JPH0558618A - ムライト質針状結晶及びムライト多孔質体 - Google Patents

ムライト質針状結晶及びムライト多孔質体

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JPH0558618A
JPH0558618A JP25276491A JP25276491A JPH0558618A JP H0558618 A JPH0558618 A JP H0558618A JP 25276491 A JP25276491 A JP 25276491A JP 25276491 A JP25276491 A JP 25276491A JP H0558618 A JPH0558618 A JP H0558618A
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正宣 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強化材として良好なムライト質針状結晶及び
ムライト多孔質体を提供する。 【構成】 本願の第1発明は、断面が四角形であること
を特徴とするムライト質針状結晶である。本願の第2発
明は、断面が四角形であるムライト質針状結晶を含むこ
とを特徴とするムライト多孔質体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】本発明はムライト質針状結晶及びム
ライト多孔質体に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック、金属、セラミックス、耐
火物等の強化材や改良材としてムライト質針状結晶及び
ムライト多孔質体が利用できる。ムライト質針状結晶及
びムライト多孔質体を加えることによって、母材の強
度、比剛性、高温強度等の諸特性を改善したり、母材の
諸特性を変化させたりするのである。また、ムライト多
孔質体は濾過材、触媒担体、微生物担体、断熱材等の用
途にも用いることができる。
【0003】さて、従来のムライト質で繊維状のものは
ムライト多結晶質繊維として知られている。この繊維の
断面形状は円形状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】断面形状が円形状(又
はそれに近い形状)のムライト質多結晶繊維を例えば強
化材として用いた場合に、母材の諸特性を改善する効果
に限界があったり、少量の添加では顕著な改善効果が得
られないことがある。さらに、断面円形状のムライト質
多結晶繊維によって得られる母材特性の改善効果とは定
性的に異なる改善(質)効果を得たい場合もある。
【0005】この発明は、従来のものに比べて、例えば
強化材としての効果及び、特に金属の磨耗に対する抵抗
力を向上させる効果が大きいムライト質針状結晶を提供
することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願の第1発明は、断面
が四角形であることを特徴とするムライト質針状結晶を
要旨としている。
【0007】本願の第2発明は、断面が四角形であるム
ライト質針状結晶を含むことを特徴とするムライト多孔
質体を要旨としている。
【0008】
【作用】断面形状が四角形であるため、強化材として優
れた作用を有する。また、強化材として、断面円形状の
ムライト多結晶質繊維とは定性的に異なる作用を与える
場合もある。
【0009】
【実施例】以下に、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は本発明のムライト質針状結晶を電子顕微鏡で観察
したスケッチ図である。ムライト質針状結晶10の断面
は四角形であり、ほとんど大部分を充める矩形状のもの
と少量の台形状のものに分類される。台形状のものの中
には微量ではあるが、一辺が特に小さくて三角形のよう
に見えるものもある。1つの結晶10において断面形状
が一様でないこともある。ムライト質針状結晶10の大
きさは、例えば長さが5〜30μm、断面の長辺が1〜
