JPH0558882A - ナノカプセルの製造法 - Google Patents

ナノカプセルの製造法

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JPH0558882A
JPH0558882A JP22412191A JP22412191A JPH0558882A JP H0558882 A JPH0558882 A JP H0558882A JP 22412191 A JP22412191 A JP 22412191A JP 22412191 A JP22412191 A JP 22412191A JP H0558882 A JPH0558882 A JP H0558882A
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nanocapsules
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solution
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JP22412191A
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Yoshiaki Kawashima
嘉明 川島
Hirofumi Takeuchi
洋文 竹内
Toshiyuki Niwa
敏幸 丹羽
Tomoaki Hino
知証 日野
Noriyuki Kuno
紀之 久納
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Original Assignee
Syntex USA LLC
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ナルカプセルを容易、高収率で製造するこ
と。 【構成】 (イ)揮発性、かつ水混和性有機溶媒に、必
要に応じて、薬物を溶解し得る揮発性溶媒を加えて、ポ
リ乳酸、ポリグリコール酸または乳酸グリコール酸共重
合体と薬物を溶解し、(ロ)この溶液をポリビニルアル
コールの水溶液に混合すると共に撹拌乳化させて粒径1
000ナノメートル未満の微細粒子分散物とし、(ハ)
有機溶媒を蒸発させてナノカプセルを生成させ、(ニ)
ナノカプセルを分離することを特徴とする、ナノカプセ
ルの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、粒径がナノメートル
オーダー、すなわち1マイクロメートル(1000ナノ
メートル)より小さい、微小カプセル(以下、ナノカプ
セルという)の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】近年、生
体適合性、生体内分解性高分子を基剤としたコントロー
ルリリース製剤の研究が数多くなされている。そのう
ち、既にかなりの技術が積重ねられているものに、マイ
クロカプセル、マイクロスフィア等と称されるものがあ
る。マイクロカプセルは薬物の粒子(通常約5−500
マイクロメートル)を芯物質として、表面を高分子で被
覆したものであり、狭義には芯物質が1個のものをい
う。マイクロスフィアは広義にはマイクロカプセル(広
義)と同義に用いられるが、狭義には芯物質が固体また
は液体の形で多数分散しているものをいう。マイクロカ
プセル(広義)の中には、芯物質として黄体形成ホルモ
ン放出ホルモン(LHRH)の誘導体である酢酸リュー
プロライドを含み、高分子として乳酸グリコール酸共重
合体を用いたものが既に知られている[ケミカル・アン
ド・ファーマシューティカル・ブレタン(Chem.Pharm.B
ull.)36巻1095−1103頁(1988年)、文
献1と略称]。また、最近になって、粒径500ナノメ
ートル以下のカプセルは経口投与した際消化管粘膜を通
過し、全身体循環中に到達し得ることが報告され、注目
を集めている[ジャーナル・オブ・ファーマシー・アン
ド・ファーマコロジー(J.Pharm.Pharmacol.)42巻8
21−826頁(1990年)]。しかし、このような
ナノカプセルは報告されてから日が浅いため、これを製
造する方法についてはまだ充分な技術の蓄積がない。例
えば、マイクロカプセルの製造法として知られている液
中乾燥法によってナノカプセルを製造することは困難で
あることが判明しており、マイクロカプセルの製造技術
がそのままナノカプセルの製造法とはなり得ないことが
既に明らかになっている。この発明者は、ナノカプセル
を容易かつ高収率で得る方法について研究を重ねた結
果、先にこの発明者がアクリルポリマーを用いるマイク
ロカプセルの製造法として開発した溶媒拡散法[ジャー
ナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンス(J.
