１の表面に押し付けて磁性 塗料をフィルム３に転移させる。なお、６はかき落とした塗料の受け容器である 。

【０００３】 図６に示したものは斜線型グラビアロールであるが、これは両側端面に軸１ａ 、１ａを有するロール本体１ｂの外周面にその斜め方向に沿って多数の画線部の 溝を形成してこれらの溝を縦横に配置したロールであり、図７に示すように、そ の個々の溝７、７・・・の形状は、ロール本体８の回転方向の断面が外方に拡開 する凹部に形成され、かつ左右対称な台形（あるいは図示省略したが二等辺三角 形）に形成されている。２ａはバックアップロール本体、３はフィルムである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このような溝の場合、○１ ロール本体の回転方向前方の斜面部９が急勾配で あるため、図５においてフィルム３がグラビアロール１から離れる際に、磁性塗 料がフィルム３に急激に移動することにより転写されるため、転写効率が満足で きるものではなく、より深度の大きい溝のグラビアロールを必要としていた。深 度のある溝のグラビアロールは転写量のコントロールが難しく、塗布層の厚さに バラツキを生じ易い。 また、○２ ロール本体の回転方向後方の後面部９’も斜面であるため、この ロール本体にＰＥＴフィルムを介してバックアップロールで押しつけるときに塗 料が後続の溝方向に乗り越えて移動し易くなり、その結果転写パターンに乱れが 発生し易くなり、塗布層の厚さにバラツキが生じ易くなる。 なお、上記は溝の形状が左右対称な台形の場合であったが、この溝の形状が二 等辺三角形に形成されている場合も同様である。

【０００５】 本考案の目的は、グラビアロールの溝の形状を改善することにより塗料の転写 効率を向上するとともに、その塗布層の厚さのバラツキを少なくすることにある 。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記課題を解決するために、ロール本体の外周面にその縦横に多数 の画線部の溝を有するグラビアロールにおいて、上記の溝の上記ロール本体の回 転方向の断面形状を外方に漸次拡開する凹部に形成するとともに、この凹部は上 記ロール本体の回転方向後方にこのロール本体の軸線に垂直又はその近傍角度の 後面部を有し、かつ上記ロール本体の回転方向前方にこの後面部より回転方向前 方に傾斜した傾斜面部を有するグラビアロールを提供するものである。

【０００７】

【作用】 画線部の溝のロール本体の回転方向の断面形状が外方に漸次拡開する凹部であ り、この凹部のロール本体の回転方向後方の後面部はロール本体の軸線に垂直又 はその近傍角度であるので、溝の中の塗料がＰＥＴフィルム等を介してバックア ップロールにより押し付けられる際、グラビアロールの溝内の塗料はその溝の後 面部により後続の溝に流出することを阻止されるとともに、ロール本体の回転方 向前方の傾斜面部が後面部より前方に傾斜しているので、塗料の移動を前方にス ムーズに行なうことができ、その転写を確実にすることができる。

【０００８】

【実施例】

次に本考案の実施例を図１ないし図４に基づいて説明する。 実施例１ 図１中、１１は外周面にその縦横に多数の画線部の溝を有するロール本体の一 部であり、１２、１２・・はロール本体の回転方向の断面形状が平面部１３、１ ３・・を介して設けられた不等辺台形状の画線部の溝である。これらのそれぞれ の溝１２は、上記ロール本体の回転方向の断面形状が外方に漸次拡開する凹部に 形成されているとともに、この凹部は上記ロール本体の回転方向後方にこのロー ル本体の軸線に垂直な後面部１４を有し、かつ上記ロール本体の回転方向前方に この後面部より前方に傾斜した傾斜面部１５を有する。 このようなロール本体１１を有するグラビアロールを図５の装置に用いると、 バックアップロール２によりフィルム３を介して押し付けられたときに後面部１ ４により溝１２の中の塗料が後続の溝１２に乗り越えて移動することを妨げられ るとともに、傾斜面部１５により塗料はその移動がスムーズになりその転写が良 く行われる。 実際にＰＥＴフィルムに下記磁性塗料を塗布し、図示省略したソレノイド等か らなる配向装置の中に通してからドライヤーの中を通し、１００℃、３０秒乾燥 し、ＰＥＴフィルム上に磁性層を形成した場合の塗布層の幅方向の厚さのバラツ キ及び後述の比較例１に比べた転写量の向上％を調べた結果を表１に示す。