4μm、断面の短辺が0.5〜3μmである。
【0010】実施例A 以下、本願第1発明のムライト質針状結晶を製造するた
めの方法を説明する。この方法は、SiO2 源とAl2
3 源を均質に含む出発原料にAlF3 を添加して焼成
するムライト質針状結晶の製造方法において、出発原料
及び5〜70重量%のAlF3 からなる混合物100重
量部に対し、Cの添加量が5〜50重量部となるように
C又はCを含む物質を均等に接触させた状態で焼成する
方法である。
【0011】上記方法においては、AlF3 は、比較的
低い焼成温度でSiO2 源とAl2 3 源からムライト
を生成する反応を促進するが、この反応にC(炭素)が
加わると、更に低い温度で結晶が生成され、未反応物が
残っても分散の容易な断面四角形のムライト質針状結晶
となる。しかし、上記反応の詳細は明らかでない。
【0012】この方法において、SiO2 源とAl2
3 源を均質に含む出発原料とは、SiO2 源とAl2
3 源を別々に含む物質を均質に混合した混合物、SiO
2とAl2 3 を同時に含む物質、又はそれらを混合し
たものをいう。
【0013】出発原料の中にSiO2 源とAl2 3
以外に、目的とする断面四角形のムライト質針状結晶と
高温で安定に共存し得るような物質、例えばZrO
2 (ジルコニア)、SiC(炭化けい素)等が含まれて
いてもさしつかえない。
【0014】一般に、合成されたムライト質針状結晶に
含まれるAl2 3 とSiO2 の比率は、重量比で72
/28である。
【0015】しかし、この方法においては、出発原料の
Al2 3 とSiO2 の重量比率は、72/28に限定
されることはない。いずれの場合でも、所定量のAlF
3 とCを作用させることによって分散性の良いムライト
質針状結晶を含んだ集合物が得られる。
【0016】すなわち、出発原料のAl2 3 の含有量
が72重量%未満の場合、得られる断面四角形のムライ
ト質針状結晶の集合物の中にSiO2 がクリストバライ
トやトリジマイトやガラスとして混じるが、この集合物
は、指で押す程度の力で容易に分散することができる。
【0017】同様に、Al2 3 の含有量が72重量%
をこえる場合、得られる断面四角形のムライト質針状結
晶の集合物の中にAl2 3 がコランダムとして混じる
が、この集合物は、指で押す程度の力で容易に分散する
ことができる。
【0018】そして、断面四角形のムライト質針状結晶
の集合物の中に混じったこれらの夾雑物は、適当な方法
で分散後、適当な分離方法で容易に分離できる。
【0019】得られた断面矩形状のムライト質針状結晶
は、必要に応じてふっ化水素酸液で洗浄してさらに純度
を上げることが好ましい。
【0020】Al2 3 源としては、焼成時にAl2
3 になり得るように化合物であれば、どのような化合物
であっても用いることができる。
【0021】例えば、Al(NO3 3 ・9H2 O、A
lCl3 等の塩、Al(OCH3 7 3 等のアルコキ
シド、ベーマイト、アルミナゲル、アルミナゾル、γ−
アルミナ等が用いられる。
【0022】SiO2 源としては、焼成時にSiO2
なり得る化合物であれば、どのような化合物であっても
用いることができる。
【0023】例えば、Si(OCH3 4 、Si(OC
2 5 4 等のアルコキシド、オルトけい酸化合物、シ
リカゲル、シリカゾル、ヒュームドシリカ等が用いられ
る。
【0024】SiO2 源とAl2 3 源が別々の場合
は、これらをできるだけ均質に混合することが大切であ
る。2つの原料がゾル状態の場合は、ゾルの状態で混合
した後ゲル状態にする等の公知の手段の適用が好まし
い。
【0025】SiO2 源とAl2 3 源を同時に含む物
質としては、シリカ−アルミナゲルや、カオリナイト、
ハロイサイト、デッカイト等のアルミナ−シリカ質粘土
鉱物や、これらの粘土鉱物を含む粘土、例えばボールク
レー、チャイナクレー、フィーラクレー、フリントクレ
ー、ソフトクレー、頁岩粘土、木節粘土、蛙目粘土、熱
水性粘土等が用いられる。場合によっては、ベントナイ