Pharm.Sci.)78巻68−72頁(1989年)]を薬
物含有ポリ乳酸または乳酸グリコール酸共重合体の微粒
子化に応用すると、容易かつ高収率でナノカプセルを製
造し得ることを見出し、この発明を完成したのである。
【0003】
【課題を解決するための手段】この発明は、(1)
(イ)揮発性、かつ水混和性有機溶媒に、必要に応じて
薬物を溶解し得る揮発性溶媒を加えて、ポリ乳酸、ポリ
グリコール酸または乳酸グリコール酸共重合体と薬物を
溶解し、(ロ)この溶液をポリビニルアルコールの水溶
液に混合すると共に撹拌乳化させて粒径1000ナノメ
ートル未満の微細粒子分散物とすることを特徴とする、
微細粒子分散物の製造法、および(2)(イ)揮発性、
かつ水混和性有機溶媒に、必要に応じて薬物を溶解し得
る揮発性溶媒を加えて、ポリ乳酸、ポリグリコール酸ま
たは乳酸グリコール酸共重合体と薬物を溶解し、(ロ)
この溶液をポリビニルアルコールの水溶液に混合すると
共に撹拌乳化させて粒径1000ナノメートル未満の微
細粒子分散物とし、(ハ)有機溶媒を蒸発させてナノカ
プセルを生成させ、(ニ)ナノカプセルを分離すること
を特徴とする、ナノカプセルの製造法を提供するもので
ある。
【0004】
【実施態様】この発明で使用する「揮発性、かつ水混和
性有機溶媒」としては、沸点が約120℃以下、好まし
くは約100℃以下、さらに好ましくは約30−80℃
であって、水に対する溶解度が約80%以上、好ましく
は約90%以上、さらに好ましくは完全混和性の有機溶
媒が含まれる。このような有機溶媒の好ましい例は、低
級脂肪族ケトン、低級アルコール、低級エーテルアルコ
ール、および環状エーテルであり、特に好ましいものは
アセトン、アセチルアセトン、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、メトキシエタノ
ール、エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン等である。また、「薬物を溶解し得る揮発性溶
媒」としては、沸点が約120℃以下、好ましくは約1
00℃以下、さらに好ましくは約30−80℃であっ
て、ナノカプセルに封入すべき薬物を溶解し得る溶媒が
含まれる。これは水非混和性または水難混和性であって
もよく、この場合、水に対する溶解度(常温)が約10
%以下、さらに約5%以下の有機溶媒を使用することが
できる。このような有機溶媒の好ましい例はハロゲン化
炭化水素であり、特に好ましいものはクロロホルム、ジ
クロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等で
ある。上記2種の溶媒の混合物の比率は、約1〜8:2
00〜2、好ましくは約1〜7:100〜3、さらに好
ましくは約1〜6:60〜4である。この溶媒相の組成
は、乳酸グリコール酸共重合体および薬物の使用量を溶
解し得るように定めるものとする。なお、揮発性、かつ
水混和性有機溶媒が薬物を溶解し得る場合には、薬物を
溶解し得る揮発性溶媒を加える必要はない。
【0005】「ポリ乳酸」としては、分子量約2000
0〜200000、好ましくは約50000〜1500
00、さらに好ましくは約80000〜120000の
ものが含まれる。「ポリグリコール酸」としては、分子
量約10000〜200000、好ましくは約3000
0〜150000、さらに好ましくは50000〜12
0000のものが含まれる。「乳酸グリコール酸共重合
体」としては、乳酸とグリコール酸を約0.01:1〜
1:0.01、好ましくは約1:5〜10:1、さらに
好ましくは約1:1〜6:1の比率で含む分子量約50
00〜200000、好ましくは約8000〜1500
00、さらに好ましくは約10000〜100000の
共重合体が含まれる。これらは、例えば乳酸とグリコー
ル酸をイオン交換樹脂を触媒として弱い減圧下に加熱
し、縮合重合させることにより製造される。乳酸/グリ
コール酸の比率が78/22(分子量約10000)、
および89/11(分子量約19000)の共重合体の
製造法は文献1に記載されている。また、適当な市販品
もある。共重合体は、上記「混合物」に可溶性でなけれ
ばならない。「薬物」としては、任意の薬物が用いら
れ、例えば鎮痛剤、抗てんかん剤、精神安定剤、筋弛緩
剤、鎮痙剤、抗パーキンソン剤、抗ヒスタミン剤、強心
剤、抗不整脈剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮または
拡張剤、呼吸促進剤、鎮咳剤、抗潰瘍剤、(下垂体、唾
液腺、甲状腺、副腎、男性、卵胞・黄体等)ホルモン
剤、抗ホルモン剤、血液凝固阻止剤、抗腫瘍剤等が含ま
