JPH0560206A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

Info

Publication number
JPH0560206A
JPH0560206A JP3217445A JP21744591A JPH0560206A JP H0560206 A JPH0560206 A JP H0560206A JP 3217445 A JP3217445 A JP 3217445A JP 21744591 A JP21744591 A JP 21744591A JP H0560206 A JPH0560206 A JP H0560206A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydraulic
line pressure
pressure
valve
speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3217445A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Yoshimura
洋 吉村
Toshihisa Marusue
敏久 丸末
Kazuo Kijinami
和雄 来住南
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP3217445A priority Critical patent/JPH0560206A/ja
Publication of JPH0560206A publication Critical patent/JPH0560206A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の摩擦締結要素のうちの少なくとも1つ
を締結させる締結部材にドリフトオンボールを備えた自
動変速機において、変速時におけるドリフトオンボール
の作動圧を確保するとともに、変速時にエンジン負荷が
低下しても変速ショックが生じないようにする。 【構成】 ドリフトオンボールを備えた油圧ピストンに
より3−4クラッチが締結される2速から3速への変速
時にドリフトオンボールの閉弁圧に対応してライン圧の
下限値を設定するとともに、このライン圧下限値を、エ
ンジン負荷が所定値α以上では、変速初期のタービン回
転数NTOに基づいて設定し、所定値α未満では、変速中
のタービン回転数NT の変化に追従してライン圧下限値
を低下させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動変速機の油圧制御
装置に関し、特に複数の摩擦締結要素のうちの少なくと
も1つを締結させる締結部材にドリフトオンボールを備
えた自動変速機の油圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に自動車の自動変速機は、トルクコ
ンバータと、遊星歯車機構等を用いた多段変速機構とを
備え、この多段変速機構における動力伝達経路を切替え
るための各種クラッチ、ブレーキ等の複数の摩擦締結要
素が設けられ、これら摩擦締結要素が油圧制御機構によ
り作動されるようになっている。そして油圧制御機構に
組込まれたソレノイドバルブ等がコントロールユニット
によって制御されることにより、上記摩擦締結要素が締
結または開放されるようになっている。
【0003】すなわち、上記油圧制御機構には、オイル
ポンプの吐出圧を所定のライン圧に調整するプレッシャ
レギュレータバルブ、手動操作によってレンジを切替え
るマニュアルバルブ、運転状態に応じて作動して上記各
アクチュエータに通じる油路を切替えることにより複数
の摩擦締結要素を選択的に締結させるシフトバルブ等が
設けられる。また、上記プレッシャレギュレータバルブ
によるライン圧の調整値をエンジンのスロットル開度等
の運転状態に応じて変化させるデューティソレノイドバ
ルブや、変速時に上記シフトバルブを作動させるソレノ
イドバルブ等を備え、これらをコントロールユニットに
よって電気的に制御することにより、変速制御の精度を
向上させることが行なわれている。
【0004】ところで、変速時におけるライン圧が高過
ぎると、摩擦締結要素が急激に締結されて変速ショック
を生じ、またライン圧が低過ぎると、変速時間が長くな
って、摩擦締結要素が異常に磨耗したり発熱したりする
ことになる。
【0005】このため、変速時に摩擦締結要素の締結力
が緩やかに変化するように、摩擦締結要素へ供給される
ライン圧をコントロールするとともに、変速時間(シフ
ト時間)の目標値を予め設定し、この目標値と実際の変
速時間との差に応じて上記ライン圧をフィードバック制
御することにより、実際の変速時間が上記目標値に近づ
くように調整している。
【0006】また、一般の電子制御式自動変速機では、
スロットル開度とタービン回転数(または車速)をパラ
メータとした変速パターンを示すものとして、1速から
2速、2速から3速、3速から4速への変速位置をそれ
ぞれ示すシフトラインを書込んだシフトアップマップ
と、2速から1速へ、3速から2速へ、4速から3速へ
の変速位置をそれぞれ示すシフトラインを書込んだシフ
トダウンマップとをそのコントロールユニット内のメモ
リに記憶しており、これらマップの検索に基づいて変速
を行なっている。
【0007】一方、この種の自動変速機においては、所
定の変速段で締結される摩擦締結要素として回転式の油
圧クラッチが用いられるが、このような油圧クラッチに
は、回転に伴って作動油に働く遠心力に起因して発生す
る解放不良を防止するために、締結部材としての油圧ピ
ストンにドリフトオンボールと呼ばれる一種の排圧弁が
装備される場合がある(特開昭59-140925 号公報参
照)。
【0008】前記ドリフトオンボールは、上記油圧ピス
トンに対しクラッチ締結方向に油圧が作用したときに閉
弁して、作動油の圧力上昇を確保するとともに、油圧の
解放状態において遠心力によって開弁方向に移動するこ
とにより、油圧の低下を促進してクラッチ解放機能を向
上させるという機能を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
ようなドリフトオンボールを備えた油圧ピストンによっ
て締結される油圧クラッチを備えた自動変速機において
は、変速時に以下に述べるような問題を発生する可能性
がある。
【0010】すなわち、ドリフトオンボールを備えた油
圧ピストンによって油圧クラッチが締結される変速時
に、当該油圧ピストンに供給されるライン圧がドリフト
オンボールの閉弁圧を下回ると、ドリフトオンボールの
開弁状態が継続することにより、油圧ピストンをクラッ
チ締結方向に移動させる油圧が漏洩してクラッチ締結性
能が悪化するという問題がある。
【0011】特に、この種の自動変速機を搭載した車両
が高地を走行するときの大気圧の低下によってライン圧
が相対的に高くなることに起因する変速ショックを緩和