ト等のようにSiO2 とAl2 3 以外の金属酸化物を
比較的多く含んだ粘土鉱物も用いられる。
【0026】又、C又はCを含む物質、すなわちC源と
しては、カーボンブラックや熱分解黒鉛等のCそのも
の、ピッチ、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂
等の炭化化物類や、でんぷん、もみがら、木材等の炭化
化物類の加熱分解によってCを生じる化合物、COガ
ス、CO2 ガス、及び尿素等の加熱によってCOガスや
CO2 ガスを生じる化合物が用いられる。
【0027】これらのC源は、一般に粉末状態で他の原
料物質と混合して用いられる。この場合、C源の大きさ
は、カーボンブラックのような微粒子から直径5mm程
度の大きさのものまで、広範囲の大きさで使用される。
小さな粒子は、反応容器内の酸素と反応してCOガス又
はCO2 ガスとして均等に出発原料に拡散して接触す
る。
【0028】このように、適量の酸素がC源と共存する
ことは、むしろ反応を促進する上で好ましい状態であ
る。反応容器が密閉式の場合、通常、原料を反応容器に
充填する際に容器の中に原料と共に空気が残存される。
少なくともこの空気中に含まれる程度の酸素は、容器か
ら排除する必要はない。しかし、酸素が全く存在しない
からと言って反応が進まないわけではない。適量の酸素
が存在する場合より、酸素が共存しない場合の方が断面
矩形状のムライト質針状結晶の生成量や長さにおいてや
や劣る程度である。
【0029】C源が高温で明らかにガス状態をとり得る
化合物、又はガス状態に転換できる化合物の場合、他の
原料物質との混合以外の方法を適用することができる。
例えばこの方法は、上記化合物を密閉容器内の別の場所
に配置し、この化合物の熱分解によって発生したガスを
容器内に充満させて他の原料物質と均一に接触させて反
応させる方法である。
【0030】次に、出発原料に対するAlF3 やC等の
添加物の適量について説明する。
【0031】これらの添加物の適量は、出発原料の重量
に対する割合で決定される。添加物の計算に用いられる
出発原料の重量は、出発原料に付随する可燃物や付着水
や結晶水等の揮発分を除外した重量である。
【0032】AlF3 と出発原料からなる混合物中のA
lF3 の添加量が、5重量%未満であると、ムライト質
針状結晶の発達が悪く、又、得られた反応物の分散性も
悪い一方、70重量%を超えると、結晶発達も良く分散
性も良いが、ふっ素ガスの発生も多くて作業環境にとっ
て良くない。
【0033】AlF3 と出発原料の混合物100重量部
に添加されるCの添加量が、5重量部未満であると、A
lF3 の使用料を多くしないとムライト質針状結晶が得
られず、たとえ多量のAlF3 を使用して得られたとし
ても反応物の分散性が良くない一方、50重量部を超え
ると、密閉容器内におけるCの占める面積が大きくなっ
て他の原料の占める割合が小さくなり、生産性を悪化さ
せる。
【0034】なお、Cを含む物質のCの量は、そのC成
分の量によって定まる。
【0035】実験例A1〜A27 以下、本発明の実施例Aの実験例A1〜A27を詳細に
説明する。含有比率を異ならせたSiO2 源とAl2
3 源を均質に含む出発原料と、AlF3 と、Cを表1,
2に示すように種々の配合で均質に混合した。これらの
混合物を蓋付きのアルミナルツボに充填し、電気炉中で
1200℃、1300℃、1400℃の各温度で2時間
加熱した後、ルツボの蓋を開けて炉内放冷し、各種の反
応物を得た。
【0036】各種反応物の特性、すなわち分散性、生成
状態及びX線試験による生成鉱物の種類は、それぞれ表
1,2に示すようになった。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】 ここで、出発原料は、カオリン粉末、Cはカーボンブラ
ック、AlF3 は、試薬粉末を使用した。なお、カオリ
ン粉末の分析値は、表3に示すようであった。
【0039】
【表3】 表1,2中、AlF3 の配合量は、カオリンに対する外
