JPH055647B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は合成樹脂の成形に用いられる射出成
形機のノズル装置に関するものである。

［従来の技術］ 射出成形機のノズルの重要な機能の１つとし
て、スクリユー等により最適に可塑化された樹脂
を、ノズルにより保温することがあり、そのため
ノズル温度は常にある設定温度で安定しているこ
とが重要であるとされている。

しかし射出成形では、金型内のキヤビテイに射
出充填した溶融樹脂を、金型により冷却して成形
品を形成しているため、金型と接触するノズル部
材では、冷却された金型に熱を奪われ、樹脂がノ
ズル部材内で冷却固化してしまい、そこに樹脂の
冷却固化部と溶融部の境界が発生する。

この境界部の温度コントロールは大変制御が困
難であり、ノズル及び金型の設定温度、熱伝導
率、ヒーターの容量、ノズルの容積に起因する熱
容量、成形サイクル時間、ノズルタツチ部の伝熱
面積、樹脂温度、雰囲気温度の変化等、温度と時
間の関数或いは、樹脂の状態変化により刻々その
境界の熱エネルギー収支は変化する。

そのためオープンノズル（単純な貫通穴構造の
もの）では条件によつて樹脂漏れ、糸引き等の現
象を呈する。この現象を防止するため従来は勘と
経験により人為的に各部の温度及び時間を調整し
ている。

またこの人為的方法を改善し、より信頼性を向
上するために、ノズル先端の開口部をニードル弁
で開閉するシヤツトオフノズルが、古くから一般
に使用されている。ニードル弁の作動はスプリン
グ力によるもの、油圧力によるもの等があり、更
にノズル先端部に回転スプールをノズル口に対し
直角に配し、これを強制的に回転させ、シヤツト
オフノズルと同様に、樹脂漏れや糸引きを防ぐ方
式のものもある。

［発明が解決しようとする課題］ しかし、これらのノズル先端部を強制開閉する
各種方法には以下の様な欠点がある。

(1) 構造が複雑でコストが高い。

(2) 弁を軸方向に摺動するための間隙が必要であ
り、間隙寸法を高精度に仕上げておいても、環
境が射出圧力2000Kg／cm²以上、使用温度300℃
を越えるという苛酷な条件下にあるため、動的
寸法変化が発生し樹脂漏れが発生し易い。

(3) 射出成形は短時間に繰り返し動作が行われる
ため（５〜10回／分以上）ノズルシヤツト部の
摺動回数も多く、そのため摩耗が激しく樹脂漏
れが生じ易い。また漏れた樹脂の付着によりノ
ズルヒーターを破損したり、漏れた樹脂が冷却
固化して開閉作動を著しく損なうことがある。

(4) ノズル部に各種機械を取り付けてあるため全
体寸法が大きくなり、固定盤等に設けるノズル
挿入穴等も当然大きくなり、強度上好ましくな
い構造になる。また金型内のホツトランナ部材
には採用し難かつた。

この発明は上記従来の課題を解決するために考
えられたものであつて、その目的はノズル構造が
きわめて簡単で樹脂洩れを確実に防止することが
でき、またノズル部に原因する成形不良減少を極
力低減することができる新たなノズル装置を提供
することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的によるこの発明の特徴は、ノズル本体
の先端に微小間隙を設けてノズル部材を前後動自
在に嵌装し、そのノズル部材と上記ノズル本体と
の間に、シヤツタープレートを側方から進退自在
に設け、かつシヤツタープレートはノズル本体側
とノズル部材側の樹脂路を連通する通孔を有する
ことにある。

またその適用は金型内に設けられたホツトラン
ナー部材をノズル本体とするノズル装置を始め、
オープンノズルと称されている通常の単一ノズル
装置まで可能と広く、ノズル本体とノズル部材と
の断熱効果を効果的になす１つの手段として、シ
ヤツタープレートを断熱材を介してノズル部材側
に嵌装し得ることなどにある。

［作用］ 上記構成のノズル装置では、シヤツタープレー
トの通孔が、樹脂路に位置してノズル本体側とノ
ズル部材側の両方を連通しているとき、溶融樹脂
の射出が行なわれ、またノズルタツチ力が除かれ
た後のシヤツタープレートの僅な移動により、樹
脂路が遮断されて、離型時における糸引きや離型
後の樹脂洩れが防止される。

［実施例］ 第１図から第４図に示す実施例は、一方向に長
いホツトランナーブロツクの片側面に、一対のノ
ズル本体２，２を平行に分岐した双頭のホツトラ
ンナー部材３を例とするものである。