するために、大気圧の低下に応じてライン圧を低下させ
るいわゆる高地補正を行なった場合、ライン圧がドリフ
トオンボールの閉弁圧を下回る機会が多くなるおそれが
ある。
【0012】そこで本発明は、複数の摩擦締結要素のう
ちの少なくとも1つを締結させる締結部材にドリフトオ
ンボールを備えた自動変速機において、変速時における
ドリフトオンボールの作動圧の確保と変速ショックの防
止との両立を図った油圧制御装置を提供することを目的
とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による自動変速機
の油圧制御装置は、複数の摩擦締結要素に対する油圧制
御回路のライン圧を変更しうるライン圧可変手段と、こ
のライン圧可変手段を制御する制御手段を備え、かつ前
記複数の摩擦締結要素のうちの少なくとも1つを締結さ
せる締結部材に上記のようなドリフトオンボールを備え
ている自動変速機において、前記ドリフトオンボールを
備えた締結部材により前記摩擦締結要素が締結される変
速時に前記ドリフトオンボールの閉弁圧に対応してライ
ン圧の下限値を設定するライン圧下限値設定手段を備え
ている。そしてこのライン圧下限値設定手段は、エンジ
ン負荷が所定値以上では、変速初期入力回転数に基づい
て前記ライン圧下限値を設定し、エンジン負荷が前記所
定値未満では、前記変速初期入力回転数に基づく値より
も低くなるように前記ライン圧下限値を設定することを
特徴とするものである。
【0014】また、本発明では、エンジン負荷が前記所
定値未満のとき、前記ライン圧下限値設定手段は、前記
ライン圧下限値を、変速中のタービン回転数の変化に追
従して低下するように設定している。
【0015】
【作用および効果】本発明によれば、ドリフトオンボー
ルを備えた摩擦締結要素が締結される変速時には、ドリ
フトオンボールの閉弁圧を下回らないようにライン圧の
下限値を設定しているので、ドリフトオンボールが確実
に閉弁されることになり、当該摩擦締結要素の締結不良
が防止されて良好な信頼性が得られるとともに、変速シ
ョックも適度に抑えられることになる。
【0016】さらに本発明では、ライン圧の下限値の設
定に際して、エンジン負荷(例えばスロットル開度)が
所定値以上では、回転数の高い変速初期入力回転数に基
づいてライン圧の下限値を設定することによって、ドリ
フトオンボールの確実な閉弁動作を確保している。一
方、エンジン負荷が低い場合には、入力回転数(タービ
ン回転数)も低く、かつ回転変化も小さくて、ドリフト
オンボールの閉弁に対する条件が有利であることに鑑み
て、エンジン負荷が所定値未満では、変速初期入力回転
数に基づく値よりも低くなるように設定することによ
り、例えば変速中のタービン回転数の変化に追従して低
下するようにライン圧下限値を設定することにより、ラ
イン圧が必要以上に高くなるのを阻止し、これによって
変速ショックを防止している。
【0017】特に、スロットル開度を急激に小さくした
とき、タービン回転数はほとんど低下しないためにシフ
トアップマップ上のシフトラインを上方から下方によぎ
ることによって生じる変速、いわゆるバックアウト変速
時には、ライン圧下限値を変速初期タービン回転数に基
づいて設定した場合、ライン圧が高過ぎて変速ショック
を生じやすいが、本発明では、ライン圧下限値を、変速
初期タービン回転数に基づく値よりも低下させているの
で、変速ショックの発生を効果的に防止できるのであ
る。
【0018】
【実施例】以下、本発明による自動変速機の油圧制御装
置の実施例について図面に基づいて説明する。
【0019】図1に示すように、自動変速機ATには、
エンジン出力軸1のトルクを変速してタービンシャフト
2に伝達するトルクコンバータ3と、タービンシャフト
2のトルクをさらに変速しまた後進段が選択されている
ときには回転を逆転させて、出力ギヤ4から駆動輪側に
出力する変速歯車機構5とが設けられている。タービン
シャフト2はパイプ状に形成され、その中空部には、エ
ンジン出力軸1に連結されたポンプシャフト6が配設さ
れ、このポンプシャフト6によって、変速歯車機構5の
後方(図1の左側)に配置されたオイルポンプ7が回転
駆動されるようになっている。
【0020】トルクコンバータ3は、連結部材8を介し
てエンジン出力軸1に連結されたポンプ9と、タービン
シャフト2に連結され、ポンプ9から吐出される作動油
によって回転駆動されるタービン10と、タービン10から
ポンプ9に還流される作動油をポンプ9の回転を促進す
る方向に整流するステータ11とによって構成され、ポン
プ9とタービン10との回転数差に応じた変速比で、エン
ジン出力軸1のトルクを変速するようになっている。ス
テータ11は、ステータ用ワンウェイクラッチ12を介して
変速機ケース13に固定されている。なお、14はエンジン
出力軸1とタービンシャフト2とをトルクコンバータ3
を介さずに直結するためのロックアップクラッチであ
る。
【0021】変速歯車機構5は、それ自体は公知のラビ
ニヨ型の遊星歯車装置であって、この変速歯車機構5に
は、タービンシャフト2に遊嵌された比較的小径のスモ
ールサンギヤ15と、このスモールサンギヤ15の後方でタ
ービンシャフト2に遊嵌された比較的大径のラージサン
ギヤ16と、スモールサンギヤ15と噛み合う複数のショー
トピニオンギヤ17と、前部(図1の右側)がショートピ
ニオンギヤ17と噛み合い、後部がラージサンギヤ16と噛
み合うロングピニオンギヤ18と、さらにこのロングピニ
オンギヤ18と噛み合うリングギヤ19と、ショートピニオ
ンギヤ17とロングピニオンギヤ18とを回転自在に支持す
るキャリア20とが設けられている。
【0022】このように構成された変速歯車機構5で
は、変速段に応じてスモールサンギヤ15、ラージサンギ
ヤ16またはキャリア20がトルク入力部となる一方、どの
変速段でもリングギヤ19が出力部となる。従って、出力
ギヤ4はリングギヤ19に連結されている。
【0023】そして、変速歯車機構5内でのトルク伝達
路を切替えるために、複数のクラッチおよびブレーキが
設けられている。
【0024】すなわち、タービンシャフト2とスモール
サンギヤ15との間には、フォワードクラッチ21と第1ワ
ンウェイクラッチ22とが直列に介設されるとともに、両
クラッチ21,22に対して並列にコーストクラッチ23が設
けられている。そして、タービンシャフト2とキャリア
20との間には、3−4クラッチ24が介設され、タービン
シャフト2とラージサンギヤ16との間にはリバースクラ
ッチ25が介設されている。また、ラージサンギヤ16とリ
バースクラッチ25との間には、所定の変速段でラージサ
ンギヤ16を固定するためのバンドブレーキからなる2−
4ブレーキ26が設けられている。さらに、キャリア20と
変速機ケース13′との間には、所定の変速段でキャリア
20を固定するためのローリバースブレーキ27と、キャリ
ア20の反力を受止めるための第2ワンウェイクラッチ28
とが並列に介設されている。