れる。「ポリビニルアルコール」としては、通常重合度
約100〜5000、好ましくは約200〜4000、
さらに好ましくは約500〜3000程度、またけん化
度が、通常約70〜100、好ましくは、約80〜9
8、さらに好ましくは約85〜98のものが用いられ
る。このようなポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニ
ルの部分もしくは完全加水分解により製造することがで
きるが、適当なものは市販品として入手することができ
る。ポリビニルアルコールの水溶液における濃度は、約
0.5〜5%が適当であり、約1〜3%が好ましい。
【0006】撹拌乳化は、通常マグネチックスターラー
など緩和な条件で行うが、必要ならば高速ホモジナイザ
ーによって行なう。このとき生成する粒子の粒径は、1
000ナノメートル未満であり、約800ナノメートル
以下が好ましく、約100〜500ナノメートルがさら
に好ましい。有機溶媒の蒸発は50mmHg以下の減圧下
で行なうのが適当であり、10mmHg以下が好ましい。
「ナノカプセル」の語は広義で用いる。ナノカプセルの
分離採取は、例えばメンブランフィルターのような濾過
器で粗粒子を除いた後、通過液を超遠心分離して行なう
ことができる。ナノカプセルの粒径は、乳化の際に生ず
る粒子の粒径により左右されるが、約800ナノメート
ル以下が好ましく、約100〜500ナノメートルがさ
らに好ましい。この発明の方法におけるナノカプセル生
成機構は次のように推察される。共重合体を含む溶液の
混合物から水混和性有機溶媒が急速に水相へ拡散移行す
ることにより、残る水非混和性または難混和性有機溶媒
と水相の間の界面張力が急低下し、撹拌と相まって微粒
子化が起る。このとき、粒子表面にポリビニルアルコー
ルが吸着して油滴の合一を防ぐ。また溶解度の低下によ
り粒子の沈析が起る。こうして、この発明の方法によ
り、ナノカプセルの容易かつ高収率の製造が可能とな
る。
【0007】
【実施例】以下、この発明を実施例によりさらに詳細に
説明する。なお、以下の実施例において、乳酸グリコー
ル酸共重合体はPLGAと略し、その後の括弧書きで重
合比を、さらにその後に平均分子量を示す。また、ポリ
乳酸はPLAと略す。 実施例1 (ナノカプセルの製造)PLGA(120mg、Medisor
b、デュポン社)と薬物(12mg)をアセトン(12.5
ml)とクロロホルム(15ml)または、アセトン(7.
5ml)とジクロロメタン(15ml)の混合溶媒中に溶解
し、これを室温下、2.0%ポリビニルアルコール(P
VA)(PVA117、クラレ)水溶液に滴下し、高速
ホモジナイザー(Physcotron,Nichion Irika Kikai C
o.,Ltd.)を用いて乳化した。ついで減圧下、マグネチ
ックスターラーでクロロホルムまたはジクロロメタンが
蒸発するまで撹拌し固化させ、ナノサスペンションを調
製した。得られたサスペンションを孔径1.0μmのメン
ブランフィルター(FR−100、富士写真フィルム)
で濾過し、その濾液を超遠心分離(156,200g×
1hr)(55P−7、日立工機)しナノカプセルを分
取した。ポリマーとしては、PLGA以外にポリ乳酸
(PLA)(平均分子量110156)を用い、PLG
Aとしては、PLGA(50:50)−65 475、
PLGA(85:15)−66 671、PLGA(8
5:15)−127 598を用いた。また、薬物とし
て、脂溶性のインドメタシンおよび水溶性の5−FUを
用い、トラップ率への影響を検討した。 実施例2 (ナノカプセルの製造)PLGA(120mg、Medisor
b、デュポン社)と薬物(12mg、但し酢酸ナファレリ
ンを使用の場合、3mg)をジクロロメタン(0.5m
l)、アセトン(25ml)とメタノール(5ml)の混合
溶媒中に溶解し、これを室温下、2.0%ポリビニルア
ルコール(PVA)(PVA217c、クラレ)水溶液
中に滴下し、マグネチック・スターラーを用いて乳化し
た。ついで、実施例1と同様にしてナノカプセルを得
た。PLGAとしては、PLGA(85:15)−12
7 598を用い、薬物としては5−FUおよび酢酸ナ
ファレリンを用いた。 実施例3 (ナノカプセルの粒子径)孔径1.0μmのメンブランフ
ィルターで濾過後の濾液を光子相関法(LPA−30
0、大塚電子)により測定し個数基準の平均粒子径とし
て表示した。 (ナノカプセルの回収率)分取したナノカプセルを減圧
乾燥し、仕込んだポリマー及び薬物総重量に対する乾燥
重量から回収率を求めた。ただし、メンブランフィルタ
ーを通過しない1μm以上の粒子については、ナノカプ