このホツトランナー部材３の上記ノズル本体２
の先端面は、外側部を部分的に開口した凹所４と
なつており、この凹所４にノズル部材５が、凹所
底面との間に微小（10〜20μ）の間隙６を設けて
前後動自在に嵌装してある。

このようなホツトランナー部材３は、ヒーター
７とともに固定盤８に設けた金型９の型置板１０
に取付けられ、その型置板１０の中央口を通し
て、ホツトランナーブロツク１のゲートに射出装
置のノズル１１がノズルタツチするようにしてあ
る。

上記ノズル部材５は、可動盤１２に設けた分割
金型１３，１４に型板１５を介して常時当設して
ある。この型板１５は固定盤側の金型９に制限ボ
ルト１９をもつて止着され、かつ金型９と型板１
５との間には、型板１５を常時外方に弾圧するス
プリング２０が介在させてある。

２１はシヤツタプレートで、金型９の側部から
金型内に進退自在に設けられ、かつ先端部は上記
凹所４の外側開口からノズル部材５の後端面に挿
入してある。また後端部には油圧または空気圧に
より作動するシリンダ２２のピストンロツド２３
が接続してある。

このシヤツタープレート２１の形成材料として
は、磨耗や型締力に対する機械的強度、高温時の
熱変形等を考慮し、ステンレス鋼またはセラミツ
クやそれに類する素材或はそれらによりコーテン
グされた素材を用いることが好ましい。

このようなシヤツタープレート２１の先端部の
板面には、ノズル本体２の樹脂路２４とノズル部
材５の樹脂路２５との間に位置するを小径の通孔
２６（第２図及び第３図参照）が穿設してある。

この通孔２６の直径はキヤビテイ２７の樹脂路
２８のゲート孔より小径に形成してある。またそ
のゲート孔は樹脂路２５の直径よりも小さく、樹
脂路２５は樹脂路２４の直径よりも小さく形成し
てある。好ましくは樹脂路２４は通孔２６の直径
の２〜３倍、通孔２６は樹脂路２５の80〜90％程
度の大きさがよい。

第２図及び第３図は、シヤツタープレート２１
による断熱を更に効率良く行なうために、セラミ
ツク薄板などによる断熱層２９をノズル部材５の
後端面に埋設し、この断熱層２９を介してシヤツ
タープレート２１の先端部をノズル部材５の後端
面に嵌装した場合を示すものである。

また第４図は上記シヤツタープレート２１の移
動をアンギユラピン３０を用いて行なう場合の例
を示すものである。

次に第１図の例によりノズル装置の動作につい
て説明する。

まず材料計量時にシヤツタープレート２１を前
進移動して、樹脂路２４，２５を通孔２６により
接続しておく、この際の移動量は、通孔２６が樹
脂路から外れる程度のごく僅かな寸法で充分であ
る。

次に型閉めが行われると、分割金型１４により
型板１５が押され、金型９に接するように移動す
る。またノズル部材５も押圧されて間隙６がなく
なる。

これによりノズル本体２の先端面とノズル部材
５の後端面とがシヤツタープレート２１を介して
密に接し、また側の樹脂路２４とノズル部材側の
樹脂路２５とが、シヤツタープレート２１の通孔
２６を介して接続する。

強力型締が完了したのちに射出装置のノズル１
１からホツトランナー部材３に溶融樹脂の射出を
行なうと、溶融樹脂は樹脂路２４、通孔２６、樹
脂路２５，２８を通過してキヤビテイ２７に充填
される。

キヤビイ内の樹脂は金型の冷却により樹脂路２
８内の樹脂とともに固化し、またその冷却の影響
は、ノズルタツチしたノズル部材５にも及び、樹
脂路２５の樹脂も固化する。

しかしノズル本体側ではシヤツタープレート２
１の介在により冷却の影響が少なく、またヒータ
ー７により加熱されていることから、樹脂路２４
の樹脂は固化せず、通孔２６の部分を境にして溶
融状態にある。

射出保圧時間が経過して、成形品の冷却固化が
完了したのち、型締力を除くと、型板１５がスプ
リング２０により制限ボルト１９により規制位置
まで戻る。このときノズル部材５に対する押圧力
も除かれ、ノズル部材５と共にシヤツタープレー
ト２１の先端部も型締力による拘束から解除され
る。

これにより間隙６の分だけノズル部材５が可動
自在となるので、シヤツタープレート２１の移動
に対する抵抗も少なくなる。このような状態の
後、シヤツタープレート２１を所要寸法だけ進退
移動して、通孔２６を両樹脂路２４，２５からず
らし、樹脂路２４の閉鎖を行なう。