割(灼熱減量分)を除外したカオリンとAlF3 の混合
物100重量%中に含まれるAlF3 の重量%)の重量
%で示し、Cの配合料は、カオリンとAlF3 の混合物
100重量部に対する内割の重量部で示した。
【0040】又、反応物の特性における分散性及び生成
状態を示す、○、△、×の記号は、表4の評価と対応
し、X線試験による生成鉱物の種類を示すM、C、Q、
G、Aの記号は、表5の名称と対応している。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】 更に、表1,2中に、AlF3 とCのいずれも添加しな
い場合を比較例A1、AlF3 のみを添加しない場合を
比較例A2〜A7、Cのみを添加しない場合を比較例A
8〜A11として記載し、かつそれぞれの反応物の特性
も併記した。
【0043】表1,2からわかるように、AlF3 のみ
を添加した比較例A8〜A11の場合、添加量が10重
量%以下では全くムライト質針状結晶が生成せず、添加
量が20重量%以上となると、焼成温度が1300℃以
上の場合のみムライト質針状結晶が生成されるものの、
反応物の分散性は良くない。
【0044】又、Cのみを添加した比較例A2〜A7の
場合、添加量が40重量部以上でかつ焼成温度が120
0℃以下においてムライト質針状結晶を生成がみられる
が、その生成量はわずかである。
【0045】AlF3 とCのいずれも添加しない比較例
Aは1200〜1400℃のどの場合もムライト質針状
結晶の生成がみられない。従って、出発原料にAlF3
及びCを共に添加しない場合、あるいはAlF3 又はC
を別々に添加した場合、ほとんどムライト質針状結晶を
生成せず、又、生成した場合でもその反応物は、分散性
が良くないことがわかる。
【0046】一方、AlF3 の添加量をカオリンに対し
内割で5〜70重量%、Cの添加量をカオリンとAlF
3 の混合物100重量%に対し内割で5〜50重量部と
した実験例A1〜A27の場合、いずれも断面四角形の
ムライト質針状結晶が生成されると共に、分散性も概ね
良好であり、全ての反応物中に、長さ/直径の比率が1
0〜20程度の良好な断面矩形状のムライト質針状結晶
が観察された。
【0047】特に、実験例A13〜A27の場合、12
00℃と比較的低温の焼成温度でも多量のムライト質針
状結晶が生成され、反応物のほとんどが指で押すと簡単
に分散できる程度に分散性が良好であり、指で分散でき
ないものも水中で回転するプロペラ等を利用して簡単に
分散できた。
【0048】多くの反応物中には、クリストバライト、
クオールツ、ガラス等のSiO2 源から由来したと考え
られる粒状物が観察された。図2はこのような反応物の
顕微鏡写真で、よく発達したムライト質針状結晶と粒状
物が互いに付着しないで良く分散している状態を示して
いる。なお、図1は顕微鏡写真のスケッチである。
【0049】これらの粒状物は、水等の液体に分散させ
た場合、沈降速さの違いによりムライト質針状結晶から
容易に分離できる。なお、ムライト質針状結晶が少量で
も存在するかぎり△及び○も本発明の範囲内であるが、
前述したように、ムライト質針状結晶が微量過ぎて特有
の効果が観察しずらかったためこれらの例は便宜的に比
較例として表現した。
【0050】実施例B 以下、本願の第2発明による実施例Bについて説明す
る。実施例Bは断面が四角形であるムライト質針状結晶
を含むムライト多孔質体である。このムライト多孔質体
は、主として交錯する多数のムライト針状結晶(断面四
角形)で構成され軽量で通気抵抗が小さいことを特徴と
している。
【0051】次に、このムライト多孔質体の製造方法を
説明する。本発明において、粘土とはAl2 3 及びS
iO2 を主要成分として含む多種類の粘土鉱物をさす。
【0052】このような粘土鉱物は焼成により化学反応
を起こし、ムライト(3Al2 3 2SiO2 )を生成
する。通常、このような粘土鉱物は結晶水を伴ってい
る。結晶水は適当な温度で仮焼されることによって脱水
され無水物となる。
【0053】本発明における配合割合は原則として結晶