【0025】この変速歯車機構5は、それ自体で前進4
段、後進1段の変速段を有し、摩擦締結要素であるクラ
ッチ21,23,24,25およびブレーキ26,27を適宜作動さ
せることによって所要の変速段を得ることができる。こ
こで、各変速段とクラッチ、ブレーキの作動関係を表1
に示す。
【0026】
【表1】
【0027】本実施例における複数の摩擦締結要素のう
ちの1つである3−4クラッチ24は、以下に述べるよう
な構成を有する。
【0028】すなわち、この3−4クラッチ24は、図2
に示すように、胴部110aの内周面にスプライン110bが形
成されたクラッチドラム110 と、外周面にスプライン11
1aが形成されたクラッチハブ111 と、このクラッチハブ
111 およびクラッチドラム110 のスプライン111a,110b
に交互に係合された複数の摩擦板112 ,113 と、クラッ
チドラム110 内における摩擦板112 ,113 の一側に配置
されて油圧作用時に摩擦板112 ,113 を締結させる油圧
ピストン114 と、クラッチドラム110 の胴部110aの内筒
部分に固設された環状のスプリングリテーナ115 と、こ
のスプリングリテーナ115 と油圧ピストン114との間に
配置されてピストン114 を反締結方向に付勢する複数の
リターンスプリング116 とを備えている。なお、リター
ンスプリング116 は、クラッチ軸線のまわりに同心状に
配置されている。
【0029】上記クラッチドラム110 の胴部110aにはボ
ス部110cが連接されており、このボス部110cがトルクコ
ンバータ3のタービンシャフト2にスプライン接合され
ているとともに、クラッチハブ111 が変速歯車機構5の
キャリア20に結合されている。
【0030】一方、油圧ピストン114 の外周部分の複数
箇所には、油圧ピストン114 の背部に形成される油圧室
117 と摩擦板112,113 側の室との間を連通する排圧通
路118 がクラッチ軸線方向に沿って形成されている。こ
の排圧通路118 の中間部分にはテーパー状の弁座面118a
が設けられているとともに、この弁座面118aに着座可能
なドリフトオンボール119 が排圧通路118 内に配設さ
れ、上記ドリフトオンボール119 によって排圧通路118
の開閉が行なわれるように構成されている。
【0031】以上のような構造を有する3−4クラッチ
24において、油圧ピストン114 の背部の油圧室117 にラ
イン圧を供給することにより、その圧力によって、油圧
ピストン114 がリターンスプリング116 の付勢力に抗し
て移動して摩擦板112 ,113を互いに締結させる。これ
により、タービンシャフト2を介してクラッチドラム11
0 に伝達された回転力が、クラッチハブ111 に結合され
たキャリア20に伝達されることになる。
【0032】そして、油圧室117 内の作動油を排出する
ことにより、油圧ピストン114 がリターンスプリング11
6 の付勢力で押し戻され、これにより摩擦板112 ,113
の締結状態が解放されて、キャリア20への動力伝達状態
が遮断される。
【0033】一方、この自動変速機ATは、図3に示す
ように、上記各摩擦締結要素21,23,24,25,26,27を
表1に従って選択的に作動させて、運転状態に応じた変
速段を形成するための油圧制御機構FSを備えている。
この油圧制御機構FSには、各摩擦締結要素に通じる締
結圧供給回路を切替える変速用の第1〜第3ソレノイド
バルブ83,85,87と、ロックアップクラッチ14の制御用
のソレノイドバルブ93,94と、ライン圧を制御するため
のデューティソレノイドバルブ57とが設けられている。
【0034】そして、これらソレノイドバルブを制御す
るコントロールユニット32に、トルクコンバータ3のタ
ービン回転数NT を検出するタービン回転数センサ121
からの信号と、エンジンのスロットル開度TVOを検出
するスロットル開度センサ122 からの信号と、作動油の
油温を検出する油温センサ123 からの信号と、大気圧を
検出する大気圧センサ124 からの信号とが入力され、コ
ントロールユニット32は、上記センサ121 ,122 の出力
信号が示すタービン回転数NT とスロットル開度TVO
とに基づいて変速制御とロックアップ制御とを行ない、
また、各センサ121 〜124 の出力に応じて変速中および
非変速中のライン圧制御を行なうようになっている。
【0035】次に、上記各摩擦締結要素のアクチュエー
タに対して油圧を給排する油圧制御機構FSについて、
図4〜図8に基づいて説明する。
【0036】この油圧制御機構FSは、ライン圧制御機
構Lと、所定の部材に油圧を供給しまたはこれを排出す
る多数の油圧通路からなる油圧通路網Mと、セレクトレ
バー(図示せず)のセレクト操作に対応してシフトされ
てライン圧の供給経路を切替えるマニュアルバルブ31
と、このマニュアルバルブ31のシフト位置と車両の運転
状態(例えばタービン回転数とスロットル開度)とに応
じて、コントロールユニット32によってシフトされる3
個のシフトバルブ33〜35と、所定の摩擦締結要素への油
圧の供給ないし排出を緩衝させるための4個のアキュム
レータ36〜39と、所定の摩擦締結要素への油圧の供給ま
たは排出のタイミングを調整する3個のタイミングバル
ブ41〜43およびバイパスバルブ44と、トルクコンバータ
3およびロックアップクラッチ14への油圧の供給を制御
するロックアップ制御機構Uと、油圧通路網Mの所定の
部分の流動抵抗を調節するための多数のオリフィスおよ
ワンウェイバルブ等で構成されている。
【0037】各摩擦締結要素にかかる油圧は、セレクト
されたレンジ(P,R,N,D,2,1レンジ)と車両
の運転状態とに応じて、油圧制御機構FSによって制御
され、変速歯車機構5の変速段の切替えが行なわれるよ
うになっている。ここで、2−4ブレーキ26は、アプラ
イポート26a とリリースポート26b とを備えたサーボピ
ストンタイプのバンドブレーキであって、アプライポー
ト26a のみに油圧がかけられているときにオン(ブレー
キ作動)され、両ポート26a ,26b ともに油圧がかけら
れているときまたはともに油圧が排出されているときに
はオフ(ブレーキ解放)される。その他の摩擦締結要素
は、すべて油圧がかけられたときにオンされ、油圧が排
出されたときにオフされる。
【0038】ライン圧制御機構Lは、基本的には、プレ
ッシャレギュレータバルブ50によって、パイロット圧に
ほぼ比例する油圧をライン圧供給通路51内に形成するよ
うになっている。そして、このライン圧供給通路51内の
ライン圧がマニュアルバルブ31等に供給されるようにな
っている。なお、ライン圧供給通路51内の作動油は、プ
レッシャレギュレータバルブ50から、リリーフバルブ52
を備えたトルクコンバータ油路53を通じて、トルクコン
バータ3にも供給されるようになっている。
【0039】プレッシャレギュレータバルブ50に供給さ
れるパイロット圧は、減圧弁54と、モジュレータバルブ