セルとしての回収率からは除外した。 (ナノカプセル中の薬物含量)乾燥したナノカプセルを
アセトニトリルに溶解させる。(この時PLGAは溶解
するが薬物は溶解しない。)ついで、メタノールを加え
て正確に50mlにする。(この時PLGAは析出し薬物
は溶解する。)この溶液を孔径0.5μmのメンブランフ
ィルターで濾過し濾液の吸光度より薬物量を求めた。 (インドメタシン:232nm、5−FU:265nm、酢
酸ナファレリン:225nm) 薬物含量の評価は以下の式に従った。 ナノカプセル中の薬物回収率(%)=(ナノカプセルの
薬物含有量)×100/(使用薬物量) ナノカプセル中の薬物含有量(%)=(ナノカプセル中
の薬物含有量)×100/(ナノカプセル回収量) 以上の結果を、実施例1について、第1表および第2表
に、実施例2について第2表および第3表に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】 (ナノカプセルからの薬物溶出性)溶出試験は、拡散セ
ルを用い、両層間に孔径0.1μmのポリカーボネート膜
(Nuclepore,ヌクレオポア社)をはさみ込んだ。溶出液
は、0.1M pH7.4のリン酸緩衝液を用い37℃
で、経時的にアクセプター側の溶出液1mlをサンプリン
グし、濾液の吸光度から溶出率を算出した。
【0008】(考察) (1)ポリマー溶液に添加するアセトンの影響 図1に、本製法により製造したPLGAナノカプセルの
走査型電子顕微鏡写真を示す。写真から、表面構造は明
かではないが、粒子径は約200−300nm以下で凝集
のない球状ナノカプセルが生成されることが明らかとな
った。ポリマー溶液に添加するアセトン量がナノカプセ
ルの粒子径及び回収率に及ぼす影響を図2および図3に
それぞれ示す。クロロホルムまたはジクロロメタン量は
15mlと固定した。アセトンが全く存在しない通常の液
中乾燥法では高速モホジナイザーで強力に撹拌しても、
1μmよりも小さな粒子がほとんど得られないのに対し
(平均粒子径:1200−1300nmのものの回収率:
10%以下)、アセトンを添加することにより粒子径が
劇的に減少し、ナノメーターサイズの粒子を高回収率で
製造することが可能となった。この原因は、クロロホル
ム溶液またはジクロロメタン溶液と水相間の界面張力の
変化によるものと考え、滴重法により界面張力を測定
し、図2に同時に示した。界面張力はアセトンの添加量
と共に減少することが判明した。実際の調製時における
界面では、アセトン濃度が高く、更に、界面張力が低下
しているものと思われる。また、アセトンの拡散移行に
伴う界面のゆらぎにより、油滴が破壊され、自己乳化的
に更に小さな液滴になると考えられる。また、対照とし
て水相にアセトンを予め加えておいた場合と比較する
と、本法ではナノカプセルの平均粒子径は対照の約1/
2以下、回収率は約20倍になることが判明した。最大
の回収率を得るためのアセトン添加量が、クロロホルム
系とジクロロメタン系とで異なるのは、クロロホルムと
ジクロロメタンの水相への溶解度の違いと思われる。す
なわち、ジクロロメタンの方が溶解度は大きく、ジクロ
ロメタン自身も一部はアセトンと同様に水相に拡散移行
するためクロロホルムの時よりも少ないアセトン量で最
大回収率を得ることができるものと思われる。
【0009】(2)PVAの影響 図4に水相中のPVA濃度によるナノカプセルの回収率
及びナノカプセルの平均粒子径に及ぼす影響を示す。た
だしポリマー溶液相として、クロロホルム15ml、アセ
トン12.5ml系について検討した。PVA濃度が増す
とナノカプセルの回収率が上昇するのは、PVAの保護
コロイド作用に起因するものと推定している。すなわ
ち、PVA分子が微細化されたエマルション滴に吸着層
を形成し油滴の合一ならびにナノカプセルの凝集を抑制
するためと考えられる。また、合一して生成したマイク
ロカプセルを濾別したナノカプセルの粒子径は、PVA
濃度によりあまり変化を受けなかった。すなわち、PV
Aの作用は液滴の微細化ではなく、エマルションあるい
はサスペンションの分散安定化に寄与しているものと思
われる。また、ナノカプセルの回収率の増加にともない
薬物回収率の値も増加した。以上の結果からナノカプセ
ルの製造において、粒子のナノサイズ化についてはアセ
トン、微細化粒子の懸濁安定化にはPVAの影響を大き
く受けることが判明した。
【00010】(3)薬物のナノカプセルへの封入 第1表に実施例1における脂溶性モデル薬物のインドメ
タシンの場合について示した。ポリマーの種類によら
ず、サブミクロンサイズの粒子が高収率で得られた仕込
量に対し、最高50%の薬物をナノカプセル内に封入す