水を伴った場合を想定して計算するが、もちろん無水物
にも適用することが出来る。無水物を使用する場合は、
結晶水を持つ粘土から結晶水を取去った場合を想定して
配合割合を決定する。
【0054】一般に無水物よりも結晶水を含む粘土を使
用した方が、ムライト針状結晶の収率が大きい。また、
結晶水を含む粘土を使用すると、結晶水を含まない粘土
を使用した場合に較べて結晶の長さがいっそう長くなる
傾向がある。
【0055】同様に粘土鉱物の種類をムライト針状結晶
の収率の面から判断すると、カオリナイトが最も好まし
い。
【0056】本発明で使用し得る他の粘土鉱物は、ハロ
イサイト、デッカイト、ボールクレー、チャイナクレ
ー、フイーラクレー、フリントクレー、ソフトクレー、
頁岩粘土、木節粘土、蛙目粘土、熱水性粘土などがあ
る。場合によってはベントナイトのようにSiO2 とA
2 3 以外の金属酸化物を比較的多く含んだ粘土も用
いることが出来る。
【0057】なお、粘土は非常に微細な結晶なので、使
用に際してさらに小さく粉砕する必要はない。
【0058】炭素は焼成反応の段階で化学記号Cで表さ
れる物質と、Cを容易に生成し得る物質をさす。このよ
うな炭素は、例えば前者はカーボンブラック、ガラス状
炭素、活性炭、天然黒鉛、人造黒鉛、炭素繊維、熱分解
炭素及び不浸透炭素であり、後者はフエノール樹脂、フ
ラン樹脂、アクリル樹脂などの合成樹脂である。
【0059】このような炭素の内で黒鉛は特に好ましい
物質である。黒鉛の使用はムライト針状結晶の発達が特
に著しいし、またムライト針状結晶の収率も大きい。炭
素は、通常、粉末にして用いられる。粉末の寸法は、小
さいほうが反応性の観点から好ましいが、あまり小さす
ぎると成形性の観点から好ましくない、通常、直径0.
5〜50μm程度で用いられる。炭素はムライト針状結
晶の生成と発達を促進し、さらにムライト針状結晶の生
成にあずからない過剰SiO2を分散する働きと、還元
して最終的に気化し揮発させる働きを持つ。
【0060】このように焼成過程で生成する過剰のSi
2 又はSiO2 を主成分とするガラス状物質からなる
小さい塊の状態で成形体の中で分散して存在する。
【0061】したがって炭素の働きによって生成した針
状結晶はSiO2 又はSiO2 を主成分とするガラス状
物質によって緻密な状態に埋められることがない。ほぼ
均質で連通した無数の間隙を周囲に持つことになる。こ
のような成形体の中の適度な間隙は焼成の最終段階にお
いて上述したSiO2 成分が揮発するための通路とな
る。
【0062】AlF3 は粘土と共にムライト針状結晶の
生成に必要なAl2 3 成分の供給源となるとともに、
ムライト針状結晶の生成する温度を下げる働きを持つ。
【0063】使用時には、出来るだけ細かく粉砕して使
用する。
【0064】本発明においては前述のごとく所定の原料
を所定量配合して混合物をつくり、この混合物を成形
し、その成形体を焼成する。そのとき、ある程度密封し
た容器内で焼成するのが好ましい。ある程度密封した容
器とは、封はされているが焼成に際し容器内の過剰のS
iO2 成分が炭素により還元されて容器外へ揮発出来る
ような機能を持つ容器をいう。
【0065】焼成段階における容器内の雰囲気は特に限
定されない。例えば非酸化性の雰囲気でもよいし、少量
の酸素を含んでいてもよい。酸素を含む場合は容器内の
炭素は一部酸化除去されるが、少なくとも焼成の完了時
点まで容器内に一部の炭素が残っているような状態は許
容出来る。具体的にいえば、このような容器は、例えば
蓋付のルツボの場合、蓋をした状態又は蓋を一部開けて
おくような状態で容易に得られる。
【0066】焼成後、容器内には、交錯したムライト針
状結晶、このムライト針状結晶の間隙に分散した状態で
存在する不定形のムライト物質又はガラス状物質、及び
炭素などからなる成形体が残る。
【0067】この成形体を空気中又は酸素含有雰囲気中
で加熱し、残留炭素を酸化除去する。得られた多孔質体
は交錯したムライト針状結晶を主体とし、その間隙に存
在する少量の不定形のムライト物質又はガラス状物質か