【０００９】 鉄合金粉末 １００重量部 塩化ビニル系樹脂 ８重量部 ウレタン系樹脂 １２重量部 ポリイソシアネート ６重量部 ミリスチン酸 ３重量部 ｎ−ブチルステアレート １重量部 トルエン １３０重量部 メチルエチルケトン １３０重量部 研磨剤（粒状α−アルミナ） １２重量部 なお、塗布条件は以下の通りである。 塗布層の厚さ：３．０μｍ（乾燥膜厚） ＰＥＴフィルムの厚さ：１０μｍ

【００１０】 実施例２ 図２中、１６は実施例１において平面部１３、１３・・を設けなかった以外は 同様にして溝１７、１７・・を形成したロール本体の一部である。 この場合も実施例１と同様に後面部１４により塗料の後続溝への乗り越えを防 止できるとともに、傾斜面部１８により塗料の転写のための移動をスムーズにで きる。 実施例１と同様に試験した結果を表１に示す。

【００１１】 実施例３ 図３中、１９は実施例１において傾斜面部１５を後面部１４に直接連続して設 けて新たな傾斜面部２０とした直角三角形状にした以外は同様にして溝２１、２ １・・を形成したロール本体の一部である。 この場合も実施例１と同様に後面部１４により塗料の後続溝への乗り越えを防 止できるとともに、傾斜面部２０により塗料の転写のための移動をスムーズにで きる。 実施例１と同様に試験した結果を表１に示す。

【００１２】 実施例４ 図４中、２２は実施例３において平面部１３、１３・・を設けず、新たな傾斜 面部２３、２３・・を設けた以外は同様にして溝２４、２４・・を形成したロー ル本体の一部である。 この場合も実施例３と同様に後面部１４により塗料の後続溝への乗り越えを防 止できるとともに、傾斜面部２３により塗料の転写のための移動をスムーズにで きる。 実施例１と同様に試験した結果を表１に示す。

【００１３】 比較例１ 図７に示す溝を有するグラビアロールを用いて磁性塗料をＰＥＴフィルムに塗 布したところ転写率は４０〜５０％であった。また、その塗布層の幅方向におけ る厚さのバラツキは０．２〜０．３μｍであった。

【００１４】

【考案の効果】

本考案によれば、ロール本体の軸線に垂直又はその近傍角度の後面部と、この 後面部より回転方向前方に傾斜した傾斜面部を有し、外方に漸次拡開する溝を形 成したグラビアロールを設けたので、塗料を転写するための移動をスムーズにで きることによりその転写量を向上し、従来のように深度の大きい溝を用いる必要 がないので塗布層の厚さのバラツキを小さくできる。また、溝内の塗料の後続溝 への乗り越えを防止することができることにより、転写パターンの乱れをなくし 、塗布層の厚さのバラツキを小さくできる。

【表１】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例のグラビアロールのその
回転方向の断面図の一部である。

【図２】本発明の第２の実施例のグラビアロールのその
回転方向の断面図の一部である。

【図３】本発明の第３の実施例のグラビアロールのその
回転方向の断面図の一部である。

【図４】本発明の第４の実施例のグラビアロールのその
回転方向の断面図の一部である。

【図５】グラビアロールを用いた塗布装置の概略説明図
である。

【図６】斜線型グラビアロールの正面図である。

【図７】従来のグラビアロールの使用状態を示すその回
転方向の断面図の一部である。

【符号の説明】

１１、１６、１９、２２ ロール本体の一部 １２、１７、２１、２４ 溝 １４ 後面部 １５、１８、２０、２３ 傾斜面部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロール本体の外周面にその縦横に多数の
   画線部の溝を有するグラビアロールにおいて、上記の溝
   の上記ロール本体の回転方向の断面形状を外方に漸次拡
   開する凹部に形成するとともに、この凹部は上記ロール
   本体の回転方向後方にこのロール本体の軸線に垂直又は
   その近傍角度の後面部を有し、かつ上記ロール本体の回
   転方向前方にこの後面部より回転方向前方に傾斜した傾
   斜面部を有するグラビアロール。