55と、ライン圧制御用アキュムレータ56と、コントロー
ルユニット32によってデューティ制御されるライン圧制
御用ソレノイドバルブ57とによって形成されるようにな
っている。
【0040】具体的には、ライン圧供給通路51内のライ
ン圧が、減圧弁54によって減圧された後、減圧油路58を
介してモジュレータバルブ55の入力ポート55a に入力さ
れる。また、減圧油路58内の油圧は、デューティ圧通路
59を介してモジュレータバルブ55のコントロールポート
55b にも導入される。ここで、コントロールポート55b
にかかる油圧は、コントロールユニット32から出力され
るデューティ比に応じて開閉されるライン圧制御用デュ
ーティソレノイドバルブ57によって制御される。
【0041】そして、コントロールポート55b にかかる
油圧に対応する油圧が、パイロット圧としてモジュレー
タバルブ55からパロット圧通路61に出力される。ここ
で、パイロット圧通路61内の油圧脈動は、ライン圧制御
用アキュムレータ56によって吸収される。このようにし
て形成されたパイロット圧が、プレッシャレギュレータ
バルブ50に供給され、このパイロット圧に比例するライ
ン圧がライン圧供給通路51に形成される。なお、パイロ
ット圧通路61内のパイロット圧は、後述するカットバッ
クバルブ62にも供給されるようになっている。
【0042】マニュアルバルブ31は、セレクトレバー
(図示せず)のセレクト動作と連動してシフトされ、セ
レクトされたレンジに応じて、ライン圧供給通路51を所
定の油圧供給通路と連通させるようになっている。
【0043】具体的には、ライン圧供給通路51を、Dレ
ンジおよび2レンジでは第1,第2メイン油圧供給通路
63,64と連通させ、1レンジでは第1,第3メイン油圧
供給通路63,65と連通させ、Rレンジではリバースレン
ジ用油圧供給通路66と連通させ、PレンジおよびNレン
ジでは油圧供給通路63〜66の何れとも連通させないよう
になっている。
【0044】ここで、第1メイン油圧供給通路63は、1
−2シフトバルブ用油圧通路63a とフォワードクラッチ
用油圧通路63b とに分岐し、1−2シフトバルブ用油圧
通路63a は1−2シフトバルブ33の第1入力ポート33a
に接続され、フォワードクラッチ用油圧通路63b はさら
に分岐して、3−4シフトバルブ35の第1入力ポート35
a とフォワードクラッチ21とに接続されている。第2メ
イン油圧供給通路64は、2−3シフトバルブ34の第1入
力ポート34a に接続されている。第3メイン油圧供給通
路65は、ローレデューシングバルブ67(減圧弁)とボー
ルバルブ68とを介して、後述する第2分岐油圧通路66b
に集合された後、1−2シフトバルブ33の第2入力ポー
ト33b に接続されている。リバースレンジ用油圧供給通
路66は、第1分岐油圧供給通路66a と、1−2シフトバ
ルブ用通路66bとに分岐し、第1分岐油圧供給通路66a
はリバースクラッチ25に接続され,1−2シフトバルブ
用通路66b はボールバルブ68を介して1−2シフトバル
ブ33の第2入力ポート33bに接続されている。
【0045】各シフトバルブ33〜35は、それぞれ基本的
にはコントロールユニット32によって制御され、入力ポ
ートから入力される油圧を、セレクトされたレンジと変
速段とに応じて、所定の出力ポートから出力して所定の
摩擦締結要素に供給し、あるいはそこから排出するよう
になっている。
【0046】具体的には、1−2シフトバルブ33には、
前記した第1,第2入力ポート33a,33b と、第1,第
2出力ポート33c ,33d とが設けられ、第1出力ポート
33cはアプライポート用油圧通路71を介して2−4ブレ
ーキ26のアプライポート26aに接続され、第2出力ポー
ト33d はローリバースブレーキ用油圧通路72を介してロ
ーリバースブレーキ27に接続されている。
【0047】2−3シフトバルブ34には、第1入力ポー
ト34a と、第2入力ポート34b と、第1,第2出力ポー
ト34c ,34d とが設けられ、第2入力ポート34b は第1
接続通路73を介して3−4シフトバルブ35の第1出力ポ
ート35c に接続され、第1出力ポート34c は3−4クラ
ッチ用油圧通路74を介して3−4クラッチ24に接続さ
れ、第2出力ポート34d は第2接続通路75とボールバル
ブ76と後述するコーストクラッチ用油圧通路77とを介し
てコーストクラッチ23に接続されている。なお、リリー
スポート用油圧通路81とコーストクラッチ用油圧通路77
とは、第2出力ポート35d 近傍では1本に集合されてい
る。
【0048】各シフトバルブ33,34,35は、それぞれ、
バルブスプール33v ,34v ,35v の位置を、オン位置ま
たはオフ位置に切替えることによって、シフトバルブ内
での油圧伝達経路を切替えられるようになっている。こ
こで、オン位置とは、図4,図5,図6において右寄り
の位置であり、オフ位置とは左寄りの位置である。な
お、図4,図5において、各バルブスプール33v ,34v
,35v の中心線より上側の部分はオン位置をとった状
態を示し、中心線より下側の部分はオフ位置をとった状
態を示している。そして、各バルブスプール33v ,34v
,35v は、各シフトバルブ33,34,35の右側端部に設
けられたコントロール油室33s ,34s ,35s に油圧(パ
イロット圧)がかけられたときにはオフ位置をとり、こ
のパイロット圧が排出されたときにはオン位置をとるよ
うになっている。
【0049】1−2シフトバルブ33のコントロール油室
33s には、ライン圧供給通路51から分岐する第1コント
ロール用油圧通路82が接続され、この第1コントロール
用油圧通路82には、コントロールユニット32によってオ
ン・オフされる第1ソレノイドバルブ83が介設されてい
る。そしてこの第1ソレノイドバルブ83がオンされたと
きには、第1コントロール用油圧通路82内のパイロット
圧が排出され、これに伴ってコントロール油室33s 内の
パイロット圧が排出され、バルブスプール33vがオン位
置をとる。このとき、第1出力ポート33c は第1入力ポ
ート33a と連通し、第2出力ポート33d は、ドレンボー
ト(×印が付されている)と連通して開放される。一
方、第1ソレノイドバルブ83がオフされたときには、コ
ントロール油室33s にパイロット圧がかけられ、バルブ
スプール33v はオフ位置をとる。このとき、第1出力ポ
ート33c は開放され、第2出力ポート33d は第2入力ポ
ート33b と連通する。
【0050】2−3シフトバルブ34のコントロール油室
34s には、フォワードクラッチ用油圧通路63b から分岐
する第2コントロール用油圧通路84が接続され、この第
2コントロール用油圧通路84に、コントロールユニット
32によってオン・オフされる第2ソレノイドバルブ85が
介設されている。この場合も、1−2シフトバルブ33の
場合と同様に、第2ソレノイドバルブ85のオン・オフに
