JPH0555078B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の目的） この考案は、シリコーンゴム弾性層上にフツ素
樹脂の表層が形成されているとともに適正なロー
ラー面の形状をそなえる電子写真用定着ローラー
について、長期の使用寿命が確保できるような生
産手段を提供するのがその目的である。

従来、心金を被覆するシリコーンゴム弾性層上
にフツ素樹脂の表層を焼付し、心金の被覆層を複
層に形成した電子写真用定着ローラーは既知であ
る。そして、このようなローラーはシリコーンゴ
ム弾性層の存在による優れた弾性と、トナーに対
する剥離性が抜群に良好なフツ素樹脂でローラー
の表層が形成されていることによる優れたオフセ
ツト防止性を兼備するため、オフセツト現象によ
る印画不良の発生が極少であり、しかもシリコー
ンゴムローラーに匹敵する鮮明な画像を得ること
ができる。

上記のような定着ローラーを生産するには、ま
ずアルミニウム、鉄、またはステンレス鋼等の心
金１にプライマーを介し、短時間ならば300℃以
上の高温焼成に耐えるような耐熱性の高いシリコ
ーンゴムにより弾性層２を形成し、所定の外径に
表面を研削する。ついで、研削後の表面にプライ
マーもしくはフツ素ゴムとフツ素樹脂の混合液状
担体を塗布し、この担体層３を介してたとえば
PFA樹脂などのフツ素樹脂を塗装のうえ、表面
が320〜340℃になるまで焼成し、適当な粗さの研
摩材を用いフツ素樹脂４の焼成面を研摩するので
ある。

ところが、このようにして製作したローラーを
電子複写機等の装置に組込んで使用すると、比較
的短期間のうちにローラー面に亀裂が発生するの
で、新たなものと交換するのを余儀なくされる。
すなわち、このような複層をもつローラーは優良
な定着性能を有するとしても、使用寿命が短かい
のが一大欠点である。

そこでこの発明者は、前記のような複層ローラ
ーの表面に亀裂の発生原因の探究につとめたとこ
ろ、つぎの事実が判明した。すなわち、未使用の
前記した複層ローラーのローラー面を顕微鏡によ
つて観察すれば、第２図に示すように、周方向の
細かい傷５が無数に認められる。ローラーの軸方
向の断面をみると第３図に示す通りで、傷口の幅
や傷の深さには大小がある。また、表層であるフ
ツ素樹脂層４を剥ぎとり、引張試験機により引張
強度をしらべれば、このフツ素樹脂層４はローラ
ーの長手方向について極度に破断しやすい。すな
わち、ローラー製作直後におけるこれらの現象の
うち、前記したローラー面の傷５は研摩の際発生
するものであり、ローラーの長手方向の引張強度
が著しく小さいのはローラー面の傷５がその原因
であると考察された。また、ローラーの実験の使
用により前記した亀裂が発生するのは、ローラー
の表層であるフツ素樹脂層の形成にあたり、下層
のシリコーンゴム層の劣化を避けるように比較的
低温において焼付を行うため、フツ素樹脂層内の
樹脂分子の結合が充分でなく、さらに定着装置の
実際の使用において、定着ローラーの対をたがい
に圧接して回転する際、下層であるシリコーンゴ
ム層２は充分に弾性変形して伸ばされるのに対
し、フツ素樹脂層４はこれに対応しきれず、した
がつて前記した傷５の両縁に大きい応力がかか
り、傷口が次第に拡大し、ついにフツ素樹脂層が
破断して亀裂となるに至るものと認められる。

（発明の構成） この発明は、前記した実験研究並びに考察に基
き、前記した複層の定着ローラーの欠点の除去に
成功したもので、つぎのように構成されている。
すなわち、この発明にかかる電子写真用定着ロー
ラーの生産方法は、心金１を被覆するシリコーン
ゴム弾性層２上に焼成して形成したフツ素樹脂層
４の表面を研摩してなるローラーにおいて、前記
研摩後のフツ素樹脂層４を再焼成することを特徴
とする。ただしこの再焼成は、ローラーの表面温
度をフツ素樹脂の融点よりやや高めに保ち、短時
間行う必要がある。

すなわち、焼付により形成されるフツ素樹脂層
４の表面の凹凸を修正するための研摩は、実際的
にはローラーを回転して行うよりほかなく、その
際周方向の細かい傷５が発生するのであるが、研
摩後においてフツ素樹脂の融点よりやや高めの温
度で再焼成を行うとそれらの傷口が完全に融着し
全面的に均質なフツ素樹脂層の状態に回復する。
そして再焼成の際第４図に示すように表面に小凹
凸が生ずるけれども凹凸の落差は意外に小さく、
従つて、実際問題として定着作業において画像の
鮮明度にはほとんど影響がないことがわかつた。
またこの再焼成に要する時間は数分程度の短時間
で充分であることも判明した。しかも、再焼成の
所要時間はこのように短時間なので、下層のシリ
コーンゴムに劣化が生ずることもない。かくし
て、このようにして生産されたローラーは電子写
真機に組込んで使用すれば、下記の実施例からも
わかるようにその使用寿命は著しく長いのであ
る。

実施例 直径30mmの鉄製の心金１の表面にシリコーンゴ
ム弾性層２を成型により形成する。成型後表面を
研削してシリコーンゴム弾性層２の厚さを0.5mm
にする。研削後のシリコーンゴム弾性層２上にフ
ツ素樹脂とフツ素ゴムを混合した液状担体（ダイ
キン工業(株)製GLS−213）を塗布し、この担体層
３上にPFA樹脂（三井デユポンフロロケミカル
(株)製MP−10）を静電塗装し、340℃で30分間焼
成した。焼成によつて形成されたフツ素樹脂層４
を＃1000のサンドペーパーにより研摩し、引続き
再焼成を行つた。再焼成の所要時間は約５分間
で、表面温度は320℃まで上昇した。完成したロ
ーラーにつき測定したところ、前記の担体層３の
厚さは20μ、表層であるフツ素樹脂層４の厚さも
20μであつた。

対照例 上記の実施例において再焼成の実施前のローラ
ーをもつて対照例とした。

上掲の実施例および対照例によるローラーいず
れも５個を定着ローラーとして電子複写機に組込
み、通紙試験を実施したところ、対照例のものは
それぞれ2500枚前後の通紙によりローラーの表面
が破断し、使用不能となつたが、実施例のものは
20万枚の通紙によつても表面状態に変化はなかつ
た。そこで実施例のもののローラー面を顕微鏡で
検察したところ、前記した研摩傷のような外傷は
全く認められなかつた。

（発明の効果） 上記から明らかなように、この発明方法によれ
ば、シリコーンゴム弾性層上にフツ素樹脂の表層
が形成されているため、定着による画像が鮮明で
あるとともにオフセツト防止効果の優れている電
子写真用定着ローラーであつて、著しく使用寿命
の長いものを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は使用状態における定着ローラー対の軸
直断面図、第２図は対照例のローラーの平面図、
第３図は対照例によるローラーの要部の拡大軸断
面図、第４図は実施例によるローラーの要部の拡
大軸断面図である。 １は心金、２はシリコーンゴム弾性層、３は担
体層、４はフツ素樹脂層、５は傷である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 心金を被覆するシリコーンゴム弾性層上に焼
   成形成したフツ素樹脂層の表面を研摩してなるロ
   ーラーにおいて、前記フツ素樹脂層の表面温度が
   そのフツ素樹脂の融点よりやや高めにおいて前記
   研摩後のフツ素樹脂層を再焼成することを特徴と
   する電子写真用定着ローラーの生産方法。