らなるが、これをふっ化水素酸液で処理してムライトの
純度を上げることも可能である。
【0068】加熱温度は残留炭素を酸化除去できる温度
であればよく、特に限定しない。通常、800℃前後の
温度が適用される。具体的には、例えば焼成に使用した
容器を所定の温度に維持した状態で蓋をとり、開放状態
にすることによって行われる。
【0069】成形は公知の方法で行われる。例えば原料
の混合物に少量の水や有機溶媒又はこれらに結合剤を含
んだ溶液を添加し、プレス成形法、押出し成形法などに
よって成形する。結合剤を使用する場合は、ムライト針
状結晶の生成を妨げないものの中から選ばれる。そのよ
うな結合剤として、例えば各種有機系合成樹脂、天然糊
材、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、コロイド
状ジルコニア等を挙げることができる。
【0070】本発明で使用するAlF3 と粘土の合計物
において、AlF3 の割合を5〜50%としたのは5%
未満では粘土のムライト化温度を十分に下げることが出
来ないし、またムライトの針状化を十分に促進すること
が出来ないからである。
【0071】またAlF3 の割合が50%超の範囲では
成形することが困難であるからである。
【0072】AlF3 と粘土の合計物100部に対して
炭素を5〜100部加えるとしたのは、5部未満では、
不定形のガラス状物質やムライト物質をムライト針状結
晶の間隙に分散させることが出来ないし、ムライトの針
状化を促進させることが出来ないからである。
【0073】また100部超では成形することが困難で
あるからである。
【0074】焼成温度は1000〜1700℃にするの
が好ましい。というのは、1000℃未満ではムライト
針状結晶が生成しにくいからである。一方、1600℃
以上ではムライト針状結晶の他にβ−SiCも生成する
ようになるし、また一度生成したムライト針状結晶は一
部が分解溶融し嵩比重が大きくなる傾向を持つ。特に1
700℃を超す範囲では、ムライト針状結晶の分解が著
しくなり、適当でない。
【0075】焼成温度が1200〜1500℃の範囲は
特に好ましい範囲である。この範囲ではムライト針状結
晶の発達が特に著しいし、その生成量も多いからであ
る。
【0076】実験例B 本発明をさらに具体的に説明するために実験例B1〜B
68のを用いて説明をする。
【0077】ニュージーランド産のカオリンの粉末と、
AlF3 の粉末と黒鉛の粉末を種々の配合比率に配合し
た。これらの混合物に3%のポリビニルアルコール溶液
を添加して良く配合し、200Kg/cm2 の圧力でプレ
ス成形し、厚み5mmの板状物とした。
【0078】配合の方法はカオリンとAlF3 の合計物
中のAlF3 の含有量を5%、10%、30%、50%
と変化させ、このカオリンとAlF3 との合計物100
部に対しそれぞれ黒鉛の粉末を5部、10部、30部、
50部、100部と変化させた。
【0079】成形体をそれぞれ蓋付のアルミナルツボに
入れて蓋をして電気炉の中で1300℃、1400℃、
1500℃の3種類の温度で2時間焼成した。ついでル
ツボの蓋を開け、800℃で2時間加熱し、残留黒鉛を
酸化除去し、ムライト多孔質体を得た。
【0080】別に比較例としてカオリンとAlF3 の合
計に対しAlF3 の含有量を0%、3%、5%、10
%、30%、50%とし黒鉛の粉末の添加割合をカオリ
ンとAlF3 の合計100部に対し0部、3部、5部、
10部、30部、100部とした配合物について前述の
実験例と同様に成形し、各温度で焼成した。
【0081】得られたムライト多孔質体についてムライ
ト針状結晶の生成量の観察、気孔率%、嵩比重、収縮率
%を測定した。測定結果を原料配合割合と共に表6〜表
12に示す。
【0082】
【表6】
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】
【表9】
【0086】
【表10】
【0087】
【表11】
【0088】
【表12】 表6と7、表8と9、表10と11はそれぞれ1300