対応して、バルブスプール34v がオン位置またはオフ位
置をとる。
【0051】ここで、バルブスプール34v がオン位置を
とったときには、第1出力ポート34c は開放され、第2
出力ポート34d は第2入力ポート34b と連通する。一
方、バルブスプール34v がオフ位置をとったときには、
第1出力ポート34c は第1入力ポート34aと連通し、第
2出力ポート34d は開放される。
【0052】3−4シフトバルブ35のコントロール油室
35s には、第2コントロール用油圧通路84から分岐する
第3コントロール用油圧通路86が接続され、この第3コ
ントロール用油圧通路86に、コントロールユニット32に
よってオン・オフされる第3ソレノイドバルブ87が介設
されている。この場合も、1−2シフトバルブ33の場合
と同様に、第3ソレノイドバルブ87のオン・オフに対応
して、バルブスプール35v がオン位置またはオフ位置を
とる。
【0053】ここでバルブスプール35v がオン位置をと
ったときには、第1,第2出力ポート35c ,35d はとも
に開放される。一方、バルブスプール35v がオフ位置を
とったときには、第1出力ポート35c は第1入力ポート
35a と連通に、第2出力ポート35d は第2入力ポート35
b と連通する。
【0054】そして、各摩擦締結要素に急激に油圧が供
給されあるいは排出されると締結ショック(変速ショッ
ク)が生じるので、これを防止するために、アプライポ
ート用油圧通路71に対して1−2アキュムレータ36が設
けられ、1−2シフトバルブ用通路66b に対してN−R
アキュムレータ37が設けられ、フォワードクラッチ用油
圧通路63b に対してN−Dアキュムレータ38が設けら
れ、3−4クラッチ用油圧通路74に対して2−3アキュ
ムレータ39が設けられている。各アキュムレータ36〜39
には、それぞれ、ライン圧供給通路51から分岐する背圧
通路89を介して、ライン圧が背圧として供給されるよう
になっている。
【0055】また、後述するように、レンジないし変速
段の切替え時において、変速歯車機構5に内部ロック
(ダブルロック)が使用じないように、所定の摩擦締結
要素のオン・オフタイミングを調整する3−2タイミン
グバルブ41と2−3タイミングバルブ42とコーストタイ
ミングバルブ43とバイパスバルブ44とが設けられてい
る。
【0056】ロックアップ制御機構Uは、ロックアップ
シフトバルブ91とロックアップコントロールバルブ92
と、第1,第2ロックアップ制御用ソレノイドバルブ9
3,94とを備えた通常のロックアップ機構であって、作
動油供給通路95を介してトルクコンバータ3に作動油を
供給するとともに、トルクコンバータ3内の作動油を作
動油戻り通路96を介してオイルクーラ97に案内し、かつ
必要に応じてロックアップクラッチ用油圧通路98を介し
てロックアップクラッチ14に油圧を供給するようになっ
ている。
【0057】このような油圧制御機構FSによって、マ
ニュアルバルブ31のレンジ位置と、第1〜第3ソレノイ
ドバルブ83,85,87のオン・オフ状態に応じて、各摩擦
締結要素への油圧のオン・オフ制御がなされ、表1に示
すような各種レンジないし変速段が得られるようになっ
ている。表2に、各レンジ(P,R,N,D,2,1レ
ンジ)ないし変速段に対応する第1〜第3ソレノイドバ
ルブ83,85,87のオン・オフパターンを示す。
【0058】
【表2】
【0059】なお、PレンジまたはNレンジでは、マニ
ュアルバルブ31から、第1〜第3メイン油圧供給通路63
〜65およびリバースレンジ用油圧供給通路66の何れにも
油圧が供給されないので、第1〜第3ソレノイドバルブ
83,85,87のオン・オフ状態にかかわりなく、どの摩擦
締結要素にも油圧が供給されない。したがって、すべて
の摩擦締結要素がオフされ、変速歯車機構は中立状態と
なり、トルクを伝達しない。
【0060】以下、表2を参照しながら、各走行レンジ
(R,D,2,1レンジ)ないし変速段における、油圧
制御機構FS内での油圧の伝達経路を説明する。
【0061】(1) Rレンジ…マニュアルバルブ31はRレ
ンジをとり、第1,第2ソレノイドバルブ83,85はオフ
され、第3ソレノイドバルブ87はオンされる。
【0062】この場合、リバースレンジ用油圧供給通路
66に油圧が供給され、この油圧が第1分岐油圧供給通路
66a を介してリバースクラッチ25に供給され、リバース
クラッチ25がオンされる。また、リバースレンジ用油圧
供給通路66内の油圧は、1−2シフトバルブ用通路66b
と、1−2シフトバルブ33の第2入力ポート33b と、第
2出力ポート33d と、ローリバース用油圧通路72とを順
に介してローリバースブレーキ27に供給され、ローリバ
ースブレーキ27がオンされる。他の摩擦締結要素は油圧
が供給されないのでオフされる。
【0063】(2) Dレンジ1速…マニュアルバルブ31は
Dレンジ位置(図6に示す位置)をとり、第1,第2メ
イン油圧供給通路63,64に油圧が供給される。なお、こ
れは以下のDレンジ2−4速でも同様である。そして、
第1ソレノイドバルブ83はオフされ、第2,第3ソレノ
イドバルブ85,87はオンされる。
【0064】この場合、第1メイン油圧供給通路63内の
油圧が、フォワードクラッチ用油圧通路63b を介してフ
ォワードクラッチ21に供給され、フォワードクラッチ21
がオンされる。また、各シフトバルブ33〜35の何れの出
力ポートからも油圧が出力されないので、他の摩擦締結
要素はオフされる。
【0065】(3) Dレンジ2速…第1〜第3ソレノイド
バルブ83,85,87はすべてオンされる。
【0066】この場合、Dレンジ1速の場合と同様に、
フォワードクラッチ21がオンされる。さらに、第1メイ
ン油圧供給通路63内の油圧が、1−2シフトバルブ用油
圧通路63a と、1−2シフトバルブ33の第1入力ポート
33a と、第1出力ポート33cと、アプライポート用油圧
通路71とを順に介して2−4ブレーキ26のアプライポー
ト26a に供給される。このとき、リリースポート26b に
油圧が供給されないので、2−4ブレーキ26がオンされ
る。他の摩擦締結要素は油圧が供給されないのでオフさ
れる。
【0067】(4) Dレンジ3速…第1ソレノイドバルブ
83はオンされ、第2,第3ソレノイドバルブ85,87はオ
フされる。
【0068】この場合、Dレンジ2速の場合と同様に、
フォワードクラッチ21がオンされ、かつアプライポート
26a に油圧が供給される。しかしながら、後述のよう
に、リリースポート26b にも油圧が供給されるので、2
−4ブレーキ26はオフされる。
【0069】そして、第2メイン油圧供給通路64内の油
圧が、2−3シフトバルブ34の第1入力ポート34a と、
第1出力ポート34c と、3−4クラック用油圧通路74と
を順に介して3−4クラッチ24に供給され、3−4クラ
ッチ24がオンされる。また、3−4クラッチ用油圧通路
74内の油圧が、第3接続通路78と、3−4シフトバルブ