この閉鎖により両樹脂路２４，２５は遮断さ
れ、成形品離型時の糸引き及び離型後の樹脂洩れ
が防止される。

第５図以下はオープンノズルの場合の例で、ノ
ズル本体２の凹所４にピン孔を有するノズル部材
５を、円形インロー部により軸方向に可動自在に
嵌挿した上で、更にボルト状の段付きピン３１を
挿通して取付けを行なつている。

この挿通に際しては、互いのインロー部を嵌合
し、段付きピン３１を締付けている。この段付き
ピン３１は締付けたときピン頭部３１ａの内端面
とノズル本体２の先端面との間に10〜20μ程度の
間隙が生じるようにするとよい。

このようにして置けば、ノズルタツチ力により
ノズル部材５が押圧されて、シヤツタープレート
２１がノズル本体２とノズル部材５の両方に密に
接し、その部分から射出圧により溶融樹脂が漏出
することがない。

第７図及び第８図はシヤツタープレート２１の
移動手段の他の例を示すもので、プレート先端に
復帰スプリング３２を設けるとともに、プレート
後端にシリンダ２２のピストンロツド２３の先端
に取付けたテーパー部材３３を当設し、そのテー
パー部材３３のテーパー面によりシヤツタープレ
ート２１を進退移動してなる。

このような移動手段以外にもワイヤーなどを介
して行なうことができるので、この発明ではシヤ
ツタープレート２１の移動手段についてはノズル
装置に応じて任意とするものである。

［発明の効果］ 上記構成からなるこの発明では下記のごとき効
果を奏する。

(1) シヤツタープレートを側方から樹脂路に設け
たのでノズル本体及びノズル部材内の内部構造
がニードルバルブを用いたときよりも簡単とな
り、僅な溶融樹脂の停滞をも防止することがで
きる。

(2) ノズル本体の先端面に微小な間隙を設けてノ
ズル部材を前後動自在に嵌装し、その部分に間
にシヤツタープレートを設けたので、シヤツタ
ープレートの作動が円滑となり、またノズル押
圧力を利用して隙間を密に閉じるようにしたこ
とから、間隙からの樹脂洩れもない。

(3) シャツタープレートによりノズル本体側とノ
ズル部材側との樹脂路とが遮断されるようにな
るので、シヤツタープレートに小径の通孔があ
つても、ノズルからのドルーリングが防止され
る。

(3) ノズル部材の側部にシヤツタープレートの挿
入口を穿設した場合には、その部分にノズルタ
ツチ時の応力が集中するが、間隙部分の挿入で
は押圧力を面で受けるため、応力の集中により
折損を防止でき、長期間の使用に充分に耐え
る。

(4) シヤツタープレートを境に温度分布が異な
り、またその温度差がシヤツタープレートによ
り連続的温度勾配でなく、機械的にはつきり分
離するため、温度管理と樹脂の状態管理が明確
になり、人為的要素が入り難いのでノズル部に
原因する成形不良現象を低減できる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明に係るノズル装置の実施例を示
すもので、第１図は金型内ホツトランナー部材に
用いた場合の平断面図、第２図は要部の平断面
図、第３図は第２図Ａ−Ａ線断面図、第４図はア
ンギユラーピンを利用してシヤツタープレートの
移動を行なう場合の例を示す一部の平断面図、第
５図はオープンノズルの要部平断面図、第６図は
第５図Ｂ−Ｂ線断面図、第７図オープンノズルの
他の例の平断面図、第８図は第７図Ｃ−Ｃ線断面
図である。 １……ホツトランナーブロツク、２……ノズル
本体、３……ホツトランナー部材、４……凹所、
５……ノズル部材、６……間隙、２１……シヤツ
タープレート、２４，２５……樹脂路、２６……
通孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ノズル本体の先端に微小間隙を設けてノズル
   部材を前後動自在に嵌装し、そのノズル部材と上
   記ノズル本体との間に、シヤツタープレートを側
   方から進退自在に設け、かつシヤツタープレート
   はノズル本体側とノズル部材側との樹脂路を連通
   する小径の通孔を有することを特徴とするノズル
   装置。 ２ ノズル本体が金型内に設けられたホツトラン
   ナー部材からなる第１項記載のノズル装置。 ３ シヤツタープレートが断熱材を介してノズル
   部材側に嵌装されてなる第１項、第２項記載のノ
   ズル装置。