℃、1400℃、1500℃の焼成温度に対応する。ま
た、実験に使用したニュージーランド産のカオリンの分
析値を表13に示す。
【0089】
【表13】 各表において収縮率%は焼成前の寸法に対する、焼成前
後の寸法差の割合とする。正の数値は焼成により収縮し
たことを示し、負の数値は焼成により膨張したことを示
す。
【0090】ムライト針状結晶の生成量の観察結果は4
種類に分類し×、△、○、◎で表示する。針状結晶の生
成量は△<○<◎の順に多くなり、×はムライト針状結
晶が全く生成していないグループを示す。
【0091】△及び○はムライト針状結晶が生成しても
少量であり、製造方法としては余り望ましくないグルー
プであることを示す。◎はムライト針状結晶の生成量が
最大のグループであることを示し、望ましい製造方法で
ある。
【0092】表6〜表12において比較例B1〜16、
17、18、19、20、21、22、23〜38、3
9、40、41、42、43、44、45〜60、6
1、62、63、64、65、66は、いずれもAlF
3 の含有量が0〜3%又は黒鉛の添加量が0〜3部の範
囲であり、ムライト針状結晶が全く生成していないか、
生成していても少量で不満足な量であることを示す。ま
た、比較例は、すべて気孔率も小さく焼成に伴う収縮率
も大きな値を示した。
【0093】ところで、ムライト針状結晶が少量しか存
在しない△及び○も本発明の範囲内であるが、前述のよ
うにムライト針状結晶が微量すぎて特有の効果が観察し
ずらかったため、これらの例は便宜的に比較例として表
現したこれに対し、実験例はいずれもAlF3 の含有量
が5〜50%及び黒鉛の添加量が5〜100部の範囲で
あり、針状化状態は、◎で表されるように、ムライト針
状結晶の生成量は満足出来る量であった。同時に大部分
で、気孔率も十分大きく、収縮率も小さな値を示した。
また、この条件のものは生成したムライト針状結晶の長
さも比較的長い傾向を示した。しかもムライト針状結晶
の断面形状は四角形であった。
【0094】次に焼成温度について実験例を参照して述
べる。
【0095】表6〜11で示した配合の内、AlF3
含有量が30%、黒鉛の添加量が50%の配合につき、
改めて焼成温度を900℃から100℃間隔で1700
℃まで変化させた試験を行った。
【0096】その結果を表12と図3に示す。
【0097】表12において、比較例B67は焼成温度
が900℃と低いため成形体中にムライト針状結晶は全
く生成しなかった。
【0098】これに対し、実験例B61〜68では、い
ずれも十分な量のムライト針状結晶が生成し、その長さ
も長かった。同時に気孔率も十分に高く、また収縮率も
十分に小さかった。
【0099】
【発明の効果】本願の発明は断面が矩形状であることを
特徴とするムライト質針状結晶を要旨とし、第2発明は
断面が四角形であるムライト質針状結晶を含むことを特
徴とするムライト多孔質体を要旨としているので、強化
材として及び/又は磨耗抵抗を上げる目的で母材に添加
した時に、従来の断面円形状ムライト多結晶質繊維を用
いた場合にくらべて、繊維の断面積当りに対応する外周
の長さが大きいため定量的及び/又は定性的に異なる効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のムライト質針状結晶を顕微鏡で見たス
ケッチ図。
【図2】本発明のムライト質針状結晶の結晶構造を表わ
す写真。
【図3】実験例Bにおける焼成温度と嵩比重の関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
10 ムライト質針状結晶

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面が四角形であることを特徴とするム
    ライト質針状結晶。
  2. 【請求項2】 断面が四角形であるムライト質針状結晶
    を含むことを特徴とするムライト多孔質体。
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