35の第2入力ポート35b と、第2出力ポート35d と、コ
ーストクラッチ用油圧通路77とを順に介してコーストク
ラッチ23に供給され、コーストクラッチ23がオンされ
る。さらに第2出力ポース35d の油圧が、リリースポー
ト用油圧通路81を介して2−4ブレーキ26のリリースポ
ート26b に供給され、2−4ブレーキ26がオフされる。
なお、リバースクラッチ25とローリバースブレーキ27と
は、油圧が供給されないのでオフされる。
【0070】(5) Dレンジ4速…第1,第3ソレノイド
バルブ83,87がオンされ、第2ソレノイドバルブ85はオ
フされる。
【0071】この場合、Dレンジ2速の場合と同様に、
フォワードクラッチ21と2−4ブレーキ26とがオンされ
る。また、Dレンジ3速の場合と同様に、3−4クラッ
チ24がオンされる。他の摩擦締結要素は油圧が供給され
ないのでオフされる。
【0072】(6) 2レンジ1速…マニュアルバルブ31は
2レンジ位置をとるが、摩擦締結要素への油圧の伝達経
路はDレンジ1速の場合と同様である。
【0073】(7) 2レンジ2速…第1,第2ソレノイド
バルブ83,85はオンされ、第3ソレノイドバルブ87はオ
フされる。
【0074】この場合、Dレンジ2速の場合と同様に、
フォワードクラッチ21と2−4ブレーキ26とがオンされ
る。さらにフォワードクラッチ用油圧通路63b 内の油圧
が、3−4シフトバルブ35の第1入力ポート35a と、第
1出力ポート35c と、第1接続通路73と、2−3シフト
バルブ34の第2入力ポート34b と、第2出力ポート34d
と、第2接続通路75と、ボールバルブ76と、コーストク
ラッチ用油圧通路77とを順に介してコーストクラッチ23
に供給され、コーストクラッチ23がオンされる。他の摩
擦締結要素は、油圧が供給されないのでオフされる。
【0075】(8) 2レンジ3速…Dレンジ3速の場合と
同様である。
【0076】(9) 1レンジ1速…マニュアルバルブ31は
1レンジ位置をとり、第1,第3メイン油圧供給通路6
3,65に油圧が供給される。第1,第3ソレノイドバル
ブ83,87はオフされ、第2ソレノイドバルブ85はオンさ
れる。
【0077】この場合、Dレンジ1速の場合と同様にフ
ォワードクラッチ21がオンされ、また2レンジ2速の場
合と同様にコーストクラッチ23がオンされる。さらに、
第3メイン油圧供給通路65内の油圧が、ローレデューシ
ングバルブ767 と、ボールバルブ68と、1−2シフトバ
ルブ用通路66b と、1−2シフトバルブ33の第2入力ポ
ート33b と、第2出力ポート33d と、ローリバースブレ
ーキ用油圧通路72とを介してローリバースブレーキ27に
供給され、ローリバースブレーキ27がオンされる。他の
摩擦締結要素は、油圧が供給されないのでオフされる。
【0078】(10)1レンジ2速…マニュアルバルブ31は
1レンジ位置をとるが、摩擦締結要素への油圧伝達経路
は2レンジ2速の場合と同様である。
【0079】このように、表2に示すようなソレノイド
バルブのオン・オフパターンに対応して、表1に示すよ
うな摩擦締結要素のオン・オフパターンが得られ、所定
のレンジないし変速段が得られる。
【0080】さらに上記油圧制御機構FSには、所定の
変速時において、内部ロック等の発生を防止するための
所定の摩擦締結要素のオン・オフタイミングを調整する
タイミングバルブ41〜43およびバイパスバルブ44が設け
られている。
【0081】バイパスバルブ44は、3−4クラック用油
圧通路74に介設されたワンウェイオリフィス101 をバイ
パスする第1バイパス油圧通路102 に介設されている。
そして、バイパスバルブ44には、バルブスプール44v
と、これより上流側の第1バイパス油圧通路102に接続
される入力ポート44a と、下流側の第1バイパス油圧通
路102 に接続される出力ポート44b と、パイロック圧通
路61内のパイロット圧が導入されるパイロット油室44c
と、ワンウェイオリフィス101 より下流側の3−4クラ
ッチ用油圧通路74内の油圧が導入されるコントロール油
室44d とが設けられている。
【0082】そして、通常のDレンジ2速から3速への
シフトアップ時においては、最初はバルブスプール44v
が右側に押しつけられて入力ポート44a と出力ポート44
b とが連通しているので、第1バイパス油圧通路102 を
介して、油圧が急激に3−4クラッチ24に供給される。
しかしながら、ワンウェイオリフィス101 より下流側の
3−4クラッチ用油圧通路74内の油圧、すなわち3−4
クラッチ24にかけられている油圧が所定値以上に上昇す
ると、コントロール油室44d 内の油圧によってバルブス
プール44v が左向きに移動させられ、入力ポート44aと
出力ポート44bとが遮断されるので、ワンウェイオリフ
ィス101が介設された3−4クラッチ用油圧通路74を介
して、油圧が比較的緩やかに3−4クラッチ24に供給さ
れる。このようにして、バイパスバルブ44によって3−
4クラッチ24への油圧の供給特性が調整される。
【0083】また、3−4シフトバルブ35の第2出力ポ
ート35d には、リリースポート用油圧通路81とコースト
クラッチ用油圧通路77とが1つに集合された集合油圧通
路104 が接続され、この集合油圧通路104 は、分岐部10
5 から下流側で、独立したリリースポート用油圧通路81
とコーストクラッチ用油圧通路77とに分かれている。こ
こで、集合油圧通路104 には2−3タイミングバルブ42
が介設されている。なお、この2−3タイミングバルブ
42をバイパスする第2バイパス油圧通路106 が設けら
れ、この第2バイパス油圧通路106 に一方弁107 が介設
されている。そして2−3タイミングバルブ42には、バ
ルブスプール42v と、これより上流側の集合油圧通路10
4 に接続される入力ポート42a と、下流側の集合油圧通
路104 に接続される出力ポート42b と、パイロット圧通
路61内のパイロット圧が導入されるパイロット油室42c
と、3−4クラッチ用油圧通路74内の油圧が導入される
コントロール油室42d とが設けられている。そして3−
4クラッチ24と2−4ブレーキ26とが、適切なタイミン
グでオン・オフされ、締結ショックあるいは内部ロック
が生じないようになっている。
【0084】なお、コーストクラッチ用油圧通路77には
コーストタイミングバルブ43が介設され、このコースト
タイミングバルブ43は、内部ロックの発生を防止するた
め、コーストクラッチ23がオンされるタイミングを、2
−4ブレーキ26がオフされるタイミングより遅らせるよ
うになっている。また、3−2タイミングバルブ41は、
3速から2速へのシフトダウン時等において2−4ブレ
ーキ26等のオン・オフタイミングを調整するようになっ
ている。
【0085】ところで、前記したとおり、図2に示すド
リフトオンボール119 を備えた油圧ピストン114 によっ
て3−4クラッチ24が締結される2速から3速への変速
