JPH055842U - 真空脱ガス用浸漬管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶損による補修交換を簡単に行うことがで
き、しかも、取替え部分からの外気の導入を完全に防止
できる真空脱ガス装置の浸漬管の提供。 【構成】 浸漬管の芯金を上下に分割した上下芯金のそ
れぞれの端部外周面にフランジを形成させ、上部芯金の
外方に、先端開口を前記フランジに指向した不活性ガス
供給管を配設し、さらに、前記両フランジを連結した芯
金の外周面側に前記不活性ガス供給管を埋設した不定形
耐火物の一体施工体を設けたことによって、フランジの
取外しによって最も溶損が激しい浸漬管の下端部のみの
部分差替えが簡単にでき、しかも、フランジ部と下方の
不定形耐火物施工体内に不活性のシールガスを導入する
ことにより、外気の進入を防止できると共に、浸漬管自
体を冷却する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、溶鋼の脱ガス、脱炭素のために使用される真空脱ガス装置の浸漬管 の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

真空脱ガス装置によって極低炭素に精錬するに当たって、１０００ｍｍ以上の 径を有する大径の浸漬管内に溶鋼を上昇させ、その内周一側面に浸漬管の底から 不活性ガスを吹き込み、浸漬管内で溶鋼の循環，撹拌を行うと共に表面に泡立ち 面を形成させる方式がある。

【０００３】 この際、溶鋼の循環，撹拌効率を向上するために、吹込みガスが浸漬管の片側 に極力偏るように吹き込む。このため、取鍋敷部羽口から出たガス気泡が浸漬管 の下端面に当たり、浸漬管下端耐火物の損耗が激しく、浸漬管を頻繁に取替えな ければならない。

【０００４】 このような浸漬管の取替えのために、浸漬管の上方部に連結用フランジを設け て取替え部分を分離可能とし、さらに、取替え部分の内張りれんがの外面に突起 を形成して不定形耐火物による補修を便利にした構造が実公平２−３５８０１号 公報に開示されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、このような上下に分離した構造を有する浸漬管においては、上下部 材の連設用フランジ部や、不定形耐火物施工体のひび割れから、外気を吸い込む ことにもなり、これが溶鋼への窒素のピックアップ現象を生じ、処理溶鋼の品質 を低下させることになる。

【０００６】 本考案の目的は、取替え可能な接合部を有する真空脱ガス装置の浸漬管におい て、溶損による補修交換を簡単に行うことができ、しかも、取替え部分からの外 気の導入を完全に防止できる構造を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案の真空脱ガス用浸漬管は、下端外周面にフランジを形成した上部芯金と 上端外周面にフランジを形成した上部芯金とに分割した芯金を有し、前記上部芯 金の外方に、先端開口を前記フランジ部に指向した不活性ガス供給管を配設して なり、さらに、前記両フランジを連結した芯金の外周面側に前記不活性ガス供給 管を埋設した不定形耐火物の一体施工体を設けてなることを特徴とする。

【０００８】

【作用】

フランジの取外しによって最も溶損が激しい浸漬管の下端部のみの部分差替え でき、しかも、フランジ部と下部の不定形施工体内に不活性のシールガスを導入 することにより、外気の進入を防止できると共に、浸漬管自体を冷却する。

【０００９】

【実施例】

図１は本考案に係る真空脱ガス装置の下方に設けられた浸漬管の断面構造を示 す。

【００１０】 同図において、真空脱ガス装置の下方に設けられた浸漬管１は、芯金２の内面 に芯金２に形成した受け部３によって支持された内張りれんが４と、芯金２の外 面から下方にかけて一体的に形成された不定形耐火物施工体５からなる。芯金２ は、下端に外方に突出して設けられたフランジ６１を有する上部芯金２１と、上 端に外方に突出して設けられたフランジ６２を有する下部芯金２２に分割されて おり、ボルト７によって連結されている。上部芯金２１の外面には、冷却材とシ ール材とを兼ねた不活性ガスの供給管８が配置されており、その先端開口９はフ ランジ６１，６２による連結部分に指向している。１０は芯金２に突出して設け られたスタッドを示し、不定形耐火物の施工時のアンカーの機能を有する。

【００１１】 本考案の浸漬管１は上記の構造を有するので、浸漬管１の右半分を示す図２に 示すように、下端部の耐火材の溶損のために交換する場合には、不定形耐火物施 工体５を剥がし取った後、フランジ６１，６２のボルト７を外して浸漬管１の下 端部を取り外して補修し再生する。

【００１２】 図３に補修再生の手順を示す。

【００１３】 まず、上記図２に示す状態に溶損した浸漬管１の下端部を、ブレーカーによっ て図３（ａ）に示すように、溶損部分を除去して、不定形耐火物の施工による補 修に好都合な表面状態を形成すると共に、フランジ６１，６２のボルト７を外し て下部芯金２２のみからなる分離部分を上方部分から分離して準備場所に搬出す る。

【００１４】 ついで、図３（ｂ）に示すように、予め準備場所で内張りれんが４１を取り付 けた交換用の下部芯金２２を、フランジ６２，６１を介して、上部芯金２１に取 り付ける。その後、図１に示す外形と同一形状に不定形耐火物を施工するための 枠材１１を取り付ける。そして、キャスタブル圧送口１２から耐火物スラリーを 圧入して図１に示す浸漬管１を再生する。

【００１５】 なお、フランジ及び不活性ガス供給管の先端開口部は、溶鋼浸漬時の湯面より も下方に設置した方が好ましい。

【００１６】

【発明の効果】

本考案によって以下の効果を奏する。

【００１７】 （１）溶損した浸漬管の下端部を簡単に交換することで浸漬管の寿命を延ばすこ とができる。

【００１８】 （２）接合部分を不活性ガスによってシールするので、外気が進入することがな く、精錬溶鋼への窒素のピックアップがなく、鋼製品の品質を低下させることが ない。

【００１９】 （３）シール用の不活性ガスが冷却機能を有し、不定形耐火物施工体を保護し、 延命する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の実施例に係る浸漬管の断面構造を示
す図である。

【図２】 浸漬管下端部の溶損状態を示す図である。

【図３】 溶損浸漬管の補修手順を示す図である。

【符号の説明】 １ 浸漬管 ２ 芯金 ２１ 上部芯金 ２２ 下部芯金 ３ 受け部 ４ 内張りれんが ５ 不定形耐火物施工体 ６１，６２ フランジ ７ ボルト ８ 不活性ガス供給管 ９ 開口 １０ スタッド １１ 枠材 １２ 圧送口

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項１】 下端外周面にフランジを形成した上部芯
   金と上端外周面にフランジを形成した上部芯金とに分割
   した芯金を有し、前記上部芯金の外方に、先端開口を前
   記フランジ部に指向した不活性ガス供給管を配設してな
   り、さらに、前記両フランジを連結した芯金の外周面側
   に前記不活性ガス供給管を埋設した不定形耐火物の一体
   施工体を設けてなる真空脱ガス用浸漬管。