ることができた。封入率は分子量が12万より6万の方
が高く、また、乳酸:グリコール酸の共重合比は50:
50よりも85:15の方が高い値を得た。しかし、い
ずれの場合も脂溶性のインドメタシンの封入率がやや低
いのは、アセトンの水相への拡散にともない漏出が起こ
るためと考えられる。水相のpHをインドメタシンのp
Ka以下に調節することによりさらに封入率の増大が可
能であった。一方、第2表に水溶性の5−FUの場合を
示した。粒子径、回収率についてはインドメタシンと同
様の結果が得られた。しかし、通常の液中乾燥法から考
え、水溶性の5−FUでは全くナノカプセル中にトラッ
プされないという予想であったが、少量トラップできる
ことが判明した。また、インドメタシンと同様、PLG
A(50・50)においては回収率、封入率とも他に比
べ低い値を示した。これは、PLGA(50・50)の
有機溶媒相への溶解性の悪さによるものと考えられる。
これらのことから、封入率は用いたポリマーの共重合
比、分子量に依存することが判明した。第3表に実施例
2における水溶性モデル薬物の5−FUの場合のトラッ
プ率について示した。実施例2では、5−FUのカプセ
ル内へのトラップ率に改良を加えた。すなわち、薬物と
ポリマーを含む溶液を水相へ添加後、できるだけ速くポ
リマーを沈析させるために、水非混和性有機溶媒である
ジクロロメタン量を極端に減らして調製を行った。第4
表に酢酸ナファレリンの場合を示した。酢酸ナファレリ
ンを溶解させるため、少量のメタノールを配合した。こ
れに関連して、実施例2の場合は、乳化現象が実施例1
に比較してより自発的に惹起されるため、高速ホモジナ
イザーによる撹拌を必要とせず、200nm前後のナノカ
プセルが高収率で得られる。
【0011】(4)PLGAナノカプセルからのインビ
トロにおける薬物溶出性 インドメタシン封入ナノカプセルからの薬物溶出性につ
いて検討した(図5)。試験開始後、5時間までに初期
バーストによる急速な溶出を示し、その後、基剤の分解
に伴う長期的な薬物放出が達成された。初期バーストは
ナノカプセル表面または、ウォーター・チャンネルに局
在する薬物に由来するものと思われる。しかし、ナノメ
ーターサイズといった非常に比表面積の大きな状態であ
りながら残りの50%はかなりの徐放性を示すことか
ら、被覆状態はかなり良好であるものと推定された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるナノカプセルの走査型電子顕微
鏡写真であり、粒子構造を示す写真である。
【図2】 アセトン量が粒子径に及ぼす影響を示すグラ
フである。
【図3】 アセトン量が粒子回収率に及ぼす影響を示す
グラフである。
【図4】 PVA濃度が粒子径および回収率に及ぼす影
響を示すグラフである。
【図5】 ナノカプセルからの薬物放出を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川島 嘉明 岐阜県岐阜市下土居185番地 (72)発明者 竹内 洋文 岐阜県岐阜市粟野西7丁目91番地 (72)発明者 丹羽 敏幸 岐阜県岐阜市三田洞354番地 (72)発明者 日野 知証 岐阜県関市春日町2丁目11番地 (72)発明者 久納 紀之 岐阜県岐阜市三田洞61番地

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)揮発性、かつ水混和性有機溶媒
    に、必要に応じて薬物を溶解し得る揮発性溶媒を加え
    て、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸グリコー
    ル酸共重合体と薬物を溶解し、 (ロ)この溶液をポリビニルアルコールの水溶液に混合
    すると共に撹拌乳化させて粒径1000ナノメートル未
    満の微細粒子分散物とすることを特徴とする、微細粒子
    分散物の製造法。
  2. 【請求項2】 (イ)揮発性、かつ水混和性有機溶媒
    に、必要に応じて薬物を溶解し得る揮発性溶媒を加え
    て、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸グリコー
    ル酸共重合体と薬物を溶解し、 (ロ)この溶液をポリビニルアルコールの水溶液に混合
    すると共に撹拌乳化させて粒径1000ナノメートル未
    満の微細粒子分散物とし、 (ハ)有機溶媒を蒸発させてナノカプセルを生成させ、 (ニ)ナノカプセルを分離することを特徴とする、ナノ
    カプセルの製造法。
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