時に、油圧ピストン114 に供給されるライン圧がドリフ
トオンボール119 の閉弁圧を下回ると、ドリフトオンボ
ール119 の開弁状態が継続することにより、油圧ピスト
ン114 を3−4クラッチ24の締結方向に移動させる油圧
が漏洩して3−4クラッチ24の締結性能が悪化するとい
う問題がある。
【0086】そこで、本実施例では、2速から3速への
変速時に、ドリフトオンボール119の閉弁に必要なライ
ン圧下限値PLLを設定し、ライン圧が上記下限値PLL
下回らないように制御している。すなわち、作動油の油
温ごとに回転数Nに応じたライン圧下限値PLLの値を示
すマップをコントロールユニット32内のメモリに記憶
し、このマップからライン圧下限値PLLを求めるように
している。
【0087】そしてこの場合、図9に示すように、スロ
ットル開度TVOが所定値α(例えばα=1/8)以上
のときには、回転数Nを変速指令が発せられた時点での
タービン回転数NTOに設定することにより、ドリフトオ
ンボール119 の閉弁圧を確保し、バックアウト変速時の
ように、スロットル開度が所定値αを下回るときには、
回転数Nを変速中に下降するタービン回転数NT に追従
して低下させることにより、変速ショックを防止してい
る。
【0088】図10はライン圧下限値PLL設定ルーチンの
フローチャートを示す。まずステップS1で2速から3
速への変速であるか否かを調べ、この判定が「YES」
であるときには、ステップS2,S3でスロットル開度
TVOおよびタービン回転数NT を、図3に示すスロッ
トル開度センサ122 およびタービン回転数センサ121か
らの信号に基づいて読込み、次にステップS4でスロッ
トル開度TVOが所定値α未満であるか否かを調べる。
そしてTVO≧αのときには、ステップS5で回転数N
を変速指令が発せられた時点でのタービン回転数NTO
設定し、TVO<αのときには、ステップS6で回転数
Nをタービン回転数NT に追従して低下させる。
【0089】次のステップS7では、図3の油温センサ
123 からの信号に基づいて作動油の油温を測定し、ステ
ップS8で、ライン圧下限値PLLを、回転数Nと油温と
から、予めコントロールユニット32内のメモリに記憶さ
れたマップを用いて算出する。このマップにおける回転
数Nとライン圧下限値PLLとの関係は、油温を一定とし
たとき、図11に示すようになる。
【0090】また、本実施例では、油温が低いときにラ
イン圧が高過ぎると、タイミングバルブ42のタイミング
がずれてエンジンの吹上りが生じるのを防止するため
に、ライン圧下限値PLLの設定と同時に、ライン圧上限
値PLUを図12のフローチャートに従って設定している。
すなわち、図12において、ステップS11で2速から3速
への変速であるか否かを調べ、この判定が「YES」の
ときにはステップS12で油温を測定し、次にステップS
13で、ライン圧上限値PLUを油温からマップ検索して算
出している。
【0091】このようにして設定されたライン圧下限値
LLおよびライン圧上限値PLUを用いた変速時のライン
圧制御ルーチンについて図13およ図14に示すフローチャ
ートに基づいて説明する。
【0092】まず、図13のステップS21で2速から3速
への変速であるか否かを調べ、この判定が「YES」で
あるときには、ステップS22でスロットル開度TVOを
図3のスロットル開度センサ122 からの信号に基づいて
読込み、次のステップS23で変速中の目標ライン圧PL1
を、スロットル開度TVOと目標ライン圧PL1との関係
を示すマップから読出す。次にステップS24で大気圧を
図3の大気圧センサ124 からの信号に基づいて測定し、
次のステップS25で、変速時間の学習によるライン圧補
正と、測定された大気圧に基づく高地補正を行なって、
ライン圧をPL2に補正する。
【0093】次にステップS26では、図10のフローチャ
ートに示すサブルーチンによって設定したライン圧下限
値PLLと上記補正されたライン圧PL2とを比較し、PL2
>PLLであればステップS27でライン圧PL2をPL3に置
き替え、PL2≦PLLであれば、ステップS28でライン圧
L3を下限値PLLに等しくする。
【0094】次に図14へ移って、図12のフローチャート
に示すサブルーチンによって設定したライン圧上限値P
LUと上記ライン圧PL3とをステップS29で比較し、PL3
<PLUであればステップS30でライン圧PL3をPL4に置
き替え、PL3≧PLUであればステップS31でライン圧P
L4を上限値PLUに等しくする。
【0095】以上のようにしてライン圧PL4が得られる
と、図3の油温センサ123 からの信号に基づいて、ステ
ップS32で油温を測定し、ステップS33で、そのときの
油温とライン圧PL4とに応じたデューティ比を予めコン
トロールユニット32内のマップに記憶されたマップから
決定する。さらにステップS34で、駆動周波数を例えば
70Hzに設定する。続いてステップS35で、デューティ
ソレノイドバルブ57の1周期中のオン時間を、駆動周期
(駆動周波数の逆数)に上記デューティ比DUを乗算す
ることによって求め、これに従い、ステップS36でテュ
ーティソレノイドバルブ57を駆動する。これにより、プ
レッシャレギュレータバルブ50によってライン圧がPL4
となるように制御される。
【0096】なお、本実施例では、ライン圧を先に下限
値PLLと比較した後に上限値PLUと比較することによ
り、上限値PLU側を優先している。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動変速機の機械的構成を示すスケルトン図
【図2】ドリフトオンボールを備えた油圧ピストンを有
する3−4クラッチの構造を示す要部拡大断面図
【図3】制御システム図
【図4】油圧制御機構の、変速機まわりの構成を示す図
【図5】油圧制御機構の、ライン圧制御機構まわりの構
成を示す図
【図6】油圧制御機構の、マニュアルバルブおよび1−
2シフトバルブまわりの構成を示す図
【図7】油圧制御機構の、2−3シフトバルブおよび3
−4シフトバルブまわりの構成を示す図
【図8】油圧機構の、ロックアップ制御機構まわりの構
成を示す図
【図9】ライン圧下限値設定の基準となる回転数Nとタ
ービン回転数NT との関係を示す図
【図10】ライン圧下限値設定ルーチンを示すフローチ
ャート
【図11】回転数Nとライン圧下限値との関係を示す図
【図12】ライン圧上限値設定ルーチンを示すフローチ
ャート
【図13】変速時のライン圧制御ルーチンの前半を示す
フローチャート
【図14】変速時のライン圧制御ルーチンの後半を示す
フローチャート
【符号の説明】
3 トルクコンバータ 5 変速歯車機構 21 フォワードクラッチ 23 コーストクラッチ 24 3−4クラッチ 25 リバースクラッチ 26 2−4ブレーキ 27 ローリバースブレーキ 31 マニュアルバルブ 32 コントロールユニット 50 プレッシャレギュレータバルブ 57 デューティソレノイドバルブ 83 第1ソレノイドバルブ 85 第2ソレノイドバルブ 87 第3ソレノイドバルブ 110 クラッチドラム 111 クラッチハブ 112,113 摩擦板 114 油圧ピストン 119 ドリフトオンボール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多段変速機構が備えている複数の摩擦締
    結要素に対する油圧制御回路のライン圧を変更しうるラ
    イン圧可変手段と、このライン圧可変手段を制御する制
    御手段とを備え、かつ前記複数の摩擦締結要素のうちの
    少なくとも1つを締結させる締結部材にドリフトオンボ
    ールを備えている自動変速機において、 前記ドリフトオンボールを備えた締結部材により前記摩
    擦締結要素が締結される変速時に前記ドリフトオンボー
    ルの閉弁圧に対応してライン圧の下限値を設定するライ
    ン圧下限値設定手段を備え、 このライン圧下限値設定手段は、エンジン負荷が所定値
    以上では、変速初期入力回転数に基づいて前記ライン圧
    下限値を設定し、エンジン負荷が前記所定値未満では、
    前記変速初期入力回転数に基づく値よりも低くなるよう
    に前記ライン圧下限値を設定することを特徴とする自動
    変速機の油圧制御装置。
  2. 【請求項2】 前記ライン圧下限値設定手段は、エンジ
    ン負荷が前記所定値未満のとき、前記ライン圧下限値
    を、変速中のタービン回転数の変化に追従して低下する
    ように設定することを特徴とする請求項1記載の自動変
    速機の油圧制御装置。
JP3217445A 1991-08-28 1991-08-28 自動変速機の油圧制御装置 Pending JPH0560206A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3217445A JPH0560206A (ja) 1991-08-28 1991-08-28 自動変速機の油圧制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3217445A JPH0560206A (ja) 1991-08-28 1991-08-28 自動変速機の油圧制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0560206A true JPH0560206A (ja) 1993-03-09

Family

ID=16704352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3217445A Pending JPH0560206A (ja) 1991-08-28 1991-08-28 自動変速機の油圧制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0560206A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007187203A (ja) * 2006-01-11 2007-07-26 Toyota Motor Corp 変速機の制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007187203A (ja) * 2006-01-11 2007-07-26 Toyota Motor Corp 変速機の制御装置
JP4642661B2 (ja) * 2006-01-11 2011-03-02 トヨタ自動車株式会社 変速機の制御装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5947856A (en) Control system for automatic transmission, including coordinated frictional engagement element release control
EP2221512B1 (en) Hydraulic control device of automatic transmission
US4602696A (en) Control system for selectively switchable two/four wheel drive automatic transmission system providing shifting characteristic matched to driving condition
KR100344664B1 (ko) 자동변속기의변속제어장치
US6309324B1 (en) Automatic transmission control system
US5275069A (en) Control system for automatic transmission
CN100458236C (zh) 用于车辆自动变速器的控制装置
JPH0512576B2 (ja)
US5593365A (en) Control system for automatic transmission
US5662551A (en) Gear shift control system for automatic transmission
JPH0652097B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JPH0560206A (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP3154758B2 (ja) 自動変速機の油圧制御装置
US5121656A (en) Shift control system for an automatic transmission
JPS59126118A (ja) 車両用自動変速機の油圧制御装置
JP2918175B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JP3036919B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JP3427407B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JPH04307169A (ja) 自動変速機の変速制御装置
JPH0560207A (ja) 自動変速機の油圧回路
JPH0754989A (ja) 自動変速機の制御装置
JP2777297B2 (ja) 自動変速機の制御装置
JPH05141517A (ja) 自動変速機の油圧制御装置
JP2981793B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JP2970306B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置